彼の持つ威圧感に吉常は圧倒されていた。
(なんだこの人。爽やかな表情しながら獲物を虎視眈々と狙うような感じ)
「恭さん。お疲れ様です」
「草壁。誰その子」
「沢田さんから連絡のあった大谷吉常さんです」
「ふーん。興味無いな」
「大谷くん、この方は雲雀恭弥。並盛財団の理事…つまりトップに立つ男です」
「よろしく…お願いします」
「君。今から僕に付き合う気ある」
「えっ」
「ちょっと用事があってね。色々な仕事を体験したいんだってね、ついてこれば見られるよ」
「 恭さん。それはちょっと」
「いずれ沢田綱吉の本当の姿を見るかもしれないんだろう。いい機会じゃないか」
(ツナさんの本当の姿…)
「お願いします」
「大谷さん。よろしいんですか」
「はい。よろしくお願いします雲雀さん」
「じゃあ付いてきて、草壁。今回の僕の活動報告書、お置いておくから整理よろしく」
「へい。お二人共お気をつけて」
(危険な職場なのかな)
並盛の町を歩く二人。吉常には町の人々が自然と二人から距離を取っているように感じた。
「着いたよ。ここが今日の仕事場だ」
そこは並盛の町中にある路地裏…
「ここで…仕事ですか」
「おいあんたら、なにしてんだ」
奥からガラの悪そうな連中がゾロゾロと現れる。
「丁度いい。獲物がやって来た」
「雲雀さん。獲物って」
すると、雲雀はその中の1人の溝に拳を当てた。その者は一瞬で口から泡を吹き、白目になり倒れ込んだ。
「おっ、おいテメーなにしやがる」
「噛み殺されたくなければ、君達を雇ってる人間を早く呼んできな」
そうは言いながら雲雀は次々と殴り倒してゆく。あっという間にあと1人…
「さあ。どうする」
「あっ、いや…その…」
顔面を殴られ地面に叩きつけられる。ひたすら殴り続けるそのあまりの光景に吉常は呆然としていた。
「雲雀さん止めてください。その人死んじゃいますよ」
「別に構わないよ。並盛の風紀を汚す者達は生きて還すつもりないし」
「わかった。話すから、止めてください」
身体を震わせながら、その者は雇い主のことを話した。
「…そうか」
再び、雲雀は殴り始める。
「雲雀さん待ってください。この人はもう話したじゃないですか」
「二度と僕達に逆らわないように、身体に覚えさせなきゃね」
「あっわわわ…ぐわー」
断末魔が路地裏に響き渡った。
「彼が言っていたのはここだったね」
とある建物についた二人。
「全国に支部を持ってるって噂のヤクザ組織『三条会』の事務所。本当に雲雀さん1人で」
「さあ、行くよ」
「うん。見ねー顔だななんか用か」
話しかけてきた男を容赦なく殴り倒す雲雀。
「君のボスは何処だい」
「そんなの言うと…ゴォハ」
(涼しい顔してやることさっきからエゲツない)
顔に飛んだ返り血を気にも止めず事務所目掛けて突き進む。
「なんだ騒がしいなさっきから」
事務所のボス清原一茂が自室から出ると血に染まり備品が散乱した事務所内と返り血を浴びに浴びた男が立っていた。
「テメーがやったのか」
「あんたがこの事務所のボス」
「…そうだ」
「こんな雑魚ばかりを従えて、よく僕の町を荒らしに来てくれたね」
「お前の町だと…」
「何人たりとも並盛の風紀を乱す輩は…噛み殺す」
(並盛を愛し、裏で支配していると言われている男雲雀恭弥。こいつがあの…)
日が沈み出した頃。三条会の事務所は1人の男によって潰された。
「お二人共お疲れ様です。どうでした」
「問題無く終わったよ、お風呂入ってくるよ、君草壁に話しておいて」
「あの雲雀さん。どうして今日のことを俺に見せてくれたんですか」
「沢田綱吉のこと知りたいんだろ。僕はヒントを提示したまでさ」
「あの…並盛財団が並盛町を支配しるって本当ですか」
「さぁね、今日を見て君が思ったこと…それが真実さ」
恐怖を感じながら、吉常は雲雀の背中をじっと見つめた。