とんでもスキルで真・恋姫無双   作:越後屋大輔

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雪蓮を生かすと、こんなにも書きづらいのか……


第三十六席蓮華、叛乱軍を鎮圧するのこと

「権殿……」

蓮華

「――――」

「権殿……」

蓮華

「――――」

「権殿っ!」

蓮華

「えっ!?」

「えっ、ではありませんぞ。先ほどからお呼びしておるのに、ぼんやりとして……」

蓮華

「あ、す……すまない」

雪蓮

「構わないけど……蓮華。少し緊張しすぎよ」

「これから行うは、たかが内乱の鎮圧……もう少し鷹揚に構えなされ」

蓮華

「う、うむ……」

冥琳

「敵の本拠地まであと四里ほど……そろそろ全軍に戦闘態勢を取らせた方がよろしいかと」

蓮華

「そ、そうだな……頼む」

冥琳

「御意」雪蓮、冥琳、祭さんはその場を去った。

 今回の叛乱では総大将となって軍の指揮を執るようにと、雪蓮から命じられた蓮華。反董卓連合の時も、蓮華は呉の大将として闘ったが、あれは多くの諸侯の一軍に過ぎなかったからな。本格的に軍を背負うのは今回が初、といっても過言じゃない。いつになく鯱張っている蓮華の緊張を、どうにか解そうとする俺。とはいえ蓮華の性格じゃ、変に気を遣った言葉を掛けても素直に受け止めないだろう。それなら俺から弱音を吐くのもアリかな?

向田

「……なんか緊張してきたなぁ」

蓮華

「つ、剛もか?実は私もなんだ……」

向田

「総大将として初めての出陣だもんな……緊張して当たり前だと思う」

蓮華

「当たり前……なのか?」

向田

「少なくとも俺はそう思うよ?」

蓮華

「そ、そうか……剛もそう思うか」

向田

「だけどまぁ……その緊張にも慣れていかないといけないのかも」

蓮華

「そうだな……はぁ……」

向田

「どうした?」

蓮華

「こんな事で……私は姉様のように上手くやれるのだろうか……」

向田

「うーん……それはちょっと違うと思う」

蓮華

「違う?」

向田

「そう……雪蓮は雪蓮。蓮華は蓮華。雪蓮のやり方を真似たって、蓮華は雪蓮じゃないんだから、上手く出来るハズないって思うんだ」

蓮華

「……それは私が姉様より無能だと。そう言いたいのか?」

向田

「そうじゃない。その人にはその人に合ったやり方があるハズって事だよ。そもそも自分の真似をしろなんて、雪蓮は言ってないだろ?それなら雪蓮自身が総大将をやれば良いわけだし」

蓮華

「そう……なのか?」

向田

「そう改まって聞かれると、自信満々にウンとは言えないけど」

蓮華

「……ふふっ」

向田

「な、なんでそこで笑うんだよ?」なんか釈然としないが、蓮華の緊張も解れたみたいだし良しとしよう。

蓮華

「それより……剛の率いる後詰めの部隊、準備は整ってるの?」

向田

「ああ。幸い、副官さんが優秀だからな。俺が指示を出すのはフェル達だけ。楽なのは良い事だ」

蓮華

「何を言ってるんだか……剛の部隊も戦力の一つに数えているんだから、しっかりと頼むわよ」

向田

「了解」すっかり元気を取り戻した蓮華に満足した俺は、自分の部隊を率いるべく、後方へと下がった。

 

~視点なし~

 

蓮華

「ありがと……剛……」向田が後方へ下がり、姿が見えなくなってから聞こえないように呟く蓮華。

雪蓮

「蓮華。どうしたの……?」

蓮華

「姉様……いえ、何でもありません」

雪蓮

「ふふっ……剛の事を考えてるんでしょ?」

蓮華

「だ、誰があんな奴の事を考えてるものですか」

雪蓮

「じゃ、考えてないの?」

蓮華

「……当然です」

雪蓮

「……ならそういう事にしておくわ。でもね……人はみんな、本音と建前の狭間で生きてるモノ。真面目なのも良いけど、少しぐらいは自分に甘くないと、息が詰まっちゃうでしょ?」

蓮華

「何を仰りたいのですか?」

雪蓮

「公と私。その二つを上手く使い分けろ、って事よ。さっきのは現国王として次期国王へ言った公の言葉。私については……私がとやかく言う事もないんじゃない?」

蓮華

「……??ですから何を?何が言いたいのですか?」

雪蓮

「……あらあら。ここまで言って分からないなんて。真面目の上に下品な言葉がつくわね」

蓮華

「何を回りくどく言っているのですか?……意味が分からないのですが?」

雪蓮

「うーん……なら自分で考えてご覧なさい……もっとも剛なら、すぐに意味を理解するでしょうけど」

蓮華

「剛が?ふむ……ならばあとで聞いておきましょう」

雪蓮

「ふふっ……好きになさい♪」

蓮華

「はい。それより姉様。そろそろ敵軍との接触もあるでしょう。全軍を編成します」

雪蓮

「ええ」雪蓮は別動隊の元へ下がり、入れ替わりに思春が報告にくる。

思春

「蓮華様!叛乱軍は籠城を選択したようです!城門を固く閉ざし、城壁に弓兵を並べております!」

蓮華

「……城に籠もっただけで、我らの怒りを防ぐ事が出来ると考えるか。愚かな奴らだ……祭!亞莎と共に、先鋒を率いて正門を突破せよ!」

祭・亞莎

「「御意!」」

蓮華

「思春、明命はそれぞれ東門と西門に向かい、城内の兵を混乱せしめよ!」

思春・明命

「「御意!」」

蓮華

「小蓮と穏、剛は祭の後方より援護……城壁上の敵を一掃してしまえ」

小蓮・穏

「「はーい♪」」

向田

「了解。みんなも頼むよ」

ドラちゃん

『オウッ!……うん?フェル、何か変じゃねえか?』

フェル

『どうした?……うむ、奴ら魔物を使役しとるぞ』

蓮華

「何だとっ!?」

向田

「……マジっすか?」

スイ

『い~っぱい居るねぇ』

蓮華

「クッ……作戦を変えるか!?」

向田

「大丈夫じゃない?」

蓮華

「……しかしっ!」

ドラちゃん

『魔物っつっても大したのは居ねーよ。(おお)ロ鳥に( ちょう )ジャイアントホッグ、鉄鼠(てっそ)ぐらいだぜ』空を見上げると翼の幅1メートル程の鳥が約20羽、地面には体高5メートルはありそうな猪が数頭、大きさこそ普通だが、鉄をも噛み砕く前歯を持った鼠が……ザッとみて千匹、城の門前に控えている。

フェル

『臆するな。我らに任せておけ』

スイ

『ぜ~んぶスイ達がやっつけるよぉ♪』

向田

「じゃドラちゃんが上空で大ホロ鳥を、フェルはジャイアントホッグの始末をお願い。スイは数が多い鉄鼠を倒して」

フェル

『うむ、よかろう。あの猪は旨いからな』

ドラちゃん

『大ホロ鳥も結構イケるぜ♪スイだけ食えねえ奴らに当たったな(笑)』

スイ

『むぅ~』

向田

『スイ。あとでお菓子を買ってあげるから、今は我慢して鉄鼠を倒してくれよ』

スイ

『♪分かった~』

蓮華

「魔物共は剛達に任せて大丈夫そうだな……冥琳は後詰めとして後方待機……姉様を守ってやってくれ」

冥琳

「御意」

雪蓮

「え~?私の出番は~?」

蓮華

「姉様は王として、後方でドッシリ構えて居て下さい……ではこれより全軍を展開する!相手は身の程知らずの謀叛人共だ……一気呵成に制圧するぞ!」

全員(フェル、スイ、ドラちゃん除く)

「「「「御意!」」」」

蓮華

「聞け!呉の勇者達よ!今、我らは全ての心を一つにし、呉を!呉の民を守らなければならない時にある!しかし、今、城に籠もって我らに叛旗を翻した者共は、自らの富貴(ふうき)のみを大事とし、状況も見ずに呉の国を危機に貶めている!この大陸の混沌とした情勢の中、国と民を慮らず、自らの欲望の為だけに叛旗を翻した人間を、私は許しはしない!呉の勇者達よ!猛き心を持つ者達よ!今こそ、私に力を!そしてその命を、呉の未来の為に捧げてくれ!」

兵士達(モブ)

「「「「応っ!」」」」

蓮華

「これより叛乱軍を鎮圧する!皆の者!我が旗に続けぇぇぇぇ――――っ!」

兵士達(モブ)

「「「「「うぉぉぉぉぉぉーっ!」」」」」

 

~向田視点~

 

 ……叛乱軍と魔物の連合はそれほどの脅威ではなく、思っていたよりずっと楽に制圧出来た。勿論、フェル達ありきだけど。つーか叛乱軍の奴ら、これだけの魔物をどうやって集めたんだろう?勿論、ウチのトリオが負けるハズないけどさ……

向田

「これで魔物は全滅かな……?」

フェル

『我らは退くぞ。手柄なんぞ興味はない』そうだな……あとは祭さん達に任せよう。

ドラちゃん

「それよか大ホロ鳥とジャイアントホッグを回収しようぜ。あとで食うんだからさ」言うと思ったよ……

スイ

「猪さんっ♪鳥さんっ♪ご馳走いっぱいだね~」スイ。その前に鉄鼠の死体を片付けよう……一応こいつらの遺体も回収したよ。後になってカレーリナの冒険者ギルドで前歯が良い武器になると、結構な高値で売れたのでホクホクだ。

 

「策殿ー!城門を突破したぞ!」

雪蓮

「よし!全軍突入せよ!」

亞莎

「はっ!祭様、よろしくお願いします!」

「任せろ!黄蓋隊、城内にカチ込むぞー!」

兵士(モブ)

「応っ!」

亞莎

「思春さんと明命に伝令!城門を突破後は、城内中央を目指すように!いち早く首謀者の首を取って下さいと伝えて!」

兵士(モブ)

「はっ!」

亞莎

「祭様に引き続き、呂蒙隊も突入する!みなさん、いきますよ!」

兵士(モブ)

「応っ!」亞莎も日々成長しているようだな。嬉しいような、寂しいような……

「おおー。亞莎ちゃん、中々堂に入った指揮ぶりですねー」

冥琳

「まだまだだな……亞莎には、これからの呉を担う人材になってもらわなければならん……穏もそのつもりでいてくれ」感心する穏に対し、冥琳は手厳しい。

「了解してますよ♪」ほんわか笑顔を浮かべ、穏は大きく頷いた。相変わらずポヤンとしているようで、実はちゃんと考えてるんだよな。最近になって気づいてきた。

向田

「これで内乱は終結……になるのかな?」

蓮華

「……分からないわ。内乱の初期状態で迅速に対応は出来たつもりだけど」

冥琳

「心配せずとも大丈夫です。内乱はこれで終結に向かうでしょう」

蓮華

「そうね……ご苦労様、冥琳」

冥琳

「私は何もしておりません」

雪蓮

「今回の闘いの功は全て蓮華に帰すんじゃない?……良い号令だったわ」

蓮華

「おだてないで下さい……あんな号令では、姉様が率いていた時の兵の強さが万分の一も出ていません」

「そんな事ないですよ♪立派で格好いい号令でした♪」

冥琳

「穏の言う通り……威厳とは自然に出てくるもの。焦らず、蓮華様なりにやれば良いのですよ」

蓮華

「私なりに、か……それは剛にも言われたけど、王とはそういうモノなのですか?」

雪蓮

「そうね……ただ一つ。言える事は、王一人が優秀では臣下の立つ瀬がない、という事かしら?」

蓮華

「立つ瀬がない?」

冥琳

「ええ。王は勇敢でありながらも鷹揚に構え、臣下の活躍出来る余地を残しておいて下さい……そうすれば忠勤のし甲斐もある」

蓮華

「活躍の余地……そう。そうか……そういうところまで考えて、姉様はいつもずぼらだったのですね」イヤ蓮華、それは違う気が……

冥琳

「いえ、雪蓮にそこまで深い考えはないでしょうね」バッサリいくなぁ、冥琳。

向田

「まぁ……それが雪蓮のやり方っていえばそうとしか言えないし。乗り気じゃないとか、気が向かないとか」

冥琳

「面倒とか面白くないとかもあるな」

「お腹減ったからとか、眠いとかもありますね」

蓮華

「……そうなのですか?」蓮華に顔を向けられると、わざとらしく口笛を吹いて、目を合わさずに惚ける雪蓮。

蓮華

「(ピキピキッ!)ね・え・さ・まぁー!」

雪蓮

「キャー怖いぃ。剛助けてぇん♪」怒りのメーターが振り切った蓮華に、攻め立てられそうになった雪蓮が俺の背中に隠れようとした。

蓮華

「……全く。こんな姉様がどうやって皆をまとめる事が出来るたんだろ?」誰にともなく吐き捨てる蓮華だったけど、俺達の答えは決まっている。

向田

「勘、だろうなぁ」

冥琳

「勘だな」

「勘ですね」

蓮華

「勘……そんなもので?何だか私の中にあった姉様の像が音を立てて崩れていくわ……」眉間に皺を寄せ、思わず唸る蓮華の姿に、俺達は苦笑を漏らす。とにかく……内乱は終結し、呉の国内には平和が戻った。

 

 一方魏では荀彧が人目を避けて、ある人物と待ち合わせていた。

荀彧

「于吉。居るのでしょ?出てきなさいよ!」荀彧が呼び掛けると、于吉がいつの間にか姿を現していた。

于吉

「ふふっ……こんにちは、荀彧殿」

荀彧

「何が『こんにちは』よ!あんたの立てた孫策暗殺計画は大失敗だったじゃないの!おかげで華琳様の矜持はズタズタだし、どうしてくれるのよ!」

于吉

「……何を今更。魏の天下統一の為なら、手段を問わないと言ったのは貴女でしょう?それに……まさかの想定外の出来事に、私も戸惑っているんですよ」

荀彧

「とにかく!あんたの計画にまんまと乗った私もバカだったわ。こんな事がバレれば、私だって無事じゃすまないの。だから二度と私の目の前に現れないで!」

于吉

「……良いですね。その傲慢さ、身勝手な物言い。貴女こそ私の傀儡に相応しい……」

荀彧

「何よ!?私が従うのは華琳様だけよ!」

于吉

「その曹操も、貴女は裏切ってますよ」憤慨する荀彧に、于吉は薄気味悪い笑みを見せる。と、その一瞬後。

于吉

「縛」

荀彧

「うっ……」

于吉

「操」

荀彧

「――――」荀彧の目は虚ろになり、まるでただの人形のようになってしまった。

于吉

「さて、ちょうど良い傀儡も手に入れましたし。せいぜい利用させてもらいましょう……」そう呟いて于吉は荀彧共々、そこから消え失せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




原作との違い
・雪蓮のセリフの幾つかは本来、冥琳や一刀が喋っている。
・叛乱軍が魔物を使役している
・荀彧と于吉の会話。ここから無印をベースにした展開になるかも?

次回、タグに書き足した通り、全く違う作品とクロスオーバーさせる予定です。
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