TS 盾役従者は勇者に付いて行けるのか?   作:低次元領域

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  ある日の暮方の事である。
 一人の底辺作者が、羅生門の下でメス堕ちを待っていた。


13.森のキノコにご用心

『この旅に、彼が居てよかったって本当に思ってるんだ』

『あ~? そりゃあよかったね……』

 

 聖剣の勇者が話しかけていた。揺れる馬車に乗り、手綱を持つ。背中に聖剣をかけて、馬の進む道を見ていた。

 荷馬車の屋根に寝転ぶ、うねり瘴気を放つ槍の手入れをしている男に。

 

 まーたいつものが始まったと、色黒の男は碌に聞いていないようだ。

 欠伸が一つ、澄んだ空に溶けていく。

 

『聞いてるの()()()? ……暴走した君との戦いだって、僕一人じゃ無理だった。どんどんテオは上達していってる』

 

 本人が聞いたら嫌がるだろう、曇り一つない褒め言葉。スオウと呼ばれた男はそれを聞いて「なんで俺に言うかねぇ……」と愚痴を洩らした。

 肝心の本人は何処だろうかとぐるり、探して見ても見当たらない。荷馬車の中だろうか。

 微かに、寝息が聞こえる。

 

『テオに甘えてばっかりじゃだめだよね……もっと強くならなきゃ』

『……こいつら、同じことばっか言ってんなほんと

『え、なに?』

『なーんでも、お二人はお似合いだなーって話ィ』

 

 ……()は、こんな会話を知らない。

 二人の見た目で、ある程度の時期は分かる。けど知らない。聞いた覚えがない。

 でもきっと、実際にあったんだろう話だ。ヤシドはどんどん強くなって、スオウも強くなって、元から強いエーナちゃんが入って、俺が用無しになるよりだいぶ前の話だろう。

 

『テオばっかりが傷つく。だから、今の目標。テオが盾を構えずに倒せるぐらいに……!』

『いや無理すぎんだろ……遠距離で仕留めんのか? ビームでも出す気かよ』

『あ、いいねそれ』

『マジか……』

 

 まさかの聖剣ビーム誕生秘話……いや、流石に違う、よな?

 ははは、そうかこっちの勇者様もそうだったのか。オーク倒して言い切ったあっちのヤシドみたいに、俺には傷ついてほしくない、か。

 そりゃ、最後らへんほぼ従者だったのにヤシドはなんも文句言わんはずだよな。

 

『テオはいつも僕らを守ってくれるけど、テオを守る人はいないからね』

 

 明るく笑う勇者に、魔槍の使い手は何も返さなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──何様だこのくそ勇者様がっ!」

「何事なの!?」

 

 好きかって言ってんじゃねえぞ、一度ぶん殴らせろ! 起き上がり周りを見渡す。木箱や布袋があるだけで、ヤシドの大馬鹿はいない。声は外から聞こえてきた。

 知らない屋根だ。嘘だ知ってる。確かええと、王様から支給された超高級荷馬車の荷台の中だ。

 寝心地が良すぎて木を床に眠っているという感覚がなかった。

 

「……あぁ? なんだよ今の変な夢……ふぁぁ、あっと」

 

 欠伸を一つ。眼をこすり、枕にしていた盾を拾って外に出る。

 幕をめくり出れば、既に日が沈みかけている。空にはもううっすらと月が浮かんでいた。

 

「おはようテオ。もう少しでできるから」

「あー……そうか、寝てたのか俺。まぁーだ頭回んねぇわ、煙草吸いてぇ……」

「食事前だから駄目。あと吸うならなるべく風向きに注意してね……」

「世知辛いなぁ……」

 

 薄暗い森の中、木を切り倒しまな板代わりにしているヤシドが居た。近くでは火が起こされており、その上に置かれた鍋で何かを煮込んでいる。

 その殆どは日中に採ったキノコだろう。今は切って入れようとしている肉もその辺で捕まえたウサギの肉。森の恵みをふんだんに使った鍋が完成しようとしていた。

 包丁は……聖剣? お前罰当たりもいいとこだぞホント。解体用ナイフがあるんだからそっち使えよ。

 

「いや、盾に涎つけてるテオに言われたくないんだけど……」

「これは……あれだ、魔物の体液を受け止めてる時と何ら変わりない」

「じゃあ僕も魔物を切ってるってことで……」

 

「……」

「……」

「──あはははっ!」

 

 笑って、バチなど知らないと適当に水で流した。

 

 今はネルシャ村に向かう旅路の途中。うまいワインを飲み嫌なことを全て忘れ去ろうという企みの最中でもある。

 ……絶対にあんな恥ずかしい鎧なんて着たくない。せめてヤシドの奴の前なら別にいいが、王都であんな鎧着て勇者のお供としてパレードにでも出て見ろ。晒しものだ。

 

「肉が煮えれば完成、か。 あとなんかあるなら手伝うけどよ、ハーブでも取ってくるか?」

「いや、臭み消しも必要ないし……少しゆっくりしててよ。なんかうなされてるような声出してたし」

「あー……そうだな。息抜き……タバコは吸えねぇけど」

 

 息抜きをしようと胸元から煙草を取り出し、ああ駄目だと言われたとまたしまう。

 かと言ってすることが無ければ手持無沙汰だし、口元も寂しい。

 

 冷えてきた森の気候に体を揺らし、なんも考えずに火に当たりにいった。

 つまり鍋にも近づくこととなり、中身がより鮮明に見えるようになる。鍋に収まりきらない多種多様なキノコが俺を出迎える。

 調味料のおかげか、鼻孔を膨らませ期待させる匂いがする。

 

「おぉ中々に美味そう……あれ? こんなに採ったっけか、キノコ」

「うん。テオが籠一杯に取ってたんだよ。覚えてないの? 正直、僕キノコの知識が無いから少し怖いんだけど……大丈夫なんだよねこれ?」

 

 あれ、そうだったっけか……そうだったような、そうじゃなかったような。ひと眠りしたせいか記憶が薄れている。

 ……えーと確か、キノコは七輪で焼いたりと色々便利だから、それで酒飲むことを想像してやる気になったような、ならなかったような。

 

「へぇ……どれどれ少し味見──熱っ」

「ちょ、大丈夫なの!?」

 

 まあいいや。見た感じやばいキノコないし。

 一つまみ、熱々のキノコを取り出し口に入れる。コリコリとした弾力と口の中に弾ける汁は雑な味付けだけど美味い。

 

「へーきへーき。なんなら軽い解毒魔法は出来るしな……」

 

 盾を使うとどうしても敵の魔物から毒を受けることがある。そんで一々薬取り出して飲んでたら埒が明かない。

 だからと覚えたが……そのうちそんなのが効くレベルじゃなくなってったんだよな。

 まぁ、穴の中の物ならともかくその辺の森のキノコなら訳はない。

 

「──俺用だが」

「僕は!?」

「ははは、触れりゃ使えなくもないって。まぁまぁ、なんかなったら治してやるよ、魔法はからっきしの勇者様」

 

 ヤシドは聖剣を扱い、万能な光の魔力を使っていたが、魔法を使うよりもそれを聖剣に注ぎ込んだ方がよっぽど強い。

 それを覚えるより剣の鍛錬に励んだ方がよっぽど有意義だった。途中からは魔法使いのエーナちゃんも加わったから更に覚える必要がなくなった。

 

 勇者にちょっとだけ、威張れる部分だ。

 

「うー……信じてるからね、テオ」

「へいへーい、そんでちゃっちゃと食っちまおう。なるたけ特急で村に着きてぇ」

 

 ウサギ肉が鍋に投入され、キノコの森に沈んでいく。

 肉の赤色に火が通り、少しずつ白く変わっていっている。

 さぁ楽しい夕飯は間近だ。そのあと馬鹿な話をして、また一日が終わっていく。

 

 今日もまた、楽しい旅だ。

 俺がこいつとまだ肩を並べられる、最高に楽しい旅だ。

 

「なかなかピリ辛でうまいな……お、このキノコとか……ヤシドのに似てんな?」

「ちょっ、ご飯時に下品だなー……というか、見たの!? いつ、どうやってさ! 水浴びの時!? ねぇ!」

 

 そう、思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 晩は豪勢だった。

 取り過ぎたせいか二人で食べきれないほどに。余った分は、明日の朝にでも平らげる予定だった。

 

「……な~んか、眠れねぇな?」

 

 夜中。

 寝ずの番の途中。妙に火照り暑苦しい、女性の体は体温が高いというが、こういう事なんだろうか?

 直ぐに寝て直ぐ起きるため含んだ酒も、思考をボーっとさせるだけで一向に眠気を持ってこない。

 

 寝袋から這い出て、上着を脱ぎ捨て薄着になる。姫様から頂いた可愛いものではない。飾りっ気もない、機能性だけを重視したものに。この下も勿論スポプラだ。スースーしないって素晴らしいが、今この場では少し恨めしい。

 

 荷馬車を降りる。空の月は雲で隠れて、焚き火だけが俺を照らしていた。

 

 その前にはヤシドが居て、切り株に腰掛けている。

 

 集中しているのだろうか? 俺が起きてきて少しだけ反応しても、こちらを見ようとはしない。

 焚火をじっと見つめ、思い悩む勇者の後ろ姿。いつになく真剣に見えた。

 

「──テオ。まだ時間じゃないよ……お酒飲んだの?」

「一杯だけなのに、よくわかんなほんと……。なんか眠れなくってな、タバコでも吸ってリラックスしようかなーって。なんなら、少し早めに変わってやろうか?」

「……う、うん。ありがとう」

 

 おや、本当に珍しい。課された仕事はこなすヤシドがこんなことを言うなんて。

 思わず、変な物でも食ったのかと気になる。

 まあいい、案外焚火に当たり過ぎとかそんなんだろ。夜風に当たって来ればいつもの調子に戻る。

 

「……?」

「……」

 

 変だ。ヤシドが立ち上がらない。

 それどころか、更にかがみこみ絶対に立たないという鋼の意思を感じさせる。

 

「お、おい……? 大丈夫か?」

「……だ、大丈夫。ちょっと今は……その、座りたい気分なんだ」

 

 明らかに何かを隠していた。後ろから見たヤシドの肌が、妙に赤い気がした。苦しそうな息遣いが聞こえた。

 こちらを見てくれないせいで顔色は分からないが、その行動自体がこいつの不調を知らせている。

 

 まさか、まさかこいつ……本当にキノコの毒に? だけど、晩は俺も食べたはず。

 慌て、火からどけられていた鍋を見る。……少し、少なくなっている気がする。

 

「……おい、つまみ食い犯」

「つ、つい小腹が空いて……」

 

 天を仰ぐ。笑った。

 一定量を越えて摂取したせいでこの馬鹿はキノコの毒に掛かったのだ。笑うしかない。

 不思議と上機嫌になる。

 

「はあ……仕方ねぇなぁ? 治してやっか、どんな症状だ?」

「……頭が、ボーっとする。あと、体の内側に熱がこもっている感じがある、よ。

……あとは、えっと、うん」

 

 ……ちょっと俺にも症状が出ている気がするが、言わない事にしよう。

 まあとにかく……身体強化系のクアエンド、回復系のクアエールを使えば何とかなんだろ。そう思い、魔力を体外に抽出し始める。

 魔力の方は少し調子がいいらしい。詠唱をすればすぐにでも使えそうだった。

 

「……ち、ちなみにさテオ? 今の距離のままそれって使えたり……する?」

「無理。体に直に触んなきゃ俺の腕前と魔法じゃだめだ。ほーいっ、首に触りまー──した! 熱っ!!?」

 

 フェイントをかけ、奴の首を触る。とても熱かった。つまりヤシドはその逆。

 

「──冷たっ!?」

「あ、ちょっ!」

 

 急に冷たいものが首に触れ、奴は体勢を崩しのけぞった。 それにつられ、首を掴んでいた俺の体勢も崩れる。

 視界が暗転。何か固いものにぶつかって、動きが止まる。

 頭がより固い物にぶつかり、嫌な音を出した。鈍痛がゆっくりと、ぶつかったところから響く。

 

「いってぇ……ん?」

「お……重いから早くどいて」

 

 瞬きを二,三回する。

 気が付けば、俺は勇者を押し倒していた。首根っこを掴み、腹辺りに乗っている。先ほどの鈍痛の原因は、お互いの頭がぶつかったことのようだ。

 肺を押しつぶされたヤシドは、より息が荒くなった。手から伝わる血液の脈動。

 

「……」

「て、テオ……?」

 

 いやそんなことはどうでもいい。どうでもよくないが、些細なことだ。

 

「お、おい? そ、その……あれだ」

 

 ケツに、やたら硬い物が当たっている気がする。いや当たっている。

 布越しだが、今掴んでいる首よりも熱く、脈動している。

 想像できない訳ではない。位置的に、下半身。腰にある、男の、熱く、硬いものだ。

 

「なんで、起ってんだよ」

「……ぅ」

 

 そう、聖剣だ。

 まごう事なき、世の中の勇者ファンたちが狙っていたもの。

 聖剣が今、尻に当たっている。そう理解できたのは元男だからだろうか。

 

 俺に興奮している? いやないない。自慰の途中だった? いや、変な薬でも盛られてないヤシドがそんな行為をしたことなんて有り得ない。

 ……淫魔の穴に入った時、地獄絵図になったのは思い出したくもない。いやこれ村に戻れねーぞと焦り、哀しく二人で草むらで昇天した。

 あ、もちろん別々の草むらでな?

 

 話が逸れた。つまり、

 

「──キノコで、ヤシド君のキノコおかしくなってんのか!? ぷっ、あはははは!」

「わ、笑い事じゃないんだけど……というか女の子がそんなこと言わない」

 

 笑った。腹がよじれる程に。

 腹を抱え震える。ケツに当たったまま。

 

「ちょ、あ、あんまり動かないで……」

「はは、減るもんじゃねーしいいじゃねーか……ひひひ、あー駄目だ。おーかしい」

 

 抗議するヤシドを他所に、俺は更に調子に乗った。

 もしかしたらヤシド君の聖剣はキノコのおかげで少しでかくなっているかもしれない。それを見てからかってやろう。

 そう思ってしまった。

 

「……よーし、見せてみろ!」

「嫌に決まってるだろ!?」

 

「ハハハッ、嫌でも無理やりに見てやる。治してやるって言ったしなぁ……なんなら、このテオ様が直に触ってやろう──か?」

 

 見てしまった。上半身を捻り、そのキノコを。

 布越しに。

 

「あ、あぇ……?」

 

 見えた。ズボンが限界を超え、はち切れんばかりに天を差していた、聖剣が。

 

 屈強だった。どう見ても、俺の最大時より遥かに。

 8cmなんて生易しいものではない。2()0()c()m()()()()()()()

 

 俺の尻を越し、背に届くのではないかと思うほど。

 そそり立っている。

 

「……」

「……」

 

 沈黙と、キノコが、場を支配していた。

 

 

 




 どうにもならない事を、どうにかするためには、手段を選んでいる暇はない。選んでいれば、土堀の下か、道ばたの土の上で、饑死をするばかりである。
 そうして、この門の上へ持って来こられ、犬のように棄てられてしまうばかりである。

 選ばないとすれば――作者の考えは、何度も同じ道を低徊した揚句に、やっとこの局所へ逢着した。
 しかしこの「すれば」は、いつまでたっても、結局「すれば」であった。

 作者は、手段を選ばないという事を肯定しながらも、この「すれば」のかたをつけるために、当然、その後に来るべき「メス堕ちR-18小説を書くよりほかに仕方がない」と云う事を、積極的に肯定するだけの、勇気が出ずにいたのである。


メス堕ち度:20→???%(予測)

 官能小説を書くのは男の夢だった。
 番外編、卑猥小説「TS 盾役従者は貞操を守りきれるのか?」
 に続くための一歩。

 当然、番外編であるため読まずとも、展開は分かります。
 単に、肉体的にメス堕ちていく様が見られるだけです。

 それでも、みたいですか?

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