袁術
「待たせたな、孫家よ!この裏切り者がぁ~~!妾と七乃でキツーく灸を据えてやるからの。泣いても許してやらんのじゃ!」
張勲
「お嬢様、流っ石ー!ヒューヒューですっ♪」
袁術
「はっはっはー!そうじゃろ、そうじゃろ。決まったじゃろー♪」
蓮華
「うぅっ、こんな奴らに……(悔)」
祭
「権殿!この屈辱も今、この時で終わりじゃ!行くぞっ。はああぁぁーっ!」
先鋒を切った祭さんの部隊が、袁術軍の一般兵を蹴散らしていく。それだけなら、こっちが有利に聞こえるがやはり問題は白装束だ。祭さん率いる黄蓋隊が弓を引いて、1度に数人単位で討ち果たすが、何せ相手はいくらでも涌いて出てくるのでキリがない。
蓮華
「戦況は不利ね……」
思春
「蓮華様っ!」白装束の兵士、数人が一斉に蓮華に襲いかかってきた。蓮華を守ろうとクナイを振るう思春も、別の白装束に邪魔される。
穏
「あわわ、こっちにまで白装束がぁーっ!」穏も白装束に囲まれる。これは絶望的だ。
……何て言うと思った?生憎と、こっちにはフェルとスイとドラちゃんが居るんだよ!
フェル
『この程度で我が臆すると思ったか!』咆哮だけでビビる白装束を文字通り蹴散らすフェル。
ドラちゃん
『お前ら、やり方がワンパターンなんだよ!』疑似ドラゴンブレスを浴びせるドラちゃん。
スイ
『悪いヤツらはメッ!なんだからね~』スイの酸弾を喰らい、次々と戦闘不能になる白装束。
思春
「……やはり強いな」
穏
「これなら勝てますよぉ♪」喜ぶ穏だが、それも束の間の事だった。いつの間にか1人の男が俺達の目の前に姿を現した。他の白装束と違って、顔をスッポリ覆う頭巾は被らず、メガネはかけているがその素顔は曝け出している。
向田
(こいつ……貂蝉とは別の意味でヤバい!)そう感じた俺はフェルに乗ったまま、蓮華を引っ張り上げて前線から退かせようとしたが、当の蓮華がこれを拒絶した。
向田
「逃げるぞ蓮華!そいつはマジでヤバい!」
蓮華
「イヤ、私はこの男に聞きたい事がある」何言ってんだよ蓮華!?
蓮華
「貴様が白装束の大将か?」
??
「如何にも」
蓮華
「で、貴様は何者だ!?」
于吉
「私は于吉。我らが悲願を叶える為、貴女達には死んで貰います」
蓮華
「フフッ、簡単に言ってくれるな……」蓮華は剣を抜いて、于吉に翳す。
蓮華
「我が命を欲するなら実力でしてみせろ!」
于吉
「……後悔しますよ。尤も貴女の武力では、後悔する間もなく死にますがね」
思春
「れ、蓮華様!相手は素性の知れぬ者!ここは私に委せて蓮華様は後退をっ!」
蓮華
「後退はせん!私は江東の虎の娘の次女!名乗りを上げた敵に背を向ける事などせん!」立派な考え方だけど、そんなプライドの為に、命を失ったら何にもならないからね?
于吉
「誰が来たとて同じですがね。『防』」于吉と名乗った男が何やら呪文を唱える。するとそいつは球状の光に包まれた。ニヤリと人を小馬鹿にしたような、嫌みったらしい笑みを蓮華に向ける。
蓮華
「はあぁぁぁぁぁーっ!」于吉に剣を振るう蓮華。だけど光球は、鋼鉄かミスリルで出来たバリアーのように、カキーンと音を立てて剣を跳ね返す。
于吉
「ムダですよ。ではそろそろ死んでいただきましょう」悔しさに顔を歪める蓮華に、下卑た笑みを見せたまま、于吉は光球ごと空へ舞い上がる。その時、俺の脳裏に奇妙な発想が浮かんできた。
向田
「なあフェル。あの光球ごと于吉を攻撃出来ないかな?」
フェル
『ん?どういう事だ?』
向田
「あの光球に質量があれば、揺らす事が出来る。それなら中の于吉にダメージを与えられるかもしれないだろ?」
フェル
『ホウ……面白いアイディアだな。やるだけの価値はありそうだ。スイよ』
スイ
『なぁに。フェルおじちゃん?』
フェル
『あの光の球を落としてみよ。そして我とボール遊びをしようではないか』
スイ
『ボール遊び~?うん、やろう♪』スイは光球に触手を伸ばして、叩き落とす。俺の予想通り、光球は于吉ごと地面に転がった。
スイ
『え~い!』落ちた光球を触手で弾いて、フェルへパスするスイ。
フェル
『むぅっ!』スイの投げた光球を前足で受けとめるフェル。そして再びスイにパスする。
ドラちゃん
『オイオイ。2人だけで遊ぶなよ。俺も交ぜろ』
祭
「何じゃ?面白そうな事をしておるのう♪」祭さんとドラちゃんまでこのボール遊びに参加し出した。つーか祭さん、部隊放っぽり出して何してんの!?
フェル
『パスだっ!』
祭
「'ぱす'とは球を味方へ送る事じゃな。では、儂も……ぱすじゃ!」
ドラちゃん
『ヘイパース!』
スイ
『ヘイパス~』ゴロンゴロン転がる光球の中で、バランスを崩し、無様にコケ続ける于吉。その内に頭を抱えてフラフラになる。あ、こりゃ脳震盪起こしたな。
于吉
「何なんですか!こいつらは!」コケながらも、俺を目に捉えると今度は自身が顔を歪ませる。
于吉
「貴様はデミウルゴスのっ……!?まさか呉についていたとは!では董卓を逃がしたのも……」やっぱり。月を処刑寸前まで追い詰めたのもこいつらだったのか。それを知ると俺
于吉
「覚えていなさいっ!」ボロボロの状態で、命からがらトリオから離れると、空気に溶けるようにその場を去っていった于吉。それと同時に白装束の兵達も、只の土くれに変わり、一陣の風に吹かれて散っていった。
亞莎
「蓮華様!敵軍が総崩れとなっております!今こそ突入の好機かと!」
蓮華
「お姉様っ!」
雪蓮
「分かってる……行ってくるわ、冥琳。明命もついてきて」
明命
「はっ!」
冥琳
「仕上げを頼む……向田!従魔を一体、雪蓮達の護衛に」
向田
「分かった。スイ、お願い」
スイ
『うん良いよ~』
~視点なし~
闘いに敗れ、寿春城内を逃げ続ける袁術と張勲。途中で呉の兵士に見つかり、何とかこれを撃退するが……
張勲
「はぁ、はぁ、はぁ……こんな所にまで孫策さんの兵が入ってきてる……」
袁術
「ううー……七乃~、怖いのじゃ~……」
張勲
「大丈夫ですよ美羽様。七乃がついてますからね」
袁術
「ひっく……早く逃げるのじゃ~……」
張勲
「はい。お城を突っ切って、裏門から逃げちゃいますから、もうちょっと頑張って下さいね」
袁術
「……(コクッ)」
こちらは袁術を探して、城を見回る雪蓮。
雪蓮
「……さて。袁術ちゃんはどこに居るかな?」
明命
「皆、周辺を探して下さい!」
兵士(モブ)
「応っ!」
スイ
『おバカさんどこ~?』
雪蓮
「………」ふと、何かの勘が働いた雪蓮がみんなとは別の方向へ進んでいく。
明命
「あ……雪蓮様、どちらへ?」
雪蓮
「こっちからね……匂いがするのよ」
スイ
『………』スイはこの時、いつだったか向田が呟いていた言葉を思い出していた。
~スイの回想~
向田
「……ふぅ。これだけの料理を作るのは、やっぱり大変だな」
ドラちゃん
『なんだよ?お前、こっちにきてからやけにボヤくじゃねえか』
向田
「そりゃ君らの分だけじゃないからね……別に嫌な訳じゃないけどさ」
フェル
『そんな事はどうでも良い。早くメシにしろ』
向田
「ハイハイ。分かってるって」
スイ
『あるじ~、困ってるのぉ?』
向田
「困ってるってほどでもないけどね。今は兵士さん達が交代で料理の手伝いをしてくれているけど、出来れば専属のアシスタントさんが欲しいかな、と思ってさ」
スイ
『ふぅ~ん……』
~スイの回想終わり~
一方の袁術と張勲は何とか城を抜け出したものの、雪蓮達に気づいてか、ヒーコラと息を切らせてひたすらに逃げ回っていた。
張勲
「はぁ、はぁ、はぁ……美羽様大丈夫ですかぁ?」
袁術
「ひぃ、ひぃ、ふぅ……わ、妾はもう疲れたのじゃ~……七乃、おぶってたも」
張勲
「さ、さっすがにそれはムリですよぉ。私も体力の限界がジリジリ迫ってきてますし」
袁術
「うう~……みじめなのじゃぁ……」
張勲
「戦に負けちゃいましたからねぇ……」
袁術
「うー、七乃七乃!蜂蜜水が飲みたい!妾は蜂蜜水が飲みたいのじゃ!」
張勲
「もぉー。わがまま言ってる間に足を動かして下さいよぉ」
袁術
「ヤじゃヤじゃ!妾はもう動けないのじゃ!」
張勲
「そんな事言ってると孫策さんがやってきますよ。悪い子はいねがーって」
袁術
「(怯)それは嫌なのじゃ……でも蜂蜜水はもっと飲みたいのじゃー!」
??
「なら好きなだけ飲ませてあげようか?」聞き覚えのある、そして出来る事なら聞きたくなかった声がする……恐る恐る、声のする方へ振り向く2人。
張勲
「……っ!?」
雪蓮
「ただし……あの世でだけどね」まさに鬼の形相で、雪蓮の姿があった。
張勲
「きゃーっ!でたーっ!」
袁術
「きゃーっ!でたのじゃーっ!」まるでお化けでも見たかのように驚く2人。
雪蓮
「失礼ね。人をバケモノみたいに言って」とはいえ、今の袁術と張勲にすれば、バケモノの方がまだマシであっただろう。
袁術
「な、ななな何の用じゃ孫策!妾はお前になど用はないのじゃ!」
張勲
「そうそう!そうですよ!用はないんで、私達は先に行かせてもらいますね。孫策さんはどうぞごゆっくり~♪」何とかその場を誤魔化して立ち去ろうとしたが、雪蓮に阻まれる。
雪蓮
「つれない事言うわねぇ……でも残念。私にはとっても大切な用があるの」
袁術
「ほ、ほう何じゃ?用があるならさっさと言って、さっさとどっかに行けば良いのじゃ(怯)」
張勲
「そうですよ、こう見えても私も美羽様も、とーっても忙しい身なんですから(怯)」震えながらも惚けようとする2人だったが……
雪蓮
「ふーん……ならさっさと用事を済ませてしまいましょうか」シャキンッ!。雪蓮は腰の鞘から剣を抜いた。
袁術
「な、な、なぜ剣を抜くのじゃ!」
雪蓮
「え?だって剣がないと貴女を殺す事、出来ないでしょ?」雪蓮は、さも当たり前のように言ってのける。
袁術
「ひぃーっ!妾を殺すと言うのか!?」
雪蓮
「当然……今まで貴女にコキ使われてきたんだから。意趣返しするぐらい良いじゃない」物騒なセリフを悪びれる事もなく、淡々と述べる雪蓮。
袁術
「な、七乃!七乃七乃!妾を助けるのじゃ!」泣きながら青い顔で張勲にすがる袁術だが、当の張勲も頼りにならなかった。
張勲
「ムリ!」
袁術
「な、なんじゃとぉ!七乃は妾の
張勲
「だって絶っ~~~~っ対孫策さんには敵いませんもん!」
袁術
「それでも妾を守るのが七乃の仕事じゃろ!」
張勲
「守ってますよ!後ろから見守ってます!」
袁術
「何なのじゃそれはぁぁ~っ!」
雪蓮
「……はいはい。漫才はそこら辺でお終いよ……ついでに袁術ちゃんの命もそろそろお終いにしましょうね」痺れを切らした雪蓮は手にした剣を、2人に翳す。恐怖でヘタれ込む袁術と張勲。
袁術
「あぅあぅあぅあぅ~~~~……」
張勲
「うううー、美羽様ぁ~~~~……」
雪蓮
「あらら、泣いちゃった」
袁術
「やだやだやだ。死にたくないのじゃ~!」
張勲
「私もですぅぅ~~~~!」
雪蓮
「残念……そろそろ死ぬ時間よ。二人共覚悟は良いかしら?」袁術、張勲。まさに2人の命は風前の灯だった。が、意外な救世主が現れる。
原作との違い
・于吉との戦闘
・雪蓮は結局、袁術達を見逃す→この後、あり得ない展開が起きる。
・次回に限り、展開を予測する感想やメッセージはご遠慮頂ければ幸いです。