ダンジョン攻略していたらいつの間にか魔王に雇われていた件 作:とあるスライム好き
俺が目覚めたのは翌朝。場所はダンジョンの受付のソファー。
如何やら俺が復活しても目を覚まさなかったためここに運んだのだそう。
そして収入の件だがほぼゼロだ。
道中狩った魔物の魔晶石などはテンペスト・サーペント戦で落としてしまっていたようだった。
そして、テンペスト・サーペント戦で手に入れた戦利品は何もない。分かっていた事だが辛いなあ・・・
ただ、失った足も腕も元通りに治っていた。これだけはいい点かな。
しかし失った物が多すぎた。岩は手持ちは全て失って、得たものはなし。
そんな感じで俺がトボトボ、宿に戻って来た時、
「おーい。サトー。丁度良かったさっきなんかアンタに渡してくれって言ってゴブゾウの奴が渡してきたんだよ。なんかヤバい事でもあったのかい?まあゴブゾウが届けに来るぐらいだから大したことないと思うけどね」
そう言いながら、宿の管理人さんに手紙を渡された。
どうでもいい話だがここの管理人さんはゴブリナだ。勿論
あと、
見かけは気強いイメージだが、案外と親切でこの街に来て間もない頃は色々と教えてもらった。
さて、話を戻すが、警備の人が俺に手紙を送る。
うん確かにゴブナさんの言う通りヤバいかもしれない。
「そうなんですか?うーん・・・思い当たる事は無いですね」
腕を組み、堂々と噓をつく。
思い当たる事はある。うん、昨日あったことかな。たぶんだけど・・・。でも言ってどうこうなることじゃないし、黙っておこうと思う。
面倒なことになる気しかしない。
こうして俺は部屋に戻って、ダンジョンの出入り禁止命令とかだったらどうしよう・・・とか考えながら手紙を開けた。
そこで俺は仰天することとなった。
なんせその手紙の送り主はこの国の国王
大魔王 リムル=テンペスト
だったのだから。
*
「やっぱり勝ったか」
アイツの目は、戦いを楽しんでた。それなのに慎重に挑んでいる。そして「勝つ」という確固たる意思を持っている。そういうやつは強いのだ。
特に最後の気丈は凄いな。
いくら死んでも蘇るとは言えちゃんと痛覚はある。それなのにも関わらず自らの腕を引き換えに、相打ちにまでもっていくとは。
「ええ。リムル様のお考え通りです」
ベレッタが応える。
いや、俺も最初は疑ってたよ。最初に勝つと思ったのはお前だよ?
まあいいや。
しっかしさっきも思ったがなんでまたテンペスト・サーペントが二十階層に生まれたんだ?
さっき言った魔素だまりの可能性もなくはないが、可能性で言えば限りなく低い。
何せこのダンジョンの魔素は全てヴェルドラの専用部屋からパイプで各階層のモンスターハウスに繋げている。
そのためそこでほとんどの魔素が魔物へとなる為、魔素だまりなんて起こりにくいのだ。起きたとしても弱い魔物が生まれるのがほとんどのケース。
ただ、それはあくまでヴェルドラの出した魔素が通常通りだったらの場合。
ここまでの言い方で分かってる人もいるかもしれないが、俺にはこの事態の原因が何となくではあるが、分かる。
「なあ、ベレッタ。ところでなんだがお前の予想で構わないからこの事態の原因は何だと思うか、答えてくれないか?」
「それは・・・」
俺が聞くとベレッタは、顔をゆがめた。
この反応からして、ベレッタもきっと俺と同じ意見なのだろう。
はあ・・・頭の痛い限りだ。
「おい!出て来い!いるのはわかってるぞ。ヴェルドラ!ラミリス!」
扉の影に隠れる二人組に声をかける。そう、さっきからこちらをチラ見していたのだ。
そしてこいつらが俺の予想した、この事態の原因共だ。
オドオドとした様子でヴェルドラ達が出てくる。そもそもそんなとこに隠れてたって俺が気が付かないわけないんだけどな。
「なっ何だというのだ?リムルよ」
「そうよ!そうよ‼アタシ達になんか言いたいことでもあんの?」
文句を言いながら出てきたことに俺は自らの予想が確信に変わった事を知る。
更にはラミリスの目が泳いでいる事も理由の一つだ。
「あるわ、あるわ、大有りだわ!お前ら最近なんかやっただろ!」
その言葉に二人は更に挙動不審を発揮させる。
「なっ何を言っておるのだ?」
「そーよ!アタシ達には何を言っているのかわからないわよー!」
相変わらず演技力も崩壊してますな。
こいつら、あきれるぐらい噓が下手くそ。まあそれもこいつらが素直だという証なんだろうけどな。
でも、そんな直ぐにバレる噓を言うぐらいならまだ黙ってた方がいいと思うよ、俺は。
「はあ・・・そうかそうかじゃあ仕方ない。シュナのオヤツをあげよう思ってたんだがそれはなs「「ごめんなさいいいいい!!!」」
こうして俺は二人から自白を貰うことに成功したのだ。
この時ベレッタがやっぱり・・・という顔をしていたことを俺は忘れないだろう。
ところであのテンペスト・サーペントが異常発生した理由だが、如何やら二、三日前にヴェルドラがふと通常より多くの魔素を放出してしまったらしいのだ。
ちなみに「なんでそんなことしたんだ?」と俺が聞いたら帰ってきた言葉は「むっ?理由なんぞないぞ」だった。
流石はミリムと同じく「理不尽の申し子」だな。正に
まあ原因が分かったのはいいのだが問題はヴェルドラが漏らした魔素の量だ。それの濃度が通常の約十倍もの濃度だったのだ。
これが表すことがどういうことなのか?
それは、今回のような事態があと何回も起こりうる可能性があるということ。
これはまずい・・・バグが増え続けてしまう、と俺が悩んだとき救いの手が差し伸べられた。
《マスター。今回の事態を利用した案件を提案したいのですがよろしいでしょうか? イエス or ノー》
おお!流石はシエル先生。
勿論答えはイエスだ。
《了解しました。今現在、ダンジョンでは初心者向けに簡単なミッションを実施しております。ここに上級者向けに、この事態で発生した魔物をビンゴブックの様に加えてはいかがでしょうか?これならばダンジョンの挑戦者の士気も上がり、かつ問題の魔物も討伐する事が可能です。更に付け加えるとサクラとしての者を用意してそのミッションをクリアさせれば挑戦者達の士気を更に上げる事が可能でしょう》
うん。素晴らしいな。
もうね、シエル先生に任せておけば全て間違いないのだ。
しかし、サクラか・・・
妥当な線でいけばエレン達三人組だろうな。あと、勇者「マッサユキー!」ことマサユキにも依頼しようかな。いや彼はもともとサクラみたいなもんか。しかし、「なんてこと押し付けるんですかーーー⁉」って言ってくるマサユキ君が目にうかぶね。まっ頑張ってくれたまえよ、ぐらいしか言ってやれないけどな。それに彼にはディアブロの直属の部下であるヴェノムを護衛につけている。十分すぎる程援助はしているのである。
あ、だけどヴェルグリンドにはお引取り願おう。彼女が来ちゃうと今の俺なら対処可能とは言え街に被害がいく可能性がある。それに
しかしこの時、挑戦者から逃げるダンジョンの王。うん、これも中々面白い図になりそうだね、と思ったのは秘密だ。
だが、しかしもう少し数が欲しい。
そんな時、俺の頭に浮かんできたのは先程の挑戦者「ソーヤ・サトー」だった。