ハルからの提案に度肝を抜かれた二人。
「なに言ってるんだよ、ハル」
「大谷君。将来の目標が無くて困ってるんです。ツナさん助けて挙げて下さい」
「三浦先生。別に俺将来に困ってません」
「進路希望調査票白紙だったじゃありませんか」
「特に就きたい職業とかないので成るように成ればいいかなって思って」
「甘い。甘過ぎです大谷くん、この世の中そんな甘い考えでは生きていけません」
「まあまあハル。将来なんてそんな急に決められることじゃないんだから」
「それを、サポートするのが私達大人の義務です。特にツナさんは大谷君に色々な可能性を示して挙げることが出来るじゃありませんか」
(あのCEDEF(チェデフ)のCEOだもんな…)
「それに俺は明日イタリアに戻るんだ。そんな時間無いよ」
「滞在を延長すればいいじゃないですか」
「予定が詰まってるんだよ」
「沢田さんでしたっけ」
吉常は深々と頭を下げた。
「お願いします。俺に教えてもらえませんか沢田さんが示せる可能性を」
「えっ。どうしたの君急に」
(こんな大企業のトップのコネを持ってれば将来は安泰だ)
「ほらツナさん。悩める若者が救いを求めていますよ」
「お願いします。沢田さん」
深々と頭を下げる二人にツナは
「…はぁ。わかったよ可能な限り見て挙げるよ」
「そうと決まればツナさんよろしくお願いします。私授業があるので」
「おい。彼は」
「はひ。彼は早退してますので今日は学校には戻れません。ではシーユーアゲインです~」
ハルは足早に去っていった。
「…えっと大谷吉常君だったよね。改めて沢田綱吉です。よろしく」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「じゃあ。まずは何を知りたいの」
「CEDEF(チェデフ)に入社するにはどうすればいいですか」
「どの部門」
「…どの部門ですか」
「CEDEF(チェデフ)は様々な部門で成り立つ企業だからね。希望場所によっては求められる能力も変わってくるんだ」
「…なるほど」
「まぁ前提条件として。英語とイタリア語をマスターしていることくらいかな」
「…まずはそこからですね」
「学力とか実績は募集要項には高めに設定してるけど、正直採用にはあまり重要視してないかな」
「じゃあ。どうやって決めるんですか」
「うーん。その人がうちで【何を成し遂げたい】かその成し遂げたいことに【どれだけ覚悟を持って挑むのか】かな」
「成し遂げたいこと…その覚悟…。俺にそんなのはないですね…」
「まあハルとのやり取りを聞いてたらそうだよね。まずはそこからか。どうしようかな」
ふと携帯が鳴る。ツナのだ
「もしもし…久しぶり。元気だよそっちは………今から会えない。ちょっと助けて欲しいことがあってさ…うん。ありがとう。じゃあそっち向かうね」
電話を切るツナ。
「よし吉常君。移動しよう」
「移動…ってどこにです」
二人が着いた先は
「ここって、並盛スタジアムですよね」
「そう。俺の中学の頃からの親友が働いているんだ」
「よおツナ。久しぶり」
二人を見つけてユニフォーム姿の男が近付いて来た。