とんでもスキルで真・恋姫無双   作:越後屋大輔

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メシ話は次回、戦闘が一区切りしたら再開させるつもりです。しばらくお待ち下さい。


第四席向田、役に立つのこと

 俺達がこの奇妙な三國志世界の大陸にやってきてから、そんなに日にちが経ってないある日。屋敷に駆け込んできた、たった1人の使者の登場によって、いよいよ戦乱の幕が開く事となる。

 かの有名な黄巾の乱。(俺は三國志に詳しくないけど、ネットスーパーでチェックしたら本や資料が売ってたから購入した)その動乱が大陸全土に荒れ狂い、世は阿鼻叫喚の時代になったと使者が告げる。それと共に、一通の書簡が孫策の手に渡った。それは荊州本城に居を構える袁術からの、孫策の召喚命令だった。使者の話によると、漢王朝より各地方の有力諸侯に対し、黄巾党討伐の命令が下っているらしい……という事は逆に考えれば。漢王朝には、黄巾党を制圧する力がないという事だ。

 

 で、冥琳は祭さんと穏をナゼか屋外に召集して、そこに俺も呼ばれた。従魔トリオは食事を終えて、すっかり私室と化した玉座の間でノンビリお昼寝中だ。

向田

「……軍議って呼ばれて来たんだけど。軍議に俺が出る必要ってあるの?」

冥琳

「お前を客扱いする道理もなければ、そんな余裕もない。それに初めに説明した契約の中に、知恵を貸すという条件が入っていただろう?」

向田

「それで軍議に?……ってか、軍を動かすとかってした事ないんだけど、そんな素人が入っちゃっても良いのかな?」

冥琳

「構わん。お前が気付いた事を言ってくれるだけでも、充分助かるさ」

向田

「……了解。邪魔しないように頑張るよ……」

「まぁあまり期待はしとりゃせんがの。ただ、天の御使いとして頼もしいところを見せりゃ、女も惚れるじゃろ?頑張れよ、若造」

向田

「そういう理由っ!?……まぁ良いけど」祭さんの言葉に肩を竦めて言葉を返しながら、

向田

「でも軍議って結構重要な会議だろ?どうしてこんな所でするんだ?」部屋で密談……というか、会議をするって言うのなら良く分かるけど。

冥琳

「ここが一番、他者の耳を警戒出来るからな」

向田

「どういう事?」

「ここなら盗み聞きをしている人が良く見えるんですよぉ~♪」相変わらず緊張感のない喋り方だ。けど、壁に耳あり障子に目あり。それを防ぐには、壁も障子もない所が良いって事か。

向田

「聞かれてマズい事があるって事?」

「儂らを取り巻く環境は、中々どうして。厳しいモノがあっての」

「私達の周辺には、常に袁術さんの目が光ってるんですよ」

冥琳

「密談をするような事があれば、逐一袁術に報告されるだろう。だが普段からここで軍議を行っていれば、いざ事を起こす時にでも、こそこそとせずに堂々と相談が出来る」

向田

「だから外で軍議をする、か……了解。どういう意図なのか理解出来た」理解出来たのは意図だけじゃなく、俺達を取り巻く環境って奴もだけど。

向田

「で、雪蓮は?」

冥琳

「袁術に呼ばれて荊州の本城に向かっている。用件は十中八九、黄巾党討伐の事だろう」

「今、この時の出頭命令ですからね。それ以外には考えられないかと」

「それを見越して、儂らは準備が出来次第、この館を出発し、策殿と合流を果たす」

向田

「合流して、すぐに黄巾党討伐に向かう?」

冥琳

「そういう事だ」じゃあフェル達を起こさないとな。

向田

「了解」説明ありがとうと付け加え、俺はみんなの考えを聞く為に一歩下がった。

冥琳

「状況の説明を終えたところで、発生した幾つかの問題について意見を聞かせて欲しい。問題は三点。兵糧の問題と軍資金の問題。そして最後に兵数の問題。まず最初に兵数の問題だが……」まぁこれは大丈夫だよね。敵兵が10万、100万居てもうちのトリオなら、瞬殺だ。しかしとりあえずは他の人の話を聞こう。発言はその後だ。

「敵の数は?」

「現在、荊州で暴れている黄巾党は、北と南の二部隊です。北が本隊。南が分隊……袁術さんなら確実に私達を北の本隊に当てるでしょうね」

「……とするならば、兵数は多いに越した事はないな。集められそうな人数はどうじゃ?」

冥琳

「多くて五千といったところでしょうね……多少無理をすれば一万はいけそうですが」

「どちらにしろ少ないのぉ……その数で黄巾党の本隊と当たるのは、勘弁願いたいところじゃが」

「まぁ……無理でしょうねぇ。袁術さんなら絶対に本隊を宛がってきますから」

「じゃろな……うーむ」

冥琳

「兵数差は策で何とかするしかないな。兵法としては邪道だが、ない袖は振れん」ここで俺は思った事を意見してみる。

冥琳

「百万でも敵にはならん……だと?」

向田

「ええ。フェルは膂力もさることながら、雷や風を操れるし、ドラちゃんは火を吹ける。スイも酸弾……」あっ、この大陸に酸ってあるのかな?

向田

「えーっと……人間の皮膚や金属も溶かす液体を矢のように飛ばせる。だからあいつらの力なら、黄巾党もあっという間に潰せるハズ」

冥琳

「……」

「……」

「……」俺の話を聞いてみんな唖然としてるよ。【開いた口が塞がらない】って事ホントにあるんだな。しょうがないから3人をしばらく放っておく。

「では必要最低限の数……という事で仮決定しましょう~。次は軍資金の問題ですが……」

「金の事は分からん。二人に任す」

冥琳

「任されましょう。現在、屋敷にある金子は多くない。武器や兵糧を揃える為にも、軍資金を集めないといけないが……」

「街の有力者に協力を要請する事は出来ますが、それでも多くの資金は集まらないでしょうね」確かに軍の運営に金は入り用になるよね。俺はアイテムボックスの中からあるモノを取り出す。このスキルは既に雪蓮に見られているから、今更誤魔化せないし、この人達になら見せても良いよね。

向田

「これって軍資金の足しにならないか?」

冥琳

「……これは!?」俺はアイテムボックスからあるモノを取り出して見せると、冥琳の目の色が変わる。それは小粒の宝石数個。以前入ったダンジョンでトリオが倒した魔物が落としていったドロップ品だ。あちらの商人ギルドや冒険者ギルドには大粒の宝石を売りに出した時、こういった小粒の分まで買取予算が回せなかったそうでずっとアイテムボックスに入れっぱなしになっていたんだけどね。

冥琳

「私は、宝石の類いには素人だがこれが相当な値打ち物なのは流石に分かるぞ」

「街の有力者もこれを売る事を引き替えにすれば、かなりの額を出してくれそうですねぇ」なるほど。いくら戦乱の世といえども、宝石やら財宝には一定の価値があるという訳か。

「何じゃ?貴様だけで、問題を二つも解決してしまうとはのぉ……」最後に兵糧の問題だけど、俺からすればこれが一番簡単に解決出来ると思う。

向田

「この前フェル達が狩ったミノ……じゃない……牛頭の肉が大量にあるから、それを解体して兵糧に回したらどうかな?」

冥琳

「……牛の肉か。あまり旨いとも思えんが、背に腹は代えられぬか」あれ?ここって牛肉食べないの?

「牛は農作に欠かせんじゃろ?年を取って使えんようになったら、潰して食う事もあるがの」あ~、言われてみれば確かに。

「牛頭は普通の牛じゃありませんし、剛さんが料理してくれたら美味しく頂けるかもしれませんねぇ~」

冥琳

「……貴様、意外にも策士だな。向田の案を採用しましょう」え?えぇ?俺の発言通っちゃったよ!まさかこんな展開になるとは……気が付くと冥琳がジッと俺を見つめている。

向田

「な、何だよ?ジッと見て」

冥琳

「いや……雪蓮の言う通り、案外な拾い物だったと思ってな」

向田

「俺が?」

冥琳

「そうだ。中々良い洞察力を持っている」

向田

「うはっ……そんな風に褒められた事、今までなかったなぁ」

冥琳

「……ふむ。どうしようかと悩んだが……向田。お前も出陣しろ」

向田

「……え!?あっ、ああ」別に言われるまでもなく、フェル達に出陣してもらうなら必然的に俺も戦場行きになるよ。どうせあいつら、闘ったその場でメシとか言いかねないし。つーか、絶対言うよ。

向田

「とはいえ……人間同士が闘う戦場になんて立った事ないんだけど」

冥琳

「ならば立て。人はそうして成長するモノだ。それとも怖いのか?」

向田

「……正直に言うと怖いよ。戦場って人が殺し合うところだろ?魔物と違って良心の呵責もあるし」

冥琳

「そうだ。だがな向田よ……お前が先ほど提示した案。その案が採用された今、お前は自分が示した策の責任を取らなくてはならない。勝つにしろ負けるにしろ……お前の策によって多数の人が死ぬ事になるのだからな」そうだよなぁ……こうしている間にも、今日もどこかの戦場で誰かが死んでいる訳だし。それはあっちの大陸や、元居た世界でも同じだけど、実際間近に感じる事はなかった。そんな当然の事を、俺は今まで忘れていた。いや、考えたくなくて無意識に目を逸らしていたのかもしれない。

冥琳

「自分の吐いた言葉には責任を持て」

向田

「俺が戦場に立てば、責任を取った事になる?」

冥琳

「ああ。お前が行動した事で起こった結果。その結果を真正面から受け止める……それが責任を取るという事だ」

向田

「……分かった。俺も出陣するよ」

冥琳

「……うむ。そう言ってくれると信じていたぞ」

向田

「色々と葛藤はあるけどね……それよりも俺、剣を取って闘うって事は出来ないよ?闘いたくないとかじゃなくて……真剣を人に向けた事がないんだ、俺。ましてや人を殺したり、傷つけたりした事もない……」 スイが作ってくれたミスリルソードで魔物を倒したりはしたけどね。

冥琳

「ああ。それで良い。軍師の仕事は刃で敵の喉を切り裂く事ではない。知略で敵の息の根を止めるのが仕事だ。それにお前は従魔達が守ってくれるのだろう?私もお前を守ってやる。だから安心しろ」

向田

「……頼りにしてるよ」女性に守ってやると言われて、そうとしか言い返せない自分が情けなくはある。だけど、そこで意地を張っても仕方ないってのも自分では良く分かっている。出来る事、出来ない事を見極める事こそ、今の俺に求められている事だと思うから──。

冥琳

「方針は決まった。黄蓋殿。すぐに出撃準備を」

「承った」

冥琳

「穏は輜重隊の準備をしておけ。二刻(約1時間)後には屋敷を出るぞ」

「はぁ~い♪」

冥琳

「向田は従魔達を連れて、私と共に各部隊の作業状況の確認だ……色々と仕込んでやるから覚悟しておけ」

向田

「……お手柔らかに」

冥琳

「ふっ、聞けん話だな……では皆、準備を頼む」冥琳の言葉と共に軍議が終了し、皆が皆、それぞれの役割を果たす為、屋敷のあちこちへと散っていった──。

 

 冥琳に散々しごかれてから、俺と従魔トリオは屋敷の使用人さんを連れて一旦【ど○でも○ア】でカレーリナに戻った。ここの冒険者ギルドで解体職員をしているヨハンさんにミノタウルスの解体をレクチャーしてもらう為だ。何とか解体をマスターした俺達は再び呉に戻り、冥琳達と合流する。合流地点は戦場で、そこには既に雪蓮が控えていた。

 

 




原作との違い
・軍議で一刀は袁術に兵と金と食料を捻出させるように提案→向田がフェル達を兵に、軍資金はドロップした宝石を売り、兵糧はミノタウルスにするのを提案。
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