( ̄∇ ̄;)
雪蓮
「ふぅ……あぁ~~……腹立つ~……」雪蓮、まだ怒ってるよ。当然っちゃあ当然だけどさ。
冥琳
「お疲れ様……その様子だと吉報はなさそうね」
雪蓮
「また約束をはぐらかされたわ……むかつくったらありゃしない」えっ、今回だけじゃないの?そりゃ腹も立つ訳だ……。
穏
「……袁術さんの狙いは、精強で鳴る孫家の軍団を扱き使う事でしょうからねぇ~」
冥琳
「本人達は意図を隠しているつもりらしいがな」あれでかよ……ひょっとしてバカなのか?
雪蓮
「ミエミエ過ぎるから余計にむかつくのよ」
祭
「全くじゃ」
冥琳
「しかし、腹が立つからといって、今、袁術に楯突くのは得策ではなかろう……雪蓮。もう少し機が熟すのを待ちましょう」
雪蓮
「分かってる。分かってますってば。でも……むかつくのは止められないのよ」
向田
「まぁまぁ雪蓮。今日のところは袁術のアホの事は忘れよう。俺、旨い晩メシ作るからさ」理性と感情の板挟みになって、雪蓮も大変だね。アレ?そういや、さっきからフェル達の姿が見えないけど……
祭
「ああ。あの三匹なら、黄巾党相手では物足りないと言うての。山へ狩りに行ってくるそうじゃ」何やってんだ、あいつら。
それから間もなくして帰ってきたトリオはドえらいモンを獲ってきた。
向田
「……何だよ、これ(疲)」
フェル
『うむ、サラマンダーライオンだ。意外にも旨いぞ』フェルが引き摺ってきたのは、蜥蜴の尻尾を持っていて、よく見ると頬とか額等、顔面の一部に爬虫類の鱗に覆われた巨大なライオンだった……。
向田
「こんなの獲ってきても解体なんて、まずムリだからな」頭を押さえてため息を吐く。
フェル
『ん?解体ならこの前あちらの大陸に帰った時に学んできたではないか』こんな奴を解体する方法なんて教わってねーよ!もうどうすんだよ?
冥琳
「こんなの料理出来るのか?」
穏
「見た限りでは到底食べられそうな気がしませんよぉ~」ですよねー。一応鑑定してみるか。
【サラマンダーライオン】Sランクの魔物。食肉可。美味。
これ旨いのか。確かに今までもキマイラとかドラゴンとか、見た目からは想像つかない旨い肉はあったけどね。ハムカツもまだ在庫があるし、カレーリナには帰ったばかりだから今回は見送りだな。屋敷に戻ったら昨夜のミノタウルスの肉を使ってもう一品何か作ろう。
さてこれから作るのは肉料理の定番中の定番、ハンバーグだ。ちょうど牛肉(ミノタウルス)と豚肉(オーク)があるし、それぞれ牛OR豚100%のハンバーグと合挽きの3種類にするか。フェル達のは大きめにして、人間用はハムカツも付けるし、一口サイズにしよう。形も肉によって3つにした方が分かりやすいな。
スイが作ってくれたミスリル製のミンサーでそれぞれの肉を潰し、挽き肉を作る。そしたらハンバーグのタネ作りだ。卵は提供して貰えたし、玉ねぎのみじん切りはアイテムボックスに入れてあったから後はパン粉をネットスーパーで購入、それらを混ぜ合わせたら粘り気が出るまでよく練る。ミノタウルス肉は長方形に、オークは三角に、合挽きは丸に成形してから焼いて、いつもと同じケチャップとウスターソースで作ったタレを絡めたら適度に生野菜を盛った皿に乗せて完成だ。付け合わせはパンより米だね。やはり中国的なだけにこの大陸では米が主食だった。今朝も食パンは珍しがられたしね。
祭
「メシついでに何か酒のつまみも欲しいのぉ」と、祭さんからリクエストがあり同時進行でフライドポテト&オニオンも揚げていく。ビールは勿論、エール等いわゆる発泡酒はないけど、揚げ物って案外どんな酒にも合うんだよな。で、ポテトはサッと塩をまぶしてオニオンにはタルタルソースを添えて、ハンバーグとオニポテセットが完成した。今日は屋敷にあるダイニングでみんな揃って食事にする。
向田
「メシだぞ~」ハンバーグとオニポテをデカい皿へ山盛りにして、フェル達に出す。雪蓮達のハンバーグは使用人さん達が配膳を手伝ってくれた。
雪蓮
「肉をワザワザ細かくして焼く必要ないと思ったけど、これも美味しい。揚げた燻製肉も絶品じゃない♪ねえ、剛は軍師見習いより料理番の方が良いんじゃない?」
冥琳
「戦場で料理番専門って……聞いた事ないわね……」
祭
「牛頭と二足猪の肉を混ぜるとは、中々凝っておるんじゃな。燻製肉の揚げたのも飯が進むのぉ」あっ、オークはこの大陸にも居るんだ。しかも二足猪って呼ばれてるし……そのまんまじゃん。
穏
「剛さん、お嫁に欲しいですね~。婿には要りませんけど~」イヤ、意味がわからん。とにかく概ね好評だね。うちのトリオの反応はどうかな?
フェル
「野菜なぞ要らん」が口癖のフェルだけどオニポテは好みに合ったようで、
フェル
『うむ。これは良い』とか偉そうに言いながら食っている。
ドラちゃん
『ハンバーグって旨えなあ。俺、初めて食ったぜ。それに玉ねぎを揚げたのもホンノリ甘くて、肉との相性バツグンだよな』ん……?ドラちゃんにハンバーグは出した事なかったっけ?まぁ気に入ってくれて良かったよ。
スイ
『ハンバーグも美味しいけど、スイはポテトも好き~』ドラちゃんはオニオン派でスイがポテト派か。3種類のハンバーグの好みはどうだろう?
フェル
『我はミノタウルスだけのが良い』
スイ
『スイは~オークさんの方かなぁ?』
ドラちゃん
『俺は断然合挽きってヤツだな』おお、見事に三者三様に分かれたな。そういや以前にメンチカツを作ったけど、その時もフェルはビーフ派、スイがポーク派だったな。当時はドラちゃんが居なかったけど。それより俺も自分の分を食おう。そうだ、ビールも買っとこう、今日はS社のプレミアムなヤツにしとくか。
俺がビール片手にハンバーグをモリモリ食ってると、4人(特に雪蓮と祭さん)がジィ~ッと俺を見つめている。
雪蓮
「ね~、それってお酒!?」雪蓮が前のめりに俺に詰め寄ってきて、お互いの顔が1センチぐらい手前まで近づく。だ~か~ら~っ、見た目は美女なんだからそんなに引っ付かないでって!
祭
「策殿。少し落ち着き召されい」祭さんが止めに入ってくれて、雪蓮もどうにか引っ込んでくれた。
雪蓮
「だって剛ってば、自分だけ珍しいお酒呑んでるんだもん。気になるじゃない?」
祭
「全く。幼子じゃあるまいし、
向田
「言ってくれれば購入しますよ」俺はネットスーパーからとりあえず2本、缶ビールを買って2人に差し出す。後から更に2本、こちらは冥琳と穏に手渡した。
祭
「催促したようでスマンのぉ……ん?これはどうやって呑むのじゃ?」
向田
「ああ。これはですね……」缶ビールのプルトップの開け方をレクチャーしたら、早速雪蓮はビールを煽り出したよ。しかも喉から、メッチャ良い音鳴らしてるし。
雪蓮
「プハーッ、これ良いわね。喉の奥がシュワシュワと痺れる感じが最高!」
祭
「酒精はさほど強くなかろうが、これはクセになりそうじゃ。芋や玉ねぎも良いつまみになるわい」
冥琳
「全く……結局二人共、向田からたかっているんだから……う!これは……♪」
穏
「……うぅ苦いです~」穏はともかく、雪蓮、祭さん、冥琳は好きな味のようだ。反応もそれぞれだな。この後うちのトリオはいつも通り、ケーキやプリンを要求してきて、雪蓮達はビールのお代わりを欲しがったので両方共、沢山買ったよ。特に缶ビールは段ボールに3つも。両極端もイイトコだよ……。
~視点なし~
荊州に攻め込んできた黄巾党は、孫策達の活躍によって撃退された。しかし、それは黄巾党の暴乱の中の、一地方での出来事に過ぎなかった。
大陸の各所に飛び火した黄巾党の暴乱は、まるで火薬庫にロケット花火を打ち込んだように、次々と爆発を起こした。暴乱が暴乱を呼び、暴力が暴力を呼ぶ……阿鼻叫喚の地獄絵図と化した大陸の大地は、明ける事を知らぬまま、多くの人々の命を吸い取っていった。その暴乱を鎮圧しようと、漢王朝が大動員をかけて官軍を形成し、黄巾党と対決したのだが……黄巾党の数の多さ、そして何よりも官軍の腰抜けぶりによって、黄巾党は各地で勝利を謳い、その規模をいよいよ膨らませていった。しかし、そんな官軍不利な情勢の中、各地の諸侯達が目覚ましい活躍を見せる。
許昌に本拠地を置く曹操。袁術の従姉にして、河北を抑える袁紹や、幽州の公孫賛が活躍すれば、義勇軍を結成し、各所で連戦連勝している劉備が頭角を顕す。実は劉備の義勇軍にはある秘密があるが、その種明かしはまたいつの日か……そんな英雄達の活躍により、黄巾党の勢いも次第に衰えを見せ始めていた。
そんな中──前の闘いと同様、再び袁術の使者が孫策を尋ねてきた。
黄巾党本隊と決戦し、撃破せよ──そんな普通なら無茶な命令を携えて。
再び袁術の元を訪れた孫策。今度は向田を同行させずにやってきた。
袁術
「──という訳での。今こそ黄巾党を殲滅する時機じゃと思わんかの?」
雪蓮
「時機はそうでしょうね……だけど私の兵だけじゃ撃破はムリよ」
袁術
「なんと。最近、民達に英雄とか祭り上げられておるようじゃが、その期待を裏切るつもりかの?」
雪蓮
「そういう事を言ってるんじゃなく……単純に兵数が足りないからムリだって言ってるのよ。黄巾党本隊の兵数は、どう少なく見積もってもザッと二十万。対する私の兵は、どう多く見積もっても一万がせいぜい。これじゃ話にならないわ。ただ……各地方に散っている呉の旧臣達を呼び寄せても構わないのなら、撃破する事も可能でしょうけどね……」
袁術
「ふむ。ならば認めてやるのじゃ。さっさと呼び寄せてすぐに出陣せい」
雪蓮
「……了解。袁術ちゃんはどうするの?」
袁術
「朝廷からの命令じゃ。妾も出るぞよ」
張勲
「私達は万全の準備を整えたあと、西進して黄巾党の別動隊を撃破するんです。孫策さんはお強いですから北方で黄巾党の本隊と闘って下さいね♪」
雪蓮
「無茶を言ってくれるわね……」
袁術
「孫策ほどの将ならば、強い敵の方が良いじゃろ。頑張って名声を得るが良いのじゃ」
雪蓮
「……とりあえず有り難うと言っておくわ」
袁術
「うむ、苦しゅうないぞ」
雪蓮
「じゃあこれで通達はお終い?」
張勲
「そうですね。後はいつ頃出陣するかの報告をお願いしますぅ」
雪蓮
「それは後で伝えるわ」
袁術
「分かったのじゃ。他に質問は?」
雪蓮
「ない」
袁術
「では下がって良いのじゃ……妾を喜ばせる戦果を期待しておるぞ」
雪蓮
「……ふっ」
袁術
「そうじゃ孫策」
雪蓮
「……まだ何か?」
袁術
「この前、一緒に来たあの男はどうしたのじゃ?」
雪蓮
「孫家の本城で待機中よ。それがどうかしたの?」
袁術
「イヤ、それなら良いのじゃ」
雪蓮
「そう。なら帰るわね」
孫策が帰ってから、袁術と張勲は2人だけでひっそりと話をしていた。
袁術
「……七乃ぉ。前回孫策に同行していたあの男、やはり噂の【天の御遣い】なんじゃろうかのぉ?」
張勲
「それはないですね♪例の【天の御遣い】ですが、どうも別の人の下に降り立ったそうですよ」
袁術
「そうか。なら安心じゃな♪」
張勲
「安心安心♪」暢気に笑い合う2人。実はあるどこかの平行世界において、そちらに現れし【天の御遣い】にフルボッコにされるのだが、それはまた別の話。
2020/07/07後記。辻褄が合わなくなったので、最後の一文を修正しました。