デート・ア・ライブ 雷蒼の物語 『凍結』   作:バルクス

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どうもバルクスです。前回の投稿から少し経ってしまいましたすいません。(原作を見ていたなんて言えない。)

今回も長めです。
もう短くかけなくてもいいや

ではどうぞ。。(〃_ _)つ


第3話:訓練

「...はぁ?」

 

雷牙は困惑したいきなり知らない場所に来させられてよくわからない組織に仲間になれと言われたのだ。

 

「その前に質問いいか?」

 

「いいわよ。どうせ理解してもらわないと話が進まないしね」

 

雷牙は息を整え琴里に質問をした。

 

「どうしてAST(・・・)に所属している俺がここに呼ばれたんだ?」

 

そう言うと琴里は艦橋のモニターにあるものを表示させた。雷牙はそれを見て驚く。

そこには、つい先程出会った白髪少女と話をしている雷牙の姿があった。

 

「これが答えよ分かってもらえたかしら?」

 

「......」

 

雷牙はコクリと、小さく頷いた。 琴里は雷牙に「だけど」と雷牙に返す。

 

「貴方を呼んだのはもう一つあるの」

 

「....どうゆう事だ?」

 

「貴方の力を見込んで士道の護衛をしてほしいの」

 

雷牙はポカンと口を開ける。琴里はそのまま話しを続ける。

 

「貴方の経歴は見たわ驚くようなものばっかだけど」

 

「俺の経歴を見てどうする?確かに得することはあるけど。だが、俺とあんたらは敵だろ?」

 

琴里は「はぁ」と息を吐くと呆れたように口を開く。

 

「まだわからない?貴方の力で精霊を救って(・・・)欲しいのよ」

 

「精霊を救う?」

 

雷牙は琴里の言葉に理解が出来なかった。

それはそうだ雷牙はAST精霊を殺す為の部隊雷牙にとってはそれは初めて言葉を覚えたような気分だった。

 

「確かに貴方が所属しているASTは現場にいってこれをぶっ殺すんでしょうけど」

 

AST。通称アンチ・スピリット・チームは精霊を殺すことに専念を置いている。だからこそ雷牙はこの武力を以て行使をするやり方しか知らないのだ。

だが、琴里は人差し指を立てて「もうひとつあるの」と言う。

 

「私達ラタトスクは精霊と、対話する方法。つまり精霊を殺さず空間震を解決するために結成された組織よ」

 

「.......」

 

雷牙は眉をひそめて考えを巡らせた。その組織とはなんなのか、気になることはたくさんあったが――とにかく、今もっとも気にせねばならないことを口に出す。

 

「....で、なんでその組織が俺の力を見込んで士道の護衛するって話に繋がるんだよ」

 

「そうね、簡単に言うなら〈ラタトスク〉っていうのは、そこにいる士道のために作らされた組織だから」

 

「「は、はぁ......ッ!?」」

 

士道と雷牙は今まで一番盛大に表情を崩すと、素っ頓狂な声を上げた。それを聞いた士道は口を開く。

 

「ちょっと待て。今まで以上に意味がわからん。俺のため?」

 

「ええ。――まぁ、士道と補助 兼 護衛役の雷牙を精霊との交渉役に据えて、精霊問題を解決しようって組織って言った方が正しいのかもしれないけれど。どちらにせよ、雷牙がいても士道がいなかったら始まらない組織なのよ」

 

「ま、待てって。どういうことだよ。この人たちが、全部そんなことのために集められたってことか?ていうかなんで俺なんだよ」

 

士道が問うと、琴里はキャンディを口の中で転がしながらうなった。

 

「んーまぁ、士道は特別なのよ」

 

「説明になってねぇぇぇぇぇ!」

 

たまらず、叫ぶ。

 

しかし琴里は不敵に笑うと、肩をすくめる仕草を見せてきた。

 

「まぁ、理由はそのうちわかるわ。いいじゃない。私たちが、全人員、全技術を以て士道の行動を後押ししてあげるって言ってるのよ?それとも――また一人で何の用意もなく精霊とASTの間に立つつもり?死ぬわよ、今度こそ」

 

琴里が半目を作り、冷淡な口調で言ってくる。士道は思わず息を呑んだ。

確かに琴里の言うとおりである。士道は理想と希望を唱えているだけで、それを実現させる手段を持っていない。

言いたいことはのどの奥からあふれ出るほどにあったが、なんとかこらえて、話を進める問いのみ発する。

 

「....その、対話ってのは、具体的何するんだよ」

 

言うと、琴里は小さく笑みを浮かべた。

 

「それはね」

 

そしてあごに手を置き、

 

「精霊に――恋をさせるの(・・・・・・)

 

.......。

 

「......はい?」

 

士道は、頬に汗をひとすじ垂らし、眉をひそめた。雷牙はその事について口を開く。

 

「......すまん、意味がわからん」

 

「だから、精霊と仲良くお話ししてイチャイチャしてデートしてメロメロにさせるの」

 

さも当然のこどく言う琴里に士道と雷牙は頭を抱えた。

士道は琴里に質問をする。

 

「.....ええと、それで何で空間震が解決するんだ?」

 

琴里は指を一本あごに当てながら「んー」と考えるような仕草を見せたあと、

 

「武力以外で空間震を解決しようとしたら、要は精霊を説得しなきゃならないわけでしょ?」

 

「「そうだな」」

 

「そのためにはまず、精霊に世界を好きになってもらうのが手っ取り早いじゃない。世界がこんなに素晴らしいものなんだー、ってわかれば精霊だってむやみやたらに、暴れたりしないでしょうし」

 

「「なるほど」」

 

「で、ほら、よく言うじゃない。恋をすると世界が美しく見えるって。――というわけでデートして、精霊をデレさせなさい!」

 

「「いや、その理屈はおかしい(だろ)」」

 

明らかに論理が飛躍している。士道は頬に汗を垂らしながら言った。

 

「おッ、俺はそういうやり方じゃなくてだな.....」

 

「五河に一票だ確かにこれはあまりにもリスクがおおす――」

 

「黙りなさいこのフライドチキンとイノシシ頭」

 

士道と雷牙が反論しかけると、琴里を有無を言わせぬ強い口調で遮ってきた。

 

「ASTが精霊殺すの許せましぇ~ん、もっと他に方法があるはずでちゅ~、でも〈ラタトスク〉のやり方はイヤでちゅ~......って?甘えるのも大概にしなさいよこのミイデラゴミムシ一号、二号。士道と雷牙二人で何が出来るっていうの?身の程を知りなさい」

 

「ぐ、ぬ.....」

 

「......」

 

「――腹の底では全部賛同してなくったっていいわ。でもあなたたちがもし精霊を殺したくないっていうのなら.....手段は選んでいられないんじゃないの?」

 

なんともまぁ、悪そうな笑みを琴里が浮かべる。

 

実際、その通りだった。

なんの力もない士道と少しだけある雷牙が後ろ楯もなくもう一度あの精霊の少女と話がしたいと願っても、まず叶うはずもない。

ASTのやり方は雷牙と士道だって論外と思ってる――琴里たちだって、要は精霊に籠絡していいように利用しようとしているようにしか思えない。

だけれど――他に方法がないのも事実だった。

 

「.....っ、わかったよッ」

 

「士道はこう言ったけれど貴方はどうするの?雷牙」

 

「......」

 

雷牙は黙っていた。彼はASTに所属している身、精霊と戦う部隊と精霊と対話する組織は交わらないのだ。そう雷牙はどっちかを裏切らないといけなかった。その事について琴里は雷牙に提案をだす。

 

「そこまで深刻に考えなくてもいいのよただ貴方はスパイみたいな事をしてくれればいいのよ報酬はいくらでもだすわさぁどうする?」

 

琴里がそう言うと雷牙は驚いたが、少しだけ笑みを浮かべる雷牙は覚悟を決めたのだ。たとえAST要員でもあの少女にまた会う約束をしたのだそれを裏切りたくはなかった。雷牙は最初に出会ったあの少女の悲しい顔はもう見たくなかった彼は遂に答えをだす。

 

「......分かったこちらこそ宜しく頼む」

 

雷牙が了承の答えをだすと、琴里は満面の笑みを作った。

 

「――よろしい。今までのデータから見て、精霊が現界するのは最短でも一週間後。早速明日から訓練よ」

 

「「は......?くんれん.....?」」

 

士道と雷牙は呆然と呟いた。

 

 

そして、次の日。

 

士道は折紙に手を掴まれ、教室を出ていく。

後方では殿町たちと男子生徒がポカンと口を開け、女子の集団が何やらキャーキャーと騒いでいた。

机に寝ていた雷牙は奇声音がうるさく寝れずにいた。

 

「(またあらぬ噂が流れるな.....頑張れよ士道....)」

 

雷牙が士道の事を下の名前で呼ぶようになった理由は昨日フラクシナスで士道と出会ってお互い自己紹介しあってから、雷牙の名字の雷蒼が呼びづらいためお互い信頼の証しとして下の名前で呼ぶ合うことになった。

そんな士道の精神的なダメージの無事を祈りながら雷牙は士道に親指をグッと、上げる。そんな中、雷牙の携帯にメールが届いていた。

 

「ん?誰からだ....げっ!?」

 

雷牙は携帯のメールを見るとそこには『鳶一折紙』と書かれてあった。その内容を見てみる。

 

『放課後、屋上の扉前に来て。』

 

と、書いてあった。雷牙には心当たりがあった。そう昨日の空間震の時雷牙はシェルターに避難しなかったのだ。自分はAST要員であって、部隊の隊員ではないのだ。

雷牙のASTでの役割は整備士で、顕現装置(リアライザ)とCR-ユニットを装備していない雷牙は一歩間違えると死んでいたのだ。そのメールに雷牙は「はぁ...」とため息を()く。

 

「昨日何か言われるんだろうなと思ったがまさか今日だったとは、頼むから心の準備だけさせて欲しかったぜ...」

 

 

「.....ふぃぃ.....」

士道は折紙の背が見えなくなってから、壁に背をついて息を吐いた。士道は先ほど折紙に昨日の事について話をされていた。自分と精霊については誰にも公開しないでほしいと言われたのだ。

 

「両親が、精霊のせいで死んだ――か、」

 

ゴン、と壁に頭をつけ、呟くように言う。

 

そう折紙は五年前に両親を精霊に殺されたのだ。

その為に折紙はASTに入ったのだろう。世界を殺す災厄とさえ呼ばれる精霊だ。そういうことも――あるのだろう。

 

「....やっぱり、俺が甘いだけなのかね....」

 

はぁ、と息を吐く。と、士道が階段を下りて教室に戻ろうとしたとき――

 

 

「......」

 

雷牙はこの状況を理解出来なかった。突然廊下の方から女子生徒の悲鳴が聞こえ駆けつけてみるとそこには自分には見覚えある女性が廊下で倒れていた。士道も途中から来たので雷牙は状況を確認すべく女子生徒に話を聞いた。

 

「どうしたんだこれ?」

 

「し、新任の先生らしいんだけど....急に倒れて.....っ!」

 

呟くと、女子生徒があたふたしながらそう返してきた。

 

「よくわかんねぇけど、とにかく保険の先生を―――」

 

士道が言いかけると、倒れていた白衣の女性がガシッ、と士道の足を掴んだ。

 

「う、うわぁっ!?」

 

「.....心配はいらない。ただ転んでしまっただけだ」

 

「いや心配ありだろ....」

 

雷牙はツッコミをいれたが、女は廊下にべったりつけていた顔面を、ゆらりと上げる。

 

「あ、あんたは.....!」

 

士道は気づいたのだろう。長い前髪に、分厚い隈。眼鏡なぞかけていたが、その特徴的な顔を二人は忘れるはずがない。

 

「.....?ああ、君たちは――」

 

〈ラタトスク〉の解析官・村雨令音が、のろのろと身を起こす。

 

「な、何してるんですか、こんなところで....」

 

「士道の言うとおりだ。どうしているんですか村雨解析官」

 

 

「.....見てわからないかい?教員としてしばらく世話になることにしたんだ。ちなみに教科は物理、二年四組の副担も兼任する」

 

白衣の胸につけていたネームプレートを示しながら、令音がいってくる。ちなみに、そのすぐ上の胸ポケットからは、傷だらけのクマさんが覗いていた。

 

「ほぇーそれは初耳だ士道お前知ってたか?」

 

「いや、わかるはずないでしょうがっ!」

 

叫び――士道はそこで、異様に周囲の視線が集まってしまっていることに気づいた。

 

「あ.....こ、この人大丈夫みたいだから」

 

言って手を差し伸べ、令音を立ち上がらせる。この後雷牙にクスクスと笑われたのは気のせいだろう。

 

「....ん、悪いね」

 

「それはいいですけど、歩きながら話しましょう」

 

あたりに気を払いながら、士道はいった。

 

「ええと――村雨解析官?」

 

「....ん、ああ、令音で構わんよ」

 

「は?」

 

「.......私も君たちを名前で呼ばせてもらおう。連携と協力は信頼から生まれるからね」

 

「え、マジかよし!んじゃ早速呼ばせてもらいますわ!」

 

雷牙は何かに解放されたように笑顔になる。

令音はうんうんとうなずき、士道と雷牙の顔を見た。

 

「ええと、君たちは....しんたろうとライ、だったかな」

 

「し、しか合ってねぇ!」

 

「俺は名前というよりあだ名だな」

 

信頼も何もなかった。

 

「さてシン、ライ、早速だが」

 

「なんですかその華麗なスルーは!ていうか変な愛称までつけた!雷牙も令音さんに何か言ってくれ!」

 

「いや別にいいんじゃね?俺は気に入ってるから」

 

「ここに味方なんていなかった!」

 

たまらず叫ぶ。しかし令音は、士道の言葉など聞いていない様子で続けてきた。

 

「....昨日琴里が言っていた強化訓練の準備が整った。君たちを捜していたところだ。ちょうどいい、このまま物理準備室に向かおう」

 

士道はもう何を言っても無駄とつっこみを諦め、はぁ息を吐いて問い返した。

 

「訓練ってのは一体どんなことするんですか?ええと.....令音さん」

 

「......うむ。琴里に聞いたが、シン君は女の子と交際をしたことがないそうじゃないか」

 

「え?士道お前まじかよプークスクス」

 

「じゃあお前はあるのかよ!」

 

士道は雷牙の笑いにキレ言い返す。だが、雷牙はこう返した。

 

「え?ないけど」

 

「.....」

 

その空気に令音は口を開く。

 

「.....別に責めているわけじゃあない。身持ちが堅いのは大変結構なことだ。....だが、雷牙も言えるが精霊を口説くとなるとそうも言っていられないんだ」

 

「「むう.....」」

 

二人は眉根を寄せながら、うめく。

と、職員室の近くを通ったとき士道と雷牙は奇妙なものを目にして立ち止まった。

 

「......どうかしたかね?」

 

「いや、あれ....」

 

「......」

 

視線の先を、担任のタマちゃん教諭が歩いていたのだが――その後ろに、どうも見覚えのある、髪を二つ結びにしたちっこい影がついて回っていたのである。

 

「あ!」

 

士道の視線に気づいたのだろうか、ちっこい影――琴里が表情をパァッと明るくした。

 

「おにーちゃぁぁぁぁぁん!」

 

瞬間、琴里が吸い込まれるように士道の腹に突撃してくる。

 

「はがぁ......っ!」

 

「あははは、はがーだって!市長さんだ!!あはははは!」

 

「こ、琴里......っ!?おまえなんだって高校に.....」

 

「え....士道。コイツ司令官なのか!どうみたってリボンの色も変わってるし、性格も違うじゃないか!?」

 

「安心しろ本来俺が知ってる琴里はこっちだ!!」

 

士道が困惑している雷牙に腹にまとわりつく琴里をどうにか引き剥がしながら言うと、琴里の後ろからタマちゃん教諭が歩いてきた。

 

「あ、五河くん。妹さんが来てたから、今校内放送で呼ぼうとしてたんですよぅ」

 

「は、はぁ」

 

よく見ると、琴里は来賓用のスリッパを履き、中学の制服の胸に入校証をつけていた。

手続きを踏んで学校に入ってきたらしい。

 

「先生、ありがとー!」

 

「はぁい、どういたしましてぇ」

 

元気よく手をブンブンと振る琴里に、タマちゃん先生がにこやかに返す。

 

「やー、可愛い妹さんですねぇ」

 

「はぁ.....まぁ」

 

士道は頬に汗を垂らして苦笑しながら、曖昧な返事をした。

タマちゃん先生は琴里に笑顔で「バイバイ」と手を振ると、職員室の方に歩いていった。

 

「.......で、琴里」

 

「んー、なーに?」

 

琴里が、丸っこい目を見開きながら首を傾げてくる。

 

その仕草(雷牙は知らない)は、士道のよく見知ったいつもの可愛い妹のものだった。

 

「おまえ....昨日の〈ラタトスク〉とか、精霊とか――」

 

「その話はあの部屋に行ってからしよーよ」

 

琴里が指を指した方角をみるとそこには物理準備室があった。

 

「さ。入ろー、入ろー♪」

 

「ハイ・ホー、みたいに言うんじゃねぇよ」

 

琴里に促され、士道はスライド式のドアを滑らせた。そしてすぐに、眉根を寄せて目をこする。

その次に驚いたような声で士道に訪ねる。

 

「....なぁ、士道これって.....」

 

「.....ちょっと」

 

「.....何かね?」

 

士道の言葉に、令音が小首を傾げた。

 

「なんですか、この部屋」

 

物理準備室なんて、生徒がそうそう入る場所ではないし、実際、士道と雷牙も中に何が置かれているかなんて知らない。

それでも、二人ははっきりと認識できてしまった。

――ここは、物理準備室ではない、と

何しろ二人の視界にはいくつものコンピューターにディスプレイ、その他見たこともない様々な機械で埋め尽くされていたのだから。

 

「......部屋の備品さ?」

 

「いやなんで疑問形なんですか!ていうかそれ以前に、ここ物理準備室でしょう?もといた先生はどうしたんですか!」

 

「あ、それ俺も思った」

 

そう。ここはもともと、善良で目立たない初老の物理教諭・長曽我部正市(通称・ナチュナルボーン石ころぼうし。雷牙はナチュナルと呼んでいる)がトイレ以外で唯一安らげる空間だったはずなのだ。

そのナチュナル教諭の姿がどことも見えない。

 

「......ああ、彼か。うむ」

 

令音があごに手をやり、小さくうなずく。

 

「..........」

 

「.........」

 

「.........」

 

「........」

 

「.........」

 

そのまま、数秒が過ぎた。

 

「.....まぁそこで立っていても仕方ない。入りたまえ」

 

 

「うむ、の次は!?」

 

「ナチュナル教諭.....あんたは言いやつだったよ」

 

令音の頭上に何かが見えた気がした。何というスルー力。

令音は先に部屋に入ると、部屋の最奥に置かれていた椅子に腰掛けた。

次いで、士道の脇から琴里が部屋に入っていく。そして、慣れた様子で白いリボンで括られていた髪をほどくと、ポケットから黒いリボンを取り出し、髪を結び直す。

 

「ふぅ――」

 

するといきなり、琴里の雰囲気が変わった気がした。どこか気怠げに制服の首元を緩め、令音の近くの椅子にどっかと座り込む。

そして琴里は、持っていた鞄から小さなバインダーのようなものを取り出した。中には綺麗に、様々な種類のチュッパチャプスが並べてセットしてある。まさかの飴玉専用ホルダーである。

琴里はその中から一つを選び、口に入れると、未だに部屋の入り口にたちつくしていた二人に、見下すような視線を向けてきた。

 

「いつまで突っ立ってるのよ、二人とも。もしかしてカカシ志望?やめときなさい。あなた達の間抜け面じゃあ、カラスも追い払えないと思うわよ。ああ、でもあまりの気持ち悪さに人間はよってこないかもしれないわね」

 

「以外と少しズキッとくるな....」

 

「.........」

 

一瞬のうちに女王様に変貌した琴里を見て、士道は額に手を置いた。

 

「....琴里、おまえどっちが本性なんだ...?」

 

「嫌な言い方するわね。そんなんじゃ女の子にもてないわよ。――ああ、だからまだ童貞だったんだっけ。ごめんなさいね初歩的なことを指摘して」

 

「....おい」

 

「統計だと、二十二歳までに女性と交際できなかった男の半数以上は、一生童貞らしいわ」

 

「まだ五年以上猶予があるわ!未来の俺を舐めるなよ!」

 

「猶予と可能性ばかり口に出す人間は、結局『明日から頑張る』しか言わないのよね」

 

「ぐ.....」

 

口喧嘩ではまず敵わないと悟り、ぐっと堪えてドアを閉める。 雷牙はヒューと、口笛で驚いていた。

 

「......さ、ともかくシン、ライ。訓練を始めよう。ここに座りたまえ」

 

「.....了解」

 

「うぃー」

 

二人は琴里と令音にはさまれるように設えられている椅子に座る。

 

「さ、じゃあ早速調きょ......訓練を始めましょう。

 

「てめ今調教って言おうとしたな」

 

「本当この司令Sっ毛あるな絶対」

 

「雷牙失敬ね気のせいよ。――令音」

 

「.....ああ」

 

琴里が言うと、令音が足を組み替えながら首肯した。

 

「.....君たちの真意はどうあれ、我々の作戦に乗る以上は、最低限クリアしておかねばならないことがある」

 

「何ですか?」

 

「....単純な話さ。女性への対応に慣れておいてもらわねばならないんだ」

 

そう令音が言うと雷牙は、?を浮かべながら口を動かす。

 

「女性への対応....?」

 

「....ああ」

 

令音がうなずく。なんだか、眠たそうだった。

 

「.....対象の警戒を解くため、ひいては好意を持たせるためには、まず会話が不可欠だ。大体の行動や台詞は指示を出せるが.....やはり本人が緊張していては話にならない」

 

令音が言うと士道が苦笑いで言葉を発す。

 

「女の子と会話って.....さすがにそれくらいは――」

 

「本当かしらね」

 

と、琴里がいきなり士道の頭を押し、ぎゅっと令音の胸に押しつけた。

 

「.........ッ!?」

 

「.....ん?」

 

令音が、不思議そうに声を発した。

両頬を温かくて柔らかい感触が襲い、ついでに脳がとろけてしまいそうなほどいい匂いが鼻腔を駆け回る。士道はすぐさま琴里の手を退かすと、バッと顔を上げた。

 

「......ッ、な、ななななにしやがる....ッ!」

 

「はん、ダメダメね」

 

琴里が嘲るように肩をすくめた。

 

「わかったでしょ、こういうこと。これくらいで心拍を乱しちゃ話にならないの」

 

「いや、明らかに例がおかしいだろ!?」

 

しかし琴里は聞く耳持たず、やれやれと首を振ってくる。

 

「ホント、悲しいまでにチェリーボーイね。やだやだ、可愛いとでも思ってるの?」

 

「う、うるせぇ」

 

「....まぁ、いいじゃないか。だからこそ私たちがここに来たのだから」

 

言って、令音が腕組みをする。自然彼女の見事なバストが腕に『乗って』いた。

 

「........っ」

 

なんだか直視するのも気恥ずかしくて、思わず目を泳がせる。

 

――女性に慣れる、訓練。

士道と雷牙の頭の中に、令音が発した言葉が過ぎった。しかも多少エロティックな場面になっても狼狽えないようにする....だなんて。

 

琴里と令音は、一体ここで二人にどんなことを――

 

「あら士道、生唾飲み込んでじゃって。いやらしい」

 

琴里が机に肘をつきながら、半眼でそう言ってきた。

 

「.......!い、いや違うぞ琴里ッ!お、俺は別に.....」

 

そう琴里に士道は動揺しながら言葉を返すと雷牙がゴミを見るような眼で士道を見ながら言葉を発す。

 

「士道お前。そんな趣味が.....」

 

「だから違げぇ!?」

 

「.....まぁ、早いところ始めようじゃないか」

 

三人の会話を制し、令音が眼鏡をくいと上げる。

 

「は―――っ、い、いやまだ心の準備が......っ」

 

「俺は出来てるぞー」

 

雷牙はなぜ緊張していないのか分からないが、士道は緊張に声を震わせながらも背筋をのばした。

ドキドキしながらも動くことができない。士道は少女漫画の主人公みたいな表情をしながら、キュッと目を閉じた。

――しかし、どれだけ待っても何も起こらない。目を開けて見てみると、令音が机の上にある二台のモニターに電源を入れていただけだった。

 

「え.....?」

 

士道がキョトンとしていると、二つの画面に可愛らしくデザインされた〈ラタトスク〉の文字が映った。

次いで、ポップな曲とともに、カラフルな髪の美少女たちが順番に画面に表示され、タイトルと思しき『恋してマイ・リトル・シドー』と『恋してマイ・リトル・ライガ』のロゴが躍る。

 

「こ、これは......」

 

「.......うむ。恋愛シミュレーションゲームというやつだ」

 

「ギャルゲーかよッ!」

 

士道は悲鳴じみた叫びを上げた。

 

「やだ、何を想像してたの?さすが妄想力だけは一級品ね気持ち悪い」

 

「士道....やっぱそっちの側か」

 

「.....っ、やっ、そ、それは.....」

 

言い淀むが.....なんとか咳払いをして心拍を治める。

 

「お、俺はただ、本当にこんなんもんで訓練になるのかって......」

 

「.....まぁ、そう言わないでくれ。これはあくまで訓練の第一段階さ。それに市販品ではなく、〈ラタトスク〉総監修によるものだ。現実に起こりうるシチュエーションをリアルに再現してある。心構えくらいにはなるはずだ。ちなみに15禁」

 

「ああ.....18禁(エロゲ)ではないんですね」

 

何とはなしに士道が言うと、琴里が憐憫にも近い眼差しを作った。その横で雷牙は左手を顔に つけながらはぁと士道に吐息をする。

 

「やだ最低」

 

ついでに令音が、ぽりぽりと頭をかく。

 

「....シン、君は十六だろう?18禁のゲームができるはずないじゃないか」

 

「いやおまえらさっきと言っていること微妙に矛盾してね!?」

 

「士道落ち着け」

 

雷牙は叫ぶ士道を落ち着かせるが、琴里と令音に取り合うつもりはないようだった。

 

「......ん、では二人とも始めてくれたまえ」

 

はいはい......っと」

 

「うぃー」

 

雷牙は何も感じず気軽にコントローラを取る。士道に至っては腑に落ちないものを感じつつも、促されるままコントローラを手に取った。

 

士道は妹と先生に見られながらギャルゲーとか、どんな罰ゲームだろうと思いながら。隣にいる雷牙と一緒に主人公のモノローグを適当に斜め読みし、ゲームを進めていく。

と、画面が一瞬暗転し、

 

 

『おはよう、お兄ちゃん!今日もいい天気だね!』

 

 

「ねぇ――――――よ!!」

 

士道は、コントローラーを握りしめながら声を上げた。

 

「.....どうしたねシン。何か問題でも?」

 

「そうだぜ士道。いきなりどうしたんだ?」

 

「いや、これ実際にありそうなシチュエーションを再現とか言ってませんでした!?」

 

「......そうだが、何かおかしいかね」

 

「おかしいも何も!こんなふざけた状況現実に起こるわ......け.....」

 

そう言いかけた士道がいきなり喋らなくなった。雷牙はその事を察すると、士道に問う。

 

「お前まさか実際に起こったんじゃ......」

 

士道は雷牙に首をコクリと動かす。

 

「......何かね」

 

「.....いや、何でもないです。」

 

士道はものすごく不条理な何かを感じながらも、ゲームに戻った。

と、テキストを進めていくと、画面の真ん中に何やら文字が現れる。

 

「ん.....?なんだこれ」

 

「選択肢よ。この中から主人公の行動を一つ選ぶの。それによって好感度が上下するから注意するのよ」

 

言って、琴里が画面の右下を指さす。そこには、ゼロの位置にカーソルがついたメーターのようなものが表情されていた。

 

「ふーん....なるほどな。これのどれかを選べばいいんだな?」

 

「士道それフラグ.....」

 

隣から何やら声が聞こえてきたが、士道は好感度メーターから選択肢の方に視線を移動させた。

 

①『おはよう。愛してるよリリコ』愛を込めて妹を抱きしめる。

 

②『起きたよ。ていうか思わずおっきしちゃったよ』妹をベッドに引きずり込む。

 

③『かかったな、アホが!』踏んでいる妹の足を取りアキレス腱固めをかける。

 

「.....って、なんだこの三択は!どこがリアルだ!俺こんなんしたことねぇぞ!」

 

「何でもいいけど、制限時間つきよ」

 

「は.....ッ!?」

 

琴里の言うとおり、選択肢の下に表情されていた数字がどんどん減っていた。

 

「.....っ、仕方ねぇ」

 

「俺は放置しとこ」

 

雷牙は選択肢を選ばず放置をした。士道は一番まともであろう①の選択肢を選んだ。

 

が、それは大きな間違えだった。

 

『おはよう。愛してるよリリコ』

俺は妹のリリコを、愛を込めて抱きしめた。すると、リリコは途端顔を侮蔑の色に染め、俺を突き飛ばしてきた。

 

『え......ちょっと、何、やめてくんない?キモいんだけど』

 

好感度のメーターが、一気にマイナス五十まで下落する。

 

「リアルだったー!」

 

士道はコントローラーを膝の上に叩きつけながら叫びを上げた。

 

「あーあ、馬鹿ね。いくら妹でも、突然抱きついたらそうなるに決まってるじゃない。――まったく、ゲームだからいいものの、これが本番だったら、士道のお腹には綺麗な風穴が開いてるわよ?」

 

「じゃあどうしろってんだよこれッ!」

 

あまりに理不尽な仕打ちに士道は叫ぶも、琴里はまるで取り合わなかった。やれやれと息を吐きながら、自分の前に置かれていた液晶ディスプレイを点灯させる。

 

「あ.....?何やってんだ?」

 

「訓練とはいえ、少しは緊張感持ってもらわないとね」

 

画面に、見覚えのある風景が表示される。来禅高校の昇降口が映し出されていた。ついでにそこに、黒い服を着込んだおっさんが一人、カメラ目線で立っていた。

 

「....なんだ、この人」

 

「うちのクルーよ」

 

言うと琴里は、どこからともなくマイクのようなものを取り出して喋りかけた。

 

「――私よ。士道が選択に失敗したわ。やってちょうだい」

 

『はっ』

 

画面の中の男が敬礼をする。

 

「は.....?な、何だってんだよ」

 

士道が眉をひそめていると、画面の中の男が懐から一枚の紙を取り出した。それをカメラに映して見せる。

雷牙はそれが気になったのでそれを見てみるとタイトルらしきものが書かれていた。

 

「......えーとなになに?『腐食した世界に捧ぐエチュード』?中二臭せぇタイトルだな.....ん?まさか....」

 

雷牙が隣を見てみると汗を垂らしながら動揺している士道がいた。

 

「な、ななッ!?」

 

それを見ると同時、士道に心臓が止まるような衝撃が走った。

その様子に、琴里がものすっごく楽しそうな笑みを浮かべる。

 

「そう。若かりし頃、漫画に影響を受けまくった士道がしたためたポエム・『腐食した世界に捧ぐエチュード』よ」

 

「やっぱ士道のだったんだな」

 

「な......なななななななんであれが......ッ!?」

 

「ふふ、いつか役に立つと思って拾っておいたのよね」

 

「ど、どど どうするつもりだ....ッ!」

 

琴里はにやりと笑いながら「やりなさい」と言った。」

 

『はっ』

 

男は短く答え、そのポエムを丁寧にたたみ込んで、手近な下駄箱に放り込んだ。

 

「な...っ、何しやがる!」

 

「鬼だな...」

 

「騒ぐんじゃないわよみっともない。精霊に対して対応を間違ったらこんなもんじゃ済まないのよ。士道自身はもちろん、私たちも被害を被る可能性があるんだから。――というわけで、緊張感をもってもらうためにペナルティを設定させてもらったわ」

 

「重すぎるわぁぁぁぁぁッ!ていうか被害被ってるのは俺だけじゃねぇかッ!」

 

「なんでもいいから先を進めなさいよ、先」

 

琴里が焦れたように、椅子を蹴ってくる。

士道は泣きそうな顔になりながらも観念して画面に向き直った。たが、士道は無事にクリアできる自身がなかった。

 

「....なぁ琴里、今後のために、この選択肢全部試してみていいか?」

 

「うわ、チキンで小市民な発想ねみっともない」

 

「う、うるせっこういうのは初めてなんだからこれくらい許せよ!」

 

「まったく、仕方ないわね。今回だけよ。――じゃあ一回セーブして」

 

「お、おう.....」

 

士道はセーブを終えると、ゲームをリセットして先ほどの選択肢まで戻ってきた。

 

「.......」

 

険しい顔で選択肢を睨むが.....やはりどれもまともとは思えない。だが③で好感度が上がるとは考えられなかった。仕方なく②を選択してみる。

 

『起きたよ。ていうか思わずおっきしちゃったよ』

 

俺はおもむろに起きあがると、リリコをベットの中に引きずり込み、覆い被さった。

 

『や.....ッ、な、何するのよっ!』

 

『仕方ないじゃないか。リリコのせいでこんなになっちゃったんだから』

 

『!!いやッ、やめて!いやぁぁぁぁぁっ!』

 

『いいじゃないかいいじゃないかいいじゃないか』

 

画面が暗転する。

その後の展開は一瞬だった。泣き崩れる妹。父親に殴りつけられる主人公。カチャリという手錠の音。暗い部屋で一人笑う主人公。

そのCGをバックに、悲しげな音楽とスタッフロールが流れ始める。

 

「なんじゃこりゃぁぁぁぁッ!」

 

「そりゃなそうなるわ」

 

「いきなりそんなことをしたらそうなるに決まってるじゃないこの性犯罪者」

 

「じゃあ③が正解だってのかよッ!」

 

士道はゲームをリセットすると、三たび最初の選択肢に戻り、今度は③を選択した。

 

『かかったな、アホが!』

 

俺は妹の足をひねり上げ、アキレス腱固めをかけ――ようとした。

が、

 

『甘い』

 

妹が身体をねじり、こちらの手から逃れると、そのまま俺の背に回り、足を搦め捕って見事なサソリ固めをかけてきた。

 

『ぐふ......ッ!?』

 

その後主人公はそのときの怪我が原因で半身不随となり、一生車椅子での生活を余儀なくされた。――そしてそのままエンディングへ。

 

「これ、①で正解だったんじゃねぇの!?」

 

「まったく、最後は出題者に答えまで聞くの?情けないわね」

 

言いながらも、琴里は士道からコントローラーを奪うと、ゲームをリセットして先ほどのところまで進めた。

そして何も選択せず、ただ黙って画面を眺め始める。

 

「.....?何してんだ?早く選ばないと――」

 

士道が言うと同時に、選択肢の下に表示されていた数字がゼロになる。

 

『んー.........あと十分......』

 

『だめー!ちゃんと起きるのー!』

 

と、至極普通な会話が、画面に表示された。

好感度メーターは上昇も下降もしていない。

 

「な......ッ」

 

「これはさすがに無理があるな」

 

「あんなおかしな選択肢選ぶなんて、どうかしてるんじゃないの?」

 

鼻で笑って、琴里が士道にコントローラーを放ってくる。

 

「特別にこの続きからやることを許してあげるから、早く先を進めなさい。もう雷牙は全クリさせたわよ?」

 

「....は?」

 

琴里に言われて士道は隣を見てみると確かに全クリらしきエンディングが雷牙の画面に流れていたのだ。

 

「お、おまえいつクリアしたんだよ....」

 

「んー......おまえらが会話してる間ずっとしてた。因みに失敗はしてないから一発クリアな」

 

雷牙は士道たちが会話している間、集中して(ムービーは飛ばして選択肢だけ選んで)プレイをしていたのだ。

雷牙は自慢しながら言うと、その次に琴里から士道に地獄の言葉が落ちてきた。

 

「そういうわけだから士道。次の選択肢からはペナルティありだからね」

 

「ぐ......ッ、ぬぬ....」

 

力一杯腑に落ちないものを感じながらも、士道はコントローラーを握りプレイを再開した。

 

「んで司令官や俺クリアしたんだが、次なにすればいいんだ?」

 

雷牙はやることがないので琴里に何かないか聞いてみた。

 

「....うーん早く終わっちゃったのは予想外だったわね...そうねぇ...今はやることがないから帰ってもいいわよ」

 

「お、マジ?丁度いいや」

 

雷牙はまるでやりたくなかったような笑顔をしながら琴里に言った。

 

「ん?なにか、用事でもあるのかしら?」

 

琴里は気になったのか、聞いてみた。

 

「あーちょっと友達から呼ばれててさそろそろ行かないと怒られちまうから」

 

「わかったわ。じゃあ次回の訓練は士道がこのゲームをクリアした後に話すわねお疲れ様。」

 

そう言うと琴里は雷牙に手を振る。雷牙は同じく琴里に手を振り返し「じゃあまたな」と物理準備室からでた。

 

 

雷牙が物理準備室からでた瞬間。

 

『ぎゃあああああああッ!?』

 

と、悲鳴みたいな叫びが物理準備室から聞こえた。

 

「また失敗したな幸運を祈るぜ。グッドラック士道。」

 

そう言いながら雷牙は友達が待っている場所に急いで走った。

 

 

放課後

 

「はぁはぁここの階段キツいって....」

 

雷牙はこの学校にグチを言いながら階段を上り、しっかりと施錠された来禅高校の屋上への扉までやってきた。

そこを上ると、施錠された扉の前に少女が一人、立っていた。肩に触れるか触れないくらいの髪に人形のような顔が特徴的な少女である。

 

「よう。遅くなって悪かったな」

 

「構わない、私も今来たところ。」

 

そう扉の前にいたのは、

 

「んでこんな所に呼び出してどうした?折紙(・・)

 

そこには雷牙の唯一の幼馴染でもありASTの仲間でもある鳶一折紙が雷牙を待っていた。

 

「単刀直入に聞く。貴方は昨日どこにいたの?」

 

折紙は昨日の件について聞いてきたのだ。

 

「普通にシェルターに避な――」

 

そう言おうとすると、折紙が雷牙を壁まで追い込み壁に手をつけた。雷牙は何が何だが分からず動揺しながら口を動かした。

 

「お、おおおお オリガミサン!?何をしているのですか!?」

 

「........」

 

折紙は無言のまま雷牙を見る。まるで返答を求めるように。

 

「はぁ分かった話すよ。昨日シェルターに避難せず外に出て散歩してました」

 

雷牙は折れ半分嘘をつきながら折紙に話した。

 

「そう。無事で良かった」

 

折紙は無表情のまま雷牙に呟いた。

雷牙はふぅーと壁に体重を寄せながら息を吐くと次に、ぎゅという音につれて、雷牙の体から暖かい感触がつたわってきたのだ。

 

「――!?」

 

下を見てみると、折紙が雷牙の胸元に顔を押しつけていたのだ。

雷牙は状況が分からなくて折紙に声を掛けた。

 

「.....お、折紙?一体どうした――」

 

瞬間折紙が雷牙の体に手を回して、力を込めてきた。

 

「......」

 

折紙は無言のままだが、雷牙にはすぐ分かった。

 

「....心配させてごめんな折紙。次はこんなことはしない」

 

雷牙は折紙の頭を撫でながら言う。折紙は胸に押しつけていた顔を雷牙に向き口を動かす。

 

「約束して、もうあんなことはしないで」

 

「ああ、約束する。もうお前を悲しませないし、危険な事はしないつもりだ」

 

「そう。良かった」

 

折紙は了承を得た後に雷牙から離れた。

 

「あなたは私にとって幼馴染でもあるし、家族(・・)でもある。もうあんな思いはしたくない」

 

「.....ああ、俺もお前にあの思いは二度とごめんだ」

 

雷牙は頭の中で夢に見たあの(・・)記憶を思い出す。

両親が死んだあの日全てが変わった。雷牙と折紙はそんな思いを誰かにさせないためにASTを入った。折紙は全ての精霊を殺そうとしてはいるが、雷牙は違った他の精霊には敵意や殺意をだしてはいなく。両親を殺した精霊だけ殺意を向けていた。

 

「俺は命を賭けても折紙を絶対守る。そして、両親を殺した精霊は俺が殺す」

 

雷牙が言うと折紙は頷き、手を雷牙に差し出す。

 

「ん?どした折紙?」

 

「今日、貴方は一人で帰ってはならない」

 

「いや、一人で帰れる」

 

「一人で帰ってはならない」

 

「....だかr」

 

「帰ってはならない」

 

「...........分かりました」

 

雷牙は断りきれず折紙の手を握り一緒に階段から下りていった。

雷牙は気づかなかったが、階段を下りている途中少し折紙の口が笑っているような気がした。




はい如何だったでしょうか。雷牙君と折紙と少しイチャついてましてたね折紙のヒロイン化はまだまだ先ですのでお待ちください。

たがメインヒロインはオリ精霊だということを忘れずに!

次回はオリ精霊が出ます。

次回:動き出す好感度

ヒロインもっと増えるかもで誰がいいか

  • 七罪
  • 夕弦
  • 耶倶矢
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