それではどうぞ
ウルベルトsideーーー
簪の思いの丈を聞いた次の日の放課後、
「いきますか」
コンコン
「どうぞ」
「失礼します。一年一組のジェームズです。生徒会長に呼ばれてきました」
「こちらにおかけください」
「ありがとうございます」
三つ編みの子に案内された席に着く
「待っていたわ、ジェームズ君」
「あぁ、昨日ぶりだなストー会長」
「もうツッコまないわ。それでね話というのは、あなたが何者?」
「敵か味方なのかって話か?」
「身も蓋もない言い方だとね」
「敵ではない。それは断言出来るが味方かどうかはそちらで判断して欲しい」
「含みのある言い方ね」
「立ち位置なんてその場所ごとに変わるからな。敵ではないと断言したが変わるかもしれんしな。お家柄的にも会長ならわかってる筈だが?」
「…なぜ知ってるの?」
「調べてわかる範囲しか知らんがね」
「そう」
まぁ、警戒を含めて監視はするんだろうけど
「話は変わるが妹である更識簪のことはどう思っているんだ?」
「どう…とは?」
「そのままの意味だ。簪のことを使えもしない役立たずの屑なのか、守るべき存在なのか。まぁ、簪の反応を見た限りでは守るべき存在ではなさそうだがな」
「……せい……なさい」
「本人の前で『無能でいろ』と罵ったんだからなぁ、会長にとって簪はその程度の守るに値しないやつなんだろうなぁ。どうなんだ会長さんよぉ」
黙りだが煽りすぎたか?そんなことを思っていたら思いっきり胸ぐらを掴まれた
「訂正しなさいッ!今の言葉!私が簪ちゃんのことを守るに値しない奴だと思っている訳なんてないわよ!!寧ろ大切で守りたいから失いたくないから、わざとキツく当たって遠ざけたのよ!!」
「それで本人が傷ついてもか?」
「あなたに何がわかるのよ!私の家柄じゃ、いずれ簪ちゃんを危険な目に合わせることになる。それが嫌だから遠ざけたのよ!あれ以来簪ちゃんとの会話なんて一切なかったわ!でも私は我慢したの!しているの!簪ちゃんを守るためって、今も自分に言い聞かせているの!!」
不器用なこったで、姉妹揃ってね。胸ぐらにある手をどかし逆に胸ぐらを掴み、俺はこう言う
「甘ったれるな!!」
「ッ!!」
「何故彼女に相談しなかった!?信用出来なかったのか!?自分の妹を!」
彼女は泣きながら
「そんなわけないじゃない!でもそんなことしたら簪ちゃんは裏の世界に来てしまう、だけどそんな……」
俺は顔を近づける
「何を躊躇っている!?」
「ッ!!」
「お前は簪を守るために努力してきたんじゃないのか?大切で失いたくないからという一心で前を突き進んでいたんじゃないのか?それとも全部嘘だったのか!!!」
デジャブだねぇ、自分で言うのもなんだが
「嘘なわけないでしょ!」
「だったら信じてやれよ、簪を。お前たちはこの世でたった一つの姉妹なんだからさ」
「うっ、うわぁぁぁぁぁぁぁーーーー」
俺は胸を貸しながら泣き続ける彼女を受け止めていた。
〜五分後〜
「えっと、その、ごめんなさい//」
「なに、泣いている女の子がいるなら優しくしてやるのが男ってもんさ。まぁ、泣かせた原因が俺なら尚更な」
「…そうね」
「改めて聞くが簪のことはどう思っている」
「大切に決まってるじゃない。でも簪ちゃんに話しても信じてくれるかどうか…」
「だとよ簪。よかったな」
「へぇ?」
入口の隅を指を指すとさっきまでいなかっか簪が現れる
「か、簪ちゃん!?」
「…お姉ちゃん…」
「30分くらい席外しているから」
そう言って俺は立ち上がる
「でしたら私が学園を少し案内しましょうか?」
「そいつはありがたい。じゃ、Ciao」
「まっ……」
ガラガラ
「申し訳ないが名前を伺っても?」
「整備科三年の布仏虚です」
「布仏の姉か」
暫く二人で歩いていると
「今日はお二人の事、ありがとうございます」
「偶々だよ、ホントに」
「それでもです。お二人の関係がギクシャクしてからというもの屋敷内の空気が重くて仕方がなかったですからね」
「それでも布仏さんが最悪の事態が来ないように立ち回っていたんだろ」
「何故そう思うですか」
「布仏さんの家って簪たちの家に使えているだろ。多分だけど小さい時から一緒に過ごしてきたんだと思う。年上のあんたが三人の緩衝材になっていたんだろう?だったら必然的な」
俺はひたすら喋り、布仏さんは俯いて黙って聞いている
「だからすげぇよ、布仏さんは。周りからしたら従者として当然と思うかもしれんが、俺は従者『布仏虚』ではなくて四姉妹の長女『布仏虚』を褒めるし、尊敬するよ」
そう締めくくったら急に抱きつかれた
「おい、離r」
「うわぁぁぁーーー」
またか…昨日今日と多いな
「溜まってんなら今うちに吐き出せ。胸くらい、いくらでも貸してやるからよ」
その後、彼女は十分くらい泣き続けた
〜十分後〜
「も、申し訳ありません//」
「さっきも言ったが胸くらい、いくらでも貸すさ」
「は、はい///」
「さて、そろそろ戻るか」
「そうですね」
ーーーsideout
生徒会室sideーーー
ウルベルトと虚が出ていったあと楯無は久々の会話に柄にもなく緊張していた。簪が会話を切り出す。
「…あのねお姉ちゃん…私ね『あなたは無能のままでいなさい』って言われた時ね…今までしてきた事は無駄なのかなって思ったの…」
「ッ!…そうね私は簪ちゃんに酷いことを言ったわ。だか「でもね」ら」
「…その時にこうも思ったの『お姉ちゃんを見返したい、そして支えたい』って、だからやれることは私なりにしてきたの。周りからどんなにお姉ちゃんと比較してきても私、頑張ってきたんだよ」
楯無は何も言わず黙って聞いている
「…でも今は違うことを思っているの『お姉ちゃんと支えあっていきたい』って。お姉ちゃんはどう思う?」
「ジェームズ君と話した時に言ったけど、簪ちゃんには裏の世界に来て欲しくないの。あんな薄汚れている世界を、あなたには見せたくないって思ったの。だからね簪ちゃん、わた「お姉ちゃん!」か、簪ちゃん!?」
「嘘ばっか言わないでよ!本当のことを聞かせてよ!更識家当主『更識楯無』の言葉じゃなくて私のお姉ちゃんである『更識刀奈』の言葉を聞かせてよ!」
楯無が涙を流しながら
「私はもっと簪ちゃんとふれ合いたいし、どこにでもいる普通の姉妹みたいに仲良く買い物だって行きたいし、恋バナや色んな話がしたい!」
「私もお姉ちゃんと一緒に色んなことがしたい!だからここから、もう一回始めようよ。今度は虚さんや本音も一緒に四人で頑張っていこうよ」
「簪ちゃーーーーーん」
「お姉ちゃーーーーん」
放課後の生徒会室に二人の姉妹が抱き合いながら涙を流していた
〜十分後〜
「…お姉ちゃん…聞きたいことがあるけどいい?」
「いいけど」
「…ウルベルト君のことをどう思ってる?」
「え!?そ、それは//」
「…ちなみに私と今は居ないけど本音は…ウルベルト君の事が好き、大好きって言える」
楯無は考えるが
「私は……よくわかんないわ」
「じゃあ質問するね。もし、お姉ちゃん以外の女の子にウルベルト君がデレデレしていたらどう思う?」
「それは……うん、凄くやだ。理由はわからないけど凄く胸の辺りがモヤモヤする」
「じゃあ次の質問ね。なんでウルベルト君に抱きついて泣いたの?」
「…それは近くにいたから、そのままの勢いで」
「…でもその場で膝ついて、泣くことだってできたよね?」
「そ、それは…」
「…どうして?」
簪に問われ絞り出した考えが
「抱きつきたいとか、抱きしめられたいなって思ったりしたから……」
「…それが好きってことなんだよ」
「そうなんだ……この気持ちが……そうなのね」
ーーーsideout
ウルベルトsideーーー
生徒会室に戻ると二人がいた。顔を見るとなんだがスッキリした表情をしている
「どうだ、気持ちを洗いざらいぶちまけた気分は?」
「そうね。結構いいものね」
「…うん、スッキリした」
「そうか」
俺のせいだしね。色々と
「そういえば虚ちゃんも、なんでそんなにスッキリしているの?」
「え!?あの…その…これには…えっと…」
すげぇパニクってるんだけど
「お前らの溝が改善されてホッとしているんだよ」
「そう、ごめんなさいね。でももう大丈夫だわ!」
「…うん。これからは四人で頑張っていこうよ」
「…はい!」
ガラガラ
「会長〜頼まれていた資料〜取ってきました〜」
「本音ちゃんありがとうね」
「は〜い。あっウルウルだ〜」ダキッ
「「「なっ///」」」
「だから抱きつくならせめて、人がいない時だけにしろって、言ってんじゃねぇか」
「えひひ〜やだ〜」
布仏は抱き癖でもあるのか?
「ちょっと本音ちゃん離れなさいよ!」
「そうですよ本音。ジェームズ君に迷惑かけてはいけません」
「…本音ばっかりずるい」
こいつらはこいつらで何言ってるんだ?
「ほら、いい加減離れろ布仏」
「ちぇ〜」
やっと一息つける
「ウルベルト君、悪いけどもう戻ってもらって大丈夫だわ」
「ん?そうか、ではお暇しますかね。Ciao♪」
ーーーsideout
生徒会室sideーーー
「さて、みんなに聞きたいことがあるわ」
「会長〜それって〜」
楯無が一拍置いて
「ウルベルト君についてよ」
「ウルウル〜?」
「そうよ。みんなが彼のことをどう思っているか聞きたいの。ちなみに私は彼の事が大好きよ。簪ちゃんは?」
「…私も彼のことを大好き」
「本音ちゃんは?」
「私も〜、ウルウルのことが大好きで〜す」
「最後に虚ちゃんは?」
「えぇ、私も彼のことが大好きです」
全員が同じ回答をした。楯無が虚の方を向き
「やっぱり彼と何かあったわね〜さぁ、洗いざらい吐いてもらうわよ!」
「お、お嬢様!?」
「私も聞きた〜い」
「…私も」
「簪お嬢様や本音まで…」
「「「さぁ!」」」
虚は三人の鬼迫に負け、彼との三十分間のことを話した。
ーーー
虚の話を聞いた三人と虚自身はある一つのことを思った
「「「(((私達(三人)って、チョロすぎない???)))」」」
けど仕方のないことである。少なくない悩みや闇を払っていき、その上泣きじゃくった時だって黙って胸を貸すレベルの優しさである。そこまでされて惚れるなって言うのが酷である。その後三人は本音に視線を向けた
「本音ちゃんはいつ彼を好きになったの?」
「多分〜一目惚れだと思います〜」
ぐうの音がでない回答だった。そして楯無がとある提案をする
「みんなに聞きたいことがあるわ」
「なんですか〜会長〜」
「みんなが彼のことをどう思っているかよ。ちなみに私は彼の事が大好きよ」
「…私も彼のことが大好き」
「私もジェームズ君の事が大好きです」
「私も〜ウルウルの事が大好きで〜す」
これは聞くまでもない
「それを踏まえて聞くわ。この先みんなで彼を奪い合うか、みんなで彼を愛し合うかよ」
楯無の提案に三人が静かに考える
「ここで決を取るわ。みんないい?」
全員が頷く
「ウルベルト君をみんなで奪い合いたい人」
誰も手が上がらなかった
「じゃあみんなでウルベルト君を愛し合いたい人」
全員の手が上がる
「やっぱりこうなったわね」
全員考えることが同じであった
「まぁ、彼の愛は一人じゃ、大きすぎるわよね」
「…でも一人で足りないなら」
「全員でジェームズ君のことを」
「愛していけばいいんだよねぇ〜」
気持ちは再確認できた。意志の統一もできた。であれば
「私たち四人で彼を愛し合うし、愛してもらうわよ!」
「「「おーーーー」」」
ーーーsideout
余りに話が長くなりすぎたので分割して投稿することになりました。
ウルベルトが簪と楯無に声を上げた時のセリフはスタークもといエボルトの激励?のオマージュです。
次は時間を一気に飛ばしてクラス対抗戦にしようかと思います。
それでは読者の皆様Ciao♪
2020/2/08 追記…打鉄弍式の名前を変更します。