とんでもスキルで真・恋姫無双   作:越後屋大輔

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前回、別作品とクロスさせるとしましたが、いざ書いてみたらまとまりがなくなったのでオリ展開にシフトチェンジしました。他作品要素は今後出てくる可能性(つーか既に出てるといえば出てますが)もあるのでタグはそのままです。


第三十七席呉、南征に向かうのこと

 呉の各地で起こった混乱を見事に鎮圧した蓮華。国内ではその手腕に対して、大いに声望が高まっていった。蓮華こそが時期国王に相応しい、イヤむしろ今からでも王位を継ぐべきじゃないかという声まで上がるほどだ。

 そんな状況を受け、雪蓮は本拠地を建業に移し、新たな呉としての出発を内外に示す。この決定を良しとした呉の人々は、王族である孫家を改めて讃える。こうして―――。呉国内はようやく安定する兆しを見せた。しかし、呉国内の安定と前後するように、大陸に割拠している英雄達の間で、熾烈な勢力争いが起き始める。前の内戦時、呉に干渉しないと確約していた曹操が、北方の雄、袁紹と激突したのだ。官渡という場所で行われた合戦は、強大な軍事力を擁する袁紹が有利かと思われた。しかし、袁紹がその大軍を有効に展開するよりも早く、曹操の精鋭部隊が袁紹軍を急襲。先鋒である顔良の部隊が撃破され、続いて文醜の部隊も鎧袖一触で( がいしゅういっしょく )蹴散らされてしまったらしい。更には曹操率いる本隊と袁紹の本隊が激突。精鋭で鳴る曹操軍は、兵数の差を物ともせずに袁紹本隊を撃破した。こうして、北方の趨勢は曹操の勝利によって一応の決着を見た。

 

 そんな北方の状況を待っていたかのように、呉の隣国に居る劉備と呂布が不穏な動きを見せ始める。両陣営共兵糧軍馬を求め、しきりと兵を徴募しているとの一報が、明命によってもたらされたのだ。一方で劉備についていた例の3人組が本拠地である下丕城を出奔したという噂も流れていた。俺はカレーリナにて、毎月恒例のお供えの日に神様ズへ捧げ物を渡してから、デミウルゴス様のお好きな日本酒と摘みを献上して事の真相を問い合わせてみた。

向田

「デミウルゴス様。ご存知でしょうが、俺と同時期に地球からこの大陸にやってきた3人組について聞きたいのですが……」

デミウルゴス

「ふむ。左慈……元管理者の1人を追って、この世界に流れ着いた連中じゃな。あやつらなら、お主が拠点としている2つとは、別の大陸にあるヨーク王国という所へ行っておる。何でも劉備軍の戦力UPを考えとるらしいのう」

向田

「ヨーク王国?そこに何があるんですか?」

デミウルゴス

「それはまだ儂からは何も言えん。恐らくじゃが、もしも呉と蜀が手を組む事があればハッキリするじゃろう」俺の知る三國志でも有名な、蜀呉同盟か……こちらでも起こり得るのかな?

向田

「つまり、俺にしてみれば雪……孫策次第だと?」う~ん……納得出来ない部分は多々あるけど、きっとデミウルゴス様も全て俺に話す訳にもいかないんだろう。

デミウルゴス

「まぁそんなところじゃ。今後も頑張りなさい」そしてデミウルゴス様との通信が途絶える。それにしても第3の大陸か。けど、どうやってそこまで行ったんだろう?俺みたいに転移魔法が使えるとは思えないし……そんな事をのんびり考える間もなく、再び闘いの足音が聞こえてくる―――。

 

 建業の城では、蓮華が中心となり今後の方針について会議が行われた。因みに雪蓮は、既に隠居した気でいるのか、王の職務を殆ど蓮華に丸投げ状態。今日はトリオと一緒に、山へ狩りに出掛けている。だから仕事しなさいって……

蓮華

「―――加速度的に混乱の様相を見せ始めたこの大陸で、私達呉はどう生き残っていけば良いのか、今日は皆の率直な意見を聞きたい」雪蓮と蓮華。こうして見ると、姉妹なのに性格は正反対だな。会った事ないしどんな人だったかは知らんけど、ひょっとしたら蓮華の性格は父親に似たのかもしれないな。

冥琳

「軍備も充実し、内政も進み、あとは各所へと討って出て呉の領土を広げていく……それが大方針ですが、さてどこに向けて進撃するのか……」

向田

「北、西、南。方向としてはこの3つか……」

「そうですね~。状況を考えると、西に向かいたいところではありますけど……ダメでしょうね~」

亞莎

「ええっ!?西はダメなんですか?」

「ダメですよ~?ふむ……じゃあここで亞莎ちゃんに問題でーす。どうして西に向かうのはダメなんでしょ~?」

亞莎

「え、ええと……西の方に強い敵が居るから?」

「ぶぅ~!確かに荊州を治めている劉表さんは強い方ですが、それ以前の問題ですね~」

冥琳

「西方に動こうとしても、北方に邪魔な者が居るのだよ……劉備と呂布、この二人をどうにかしなければならんのだ」

向田

「あ、そうか。西を攻めてる最中に北から呉に攻め入られたら……」

亞莎

「あ……建業への退路を断たれる事になる。そういう事ですね」

「正解で~す♪という訳で西方への進出は劉備さんと呂布さんをどうにかしてからにしましょうね」

亞莎

「はいっ!」

「ふむ……となれば、残るは南方しかないのぉ」

蓮華

「南方か……」

冥琳

「御意。南方は人口も多く、北方ほどではありませんが耕作に適した土地もあります」

「それに海辺に近い事もあり、交易品も充実していますからねぇ……洛陽周辺や、魔窟には敵いませんが、それでも海から生まれるお金は、呉の国庫を潤してくれると思いますよ」

蓮華

「……よし。ならば我らは南方を制圧し、来るべき強敵に備えよう」

「……曹操、ですな」

蓮華

「ああ。袁紹との闘いを勝利で終えた曹操は、傷が癒えた後は必ず南方へと目を向けるだろう……再び我らと激突するのも、そう遠くない未来だと私は考えている」

冥琳

「ふむ……中々に慧眼でいらっしゃる」

「その時の為に、南方を攻略して兵とお金と兵糧を充実させなければなりませんね~」

向田

「曹操と闘う為の布石、か……」

冥琳

「そういう事だな。では蓮華様。すぐにでも南征軍を編成致しましょう」

蓮華

「そうしよう……出陣する武将は、呂蒙、甘寧、周泰、陸遜」

亞莎

「御意!」

思春

「御意」

明命

「御意!」

「はーい!」

蓮華

「本隊は私と孫尚香が率いる……剛も従魔達と一緒に、私の側に居てくれ」

向田

「了解」そこまで話が進んだところへ雪蓮とうちのトリオが帰ってきた。

雪蓮

「たっだいま~♪」

蓮華

「ただいま、じゃありません。姉様!軍議を放ったらかして、何をなさっているんですか!?」うわぁ……蓮華ってば激おこだよ。

スイ

『何って……スイ達、狩りしてたんだよ~?』

ドラちゃん

『イヤあ、大猟大猟。これだけありゃ兵糧にも困らないと思うぜ』と、ドラちゃんが言うので、俺はマジックバッグの中身を取り出す。するとまぁ……獣やら魚やら、食材が出るわ出るわ、どんだけ獲ってきたんだよ……

フェル

『近い内にまた戦があろう?それも踏まえて多めに獲ってきたぞ』フェルさんや……多めにもほどがあるよ。

雪蓮

「剛の例の箱なら傷む事なく保管出来るでしょ?」なんつーか最近、雪蓮が俺よりトリオに溶け込んでいる気がするんだけど……

蓮華

「ひ、兵糧の確保を……そうとは知らず、とんだご無礼を!」イヤイヤ蓮華。雪蓮達はただ、暴れたかっただけだと思うぞ。

向田

「こっちは俺がやっておくよ。蓮華達は軍議を続けてくれ」で、雪蓮も加わり話し合いが続けられる。俺は美羽と七乃を呼び出して、食材の整理を手伝わせる。

「……権殿。出陣武将に儂の名がないのだが……儂は最早用済みか?」

雪蓮

「私も出陣の数に入ってないじゃない?」

蓮華

「何を仰います。姉様と祭だからこそ、私は建業の留守を任せられるのですよ?私達の帰る家をしっかりと守って欲しいの」

「むぅ~……前線で働く事が出来ないとは。齢と( よわい )は残酷なモノよ……」

雪蓮

「ちょっと、私はまだ若いわよ!」

「策殿。それはどういう意味ですかな……?」何気に酷な事言うなよ雪蓮……あと、祭さんはそれほど年寄りとも思えないけどなぁ……

冥琳

「拗ねるな、二人共。私も居残り組だ……共に蓮華様達の帰ってくる家を守ろうではないか」

雪蓮

「そりゃ守りはするけど……」

「つまらんのぉ」

蓮華

「そう言わずに……お願い」

「むぅ……了解した」

雪蓮

「ハァ、仕方ないわね」

蓮華

「思春と穏は部隊の編成を急ぎなさい。明命と亞莎は剛と兵站の準備を頼む」

思春

「はっ!」

「了解でありまーす」

明命

「はい!」

亞莎

「御意です!」指示を受けた4人がそれぞれの持ち場に向かう。

冥琳

「……蓮華様」

蓮華

「ん?何?」

冥琳

「南方攻略の際、穏の側に亞莎をお付け下さい……あの娘はものになります」

蓮華

「亞莎を?」

冥琳

「はい。まだまだ経験が少なく、また本人自身が緊張しやすい性格なので、本来の力を発揮出来てはいませんが……いずれ私の後継者となる人物かと」

蓮華

「後継者?それならば穏が居るだろう?」

冥琳

「あやつは優秀ですが、気が優しすぎますからな……ですから私と穏、二人で亞莎を鍛え上げ、呉の柱石たらしめたいのですよ」

蓮華

「ふむ……分かった。気に掛けておくわ」

冥琳

「よろしく頼みます」

蓮華

「ええ……冥琳も、建業の守りを頼む。私達が帰ってくる家はここなのだからな」

冥琳

「御意……ではご武運を」

蓮華

「ああ。行ってくる」蓮華も戦の支度に行き、冥琳の近くに居るのは俺だけになる。

冥琳

「……どうした向田。お前も出陣の準備をせんと、皆に遅れるぞ」俺は前から気になっていた事を冥琳に尋ねてみた。

向田

「……なぁ冥琳」

冥琳

「ん?」

向田

「最近……ちゃんと睡眠取ってるか?」

冥琳

「……どうしてそんな事を聞く」

向田

「顔が白いよ……それに疲れた顔してる」

冥琳

「ふむ……お前の目までは誤魔化せんか」

向田

「じゃあやっぱり……寝てない?」

冥琳

「ああ。色々と忙しくてな。眠る間がないんだ」

向田

「忙しいのは分かるけど……今、冥琳に倒れられる訳にはいかないんだから、体調管理はしっかりしてくれよ?」

冥琳

「分かっているさ……だが、寝る時間さえも惜しいのだよ、今はな。軍を強化せねばならん。収入を増やさなくてはならん。人材を育成せねばならん。雪蓮の願いの為にも、この国を強国にのし上げる………眠っている暇はないのさ」

向田

「何をそんなに……」言いかけて俺はハッとなる。ひょっとしたら何か病気かもしれない。この頃レベルアップしたせいか、人の体調とかが大まかにだけど分かるスキルが身に付いたんだよな。だったら雪蓮の時みたいにエリクサーを飲ませた方が良いか。でも本人が内緒にしたがっている以上、しばらく様子を見るか。幸か不幸か、スイ特製エリクサーは症状が酷くなっても充分効果があるしな。

向田

「……1人で全部抱え込むなよ?」

冥琳

「そんなつもりはないわ……ほら。向田も早く出陣準備に向かいなさい」

向田

「……分かった」何も気づいてない振りをして、出陣準備の作業に戻る俺。けど冥琳が小さく呟いた言葉は聞き逃さなかった。

冥琳

「眠るなら、全てが終わってから眠るわよ……」

 

~視点なし~

 

 それよりしばらく前のある日。竜馬、隼人、慶子の3人は鉄や銅等の材料を何とか掻き集め、元自衛官の知識を駆使して作り上げた潜水艦に乗って、やっとの思いでヨーク王国に辿り着いていた。時を同じくして、向田と別行動をするようになってからの冒険者仕事で得た空飛ぶ従魔を駆けた泉有希もその国に居た……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




さて、有希と元自衛官3名が出会う事があるのか?(予想とかはナシでお願いします)
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