人の行き来が激しい広場へと行くと、ランドロスが教えてくれた店を見つけた。
「いらっしゃいませ。あ!旦那」
「やあランドレス、中々おしゃれな店じゃないか」
「へへ、こういった店も持ってみたいと思いまして」
ランドレスが経営している店は綺麗な小物や家具を取り扱っていた。初日だからか分からないが、それなりに客は来ていた。
「そういや旦那、この国に来るときに旦那の国の兵士を見ましたよ」
「何?」
「兵士と一緒にお偉いさんの姿も見えました。そのお偉いさんが誰かは分かりませんでしたが、何か重要な役目を担っている人だとは分かりました」
「そうか、これからは少し慎重に行動しなければな」
「ローレンス様」
ランドレスと話していると後ろからレイティア様の声がした、振り向いてみると手に小さな箱を持っていた。
「ローレンス様、私と結婚してください!」
レイティア様が跪き、持っていた箱を開けた。中には結婚指輪が入っていた。
「...なんの冗談ですか?」
「ライラさん!バレちゃいましたよ!」
指輪の入った箱を閉じると、レイティア様はライラの方へと歩いて行った。
私はライラを睨みつけるとライラは頭を軽く叩き『てへ☆』と言った感じの顔になった。
「どうですかローレンス様?どきどきしましたか?」
「...まあ、してないと言ったらウソになりますね。ですがこういった冗談を他の方にはしないでくださいね」
「大丈夫ですよ、ローレンス様にしかしませんから!」
とてもいい笑顔を向けられる。そして再び商品をライラと一緒に見に行くレイティア様。
「旦那、モテモテですな」
「うるさいな」
ランドレスからもからかわれ、ある程度商品を見ていくと私達は外へ出た。
「何も買いませんでしたね」
「見ているだけで満足してしまいまして、次はどこへ行きます?」
「そうですねぇ」
少し考えていると遠くから悲鳴が聞こえた。
「魔物だ!魔物が出たぞ!」
人々がそれを聞いて逃げ出す、私は路地裏にライラとレイティア様を避難させ、民衆の波に巻き込まれないようにした。
「ローレンス様、魔物ってあの魔物ですか?」
「姿を見ない事には...」
普段の魔物はどこか洞窟の中で生活をしている。滅多に人の前に姿を現そうとはせず、人前に出てくる魔物は大体が大人一人で倒せる魔物だ。しかし今回は
「でかいな...」
蜥蜴を巨大にして、尻尾にとげとげを生やしたような魔物だった。急遽駆けつけた兵士がことごとくやられていく。あるものは喰われ、あるものは尻尾によって絶命する。
「レイティア様、ここでお待ちください」
「へ?ちょ!ローレンス様!」
私は路地裏から飛び出し、剣を持って蜥蜴に突撃した。人が出せるようなスピードではない異常な速さで蜥蜴の目の前まで間合いを詰めた瞬間、蜥蜴は真っ二つになり動かなくなった。
「お前は...」
蜥蜴を真っ二つにした斧を担ぐ少女。その顔に私は見覚えがあった。
「リリィ!?」
「うっす、ローレンス先輩」
同じ国で騎士をやっていた『怪力のリリィ』小柄な体に相応しくない斧を持ち、相手を粉砕する。
私の後に騎士になったため、よく先輩と呼ばれていた。
「ローレンス先輩、出会えてうれしいんすけど早く逃げた方がいいっすよ。先輩が本当に王を殺して姫を攫ったと信じている奴もいるらしいっすから」
「お前は俺を信じてくれるのか?」
「当り前じゃないすか!俺の尊敬する先輩の一人なんですから。ほら早く」
「すまんな、リリィ」
私は路地裏の二人を回収すると家へと急いで戻った。
「まさかリリィに会うとはな」
「リリィさんって女性だったんですね。怪力なんて言われていますけど」
「ええ、でも彼女に怪力なんて言ってしまうと村が一個無くなりますので注意してください」
とりあえず三人でこれからどうするかを話し合った。この国にとどまるべきか、どこかへ逃げるべきか。
「逃げるのも手ですが、まだ大丈夫ではないでしょうか?友好関係も最近築き始めたばかりですし、私達の国の兵士が大勢入ってくることもないと思いますよ」
「確かにそうですね...少し様子を見てみましょう」
とりあえず今日の外出はこれまでにすることになった。
「あ、ローレンス様。暇ですので何かお話をしましょう」
「お話ですか?何をお話すればいいか」
「女性の騎士の方々との関係のお話でも」
「は、はぁ」
私はレイティア様に知り合いの女騎士の話をした。
『怪力のリリィ』『冷酷なるシズ』『指揮官カサンドラ』『死神キキ』『獣を溺愛する元乙女ラーディス』
リリィは私の後輩で、入ってきたときから世話をしてきた可愛い後輩だ。
シズはとにかく冷酷で、同じ騎士の仲間ですら彼女の喋った時の姿はあまり見たことが無い。だが、レイティア様とはかなり仲が良く、本当の姿はレイティア様しか知らない。
カサンドラは前線に立ってあまり戦わないが、彼女が指揮する部隊は異常に戦意が高く敗北したことは殆どない。
キキ、彼女はとにかく人の死が好きで騎士に入ったらしく、私の趣味を知っている女性の一人でもある。私とはよく話がかみ合い、仲良くしていた。
ラーディス、この娘は本当に申し訳ないと思っている。ライラの毒牙にやられ、私が仕方なく抱いてあげた乙女だ。そのせいでライラと同じくぐらい私の命令には忠実になってしまった。そんな彼女の日課は私の頬にキスをするという事らしい。
「成程、ローレンス様は様々な女性とお知り合いなのですね。しかもそんなことが」
「はい、今頃皆は私の事をどう思っているのでしょうか?」
敵になっているかもしれない騎士達、だけども心配をしてしまう。
そんな騎士たちはある場所で話をしていた。