「三浦先生。大谷どうかしたんですか」
「ハヒ。石田さん風邪でお休みと聞いてますよ、昨日の早退も元々体調が優れなかったそうです」
「あれ、でも三浦先生昨日サボった大谷を並盛中学まで引き取りに行ったんじゃ」
「そそそ、そんなことありせん。し、知り合いに会ってただけですよ」
「…」
「ツナ兄帰ってたんだ」
「フゥ太。元気そうだな、どうしたんだこんなところで」
「丁度仕事が終わって今帰るところ。あれその人は誰」
「ハルの学校の生徒だ。ハルに職場体験をさせて欲しいって頼まれて」
「そうなんだ。フゥ太ですよろしくお願いします」
「大谷吉常です。よろしくお願いします」
「…フゥ太。明日アイツの職場を見学させてもいいか」
「えっ。職場に聞いてみないとわからないけど、吉常さんあの業界に興味があるの」
「いや、将来の目標が無いから色々な職場を経験させてあげてって言われてさ」
「そっか…わかった。聞いてみるよ」
「ごめんなフゥ太」
「気にしないでツナ兄」
「ってことで吉常君。明日は学校を休んでここに来てくれ」
「住所のメモ…ですか。どこですここ」
「行けばわかる」
「はっはぁ…」
「いいかい、学校をサボることになるから他の人に言いふらすんじゃないよ」
(どこ連れてく気だー)
「はい。お疲れ様です。30分休憩です」
吉常はツナと一緒にとあるスタジオ収録の現場に来ていた。
「フゥ太。この撮影いつまで~早く遊びに行きたいよ」
「この後は14:00までこの撮影で16:00にはBスタジオに移動して別の収録。21:00からは取材が3件。今日は諦めなランボ」
「ったく、ランボのやつ相変わらずあの調子なのか」
「そうなんだツナ兄。その時の気分でコロコロ変わるから大変だよ」
(ランボ・ボヴィーノ。最近注目の若手俳優、その甘いルックスで若い女性から人気を集めてるって雑誌に載ってたな、そんな人ともこの人知り合いなのか)
「あの綱吉さん。ランボさんとはどういった間柄なんです」
「ランボとこのフゥ太は俺の異兄弟ってのかな、中学の頃に出会って居候してる内に家族になってたんだ」
(どんな状況だよ。ってかまた中学の頃か…この人中学生の頃何があったんだ)
「おい、ランボいい加減にしろ」
「兄貴ー。久しぶりに会ったんだから遊んでくれよ」
「お前が仕事をキッチリ勤めたらな」
「本当にか、俺様頑張るもんね」
「ったく世話の焼けるやつだな」
「でもツナ兄この学生さん。こんなところに連れて来て良かったの」
「ハルから色々な体験をさせてあげて欲しいって頼まれていろんな職場を体験させてるんだけど、やっぱりマズイよな」
「そう思うよ。彼も僕達みたいに例のプログラムを受けさせるの」
「いや。彼には俺達のことほとんど話してないからやめたほうがいい」
(例のプログラム…)
「あの、例のプログラムって」
「CEDEF(チェデフ)である特定の人達が使っている教育プログラムなんだ。年齢に関係無く能力に応じて社会ステータスを得られるシステムなんだ」
「すげー」
「フゥ太もランボもこのプログラムを使っているから君よりも年下だけど今のステータスを手にしている」
「えっ、二人とも俺より年下なんですか」
「僕達。年齢で言えば中3や高1なんだ」
「えっ…フゥ太さんって凄く大人びてるけど年下なの」
「だから呼び捨てで構わないよ。吉常くん」
「でも何故そのシステムは限られた人達なんですか」
「各国の偉い人達も知らない独自のシステムだからさ。それに強制的にその年齢以上の教養を学ぶことになるからね危険も伴うんだ」
「危険…ですか」
「うん。年齢に応じて段階を踏んでゆっくり教養を身に付けた方が人間の脳に取っては負荷がかからず良いんだ。それを強制的に学ばせるから、未発達な脳がパンクして精神崩壊を起こしてしまう可能性があるんだ」
「そうなんですか…」
「だから日本の教育システムで順調に学んでいる君にそのプログラムを適応する気は無い。それに高校生はある程度脳の発達が完了していて効果も薄いからね」
「ところで、なんでここに連れて来たんですか」
「職場体験急にさせて貰える場所ってさ、実は結構限られてるんだよね、それこそツテが無いと。俺が今頼める人に片っ端から頼むとこういう特殊な職業になっちゃうんだよ」
(今のところ予想外の職業体験ばかりんですけど…ずっとこんな感じってこと)
「それにこういう世界って割りと憧れる人多いじゃない」
「確かに…そうですけど。俺興味持ったこと無いです。目立つの嫌いなんで」
「…」
「どうするツナ兄」
「急に頼んだことだし、最後まで見学させてもらうよ」
その言葉を聞き二人は徒労感に包まれた。
「悪いなフゥ太。急にアポしたのに」
「しょうがないよ。吉常君と会って間もないなら彼のことよく知らないのは当然だし」
「ありがとうございました。この世界の裏側を見れて貴重な体験でした」
「そう思えてもらえたなら良かったよ。頑張ってね」
「ツナの兄貴俺様とこの後遊ぶんだろ」
「この子を家まで送り届けたらな」
「絶対。絶対だかんな」
「わかった、わかった大人しくフゥ太と待っててくれ」
(テレビで見るランボって、とても大人びて見えるけど。結構言動幼稚なんだな…こんな感じでも働ける…不思議な職場だ)
帰り道。二人は微妙な空気の中静かに歩いた。
(沢田さんの顔に泥を塗るようなこと言っちゃたからな、気まずい)
「ごめんね吉常君」
「えっ、なんで沢田さんが謝るんですか」
「俺の思い込みで動いたせいで、君の貴重な時間を無駄に動いてしまった」
「そんな。あの業界の裏側見れるなんて本当貴重な体験させてもらいましたよ」
「そうかい…ならいいんだけど」
(早くこの場から立ち去りたい)
「吉常君はどんなところが見たい」
「普通にサラリーマンが働く会社が見たいです」
「サラリーマンって言われても会社の数だけ色々な形があるんだよな…」
「CEDEF(チェデフ)の仕事…いや沢田さんの仕事を見せてください」
「俺の。俺の仕事を見るならイタリアに行かないとな…」
「日本にある支社じゃダメなんですか」
「…まあ出来なくも無いけど、どうするか」
「見つけたぞ沢田」
「この声はお兄さん」
(なんだ今の度でかい声。今何時だと思ってるんだよ)
あまりの声量に耳を塞ぐ吉常。その刹那、ツナは男に殴られた。