とんでもスキルで真・恋姫無双   作:越後屋大輔

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前回と打って変わって、今度は早めの更新です。


第四十七席劉備、罠を張るのこと

向田

「お待たせ。待った?」

雪蓮

「ううん。今来たところよ」

向田

「そっか……じゃあ行こうか」

雪蓮

「ええ……」俺と雪蓮は再び孫堅さんの眠る墓へとやってきた。雪蓮はその大きな墓石の前に立つ。

雪蓮

「母様……この前はお騒がせしました。改めてこれからも見守っていてね。そして……もう少しで、呉は天下統一の夢を実現出来そうよ……いえ、実現してみせるわ。そのあと、私は……」愛おしそうに墓石を撫で付けながら呟くと、雪蓮はちらりと俺を見る。

向田

「……??」

雪蓮

「いえ、何でもないわ……剛も母様に話しかけてあげて」

向田

「えっ?そう言われても……俺、孫堅さんには会った事もないし、何を話して良いのやら」

雪蓮

「何だって良いわよ。ささ、早く」雪蓮に急かされ、俺は1つ咳払いをして、孫堅さんが目の前にいるつもりで話し出した。

向田

「えっと、孫堅さん。向田と言います。ご挨拶が遅れて申し訳ありません」俺は墓石に向かい頭を下げてから言葉を続ける。

向田

「えっと……雪蓮は俺が守ります。絶対に……この命に代えても守ってみせます……だから孫堅さん、貴女も娘さんを天国から……見守ってあげて下さい……」

雪蓮

「剛……」

向田

「ははっ……俺1人で守ってやるって、格好付けたいけどさ……難しいの、分かってるから」

雪蓮

「うん。貴方の考えてる事、私はしっかり分かってる……ありがとう、剛」

向田

「……礼を言われるような事じゃない。好きな女を守りたいって、男としては当然だろ?」

雪蓮

「……っ!?」

向田

「格好付けたいから守るんじゃない。だから俺は雪蓮を守るためにはどんな手も使う……守るという俺の姿勢が大事なんじゃなくて、守ったという事実が大切だと思うから……」

雪蓮

「……だから、フェルが居るって事?」

向田

「……気付いていたのか」やっぱり雪蓮の勘に外れはないか……いやはや流石だな。

雪蓮

「ふふっ……これでも王として生きてきた人間なんだからね」

向田

「そういう訳だフェル。もう隠れてる必要はないぞ」ガサゴソッという音と共に隠れていたフェルが姿を見せ、俺と雪蓮を見下ろす。

フェル

『うむ。どうやら白装束は近くに居ないようだな。気配が全くない』

向田

「……ありがとう、フェル」

フェル

『フンッ、メシの為だ……護衛が必要ないなら我は帰るぞ』そう吐き捨てて去っていくフェル。そういやこいつも、たまーにツンデレる事あるよね。

雪蓮

「剛」

向田

「うん?」

雪蓮

「……私と居てくれる?」

向田

「勿論」

雪蓮

「うん。その言葉を聞けば、私はこれからも闘っていける。だから、一緒に居てね……剛」

向田

「居るよ……どこまでもずっと一緒だ」言いながら、俺は雪蓮の身体を抱き寄せる。

向田

「愛してる……」

雪蓮

「私もよ……剛……最愛の人……」俺は遂に雪蓮に告白した。そして、雪蓮も頬を赤く染めながらそれに答えてくれた。この大陸を訪れる前だったらこんな大それた行動はしなかっただろうな……やっぱり以前の俺とは随分変わったと思う。

 

~その頃、徐州下丕城(視点なし)~

 

関羽

「全く……厄介な荷物を背負い込んだものですね」

劉備

「そうは言うけど……でも恋ちゃんもねねちゃんも、私を頼ってきてくれたんだもん……見捨てる事なんて出来ないよ……」

趙雲

「まぁ桃香様の性分では、こうなる事は目に見えていたがな」

慶子

「うん。桃香ちゃんだしね(笑)」

張飛

「仕方のない事なのだ!」

竜馬

「今更グダグダ言っても始まんねえよ」

関羽

「だが呉も既に大国となっている……兵の数も我らより多く動員出来るし、あの魔獣共も居るのだから……苦しい闘いになるぞ?」

隼人

「フッ……だからこそ、俺達がわざわざ大陸を渡ってまで、最新鋭の兵器を手に入れたんだろうが」

馬超

「やるだけやってやるさ」

黄忠

「そうね……仁義なき戦という訳ではないのだから。正々堂々と闘いましょう」

張飛

「さんせーなのだ!」

関羽

「……ふっ。どいつもこいつもバカモノ共だな」

諸葛亮

「それが私達の良いところですよ♪」

劉備

「そうそう♪朱里ちゃんの言う通り♪」

趙雲

「ふっ……我らが主殿のお気楽さが、皆に伝染したのだろうな」

関羽

「違いない。では皆、すぐに迎撃態勢を整えよう」

劉備

「勝とうね、みんな♪」

張飛

「応なのだっ!」

 

~向田視点~

 

 孫堅さんの墓参りを済ませた俺と雪蓮は、蓮華達と戦準備を整えた兵を率いて徐州へと進軍を開始した。

蓮華

「関羽、張飛、呂布、趙雲……その他にも優秀な武将が居る劉備達が相手、か」

向田

「……緊張するな」

蓮華

「ええ。でも私は……今まで、感じた事のない興奮も覚えているの。初めて、巨大な敵と相対する……黄巾党の時も、董卓の時も、南征の時も感じられなかった、不思議な高揚……」

冥琳

「……それが英雄というもの。雪蓮もまた然り……恐らく、曹操も劉備も。英雄と呼ばれる人間同士が闘う時、英雄が持つ本能が沸騰するのでしょう」

蓮華

「……怖いな、自分自身が。本能に酔ってしまいそうになる」

雪蓮

「そうなったら私が止めるわよ」

蓮華

「……姉様?」

冥琳

「雪蓮が……?いつもなら、我先に突進していくのに。どういう風の吹き回し?」

雪蓮

「言ったでしょ……いつか蓮華に王位を継がせるって。そろそろ時が来たんじゃない?」

冥琳

「……雪蓮は雪蓮で新たな生き様を見つけた、か」

雪蓮

「そういう事」

冥琳

「……向田。雪蓮との間に何があった?」ニヤリとほくそ笑んだ冥琳が俺に尋ねてくる。

向田

「い、今はそれどころじゃないだろ!?変な勘繰りするなよ冥琳っ!」孫堅さんの墓参りで、雪蓮に告白したなんて……言えるかっ……!言える訳がない。(焦)

冥琳

「ふふっ、良いではないか。二人が共に思い合っているならそれで」あれっ、バレてる!?

 

 なんて具合に、戦場にそぐわない会話をしていると、

明命

「斥候より報告です!劉旗を掲げた軍団が、川向こうの丘に集結しているようです!」明命が前方の状況を報告にやってきた。

蓮華

「来たか……各部隊、臨戦態勢を取れ!このまま前進して渡河し、劉備を一揉みに揉み潰すぞ!」

兵士達(モブ)

「「「「応っ!」」」」

 

~劉備陣営(視点なし)~

 

諸葛亮

「はわわ、桃香様敵が来ちゃぃました!」

鳳統

「あわわあわわあわわあわわ……」

張飛

「雛里、落ち着くのだ。ちゃんと鈴々達が守ってあげるから安心するのだ」

鳳統

「は、はひっ!」

劉備

「うわー……すごい大軍だねぇ……」

隼人

「何を呑気な……」

趙雲

「感心している場合ではありますまい……朱里。愛紗の準備はどうなっている?」

諸葛亮

「そろそろ準備が整った頃だと思いますが……」

馬超

「ならこっちも準備に掛かろうぜ」

趙雲

「そうだな……では桃香様」

劉備

「うん。みんな……よろしくね」

 

~向田視点~

 

思春

「前方!劉備軍に動きあり!各部隊を動かし、陣営を整えているようです!」

雪蓮

「よし。ならば今が好機だ!全軍渡河開始!」

兵士達(モブ)

「「「「応っ!」」」」

雪蓮

「進めーーーーっ!」雪蓮の号令の下、兵士達が一斉に渡河を開始する。水深は腰より少し下。流れは思ったより速い。水が苦手なフェルは今回、巨大化したスイに乗って移動する。

亞莎

「渡河の速度を落とさないで下さい!渡りきったあとはすぐに部隊を再編!方形陣を組みます!」

「騎馬隊は川上を進め!川下の歩兵の動きを助けてやれぃ!」

兵士達(モブ)

「「「「応っ!」」」」

蓮華

「思春、劉備の動きは!」

思春

「まだ陣替え中であります!」

蓮華

「よし!皆、急げ!」

兵士達(モブ)

「「「「応っ!」」」」ジャブジャブと兵士達が進む風景を見ていると、俺の心の中に何かが引っかかる。

向田

「何だ……?嫌な予感がする……」目の前で敵軍が渡河しているのに、劉備は陣替えをするだけで軍を動かさない……絶好のチャンスであるハズなのに。

向田

「なぁフェル……何か変じゃないか?」

フェル

『そうか?別段怪しい気配はないようだが“

向田

「そっか……」フェルが気づかないなら問題ないか……けど……何かある。何かあるとして……何がある?俺が劉備だったら何を考える……

向田

「自分達よりも多くの兵を揃える軍。その軍が無防備に渡河している……となれば、渡河中に何かしらの策を実行するのが当然だよな」だけど兵を伏せる場所はない……奇襲も掛けられないとならば、急襲するしかないけど、でも劉備の軍は動いていない……となると。何かしらの策を実行し、俺達に大打撃を与えるのが、この時点で考え得る最高の成果って事になる。

向田

「俺達に近づかず、大損害を与える方法……」……っ!水だっ!

向田

「思春!」

思春

「なんだっ!」

向田

「劉備軍にはどんな旗が掲げられてる!?」

思春

「旗だと?ちょっと待て」言いながら、思春はめを細めて劉備の軍が居る小高い丘を注視する。

思春

「劉旗の他には、張、馬、趙に諸葛と鳳だな」

向田

「関羽の旗はっ!?」

思春

「ないな……ないだとっ!?」

向田

「不味い……っ!スイっ!」

スイ

『な~に~?』

向田

「川の幅いっぱいに巨大化して、水の流れをせき止めるんだっ!」

スイ

『分かったぁ~』

向田

「雪蓮っ!蓮華っ!」

蓮華

「どうしたっ!」

向田

「早く!早く渡河を終わらせるんだ!スイが川をせき止めてる間にっ!」

雪蓮

「え?ど、どういう事?」

向田

「良いから早く!」

蓮華

「わ、分かった!全軍駆け足!向こう岸まで駆け抜けろ!」

兵士達(モブ)

「「「「お、応っ!」」」」蓮華の号令を受け、兵士達が必死になって川を渡っていく。

向田

「動くとしたらそろそろだ……みんな早くっ!」

 

~その頃、川上では(視点なし)~

 

兵士a(モブ)

「関羽将軍!呉の部隊が渡河を始めました!」川上でこの機会を狙っていた関羽と部下の兵士が待機していた。

関羽

「よし!……孫策、孫権よ。桃香様に闘いを挑んだ事を後悔するが良い……準備は良いな!」

兵士a(モブ)

「はっ!」

関羽

「私の合図と共に堰を切れ!」

兵士a(モブ)

「了解です!」そこへもう1人の部下が報告にくる。そしてこの劉備軍の作戦は、まんまと失敗する事となる。

兵士b(モブ)

「例の怪物の一体が、川をせき止めています!更に呉の軍勢も渡河速度を上げています!現在、半数が既に渡河を完了!」

関羽

「くっ、呉の御遣いに気付かれたか……行くぞ!三、二、一……堰を切れーーーーっ!」

兵士a(モブ)

「応っ!」

 

~向田視点~

 

蓮華

「渡河の具合はどうかっ!」

「現在、部隊の三分の二は渡河完了してます!」

亞莎

「主力部隊は渡河を完了し、方形陣を敷いて待機してます。あとは輜重隊と予備兵が───あ……今、全軍渡河完了しました!」

向田

「よぉーしスイ。もう良いぞ」

スイ

『はぁ~い』渡河完了して、最後にスイが元の大きさに戻って川からピョンと飛び出した時、物凄い轟音が聞こえてきた。川上から流れてきた濁流の音だった。

ドラちゃん

『ゲッ……!何だよあれ!?』

向田

「あ、危なかった……」

亞莎

「まさか……!大水計とはっ!」

雪蓮

「損害はっ!?」

明命

「剛様の機転でスイが川をせき止めてくれたため、損害は殆どありません!」

フェル

『クッ、まさか罠だったとはな……我としたことが気づかなかったとは!』川上から仕掛けてくるとは誰も思わないぞ、劉備って結構えげつないな。しかし、フェルの気配察知が反応しないなんて意外だったな……

冥琳

「案ずるな。部隊が無事ならどうという事はない……雪蓮。すぐに下知を」

雪蓮

「ああ!全軍、すぐに態勢を立て直す!部隊の掌握を急げ!」

「はっ!」

 

~劉備陣営~

 

劉備

「お帰り、愛紗ちゃん。お疲れ様でした」

関羽

「はっ。ただ残念ながら、あまり効果は上がらなかったようです……」

隼人

「……惜しかったな」

趙雲

「兵を減らせなかったのは痛い……奴らの方が圧倒的に多いのだからな」

張飛

「なら鈴々達が頑張って敵を倒せば良いのだ!」

馬超

「そういうこった。よし、じゃあそれぞれ三千人をぶっ飛ばすのが目標な!そうすりゃ楽勝だって!」

趙雲

「やれやれ……当家の猛将達は揃いも揃って計算が苦手と見える」

馬超

「ぐぬっ……バカで悪かったな!」

趙雲

「誰もバカとは言っていないさ……その計算に私も乗るのだからな!」

張飛

「バカがまた一人誕生したのだ……でも鈴々はこういうノリは大好きなのだ♪」

竜馬

「星だけじゃねえ。俺達も居るぜ」

隼人

「……あのバケモン共は俺達が殺る。手ぇ出すなよ」

慶子

「待ってなさい……ギッタギタにしてやるんだから」

呂布

「……恋もやる」

関羽

「ああ、楽しみにしてるぞ、恋」

呂布

「……(コクッ)」

劉備

「じゃあみんな。一人三千人ずつ倒しちゃって、孫策さん、孫権さんを追い払っちゃおう♪」

劉備軍一同

「「「「応っ!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は少々話を練るので、また更新は遅くなると思います。
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