錬金術のアトリエ 1   作:東京のぷるぷる

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錬金術のアトリエ 12

錬金術のアトリエ 12

 

ぷにちゃんの部屋で過ごして、そして3人はそれぞれ別れる。

 

 

モニカの夜は……川沿いの宿が満員だったり……という事で、鍛練デートの日々らしい。

コルちゃんはすっかり、鍛冶屋が家みたいになってるとか。

そんな近況も、ぷにちゃんの中で伝わったりしてる。

 

ソフィーはまた次の朝まで、プラフタと錬金術生活をする。

 

お昼前くらいに、エリーゼお姉ちゃんが遊びに来た。

プラフタと、すごく仲良しになってる。

「エリーゼお姉ちゃんも、ぷにちゃんの中に入る?すっごい力の覚醒……するかも知れないよ!」

ソフィーが勧めてみる。

「……得体の知れない物に身体を任せる勇気はないわ。せっかくだけど……」

そう断られた。

 

14歳の頃に、エロエロな話をして怒られた事もあるから、ソフィーもそれ以上は勧めなかった。

「なら、いいんだ。でも一応ね。黙ってるのも薄情かなって思ったんだ。夕食も食べてくよね?」

昼過ぎに、そう誘う。

「そうね……そうさせて貰おうかしら」

エリーゼお姉ちゃんは言う。

「お料理の腕も上がったんだよ?美味しいんだから!」

ソフィーはそう言って、コンテナの採取物を使う。

豚ネズミの肉でも紅いもでも……

色々な食べ物のストックが増えまくっているから、じゃんじゃん食べて減らさないと……

……しかも番人ぷにちゃん達が、丁寧に保管してくれているし……

……どのみち減らしきれなくて、ぷにちゃんが食べるしか無さそうだけど……

そしてまた、錬金術生活をして1日を過ごす。

 

 

……そして翌朝、ソフィーはアトリエを出る。

いつもの時間、今日もオレンジ足と鳩たちが飛び回ってたり、地面に食事を求めていたり。

オレンジ足、ってのは小鳥。

クチバシと、足が鮮やかなオレンジ色をしていて、1匹見かけると、探せば100匹ぐらい居るとか。

夕方には壮大な群れが飛び回り、その姿はまるで動き回る雲のように見える。

10万匹くらいが群れてるっぽい。

 

そして今日も5人でホルストさんの元へ。

依頼の精算と受注をして、噂話を聞きながら、モーニングのサービスを食べる。

そしてレオンさんのお店へ。

 

キルヘンミルクスネークの皮の売り先として、オスカーが選んだのがレオンさんのお店だった。

「蛇の皮なのに白いのね……それに磨けば幾らでも綺麗になるみたい。言い値で買うわ!」

めっちゃ飛び付いた。

「恵みの森に沢山居るみたいだから、こんなもんでいいよ」

オスカーが値段を提示する。

「そんなもんでいいの!?でも近所に居るならそうよねぇ……それをバラしちゃうなんて、欲が無いのね!」

レオンさんは驚く。

「高値ふっかけても、高い物が出回るだけじゃないか。それより買える値段のお洒落なモンが並んだ方が、みんな嬉しいんじゃないか?」

レオンさんのお店にキルヘンミルクスネークの皮を売って、それからキルヘンベルの街を出る。

 

 

……今日は北へ!岩こぶ山麓へと向かう。

 

「やっぱりオスカー、いい値段で売るよね~……これでレオンさんのお店からお洒落な服や鞄、靴なんかがお手頃価格で出回ったら……もっとキルヘンベルの街が賑やかになるよね!」

安く売った事で、ソフィーは喜ぶ。

「ソフィーはあれよね。お金入ると全部使っちゃう所を見ると、あまりお金に価値がないと思ってるんじゃないかしら?」

モニカは疑問に思う。

「僕はソフィーやオスカーの考え方、好きだな……確かに安く売ったなら、安く服を作れるはずだからね。そしてそれが人を呼んだりする……なんて、なかなか至らない考えだね」

ジュリオさんはにこやかにそう言って賛同してくれた。

「裕福なおばさんも……色々な素材を売ってくれるです……旦那様が目的も無いのに買うとか……私のお店では買い取りは苦手ですので、レオンさんのお店を紹介してるです」

コルちゃんもそう言う。

思い思いに語らいながら、岩こぶ山麓へと歩く。

 

 

「岩地だね……枯れ木と綿花とアードラ……食べ物への期待は薄いかなぁ……」

お昼前に着いたのだけど、ソフィーはお腹が減っていた……カリカリトーストもちゃんと食べたんだけど……

「今日はどうしたの?まだ10時じゃない」

不思議そうな顔をして、モニカが言う。

「緑プニは食べられるし、アードラも食べられるから、1つ倒したら料理するかい?」

オスカーが言う。

早速緑プニとアードラが襲って来たので、倒して野営とする。

 

 

……野営として囲んだ、頃合いの石の群れ。

ジュリオさんが作ったかまど、それぞれが座る石。

そこに乾いた風が吹く。

緑プニを煮込む鍋……

オスカーは少し離れた場所で、アードラを捌いて肉にしてる。

「こんなフルーティーな味なのね。プニ汚れって確かになんかイイ匂いなんだけど」

食べたモニカが驚く。

緑プニ……

キミも美味しかったのか……

ソフィーも驚く。

 

荒れ地での採取は続く。

ガラスの欠片が時折採れる。

そしてアードラが襲って来る。

アードラが好戦的過ぎる。

 

 

「綿花が採れるのはいいけど、夜は更に寂しい所だね~……」

夜の野営。

ソフィーが呟く。

枯れ木が多いので、野営の火には困らなかったけれど、もし雨なら最悪だ。

ソフィー的に、寂しい所は好きじゃない。

「緑プニは美味しいです……緑プニは何を食べているんでしょうか……」

コルちゃんは緑プニを、むに~んと食べる。

そしてそう話すと、また、むに~んと食べる。

気に入ったみたいだ。

 

「緑プニって鍋で熱を加えると……持って帰れるんじゃない?」

そんな事をモニカが閃いた。

「これは!早速やってみたいです」

コルちゃんもノリノリで、試しにやってみる。

倒すと、俯いて顔が無くなり、ゆっくりとろけて無くなってしまう緑プニが、熱を加えるとゼリー状に固まり、冷めても固まったままだ。

「これ、入れる物と燃料があったら、収穫として使えるかもなぁ……」

緑プニ君を茹でるオスカーが呟く。

「入れる物なら任せて下さい!色々と記憶しているのです」

コルちゃんは少し離れて、皆に背中を向けてしゃがみこむ。

「記憶していれば作り出せるって、凄いよね……」

ソフィーは呟く。

コルちゃんの錬金術は、物があって、その物を増やす……

のではなく、物を記憶して記憶した物を作り出せる。

始めにその物が無ければ作れないのだけれど、その物は、必ずしも手元に無くてもいいのだ。

 

そして少しして、お洒落な麦わら帽子……

を逆さまにしたような入れ物を作って戻って来た。

そこに緑プニを入れて……

そんな新発見をしながら、採取生活をする。

そして朝になったら切り上げて帰る。

 

 

「これ、露店で売るです!教会の子供達も喜ぶですよ!」

コルちゃんは緑プニの加熱ゼリーに、目をキラキラさせてる。

「ソフィー版加熱ブロックと、加熱鍋を作らないとだね!いよいよ……」

ソフィーは前々から作ろうとは思ってる道具に、思いを致す。

錬金釜は、加熱ブロックを寄せると沸き、離すと冷める。

なので絨毯の上に錬金釜がある。

絨毯と錬金釜もセットで、絨毯を折って陣を崩すと、錬金釜はセットが崩れて小さくなる。

 

……それはともかく、その加熱ブロックの、普通に調理に使えるやつを作りたいのだ。

「ソフィーさん……期待していますよ!」

ソフィーとコルちゃんはノリノリだけど……

味と食感が、イマイチ好きになれなかったモニカとジュリオさん、オスカーはそんな2人を遠巻きに見ていた。

 

 

「今回は寂しい場所だったけど、また次の旅……は明日だね!また朝に!」

夕方……キルヘンベルに到着。

ジュリオさんと別れる。

裏ストリートに用があるみたいで、街の入り口で別れた。

 

「オイラも色々な植物が見れて話せて……やっぱり旅はいいな!ソフィー、また朝な!」

そしてストリート、八百屋前で、オスカーと別れる。

レオンさんもマルグリットさんも、もうぼちぼち店仕舞いの時間。

 

コルネリア露店は、店仕舞いも子供達とロジーさんでやってくれるらしい。

意外と放任状態だ。

 

 

3人でアトリエに向かう。

街はずれに差し掛かると、いつもモニカと井戸端会議しているおばさんたちが集まって、造花を造っていた。

「あらあらソフィーちゃんもモニカちゃんも元気そうだねぇ……コルちゃんもまぁ……こんな汚れて……」

プニ汚れた3人を見て、おばさんたちは言う。

キルヘンミルクスネークを採ってる時から、ソフィーもモニカもコルネリアも、汚れてる事が多かったものだから、慣れた光景だ。

「はい!今日も元気に色々採ってきました!今度パーティーしましょうよ?豚ネズミ肉の鍋パーティー!」

ソフィーは笑顔で言う。

「あら……良いわねえ……最近出回っているものねぇ……」

おばさんたちは笑って言う。

……出回ってる?……

「最近、冒険者の方が……雛鳥の林で獲っているのです……私の露店で、その為のフラム大先輩も売れているのです」

コルちゃんが言う。

……なるほど……

「じゃあ、今度やりましょう!皆で!」

ソフィーが言い、おばさんたちも乗り気になる。

「今度回覧板作るわ!最近キルヘンベルも賑やかだからね!教会広場でやろうかね!」

 

 

そんな寄り道をして、3人はアトリエに帰る。

洗濯して……ぷにちゃんの部屋でゆっくり過ごして……そして……

モニカとコルちゃんは帰り、ソフィーとプラフタで錬金術生活を始める。

 

……ちょこっと調合で鍋と加熱ブロックを作ろうと思うものの……まだそんな調合は出来ないみたいだった。

出来る物を作る。

場数を稼がないと……マイスターミトンをもう1つ作り、パーティーの防御を更に上げるべし。

「でも、武器の改良とかもしたいんだよねぇ……」

錬金釜にマイスターミトンの為の素材を配置して、決まった後にソフィーが呟く。

「ですが……あまりいい特性が無いとか言ってましたが……何か見つけたのですか?」

プラフタは言う。

……確かに、「変異物質」が特に凄いってだけなんだけど……

武器に乗る特性、と考えると、これだ!

……ってものがない。

 

「見つかってないんだよぉ……インゴットだと現状と同じような武器になるみたいだし……」

ソフィーはそう言いながら、マイスターミトンの素材がゆらめく、錬金釜を眺める。

「ならば、防御からでいいのではないですか?そもそも、その防御も人数分揃っていないのですよね?」

プラフタはパタパタと窓の側を飛ぶ。

「確かに……まあ、攻撃は取り敢えずフラム大先輩で……」

悩みつつ、錬金術生活の夜は更ける。

 

 

「じゃ、行って来るね、プラフタ」

朝になり、ソフィーはアトリエを出る。

空の雲が厚くて、太陽の光を受けて輝いてる。

今日もオレンジ足と鳩達が、虫をほじくってる。

その中に黒い親分も居た。

……今日はどこに行こうかな……

ソフィーはいつもの道を歩く。

やせっぽちだった頃にも、こうしてどこかへと続く雲を見て、旅に出たいと思っていたんだ。

……この雲たちは、どこから来て、どこへ行くんだろう……

 

 

そしてソフィーはホルストさんのカフェに。

「おはようございます!」

元気良く入る。

既にモニカとジュリオさん、オスカーとコルちゃんが居た。

「おはよう、ソフィー。じゃあこれで揃ったから、依頼の精算とかしようかな」

ジュリオさんがそう言って微笑む。

そして色々と依頼の精算、受注をしてると、「引換券」を3枚貰った。

「あれ?これは……?」

ソフィー達は引換券を見る。

テスさんのカオが描かれている……ように思うのだけど、随分と絵心が感じられない。

「これはテスの引換えコーナーで使える、引換券です。まあ、レアなアイテムもありますので覗いて見て下さい」

ホルストさんはにこやかに言う。

 

 

今回、忘却のナーセリーで金色の蜘蛛糸の噂。

これが目を引いた。

粘銀の糸も丈夫で使えるのだけど、金色は……

きっと更に素敵素材に違いない!

そういう訳で忘却のナーセリーに行く、と決めてホルストさんのカフェを出る。

 

そこから村の出口へ行こうとするとあるのが、レオンさんの服のお店。

教会の女の子も、お店を手伝っているみたいで、お客さんも居る。

「さすがレオンさん、繁盛してるんだなぁ……」

ソフィーがそれを見て呟く。

「お店のお手伝いに……教会の子供達が手伝ってくれるから、私も助かっています。レオンさんのお店に八百屋さん……ホルストさんのカフェの、裏庭の掃除等々……働き者なので、みんな助かっているです」

コルちゃんが言う。

そのお礼を受けて、教会も潤っているのだとか。

それと、今はキルヘンミルクスネークカモン!

……は、やってないそうだ。

「つい最近だけど、あの頃はお店もなんもなかったもんねぇ……」

ソフィーはコルネリア露店、レオンさんの露店で働く子供達を見て呟く。

「そうね。でもキルヘンミルクスネークを追いかけた頃も懐かしいし、追いかけてないのはちょっと寂しいわね」

モニカもそう言ってキルヘンベルの景色を眺める。

 

「モニカ、行くぞー」

オスカーに呼ばれて、モニカは外へと向かう。

村の外へと向かう4人が、どんどんその時間を置いてってしまうみたいで、複雑な気持ちを抱いたまま、モニカもその時間を置いていく。

 

……時間はどうしたって進むから……どうせ置いて行くしかないんだけど……

 

 

「子供、出来たらどうしましょう?」

忘却のナーセリーへと向かう長い道。

コルちゃんはモニカに尋ねる。

「え?………ええ!?」

モニカは慌てる。

でも……子供出来るのは……時間の問題だろうと思う。

「ジュ……ジュリオさんが言うには、大丈夫だって言ってたけど……」

なんかそんな話を聞いた事があって、モニカはそう答える。

 

すると、コルちゃんはオスカーとソフィーと話してる、ジュリオさんの所へと行く。

「お。どうしたコル助?」

オスカーが気付く。

「モニカさんは、子供出来ないのですか?」

コルちゃんはジュリオさんを見て、そう尋ねる。

「そうだね。僕がそうした心得があるから出来ないとは思うけれど……確実ではないかな。ひょっとしたら、子供を授かるかも知れないね」

ジュリオさんはそう答える。

「あ。コルちゃんもしかして……おめでた!?」

ソフィーが驚く。

「さすがにそうではないですけど……ぷにちゃんが言うには、おめでたになるのも時間の問題ではないかと……」

コルちゃんはそう言って、ジュリオさんの引く荷車に乗り込んだ。

「ヴァルム教会に相談だろうなぁ……子供は教会で育ててるだろ?コル助の子供なら、パメラも神父様も歓迎してくれるんじゃないか?」

オスカーが言う。

 

オスカーもパメラをお母さんとして教会で育ち、マルグリットさんの八百屋へと戻った子供だ。

ソフィーもそうだ。

教会から、おばあちゃんの錬金術屋敷へと移った。

 

「ふむ……するとバーニィさん、ディーゼルさんに相談するのが良さそうですねぇ……」

コルちゃんは呟く。

コルちゃんは、教会で育てられた子供ではなかったようだ。

「でもそこに考えが至るなんて……コルネリアはしっかり者だね。いいお母さんになりそうだよ」

ジュリオさんが感心する。

ソフィーもそう思う。

 

「教会の子達を雇用していますので、バーニィさんには、既に色々と相談に乗って貰っているのです。それに雇用ですから……ちゃんと教会にお金をお支払いする契約してるです。ここの教会は……なかなかしっかりしてるです」

コルちゃん版、考える人のポーズで言う。

その服で胡座をかくと……

おパンツ見えるんだけど……

ソフィーは思う。

「そ、そうなの?パメラを見てると、とてもそうとは思えなかったけれど……」

ソフィーが言う。

「はい。パメラさんは、そんなしっかりしてる訳ではないです」

コルちゃんがそう言って、ソフィーはずっこける。

そんな話をして野営して……

忘却のナーセリーへの道を進んだ。

 

 

忘却のナーセリー、歩む者なきアベニュー……その先がお目当ての金の糸の噂の場所。

「あはは、今日もプニプニが歩んでるね。カップルかな?」

テンパった顔をしてないプニプニが2つ、歩んでいた。

そのプニプニをやり過ごし、金の糸があるとゆうその奥へと進む。

赤い悪魔、フレアデーモンがその場所を守る。

「パーティーの防御力……見せてあげるよ!」

攻撃陣、フレアデーモン袋叩き作戦で戦闘。

フレアデーモンからのダメージが、あまりないので出来る芸当だ。

防具と装飾品の銀いもパワーにより、かなり強くなった。

フレアデーモンはコルちゃん昇龍拳で飛んでく。

「逃がさないです!」

飛んでったフレアデーモンに、コルちゃん波動拳も襲い掛かってる。

マナの柱の力をよく理解しているのは、コルちゃんなのかも知れない。

敵を倒し、お目当ての金の糸もしこたま手に入れた。

 

 

「あっ!女王蜘蛛!?」

金色模様のシマシマ、黒い巨大な蜘蛛が遠くに居た。

明るい夜の眩しい星々の下、地面をのそのそして、くるくる回っているような……

「おおっ!あれがそうなのか!凄い綺麗なんだなぁ……」

キラキラ光る、金色模様のシマシマが目を引く。

オスカーがそう言って、遠くの女王蜘蛛を見つめる。

「そうだね。あんな綺麗な模様、中々見れないよ……」

皆で、感心してその姿を見る。

巨大蜘蛛はおしりをふりふりしながら、更に遠くに消えて行った。

「あんな遠かったのにハッキリ見えるなんて……凄い大きいんだね」

ソフィーが隣のモニカに言う。

「人食い蜘蛛だって言うから、こっちに来ないかドキドキしたけど……来なくて良かったわ……」

モニカはそう言ってため息をついた。

 

……でもこの場所も……昔は人が住んでいたのだろうと思う。

そうした建造物だけが残された魔物の巣なんだ……

色々と採取して、またキルヘンベルへと戻る時……

ソフィーはそう思って、忘却のナーセリーを眺めた。

 

 

キルヘンベルに帰ると夕方。

レオンさんにお土産、金の糸と銀の糸を渡す。

「貰っちゃっていいの!?なんかあなた達、本当に気前がいいのねぇ……」

レオンさんは微笑みながら呆れてた。

「巨大蜘蛛も居たんですよ!金色シマシマ模様が美しい蜘蛛だったから……きっと女王蜘蛛ですよ!」

お店の終わる時間に、レオンさんにお土産話をする。

レオンさんも旅をしてきた人なので、楽しい立ち話になって、それから、それぞれ帰る。

 

 

「お帰りなさい、ソフィー」

プラフタがお出迎えする。

ソフィーとオスカーで帰って来た。

 

いつものようにソフィーはコンテナへ行き、綺麗になってから、オスカーを招き入れる。

「なんだか、いい事あったような顔をしてますよ?何かあったのですか?」

オスカーを洗うソフィーに、プラフタが近づく。

「巨大蜘蛛の女王を見たんだよ!綺麗だったよねぇ……」

ソフィーは笑顔で報告する。

「野営の時にも、珍しい木の実があってさ。あれも旨かったよな……」

オスカーも、忘却のナーセリーで過ごした時間に、思いを馳せて呟く。

ソフィーはそんなオスカーの、でっかい身体を洗っていたり。

「あ。でもプラフタは食べる事が出来ないから……プラフタ!?」

そんな話をしていたら、プラフタが光り輝いた。

「うおっ!?眩しい!?」

オスカーが怯む。

確かに目の前で輝かれると、非常に眩しい。

 

「……また思い出しました。私は以前……500年前ですが錬金術士だったのです……錬金術の研究をしていたような……」

プラフタが記憶を取り戻し、錬金術士だった事を思い出す。そして、以前は人間だったそうだ。

「ん……そりゃあたしの師匠だし、錬金術士だったハズだよね……」

ソフィーはオスカーの身体を洗い続ける。

「いや、でもその頃を少しでも思い出したのなら……研究してた事柄なんかも思い出したりしたんじゃないか?」

オスカーはそう話す。

相変わらずのおとぼけボイスで。

「……それも、少ししたら輪郭を持つのでしょうけれど……取り敢えず新しい採取地を思い出しました」

プラフタは言う。

 

「地図に書かないとだね!」

ソフィーは素早く泡だらけの手の泡を落とし、机に向かう。

「なんか……もう裸に文句を付けるのも今更なのでしょうね……私もまさかそんな感じ……ではなかったと信じたい所です」

プラフタは、そんなソフィーをパタパタと追い掛ける。

「どうだろうなぁ……」

オスカーはそんなソフィーとプラフタを眺め、片眉を上げて呟いた。

 

 

ともかく新しい採取地を、地図にチェックする。

「プラフタも旅をしてた……って事なのかな?」

身体を洗うオスカーの隣に、ソフィーはちょこんと座る。

「おそらく……そうなのでしょうね」

プラフタも、ハダカ族2人の側をパタパタする。

「だとしたら……一人旅ってのは考えづらいだろうから……その時の仲間も居たんだろうなぁ……ソフィーにオイラやモニカ、コル助にジュリオさんが居るようにさ。それも思い出せたら……500年も経ってるから……もう居ないだろう人だから、悲しい話かもだなぁ……」

オスカーは語る。

 

そして身体を洗い終わって、泡を流す。

「そうですね……私の記憶……取り戻すのは少し怖い気もしますね……」

プラフタはパタパタと本棚へと飛んで行った。

 

「今日みたいな日は、出直すのがいいんだろうな……取り敢えず明日は休みみたいだから、明日また来るよ」

オスカーは服を着ると帰って行く。

ソフィーはそれを見送って錬金術生活に入る。

 

「さて、やりたい事は沢山あるよ~!」

下着姿で張りきるソフィー。

「オスカーは良いのですか?川沿いの宿……とやらに行くチャンスでもあったのでは?」

プラフタも本棚から出て来て、錬金釜の側に寄る。

「ん~……オスカーの気分が乗らないならしょうがないよ。あれで頑固者だから、気分が乗らない事はしないだろうし……明日は……まあ明日にならないと分からないし!」

ソフィーはプラフタと錬金術生活を始める。

 

 

そして朝。

……今日は種の日。

朝の教会から顔を出す事にする。

「じゃあ、行ってくるね!」

ソフィーは元気いっぱい杖を振り振り、朝は暗いうちからアトリエを出る。

 

 

……教会でのお祈りが終わり、噴水広場に皆で顔を合わせる。

ホルストさんにマルグリットさん、コルちゃんにハロルさん、オスカーとモニカ、ロジーさんにレオンさんとジュリオさんと集まるけれど、ロジーさんは農家の人々に呼ばれて、行ってしまった。

ハロルさんも、冒険者集団に呼ばれて行く。

 

「そうそう私ね、教会の子供を雇ったのよ。弟子入り希望って事もあってね。それであなたの採取の旅に行きたいんだけど……いいかしら?」

レオンさんに言われて、ソフィーもオスカーも歓迎する。

「これで更に頼もしいパーティーになるな。オイラも大歓迎さ」

オスカーはソフィーと一緒にガッツポーズを取る。

「マナの柱の力を持つレオンさんが来てくれたなら……更に旅が安定しますです。是非お願いしたい所でした」

コルちゃんも口許を隠して、ネコの目で笑う。

「これは……山積みの依頼も多く捌けていけそうですね?」

ホルストさんも高笑いだ。

「いずれ、あの頑固者も説得して見せるわね」

レオンさんは、冒険者集団の方を見る。

背の高いハロルさんが、頭1つ抜けて見えた。

 

「……へっくし!」

ハロルさんがくしゃみして、冒険者達が距離を置いてる。

 

「あはは!それも楽しみにしてますね!」

ソフィーはそんなハロルさんを見て、レオンさんに笑い掛ける。

 

 

噴水広場の噴水端会議も終わり、モニカに誘われて朝食。

街はずれから住宅エリアに向かう所に、新しいレストランが開店していた。

空き家を改造して造花で飾ったお店。

「こんなお店もあるんだね~……」

ソフィーは感心する。

モニカの家のペンタス達も、結構、こちらに来ている。

「ヴァルム食堂も壺屋もアレでしょ?男の人の集まる食堂じゃない?もっと女の子寄りの、でも庶民的なお店が欲しかったのよね!」

モニカはそう言って笑う。

近所の奥様方とモニカで相談して、行商人が乗っかって、エリーゼお姉ちゃんがお金の工面をして……

このレストランのオープンに繋がったらしい。

 

「このお店なら、プラフタと来れそう!明るくてお洒落でステキだね!」

そして朝食に、と訪れるレストラン。

ふとソフィーが客席を見ると、エリーゼお姉ちゃんの姿もあった。

「エリーゼ、いつの間に結構なお金持ちになったのかしら?大金がポンポン出てくるみたいで、私も驚いたわ」

華やかなレストランの店内、モニカがそう話す。

「本屋さんしてるから、お金はあるんじゃない?」

色んな所をきょろきょろ見ながら、ソフィーが答える。

中和剤石鹸(赤)(青)の姿も見かけられた。

……見た目キレイだもんね。

 

「エリーゼ、服も変わらないし、何か買ってるとか遊んでるとか、全然見ないし、聞かないものね」

モニカはそう話す。

そして、これまたお洒落な食事が出てきた。

「1番貧乏は、あたしかなぁ……」

エルノアさんの好きそうな……見た目も華やかな食事を前に、ソフィーは呟く。

「ソフィー、あるだけ使っちゃうものね。でも、ぷにちゃんが居たら、お金で出来る事なんて霞んじゃうわよね」

モニカも呟きながら、お洒落な食事を前に銀のフォークを手にする。

「それだよね~……錬金釜とコンテナが無かったら、お金貯めてたかも」

ソフィーも、お洒落な食事に目を輝かせる。

……こんなの食べてていいのかな……とか思う。

 

 

そんな美味しい朝食を終えて、モニカと別れる。

「はぁ~……めっちゃキラキラしてたよぉ~……」

モニカと別れた後で、ソフィーは1人ため息をつく。

あまりにも素敵な食事風景だったもので、思わずため息も出るというもの。

なんか、物語の王様とかの食事風景みたいだった。

 

 

そんな余韻にふわふわな気分で、ふらふらしていると、目の前にコルちゃんのお店。

眺めてみると、オスカーとお菓子コーナーを作っていて、大繁盛していた。

お手伝いの子供も、てんやわんやだ。

「うわぁ~…あれ?ロジーさんの所の剣マニアの……」

彼も今日は、コルネリア露店のお手伝いになっていた。

 

 

そんな風景を眺めて、ソフィーはホルストさんのカフェへ行ってみる。

種の日……テスさんが居るハズだし、引換券について聞いたりしないとだ。

「ああ!いい所にソフィー隊長!」

昼間から酔う冒険者に賑わうカフェで、テスさんに腕を掴まれる。

「隊長!?そんなんじゃないですけど、何かありました?」

ホルストさんの居るカウンターに引っ張られる。

「これはいい所にソフィー……かなり高額の依頼ですので、あなたに取っておいたのですよ」

 

 

……何でも巡礼街道の空き家に……幽霊が住み着いたと言う話で……不気味に思う行商人からの、高額依頼となっているらしい……

ついでに、巡礼街道に巨大な魔法の草がまた生えているらしい。

「なるほど……ジュリオさんも居るし、レオンさんも加わったし……で近場だから……行きます!お金ないし!」

ソフィーは快諾する。

行商人の皆が困ってるなら、近場だけど皆納得してくれそうだし。

「ソフィーの散財の噂は聞いていますよ。明日には、その辺りの依頼もまとめておきましょう」

 

 

巡礼街道行きを決めて、そしてそれを伝え歩いて、ソフィーはアトリエに帰る。

4枚花の芋煮とか、近くの川のナマズ……そして巨大魔法の草……おいしい場所でもある。

ともかく明日の朝までは、錬金術生活を続行だ。

更にパーティーの強化を考える。

 

 

……そしてアトリエに帰ると……

「ソフィー……実は……」

プラフタは今日、エリーゼお姉ちゃんの本屋に、お泊まりかも知れない計画があるそうだ。

昼前くらいに来たコルちゃんに、伝言を頼んだみたいで。

「そういうの、いいかも!記憶を取り戻せるキッカケも、エリーゼお姉ちゃんの本屋さんなら、いっぱいあるよね!」

ソフィーは喜んで送り出す。

 

 

夕方にエリーゼお姉ちゃんが来た。

プラフタは今日は、エリーゼお姉ちゃんの本屋にお泊まりだ。

「もう!私プラフタとゆっくりお話ししたかったのよ!コルちゃんに、こぼしてみるものね」

エリーゼお姉ちゃんはそう言って、プラフタを大事そうに抱いて行った。

 

 

そして、そのすぐ後にオスカーが来た。

「なんかモニカは今日行かないから……ってやたらと応援されたけど……プラフタはもう本棚なのか?」

オスカーはアトリエに来るなりプラフタを探す。

「なんか、皆に気を使わせちゃったのかもね?プラフタは、エリーゼお姉ちゃんの本屋さんに、お泊まりだって。オスカー本屋さんに行かなかったの?」

ソフィーは指を絡めて笑う。

「いや、本屋に居たんだけどさ、エリーゼさんが居なかったんだよな……最近居ない事も多いんだよ。新しい本の仕入れとかで、商人を訪ね歩いてるんだよな」

エリーゼお姉ちゃんも、ここ最近の賑わいに、しっかりと乗っているようだ。

 

「じゃあ……好意に甘えておこうか?ソフィー」

「うん……えへへ……」

2人はキスをする……

 

 

朝の4時……オスカーの料理の音で、ソフィーは目を覚ます。

夜になってすぐに2人で燃え尽きたものだから、朝が早い。

「おはよう。まだ暗いね~……」

ソフィーは起き出して、窓際のオスカーに近づいて外を見る。

オスカーはもうバッチリ服を着てた。

「お、ソフィー、腰とか平気か?」

既に元気なオスカーが、おとぼけボイスでソフィーを気遣う。

「結構イタイんだよね……昨日きゅんきゅんしたからなぁ……」

ソフィーは腰を押さえてヨロヨロ歩く。

「んじゃあさ……オイラちょっと外に居るからさ。ぷにちゃん頼って来なよ」

オスカーは外に出る。

こういう時に、ぷにちゃんに治して貰うのが、なんかフツーになった。

 

ソフィーは、ぷにちゃんの部屋へと行く。

さすがに、これで巡礼街道行きはツライ。

「お盛んなのね~……既に美味しくなっちゃってまあ……何もしなくても時間膨らんじゃうねぇ……」

ソフィーを取り込んだぷにちゃんが、そう思いを伝える。

「なんか嬉しそう?」

その伝わった思いが、なんか嬉しそうに思えて聞いてみる。

「そりゃ嬉しいよぉ……ソフィーも嬉しいみたいだし、そういう感情がご馳走だからねぇ……」

ぷにちゃんはソフィーの身体をマッサージして、腰を温めて治療する。

そんな膨らんだ5時間。

 

 

そしてバッチリ治ってコンテナを出て、外で待つオスカーを呼び戻す。

「さて……朝食の準備の続き……と」

ソフィーは掃除、オスカーは食事を作って旅の朝に備える。

これから旅立つ訳だし……

「あ。プラフタお迎えに行って来るね。アトリエが空っぽじゃ、良くないもんね!」

そんなこんなでキルヘンベルを出るのは、7時くらいとなった。

 

 

「最近ロジーさんが変態ぽくて困ってるです……」

巡礼街道への道。

荷車を引くジュリオさんに、荷車に乗るコルちゃんが相談を始める。

「……え?そんな相談しちゃうの?この子……」

レオンさんが呆れた顔をしてソフィーを見る。

「あはは……まあ、ジュリオさんは修練を積んだ達人ですので、そういう相談もしてるんですよ」

ソフィーは笑顔で答える。

「修練!?……なんか、初めから……凄いパーティーで驚くばかりだわ……私の常識を疑うべきなのかしら……」

レオンさんはそう言って悩む。

 

そんな2人を、コルちゃんが不思議そうに見ていた。

「うわあ!何ナニ!?」

そんなコルちゃんを見て、レオンさんは驚く。

「私……男の人の事をあまり良く知らないし、今まであまり興味も無かったので……教えて貰えると助かるのです。そして、中々に真剣な問題なのです」

コルちゃんは口許を隠し、少し悲しげな顔をする。

「まあまあ……レオンさんは都会から来た人だから……都会の子でそうした事を、男の子に相談ってのはあまりしないからね。……それとロジー君はコルネリアが初めての女性だとしたら……色々と求める所が、あるんだろうね……」

 

ジュリオさんが、コルちゃんの質問に優しく答える。

それとマナの柱の力を持つ女性は、やたらと男性を誘惑して、やる気にさせる匂いを発するのだから、慣れてない男の子は、余計にみっともない事になりがちだと話した。

……教会騎士団……も、マナの柱の力獲得の為に、そうした事を学ぶのだろうか……ソフィーはそんな事を思う。

 

「でも……寝てる所で色々とオモチャにされてしまうのは……なんだか怖くなります。それに、素敵な人だったのに……と幻滅してしまい、嫌いになってしまいそうなのです」

コルちゃんは泣きそうな顔をする。

「こ……これは切実だよジュリオさん!」

ソフィーも心配する。

「……なら、少し会わなければいいじゃないか。コル助は、お泊まりしすぎなんじゃないか?あんまりずっと一緒に居ると……悪い所ばかり目につくもんだって、母ちゃんも言ってたぞ?」

オスカーがそう言った。

「それはあるかも知れないね」

ジュリオさんも賛同する。

 

尚、ジュリオさんとモニカの場合だと、5日に1回くらいのペースで川沿いの宿に行くそうだ。

「……ためになるわね……私も思う所があるわ。……でも私の場合寝る所が時計店になっちゃってるから……どうしましょ……」

レオンさんも考え込む。

独り言がだだもれだ。

「ハロルさんも、変態な感じなんですか?」

コルちゃんがレオンさんに尋ねる。

「いや……ハロルは淡白で……物足りない感じがあって……うぎゃーーーー!!何言わすのこの子!!」

レオンさんはコルちゃんのほっぺたを左右に引っ張った。

「うにゅ~……ひっははっはへふ……」

そんな巡礼街道への道。

 

 

そして朝10時くらいに到着。

さすが雛鳥の林よりも近い採取地。早い到着だ。

またも小屋近くの木に、巨大な魔法の草がびっしり生えてる。

オレンジ足と鳩たちも、そこら中で虫をほじくっていて、トンビに鷺なんかも居たり。

「あっ!テケテケもいる!」

白い小鳥が、素早くテケテケと走っていく。

そんなのどかな巡礼街道。

 

 

……そして行商人の人が歩いていた。

「おはようございます」

「ああ、おはよう。ここのプニプニ退治かい?助かるねぇ……」

ソフィーが挨拶すると、商人のおじさんも、にこやかにそう挨拶して、足早にキルヘンベルの方へと消えて行った。

……不気味な声とやらは夜……なので採取とプニプニ退治で時間を潰す。

 

「うわぁ……おデブちゃん魚も捌けるの!?すごいわぁ」

川であっさりと釣れたナマズを捌くオスカーを見て、レオンさんは驚いて、その手元を眺める。

「ダテに太ってる訳じゃないんだよ。モチロン、美味しくなるから楽しみにしててくれよな」

オスカーはそう言って笑う。

「ふかふか緑もあったよ~♪」

ソフィーが見つけた、いい感じで若いふかふか緑も、追加される。

 

 

「なんか……もて余すわねぇ……」

夕方になり、暇だからって早めの夕ごはんもして……

モニカは空を見て呟く。

ソフィーはカーエン石を見比べてて、オスカーとコルちゃんも、カーエン石に群がっている。

「研究熱心なのねぇ……あの子達……」

そんなモニカの隣に、レオンさんが並ぶ。

「そうなんですよ。夢中になったら止まらないんですよね。そう考えると……ソフィーはオスカーがお似合いなのかしら……」

モニカはそう言って苦笑いする。

「え!?おデブちゃんってあの娘と付き合ってるの!?」

レオンさんが驚く。

「え?知らなかったんですか?……まあ……驚きますよねぇ……しかもソフィーの方が好きで、ラブラブ絶好調なんですよ」

そんな驚いたレオンさんを見て、モニカは言う。

モニカも驚いたクチだし。

「……ま……まぁ……分からなくもないわ。彼も彼なりの魅力がある訳だし。それでいつも自信に溢れてるのかしら……時折目障りよねぇ……」

「それ!分かります!」

2人は頷き合う。

 

 

そんなこんなで夜になり、怪しい笑い声のする空き家を探す。

この場所は空き家だらけで、どれがその空き家なのか……

「……夜、一晩中笑ってる訳じゃ……ないよね」

ソフィーはそう呟き、一行は忍び足で家々を巡る。

「なんか、オイラ達が1番怪しいような……」

オスカーが呟く。

「さて……どこの家からなのかな?」

ジュリオさんが家々を眺める。

そうして一軒一軒回って歩く。

 

 

「……ふふふふふ……」

「うわあああぁぁぁ!!」

明らかにすぐ側で笑い声が聞こえて、ソフィーは飛び上がる。

モニカもレオンさんも、オスカーも驚いた。

ジュリオさんは辺りを見回す。

「確かにすぐ側で声がしたのに……?」

「これ……本当にお化けが居るよ!しかもガチでヤバいのが居るよ……!」

木の柵……伸び放題の草……

明るい星の明かりにそんな寂しい景色が広がる巡礼街道。

……でもそれらしい人影は居ない。

一行は回りを見回す。

「お化けを探しに来たのかな?錬金術士の旅のご一行は………」

皆が振り向く。

6人の真ん中に、いつの間にか緑の服の2本の剣を差したおじさんが居た。

「うきゃあっ!で、出たぁぁぁ!」

ソフィーとコルちゃん、レオンさんは座り込む。

 

「……これは、少し冗談が過ぎてしまったのかも知れないな。私は旅の人形師、フリッツと言う。キルヘンベルの錬金術士、ならばソフィー……と言うのが君なのかな」

フリッツと名乗った髭のおじさんは、ソフィーを見る。

「あ……はい。そうですけど……」

ソフィーは座ったまま、そのフリッツさんを見上げる。

髭のおじさんは、優しく笑っていた。

 

「昼間に君たちを見かけてな。あまりにも楽しそうにしてるものだから、思わず観察していたのだ。キルヘンベルの錬金術士とやらにも、興味があったからな。……そしておそらく……夜の笑い声というのは私だろう。人形作りに夢中になると、笑ったりしているそうだからな……」

フリッツさんは、封のされた手紙を取り出すとソフィーに渡す。

「あの……これは?」

「これはおそらくだが……君たちはホルストから頼まれたのではないかな?彼は今も色々と依頼を繋いでいるそうだからな。それと、怪しい笑い声の話も綴っておいたから、伝わるだろう」

フリッツさんはそう言って笑う。

「ホルストさんの事も知ってるのですか?」

ソフィー達は驚く。

……有名になったものだ……

 

「この街道は商人の往来もあるからな。色々と情報を買ったりもする。彼らから仕入れた情報だが……それにホルストなら知らぬ仲でもない。向こうも思い出してくれるだろう」

……別に有名になっている訳でも、ないのかも知れない……

「コルネリア露店!コルネリア露店の話もありましたか?」

コルちゃんがフリッツさんに尋ねる。

「ふむ……その話は聞かなかったな……」

フリッツさんが答えると、コルちゃんはガッカリしてた。

 

とにかく、怪しい笑い声の一件は、この手紙に書いてあり、更にここの空き家の1つ……

人形師の物と思われる作業台なんかがあり、それを運ぶ為の車の依頼なんかもあるのだと話した。

 

「お化けにも会えた気分になれたし、キルヘンベルに戻るかな」

ジュリオさんが言って、皆で帰る事にした。

フリッツさんは作りかけの物があるそうで、ここに残るそうだ。

 

 




ここには、ゲームには無い、勝手に付け加えた設定を書いておく所。

[川沿いの宿]
怖い人形が飾られてる階段があるのだとか………

[鍛冶屋、地下の寝室]
古びた銅のランプ明かりと黒いソファー。黒いベッド。ちょっとオシャレでカッコいい寝室。

[紅いも]
食べ過ぎると、おならが出る。
[豚ネズミの肉]
ヘビの肉よりも、美味しい。

[オレンジ足]
ムクドリ的な小鳥。

[キルヘンミルクスネークの皮]
貴重な感じは薄れて来たような。でも白くてキラキラでオシャレ。

[カリカリトースト]
外はカリカリ、中はふんわり。
[緑プニのゼリー]
あったかいフルーティー。あったかいと甘さがアップ。
[お洒落な麦わら帽子を逆さにしたような入れ物]
コルちゃんが作り出した、緑プニゼリーの入れ物。
[緑プニの加熱ゼリー]
ぷるんぷるん。

[加熱ブロック]
四角いブロック2つを寄せると、上に熱が生まれる。でも、ほんの少しの範囲。
[加熱鍋]
加熱ブロックでの調理に適した、底の分厚いお鍋。
[錬金釜の絨毯]
謎の絨毯。錬金釜が調合モードになる。

[裏ストリート]
スラムエリアへの道。ストリートも賑わっているけど、裏ストリートもまた、賑わっている。

[造花]
造られた花。枯れない腐らない、可哀想じゃない。

フラム[大先輩]
ボボーン。レベルが上がると活躍場所を失ってしまう。

[回覧板]
主婦の絆の源。

[黒い親分]
黒いニワトリ。トサカも尻尾も立派!

[引換券]
テスさんの弟たちの、絵心の感じられない絵が入っていて、量産防止されている。何枚かはテスさんが自ら筆を取った……とか。ホルストさんも何枚か描いた……とか。

[バーニィさん]
教会が誇る治安請け負い人。
[ディーゼルさん]
教会が誇る治安請け負い人。

[巨大蜘蛛]幻の蜘蛛。
[女王蜘蛛]幻の蜘蛛の、女王。

[レストラン]
女性向けの食事処。自警団の人もちらほら。

[ペンタス]
小さい可憐な花。

[ヴァルム食堂]
教会騎士御用達の食事処。自警団の人もちらほら。
[壺屋]
職人さん商人さん御用達の食事処。自警団の人もちらほら。

[4枚花の芋煮]
4枚花の香りが良い芋煮。今日のおいもは、どんな味?
[川ナマズ]
ヒゲが立派な黒くて丸い魚。

[鳩]
はと。白くて大きめの鳥。灰色とか茶色なのもちらほら。模様に個性がありまくり。
[鷺]
さぎ。コルちゃんくらいの大きさの白い鳥。灰色とか黒とか色んな模様付きのも居たり。もはや違う種類の鳥なのかも。

[テケテケ]
ハクセキレイ的な小鳥。
[ふかふか緑]
シソ的な植物。

[人形師の作業台]
フリッツさんのお気に入り。
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