とんでもスキルで真・恋姫無双   作:越後屋大輔

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ね、眠い……昨夜殆ど寝付けなくて、この機会に書き進んでいつの間にか朝……


第五十ニ席向田、曹操を救わんとするのこと③

 互いの力は伯仲しているが、自らの意思と忠誠心で動く呉に対し、人形の如く操られた于吉の軍では気の持ちようの違いなのか、少しずつだが呉側が優勢になりつつあった。

夏侯惇

「闘いが始まったな」

典韋

「ええ。敵の目が孫呉に向いている今が好機です」

夏侯淵

「機会は一瞬だ……もう一度手順を確認するぞ」

夏侯惇

「私と季衣で敵軍を攪乱(かくらん)。混乱する敵の隙をついて流琉と秋蘭が華琳様を助ける……皆、ぬかるな」

許緒

「任せておいて下さい。華琳様を助けるためならボクは命だって賭けちゃいますから」

夏侯淵

「命の賭けどころを間違うなよ……犬死には許さんからな」

許緒

「分かってますって♪」真剣な顔で諌める夏侯淵に許緒は敢えて笑顔で答える。

夏侯惇

「……ならば行こう。我らの主を取り戻すために!」

夏侯淵

「ああ……っ!」

 

夏侯惇

「うぉぉぉぉぉぉーーーっ!」

許緒

「てやぁぁぁぁぁーーーっ!」敵陣地へ飛び込んでいった夏侯惇は愛剣「七星餓狼」を。許緒は巨大鉄球「岩打武(いわだむ)反魔」を振りかざし、敵を滅していく。

許緒

「秋蘭様ぁ!今ですよぉ!」

夏侯淵

「分かっている!流琉!」

典韋

「はいっ!……華琳様!」曹操へ手を伸ばす典韋。だがあと一歩というところで于吉に気付かれ、引き剥がされる。しかも于吉は典韋に目もくれず、戦況を眺めながらのんびりした様子で次の手を考えていた。

于吉

「ふむ……さすが召還された勇者、泉有希。中々やりますね。それに孫呉の連中も……厄介なことだ。しかし、このまま押されてしまうのも興がない……そろそろ例の駒を使いましょうか」余裕の笑みすら浮かべる于吉に歯軋りして悔しがる典韋。だが……

??

「んなことさせねぇーっ!」誰かが于吉に向かい、突撃してきた。

??

「伸びろっ、如意棒ウォーーー!」手にしている棍棒が金属にはあり得ない伸長を遂げ、于吉の横腹に刺さる。

于吉

「グハッ……!」思わず顔を歪めた于吉は自分を殴り付けたのが、見知った相手なのに気付く。

于吉

「……っ!悟空っ!?」于吉は何か問おうとしたが、悟空は無視して、如意棒でひたすら于吉を打ちのめす。

??

「……流琉っ、華琳様をこちらへっ!」于吉と白装束軍に隙が出来たのを見計らった楽進達三羽烏が曹操を抱き上げ、輿から下ろす。

夏侯淵

「凪、真桜、沙和!お前達無事だったのか!」

楽進

「はいっ!」

典韋

「秋蘭様、ここは一先ず撤退を!」

夏侯淵

「そうだな。当初の計画とは違ったが……話はあとだ。姉者ぁーっ!」

夏侯惇

「おうっ!」

夏侯淵

「華琳様と流琉が下がったぞっ!」

夏侯惇

「分かった!季衣、私達も下がるぞ!」

許緒

「あはは……春蘭様……それはムリかもぉ」

夏侯淵

「どうしたっ!?」

許緒

「周り……囲まれちゃいましたぁ…」いつの間にか白装束が夏侯惇、夏侯淵、許緒の周りで円陣を組んでいた。

夏侯惇

「くっ……」

白装束

「……」

夏侯淵

「……次から次へと、良くもまあ涌き出てくるものだな」

夏侯惇

「ああ。だが邪魔立てするなら容赦はせん……例え元が魏の兵士であったにしてもだ」

夏侯淵

「無論だ。可哀想だが逆らう者はここで皆殺しにする……華琳様を助けることが出来た以上、我らはあの方の下へ戻らなければならないからな」

許緒

「へへっ……久し振りに三人で大暴れしましょ♪」

夏侯惇

「そうだな。後顧の憂いがなくなったのだ。我が大剣存分に振るわせてもらおうっ!準備は良いな、秋蘭、季衣」

許緒

「はーい!ボクの方は準備万端ですよ♪」

夏侯淵

「ふ、無論だ……背中はこの私が守ってやる」

夏侯惇

「ならば我らに敵はなし……ふふっ」

夏侯淵

「何を笑っている?」目をつり上げながらも、口許に不適な笑みを浮かべる姉に問う夏侯淵。

夏侯惇

「なに……華琳様と秋蘭、そして季衣。三人と共に戦乱を治めるために()った日のことを、ふと思い出したのだ」

夏侯淵

「なるほど。ふふ……あの日の血の(たぎ)り、久しく忘れていたな」

夏侯惇

「ああ……撃ち殺した敵の血をすすり、苦悶の悲鳴を浴びながら邁進した日々……それを思い出す」

夏侯淵

「ふっ……残忍な顔をしているぞ、姉者」

夏侯惇

「私は魏武の大剣……残忍こそが我が誇りよ」

許緒

「やーん♪カッコイイです、春蘭様ぁ~!ボク、惚れ直しちゃいました♪」

夏侯淵

「私もだ……さすが我が姉者。頼りになる」

夏侯惇

「その言葉、この包囲を突破してから聞こう……行くぞ!秋蘭、季衣!」

夏侯淵

「ああ!」

許緒

「はいっ!」夏侯惇は剣を抜くと、白装束へ高らかに言い放つ。

夏侯惇

「聞け!妖に( あやかし )魅入られし兵ど( つわもの )もよ!我が名は夏侯元譲!魏武の大剣なり!魏武の誇りを忘れ、走狗と成り果てたうぬらの命、羅刹となりて喰らい尽くす!覚悟せい!」そして抜いた剣を構え、敵の中へ突っ込んでいく。

夏侯惇

「いざ……参るっ!」その頃、曹操を取り返された于吉は何とか悟空を振り切って、前線を離脱した。

于吉

「駒を逃がしてしまいましたか。所詮傀儡は傀儡……役に立たないモノですね、まぁ良いでしょう。ならば魔物の増援を出して奴らを蹴散らしてしまいましょうか……」

 

亞莎

「前方に狼煙が上がりました!夏侯惇さん達が曹操さんの救出に成功したようです!」

思春

「よしっ!」

明命

「はいっ!あとは目前の敵を粉砕するのみです!」

雪蓮

「そうも言ってられないかもよ……」眉を歪ませて苦笑いする雪蓮が見つめる先には、どこから現れたのかゴブリンとリザードマン、オークの大軍が白装束と入れ替わるように夏侯惇達3人に迫ってきた。

思春

「ザッと見て七、八万匹とでしょうか……」

亞莎

「人間ならともかく……私達ではどうしようもない、ですね……」

蓮華

「……ここは有希達に任せて、我々は退きましょう」

「その方が良さそうじゃの……」

雪蓮

「アラ?祭のことだからてっきり、張り切って前線へ出ると思ったけど?」

「……策殿、儂を何だと思ってなさる?」

「まぁまぁ……雪蓮様、祭様。蓮華様の仰る通り、私達はさっさと逃げちゃいましょう~♪それじゃあ~有希さ~ん。あとはよろしくお願いしま~す」

有希

「はいはい(タメ息)ったく、気楽に言ってくれるな……」

フェル

『構わんだろう。我らとお主ならあの程度、物の数でもあるまい』

プリウス

『……相変わらず自信家っスね。フェルは』

有希

「ま、グダグダ言ってもしょうがないし……闘るか!」

フェル・ドラちゃん・プリウス・ジョージ

『オウッ!(はいっス!)』

 

 魔物の大軍に苦戦していた夏侯惇達。典韋と三羽烏も加勢するが、曹操を守りながらの闘いは困難を極めた。

夏侯惇

「クソッ、化け物共っ……!」

夏侯淵

「こいつら……いつまで涌いて出る!?」

典韋

「屠っても屠っても、キリがありません!」

許楮

「ア、アハハ……これはマズいかも~(汗)」

楽進

「春蘭様達がっ……!」

李典

「けどウチらは華琳様、連れて帰らなあかんし」

于禁

「どうしよう、なの~……」助成に入れず、立ち往生する彼女達の前に有希達が駆けてきた。

ゴブリン(モブ)

『ギギッ!』知能が低いゴブリン達は、品のない雄叫びを上げるだけ。

有希

「ここは僕らが引き受けます!早く下がって!」

オーク(モブ)

『ブヒッ♪』本能で女を襲うオーク達は獲物が多いと思っているらしく、下卑た笑いを浮かべる。

リザードマン(モブ)

『シャーッ!』リザードマンは敵の強さが分からず、威嚇の声を有希達に向けるが、

フェル

『フハハッ、やっと出番か』そんな魔物達に対して不敵な笑みを讃えるフェル。

ドラちゃん

『ふぁ~あ……待ちくたびれたぜ』ドラちゃんは欠伸をしながらも、敵へ鋭い眼差しを向ける。

プリウス

『覚悟するっスよぉ!』気合いが入って鼻息の荒いプリウス。

ジョージ

『こいつらまとめて地獄行きだぁ♪』思いっきり派手に暴れられると、ハイテンションのジョージ。

??

『あっ、みんなズルーいっ!』 

 

~向田視点~

 

 劉備との話し合いを終えた俺と冥琳は、慶子を蜀に引き渡してから魏の軍師2人を連れて呉の陣営に戻ってきた。そこには夏侯姉妹と許緒に典韋、他に見知らぬ顔が3人。呆けている曹操を支えているから、恐らく彼女達も魏の武将なんだろう。

 戦地に目を向けるとこちらの兵と夏侯惇達は後退し、入れ違いに有希君、フェル、ドラちゃん、プリウス、ジョージが前線に進んでいる。

スイ

『あっ、みんなズルーいっ!』スイがみんなの後を追いかけて行っちゃった。あっ、これ魔物達死んだな……

 

それからは、まあ……有希君の一人舞台もとい、クィンテットとの6人舞台だったよ。

 

 ヒュンッ!ヒュンッ!

 ザシュッ!ザシュッ!

 ドスッ!ドスッ!

 ビュッ!ビュッ!

 ドシンッ!ドシンッ!

 バラララッ!バラララッ!

 

 有希君のゴッ○ゴー○ン。フェルの爪斬撃。ドラちゃんの氷柱落とし。スイの酸弾。プリウスのボディプレス。ジョージの分身攻撃。これに勝てる奴が居る訳がない。むしろ居るなら俺の方が知りたいぐらいだ。相変わらずのTUEEEEぶりを発揮する6人。瞬く間にゴブリンもリザードマンも全滅させていた。

 

典韋

「た、頼もしすぎる……」

夏侯惇

「私達はこんな連中と闘おうとしていたのか……」

許緒

「た、闘わなくて良かった……」

夏侯淵

「ああ。間違いなく死んでいたな……」魏の連中、揃ってポカーンとしてるよ。まあ、俺に言わせりゃこいつら、これが通常運転だけどね。ところで……

 

向田

「于吉と闘っているのは?」あれって、どう見ても子供だよなぁ……

夏侯惇

「私も気になっていたが……凪、あいつは一体?」

楽進

「あの加勢してくれている少年。名を悟空というそうです。我らも今日初めて会ったのですが」

李典

「ホンマ、小っこいのにメッチャ強いんでっせ」

于禁

「沙和達、ちょっとだけ手合わせしたけど……三人がかりでも勝てなかったの~」マジで?この娘達も曹操の下に居るってことは、一端(いっぱし)の将なんだろう?それがあんな子供1人に勝てないって、どうなってるんだ?とりあえず鑑定してみっか。

 

【 名 前 】悟 空   

【 種 族 】 ?

【 レベル 】 ?

【 体 力 】 ?

【 魔 力 】 ?

【 攻撃力 】 ?

【 防御力 】 ?

【 俊敏さ 】 ?

【 武 器 】如意棒

 

 ハァ!?なんじゃこりゃ?名前と武器以外、全部計測出来ないって……どうなってんの?

フェル

『……うむ』何がうむだよ、フェルの奴。俺に分かるように説明してくれ。

フェル

『どうやらあの小童(こわっぱ)、我らの前に何度か現れた彼奴の仲間のようだな』彼奴って……ひょっとして貂蝉か?そんなことを考える俺に

白装束(モブ)

「御使い死すべし!」成りを潜めていた1人の敵兵が、剣を閃か( ひらめ )せて襲いかかってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




更新が不定期でスミマセン。
m(TT)m

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