とんでもスキルで真・恋姫無双   作:越後屋大輔

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世間は自粛モードだってのに、こっちはリアル仕事がずっと忙しかった……おまけにスランプも重なって、やっと書けました。それでも短めですが


第四十三席有希、照れるのこと

~呂布陣営~

 

兵士(モブ)

「陳宮様!背後に孫権の部隊が現れました!」

陳宮

「なんですとーっ!?」

兵士(モブ)

「孫家の牙門旗を中心に、こちらに向かって来ております!」

陳宮

「ぐぬぬー……南征にもう少し時間が掛かると思ってたのに……うー……読みちがえてしまったですー」

呂布

「……大丈夫」

陳宮

「呂布殿!?」

呂布

「……闘う」

陳宮

「はいっ!ちんきゅーもお供致しますぞー!」

呂布

「……(コクッ)……行く」

 

~向田視点~

 

 大急ぎでの建業に戻ってきた俺達だったけど、城が見えたのと同時に呂布軍もこっちへ向かってきていた。

思春

「前方、深紅の牙門旗を発見!」

明命

「敵軍反転!我が方に向けて突出します!」

蓮華

「何っ!?ならばこのまま迎え撃つぞ!」

亞莎

「ダメです!ここは軍を縦に二分し、呂布軍の突進をやり過ごしましょう!」

向田

「縦に二分って……どういう事?」

亞莎

「突出してくる敵の両脇を駆け抜け、敵後方で周瑜様達と合流して反転!敵の背後を突きます!」

蓮華

「なるほど。しかしうまく行くのか?」

亞莎

「いかせます!思春さんは右翼!明命は左翼!兵を手足のように動かして下さい!」

思春

「またムチャな命令だな。しかし……やってみせようではないか!」

明命

「そうです!やってみせましょう!」2人共、亞莎を信頼しているんだな。けどこの案に納得いってないのが1人イヤ、3人居た。

フェル

「面倒だ……我は真正面からいくぞ」

スイ

「あ~る~じ~、早く闘いたい~」

ドラちゃん

「ンなまどろっこしい事やってられっかよ!」やっぱりね……そう言うと思ったよ。ハァ……

向田

「じゃこうしよう。フェル達はここで待機。反転する思春、明命両部隊と息を合わせて敵を挟み撃ち。それでどうだ亞莎?」

亞莎

「良いと思います……では残り全軍を縦に二つに割る!右翼は甘寧殿の旗に!左翼は周泰の旗に続け!」

兵士達(モブ)

「「「「応っ!」」」」

 

~再び呂布陣営~

 

兵士(モブ)

「敵軍、更に速度を上げました!」

陳宮

「こっちも速度を上げるのです!初撃で敵の先鋒を粉砕しますぞーっ!」

兵士(モブ)

「はっ!」

陳宮

「呂布殿ー!敵をやっつけちゃって下さい!」

呂布

「……了解」

 

~蓮華陣営~

 

兵士(モブ)

「敵軍、更に速度を上げるようです!」

亞莎

「よし!思春さん、明命!機会は一度きりです!時機を見計らい、一斉に隊を割って下さい!フェル殿達はそのまま迎撃をお願いします!」

思春

「了解!行くぞ、明命!」

明命

「はいっ!」

思春

「三、二、一……今だっ!」

明命

「全軍分かれーっ!」

兵士達(モブ)

「うぉぉぉーッ!」俺達は三手に分かれた。思春と明命が率いる部隊は二手に分かれて、俺と従魔トリオは向かってくる敵を待ち構える。

 

~呂布陣営~

 

兵士(モブ)

「て、敵軍が前方で二手に別れ、我らの横を通過していきます!更に後方には噂の怪物共が!」

陳宮

「なんですとぉーっ!?」

呂布

「……」ヒスを起こす陳宮に、一見落ち着き払っている呂布。対照的な2人だ。

陳宮

「ちょ、このままでは後ろに回り込まれて挟み撃ちに遭いますの!全軍すぐに反転するのです!」

兵士(モブ)

「す、すぐにはムリですっ!それに反転したら、怪物共に背を向ける事になります!」

陳宮

「むーっ、なら更に速度を上げて前進し、場所を選んで城に突撃しますぞ!怪物共と当たるよりマシです!」

兵士(モブ)

「はっ!」

 

~建業の城(有希視点)~

 

 向田さん達以外の自軍を縦割りにする、意外な作戦で呂布軍をやり過ごした孫権さん達は城に戻り、僕達との合流に成功した。

蓮華

「姉様、ただ今戻りました!冥琳、祭!待たせた!」

冥琳・祭

「「はっ!」」

雪蓮

「お帰り蓮華。早速だけど反撃に移るわよ!」プリウスを退かした途端、元気になったよこの人……

蓮華・冥琳・祭

「「「御意!」」」

蓮華

「亞莎!現場の指揮はお前が取れ!すぐに部隊を編成しなさい!」

亞莎

「御意!」

「亞莎!儂が先鋒だぞ!先鋒だからな!」

亞莎

「りょ、了解です!では黄蓋殿の部隊を先鋒に配置し、その両脇に甘寧殿、周泰の部隊を配置!このまま敵軍を追尾し、敵背後を強襲します!各員、奮闘して下さい!」

兵士達(モブ)

「「「「応っ!」」」」

蓮華

「空き巣同然の所業、許すまじ!呂布を呉から叩き出すぞ!」

兵士達(モブ)

「「「「おおおおーっ!」」」」呂蒙さん、帰ってきたばかりなのに大変だな……オバサンに関してはもう放っとこう。僕はプリウスに跨がって、ジョージを肩に乗せると戦場へ飛び込んでいった。

 

~視点なし~

 

 さて、建業の城に突撃した呂布軍だったが、連中の目の前にプリウスに乗った有希が立ちはだかるという、予想外の出来事に混乱している。

兵士(モブ)

「ま、まさかこっち側にも怪物が!?」

兵士(モブ)

「前も後ろも怪物だらけかよ!?」

陳宮

「結局、挟み撃ちなのですーっ!」後方からはフェル達トリオ、前方にはプリウスとジョージ。人間の軍隊が何千万居ようと、敵う訳がない。呂布軍の敗北は火を見るより明らかだった。

呂布

「……倒す」呂布はフェルに画戟の先を向け、駆け出していく。

フェル

『ほう……我に挑むとはな。その気概だけは誉めてやっても良いぞ』フェルが前足を一振りすると、呂布の画戟はアッサリと砕かれた。

呂布

「……クッ、化け物……!」

フェル

『ふっ。人間にしてはやるようだな』悔しさに顔を歪ませる呂布に、不敵な笑みを浮かべるフェル。

 

プリウス

『はいはい、皆さん。お帰りはあちらっスよぉー』呂布軍の兵達を一纏めにして押し出していくプリウス。

兵士(モブ)

「ちっ、このカバめ!」

プリウス

『誰がカバっスか!もう怒ったっス!』実はプリウス、カバに間違えられたり、カバ呼ばわりされるのが大嫌いだった。呂布軍兵士の言いぐさに、まるでタヌキ呼ばわりされた某青い猫のように腹を立てる。

プリウス

『出ていけっス!』そして敵兵を全て追い返す。

 

兵士(モブ)

「前線を突破されましたー!ダメです!もう持ちそうにありません!」

陳宮

「……ま、負けたです……」

兵士(モブ)

「はっ。我が軍の敗北は決定的かと……」

陳宮

「うー……うー……ま、まだ負けたワケではありませんぞ!反撃するのです!」諦めの悪い陳宮を諌めたのは呂布だった。

呂布

「……ダメ」

陳宮

「うぅ、呂布殿ぉぉぉ~……」

呂布

「……逃げる」

陳宮

「で、でもみんなまだまだ闘えますぞ!」

呂布

「……みんな大事」

陳宮

「え……」

呂布

「……ちんきゅ、大事……だから逃げる」

陳宮

「う、ううっ……うえぇぇぇぇぇんん……」

呂布

「……行こう」

陳宮

「は、はい。ぐしゅっ……えぐ……」堰を切ったように泣き出す陳宮を連れて、呂布軍は建業から逃げ出した。

 

~向田視点~

 

明命

「敵軍、退却を始めました!」

蓮華

「よし……!」蓮華はナゼか俺と有希君に顔を向ける。

向田

「え?なんで俺達の方を見るの?」

蓮華

「え、あの……追撃しても怒らない?」

向田

「怒らないよ。ここは追撃しておいた方が良いだろうって思う。だけど……一点だけ。追い詰めるまで追撃するのは反対、かな?窮鼠猫を噛む……って言葉もがあるぐらいだし。死に物狂いで反抗されると、こっちも被害が大きくなる」

冥琳

「向田の言う通りです。追撃部隊を編成し、適度に追撃して敵の戦力を削りましょう」

有希

『あの……向田さん?』有希君が念話で俺に話しかけてきた。てか、いつの間にそんな事出来るようになったんだろう?

有希

『呂布って前は、月ちゃんのトコに居たんじゃ……』

向田

『あ~、そういえばそうだったな。ところで有希君……アイヤとテレーザの主婦陣から聞いたけど、最近月と良い感じらしいねぇ?』俺も念話を返し、ついでにちょっとだけ誂っ( からか )てやった。

有希

『い、今はそんな事、どうでもいいでしょう!?』案の定、真っ赤になって怒り出した、思春期だねぇ。

有希

『でも見殺しにはするのは心苦しいし、せめて生きている事だけでも伝えてやった方が良くありませんか?』話を強引にすり替える有希君。これ以上誂うのも気の毒だし、俺も話に乗っかる事にしたよ。

向田

『まあ三國無双と云われる呂布だから、このまま殺られるとは思えないし。雪蓮に頼んで機会(おり)を見て話す場を設けてもらおう』俺達は誰にも聞かれてないのをいいことに、呑気に念話していた。その間にも蓮華は追撃の具体案を立てている。

「はい!はい!追撃に関しても、勿論儂が先鋒じゃぞ!」

雪蓮

「もう……仕方ないなぁ。私は……後で冥琳が怖いし、遠慮しとくわ(苦笑)。祭の部隊を中心に追撃部隊を編成しましょう」

蓮華

「ふふっ、了解です……思春と明命の二人もそれに続いてくれ」

思春・明命

「「御意!」」

蓮華

「残りの部隊はどうする?」

亞莎

「黄蓋様達が帰ってくるまで、臨戦態勢のまま待機でよろしいかと」

蓮華

「よし。では黄蓋!溜まっていた鬱憤を、呂布の追撃によって晴らせ!」

「御意!行くぞひよっこども!」

思春

「はっ!」

明命

「はいっ!」

フェル

『おい。我も暴れ足りんぞ』

ドラちゃん

『俺も俺も』

スイ

『スイももっと闘いたぁ~い』ウチのトリオは相変わらずだね。しかし、こいつら放ったら、それこそ呂布軍が全滅しかねないな。それにしても祭さんって、確か俺より(多少ではあるけど)年上なのに……元気だねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は劉備と決別?そして、アイツらが再び現れる……のかな?(どっちやねん!?)

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