錬金術のアトリエ 1   作:東京のぷるぷる

17 / 55
錬金術のアトリエ 17

錬金術のアトリエ 17

 

この日の雷雨はなんか長く続く。

そんな中、ソフィーのパーティーは、新しい2階建て荷車……

錬金荷車2号と、キルヘンベルを出る。

今回は遠征。

かなり遠い場所へと向かう。

 

 

「乗り心地……凄くいいです!」

荷車1階に乗るコルちゃんが、横を歩くレオンさんに言う。

乗る用に錬金毛布、ふわふわモフコットも完全装備!

「なんか、猫みたいねぇ……」

レオンさんはそんなコルちゃんを眺めて、そう言って笑う。

 

「あたしも!あたしもコルちゃんに癒されたい!」

荷車に乗り込んだソフィーが、コルちゃんに抱きつく。

「うおぉ!あまりどったんばったんすると、ジュリオさんに怒られます!」

寝技に巧みなコルちゃんは、素早く足を開き、ソフィーを足で捕まえる。

「あははっ!そこ反則だから!も~っ!はははっ!はあぁ~っ!」

そしてくすぐられるソフィー。

 

「うん、安定感抜群だね。これくらいじゃ車輪が沈むくらいで何ともないよ」

ジュリオさんは隣のモニカにそう話す。

「も~……はしゃぎすぎじゃない?」

モニカはうねうねしてる、ずぶ濡れソフィーとコルちゃんに振り返る。

 

 

巡礼街道~メーベルト農場……

さすがに昼には……

未だに雷雨が降っていた……

 

「もう……ずぶ濡れよぉぉ……」

荷車を引くレオンさんがこぼす。

「まあ、冷たい雨じゃないけど、火が起こせないからなぁ……さすがに昼食にできないなぁ……」

荷車1階のオスカーが顔を出す。

「だから……僕が引くよって……」

荷車の横を、ずぶ濡れで歩くジュリオさんが言う。

荷車乗らない派だ。モニカも強く勧められたのに、荷車の横をずぶ濡れで歩いてる。

荷車2階のコルちゃんはすやすや寝てるし……

ソフィーは1階で後ろを見てた。

「私はすぐ太っちゃうのよ……それに遠征の企画は私だからね!……頑張らないと!」

レオンさんに気合いが入る。

 

 

そしてメーベルト農場~三つ子橋の泉

この長い区間で夜になり、雨も弱くなった。

 

「ふふふ……私も荷車引いてみたかったです……思ったより軽いんですね……」

コルちゃんが荷車を引いて、その隣をソフィーが歩く。

寝れる強みを殺す事もないし……

ジュリオさんとモニカ、レオンさんは荷車で眠る。

ちょこっと調合品、もふもふモフコット大活躍だ。

 

「昼ごはん遅かったからなぁ……まだお腹減らないや……」

荷車の横を歩くオスカーが呟く。

「そうだね~……あたしもまだかなぁ……」

オスカーの反対側、ソフィーが言う。

コルちゃんが荷車を引いて、ソフィーとオスカーで押してたりする感じ。

 

「なんか、ソフィーに食事の心配しなくて良くなったよなぁ……いい感じで太って……まだ細いけどな……」

オスカーは荷車に手を掛けて、何となくコルちゃんの後ろ姿を眺めて話す。

「この辺り、美味しいもの無いのです?」

コルちゃんが振り向き、また前に顔を戻す。

「ここまで来たら、三つ子橋の泉で魚だろ?あの手網は、枕じゃないんだぞ?」

オスカーは1階で眠るレオンさんを見る。

モフコットに手網を乗せて、なぜか網を枕にしてる。

「あはは、眠るレオンさん、可愛い~」

パーティーは旅を進める。

 

 

そして三つ子橋の泉~朝凪のほとり……

 

夜中3時に到着となった。

雨上がりで、星明かりが一際眩しい……

景色の美しい場所……

時折妙な臭いがする。

「湖底の土の臭いだな……」

オスカーが地面の粘土の欠片を手に、臭いを嗅ぐ。

何かが腐ったような臭い……

でも湖からはさわやかな水の香り、そして緑の匂い……

そんなさわやかな空間に、変な匂いが混じってる所。

 

「なんか……不思議な場所だね……」

ソフィーも辺りを見る。

目的地だし、夕食からは皆して起きて、そんな景色にため息をつく。

「旅は止められないね。キルヘンベルも面白い事が多いのだけれど……こんな景色に、旅をして良かった、と思わずにいられない」

ジュリオさんが、ソフィーの隣で微笑んで語り出す。

星の眩しさに、やたら幻想的な景色のせいもあって。

ソフィーもなんだかしみじみとした気持ちになる。

 

 

そして採取生活をする。

赤プニ4匹がやたらぷにんぷにんしてる……

弾力が今までよりも凄そうだ。

凄そうなので防御陣形でレヘルン先生、クラフト御前を投げ込む。

……なんと!

レヘルン先生、クラフト御前を耐えた上で襲って来る。

 

ただ、こちらの防御力と銀いも回復が、更に強化された事。

更に防御陣形でコルちゃん大活躍!

……により、被害はほぼない。

それと、さすがに爆弾2発は効いてはいたようで、少し叩くと倒せた。

 

「本当に……ぷにちゃんの力が無かったらやばすぎるね……」

赤プニ汚れのひどいコルちゃんを見て、ソフィーは呟く。

「そうね。でも他の人ってどうしてるのかしら?」

モニカは疑問に思う。

でも、かなり大量にぷにちゃんが作られたみたいだから……

この力はそれほど特別、でもないのかも知れない。

 

「商人の皆さんは……免罪符を使ってるそうです。お隣の国で配られるお札で、街道で魔物と出くわした時に使うと……魔物は酔っぱらったような感じでフラフラして、街道から離れてくれる……らしいです」

コルちゃんはそう話す。

「教会のお札?」

ソフィーが尋ねる。

なんかちょこっと聞いた事があるような……?

 

「はい。キルヘンベルには免罪符がありませんが……パメラさんの作る謎めいたお札も、元々は効力を失った免罪符のようです」

商人事情なので、なんかコルちゃんが詳しかった。

街道には魔物を弱体化させる魔力が込められており、免罪符で追い散らす事も出来るそうだ。

なので、街道を外れてしまうと免罪符は効果を発揮できなくなる。

 

 

それからも島魚、一本角と戦闘になる。

どちらも陸に上がった巨大魚……

ゾウみたいな短い足が生えている。

攻撃陣形でポカポカ叩き、倒すまでポカポカ叩く。

そして魚を追い払う。

 

……朝食に、逃げ帰る島魚が残すヒレと、赤プニを煮て食べる。

そんな採取生活………

「凄い!前に食べたやつより美味しい!甘い!」

ソフィーとモニカが喜んで食べているが、コルちゃんとオスカー、レオンさんとジュリオさんは島魚のヒレの煮物を食べてる。

 

島魚、一本角はある程度攻撃すると逃げる。

……倒したとはいえ、殺してる訳ではなく、単に居なくなるのだが、ヒレがぽろっと取れる。

そして生え変わる。

同じ島魚、一本角が、懲りもせずに人間に襲いかかる……

と、いうよりじゃれついて来るらしい。

「遊んで遊んでーーーー!!」って感じで来るのだ。

可愛いのだが、危険な生き物である。

 

そのヒレを食べるレオンさんは思う。

……食事に赤プニは……

スウィートでフルーティー過ぎて……

ないわー……と。

 

……でも島魚のヒレは……

珍味な感じで、おじさん好みなんだけど……

なんと両極端な……

試される食事なのだろうか……

 

「コルちゃんも赤プニ美味しいよね?」

ニッコニコのソフィーとモニカと、いつの間にやらコルちゃんも赤プニ食べていた。

……なるほどデザートか……

レオンさんは目を光らせる。

 

「私も、もう1回食べてみようかナ~……」

「あ。レオンさんもどうぞ?」

モニカに器を渡され、レオンさんはひと口食べる。

……うっ

……甘過ぎる温か過ぎる……

コル助……なぜ食える……

 

そしてレオンさんは、島魚へと戻って行った。

 

 

今回、同一人物(?)の島魚と一本角のペアに3回絡まれた。

 

そんな採取生活の果てに……

遂に粘土岩的な洞窟を発見し、話に聞いた温泉を見つけた!

「凄い臭い……」

粘土岩が臭う……

それで出来てるのだから……

空気がもう、それなのだ。

魔物も近寄って来ない。

赤プニ君……

臭いわかるのか………

 

「この臭いが……身体の中まで綺麗にしてくれるそうよ?その商人の人が言ってたわ。その人は温泉入ってから、病気した事が無いって」

レオンさんがその洞窟を見つめる。

かなりデカい洞窟だけど、すぐに行き止まり。

青白く光っていて……

……臭い……

 

「皆!温泉に……入るわよっ!」

レオンさんを先頭に、採取品でそこそこ賑わってきた荷車も洞窟に入る。

温かい湯気が洞窟内に満ち満ちている。

……本当に温泉みたいで……

ソフィーの心臓も高鳴る。

 

「おおっ!温泉でかいっ!猿が入ってるな……」

なだらかな窪みに、広くお湯に満たされている湯気に満ちた場所。

そこに小さな猿が数十匹居て、オスカーが声を出すと奥の方に消えて行った。

 

「ふふふ……1番乗りです♪」

いつの間にか水着に着替えたコルちゃんが、オスカーの後ろにぴったり着いた。

「あーっ!あたしもあたしも♪」

ソフィーも服を脱いで水着を探す。

「もーっ!あなた達相変わらず早いわね!なんでそうあっさり服脱げるのよ!?」

レオンさんも服を脱ぎにかかるが、構造的にソフィーのが早い。

……あんまり堂々と脱ぎ出して、ジュリオさんは後ろを向いた。

 

「うん、安全な水だな。猿が入ってたから、安全だろうけど、一応な」

オスカーのお墨付きが出て、コルちゃんとソフィー、レオンさんが入り、モニカはオスカーを見る。

なぜか温泉とは反対へと歩いて行く。

……水着も着替えてないし。

そして眺めていると、オスカーは離れた場所で壁を探していた……

 

「皆、自由よねぇ……」

ジュリオさんと笑い合って、モニカも着替える。

 

「おおおおおおお……」

「ほおおおおぉぉぉ……」

熱めのお湯に、ソフィーとコルちゃんが仲良く震えて、変な声を出していた。

 

「もーっ!これよこれーーーーっ!」

レオンさんは満面の笑顔で身体を伸ばす。

結構浅い温泉で、少し寝た感じにならないと肩まで浸かれない。

 

「オスカー!膝枕~♪……あれ?」

ソフィーは立ち上がりオスカーを探す。

「なんか植物探ししてたわよ。湯気で見えないけど……あの辺りに居たわ……」

モニカが湯気を指差す。

……まあ……

湯気しか見えないけど、ぼんやりと……

モノクログラスの力で人影が分かる。

……凄く壁を見つめて、探っているので呼びに行く。

 

「……何か見つけたの?」

黄色い水着のソフィーがオスカーに近付く。

「おお。見ろよこれ……こんな場所で、粘土と同じ灰色の苔がさ、こんなに……しかも人間が来てはしゃいでてさ……可愛いんだよ……」

ふわふわしてる部分と、そうでない部分があって、ふわふわしてるのは苔のようだった。

「でも、あんまりそこに居るとあたし達のぼせちゃうよ?」

ソフィーはオスカーのほっぺたをつんつんする。

「そうか……すっかり夢中になっちゃったな。オイラも行くよ」

 

オスカーを連れて行くと、コルちゃんとレオンさんの間に、やたら……いやらしい表情の猿が2匹居た。

「お猿さん、可愛いです……」

コルちゃんは、そんなお猿を撫でる。

「もー、ここの温泉最高よ~♪」

2人はお猿に夢中……

モニカとジュリオさんも、なんかいい雰囲気で……

 

「オイラは猿を驚かしちゃうから、近づかないでおくかな」

……ソフィーもお猿の所へ行き、モニカも来た。

そして、とても素敵な温泉を楽しんだ。

 

 

「今回、最高に楽しかったけど、ライデン鉱って無いなぁ……」

帰り道、ソフィーは未だに作れていない、シュタルメタルを思う。

今回は地底湖の泥、地底湖の苔、湖由来の品……

と、豊作ではあるけれど、目的の鉱石は……

まあ、目的が温泉だったし、そんなそんな都合良くは無さそうだ。

 

「ライデン鉱だと、ロジーさんが詳しいかもです。言ってくれれば聞きましたのに……」

荷台の2階、コルちゃんが顔を出す。

「まあ……今回は素敵な温泉に入ったから、大成功なんだけどね!この泥と苔でキルヘンベルにも温泉作りたいよね」

ソフィーの野望は膨らむ。

なんか湖底の泥の臭いが、温泉の臭い。

ってイメージも付いてしまったけれど、どうなのだろうか?

 

 

帰り道は続く。

なんてったってかなり遠い訳だし……

「今回の戦いで結構閃く事もあったんだよね……どんどん連携の密度というか……力の重なりと言うか……」

ジュリオさんがそう話し、モニカと剣術談義をする。

 

「2人でどんどん、ってのもサクサク行けるし……更に1人重ねて……」

……更にスペシャルアタックの陣形を編み出した。

 

「長旅だったけど温泉の力かな……あまり疲れてはいないね」

キルヘンベルが近づき、荷車を引くジュリオさんがそう話す。

「……いつも疲れてないじゃない……走り込みとかしてたり見廻り隊に同行してたり……」

不思議そうな顔をして、モニカが返す。

「そ、そうだよね……ははっ……」

そんな不思議なやり取りをソフィーとオスカー、レオンさんで眺める。

「……ひょっとしてジュリオ君は……なんか戦い足りないのかにゃ~?」

レオンさんがジト目を向ける。

 

「じゃあ、ソフィーもなんか作る材料が足りないみたいだしさ、キルヘンベルでちょこっと整理したら、またすぐ出発するかい?オイラもそんな疲れてないから、いいぜ」

オスカーがそう話す。

……ソフィー、モニカ、コルちゃんは時間を膨らます、ぷにちゃんの都合で平気なんだけど……

 

 

そんな話をして、朝にキルヘンベルに到着。

明日も出掛けよう!

なんて話して、ソフィーとモニカ、コルちゃんはアトリエに戻る。

そんな汚れてもいなかったので、ストリート、カフェ前で解散した。

 

 

「おかえりなさい、ソフィー……何か雰囲気が……」

「なんか臭いわ……どこに行って来たの?」

アトリエに帰ると、プラフタとエリーゼお姉ちゃんが居て、エリーゼお姉ちゃんは地底湖の泥の臭いに鼻を摘まんだ。

……街はずれの奥様方もなんか遠くに行くと思ったけど……これか……ソフィーは思う。

アトリエのコンテナに物を詰め込む都合で、荷車も引いてきた。

 

「荷車に臭いがこびりついてるよ……ねぇ……」

ソフィーは窓から、錬金荷車2号を見る。

……まあともかく、コンテナに素材を運び込む事にする。

 

 

「……あたしたちも臭うのかな……」

ソフィーもモニカもぷにちゃんに入り、そして聞いてみる。

「……臭いの記憶はあるわけだから理解はできるけど……今現在はよく分からないみたいだから、そのよく分からない感じが伝わるだけだねぇ……で、時間膨らます?」

 

相変わらずのテンション……

最近、お爺さん的な人格じゃない事が多い……

ハジケて眠り……

結構深く眠れて、やたら元気になって起きてコンテナを出た。

 

 

朝……

まるっと1日、翌朝までは錬金生活……

「おや……また山師の薬を作るのですか?」

山師の薬を仕込み出すソフィーにプラフタが問いかける。

もうストックが8個ある。

使わないし、依頼でもないのに作るのだ。

 

「ふふふ……なんかこれ作るとね、錬金術士になれた時をリフレイン出来て……初心を思い出すような……そんな気分になれるんだよね」

ソフィーは錬金釜を見つめる。

「なるほど……」

「あーっ!閃いたっ!」

ソフィーは山師の薬で万能促進剤を閃き、メモを残す。

 

「いきなり叫ぶのですね……驚きました……」

「プラフタだって、いきなり光り輝くじゃん」

そう話しながら万能促進剤レシピ構築。

そして作成……

6時間。

肥料的な物だし……と、腐ってる痛んでる素材で作ってみる。

 

「この6時間……ちょっとロジーさんの所に行ってくるね」

ソフィーは未だに作れていないシュタルメタル……

その素材のライデン鉱の話をしないと……

と、ロジーさんの武器屋に向かう事にする。

 

そんな訳でソフィーはロジーさんの武器屋に行く。

……晴れたキルヘンベル。

「おや……ソフィーさんではありませんか」

「へへ~……どうにも漬け置きタイムで、晴れたキルヘンベルだとねぇ……じっとしてられないよねぇ……」

「それは分かります。青空の下は気持ちのいいものです」

お客さんの居ないコルちゃん露店。

……午前中は皆さんお仕事に勤しんでるから、平日はこんな感じで、まったりだ。

 

「ロジーさんにライデン鉱の出所も聞かないとな~、って思ってね~」

そう言うとコルちゃんがはっ、とした顔をした。

「なんと忘れていたです!……いや、お昼に卸してる商人の方に会える筈ですから、お昼を待っていた所でした」

「あはは、やっぱりコルちゃんは顔が広いね」

「この露店スタイルは、顔を繋ぎやすいのでお気に入りです。特に雨の日は苦労人同士、話も合うもので……」

 

 

コルちゃん露店での立ち話が長くなり、アトリエに駆け戻る。

ギリギリ万能促進剤の仕上げに間に合う。

 

「あら~……効果的には頑張ってもこのクオリティーだとおもうけど……品質がもう……不良品……」

出来上がった万能促進剤を、ソフィーとプラフタで眺める。

 

「……ふむ……いや……ふむ……なぜか何か心に訴える物が……何でしょうか……」

プラフタが、ふらふらと飛び回る。

そしてまた不良品の万能促進剤へと近づき、またふらふらと飛び回る。

なんかそれを繰り返していた。

「不良品の万能促進剤がカギ……そんな記憶があるのかな?」

ソフィーはそんなプラフタを見つめる。

「何か大切な記憶を失っているようですね……そしてこの万能促進剤が……関係するのでしょうか?」

 

それからも錬金生活は続く。

その中でプラフタが光り輝き、シルヴァリアのレシピ、新しい採取地を思い出す。

だけども、粗悪品の万能促進剤は関係していなかった。

もっと……深く失った記憶なのか……

 

とにもかくにも……

もふもふモフコット改良で不思議毛布を作る計画!

「ついにあたしの毛布!作らなきゃだね!」

やる気のソフィーは、プラフタと錬金術の夜を過ごす。

 

 

「やれました!不思議毛布あたし版!」

やけにあっさりと決めて、ソフィーは夜中に騒ぎ出す。

ふわふわゼッテル……

ふわふわクロース……

と作っていたりするので、結構お手の物だった。

「あなたもかなり理解してきていますね。頼もしい限りです」

プラフタも絶賛する。

 

……そんな錬金術生活は続き……

 

朝4時……

プラフタに起こされて、今回のラスト錬金術、インゴットを仕上げる。

そしてアトリエを出る。

 

カフェに向かう途中、いつもなら居そうなモニカが居なくて、噴水広場……

そしてすんなりとストリートへと出る。

 

「皆、早いねぇ~………」

こんな早いのに、ソフィーが最後だった……

そしてコルちゃんの背を伸ばす話で盛り上がっていた。

 

「おお、ソフィーさん……青葉の丘に良質なライデン鉱があるという話を仕入れているです。今回はそちらに行こうと言う話をしていました」

コルちゃんはソフィーに気付き、そう話す。

「でも強い魔物が常に居るとの事で、なかなか覚悟の要る場所だ……と話していた所なんだよ」

ジュリオさんが言う。

……コルちゃんの背の話をしていたような……

「……減らない山師の薬がまだ10回分あります!」

ソフィーはコートに装備した山師の薬を見せる。

銀いもパワーで回復するものだから、出番がないので減っていない。

 

防具+装飾品2つ。

今やトリプル銀いもパワーが全員標準装備なのだ!

……おかげで山師の薬、出番がない。

 

「それは更に心強いわね。ジュリオ君の戦い足りないのも解決しそうだし……決まりね!」

レオンさんがウィンクする。

 

ホルストさんの依頼をそれぞれ受けて、晴れたキルヘンベルを出ると、雨が降ってきた。

 

そんな巡礼街道~メーベルト農場への道。

 

 

「で、背を伸ばす秘訣、何かあったの?」

荷車と歩き出したジュリオさんに、荷車1階のソフィーが尋ねる。

……1番背が低いのはコルちゃんだけど、やたら高いポックリで底上げしてるので、ソフィーと同じくらいの背丈。

つまりソフィーも背が低いので、気になる所だった。

「背が低い方が、可愛くていいんじゃないかって結論だったけれどね」

ジュリオさんの背中は、そう答える。

「なんだ~……モニカくらいには背が高くなりたいな~……って思ったりする時あるんだよね」

 

夜な夜な注文をこなして服を作っていたレオンさんと、夜な夜な……

何をしていたのかモニカ、いつものように2階にコルちゃんが眠っていた。

オスカーとジュリオさんと話しながら、雨だけど明るい道を行く。

 

 

青葉の丘には、夜中に到着となった。

緑プニとキメラビーストをやり過ごし、丘を登って噂の洞窟へと入る。

星空の眩しいおだやかな丘……素敵な景色。

ただ、今回の目的は洞窟の中だ。

 

 

全体的に青く光る洞窟に、所々に黒い水たまり。

その黒い水たまりに近付くと、黒いプニプニがにょきにょきと出て来て、頭を上下に振る。

「ぎゅいんぎゅいんぎゅいんぎゅいん……」

そして飛び掛かって来た。

「うわぁぁ~!なにこれぇぇぇ!?」

黒プニとの長い戦いが始まる。

フラム大先輩、レヘルン先生、クラフト御前と投げ込むもまだ生きてる。

そして黒プニの攻撃もこちらのHPバリアを大きく削る。

 

黒プニブレス、黒プニ全体プレスと、こちらの防御力を削る中、こちらは攻撃の陣形を取る。

……なんと銀いもパワーの回復が大きく、黒プニの攻撃を上回るのだ。

……どこまで凄いんだ銀いもパワー……

 

「よし!スペシャルアタックの陣形だ!」

ジュリオさんの号令で、ソフィーとコルちゃん、ジュリオさんでターゲットを囲む。

ズドドドドドド……

魔法竜巻が起こり、黒プニにダメージを与える。

そして……

ドゴン!

ソフィーとコルちゃんのブーストを受けたジュリオさんの剣が、横に地割れを起こす!

バゴン!

今度は縦に地割れが起きて大きく飛び上がると、兜割り爆発を起こして大ダメージを与える!

「生きてるしーーーー!!」

 

1度も武器を改良していないので、このパーティー……

防御力と回復力はズバ抜けてるっぽいけど、攻撃力が全くの初期のままなのだ。

とにかく攻撃力はない。

 

それでも倒せた。

銀いもパワー……強い。そしてマナの柱の力が明らかに強くなる……

「この魔物……修行には最適だね!」

ジュリオさんの目が煌めいた。

 

黒い水たまりは消えて、また違う場所に現れる。

……無限?……まさか無限?

 

 

採取生活……スペシャルアタック生活となった。

あの……蒼キノコが生えてる……黒プニが煮ると美味しい。

ライデン鉱はあまり採れないものだし、黒プニとの戦闘とスペシャルアタックが楽しくて、思わず住み着く。

荷車がぷにぷに玉で満たされて行く。

………

………

………

………

………

………一体どれほどの時間が流れたのか……

5回は食事をしたような……

ぷにゼリーも閃いた。

 

……ともかく、お目当てのライデン鉱もしこたま手に入れて、帰る事にする。荷車が満タンだ……

 

 

「明らかに強くなっていくのが判ったよ!この洞窟に入る前と今じゃ、別人ぐらいに強くなったんじゃないかな!?」

黒プニ汚れ絶望レベルまで汚れたソフィー達……

行きよりも元気に荷車を引くジュリオさんが、モニカと話す。

「ちょっとジュリオさん……眼差しが眩しい……」

ジュリオさんの眩し過ぎる笑顔に、モニカも怯む。

今回で、もういい加減武器を改良しないと……

と、課題も出来た。

レオンさんのお店もコルちゃんのお店も、ソフィーの錬金術もやる事が溜まってる訳だし……

と、次の採取の旅は、未定と決まる。

 

 

黒プニ汚れ絶望レベルのソフィー達は、キルヘンベルに戻る。

キルヘンベルは種の日……そしてお昼も過ぎていた。

 

 

「じゃあ、まずは3人で行ってくるね」

コルちゃんとモニカ、ソフィーでアトリエに入る。

「おかえりなさい、ソフィー……凄い汚れですね……」

「なんか、腐った果物の臭いがするわ……どんな危険な所に行ったの?……まあ、なら私は帰るわね」

エリーゼお姉ちゃんが遊びに来ていた。

……かなり頻繁に来ているみたいで心強いけど……

本屋さんは大丈夫なのだろうか……

ともかく、ソフィーとモニカ、コルちゃんはコンテナの中に入る。

 

 

「おかえり……服と武器、靴なんかはこちらへ……服もこれからは棚に置くといい……番人なら服も綺麗に出来るようになったのでな……」

コンテナ……

棚が左右に並ぶ場所に、コンテナの番人が並ぶ……

なんか増えてる……?

しかもこの場所……

扉まで遠くなってる……?

しかも広くなってる……?

「あれ……?ここ長くなってる?服も綺麗に出来るの?」

ソフィーは番人に尋ねる。

 

「ソフィーの力が……引き出されているからな……ここも本来の大きさを……取り戻しつつ……ある……番人も器用になってきた……」

番人は答える。

今回はぷにちゃんの人格は、お爺さんのやつみたいだ。

ともかく、ぷにちゃんの部屋へと入る。

 

「うわぁ……ぷにちゃんの部屋が大きくなってる……ぷにちゃんも大きくなってる!?」

ぷにちゃんが更に見上げる大きさになっていて、でっかくなっていた。そして口を開ける。

「本当……なんかキラキラも少し強くなってるような……」

モニカも驚き、ぷにちゃんの口の中に入る。

「青いのが強くなって……濃くなってるです……」

コルちゃんもキョロキョロしながら、まん中の舌に座る。

 

「随分と……力を解放したのだな……時間は膨らますか……?」

ぷにちゃんはいつもの質問をする。

膨らませるのをアテにして待たせてる訳だし……膨らます。

そう決めると甘い香りがして、口を開けるとすぅ~っ、とぷにちゃんが入って来る。

……3人共軽くハジケて脱力する。

 

 

膨らんだ時間が終わる時に起きて、長くなった棚の廊下で服とか着る。

全部ピッカピカになっていた。

番人ぷにぷには棚のぷにぷに玉に混じって眠っていた。

「……洗うより凄いような……」

ソフィーは下着を着る。

コルちゃんも自分の下着を見つめていた。

「……まるで新品です……」

モニカも下着を見つめる。

いつもそんな汚い訳じゃないけれど、ここまで綺麗にはならない訳だし……

衝撃だ。

衝撃の白さだ。

 

 

ともかく服を着てアトリエを出る。

いつものパターンで、オスカーとジュリオさんを待たせているし。

「では……私は露店に戻ります……」

お昼過ぎのまま、明るい空……

コルちゃんは1人帰ってゆき、ジュリオさんとモニカがアトリエに入る。

 

晴れているからか、プラフタが出て来た。

「プラフタが出てくるなんて、珍しいね!」

出て来たプラフタをソフィーがお迎えする。

「……最近はそれなりにアトリエ回りくらいは、出ているのですが……それよりも、ソフィーが居ない間に、また1つ記憶が戻りました。光り輝いてエリーゼを驚かせてしまいましたが……」

プラフタはそう言ってぱたぱたと浮かぶ。

外で浮かんでるプラフタは、なんか久しぶりだ。

 

「おお~っ!どんな記憶が?」

ソフィーは喜び、尋ねる。

何故か錬金術が進むと戻って行くプラフタの記憶。

「私の居たアトリエについてです……とはいえ、ぼんやりと思い出しただけで、何処にあるのかも分からないのですが……」

プラフタはそう話す。

それと新しい採取地を思い出していた。

やたら冒険をしていたのだろうか?

……まあ素材事情的に、冒険しないと錬金術も進まないから……

錬金術士時代のプラフタも、冒険していたのだろう……

 

 

そんな話をしていたら、モニカとジュリオさんが出て来た。

「ありがとう。綺麗になったよ………」

「いえいえ、また宜しくお願いします、ジュリオさん」

いつもの挨拶を交わして、モニカとジュリオさんは帰って行く。

ソフィーとオスカーは、その後ろ姿を見送った。

「ソフィー?」

プラフタはドアを前に、動かない2人に声を掛けた。

 

 




ここには、ゲームには無い、勝手に付け加えた設定を書いておく所。

[錬金荷車2号]
遂に始動!眠りながら移動する事にも適した、マナフェザーの力で重さカットの不思議荷車。重さが33%カット。しかも更に車輪にも秘密が………!

[錬金毛布、ふわふわモフコット]
もふもふモフコットとも呼ぶ。不思議毛布と同じように汚れを吸い取り、水で流すと汚れを吐き出す。

[荷車で眠る]
ふわふわモフコットも装備しており、初期井戸水も積んだり出来て、寝心地も良くなった。交代で眠る旅の道。

[手網]
白い芋虫が吐き出すという、絹縒り糸で作られた、少しお高い網。つい最近、オスカーが商人から購入したみたい。

[免罪符]
商人の人なら持ち歩いているお札。キルヘンベルの教会では作られていない。

[逃げ帰る島魚]
やられた~って顔をして水に帰る。そしてまた元気になると、遊んで~って感じで襲って来る。恐ろしい子。

[粘土岩の洞窟温泉]
腐った何かの匂い。慣れるまでがちょっとツライ。

[お猿]
コルちゃんよりも小さいお猿さん。でも温泉に残っておっぱい触ってるのはボス猿みたいで、ソフィーと同じくらいの大きさ。凄く人懐っこい。

[湖由来の品]
お魚とカニ、そしてもぞもぞ緑。色々と依頼の品があったりする。

[剣術談義]
ジュリオさんとモニカが、隊列とか攻撃のタイミングとか、色々と練っていたり。

[黒い水たまり]
黒プニが獲物を狙う姿勢なのか、寝ているだけなのか……

[黒プニ汚れ絶望レベル]
もはやあたしが……あたしが黒プニだ!

[大きくなったコンテナ]
ぷにちゃんの力を覚醒させると、なんとコンテナの中まで広く……!謎空間過ぎる。

[大きくなったぷにちゃん]
ぷにちゃんまで大きくなった!

[番人ぷにちゃんが洗濯も出来る]
番人ぷにちゃんは、前から服の汚れを食べたくて技術を磨いていた模様。ミクロの汚れまでしゃぶり尽くす事に成功!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。