とんでもスキルで真・恋姫無双   作:越後屋大輔

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どうしてだろう?いっつも次回予告通りに話が進行しない……


第八席孫権、合流のこと

冥琳

「向田……少し考えていた事なんだが……次の闘いから、お前には常に戦場に出てもらおうと思う」突然、俺は冥琳にそう言われた。

向田

「……どうしたの、急に?」

冥琳

「うむ……雪蓮がお前を気に入っている事もあるんだが、それ以上に……今は袁術にお前の従魔の存在を知られるのを避けたいのだ。今はまだお前の【天の御使い】の名称が世に広まってはいない。しかしお前の名前が世に広まれば、恐らくは袁術が動き出すだろう」

向田

「あ……なるほど。手元において保護しておいた方が何かと安心って事か。その間、従魔達は元居た大陸に帰らせておくなりしておく、と」

冥琳

「相変わらず聡いな。そういう事だ」

向田

「だけど……俺にそんな価値、あるのかなぁ?」

冥琳

「天の世界……実際は海を越えた私達の知らない大陸だろうが、そういったモノに畏敬や尊敬の念を抱く者は多い……そしてそれを利用しようとする輩もな」なるほど、いかにもありがちな話だな。

フェル

『回りくどいな。そんな輩はさっさと潰してしまえば良いモノを……』だーかーらー……どうしてこいつは物騒な提案ばっかりするのかね?下手すりゃこの大陸全土がヤバい事になるぞ。そういう意味でもしばらくは、大人しくさせておいた方が良いかもね。

冥琳

「利用しようと言うのは私達も同じだが……まぁそういう事だ」

向田

「了解……みんなとはお互い利益を提供し合う事で関係が成立してるんだ。利用してくれて良いよ。俺も利用させてもらうから」

冥琳

「……ああ。すまんな」

向田

「お互い様だってば……でも、気にしてくれてありがとう」

冥琳

「……お前という存在は、呉の重要な力となる。心を配るのは当然だ」

向田

「ん。それでも嬉しいからお礼を言うんだ……ありがとう」

冥琳

「……それは計算か?」

向田

「えっ?」

冥琳

「……ふっ。違うな。天然で言ってるとしか思えん。そんなところが……」

向田

「へっ?どういう事?」

冥琳

「独り言だ。気にするな」一瞬だけニヤッと笑った冥琳は、その笑みをすぐに収める。

冥琳

「そろそろ斥候が戻ってくる。戦闘準備に取りかかろうか」そう言って、各部隊に指令を伝える為の伝令を各所に放った。だが──

斥候(モブ)

「前方に黄巾党の分隊を発見しました!向こうもこちらに気づいているようで、城を出て布陣するつもりのようですが、孫策様が……!」

冥琳

「孫策がどうした?」

斥候(モブ)

「前線部隊を率いて先行してしまって……」

冥琳

「何っ!?」

向田

「ちょっ……総大将自ら先行って!」

冥琳

「全く、世話の焼ける……!穏!向田!すぐに追いかけるぞ!」

「はーい!」

向田

「分かった!」馬を駆ける冥琳と穏。俺も雪蓮の元へ急ぐ。途中でフェルが意外な事を口にした。

フェル

『うむ、今までは我も、先走りが過ぎたようだ。今後はお主の気持ちも、少しは慮ら( おもんぱか )ねばな』

向田

「えっ?どういう風の吹き回し?」

フェル

『何の事はない。あやつを見てると先走るのも考えモノだと思ったまでだ』あ~、納得。冥琳って雪蓮にいっつも、振り回されていそうだもんなぁ。

「冥琳様ぁ~、前方に雪蓮様の牙門旗を発見!」

冥琳

「やっと追い付いた……!待ちなさい、雪蓮!」

雪蓮

「ムリだって。一度走り出した兵を止めたら、折角の突進力が無駄になるでしょ。大丈夫だって。黄巾党なんてすぐに蹴散らしてあげるから。じゃ、また後でね♪祭、行くわよ!」

「心得た!」

冥琳

「ああ、もう!(怒)穏、向田!戦闘準備だ!」

「はぁ~い♪」

向田

「お、おうっ!」

フェル

『この状況では我らも出ん訳にはいかんな』

スイ

『闘うの~?やった~!』

ドラちゃん

『ヨッシャ!今度こそ大暴れだ!』うちのトリオにも火が付いちゃったよ……はぁ。

冥琳

「突進する孫策隊、黄蓋隊の部隊を補佐する。左右に展開して敵を包み込む!行くぞ、孫呉の勇者達よ!我らの英雄、孫策を守れ!」

兵士達

「「「「応っ!」」」」しかしこの後の戦で、俺達はあまりに衝撃的な出会いをする事になろうとは……まだ誰も知るよしもなかった。

 

向田

「敵が崩れたっ!」

「前線部隊が速度を上げています……雪蓮様も祭様も流石ですねぇ~」 

冥琳

「……あまり褒めたくはないわね」勝利に一息吐きながらも、冥琳は苦い顔で前線を見つめていた。

冥琳

「帰ってきたら叱ってやらなくちゃ」

向田

「まぁ……総大将自ら先頭を突っ走って突撃しちゃったからなぁ……」

冥琳

「あの娘の考えている事も良く分かる……王として、指導者として。勇敢なところを見せなければならないって考えは間違ってはいないのよ。だけど……勇敢さを示す為に必要なのは、王の勇気と共に敵の質だ……黄巾党の如き雑軍相手では、ただの蛮勇にしかならん」

向田

「ご立腹だなぁ」

冥琳

「勇敢と蛮勇は違う。それに人の価値も違う……こんなところで雪蓮に傷がついたらどうする?……私が怒っているのはそういう事だ」

向田

「ごもっとも……と噂をすれば雪蓮が帰ってきた」

冥琳

「雪蓮っ!」

雪蓮

「うわっ、怖っ!?」冥琳の剣幕に押された雪蓮が、慌てた様子で俺の背中に隠れた……巻き込まないで欲しいんですけど。

冥琳

「総大将自ら軍の先頭に立って突撃するなんて。項王の真似をしているつもり?」えっと……項王って誰だ?何となく中国の昔の人っぽいんだけど。ホントにこの世界、古代中国に良く似ているよな。

雪蓮

「ごめんなさい……でもさ。やっぱり兵士達には私の勇敢な姿を見せないといけないじゃない?」

冥琳

「時と場合によるわ。いくら強大な敵だといっても、黄巾党はしょせん賊……賊相手に勇敢ぶっても、それはただの蛮勇にしかならない。それぐらい、貴女なら分かるでしょう?」

雪蓮

「うん……今後は気をつけます」冥琳に散々叱られて、シュンとする雪蓮。

冥琳

「……よろしい。じゃあ次からは私の指示に従ってもらいます。良いわね?」

雪蓮

「はぁ~い……」冥琳の念押しに、雪蓮は渋々といって様子で返事をする……賭けても良い。この人、絶対約束を守る気はないと思う。俺がコソッとそう呟くと、フェルとドラちゃんがウンウン頷いている。スイだけはキョトンとしていたけど。

冥琳

「穏。一隊を黄巾党の陣地に向かわせ、物資を確保しておけ。その他の部隊は蓮華(れんふぁ)様達との合流地点に向かう」

「は~い♪」

冥琳

「黄蓋殿は部隊を纏め、被害の報告を……その報告の後、雪蓮を止められなかった言い訳をして頂きましょう」

「うぐっ……わ、分かった。はぁ……」

冥琳

「どのような言い訳を聞かせて頂けるのか、楽しみにしておりますよ」ニヤリと笑った冥琳の顔は、まるで獲物を捕らえてほくそ笑むフェルそっくり……祭さん、ご愁傷様です。

 こうして──。初戦を何とか乗り切った俺達は、戦利品等を確保した後、孫権と合流する為に、更に北へと軍を進めた。

 

~視点なし~

 

??

「ふぅ……」顔はあまり似ていないが、孫策に良く似た雰囲気を醸し出している少女が溜め息を吐いている。彼女こそ孫権、その人である。

??

「どうかしましたか?」お付きの武官、甘寧が問う。

孫権

「……限りなく続く大地。忘れていたから、少し嬉しくて……」

甘寧

「軟禁状態になって早2年。まさか袁術公認で出陣出来るようになるとは思いませんでしたね」

孫権

「そうね。袁術がバカで良かったわ」

甘寧

「御意」

孫権

「でも、愚かだったお陰で姉様と合流出来る……いよいよ孫呉独立に向けての闘いが始まるのね」

甘寧

「はい。およそ半日後には雪蓮様に合流出来るでしょう……そこからが正念場です」

孫権

「そうね。心して掛からないと」

甘寧

「御意……しかし蓮華様。肩に力が入りすぎるのも良くはありませんよ?」

孫権

「え?……そんな風に見える?」

甘寧

「蓮華様の癖……とでも言うのでしょうか。立場がありますから気楽にとは言えませんが……時には、肩の力を抜くのも良い事かと」

孫権

「その言葉、肝に命じておくわ……ありがとう、思春」

甘寧

「はっ……」

孫権

「姉様……お元気かしらね」

甘寧

「雪蓮様の事です。必ずやお元気でいらっしゃる事でしょう」

孫権

「冥琳に迷惑を掛けっぱなしでしょうけどね」

甘寧

「その自由*1闊達さこそ、雪蓮様です」

孫権

「ふふっ、そうね。でも……確か、天の御遣いとか言っている男を拾ったという話だったわね。そういうのは良くないと思うんだけど……」

甘寧

「御意。ただ周瑜殿や黄蓋殿もお許しになっているからには、何か事情があるのでしょう」

孫権

「そうね……ただ、私は私自身の目で見て、考えた事のみを信じる。その男がどういった人物なのか……しっかり観察させてもらいましょう」

 

~向田視点に戻る~

 

「後方に砂塵あり、ですー。どうやら蓮華様達がやってきたみたいですよぉ♪」

冥琳

「流石蓮華様だ。蒼天中央に日輪が至る刻に……という合流時間をしっかりと守ってくれているな」

雪蓮

「そういう融通の効かなさが、心配ではあるんだけどねぇ……」誰かみたいな鉄砲玉より、よっぽど良いけどね。

向田

「真面目なんだなぁ」

雪蓮

「カタブツとも言い換えられるわよ?」

向田

「……そうなの?」

「まぁ色々と言い方はあるじゃろうが……孫家の人間として頑張っておられる御方じゃよ」

向田

「ふ~ん……」砂埃と共に近づいてくる孫家の牙門旗を見つめながら、まだ見ぬ孫権に思いを馳せる。──と、迫ってきていた牙門旗がピタッと止まり、人影がこちらに走り寄ってくる。

孫権

「お姉様!今、報告を聞きました!単騎で敵陣に突入するとは、どういう事ですか!」馬から下りた美少女が雪蓮に怒号を飛ばす。

雪蓮

「うわっ……?」

孫権

「貴女は孫家の家長にして呉の指導者!それがこんな闘いで蛮勇を振りかざしてどうします!」

雪蓮

「ご、ごめんなさい……」妹に叱られて、雪蓮はスッカリ意気消沈しちゃったよ。

孫権

「少しはご自分の立場を考えて下さい……貴女は我らにとって大切な大切な玉な( ぎょく )のですから」

雪蓮

「はぁ~~い……」ショボくれた雪蓮の返事に満足しないのか、少女は更に雪蓮へ説教を続ける。

向田

「……あれが孫権?」

冥琳

「ああ。雪蓮の妹にして孫呉の後継者だ」なるほど。髭モジャのオッサンじゃなくて良かったよ、ホント。

向田

「ふ~ん……確かにカタブツっぽいよな」

冥琳

「そういう側面もあるがな……だが……器で言えば、恐らく雪蓮よりも大きいだろう」

向田

「そうなの?」

「英雄に相応しい器と能力を持っておられる。あとは経験だけといったところかの」

「みんなに愛されてる、素晴らしい御方ですよ♪」

向田

「ふ~ん……」どうにもカタブツっぽい印象しか受けないんだけど。鑑定のスキルを使っても、性格とかは見られないし。

冥琳

「ああ言う事を仰るのは、ご自分の身分を弁え、且つそれを誇りに思っておられるからだろう……本当の蓮華様はお優しい方だぞ」

向田

「まぁ冥琳がそう言うなら、そうなんだろう」そもそも冥琳が俺に嘘ついても、あまり意味ないしね。

「どうしたどうした?口説き落とす自信がなくなったとでも言うのか?」自信がないというより……どう見てもU18だよ?元の世界の倫理観だと犯罪だからね。向こうの大陸じゃ結婚の平均年齢は14,5才と結構低かったけどさ。

向田

「元々女の子を口説く事に自信なんて持ってないってば……俺は俺として接するだけさ」

「それで良いさ……お、いらっしゃったぞ」無意識なのか、敢えてなのかは分からないけど、孫権がズカズカと足音を立てて俺ににじり寄ってきた。

孫権

「貴様が天の御遣いとか言われている男か」

向田

「……一応ね。ただ俺自身にその自覚はないかな」

孫権

「……胡散臭いわね」

向田

「そんなの俺自身が一番分かってるよ」

孫権

「ふんっ……どこの人間か知らないけど、お姉様を誑かす気ならば、すぐに立ち去りなさい」

向田

「……」初対面から厳しい態度で俺に問い質す孫権。それにナゼかうちの従魔トリオは不満そうで、フェルはグルルと唸り、スイはピョンピョン上下に跳び跳ねて、ドラちゃんは孫権へ敵意を込めた視線を送る。

孫権

「な、何?この大きな狼と小さい龍は?それにこの真ん丸いのは生きてるの?」

冥琳

「いずれも向田配下の従魔達です。下手をすれば我らの頸が飛びますので……」

フェル

『……オイ』フェルが低い声で孫権へ苦言を呈する。

フェル

『我らの主にその言い種はなんだ……態度次第では貴様をこの大陸ごと消し去るぞ』ちょっと!こんな所で争うなよ。お前相手に勝てやしないんだから!焦りまくった俺が孫権とフェルの間に割って入ると

孫権

「……ブクブク」あ~、泡吹いて気絶しちゃってるよ……何してんだよフェル~!

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
心が広く、小さな事に捕らわれないさま




前書きにも書きましたが、あまりにも予定通りにいかないので、今後は次回予告なしにします。
m(-_-)m
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