とんでもスキルで真・恋姫無双   作:越後屋大輔

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長らくお待たせしました。(てか待っていた人居るのかな?)


第四十六席ダンジョンから帰還、のこと

 海ダンジョンは第8階層で終わり、第9階層はドラゴン、というより恐竜エリアだった……

 まずはプテラノドンそっくりな、この世界のワイバーンの群れ。かつてフェルとスイにも倒されたが、今回は有希君に弓矢で喉を貫かれアッサリ絶命した。このエリアでも仕留めた魔物は消えず、死体が残るようだ。他にもティラノサウルスを彷彿させる地竜に( アースドラゴン )、ブラキオザウルスに良く似た(フェル曰く、ロングネックドラゴンというらしい)奴らなどが闊歩していた。

明命

「……私達、生きて帰れるのでしょうか!?」

亞莎

「地獄だってここよりはマシだと思います(汗)」またしても泣きそうになる2人。

「これは儂らの手には負えんのぉ」祭さんすら闘いの牙を抜かれたか……雪蓮まで諦めているし。

雪蓮

「そうね……剛達はやる気でしょうけど」俺というよりクィンテットがね。

フェル

『うむ。あやつらの肉は旨い。獲らん訳がなかろう』

スイ

『美味しいお肉~』

ドラちゃん

『ヘヘッ、食い放題だな』……って!ちょっと待てお前ら!

向田

「獲るのは良いけど、あれ解体どうすんだ?またドランに行って、エルランドさんに頼むしかないぞ?」俺があのおっさんエルフの名を出すと苦虫を噛み潰したような顔になる、ジョージ以外のクィンテットの面々。

ドラちゃん

『オイオイ、勘弁してくれよー!』真っ先に拒否するドラちゃん。そりゃそうか。

プリウス

『ボク、当分野菜中心のご飯で良いっス……』

フェル

『……やむを得んか』

スイ

『あの変なおじさん~?』エルランドさん、どうもスイ以外には嫌われちゃったよ……しかもフェルが肉を諦めるって……よっぽど関わり合いたくないんだな。

ジョージ

『何の話?』俺達全員が嘆息する中、唯1人ポカンとしているジョージ。そういやこいつだけ、ドランやエイヴリングのダンジョン踏破してから有希君の従魔になったからエルランドさんと会った事ないんだっけ。あの人の事は説明するのも面倒だから、有希君に任せよう。

有希

「……別にドランへ行く必要はないでしょう?」え?

向田

「有希君……まさかドラゴン解体出来るの?」

有希

「いいえ。でも僕の固有スキル「創造」( クリエイト )を使えば、不可能じゃないと思います」そっか。材料があれば大抵の物は創れる「創造」なら、ドラゴンから取れる薬とかの材料をドラゴン本体から創れるって訳だ。そうと決まれば……コイツらの考える事は一目瞭然。

フェル

『よし、殺るぞ』

プリウス

『……そうっスか』

ドラちゃん

『肉だぁーっ!』

ジョージ

『獲りまくるぞぉー!』

スイ

『い~っぱい獲るもんね~』あ~もうこりゃ、収拾付かないな。もう好きにしてくれ……

 

 ……それからはドラゴンエリアが最下層の第11階層まで続いた。案の定クインテットはドラゴンを狩りまくっていたよ……それにしてもこの大陸のダンジョンってそんなに深くないんだな。とはいっても、これまで見てきたのは呉の領内で、それも2ヶ所だけだから言い切れはしないけど。

創造!(クリエイト)」絶命したドラゴンに有希君が固有スキルを発動させると、死体は忽ちバラバラになり見事に、皮、骨、牙、爪、内臓、目玉、食肉等加工前の素材へと変化した。それをアイテムボックスにしまい、遂に階層主さんの部屋までなやってきた。

 

??

「ん〜ふふっ♪よくここまで来れたわね♥」そこに居たのは貂蝉だった……って何で居るんだよ!?思いっきりズッコケる俺とフェルとドラちゃん。有希君を始め、貂蝉と初対面のみんなは目を丸くしている。

スイ

『あ~っ、あの時のおじちゃんだぁ♪』スイだけが嬉しそうに貂蝉に近づいていった。

雪蓮

「ひょっとしてこいつが魔窟の大将!?」な、何か雪蓮が勘違いしているぞ……

「おのれ妖怪!」祭さんも!?雪蓮は南海覇王を振り下ろし、祭さんは貂蝉へ弓を射った。しかし貂蝉は左手で刃を掴み、放たれた矢にチョップを喰らわせ難なく攻撃を躱す。

貂蝉

「アタシは妖怪じゃないわよ!それとそこのスライム、おじちゃんは止めなさいって言ったでしょ!?」

スイ

『うぅ~(半泣き)だって……おじちゃんはおじちゃんだもん~』涙ながらに訴えるスイに流石の貂蝉もお困りモードだよ。てか貂蝉、うちのスイたんを泣かすなよ……

貂蝉

「ハァー……仕方ないわ。この子限定でおじちゃん呼びは許してあげる。それよりあなた達、いつまでここに留まるおつもり?」

向田

「いつまでって……今すぐにでも地上へ戻るつもりだけど?」

貂蝉

「そう……なら1つだけ助言させて」貂蝉は言っちゃ悪いが似合わない神妙な面持ちで俺達にこう告げた。

貂蝉

「魏の荀彧に気をつけなさい。アタシが言えるのはこれだけ。あとはあなた達が頑張りなさい」言うが早いか、いつの間にかこの場から消えた貂蝉。

雪蓮

「ねぇ剛……あいつ一体何者?」

向田

「ああ。あいつは貂蝉っつって……」この質問の続きに答えたのは俺じゃなくてフェルだ。

フェル

「洛陽で世話になった正体不明の存在だ。見た目は化け物だが、我が見る限り神に近し者のようだな」

「神じゃと!?あのような醜いヤツがか?」

向田

「まあ……神様にも色々居るんでしょう」そんな事を話しつつ、俺達はダンジョンの入口に帰ってきた。

 

 入口には思春が待っていた。そういえば思春とはダンジョンで会わなかったな。

思春

「蓮華様、穏様、私の部隊は早々に全滅してな」えっ?全滅って……まさか!?

「誰一人死んでませんよ~。魔窟内で有希さんに治療してもらって帰ってきたら、戦意喪失してました~」それなら良かった。フゥー、とりあえず一安心だな。

思春

「その後私は単身魔窟に進もうとしたのだが、蓮華様に止められた」

蓮華

「当然でしょ!?幾らなんでも一人じゃ危険すぎる!」

「それはあとで考えるとして……城に戻ろうかの。十日は経っとらんが兵の調練も充分出来たじゃろ」

雪蓮

「そうね、帰りましょ。戦の支度を整えないと」

 

 城に帰った俺達は軍の再編を終了させ、出撃準備を整えると、まず劉備に使者を出した。勿論1人で送り出すのは不安だから、ドラちゃんにお供させたよ。

 

-前の闘いで呉の人間が傷ついた。その元凶である呂布を呉に引き渡せ-

 

 そんな口上を使者に授け、下丕城へと向かわせたんだけど……

 

使者

「只今、帰還致しました!」数日後、帰ってきた使者は劉備側の返事を伝えた。それによると劉備達は呂布の引き渡しには断固として応じないとし、使者の身ぐるみを剥がして、更に頭を丸刈りにしようとしたらしい。そこをドラちゃんが助け、何とか逃げ帰ってきたそうだ。

蓮華

「そうか。ご苦労だった。私室でゆっくり休め」

使者

「はっ!ありがたき幸せ!」蓮華に労いの言葉をかけられて、使者は感激しながら玉座の間を去る。

向田

「ドラちゃんもありがとう。これ約束のプリンね」俺は予め作っておいたバケツプリンを渡す。どこでこれを知ったんだか、ドラちゃんに食いたい食いたいってずっと催促されてたんだよ。けど流石に不○家にも売ってないし、プリン自体は作るの簡単だから、今回は使者の護衛をするのを条件に一から俺が作ったよ。

ドラちゃん

「良いってことよ。あれぐらいでプリンがたらふく食えるなら安いモンだぜ♪」早速バケツプリンに頭を突っ込んで食べ始めるドラちゃん。そんなにガッツかなくてもプリンは逃げないって……とにかく、これにて劉備との交渉は決裂だ。と、劉備の非礼ぶりを対外的に激怒してみせた雪蓮と蓮華は、すぐに出陣すべく、将達を玉座の間に集めた。

 

蓮華

「劉備を闘いに引きずり込む事は出来た。あとは奴らを攻め滅ぼすだけか……」

冥琳

「御意。劉備と呂布、二人の軍勢を合わせてもそれほど多くはない……大陸の情勢を考えれば、一挙に殲滅しなければならないでしょう」しかし、ここで新たな問題が出てきている。使者やドラちゃんの証言を分析すると、蜀には大人数を一気に運ぶバスのような乗り物や、戦車の類いが何台か存在するらしい。

雪蓮

「天の国の兵器の再現か……中々にマズいわね」

向田

「あの3人は自衛隊……元々軍に居たようだしなぁ」

「お主らは何か知らんのか?」祭さんに尋ねられるが、向こうじゃただのサラリーマンだった俺に、平均的な高校生の有希君にそんな知識ある訳がない。まぁ厄介なのは確かだよな……

「北方の曹操さんの動きも、最近特に活発になってきてますからねぇ」

明命

「曹操は、河北より袁紹勢力を完全に駆逐したようですし……予断を許しませんね」

思春

「戦の傷が癒えたら、南征を起こす可能性がある…·…という事か」

亞莎

「地理的に考えて、曹操が大陸中央に進出するには、まずは揚州を抑えて憂いを断たないといけませんから……必ず南征を開始すると思います」

蓮華

「……良く勉強しているな、亞莎。偉いぞ」

亞莎

「あ、ありがとうございます!」

「うふふっ、もう呉下の阿蒙ちゃんじゃありませんからね~♪」

亞莎

「はいっ!」本来の呂蒙が元になった【呉下の阿蒙】って、直訳すれば「おバカな蒙ちゃん」だっけ?確かその一言がきっかけで呂蒙は勉学に励むんだけど、亞莎も誰かに言われたのかな?

冥琳

「ふっ、頼もしい限りだ、こほっ、こほっ……」冥琳?

蓮華

「ん?どうした冥琳。風邪か?」

冥琳

「どうやらそのようで」

雪蓮

「……今、貴女に倒れられる訳にはいかないわ……養生してよね?」

冥琳

「……私もまだ倒れるつもりはない。ご心配なく」

蓮華

「ならば良い……では各員、出撃準備を急げ」

一同(フェル、スイ、ドラちゃん以外)

「御意」蓮華の命に力強く返事をした仲間達が、三々五々、持ち場へと向かっていった。冥琳の具合もいよいよ危うくなってきたな。折角スイ特製エリクサーがあるんだから、何とか説得して飲ませないと……

 

雪蓮

「剛……少し、付き合って欲しいんだけど……」

向田

「俺?どこか行くのか?」

雪蓮

「ええ……母様のお墓参りよ。この前は結構バタバタしちゃったからね」

向田

「……ダメだ」

雪蓮

「心配?」

向田

「当たり前だろ!この前あれほどの目に遭ったのに……っ!もう忘れたのか!」

雪蓮

「……大丈夫」

向田

「え……」

雪蓮

「もうあんな事は起きない。私は死んだりしないわ」

向田

「そんなの……分からないじゃないかっ」

雪蓮

「ううん、分かるの……私は死んだりしない。だってもしそうなったとしても……剛が居れば大丈夫」

向田

「……ああ。命に賭けて守るさ」

雪蓮

「なら、何も問題はないでしょう?」

向田

「それは……そうだけど……」

雪蓮

「なら、またあとで……城門のところで待ち合わせをしましょう」

向田

「分かった……」

 

 城門に向かう前に、俺はある対策を練る事にした。

向田

「フェルッ!」

フェル

「ん、何だ。出かけるのではなかったか」

向田

「頼みたい事がある。今から孫堅……雪蓮達のお母さんの墓参りに行くから俺達に結界を張って、その周辺に隠れて様子を窺っていてくれ」

フェル

「例のヤツらを懸念しているのか?」

向田

「そうだ……何かあってからじゃ遅い。先手を打っておかないと」

フェル

「まあ良かろう。それで……我にも褒美はあるのだろうな?」

向田

「そうだな……メガロトゥーンのカルパッチョなんかどうだ?」

フェル

「む、初めて聞くな。どんな料理だ?」

向田

「生のままニンニク醤油に漬け込むんだ。お前なら寄生虫も平気だろうし、あれは本来生が一番旨いんだ」

フェル

「……ほう。それは一度食ってみたい。言っておくが、スイとドラには秘密だぞ」

向田

「分かってるって」自分が雪蓮を守る……その決意も覚悟もあるけど、所詮俺が出来る事なんて限られている。それにもし、俺1人で対処出来なければどうする……?それを考慮した上で、先んじて手を打っておかなけりゃならない……少しイヤ、かなり格好悪くはあるけれど。でも、体面を気にして雪蓮をこれ以上危険にさらす訳にはいかないんだ。そして俺は雪蓮と落ち合うために城門へ向かった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




原作との違い
・前半のダンジョン話はオリエピ
・劉備への使者は身ぐるみ剥がされ、丸坊主にされて帰ってくる→ドラちゃんのおかげで難を逃れる。
・蓮華が孫堅、雪蓮の墓参りに行く→雪蓮が生存していて、再び孫堅の墓参りに行く。
・墓参りの際、一刀が頼るのは思春→向田が頼るのはフェル。
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