~呂布陣営~
兵士(モブ)
「陳宮様!背後に孫権の部隊が現れました!」
陳宮
「なんですとーっ!?」
兵士(モブ)
「孫家の牙門旗を中心に、こちらに向かって来ております!」
陳宮
「ぐぬぬー……南征にもう少し時間が掛かると思ってたのに……うー……読みちがえてしまったですー」
呂布
「……大丈夫」
陳宮
「呂布殿!?」
呂布
「……闘う」
陳宮
「はいっ!ちんきゅーもお供致しますぞー!」
呂布
「……(コクッ)……行く」
~向田視点~
大急ぎでの建業に戻ってきた俺達だったけど、城が見えたのと同時に呂布軍もこっちへ向かってきていた。
思春
「前方、深紅の牙門旗を発見!」
明命
「敵軍反転!我が方に向けて突出します!」
蓮華
「何っ!?ならばこのまま迎え撃つぞ!」
亞莎
「ダメです!ここは軍を縦に二分し、呂布軍の突進をやり過ごしましょう!」
向田
「縦に二分って……どういう事?」
亞莎
「突出してくる敵の両脇を駆け抜け、敵後方で周瑜様達と合流して反転!敵の背後を突きます!」
蓮華
「なるほど。しかしうまく行くのか?」
亞莎
「いかせます!思春さんは右翼!明命は左翼!兵を手足のように動かして下さい!」
思春
「またムチャな命令だな。しかし……やってみせようではないか!」
明命
「そうです!やってみせましょう!」2人共、亞莎を信頼しているんだな。けどこの案に納得いってないのが1人イヤ、3人居た。
フェル
「面倒だ……我は真正面からいくぞ」
スイ
「あ~る~じ~、早く闘いたい~」
ドラちゃん
「ンなまどろっこしい事やってられっかよ!」やっぱりね……そう言うと思ったよ。ハァ……
向田
「じゃこうしよう。フェル達はここで待機。反転する思春、明命両部隊と息を合わせて敵を挟み撃ち。それでどうだ亞莎?」
亞莎
「良いと思います……では残り全軍を縦に二つに割る!右翼は甘寧殿の旗に!左翼は周泰の旗に続け!」
兵士達(モブ)
「「「「応っ!」」」」
~再び呂布陣営~
兵士(モブ)
「敵軍、更に速度を上げました!」
陳宮
「こっちも速度を上げるのです!初撃で敵の先鋒を粉砕しますぞーっ!」
兵士(モブ)
「はっ!」
陳宮
「呂布殿ー!敵をやっつけちゃって下さい!」
呂布
「……了解」
~蓮華陣営~
兵士(モブ)
「敵軍、更に速度を上げるようです!」
亞莎
「よし!思春さん、明命!機会は一度きりです!時機を見計らい、一斉に隊を割って下さい!フェル殿達はそのまま迎撃をお願いします!」
思春
「了解!行くぞ、明命!」
明命
「はいっ!」
思春
「三、二、一……今だっ!」
明命
「全軍分かれーっ!」
兵士達(モブ)
「うぉぉぉーッ!」俺達は三手に分かれた。思春と明命が率いる部隊は二手に分かれて、俺と従魔トリオは向かってくる敵を待ち構える。
~呂布陣営~
兵士(モブ)
「て、敵軍が前方で二手に別れ、我らの横を通過していきます!更に後方には噂の怪物共が!」
陳宮
「なんですとぉーっ!?」
呂布
「……」ヒスを起こす陳宮に、一見落ち着き払っている呂布。対照的な2人だ。
陳宮
「ちょ、このままでは後ろに回り込まれて挟み撃ちに遭いますの!全軍すぐに反転するのです!」
兵士(モブ)
「す、すぐにはムリですっ!それに反転したら、怪物共に背を向ける事になります!」
陳宮
「むーっ、なら更に速度を上げて前進し、場所を選んで城に突撃しますぞ!怪物共と当たるよりマシです!」
兵士(モブ)
「はっ!」
~建業の城(有希視点)~
向田さん達以外の自軍を縦割りにする、意外な作戦で呂布軍をやり過ごした孫権さん達は城に戻り、僕達との合流に成功した。
蓮華
「姉様、ただ今戻りました!冥琳、祭!待たせた!」
冥琳・祭
「「はっ!」」
雪蓮
「お帰り蓮華。早速だけど反撃に移るわよ!」プリウスを退かした途端、元気になったよこの人……
蓮華・冥琳・祭
「「「御意!」」」
蓮華
「亞莎!現場の指揮はお前が取れ!すぐに部隊を編成しなさい!」
亞莎
「御意!」
祭
「亞莎!儂が先鋒だぞ!先鋒だからな!」
亞莎
「りょ、了解です!では黄蓋殿の部隊を先鋒に配置し、その両脇に甘寧殿、周泰の部隊を配置!このまま敵軍を追尾し、敵背後を強襲します!各員、奮闘して下さい!」
兵士達(モブ)
「「「「応っ!」」」」
蓮華
「空き巣同然の所業、許すまじ!呂布を呉から叩き出すぞ!」
兵士達(モブ)
「「「「おおおおーっ!」」」」呂蒙さん、帰ってきたばかりなのに大変だな……オバサンに関してはもう放っとこう。僕はプリウスに跨がって、ジョージを肩に乗せると戦場へ飛び込んでいった。
~視点なし~
さて、建業の城に突撃した呂布軍だったが、連中の目の前にプリウスに乗った有希が立ちはだかるという、予想外の出来事に混乱している。
兵士(モブ)
「ま、まさかこっち側にも怪物が!?」
兵士(モブ)
「前も後ろも怪物だらけかよ!?」
陳宮
「結局、挟み撃ちなのですーっ!」後方からはフェル達トリオ、前方にはプリウスとジョージ。人間の軍隊が何千万居ようと、敵う訳がない。呂布軍の敗北は火を見るより明らかだった。
呂布
「……倒す」呂布はフェルに画戟の先を向け、駆け出していく。
フェル
『ほう……我に挑むとはな。その気概だけは誉めてやっても良いぞ』フェルが前足を一振りすると、呂布の画戟はアッサリと砕かれた。
呂布
「……クッ、化け物……!」
フェル
『ふっ。人間にしてはやるようだな』悔しさに顔を歪ませる呂布に、不敵な笑みを浮かべるフェル。
プリウス
『はいはい、皆さん。お帰りはあちらっスよぉー』呂布軍の兵達を一纏めにして押し出していくプリウス。
兵士(モブ)
「ちっ、このカバめ!」
プリウス
『誰がカバっスか!もう怒ったっス!』実はプリウス、カバに間違えられたり、カバ呼ばわりされるのが大嫌いだった。呂布軍兵士の言いぐさに、まるでタヌキ呼ばわりされた某青い猫のように腹を立てる。
プリウス
『出ていけっス!』そして敵兵を全て追い返す。
兵士(モブ)
「前線を突破されましたー!ダメです!もう持ちそうにありません!」
陳宮
「……ま、負けたです……」
兵士(モブ)
「はっ。我が軍の敗北は決定的かと……」
陳宮
「うー……うー……ま、まだ負けたワケではありませんぞ!反撃するのです!」諦めの悪い陳宮を諌めたのは呂布だった。
呂布
「……ダメ」
陳宮
「うぅ、呂布殿ぉぉぉ~……」
呂布
「……逃げる」
陳宮
「で、でもみんなまだまだ闘えますぞ!」
呂布
「……みんな大事」
陳宮
「え……」
呂布
「……ちんきゅ、大事……だから逃げる」
陳宮
「う、ううっ……うえぇぇぇぇぇんん……」
呂布
「……行こう」
陳宮
「は、はい。ぐしゅっ……えぐ……」堰を切ったように泣き出す陳宮を連れて、呂布軍は建業から逃げ出した。
~向田視点~
明命
「敵軍、退却を始めました!」
蓮華
「よし……!」蓮華はナゼか俺と有希君に顔を向ける。
向田
「え?なんで俺達の方を見るの?」
蓮華
「え、あの……追撃しても怒らない?」
向田
「怒らないよ。ここは追撃しておいた方が良いだろうって思う。だけど……一点だけ。追い詰めるまで追撃するのは反対、かな?窮鼠猫を噛む……って言葉もがあるぐらいだし。死に物狂いで反抗されると、こっちも被害が大きくなる」
冥琳
「向田の言う通りです。追撃部隊を編成し、適度に追撃して敵の戦力を削りましょう」
有希
『あの……向田さん?』有希君が念話で俺に話しかけてきた。てか、いつの間にそんな事出来るようになったんだろう?
有希
『呂布って前は、月ちゃんのトコに居たんじゃ……』
向田
『あ~、そういえばそうだったな。ところで有希君……アイヤとテレーザの主婦陣から聞いたけど、最近月と良い感じらしいねぇ?』俺も念話を返し、ついでにちょっとだ
有希
『い、今はそんな事、どうでもいいでしょう!?』案の定、真っ赤になって怒り出した、思春期だねぇ。
有希
『でも見殺しにはするのは心苦しいし、せめて生きている事だけでも伝えてやった方が良くありませんか?』話を強引にすり替える有希君。これ以上誂うのも気の毒だし、俺も話に乗っかる事にしたよ。
向田
『まあ三國無双と云われる呂布だから、このまま殺られるとは思えないし。雪蓮に頼んで
祭
「はい!はい!追撃に関しても、勿論儂が先鋒じゃぞ!」
雪蓮
「もう……仕方ないなぁ。私は……後で冥琳が怖いし、遠慮しとくわ(苦笑)。祭の部隊を中心に追撃部隊を編成しましょう」
蓮華
「ふふっ、了解です……思春と明命の二人もそれに続いてくれ」
思春・明命
「「御意!」」
蓮華
「残りの部隊はどうする?」
亞莎
「黄蓋様達が帰ってくるまで、臨戦態勢のまま待機でよろしいかと」
蓮華
「よし。では黄蓋!溜まっていた鬱憤を、呂布の追撃によって晴らせ!」
祭
「御意!行くぞひよっこども!」
思春
「はっ!」
明命
「はいっ!」
フェル
『おい。我も暴れ足りんぞ』
ドラちゃん
『俺も俺も』
スイ
『スイももっと闘いたぁ~い』ウチのトリオは相変わらずだね。しかし、こいつら放ったら、それこそ呂布軍が全滅しかねないな。それにしても祭さんって、確か俺より(多少ではあるけど)年上なのに……元気だねぇ。
次回は劉備と決別?そして、アイツらが再び現れる……のかな?(どっちやねん!?)