☆
錬金術のアトリエ 15
それぞれの服を不思議な毛布にくるみ、ぷにちゃんの部屋へ。
「いらっしゃい、今日も元気そうねー。時間は膨らませる?」
ぷにちゃんはお決まりの質問をする。
「レシピ構築したいから、時間膨らんだ方が都合いいなぁ」
ソフィーは思う。
「ロジーさんと晩御飯する話をしてきてしまいました……時間を膨らませるのをアテにして……」
コルちゃんも思う。
「今日はジュリオさんと川沿いの宿……って言っちゃったのよね……膨らませるのをアテにして……」
モニカも思う。
思った事は3人にも、ぷにちゃんにも共有される。
モニカなんて、夜にエロエロする事を期待してるのまで筒抜けなのだ。
「あ……じゃああたしもオスカーにコルちゃんかモニカに声かけてもらって……でもレシピ構築……お昼でいっか……いやオスカーよりレシピ構築な気分だし……」
ソフィーもそれを受けて思う。
そしてそれも筒抜け。
「ロジーさん、どんなヘンタイな事をするの?コルちゃん?」
モニカが意地悪く微笑み、尋ねる。
「え……なんか最近は……少し離れて寝ていたりします。お互いにギクシャクしてまして……」
思えば筒抜け……
質問されてコルちゃんは、そんな光景を思い浮かべる。
……嫌悪感と気まずさ……
イライラと自己嫌悪ばかりが……
凄く伝わって来る……
「これ……時間膨らまないね……」
ソフィーも苦笑いだ。
「ダメな所に振ってしまうから……私のせいではないです……」
コルちゃんはジト目をモニカに向ける。
「これはモニカに頼るしかないね」
ソフィーはイタズラな笑顔をモニカに向ける。
「ぬむむ……」
モニカはしまった的な顔をして、変な音を出した。
そんなモニカも可愛い。
「ジュリオさんは、やはり参考になるです。憧れのペアだと思います」
コルちゃんが両手を合わせて、いつにない女の子なポーズで言う。
やはり修練を積んだ達人、ジュリオさんは憧れ的な位置にある。
「ぬむむむ……」
そして結局、ジュリオさんとイチャイチャする、モニカのイメージで、ほっこりうねうねする事にした。
……3人でぷにちゃんに身体を任せて、そんなイメージにきゅんきゅんして、時間は膨らむ。
「さて!あまり膨らむと夜寝れなくて困るよ!私としてはフリッツさんから聞いた……マナの柱がたくさんあった話を知りたいかな~……」
ぷにちゃんが打ち切った。
放っておくと時間が膨らみすぎるから、エロエロを打ち切る事もある。
「今……どれくらい膨らんだです?」
「2時間くらいだよ。そんなに刺激してないからね」
それからフリッツさんの話と、モニカが読んだ本の記憶を、ぷにちゃんと辿ってみる。
あまり掘り下げようにも大した情報はないので、少し眠る時間になり、膨らんだ時間は終わる。
「あ、明日明後日は、旅はお休みで……いいかな?」
アトリエを出る2人に、ソフィーが話す。
「そうね。そのくらいゆっくりでいいんじゃないかしら。皆にも伝えておくね」
「……次は温泉目指して……北ですか?情報あれば聞いておくです」
まだ夕方。
アトリエのドアを開けて話し合う。
「そうだね~……温泉行きたいね!男の子の前で裸ってのも何だから……下着の換えとか持ってった方がいいのかな?」
ソフィーが話す。
「何だから……っていうかそれは無理でしょ……無理よね?」
モニカが話して、コルちゃんを見る。
「むむ!?めちゃくちゃ恥じらいないから、実は平気でしょ的なオーラを感じるです。実際に結構平気なんじゃないかとは思いますが」
コルちゃんが答える。
ソフィーも頷いた。
「……こういうのって天性の物なのかしら……?」
モニカは悩む。
「まあ、それはレオンさんに言うと、それ的な服がありそうだよね。ハダカ族よりはホラ、服あった方がいい訳だし」
ソフィーが手を叩く。
「それはそうです!服はあった方がいいです!」
そう話して別れる。
そして遂に!マナフェザー、モノクログラス、シュタルメタルのレシピ構築、ちょこっと調合、ふわふわクロースの作成だ!
「漬け置き6時間かぁ……マナフェザー……」
意外と早く錬金釜に漬け置きとなったマナフェザー作成。
夜中に完成予定だ。
更に特性を2つ移せるようになっていたので、マナフェザーに一応それっぽい特性を持たす。
……オスカー荷台に取り付けて、軽くなる計画だ。
「特性2つ……モノクログラスはパーティー戦力となるから慎重に……でもこれ……結構難しいねぇ……」
見える見えざる目……モノクログラスは装備すると消えて、装備した者は第3の目を付ける事になり、死角が「なんとなく見える」ようになる。
なので、防御力が上がったりする。
マスターミトンもそうやって「見えざる手」として装備した人を強くする。
「さすがにこれは12時間ぐらい漬け置いて……ソフィーのイメージがしっかりしてないといけませんね………」
マナフェザーの漬け置き時間、錬金術談義レシピ構築で過ごす。
「マナフェザー、仕上げるよ!」
錬金釜を沸かし、マナフェザーを決める。
荷車に取り付けるのは後回しだけど……
そして次はモノクログラス、12時間だ。
「今、朝の3時……出来上がりは、お昼の3時ですね」
「集中して錬金釜の中に材料を配置しないとだね!」
ソフィーは錬金釜に材料を配置する。
「銀いもが金属としてそのまま使えるから……変異物質、HP強化……そんなとこだねぇ……ぷにちゃんコンテナのリストアップが凄いね。モノクログラスには移らない特性まで教えてくれるんだもん……」
「その割には迷いまくってましたが……」
「可能な素材リストアップが多くてねぇ……おばあちゃんのこの家と、ぷにちゃんのコンテナ管理人の力……凄いなぁ……」
「凄く色々と錬金釜の中に映りますから……それは素直に凄いと思いますね」
ソフィーとプラフタは錬金釜を前に、語り合う。
漬け置いてすぐ……オスカーがやって来た。
朝の6時……もう1日の始まりだ。
「ソフィー、昨日のカレーパーティーのカレー、持って来てやったぞー」
「カレー?なにそれ?」
ソフィーはオスカーの持ってきた鍋を見る。
「すげえ旨い煮物なんだよ。オイラも昨日初めて知ったんだけどさ、食通商人ってやつが作ってくれてさ。皆目を丸くして食べたんだぜ?ソフィーも誘いたかったけど、この家遠いからさ。今持ってきたんだよ」
朝食は、温めたカレーとパンで食べる。
「なにこれ!?すっごい美味しい!!」
「だろ?プラフタも食べれれば……プラフタの分も持ってきたんだけどな……ごめんな?」
「いえ、実際に食べられませんので。そのお気持ちを、嬉しく頂きます」
……そして朝食を終えて、オスカーは洗い物をしようと井戸へ向かう。
ソフィーはそんなオスカーを追いかけて、後ろからしがみついた。
「お?どうした?」
ソフィーの体重ではびくともしない。
オスカーはいつもの調子でそう聞いた。
「今日、昼3時までヒマヒマなんだ……」
ソフィーは、オスカーが汲み上げた井戸水に手を伸ばす。
「ソフィーがヒマヒマなんて珍しいじゃないか」
オスカーは井戸の側に置いた鍋と皿を手に取る。
「そう?今、錬金釜が漬け置きだから…お昼だけど……しちゃわない?」
ソフィーは上目遣いでオスカーを見る。
でもオスカーはそんな可愛い攻撃にも動じず、鍋を洗い出す。
「オイラはいいけど……お客さん来るかもだぜ?フリッツさんが作業台直すのに、なんか求めて来るんだろ?……さすがにまずいんじゃないか?……あ!住宅区のラーメル宿行くか!」
鍋と皿を洗いながら、オスカーは三白眼を見開いた。
青い瞳が小さすぎて悪人顔でもある。
「なにそれ!?モニカの川沿いの宿みたいなやつ?」
ソフィーは聞いてみる。
「まあ、そんなもんだけど……お昼だし、運が良ければ今なら上部屋行けるかもだな。行ってみようぜ?」
……そんな訳でプラフタに留守番を頼む。
「ふむ……それはいいのですが……いかがわしい所に行くのであれば、その錬金コートは脱いだ方がいいのでは?」
プラフタにそう言われて、ソフィーは青の錬金コートを見る。
「……悪い事しに行く訳じゃないから、このままで行くよ」
そしてソフィーとオスカーは、キルヘンベル裏ストリートへと行く。
……お昼には帰って来る予定だ。
「初めて来たなぁ……」
オスカーに連れられて裏ストリートへ。
ガラの悪い的な冒険者、商人なんかが散見される。
なんか傷んだ石畳と少し古い……壊れそうな建物なんかがあったりする。
「オイラは野菜の配達とかで来るからな。……今はさ、教会の子供達が配達してるんだけどな……ソフィーは、本当に来た事なかったのか?」
……同じキルヘンベルとは思えない風景だ……
「あ!お酒屋さん……?」
ソフィーはきょろきょろと回りを見る。
雰囲気がキルヘンベルじゃないみたいで、なんか新鮮に思う。
「まあまあ、昼には帰らないとだろ?」
オスカーがソフィーを捕まえて、前を見るように促す。
「そうだね。意外と時間ないのかも」
そしてラーメル宿へと行く。
それは古い石造りの建物で、3階建てくらいの大きい宿だった。
「おや坊っちゃん、配達かえ?」
モップを持ったお婆ちゃんが中で掃除していて、オスカーを見る。
「今日は部屋を使おうと思ってな……今なら上部屋も空いてたりするかい?」
オスカーが言う。
ソフィーはそんなお婆ちゃんを眺めて、ぺこりと頭を下げる。
「ええ、これは可愛らしい子を連れて……こんな時間なら……坊っちゃんだし、100でええわ」
お婆ちゃんは微笑み、指で上を示した。
「今はホルストさんの依頼もこなしてるからさ、普通に1000取っていいよ。ばあちゃん……また怒られちゃうぜ?」
オスカーはお婆ちゃんにお金を渡し、上へと上がる。
ひと晩3000コールの部屋なんだそうだ。
お昼は1000コール。どちらにせよお高い!
「凄い!なにこれ!?ベッドでかー!王様の部屋!?」
広い3階の部屋。
広いベッドに……
水を湛えるでかい銀の器。
ふわふわゼッテルが沢山置かれた棚……
家具はどれも古いけど、なんか豪華で重みがある的な……
「結構新しくしてるんだなぁ……造花とか散りばめて……この植木鉢、やっぱりここのだったかぁ……」
2人で部屋を見る。
中和剤石鹸(赤)とか蒼剛石も、おしゃれオブジェとして飾られてた。
金の蜘蛛の糸も……上手く飾りとして使うもんだなぁ……と感心する。
「さて、今7時半……お昼までは結構長いな……」
オスカーは窓を閉めてカーテンを閉める。
部屋は暗くなって、ソフィーはベッドに座る。
「へへ~……こういうの、いいかも」
ソフィーはベッドに倒れ込み、両手を上げる。
ハクレイ石の受け皿がベッドの四角にあり、なんか涼しいベッド。
「だろ?」
オスカーはそんなソフィーの胸に手を置いて、キスをする。
……そしてする事して、お昼前にラーメル宿を出る。
「か、片付けなくていいのかな……?」
ソフィーは派手に濡らしてしまったベッドを思う。
しかし身体の方は、ふわふわゼッテルでスッキリ綺麗になった。
ふわふわゼッテル……
凄いやつだ……
「まあ、そういうもんだから平気だって」
……そんなラーメル宿事情なんかの話を、オスカーとしながらアトリエへ向かうと、その前にお洒落レストランを通り掛かる。
そこにコルちゃんとモニカが居た。
「あれ?ソフィーもここでお昼?お昼になっちゃうと混んじゃうから、ちょっと早めのお昼なんだけど、ソフィーもオスカーもどう?」
モニカに誘われてレストランに入る。
ソフィーはまた入る、お洒落なお店にキョロキョロする。
……造花……
モニカと奥様方の造花……
需要あるなぁ……
そして中和剤石鹸(赤)も……
虹色の水晶片も、なんか一際でかいラーメル麦が細いかごに入っていたり……
水晶のかけらも大活躍の、キラキラお洒落空間。
「うわぁ……なんかキラキラしすぎて落ち着かないや……」
オスカーはそう言って、女性客ばかりの店内をキョロキョロする。
外観の見た目よりも、中は広い。
「最近、コルちゃんは壺屋が落ち着かないみたいでね。それでたまには……って誘ったのよ」
食事の注文を終えて、モニカが話し出す。
「最近……商人の方々と冒険者の方々で……コルネリア露店の看板娘、コルネリアを応援する会……なるものが結成されてしまいまして……」
コルちゃんも子供達とセクシーポーズとかして、おじさん達から笑いと売り上げを取っていたらしく、悪ノリが高じて会合が出来たそうだ。
「ん?人気者なのはいい事なんじゃない?」
……むしろその会、私も入らねば……そう思いつつ、ソフィーは聞く。
ノロケ?……はさすがに違うか。
「はい。それは嬉しいのですが……やはり注目されるのは落ち着かない所がありまして……それと私は店主であって……看板娘ではないのですが……」
壺屋で食事をすると、ほぼ必ず常連客と言う状態なので、今日はこっちに避難したのだと言う。
「明日からもこっちで食べるの?」
そう聞いてみる。
お洒落なごはんだし……お昼前でも女の人で賑わってるし。
「いえ、さすがに晩の食事から、壺屋さんにするです。ロジーさんも……応援してくれる皆さんも、楽しみにしてるみたいなので」
そんな話をしながらレストランで食事を楽しむ。
そんな中でコルちゃんから、商人に伝わると言う……
伝説の軍手の話を聞いた。
「プラフタさんも、ミトンでは少し不便かと思いまして……色々な物を掴みやすいそうなのです」
……とはいえ、軍手だし……オシャレさは下がるなあ……
と、ソフィーもモニカもオスカーも、軍手で本を読むプラフタを思い浮かべた。
……ミトンがオシャレかと問えば、そんな事も無いのだけど……
お昼、ソフィーはアトリエに帰る。
モノクログラスはまだ少し掛かるので、プラフタと摘み取り軍手のレシピ構築をする。
「意外なところで閃くものですね……」
「でしょー?やっぱ外は出とくものだなぁ~……と思ったりしてるんだよね」
「愛は深まったのですか?」
「もうドン底まで深まってるよ~。今日は確認してきただけだよぉ~……」
「ドン底!?……それは少し違うのでは……」
15時にモノクログラスを決めて、次の摘み取り軍手作成、6時間に突入する。
「カテゴリパワーの要求高すぎて……妥協作になっちゃうなぁ……今ある物だとどうにも無理だねぇ~……」
「まあ……でもソティーとか中和剤なんかはカテゴリパワーMAXもあるのではないですか?」
「うに袋……MAX品やってみよっか?」
「危険物が出来上がりそうですね。やってみると、ソフィーの錬金術の発展も分かりやすいかも知れませんね」
夜の9時に摘み取り軍手が決まり、うに袋の作成……そこからクラフトのレシピ構築……ふわふわクロース作成……と夜は過ぎて行く。
「クラフト出来たぁ~!」
釜の中、素材配置が難しいクラフトを決めると朝……
温泉へ出発の朝だ。
……まあクラフト漬け置き6時間で眠ってるので、元気な訳ですけれど。
「プラフタ、行って来るね~」
ソフィーはアトリエを出る。
雨の降るキルヘンベル……
カフェに皆集まる。
そしてお楽しみ、カリカリトーストの朝食。
その中にハロルさんも居た。
「ハロルさんも来るの!?」
ソフィーは期待の眼差しを向ける。
「見送りだ。……店はどうせ午前中なんか、客は来ないからな……」
少し気に入らない、的ないつもの顔を見せるけれど、それは少し和らいだように見えた。
……ソフィーから見て……だけれど……
岩こぶ山麓から北西に行くとある材木小屋……
この地に当時使われていたという温泉がある……
との話で、その場所に決まった。
……というか前もって決まっていたようで、ホルストさんも依頼を整理してあり、スムーズに出て来た。
錬金術の素材にはならない材木が、今も沢山あるそうで、それが依頼となっていた。
オスカーの荷車大活躍だ。
「ふふふ~……ソフィーとモニカ、コルちゃんにジュリオ、おデブちゃんと……水着作って来たわよ~!」
そしてキルヘンベルを出た旅の道……
レオンさんがウキウキワクワクノリノリで見せて来た。
「凄い!オシャレ!」
モニカとコルちゃん、ソフィーが飛び付く。
「これで……皆で温泉入れるね!」
ソフィーもはしゃぐ。
「今は魔物も出る土地だろうから、皆で、というのはちょっと油断し過ぎじゃないかな」
今回は荷車を引くジュリオさんが言う。
そんな話をしながら材木小屋へと向かう。
「クコココココ……」
お昼過ぎ、野営での昼食の後で……
真っ昼間なのにゴーストとスカーレディが襲ってきた。昼間だからか、いつもより弱かった。
そして到着。13時。
お化け達は……ここで亡くなった人なのかも?
相変わらずコミカルな見た目だったけど……
「うおおお!」
アードラが空から緑プニを降らし、ついでに急降下とかしてきた!
そしてそのまま戦闘に突入する。
「なんと凶悪な……!」
でもアードラも緑プニも、特に強い訳ではないみたいで、銀いもパワーで固めたパーティーとしては、余裕で倒せる。
草モンスター、ホワイトルートの広範囲毒攻撃も、毒ダメージよりも銀いも回復の方が大きい。
銀いもパワー……強すぎる。
「温泉……どこかしら?」
みんなで温泉を探す。
そこら中にカーエン石が落ちてた。
「ここいらの木々が言うには、この滅びた小屋が温泉だったらしいぜ?今はまあ……見ての通りだけど……」
オスカーが木々に聞いて、そんな答えを知らせる。
「嘘……嘘よぉぉ!」
レオンさんが崩れ落ちた。
「な、何でもいいから泉はないかな?」
ソフィーがオスカーに聞く。
オスカーは木々に聞いて回る。
「……まあ、ここらの森の中も泉は沢山あるみたいだけど……帰り道の途中に泡立つ泉があるらしいぜ」
依頼品の木材を切り出して……木々に聞いて回って戦って……夜になってた。
「さて……晩ごはんだな……」
夜ごはん、近くの小さい泉に行く。
木材小屋からちょっと離れた、昼ごはんも食べた所。
オスカーは、ふわふわクロースを使って小さいカボチャを……?
「煮てる……んじゃないよね?」
ソフィーが尋ねる。
「蒸してるんだよ。蒸すと凄く柔らかくなるみたいだからな」
水蒸気がやたらと噴き出していて、暖かい。
「あの小さいカボチャ……凄く固そうだったけど、食べられるのかい?」
ジュリオさんが尋ねる。
「材木小屋の人達が蒸して食べた……って本にあったからね……んで味がないけど食感はいいらしいんだよ。昼も夜も豚ネズミじゃつまらないだろ?」
荷車にいつも住んでる大きな鍋は、水蒸気を出しまくってる。
「また食べた後になんかあるのは嫌よ?」
モニカがジト目をオスカーに向ける。
「蒼キノコ、やばかったな……でもいつの話を思い出したんだよ?」
オスカーが笑う。
そんなオスカーに寄りかかって、コルちゃんは眠ってる……
よく眠る子だ。
「本当だ……ホクホクしてて凄い口当たりいいのに、甘くないカボチャだね……」
少し塩して食べる。皮まで柔らかになってる。
「皮は……ほんのちょっと甘い……かも?」
モニカが首を捻りながら味に集中する。
「余程の事がない限り、このカボチャでお腹を膨らませたりはしない、と言うだけあって……旨くないな……ただ、付け合わせとしては頻繁に使われていた……みたいだけど」
オスカーも、考え込みながら食べてる。
「食感はいいからね。味は……粗食慣れしていた頃を思い出したよ」
ジュリオさんは笑う。
……それからも少し木材と採取活動をして、昼に泡立つ泉に辿り着けるように、木材小屋を出る。
「太陽バッチリ!」
結構広い泡立つ泉に到着した頃、晴れて暖かい日差しが降り注いでいた。
「しゅわしゅわですね……この泉……凄いです」
森の切れ目に炭酸水の泉……この泉の周辺には植物が生えておらず、魔物も居ないようだった。
「……植物はしゅわしゅわが苦手みたいだけど……毒とか大丈夫かな……」
オスカーが匂いを嗅いで、ちょっと飲んでみる。
泉の水をよく使うけど、こうしてオスカーが確かめてるのが常だし。
「おデブちゃん、飲んで平気なの?」
レオンさんが声を掛ける。
「入ってからどうのってなるよりは平気だよ。それに、これは平気な水だな……かなり綺麗な水だよ」
オスカー先生のお墨付きが出て、満載の荷車を固定させる。
「よし!レオンさんの水着に着替えないと!」
ソフィーとコルちゃんは服を脱ぎ出す。
「えええ!?ここで着替えるの!?」
レオンさんが驚き、モニカが頬を掻く。
……この2人……およそ羞恥心というものが……
「まあ、僕は警戒しているから、ゆっくり楽しんでおいで」
ジュリオさんは泉と、その2人に背を向ける。
「しゅわしゅわ……冷たいです!気持ちがいいです」
「うひゃ~!モニカもレオンさんもオスカーもおいで~!」
着替えた2人から入っていく。
そしてレオンさん、モニカにオスカーも服を着替える。
「結局皆で楽しんじゃったわね……」
夕方……しゅわしゅわの泉からキルヘンベルへと向かう。
魔物も出なかったので、しゅわしゅわ泉をバッチリ皆で楽しんだ。
「あまりに何も無いし、警戒を代わるのも酷だしで……なかなか楽しい場所だったね……」
いつになく綺麗な一行がキルヘンベルへと帰って行く。
朝5時……
しゅわしゅわの泉で身体も綺麗だし、朝食にカフェでも行こうか……
なんて話しながらキルヘンベルに到着する。
「いやあ、大変な事が……」
ホルストさんから、忘却のナーセリーから冒険者が帰って来ない依頼の話を受ける。
「大変!それは様子見て来ないと!」
ソフィーは外を見る。
「まあ、でも食べてからにしないかい?それと準備は必要だぜソフィー」
オスカーはそう言って、カフェの席に着く。
「そうだね。こういうのはまず……冒険者達がどのくらいのパーティーだったのか……詳しい話も聞かないとね」
……何でも冒険者6人で出掛けたらしい。
それがもう7日も帰って来ていないのだと言う話を聞いた。忘却のナーセリー、いにしえの厨の方へ行く依頼を受けていたので、そこに居るものと思われるそうだ。
「さて……皆、行くかな?帰ったばかりだし、それぞれ何かと忙しい人達なのだけど……」
ジュリオさんは食事の後に皆を見る。
「オイラは行くよ。ちょっと調味料と道具だけ補充しないとだけど、八百屋にあるからすぐ準備出来るよ」
オスカーはいつものトーンで言う。
「私も行くわ。少し強い魔物とか居そうだし、この槍技を披露できるかも知れないわ」
レオンさんもやる気だ。
カリカリトーストをお代わりしてた。
「私はさすがに眠いので……荷車でまた眠ってしまいますが……行きます!」
コルちゃんも眠そうだけど乗り気だった。
全員そのまま……荷車を空っぽにしてから、忘却のナーセリーへと向かう。
いつになく急ぎ足のジュリオさん。荷車が早い。
いつになくカタコトしまくる荷車の上で、コルちゃんは眠る。
「……?何この香り……」
お昼過ぎに忘却のナーセリーに到着。
……どこからともなく、香る風が吹いてる。
「何の匂いだろ?緑プニみたいな果実の香りがするけど………」
皆で辺りを見回す。
……特に何も無かったけれど、リフュールボトルを閃く。
そしていにしえの厨へと向かう。
……石造りの建物で、廃墟……そんな場所だ。
本が飛んでいる。
……魔物、マジックブックが飛び、緑プニがころころしてる。
そしてソフィー達がその姿を見ると、マジックブックは開き、青プニを召喚すると青い魔法ビームを撃ち込んで来た。
「うわあ!」
まだ廃墟に入ってなかったのが幸いして、ソフィーは青い魔法ビームを避ける。
「これは突撃して大人しくさせた方がいいわ!」
モニカが剣を抜く。
「待って!フラム大先輩が突撃するよ!」
ソフィーがフラム大先輩を取り出す。
「……冒険者達が居るなら、フラム大先輩はまずいぞソフィー!」
オスカーが止める。
結局、銀いもパワーを信じて突撃をする事にする。
戦うのにやりづらい場所だけど、乱戦を挑む事にした。
「強化の力を使ってから行こうか」
マナの柱の力……使って行く事にする。
ジュリオさんの魔法バリアでHPバリア強化。
モニカの魔法バリアで、攻撃力強化。
ソフィーの魔法バリアで、防御力強化。
レオンさんの魔法バリアで、なんとレベル強化。
スキルを全力で使い込み、マジックブックと緑プニの群れを倒していく。
マジックブックも殴るとモロい。
ドカスカ祭りの末に、いにしえの厨の魔物を全滅させた時には、緑プニ汚れと緑プニの香りが蔓延していた。
でも皆揃って無事だった。
あまり強くない魔物だったのは幸いだった。
いにしえの厨の床下、貯蔵庫から冒険者達を助け出して、ソフィー達は帰る事にする。
「荷車も改良したいかなぁ……」
冒険者達を積んだ荷車をソフィーは見つめる。
「大改造かぁ……夢があるよなぁ……」
オスカーも荷車を見つめる。
「もう少し持つ所が高くなると引きやすいかな」
そんな話をしつつ、感謝されつつキルヘンベルへ。
「おお!素晴らしいですソフィー!」
夕方に帰るキルヘンベル。
緑プニ汚れの酷い一行を、ホルストさんと冒険者達で迎える。
「……そんな姿になってまで……頑張ってくれたのですね……」
涙ながらにホルストさんが声を掛ける。
……腐った果物の……
妙な甘い匂いがする……
「はい……でもこんなんなってますので……明日の朝とかお昼でもいいですか?」
冒険者と荷車を置いて、一行はアトリエへと戻る。
レオンさんは別れた。
「プラフタただいま~」
ソフィーとモニカ、コルちゃんでアトリエに入る。
「あ。エリーゼお姉ちゃんが寝てる……」
ソフィーのベッドでエリーゼお姉ちゃんが寝ていた。
「本、増えたわね……」
モニカが床に並べられた、棚に並べられた本を見る。
「あ……ごめんなさいねソフィー……えっと……3人ともどうしちゃったの!?」
エリーゼお姉ちゃんが起きた。
「ちょっと魔物の巣に飛び込まないと行けない用事があってね……」
プニ汚れの凄い3人と、その変な甘い匂いにエリーゼは驚く。
「あら……こんな時間なのね……ちょっと帰らないと……」
そして慌ててアトリエを出ていく。
「まあ、服から毛布にくるんで……」
いつものように不思議毛布に3人の服を包み、ハダカ族の3人はぷにちゃんの部屋へと行く。
……時間を膨らませて身体を綺麗にして、ジュリオさんを、オスカーを洗う計画だ。
「……我に……気を使ったのか……随分と旨そうになっているな……」
ぷにちゃんはそう伝えて口を開く。
相変わらずの3つの舌……
それぞれその舌に身体を預ける。
時間を膨らませて、ひと眠りする。
特に髪にへばりつくプニ汚れも、ぷにちゃんにかかればとんでもなく綺麗になる。
そんな訳で膨らんだ時間をゆっくり休み、モニカを残してコルちゃんとソフィーでアトリエを出る。
「お待たせしましたジュリオさん」
ソフィーがそう言ってジュリオさんに声を掛ける。
「本当に早いね。それじゃ、遠慮なく……」
ジュリオさんはアトリエに入り、ソフィーは外テーブルに座るオスカーの向かいに座る。
「それでは……私は鍛冶屋住まいですので」
コルちゃんも帰って行く。
……明日、明後日は旅休み、と皆と話したから、ゆっくりだ。
「さすがに疲れたなぁ……あまり汚れがひどいもんだから母ちゃんも心配してたしなぁ……」
オスカーが星空を見上げて呟く。
「オスカーもカッコ良かったよ!スコップで叩きつけてから、なんか堂々と振りかぶってスコップビンタするの。そんなゆっくりで……当たるの~っ!?って感じで」
ソフィーが言う。
……超低空ロケットタックルもカッコいい………!
そんな事を思いながら。
「そ、そうか?まあ……ソフィーがそう思うなら、いいんだけどな……」
オスカーは頭を掻く。
そんなこんなでオスカーと仲良くしてると、モニカとジュリオさんが出て来た。
「お世話になったね……綺麗になって良かったよ」
ジュリオさんがお辞儀をする。
「いいんです、いいんです。いっつも頼りにしてますので」
ソフィーは立ち上がる。
そして星空の下、これからの旅休み予定なんかを話し合い、別れる。
「さて、オスカーも綺麗にしないとね♪」
オスカーとアトリエに入る。
「またオスカーも凄い汚れなのですね」
プラフタがお出迎えする。
新しい手、軍手が本を捲っていた形跡が机の上にあった。
「まあな。今回はプラフタも長く待たされたんじゃないか?」
ふと、そこに目を止めたオスカーがプラフタに尋ねる。
「確かに。ですがエリーゼが遊びに来てくれるようになりましたから……それに、彼女が新しい本も持って来てくれますので、だいぶ過ごしやすくなりました」
プラフタはそう話す。
どこかしら嬉しそうな……
「エリーゼお姉ちゃんが、ちょくちょく来てくれると嬉しいよねぇ……そんなエリーゼお姉ちゃん用にお菓子でも作っておこうかな……」
ソフィーは人差し指を口許に呟く。
「それはいいですね。エリーゼはキルヘンミルクが苦手だそうで、そこを配慮して頂けると」
「そうなんだぁ……」
そう話して、オスカーの服と身体を洗い出す。
……皆の汚れを受けまくりの不思議毛布も洗う……
「寝る布団……無くなったなぁ……」
2枚とも洗った事で、ベッドに毛布が無くなった。
ならば……と、更に敷き布団も洗い……
「あたしも、こういうの作れるようにならないとだね!」
ソフィーはやる気に燃える。
そしてプラフタとクロース改良を企み、オスカーも参加した。
……そんな夜は更ける……
ここには、ゲームには無い、勝手に付け加えた設定を書いておく所。
[川沿いの宿]
キルヘンベルの川の上流にある宿。森の中、という風情と川の風の涼しさで、人気の宿らしい。
[エロエロ]
ハダカ族同士の戦い。
[ヘンタイ]
ハダカ族同士の戦いの中、変則技を使う事。
[レシピ構築]
図鑑のレシピの謎解き。掛かる時間とか、使う材料の量とか。
[ふわふわクロース]ふかふか。
[カレー]
香り材料を多く入れた煮物。
[食通商人]
食べる事にうるさいらしいけど、痩せたおじさん。
[住宅区のラーメル宿]
大きな壺に入ったラーメル麦が目印の宿。裏ストリート寄りにある。
[上部屋]
広い3階の王様部屋。王様気分が味わえるけど、大体エロエロ目的での利用になるみたい。
[錬金コート]
ソフィーの一張羅。おばあちゃんから貰った、少し大きいコート。思ったより背が伸びなかったのが原因かと。
[お酒屋さん]
お酒が売られてる。味見も出来たりする、樽酒が積まれてるのが目を引くお店。
[ふわふわゼッテル]
コルちゃんが作りまくって納品しまくったみたい。宿の常備品となりつつある。
[中和剤石鹸(赤)]
オブジェにも使える!
[モップを持ったおばあちゃん]
八百屋の配達をいつも受け取る人みたい。オーナーじゃないんだけど、オーナー面をしてて、怒られる事もしばしば。らしい。
[ハクレイ石の受け皿]
涼しさを演出。実際にひんやりするように出来てる。ここに上等なハクレイ石を乗せると、寒くなりすぎるので粗悪品くらいが丁度いいのだとか。
[レストラン]
エルノアさんのオシャレ魂炸裂!キラキラ空間の食事処。
[コルネリア露店の看板娘、コルネリアを応援する会]
おじさん達に大人気。職人さんの道具とか、増やす錬金術が便利なんだって。更にお酒まで扱う予定。
[壺屋]
こちらは飾らない食事処。
[商人に伝わる伝説の軍手]
この軍手を使うと、収穫が不思議と増える……と言われている軍手があるのだとか。
[温泉]
あったか~い泉。温泉に宿が出来ている場所もあり、旅人の目的地となって賑わうのだとか。
[カリカリトースト]
今日も元気にカリカリ。
[水着]
水遊びの時に着る服。水の抵抗を少なくしつつ、男の子を悩殺するデザインなんだとか。
[温泉だった滅びた小屋]
木材を採取する作業所跡地。仕事明けに温泉を利用していたみたいだけど、今や基礎だったと思われる瓦礫のみが残る。
[小さいカボチャ]
凄く高い、大きな木から落ちている木の実。カボチャっぽい見た目だけど手のひらサイズ。
[しゅわしゅわの泉]
街道から離れた森の切れ目にある泉。しゅわしゅわしてる。
[忘却のナーセリーから帰って来ない冒険者]
イキナリ本とプニの魔物が現れたのだとか。
[エリーゼお姉ちゃんが寝てるアトリエ]
実は落ち着いて眠れるベッドが無いんだとか。このところ急に本が増えたから……
[不思議毛布]
汚れが落ちる落ちる。