とんでもスキルで真・恋姫無双   作:越後屋大輔

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話の展開上、郭嘉と程昱の扱いを変更してます。読んでいて「アレッ?」と思った人は前話を再チェックして充て下さい。恐らく修正してあります。(何せ前話から、かなり期間が空いたので……)繋がらないようでしたらご一報を。


第四十九席曹操、操られているのこと

 夏侯淵の話では近々、(つまり今日ね)孫呉と決着をつけるため、再び戦をふっかけようと準備をしていたらしい。そして先遣隊として夏侯姉妹と先ほどの少女達、軍師2名が俺達の陣の近くまで来たそうだが……

 

~時は少し戻り、魏軍の陣(視点なし)~

 

夏侯惇

「皆、もう少しで華琳様の部隊と合流出来る!孫呉との闘いの前に気を引き締めておけ!」兵士に檄を飛ばす夏侯惇に妹の夏侯淵が話しかける。

夏侯淵

「……姉者」

夏侯惇

「ん?何だ?」

夏侯淵

「おかしいと思わないか?」

夏侯惇

「何?」

程昱

「どうかしましたか~?」

夏侯淵

「いや……季衣(きい)。城から退く間際、間違いなく本城に伝令を出したな?」季衣と呼ばれた少女、許緒は夏侯淵の問いに答える。

許緒

「勿論出しましたよ?流琉(るる)と一緒に。ね?」許緒は隣にいる仲良しの典韋に同意を求める。

典韋

「はい。でもそれがどうかしたんですか?」

夏侯淵

「……なのにナゼ、華琳様はまだこの近くに来ていない?」

許緒

「ほえ?どういう事です?」

夏侯淵

「華琳様のことだ。伝令が来た段階で疾風迅雷、すぐに軍を発するハズ。そうすれば既に孫策の軍とぶつかっていてもおかしくないハズだ」

典韋

「……確かに。けど噂ではここよりまだ先、二十里ほど前にしか軍を進めていないようです」

夏侯淵

「……華琳様に限って、このように遅々とした進軍をなされるだろうか?」

夏侯惇

「しかし出陣に際し、何かしらの遅れはよくあることだ……気にしすぎではないのか?」

夏侯淵

「それならば良いのだが……」

郭嘉

「華琳様の身に何かあったのでしょうか?……」

夏侯惇

「何っ!?それは捨て置けんぞ!急ごう!早く華琳様と合流しないと!」

許緒

「……コロッと態度を変えるんだから」

夏侯惇

「何か言ったか、季衣!」

許緒

「いーえ、何も!」

典韋

「二人共、痴話喧嘩はそれぐらいで!」

夏侯淵

「……姉者、急ぐぞ」

夏侯惇

「ああ!」そして夏侯惇達は曹操と合流するため、軍を後退させた。1人先走る夏侯惇は息を切らしていた。

夏侯惇

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」

夏侯淵

「幾ら急ぐといっても、急ぎすぎだぞ姉者。後続がついてこない」

夏侯惇

「しかし華琳様の部下として、その無事な姿を一刻も早く確かめないと……」

夏侯淵

「ふっ……一途な事だ」

夏侯惇

「ふんっ、何とでも言え」半ば呆れたような妹の言葉に膨れっ面の夏侯惇。その後ろから許緒と典韋、郭嘉と程昱がヒーコラ言いつつ、追いかけてきた。

許緒

「はぁ、ひぃ、ふぅ、へぇ……もぉ~、春蘭様、さきさき行き過ぎですよぉー!」

典韋

「こ、これは流石にキツい……」

郭嘉

「ヤバい、鼻血出そう……」

程昱

「それはいつもの事じゃないですかぁ~?」

夏侯惇

「ええい、これぐらいの強行軍でへばるな、軟弱者共め!」

夏侯淵

「相変わらず、華琳様の事となると周囲が見えなくなるな、姉者は」

夏侯惇

「放っておけっ!」

夏侯淵

「放っておこう……それよりも季衣。華琳様の部隊はどこかに見えるか?」

許緒

「うーん……特にそれらしいのは……あっ!」

夏侯惇

「見つかったか!?」

許緒

「はい……けど何か変ですよっ!?」

夏侯淵

「どうした?」静かに語りかける夏侯淵に、許緒は興奮気味に自分が見ている方向を指す。

 

 そこには輿(こし)に乗せられた曹操がいた。その目は虚ろで、焦点が全く合ってない。そしてその輿を担ぐのは、例の白装束の一味だった。

夏侯惇

「な、何だあれはっ!?」

夏侯淵

「華琳様が輿に乗っている……?」

典韋

「だけど輿を担いでいる奴ら、魏の兵士じゃないみたいですよ……」

郭嘉

「あの装束……道士や仙人と言われる者が好んで着るような装束ですね。だけど……これはどういう……」

程昱

「そういえば、この間から桂花ちゃんが行方をくらましてますが……何か関係があるんでしょうかねぇ~?」

夏侯惇

「分からん。分かっている事は一つ。あれは華琳様ではないという事だ!」

夏侯淵

「どういう事だ?」

夏侯惇

「華琳様ならば輿なんぞには乗らん!馬を駆り、戦場を疾駆してこそ総孟徳だろう!しかも見ろ!あの精気のない顔を!あのような姿を晒す方では断じてない!」

許緒

「そんな無茶苦茶な……」

夏侯淵

「いや……姉者の言葉にも一理ある」

郭嘉

「そうですね……もしかすると道士や仙人といった怪性(けしょう)の者共に操られておいでになるのかもしれません」

夏侯惇

「ならば助けるまでだ!」

夏侯淵

「待て姉者。落ち着け」

夏侯惇

「これが落ち着いていられるかっ!」

夏侯淵

「それでも落ち着け!……どんな怪性の者かは知らんが、曹魏の軍勢全てがその怪性の者に掌握されてしまっているのだ!そんな中へ無策のまま突撃しても、華琳様を助ける事など出来やしない」

夏侯惇

「なら華琳様を見捨てろとでも言うのか!」

夏侯淵

「私がそんな事を言うと思っているのか、姉者はっ!」

いつも冷静沈着な妹が珍しく声を荒げたのに流石に驚いて、一歩引く夏侯惇。

夏侯惇

「そ、それは……そうは思わないが、だが!」

夏侯淵

「だから落ち着けというに…… 華琳様は救い出す。絶対に…… それはこの場に居る皆の一致した意見だろう?」

典韋

「当たり前じゃないですか!」

許緒

「勿論です!」

夏侯淵

「ならば答えは一つだ」

夏侯惇

「どういう事だ?」

夏侯淵

「私たちには華琳様を救いたいという望みがある。だが操られているであろう曹魏の軍隊とぶつかる力は持っていない……持っていないのならば借りるまでだ」

夏侯惇

「借りるだと?一体誰に……」

程昱

「唯一、白装束を相手にまともに闘えるあの怪物達。それを従える孫呉の御使い……向田剛と泉有希。彼らしかいないでしょう」

夏侯惇

「な……っ!?そんな事が出来る訳ないだろうっ!孫呉は我らの宿敵だぞっ!?」

夏侯淵

「出来なくともやるしかない……軍隊を持たぬ我々にはそれしかないのだ」

許緒

「他の城に居る魏の兵士達を集めて、それから闘うっていうのはダメなんですか?」

夏侯淵

「それでは時間が掛かりすぎる」

郭嘉

「時間が掛かれば掛かるほど、華琳様の置かれている状況がどう変わるかが分からなくなりますからね」

夏侯淵

「うむ。そういう事だ」

夏侯惇

「だがその二人が我らの言葉に耳を貸すか?華琳様を助けたとしても、奴らには何の得もないのだぞ!」

程昱

「仮に彼らが協力してくれる意思があるとしても……孫策さん始め、呉の皆さんは納得しないでしょうねぇ~」

夏侯淵

「孫策には見返りに、魏領を丸ごとくれてやれば良いではないか……どうせ華琳様が居なければ成り立たない国なのだから」

程昱

「そうですね。華琳様さえご無事ならば、いくらでも取り返しはつきますから。一先ずは国を明け渡す方針でいきましょう」

夏侯惇

「それはそうだが……」

郭嘉

「しかしそれだけでは……」

夏侯淵

「納得しろ、姉者、稟。今はこれしか方法がない」

夏侯惇

「だが奴らは男だ……我らにどんな要求をしてくるか分からんぞ」

夏侯淵

「ふんっ。我々の身体などいくらでもくれてやれば良い。華琳様を取り戻せるなら安いモノだ」

夏侯惇

「……そうだな。華琳様の事こそ、今、一番大切な事だったな」

典韋

「じゃあ……」

夏侯惇

「……ああ。秋蘭の案に賛成する」

夏侯淵

「ありがとう……では再び道を戻るとしようか」

許緒

「ええ。孫呉の陣地まで……」

郭嘉

「私と(ふう)は劉備のところへ……一先ず華琳様へ攻撃しないように頼んできます」

夏侯惇

「ああ……(待っていて下さい、華琳様……!必ず……必ず私達が助けてみせますからっ!)」

 

~向田視点~

 

夏侯淵

「いや、単刀直入に言おう……私達はあなた方に力を貸してもらいたくてここに来た」夏侯淵は雪蓮でも蓮華にでもなく、俺と優希君に目を向けて言い出す。

向田

「つまりフェル達に協力を要請したいって事?」なんだろうけど、ナンでまた?しかし詳しい話を聞かないと何とも言えないな。

有希

「どういう事だ?」有希君は用心しながら問い質す。

許緒

「どういう事かこちらが知りたいけど……実は華琳様、いえ我らが主、曹孟徳様が何者かによって拉致されたんです」何だって!?

向田

「それって白装束の!?」思わず大声を上げて聞き返す俺に、魏の全員が頷く。

亞莎

「えっ!?ら、拉致ですかっ!?」

明命

「魏の王たる曹操殿が拉致!?どうしてです!?」

典韋

「ナゼかは分かりません。だけど今、我らが主、曹操様の身は何者かによって自由を奪われているのです」

雪蓮

「それは大変ねぇ……」雪蓮……随分呑気だな(呆)

夏侯惇

「だからこそ助けたいのだっ!だが相手は何者とも知れぬ。それに曹魏の兵達を全て掌握されては、兵を持たぬ我々では近づく事が出来ない……っ!」呑気な雪蓮に対し、夏侯惇は必死だな。ま、分かるけど。

夏侯淵

「今の我々は無力だ。だが噂に名高い魔獣五体を連れたあなた方なら対抗が出来る……」

冥琳

「それで向田達に助けを求めようと、わざわざ敵陣に訪ねてきた、という訳か……」

許緒

「ええ。今のボク達にはそれしか曹操様を救う方法がないから……」

夏侯淵

「だから……向田殿、有希殿。我らが主、曹孟徳を助けてもらえはしないだろうか?」う~ん、これは厄介な事になったぞ……そうはいっても、雪蓮の命を狙った于吉の配下らしい連中を傘下に入れてた曹操を助けるってのも何だかなぁ……

蓮華

「何を都合の良い事を……姉様の命を卑怯な真似で奪おうとしておきながら!」

「確かに。我が軍に曹操を助ける義理はないのう」

冥琳

「と、いう訳だ。申し訳ないがお引き取りを……」孫呉の仲間達が口々に助力を否定する。そんな中……

フェル

『……待て』え?えっ?フェル、どうしたの?さっきまで欠伸までして退屈そうに話を聞いていたフェルが、口を挟んできた。

フェル

『面白そうではないか。我は助けてやっても良いぞ』意外な事を言い出したフェル。

蓮華

「しかし、こいつらは……!」

フェル

『あの一件は例の白装束共の仕業。こやつらの意思に沿ったモノではないのだろう?』蓮華は奴らを配下に置いた曹操の責任、と言い返したいんだろうな。しかし、流石にフェル相手では分が悪いのか言葉を切る。

向田

「確かにそうかもだけど……」

フェル

『正直、我は曹操なんぞどうなっても良い。だがあの白装束共だけは皆殺しにせねば腹の虫が収まらんでな』ありゃ、こいつまたツンデレた発言を……(ニタァ)。

有希

「僕はその戦には参加してませんが……イヤ、だからこそ、かな?助けるのもやぶさかじゃありません。それに本当の悪は左慈と于吉でしょう?あいつらを倒さなければ、きっとこの大陸に平和なんて訪れませんよ」

フェル

『ほう……お主、中々に考えておるな』チラッと俺に視線を移してから有希君に感心するフェル。へいへい、考えなしの阿呆で悪うござんしたね。

プリウス

『ご主人が行くならボクもついて行くっス!』

ジョージ

『オイラだって!』

ドラちゃん

『丁度良いぜ。奴らなら遠慮なく殺せるしな!』えっとドラちゃん?今まで遠慮してたの?そうは見えなかったんだけど……

スイ

『あるじが行くならスイも行くよ~♪』有希君もクィンテットもヤル気満々だな。それなら……と、俺はまず雪蓮に頭を下げる。それだけで雪蓮は俺の意図を察してくれたようなので、今度は魏の連中に向き直った。

向田

「……曹操の状況を知ってる限り教えてくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回……ひょっとしたら劉備のトコへ行った郭嘉と程昱についても書くかも?

原作との違い
・北郷軍に訪れる夏侯姉妹、荀彧、許緒→真・恋姫をメインにしているので典韋が加わり、行方不明の荀彧が抜けている。郭嘉と程昱は劉備の元へ。
・曹操奪還の助力を一度は拒否した北郷達を馬超が説得→白装束にムカついているフェルが参加表明して、最終的に向田が引き受ける。
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