とんでもスキルで真・恋姫無双   作:越後屋大輔

23 / 57
今回、無印と真にオリエピを混ぜ混みました。


第二十三席董卓、向田に保護されるのこと

~話は少し前に戻る(視点なし)~

 

董卓

元始天尊(げんしてんそん)様。私の身はどうなっても構いません。どうか両親と洛陽の民をお守り下さい」董卓……真名・(ゆえ)は日々悪名が高まる中、自分より民の幸せを己の信仰する神に祈り続けていた。

 どんな信仰にも言える事だが、神々の伝承は大陸や海を渡ったり、また時の流れと共に変異していく。デミウルゴスの伝承も同様に形を変え、言葉を変えて伝えられていき、この大陸で彼は元始天尊と呼ばれている。

 

 その董卓の願いも空しく、突如現れた白装束の一団は洛陽の町を荒し尽くした。建物は燃やされたり壊されたり、罪もない民達から食料や財産を強奪していった。しかも奪った物は適当な場所に捨てていく。連中の目的は私腹を肥やすのではなく、民草を苦しめる事にあるようだ。これでは黄巾党の方が幾分かマシに思える。更に白装束は、董卓の両親を人質に取り城内の地下へ監禁する。

白装束(モブ)

「両親を助けたくば、自ら戦地へ出向け。そして戦の贄となるのだ」

 

 強引に腕を引かれ、戦場に送られそうになる董卓。ギリギリのところで、賈駆は張遼の力を借りて救い出すのに成功するが、外に出れば反董卓連合軍に捕まる事は既に明白。命乞いしても聞き入れては貰えないのも重々承知している。

董卓

「……詠ちゃん。私を置いて逃げて!」

賈駆

「何言ってるの!?月を残していける訳ないじゃない!」こうして言い争っている間にも、白装束の魔の手は迫ってくる。2人が必死に逃げていると、町の片隅から、誰かが手招きするのが見えた。

董卓

「誰かしら?」

賈駆

「あ、コラッ。行っちゃダメよ!」賈駆が警戒して董卓の肩を掴んで引き戻すと、手招きしていた男が姿を現す。髭を蓄えた強面の男だった。だが敵意は感じない。

??

「お嬢さん方。俺達ぁ、あんたらをどうこうするつもりはねぇ。それよか早く隠れんと、白装束の奴らに見つかるぜ」2人は顔を見合わすと互いに頷き、手招きしていた男に近づいていった。

 

 男は黄巾党の生き残りだった。2人が洞穴の中へ案内されると、そこには仲間らしき小柄な男と太った男が一緒に居た。3人は首に掛けていた黄色い布を地面に敷き、

黄巾党A(以下アニキ)

「生憎、敷物とかはねぇけどよ。多少は休めるだろ?楽にしてくれ」

黄巾党B(以下チビ)

「汚ぇトコだが勘弁して下せぇよ」

黄巾党C(以下デク)

「夜までゆっくりすると良いんだな」そんな3人をポカンとした表情で見つめる董卓と賈駆。洞穴の奥には彼らが手彫りしたと思われる、やや不格好な元始天尊の木像が飾られていた。それを目に留めて、ハッとする董卓達。

アニキ

「ん?あー、この木像か……」

デク

「確かに、盗賊が神様を拝むなんて変だと思われてもしょうがないんだな」

チビ

「でもこういうのって、理屈じゃねぇんだよな。俺達にだって神様ってか心の拠り所は必要なんだよ」染々語る元・黄巾党の3人に頷きを返す董卓。対してそんな彼らに、ジト目を向ける賈駆。やがて董卓は緊張の糸が切れたのか、布を敷いた地面の上で眠ってしまう。賈駆も董卓の頭を膝に乗せると、壁に凭れて寝息を立てる。

 

アニキ

「あんた、洛陽城の城主さんだろ?」目を覚ました董卓に切り出すアニキ。

賈駆

「どうしてそれを!?」アニキをキッと睨み、懐から短剣を取りだそうとする賈駆を今度は董卓が制する。

董卓

「詠ちゃん。助けてくれた人に刃を向けるなんてダメだよ」

賈駆

「でもっ……!」言い返そうとする賈駆に董卓は無言で首を横に振る。

チビ

「盗賊だって、それなりに情報収集はしてまさぁ。それに今は同じ神様を信仰する(もん)同士、互いに生き抜く事を考えましょうぜ」どうやらこの3人は色々調べ抜いていると見た賈駆は、どうせならせいぜいこいつらを利用してやろうと、考えを変えて、とりあえず矛を収めた。

デク

「これも元始天尊様のお導きかもしれないんだな」デクは小さく言うと、背嚢*1をガサゴソしながら何かを探している。中から取り出したのはリンゴが2つと、幾つかの炒り豆だった。

デク

「こんなモノしかないけど、食べるんだな」と2人に差し出す。董卓は優しく微笑んで、賈駆はぶっきらぼうにお礼を言うと、リンゴを噛り炒り豆を食べる。

 

 やがて夜になると白装束は追いかけてこなくなった。

アニキ

「……今の内だぜ。安全なトコへ逃げな」

賈駆

「そうしたいのは山々だけど……安全な場所なんてあるの?」

チビ・デク

「「そ、それは……」」突如、奥の木像が光だす。その後ろには木像に良く似た老翁が後光に照らされて立っていた。

董卓

「も、もしや元始天尊様!?」彼らの目の前に顕現したのは元始天尊ことデミウルゴスであった。元・黄巾党の3人と、董卓は揃って腰を抜かした後、膝を折って額が地面に付くぐらい頭を下げる。

デミウルゴス

『まぁ楽にせい』デミウルゴスは穏やかな口調で、彼らへ頭を上げるように告げる。

デミウルゴス

「董卓、それに盗賊の3人組よ。その方ら常日頃、儂を奉っておるの。その事はありがたく思っておるぞ。そこのメガネは疑っておるみたいじゃがの」ひたすらに頭を( こうべ )垂れる4人の脇で目をパチクリさせる賈駆。

董卓

「詠ちゃん。元始天尊様の御前だよ」

アニキ

「控えろ!()が高ぇ!」

デミウルゴス

「良い良い。信仰は個人の自由じゃ。それよりもお主にはスマン事をしたの、董卓よ」

董卓

「えっ?……どういう事ですか?」

デミウルゴス

「例の白装束じゃが、裏で糸を引いて操っておる奴らは儂も関わりがある者達での。そいつらを抑えきれんかったのは儂の責任じゃ。申し訳ない」神様が人間に頭を下げて詫びる、予想だにしなかったデミウルゴスの行動に恐縮しまくる董卓。

董卓

「そんな!勿体のうございます!」

デミウルゴス

「その代わりと言っては何じゃが、お主の身柄を儂の使わす人間に頼んでおいた。そやつはムコーダといって、巨大な狼と小さい龍、丸い寒天のような生き物を連れておるからスグに分かるハズじゃ。それと盗賊3人組じゃが……そうさな、お主らの身の振り方もあやつに一任するとしようかの。では儂は神界に帰るぞい」デミウルゴスは彼らの前から姿を消した。

 

~前話の続き(向田視点に戻る)~

 

向田

「董卓に賈駆。俺は君達を保護したいんだけど……」俺が敢えて名を呼ぶと、一瞬ギョッとした2人だったがすぐに顔を付き合わせてヒソヒソ話を始めた。

董卓

(……大っきな狼、小さな龍。寒天みたいな生き物。この人が元始天尊様の仰った御使い様?)デミウルゴス様、ここじゃ元始天尊の名で通ってるのか。

賈駆

(簡単に信じちゃダメよ。狼ぐらい用意出来なくもないわ)いやいや、この3匹連れてる時点で、デミウルゴス様の使いって分かるじゃん。だいいち偽者ならどうして君達とデミウルゴス様の会話の内容知ってるの?つーか、このメガネの娘。何でこんなに疑り深い訳?

作者

『それは賈駆だからである。それしか言い様がない』ん、誰だ今の?まぁどうでもいいか、無視しよう。

向田

「おいおい。こんなの簡単に用意出来る訳ないだろ?」

フェル

『オイ、こんなのとはなんだ!こんなのとは!』

向田

「細かい事は気にするなよ」

賈駆

「……聞こえてるの!?」

向田

「視覚も聴覚も人並み以上だよ。一応、神様の御使いだしね。ところで董卓ちゃん」

董卓

「はい。御使い様」

向田

「向田で良い。君が圧政を布いていたのが実は嘘だったとはデミウ……元始天尊様から聞いてる。けど……どうして嘘だって声を上げなかったの?そうすれば闘いも起こらずに済んだんじゃないかな?」

董卓

「全て……私のせいだから……」

向田

「だから何も言わず、ただ攻められるがまま、連合軍の攻撃を受けてたって事?」

賈駆

「違うわっ!月のせいなんかじゃないっ!……ちょっとあんた!事情も知らないくせに偉そうな口利いてるんじゃないわよっ!」そりゃ知らないよ。つーか初対面の相手に、何で俺怒鳴られてる訳?……腹立つけどここは大人の対応を取ろう。

向田

「その事情を知りたいから聞いてるんだ。一体、この闘いはどういう経緯で幕を開け、どういう意味があったのか……」

賈駆

「……この闘いの意味なんて知らないわ。あの白装束の一団が何の前触れもなく仕組んだ事だもの。ボクも、月も……ただ闘いに利用されただけ」

向田

「……なるほどね」

賈駆

「ボク達は白装束の一団に脅されていたのよ。月の両親の命を盾にされてね」

董卓

「……」

向田

「で、そのご両親は?」

賈駆

「……分からない。まだ城の地下に幽閉されてるかもね」

向田

「じゃ、助けに行くか。フェル、スイ、ドラちゃん」

董卓

「……えっ?」

向田

「だから助けに行くんだって。今、城はもぬけの空だしね」貂蝉が白装束をシメてくれたおかげで、奴らは全員城から撤退している。肝心の董卓もこっちに居るから、両親を連れ出したとは考えにくい。なら城のどっかに居るかも。

 

 ……そして、思った通り董卓の両親は城内に閉じ込められていた。2人を助け出してさっきの場所へ戻ってきた俺達。そこにはさっきの話に聞いた盗賊3人組も一緒に居た。一家は互いの無事を喜び、泣きながら抱き合う。その傍らで賈駆も滝のように涙を流す。チキショー、俺までもらい泣きしそうだ。

 

~その頃の孫策軍~

 

 さて、向田一行と蜀の現代人トリオが白装束と闘っている間、城門前で待機していた孫策軍本隊。

雪蓮

「……剛、遅いわね」

冥琳

「興覇。一隊を率いて城内に潜入しろ。向田を探してきてくれ」

思春

「御意」冥琳の指示を受け、部下を連れて城内に入っていく思春。

雪蓮

「どうなってるのかしら……?」

冥琳

「分からん。分からんから探しに行かせた……今は憶測を慎もう」

雪蓮

「ん。じゃあ思春が帰ってくるまで、情報の整理でもしとこっか……穏。後方はどうなってる?」

「私達の後方三里のところに曹操さんが。その更に二里後方に劉備さんの部隊が居ますね。袁紹さんは損害が大きかった為、追撃は不可能と判断し、最後方で態勢を整えています」

雪蓮

「ま、虎牢関の初撃を一人で受け止めた形になっちゃったからね……被害が大きいのも当然か」

「後は袁術さんですが、こちらの方も袁紹さんと似たり寄ったりですね。部隊がズタズタになったらしく、今は張勲ちゃんが必死に部隊を纏めてる……っていうのが現状です」

雪蓮

「公孫賛は?」

「公孫賛さんは劉備さんと行動を共にしていますね……仲良しさんなんですかねぇ?」

冥琳

「分からんが、まぁ大勢に影響はないだろう。放っておこう」

「了解です。とりあえず私達の周囲の状況はそんなかんじですねぇ~」

雪蓮

「ありがと……さて。これからどう動こうか」

冥琳

「興覇が帰ってきてから考えよう」

 

~向田視点に戻る~

 

思春

「……何をしている?」うわっ!ビックリしたぁーっ!感動のシーンは、突然現れた思春にぶち壊された。

向田

「し、思春!?どうしたの!?」

思春

「……どうもこうも、お前の帰りが遅いので雪蓮様が心配なさってたのでな。様子を見てこいと仰せつかったのだが?」そう言ってチラッと董卓達に横目をやる思春。俺は適当に話をでっち上げて誤魔化す。

向田

「董卓に捕まってた一家だよ。怪しげな連中から逃げてたみたいでさ」

思春

「そうか……それで?」

向田

「他に宛もなさそうだからさ。あっちの大陸に連れて行こうと思う」

思春

「分かった。雪蓮様には私から伝えておく。お前は用が済み次第、戻ってこい。ここで合流するぞ」

向田

「……了解」それじゃ《ど○でも○ア》をひろげましょうかね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
バックパック。尚、現代中国語辞典から抜粋した為、この時代では呼び名が違うかもしれません




原作との違い
・月と詠は呂布に正体をバラされる→向田の鑑定スキルで正体がバレる。
・白装束の目的は一刀を消す事→目的は未だ不明。
・雪蓮が一部、一刀のセリフを喋っている
以下はオリエピ
・両親との再会
・元・黄巾党と一緒に行動
・向田と思春の会話

本当はフェルが詠を怒鳴りつけるシーンを入れたかったのですが、上手くいかなかった……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。