デート・ア・ライブ 雷蒼の物語 『凍結』   作:バルクス

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どもーバルクスです!
今日は精霊会ですよー。
後、今回オリ主があまり登場しません!
では、どうぞ(っ´∀`)っ


第9話:嫉妬の視線

ジリジリジリジリリリリリリッ!!

 

「ん..うぅ......」

 

雷牙は小さなうめき声を発しながら、右手でうるさい目覚まし時計を止める。

 

カチッ

 

「はぁ.....ん?」

 

目覚ましを止めてから体制をうつ伏せから横に向けると、何か柔らかい物が雷牙の顔に当たった。寝ぼけてなんだか分からないが、それを触れようとした瞬間に雷牙の顔を何かが掴み、引き寄せる。雷牙は上手く息が出来ずベットで足をバタバタする。

 

「むぐぁ....んん!?」

 

息は苦しかったが、今はそんなこと雷牙にとってどうでも良くなったのだ。それは何故か――引き寄せられた時にその目の前にある物は()らかかった。最初はクッションかと思ったが家にはそんなものはない。あるとしたら白刃の部屋にある以前ゲームセンターで取ったシュークリームクッションだけなのだ。しかし、今目の前にある謎の柔らかさの正体はクッションではない事は分かる。では、一体何なのか?その答えは考えずもすぐ出た。―――そう。この尋常ではない柔らかさ――元い、いまだ成長中の感触。雷牙はどうにか体をくねらせベットから降りる。

 

「な、ななな...何で俺の部屋にお前がいるんだよ白刃!?」

 

「んぅ.....んー」

 

そこには自分の部屋で寝たハズの白刃が雷牙の部屋に忍び込んで、雷牙のベットに寝ていたのだ。と、白刃は雷牙の声に反応したのか、体を起こし体を伸ばすと次に手で欠伸を隠す。

 

「あーライガおはよう.....いい夢見れた?」

 

「見れてねぇよ!?危うくお前の力で窒息死する所だったわ!!」

 

雷牙はおもわず叫べられずにはいられなかった。

 

 

雷牙は机に右肘をつき。学校の外から見える雲をぼぅと眺めながらため息をこぼす。

 

「.......はぁ...何で朝っぱらから疲れないといけないんだよ....」

 

雷牙はあの後、学校の制服に着替えるべく白刃を部屋を追い出した。だが、出したのはいいが、昨日からやけに白刃が積極的に振舞って来るのだ。別に嫌ではないが、流石に雷牙も歳頃の男子なので女子とひとつ屋根の下で一緒に住むのは刺激が強すぎた。小さい頃折紙と一緒に住んでいた(・・・・・)けどあれ以来から5年の月日が経っている。きっとこれからも昨日と同じような事が起こるだろう。少し心配だが、1ヶ月ぐらい経てば直ぐに馴れるだろう。

 

―――と、教室のスピーカーから馴染みのチャイムが鳴り響く。HRが始まる時間だチャイムが鳴ると同時に、タマちゃん先生が教室の扉から入ってきた。

 

 

「はぁーい皆さん席に着いてくださぁーい。HRを始めますよぉ」

 

その掛け声がなると、さっきまでうるさかった教室が静かになり。そして、いつも通りの日常が始まる。雷牙はその光景を退屈そうに目を背け、再び窓の景色を眺めるのであった。

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

四限目の授業の終了のチャイムが校舎中に鳴り響き、昼休みになる。それと同時に、

 

「ライガ。お昼一緒に食べよ?」

 

「ん、ああ」

 

雷牙の机に、前からがっしゃーん!と机がドッキングされた。机をドッキングすると雷牙と白刃は自分の鞄からお弁当を取り出し机の上に置くと、一緒に蓋を開けた。

 

「お、白刃これは?」

 

弁当の中身を見ると、野菜と肉がびっしりと詰めてあった。白刃は自慢するかのように声を発する。

 

「今日の献立はピーマンの肉ずめ、ナスとひき肉の味噌煮、ウインナーと玉ねぎの炒め物だよ」

 

そう。この弁当を作ったのは白刃だ。なにやら「明日から弁当作りは私がやる」と、急に言い出し。雷牙はそれを断ろうとしたが白刃の上目遣い(涙目)に撃沈し折れた。自分でも思うがやはり白刃に少し甘い気がする。だがもし、下手に断ろうとすれば精神状態が不安定になって霊力が逆流しかねない。それを考慮するために仕方なく許可はしたが...まさか、弁当の中が肉、野菜、肉、野菜しかなかったのだ(ご飯はあります)そしてそのせいなのか弁当が遠くから見ても分かるぐらい非常に膨らんでいる。一体どんぐらいの量を入れたら膨らむのか雷牙は頭を悩ませた。

 

「ライガ、食べないの?」

 

「え、ああ!今食べるよ。いただきます!」

 

考え事をしていて弁当に手をつけていなかったので、白刃から不安の声が聞こえた。雷牙はそれに気づくと急いで箸を取り、弁当のおかずを口に運ぶ。すると、口の中から肉の旨みとほんのりと来る野菜の甘さが味覚に伝わって来る。一言で言うとめちゃくちゃ美味しい。白刃が料理を始めてから1日しか経っていないのにこの美味さは店に出せる程のものだった。

 

「....どう?」

 

痺れを切らしたのか、白刃は雷牙に弁当のおかずの味を聞いてくる。それを雷牙は素直に答える。

 

「うん。めちゃくちゃ美味い」

 

「本当?良かった....」

 

白刃はその事を聞くと、胸を撫で下ろしてふぅーと息を吐く。

 

「そんなに自分が作る弁当に自信がないのか?こんなに美味いのに」

 

「だって私まだ料理始めてから1日の半分しか経っていないんだよ?仕方ないじゃん。私だって自信がない時だってあるの」

 

白刃は頬を膨らませムスゥーとするが、雷牙はそれを気にせずに頭を撫でると白刃は直ぐに機嫌が良くなった。この時の白刃は、まるで大人っぽさが無く寧ろ妹みたいに甘えて来る。別に嫌な訳ではないが、親族もいない雷牙にとって、妹的な対応はどう接して行けばいいのか少々分からなかった。と、視界に士道の席が映る。見てみると、十香と折紙がまた言い争いをしていた。いつも見ているが良く飽きないなと雷牙は心の中でそう思った。すると、突然、街中から妬ましい警報音が鳴り響いた。

 

ウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ――――

 

瞬間。ざわついていた昼休みの教室が、水を打ったように静まり返る。

 

――空間震警報。

およそ三十年前より人類を脅かす、最悪の災厄。空間震と称される、災害の予兆である。

 

「..........」

 

と、士道の席にいた折紙は即座に席を立ち、雷牙の席まで来た。雷牙は折紙が来たことに首を横にきょとんとするが瞬間。折紙が無言で雷牙の襟元を掴み教室を出る。

 

「ちょ、ちょい!折紙さん!?一体どこに連れて行くんですかぁぁぁ!」

 

「.....」

 

雷牙は思わず叫ぶ。なにせ、何も伝えられていなく、いきなり襟を掴まれる。それを前の席で見ていた白刃が呼び止める。

 

「ちょっと、ライガを何処に連れていくつもり?質問によっては私が許さない」

 

白刃は雷牙をどこかに連れていく折紙に少し低い声で言う。折紙はそれに動揺もせず声を発する。

 

 

「無言で雷牙の襟を掴んだのは謝罪する。雷牙に用がある、少し借りる」

 

「借りる?それはどうゆう――」

 

白刃は折紙の返答に非常に気になりはしたが、今空間震警報が鳴っている事をその質問は中断する。折紙は雷牙の右手首を掴み廊下を出ようとするが、雷牙は止まり。白刃に向けて声を発する。

 

「大丈夫だ白刃!俺はちゃんと怪我せずに戻ってくるから!お前は十香と一緒にシェルターに避難しとけ。約束だぞ!」

 

それを言うと雷牙は折紙と共に教室を後にした。

その後ろ姿を眺めていた白刃は少し胸がキュッと締め付けられる感覚を感じてた。なぜだろう、雷牙が折紙と一緒にいるだけで少し腹が立つ。一体なんだろう何で2人の後ろ姿を見るだけでこんなに羨ましいのか、彼女はまだ知らない。この感情が嫉妬だと言うことを―――

 

 

 

雷牙は折紙に手首を掴まれながら歩いていた。

 

「な、なぁ折紙。お前一体どこに連れて行くんだよ!」

 

「.........」

 

折紙は雷牙の返答に答えずにただ無言で歩く。だがその、今掴んでいる右手首は少しだけ力が強かった。雷牙は気づく今の折紙は怒っている。その理由は雷牙は自身も分からなかった。そして、いつも待ちわせ場所で使ってる屋上へと続く階段まで連れてこられた。折紙はそこで雷牙の右手首を離す。

雷牙は折紙に再び質問をする。

 

「んで、空間震警報が鳴ってるのにこんな所に連れてきて一体どうしたんだ?」

 

「手短に話す。雷牙、これを貴方に 」

 

折紙は右ポケットから手の平に収まるくらいのデバイスを雷牙の手元に渡す。

 

「緊急用デバイスか...何故これを?」

 

雷牙の手元にあるのは緊急着装デバイス。簡単に言うと、この小型デバイスに基礎顕現装置(ベーシックリアライザ)が搭載されていて随意領域(テリトリー)を展開することが出来る。そして随意領域(テリトリー)の中であれば、衣服を一瞬で展開、変更することが可能。だが、整備士の雷牙がこのデバイスを受け取らなければならないのか分からなかった。折紙は無表情で口を動かす。

 

「――念の為」

 

「は?」

 

「貴方は4月。空間震警報が鳴ってても外に出ることについて、日下部隊長から雷牙にこれを支給された」

 

雷牙は何も言えなかった。確かに4月に顕現装置(リアライザー)を持ってもないのに外に出たのをカメラに映ってバレたのだ。本当ならば(上層部)にこっぴどく叱られるのだが、何故か軽い注意だけさせられ事を収めたのだ。

多分日下部隊長が回してくれたのだろう。だからこそ雷牙にこの緊急用デバイスを折紙経由から渡されたのだ。雷牙は素直にもらい自分の制服のポケットに入れた。

 

 

 

 

「分かった。もし隊長に会ったらこう言っといてくれ。『壊したらごめんなさいってな(・・・・・・・・・・・・)』頼むぞ?」

 

 

「分かった。約束する」

 

 

折紙は頷き雷牙の伝言を承知する。

それを確認した雷牙は避難するため(フラクシナスに行くため)に人気がない場所に行こうと足を動かす。

 

「んじゃ折紙また基地で会おうぜ!」

 

「......気をつけて」

 

「おう!そっちもな」

 

雷牙は折紙を置いて廊下を走りだし角を曲がった。そして角を曲がった瞬間、突如足から奇妙な浮遊感が襲う。

 

 

 

「遅い!一体貴方は何処で寄り道していたのかしら?この、タラシ虫」

 

雷牙が <フラクシナス> の艦橋に着くなり、艦長席に座った琴里から、暴言が飛んできた。

てか、タラシ虫てっ何だよ....と、雷牙は心の中でそう呟いていた。

 

「で、士道が見当たらないんだがアイツどこ行ったんだ?」

 

「貴方が来る前に行ったわよ」

 

琴里はため息をしながら雷牙に返答する。

 

「え?マジ?」

 

「本当よ。なら自分でそこにあるモニターでも見てみなさい」

 

琴里は口に含んであるチュッパチャプスを右手で持ちモニターの方に指す。

雷牙は指された場所を見てみると目を大きく目開いてしまう。そこにはデパートの玩具店の中に士道ともう1人は昨日会った兎の少女(・・・・)だった。

 

「?雷牙どうしたの?まさか、貴方も昨日あの子に会ったなんて言わないわよね?」

 

「.....すまない昨日会った」

 

琴里はモニターを見て呆然している雷牙に問うが。雷牙はすぐ返答した。

 

「んで、司令。俺はどうすりゃいい?」

 

雷牙は琴里に何か自分が出来る事がないかと、尋ねる。

 

「んーとりあえず何かあったら出てもらうてっ形になるから一先ず待機ね」

 

琴里は難しく唸る声を出し、雷牙に命令を出す。

雷牙も今回は好都合だった。もしあの場で出てしまえば折紙達に見つかり職質されかねないのだ。今は士道に任せて自分は大人しく待機していよう。と、1つ脳裏に白刃の事を思い出す。

 

「そういや、白刃のやつちゃんと十香と一緒にシェルターに避難したかな....」

折紙に連れて行かれた雷牙は教室に残った白刃はそれからどうなったのか分からない。連れて行かれる前に念の為シェルターに避難しろとは言ったが、少し不安だ。

 

と、そんな事を考えていたら<フラクシナス>からものうるさい警報音が艦内に鳴り響いた。雷牙は目線をモニターに移すとそこにはここにはいないはずの十香と白刃がいた。

 

「おい司令。何で2人があそこにいるんだよ!シェルターに避難したんじゃないのか!?」

 

雷牙は驚きのあまり声を大きく琴里に言う。

 

「.....えぇ避難したはずでしょうけど十香が士道の事が心配で飛びしたんでしょうね。しっかしまさか白刃も一緒に来るとはね」

 

琴里は珍しく焦りながら言う。まさか避難した2人が空間震警報がなっているのに外に出ているのだ。本当なら誰かが止めるはずだがこっそり抜け出して来たのだろう。しかし、雷牙は驚いた。何故なら白刃が十香と一緒にシェルターを抜け出して士道と<ハーミット>がいる所に来てしまっているのだ。多分だが、十香を止めようとしたが止められずそのまま来てしまったのかもしれない。

 

「どうする司令?」

 

「....仕方ない、雷牙行ってきなさい。くれぐれもASTに見つからないようにしなさいよ!」

 

雷牙は琴里に出撃許可をもらうように言い琴里はそれに応え許可を出した。

雷牙は許可をもらった瞬間に飛び出し急いで白刃達がいる現場に走る。

 

「頼む。間に合ってくれよ!」

 

そう雷牙は祈るのだった。

 

 

『やー、ねー、ごめんねぇ、これもよしのんが魅力的すぎるのがいけないのよねぇ』

 

「ぐ、ぐぐ.....っ」

 

同時刻。

 

士道が心配で学校のシェルターから抜け出した来た十香は<ハーミット>と言い合いをしていた。事の発端はジャングルジムで遊んでいた<ハーミット>が足を滑らせ落ちてそれを士道が咄嗟に受けとめてバランスを崩し、丁度唇と唇が重なってしまいそれを十香に見られ今この状況になっている。

 

『別に十香ちゃんが悪いって言ってるわけじゃないのよぅ?たぁだぁ、十香ちゃんを捨ててよしのんの元に走っちゃった士道くんを責めることもできないっていうかぁ』

 

「う.....うがーッ!」

 

しばしの間、<ハーミット>の左手に付けているよしのんが十香を煽るような声でいいその十香はそろそろ我慢の限界とばかりに叫びを上げた。

 

「う、うるさい!黙れ黙れ黙れぇっ!駄目なのだ!そんなのは駄目なのだ!」

 

『ええー、駄目って言われてもねぇ。ほらほらぁ、士道くんもそこの白髪のおねーさんもはっきり言ってあげなよぅ、十香ちゃんはもういらない子、って』

 

 

「十香、落ち着きなさい!耳を貸しちゃダメ!」

 

白刃が十香を呼び止めるがもう遅い。今の十香を止める者は誰もいなく彼女は『よしのん』の話を聞くと瞬間、ガバッとパペットの胸ぐらを掴み上げた。無論小さなパペットである。少女の手から容易く外れ、上空に持ち上げられてしまう。

 

「............!?」

 

と、パペットを取り上げられた少女が、目を丸くした。

次の瞬間には体や指先をプルプルと震わせる。十香はその事も気にせずパペットに、鋭い視線を向け、詰め寄る。

 

「わ........ッ、私は!いらない子ではない!シドーが......白刃が...私に、ここにいていいと言ってくれだのだ!それ以上の愚弄は許さんぞ!おい、何とか言ったらどうだ!?」

 

パペットが声を発していたと思っているのか、ウサギの首元を掴み上げながらぐらぐらと揺する。

 

「........!......!」

 

そんな様子に、『よしのん(・・・・)』が声にならない悲鳴を上げていた。先ほどまでの悠然とした調子が嘘のように、全身を怯えた子犬のごとく震わせている。そして『よしのん』が、視線を避けるようにフードを目深にかぶり直してから、十香の服を引っ張った。

 

「ぬ。な、なんだ?邪魔をするな。今私は、こやつと話をしているのだ」

 

「――かえ、して....くださ....っ」

 

十香の両手で高々と吊り上げられたパペットを取ろうとぴょんぴょんと飛び跳ねる。

 

『――何しているの士道。よしのんの精神状態まで揺らぎまくりよ早く止めなさい!』

 

士道の右耳に付けているインカムから琴里の声が響いてくる。士道は頬をかきながら、恐る恐るのどを震わせた。

 

「な、なぁ、十香。その.....それ、返してやってくれないか?」

 

「.........っ!」

 

すると十香が、士道の言葉に、愕然とした様子で目を見開いた。

 

「シドー....やはり.....私よりもこの娘の方が....っ」

 

「は、はぁ?いや、そういうことじゃなく―――」

 

と、それとほぼ同時に。

 

「.......っ、<氷結傀儡>......っ!」

 

『よしのん』がバッと右手を上げたかと思うと、それを真下に振り下ろした。

 

瞬間――床を突き破るようにして、その場に巨大なウサギ型の人形が現れる。

 

「に、人形.....っ!?」

 

「――なっ。これは――!?」

 

士道と十香が、同時に声を発する。白刃は目を見開き驚いていた。『よしのん』は、自分の足の下から出現した人形の背にピタリと張り付くと、その背にあいていた2つの穴に両手を差し入れた。

次の瞬間――人形の目が赤く輝き、その鈍重そうな体躯を震わせながら、グゥオォォォォォォォオオォォォ――と、低い咆哮を上げる。それに合わせて、人形の全身から白い煙のようなものが吐き出された。

 

「冷た.....ッ!?」

 

思わず足を引っ込めてしまう。

その煙は、まるで液体窒素から発せられているもののように、非常に低温であったのだ。

 

『――このタイミングで天使を顕現.....!?士道、まずいわ、逃げなさい!』

 

「は、はぁ...っ!?て、天使って何だよ!」

 

突然右耳に響いた琴里の叫びに、思わず大声を上げてしまう。

 

『精霊を護る絶対の盾・霊装と対と成す最強の矛!精霊をたらしめる「形を持った奇跡」よ!十香と白刃の<鏖殺公>と<天ノ白嵐>を忘れたの!?』

 

先月。二人が精霊の力を有していた時に顕現させた、剣と刀である。それが示す事象。それは非常にシンプルだった。つまりは――キスをしたのに、精霊の力が封印出来ていない。

と、『よしのん』が小さく手を引いたかと思うと、人形――<氷結傀儡>が低い咆哮とともに身を反らした。

すると、デパート側面部の窓ガラスが次々と割れ、フロア内部に雨が入ってくる。だが――正確に言うのなら、少し違う。

窓が割れて雨が入ってきたのではなく、まるで雨粒が凄まじい勢いで以て外部から窓ガラスを叩き割ったかのような感じだった。

 

「いぃ....っ!?」

 

士道は驚愕に目を見開くと、足を震わせながら、前方に聳える人形を見た。――ギロリ、と十香の方に顔を向ける人形を。

 

「士道!十香を!」

 

「.......ッ!十香!」

 

白刃がでかい声で叫ぶと同時に士道は、言うが早いか十香の手を引き、その身体を抱き込むようにして床に倒れこんだ。白刃も咄嗟に近くにある柱に飛び込もうとしたが、足に何かが絡まって動けなくなるが、突如白刃の前にいきなり人影が現れ彼女を抱いて近くにある柱に隠れる。確認をしようと思ったが中が暗すぎて誰だか分からなかった。

 

「――だ、誰!?」

 

「な.....っ、シドー!?」

 

十香の声が、鼓膜を震わせる。と、それとほとんど同時に、今の今まで2人の身体があった位置を、夥しい数の弾丸のようなものが通り抜けていった。それらは周囲の商品棚を派手に穿ったのち、透明な液体となって床に流れていく。

 

「あ、雨....!?」

 

そう。割れた窓から、雹のように固まった雨粒が、重力を無視して十香と白刃に放たれたのだ。

と――そこで、『よしのん』の駆る<氷結傀儡>が動いた。

 

「.....っ」

 

咄嗟に十香を守るように、自分の背を<氷結傀儡>の方に向ける。だが、<氷結傀儡>は鈍重なシルエットに似合わぬ俊敏な機動で血を蹴ると、先ほどまで十香がいた位置を通り抜け、そのまま割れた窓から屋外に飛び出していってしまった。

途中――十香の手から落ちたパペットを口に当たる部分でくわえて。

 

「.......」

 

士道は『よしのん』の背を視線で追ってから、小さく口を開いた。

 

「た、助かった......のか?」

 

『.....ええ。反応は完全に離脱したわ。なかなか無茶をするわね、士道。それと雷牙(・・)

 

右耳に、そんな声が聞こえてくる。だが、士道以外の名前も聞こえた気がした。

 

「や......でも何でいきなり....ん?待ってくれ、雷牙もいるの――」

 

と、言いかけたところで、

 

「いいから早く離さんか......ッ!」

 

服を掴まれ、士道はその場にごろんと転がされた。

 

「のわ......っ!?」

 

原因は考えるまでもない。今の今まで士道の腕の中にいた、十香だ。彼女を頬を紅潮させ歯を食いしばるという、駄々っ子のような表情を作りながら、肩をいからせるような姿勢でその場に立ち上がった。

 

「と、十香......?」

 

「......っ!触るなっ!」

 

「いて....っ」

 

士道が思わず顔をしかめ、手を引っ込めると、十香は一瞬ハッとした顔を作った。しかしすぐに「むむむ.....」とうなり、ぷいと顔を背けてしまう。

 

「ど、どうしたってんだよ、十香.....」

 

「うるさいっ!話しかけるな!わ、私より、あの娘の方が大丈夫なのだろう......っ!」

 

「は、はぁ.....?何言って――」

 

士道が呆気にとられたように声を発しようとするが、後ろから誰かに右肩を掴まれた。後ろを見てみるとさっきまでここにはいなかった雷牙がそこにはいた。

 

「ら、雷牙!何でここに.....」

 

「白刃やお前たちがいたから来たんだよ。それよりも今のアイツには何を言っても無駄だ。少し距離をとれ」

 

「あ、ああ.....」

 

雷牙が、士道を止めると士道は少ししょんぼりしたが雷牙はそれを気にせず直ぐに白刃の元に行く。

 

「大丈夫か白刃?」

 

柱に隠れて、座っている白刃に手を差し出す。だが、白刃はその手をバチンと払いとばす。雷牙はいきなりだったので声を発する。

 

「し、白刃?どうしたんだ?」

 

白刃を見てみると、少し頬をプゥと膨らませぷいと後ろを向く。

 

「知らない。何でか雷牙を見るとムカつくの。だから今は来ないで」

 

そんな意味が分からない返答が帰ってきた。それに雷牙は困惑することしか出来なかった。

 

すると、士道の方面から亀裂が入りそっちを見てみると十香が苛立たしげに地面を蹴っていた。その度にデパートの床が陥没していった。

その後は、フラクシナスに回収され、少し検査を受けて白刃と一緒に自分の家に帰るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい。如何だったでしょうか?流石に四糸乃パペット編はオリ主の出番が少ないです。まぁ仕方ないですよね。雷牙君はAST側なので見つかったら職質待った無しですからw
次回で四糸乃パペット編は最後にしたいですが、まだ1話続くかもしれません!すまない!

次回:第10話 謝りと少しの過去

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