とんでもスキルで真・恋姫無双   作:越後屋大輔

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このところ感想を頂けないせいなのか、ペースが落ち気味です。皆さんの愛ある感想をお待ちしています。勿論無理強いはしません。


第四十二席激突!呂布VS蓮華、のこと

~向田視点~

 

兵士(モブ)

「で、伝令ぃーっ!」南征が落ち着いた俺達に知らせが入る。

蓮華

「何だっ!」

兵士(モブ)

「り、り、りょ、呂布がっ!呂布が軍勢と共に国境を突破!破竹の勢いで建業へ迫っていると、周瑜様より伝令がっ!しかもそれを察した孫策様が飛び出して行かれたと!」

蓮華

「な、なにぃ!?」

兵士(モブ)

「籠城し、時を稼ぐとの事でしたが、建業を守る兵数は少なく、苦戦は必至!至急帰還されたし、との事です!」

蓮華

「分かった!亞莎!」

亞莎

「はっ!」

蓮華

「すぐに全軍撤退する!手配を急げ!」

亞莎

「御意!」

蓮華

「穏はこの地に留まり、人心を安定させておけ!」

「はーい!」

蓮華

「思春、明命はそれぞれの部隊を率いて先行!すぐに建業に向かえ!」

思春・明命

「「了解!」」

蓮華

「シャオ!」

小蓮

「はーい!」

蓮華

「シャオは私と共に本隊を率い、思春達の後を追う……頼りにしてるわよ」全員に適格な指示を出す蓮華。みんなはまるで蓮華の手足になったかのように、キビキビと指示通り動き出した。

小蓮

「まっかせてー♪」あれ、俺はどうすれば……?

蓮華

「剛は従魔達を先行させて、穏の代わりに私の傍で軍師として待機」

向田

「応っ!って、ええっ!?マジか!?」

蓮華

「当たり前でしょ。私達に人的余裕はないの……時間が惜しいんだからすぐに動いて!」

向田

「お、おうっ!」

蓮華

「では半刻後には陣を引き払う!全軍、そのつもりで動け!」

兵士達(モブ)

「「「「応っ!」」」」

 

 蓮華の出した命令に従い、迅速に行動する各部隊の長達。そんな中、俺1人だけが途方に暮れていた。

向田

「軍師として動けったって……どうすりゃ良いって言うんだよ……」そんな愚痴も漏れるけど、ぶつくさ言っている場合じゃない。今は一刻を争う事態なんだ。

向田

「ええと……俺達は今から建業に急行して、籠城している仲間達を助ける、と。急行するって事は、動ける奴らだけをズバーッと連れてくって事だろ?となると、問題になってくるのは……補給かっ!」急行出来たとしても、腹を空かせたまま闘う訳にはいかないな。

向田

「……という事は、兵糧の確保を最優先に考えた方が良いな……よし!」俺はネットスーパーを開き、食品を購入した。今回は食材じゃなくて出来合いのおにぎりや菓子パンを買った。これで後は建業に向かえば当面の目的は果たせる。俺はこの事を蓮華に伝える。

蓮華

「あ……兵糧にまでは気が回らなかったわ……」

向田

「うん。俺も危うく忘れかけてた」兵士さん達はうちのトリオと違って、メシメシって煩くないからね。

蓮華

「どこか手頃な場所で食事を摂りましょう。それから建業に向かっても時間に余裕はあるわ」

フェル

『我が帰り道に開けた場所があるのを確認している。そこでメシにすれば良かろう』

 

~有希視点~

 

 あれから僕はプリウスと一緒にこの近辺の上空を飛び回り、ようやく孫策さんを発見した。しかも敵の先方部隊と一触即発ギリギリのところまで兵を進めていたんだからホント質が悪い。プリウスを急降下させて、孫策さんの襟を掴む。兵士さんにはこの場を撤退するよう、周瑜さんから命令があったと伝えると踵を返して上空へ飛び、城に戻る。

雪蓮

「下~ろ~し~て~よぉ~。これから面白くなるところなのにぃ」とかゴネている孫策さんに僕は冷たく言い放つ。

有希

「ここから下りたら確実に死にますが?それでも良ければ手を離しましょう」僕の言葉に孫策さんは下を見て、黙り込む。何せプリウスは上空100メートルぐらいを飛んでいるんだから。流石にここから飛び下りてまで、ドンパチ闘ろうとは思わないだろう。

有希

「城に帰ったら周瑜さんにたっぷり叱ってもらいますから、覚悟しておいて下さいね」

雪蓮

「むぅ……有希ってヒドーい。剛ならむしろ冥琳を宥めてくれるのにぃ……」

有希

「あの高さから下りて死ぬよりマシでしょう!バカ言ってないで帰りますからね!」孫策さんの言い草に腹が立った僕は若干キレ気味に怒鳴って、建業の城へプリウスを飛ばした。

 

~呂布陣営~

 

陳宮

「むむむー。敵は籠城を選択したようですなー」

呂布

「……どうする?」

陳宮

「闘うのみなのです!」

呂布

「……分かった」

陳宮

「では皆の者ー!孫策、孫権が居ない間に呉のお城を征服するのですー!」

兵士達(モブ)

「「「「応っ!」」」」

陳宮

「呂布殿の為に頑張るのですー!」

兵士達(モブ)

「「「「おおぉぉぉぉーっ!」」」」

 

~建業の城(視点なし)~

 

冥琳

「うん。雪蓮が帰ってきたか」

「有希に首根っこを吊るされ……まるで借りてきた猫のようじゃな」有希は城の櫓へ( やぐら )下りて雪蓮を冥琳に引き渡す。

冥琳

「お説教はあと。今は籠城して持ちこたえるぞ」

雪蓮

「はぁ~い」この戦の後、待っているお説教の時間を少しでも短くしようと、雪蓮は冥琳の言う事に素直に従う。そんな2人に構う事なく、祭は敵軍の様子を見つめて不敵に笑う。

「おうおう、良い気合いを見せとるのぉ!闘い甲斐がありそうじゃ」

冥琳

「……祭殿」

「なんじゃ?」

冥琳

「あまりウキウキせんで欲しいのですが」

「ムリじゃ!」

冥琳

「はぁ……そういうと思った……」

有希

「この人……もうヤだ……」頭を押さえる有希に、呆れて言葉もない冥琳。

「だってじゃぞ?あれだけイキの良い敵軍が目の前に居て、どうして興奮を抑えられる!」

有希

「イキって……鮮魚じゃないんですから……」

冥琳

「いや、そこは将として抑えて頂きたいのですが」

「ムリじゃ」

冥琳

「ですよねー……」

「そんな事より公謹。儂は早く闘いたいのじゃが……まだ討って出るのはいかんのか?」

冥琳

「つい先ほど開戦したばかりじゃないですか……もう少し落ち着いて下さい」

「むー……つまらん、つまらんぞー!」

冥琳

「はぁ……蓮華様達が帰還されたならば、すぐに討って出ますから。それまでは我慢しておいて下さいね」

「分かった!我慢する!じゃがその時は儂が先鋒じゃぞ?約束じゃぞ!」

冥琳

「はいはい……はぁ……」祭と冥琳がそんな問答をしている合間で、ソワソワと落ち着きがない雪蓮。それに気づいた冥琳はプリウスにチラッと目をやったあと、有希にこう尋ねる。

冥琳

「ところで、あの従魔の重さは?」

有希

「40貫ぐらいですね(1貫は約3,75Kg)」

冥琳

「では……そいつに命じて雪蓮を押さえつけておけ。下敷きにしても構わん」

有希

「え?はぁ……だ、そうだよプリウス」

プリウス

『了解っス。よいしょっと』雪蓮の背に乗るプリウス。その重さで前のめりに倒れ込み、うつ伏せになる雪蓮。

雪蓮

「何よ。この子、めちゃくちゃ重い!ちっとも身動き出来ないじゃない!冥琳のバカァ!」

冥琳

「……蓮華様帰還までそのままで居させろ」

有希

「……良いんですか?」

冥琳

「自由にしたら、また突っ走りかねん。あのぐらいでちょうど良い」これから籠城戦だというのに、緊張感のない会話を交わす有希と呉の面々。そこへ兵士が現状報告にやってきた。

兵士(モブ)

「敵軍、寄せてきました!」

「よし!各員持ち場につけぃ!この城、必ずや守ってみせるぞ!」その言葉を合図に兵達に指示を出す祭。さっきまでのグダグダ感が嘘のようである。

兵士(モブ)

「応っ!」

 

~向田視点~

 

 建業に帰還する俺達だが、思いの外余裕があるので途中で食事休憩を取る事にした。今は休憩予定の場所へ向かっている最中だ。

向田

「フェル!予定地点まであとどれぐらいだ!?」

フェル

『あと少しだ!』

向田

「よし!みんな、辛いだろうけど頑張ろう!あと少しで飯が食えるぞ!」

兵士達(モブ)

「「「「応っ!」」」」

 

~再び呂布陣営(視点なし)~

 

陳宮

「うー……流石周公謹なのです。兵の数に大きな差があるのに、城を落とす事が出来ないです……」

呂布

「……どうする?」

陳宮

「あぅ、だ、大丈夫です!ちんきゅーが呂布殿の為に、ぜーったいお城を落としてみせますぞ!」

呂布

「……………(コクッ)」

 

~再び建業の城~

 

 城の櫓では、呉の弓兵が必死の抵抗を試みていた。しかし徐々に呂布軍に追い詰められていく。

「うーむ……敵も中々やりよるのぉ。更に攻撃が激しくなっておる」

冥琳

「流石飛将軍呂布……といったところでしょう。このままでは不味いですね……」

「儂の出番か!?」

冥琳

「いいえ、それはまだです。だが……呂布の強さに兵達が怖じ気づいている。このままでは押し切られてしまいますね」期待を込めた祭の発言をいなす冥琳。

「だから儂の出番だろう!?」

冥琳

「……あと少しで蓮華様が帰ってくるでしょう。それまでは辛抱ですな」

「むぅ……無視か……」

冥琳

「はぁ……将の貴女が逸れば、それが兵に伝染します。少しは落ち着いて下さい」

「それは分かっとるのだがな。早く闘いたいんじゃよ……」

冥琳

「黄蓋殿(ギロッ)」

「うっ……分かっておるよ。そんなに怒るな」

冥琳

「はぁ……」

有希

「周瑜さん……心中、お察しします」一方、普段ならこんな状況だと我先にと前線へ出たがる雪蓮だが、プリウスに押さえつけられて動けないのと、この後の冥琳のお説教怖さでいつになくおとなしかった。

 

~向田視点~

 

 フェルの案内で、開けた土地に急拵えのキャンプを張った俺達。手分けして全員に食べ物を配り、これまた大急ぎで食事を済ませる。

蓮華

「皆、食事は終えたか!」

思春

「はっ!食事は既に終え、出撃準備も完了しております!」

蓮華

「よし!では今から建業へ急行する!皆、私達の家を守るのだ!」

兵士達(モブ)

「「「「応っ!」」」」

蓮華

「行くぞ!我が旗に続け!」

 

~冥琳サイド~

 

兵士(モブ)

「周瑜様!東方に砂塵を発見しました!」

冥琳

「旗はっ!」

兵士(モブ)

「旗は……孫家の牙門旗!孫権様がお戻りになられましたぁーっ!」

冥琳

「よし!間に合ってくれた!……雪蓮!黄蓋殿!お待たせしましたな!」

「やっとじゃー!やっと儂の出番がきたー!クククっ、腕が鳴るぞー!」

雪蓮

「さっきまでの鬱憤、ここで晴らせて貰うわよぉー!」

冥琳

「蓮華様と連携して呂布を叩きます!皆、出陣準備せよ!お前もだ!」冥琳は有希に檄を飛ばす。

有希

「僕もですか?分かりました……プリウス、ジョージ行くぞ!」

プリウス

『はいっス!』

ジョージ

『待ってましたぁ♪』

 

~蓮華サイド~

 

兵士(モブ)

「前方に建業の城が見えました!周旗と黄旗が並んでおります!建業は健在です!」

蓮華

「間に合ったか!」

明命

「蓮華様!城の上空に有希殿の従魔が!こちらの参着に気づいたのかと!」

蓮華様

「姉様と冥琳ならこちらの意図を理解して、討って出るだろう……我らはこのまま突っ込むぞ!」

兵士達(モブ)

「「「「応っ!」」」」

思春

「総員走りながら抜刀せよ!かかれーーっ!」

向田

「……おいおい、マジかよ……」

フェル

『スイ、ドラ。我らも城まで駆け抜けるぞ』

ドラちゃん

『へへっ、ちょうど良いぜ!南方じゃ暴れ足りなかったんだ!派手に殺るぜ♪』

スイ

『スイも、もぉーと暴れるんだもんねぇ♪』

向田

「はぁ……もう好きにしてよ君達」――今、呉軍と呂布軍の闘いが始まる――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




原作との違い
・一刀は穏に相談して、敵城にある兵糧を船に積んで持っていき、船着き場での食事を提案→食べ物は向田がネットスーパーで購入したので穏への相談もなし。フェルの発案で開けた土地で小休止。

・生きている雪蓮の行動、周りの反応はオリ展開

※次回か次々回辺りでメシ話を復活させたい……

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