原作でも度々見せていたシャオの流し目回(どんな回だ?)です(笑)。
~その頃の呂布と陳宮(視点なし)~
陳宮
「呂布殿ぉぉぉぉ~~」
呂布
「……??」
陳宮
「南方へ放っていた間諜が戻ってきましたぞ。孫権が南方へと出陣したようで。今こそ好機ですぞ!」その情報を自ら、呂布に知らせにきた陳宮。
呂布
「……攻める?」
陳宮
「はいです!」
呂布
「……分かった」
陳宮
「ならばすぐに出陣準備を致しますぞ!」
呂布
「……(コクッ)」
~向田視点~
さて。有希君にザッと事情を話して、こっちの大陸に来てもらって……みんなに紹介した訳だけど……
雪蓮
「この子が剛の言っていた勇者?」
冥琳
「……あまり強そうに見えんが」雪蓮と冥琳を始め、みんな怪訝そうに有希君を見ている。確かに、元は普通の高校生だしなぁ。
祭
「まぁここは一つ腕をみてやるかのぉ。有希とやら、得物は何とする?」祭さんは有希君を鍛えてやろうというのか。とはいえステータスを見る限りじゃ鍛えるどころか、祭さんですら全く敵わないと思うけど。
有希
「一応弓使いですが……」有希君がそう言うと祭さんは着いて参れと親指を立てて外へ向ける。どうやら弓兵達の練習場に連れていくらしい。
俺も一応、練習場まで一緒に行く。そこの壁際には的がほぼ均等に一定距離を保ちながら立っている。
祭
「あの的のどれか一つを狙ってみよ。いかに的の中央を射抜けるかでお主の技量を見極めてやろう」
有希
「……分かりました……プリウス!」
プリウス
『呼ばれて飛び出てジャジャジャーンっス!』有希君?君、プリウスに何教えてるの……?
当然だけど俺の心の突っ込みには気づかず、有希君はプリウスの背に乗る。的の列に平行して、後ろ足で走り出したプリウスだけど、これがとにかく速い!明らかにフェル以上のスピードが出ている。そのプリウスに乗ったままで有希君は弓を引き、次々に的のど真ん中を打ち落としていく。
祭
「騎乗した状態……それも馬を走らせながら弓を打つじゃと!?バカなっ……!儂は夢でも見とるのか……?」あ、そっか。流鏑馬って日本独自の文化だっけ。それと祭さん、プリウスは馬じゃありません……
蓮華
「何よ……祭以上の達人じゃない!」
思春
「……では、雇い入れますか?」雇うって……君らの言葉を借りりゃ、彼も天の御使いなんだけど。むしろこの世界に招かれた訳だから、俺よりそれに近い。ま、他の3人の事は天の御使いなんてこれっぽっちも思わないけどさ。とにかく俺の出番はないと、南征の支度を続ける為にその場を離れようとしたらシャオが何やら騒いでいた。またいつもの我が儘かな?と耳を傾けると誰かと喧嘩している。相手は……最近有希君の従魔になったというマジックエイプのジョージだな。
蓮華
「シャオ!……
小蓮
「ぶぅー。だってこの猴、シャオの事バカにするのよ!」膨れっ面で怒るシャオ。
向田
「おいおい。何があったんだよ……?」俺がわって入るとプリウスが詳細を説明してくれた。
祭さんは的を全て打ち落とした有希君に自ら敗けを認めて、その上で協力要請を頼んでいた。勿論、最終判断は雪蓮と冥琳に任せると付け加えて。そしてシャオは……どうやら有希君に一目惚れしてしまったらしい。そりゃ有希君はイケメンだし、元の世界でいえばJSぐらいのシャオが高校生男子を好きになるのは不思議でもないが。で、有希君に抱きつこうと突進するシャオの足下にバナナの皮を仕込んで転がしたり、体を刷り寄せてこようとしたら、間に毛虫を挟んだりとシャオの邪魔を続けた。その度にシャオが喚くのを、お腹を抱えて爆笑していたらとうとうブチキレられたって……事らしい。
プリウス
『あの子の猛アピールっ振りにご主人も困り果てていたっス。それで、ジョージが追っ払おうとして喧嘩になったっスよ』なるほど。有希君を困らせるシャオは、ジョージからしたら邪魔者でしかない、という事か。
小蓮
「剛からも何か言ってよ。シャオと結婚すべきだって」有希君を厭らしい流し目でチラチラ見ては、俺を味方に取り込もうとするシャオ。子供がそんな目をしちゃいけません!
まぁ、それから数日間すったもんだあったものの、何とか南方へとやってきた俺達。
蓮華
「亞莎。今回の南征、貴女が指揮をとりなさい」
亞莎
「ひやっ!?わ、私がですかっ!?」
蓮華
「ええ。穏を補佐につける……敵は大望なく、欲望に任せて割拠している弱小領主どもだ。緊張せず、好きにやれば良いわ」
亞莎
「は、はぁ……」
穏
「大丈夫ですよ、亞莎ちゃん。私が色々と手取り足取り教えてあげますから♪」
亞莎
「それは嬉しいのですが……でも、私に大軍の指揮なんて可能なんでしょうか……?」
蓮華
「亞莎。貴女の勇敢さは、呉の人間としてとても誇らしいと思う……でも、将ならば人を動かす術を心得ないといけない。いつまでも一騎駆けの武者、という訳にはいかないでしょう?だからこそ、この闘いで経験を積み、統率力を身につけなさい」統率力ねぇ……俺にゃ耳の痛い話だな。だってフェルもドラちゃんも我が強いもん。俺がどうこう言ってまとまる訳ないからね。
亞莎
「は、はい……」
蓮華
「思春、明命。そういう事だから、穏と共にしっかりと補佐してやってくれ」
思春
「御意」
明命
「はいっ!」思春は静かだが力強く、明命は元気に返事をして自分の持ち場に向かっていった。
蓮華
「……穏。これで良いのか?」
穏
「はい♪あの子はかなり優秀な生徒ちゃんになりそうですよ♪」
蓮華
「ふむ……」
穏
「蓮華様は納得いってないんですか?」
蓮華
「いや。冥琳と穏、二人が考えた事に否はないの。でも……あの子は本当に、知将周公謹の後継者となり得るのかしら……?」
穏
「なりますよ、きっと。私達がちゃーんと育ててみせますから、ご安心下さい♪」
蓮華
「えらく自信があるのね」
穏
「ありますよ♪あの子を初めて見た時、素晴らしい本と出会った時のように、ビビーッて痺れちゃいましたから♪」穏のその言葉を聞いて、サーッと血の気が引く俺、フェル、ドラちゃん。実は以前、俺は穏と屋敷の書庫の整理を手伝う事になり、フェルとドラちゃんはたまたまそこに居合わせてたんだけど……その件は機会があれば語るとしよう(脱力)。
蓮華
「痺れた、ね……まぁ良いわ。亞莎の教育は貴女に任せる……よろしくね」
穏
「お任せですぅ♪」その後、俺達が亞莎の冥福を祈ったのは言うまでもないだろう……
向田
「敵と遭遇したと思ったら、すぐに籠城か……まぁ、戦術的には正しいのかもなぁ」
蓮華
「そうね。南方の各領主を糾合した上での籠城だから……一筋縄ではいかないでしょう」
向田
「どう攻める?」
蓮華
「それは亞莎と穏次第……一度任せると言ったんだもの。口を出さず、あの二人のやり方に従うわ」
向田
「ふむ……で、肝心の2人は?」
蓮華
「前曲を率いて、城の状況を確認しているわ」と、いう訳で俺達も移動する事にした。
~視点なし~
敵城前に立つ穏と亞莎。穏はこの状況をいかに打破するべきか、亞莎への指導を始めていた。
穏
「はーい♪ではでは、亞莎ちゃん。現状の整理をしましょうか」
亞莎
はいっ!ええと……敵は南方各地を治める領主達です。領主達は、呉の侵攻に対抗する為に団結し、現在は前方の城に籠ってます」
穏
「はい、ご苦労様でした♪現状、敵さんはにわか同盟を組んで籠城。その兵数へ我が軍よりも多く、士気も割と高めです……さぁどうせ攻めましょう?」
亞莎
「ええとー……何か策を使って敵を分断する、とかはどうでしょうか?」
穏
「うーん……五十点ですねー」
亞莎
「ご、五十点ですか……」
穏
「うん。示した案に具体性がありませんから」
亞莎
「具体的、ですか」
穏
「そう。策という言葉だけで済ませちゃダメですよ。こういう場合は、策の根本となるものを考えないといけません」
亞莎
「策の根本……」
穏
「策をもって敵を分類する……じゃあ分断する為の策はどこに仕掛けます?」
亞莎
「ええと……どこでしょう?」
穏
「その答えを出す為に、もう一度現状を把握してみましょう~♪」
亞莎
「現状……ええと、敵は呉の侵攻を防ぐ為に同盟を結んだ領主達……」
穏
「そう。そこが重要なんです。つまり……呉の侵攻がなければ同盟を組むつもりはなかったんですよ。南方の領主さん達は。そこから導き出されるのは……この同盟の絆の脆弱さでしょうね」
亞莎
「脆弱なんでしょうか……?」
穏
「脆弱だよぉ。だって現状に対応する為だけに組まれた同盟だもの。じゃあ次。にわか同盟を組んでいる各領主さん達の心の内を推測してみましょ~♪」
亞莎
「推測……」
穏
「よーく考えてみましょうね……領主さん達は本心から信頼しあって同盟を組んでいるのかな?」
亞莎
「それは違うと思います。孫呉という巨大な敵に抵抗するには、自分一人の力ではムリだからでしょう」
穏
「そう。仕方なく同盟しているんだよね……じゃあその必要をなくしてあげるのはどうかな?」
亞莎
「必要をなくす、ですか?でもどうやって……」
穏
「利害が強く絡んでいる同盟の場合の定番は、敵の欲望をつついてあげる事……ツンツンって」
亞莎
「ええと……??」
穏
「つまり、孫呉の味方をすれば命は助けてあげるよーって。但し先着二名様までですよ~って伝えてあげれば良いの。そうすれば領主達の間に、疑心暗鬼が起こって敵軍自滅する事になるの……そうやって敵の心理の穴を見つけるのが、良い将の心得其の一だよ♪」
亞莎
「なるほどぉ~……そのような事、今まで考えた事もありませんでした」
穏
「敵に大損害を与え、味方の被害は最小限に。これが良い将になる為の心がけなの。しっかりと覚えておきましょうね♪」
亞莎
「はいっ♪」
穏
「とりあえず離間の策の基本は分かったでしょ?なら亞莎ちゃんならどんな風に策を進める?」
亞莎
「私、ですか?私なら……ええと」
穏
「何か思い付いた?」
亞莎
「はい。敵に降伏勧告の使者を送り、その時に告げる……というのはどうでしょうか?」
穏
「あ、良い線いってるねー……でも降伏勧告の使者だと、敵に無用の警戒心を持たせる事になるでしょう?だからこの場合は和平の使者と偽って近づくのが良いかも。それで、領主さん達を油断させておいて~。でも手紙には偉そうに降伏しろーっ、先着二名様なら罪には問わないよーって書いてあるの。そうすればもっと効果的になるでしょう?」
亞莎
「あ……なるほど……」
穏
「じゃあそれで行く?」
亞莎
「はい。しかし……うまく行くのでしょうか?」
穏
「うまく行きますよ~♪相手は孫呉の力を良く知っている田舎領主さん達だし。先着二名の内に入れば罪にならないって分かれば、我先に……って考えてもおかしくないですからね。もし上手くいかなかったとしても、それはそれで良いんです……兵を率いる者が疑心暗鬼に陥れば、それは兵隊さん達にも伝染しますからね」
亞莎
「なるほど……」
穏
「まぁ状況を確認した後、もう一つ二つ策を施せれば完璧なんだけど……亞莎ちゃんは何か思いつくかなぁ~?」
亞莎
「えっ?また問題ですか?」
穏
「そっ。今回の南征は、亞莎ちゃんを鍛える為の闘いだもの……私に頼ってばかりだと、何も成長できないでしょ?」
亞莎
「はぁ……うーん……むむむー……策……策……策……うう……どうしたら良いんでしょうか……?」
穏
「じゃあね、手がかりを一つあげる……初手の策が成功すれば、敵の領主さん達は誰が裏切るのか、裏切っているのか。それが分からずに動揺する事になるでしょう?」
亞莎
「はい」
穏
「ならその動揺を助長するような策を施してあげれば良いの」
亞莎
「……あ」
穏
「おっ。何か思いついたかな?」
亞莎
「はい。あの、敵の一人に的を絞って、いかにも内通を受けたと思わせるような行動をすれば……」
穏
「うんうん。それ、良いねー♪じゃあそれでいきましょうー♪」
亞莎
「え、でも……成功するんでしょうか?」
穏
「そうねー。今回の敵は地方の田舎領主さん達が殆どだし。上手く騙されてくれると思うよ。それに呉の仲間達はみーんなスッゴく有能な人達ばかりだから。少し動揺させるだけでも充分、有利になりますよ♪まぁでも、曹操さんや劉備ちゃんが相手だと、これぐらいの策は見破られちゃうと思うけどね……」
亞莎
「なるほど……敵を知り、己を知れば、百戦して危うからず、という事ですね」
穏
「そっ。雪蓮様、蓮華様のご先祖様の言葉だよ♪」
亞莎
「これが将としての闘い、という事ですか……」
穏
「一騎駆けの武者も、それはそれで凄い事だけど……でもこれからの闘いは、それだけでは務まらないでしょうね」
亞莎
「あ、でも……思春さんや明命は?」
穏
「あの子達はあれで良いの……でもそれは亞莎ちゃんより劣ってるからって事じゃないよ?人には人の役割がある。それだけの事なの」諭すように説明する穏。亞莎は
その言葉に小さく、だがしっかりと頷く。
亞莎
「はい」
穏
「亞莎ちゃんはこれから、蓮華様のお側で全軍を統括する立場になっていく……勿論冥琳様がいらっしゃる間は、その補佐という形になるけどね」
亞莎
「わ、私が公謹様の補佐……そんなの務まるんでしょうか……」
穏
「大丈夫。きっと務まるよ」
亞莎
「はいっ!私、頑張ります!」今度は笑顔で答える亞莎だが、これがマズかった。
穏
「あんっ、もう♪やっぱり可愛い♪」穏はたまらず、亞莎を抱き締める。
亞莎
「あ、あわわ、穏様、む、胸で、胸で顔がむぐぐー」亞莎は窒息寸前だった……そこに蓮華と向田が来た。
またしても半端な切り方で終わってしまった……毎度の事ながらすいません。
今回は前半がオリエピ、後半はほぼ原作通りになります。
次回は冥琳、祭、有希が後半メインかな?