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錬金術のアトリエ 17
この日の雷雨はなんか長く続く。
そんな中、ソフィーのパーティーは、新しい2階建て荷車……
錬金荷車2号と、キルヘンベルを出る。
今回は遠征。
かなり遠い場所へと向かう。
「乗り心地……凄くいいです!」
荷車1階に乗るコルちゃんが、横を歩くレオンさんに言う。
乗る用に錬金毛布、ふわふわモフコットも完全装備!
「なんか、猫みたいねぇ……」
レオンさんはそんなコルちゃんを眺めて、そう言って笑う。
「あたしも!あたしもコルちゃんに癒されたい!」
荷車に乗り込んだソフィーが、コルちゃんに抱きつく。
「うおぉ!あまりどったんばったんすると、ジュリオさんに怒られます!」
寝技に巧みなコルちゃんは、素早く足を開き、ソフィーを足で捕まえる。
「あははっ!そこ反則だから!も~っ!はははっ!はあぁ~っ!」
そしてくすぐられるソフィー。
「うん、安定感抜群だね。これくらいじゃ車輪が沈むくらいで何ともないよ」
ジュリオさんは隣のモニカにそう話す。
「も~……はしゃぎすぎじゃない?」
モニカはうねうねしてる、ずぶ濡れソフィーとコルちゃんに振り返る。
巡礼街道~メーベルト農場……
さすがに昼には……
未だに雷雨が降っていた……
「もう……ずぶ濡れよぉぉ……」
荷車を引くレオンさんがこぼす。
「まあ、冷たい雨じゃないけど、火が起こせないからなぁ……さすがに昼食にできないなぁ……」
荷車1階のオスカーが顔を出す。
「だから……僕が引くよって……」
荷車の横を、ずぶ濡れで歩くジュリオさんが言う。
荷車乗らない派だ。モニカも強く勧められたのに、荷車の横をずぶ濡れで歩いてる。
荷車2階のコルちゃんはすやすや寝てるし……
ソフィーは1階で後ろを見てた。
「私はすぐ太っちゃうのよ……それに遠征の企画は私だからね!……頑張らないと!」
レオンさんに気合いが入る。
そしてメーベルト農場~三つ子橋の泉
この長い区間で夜になり、雨も弱くなった。
「ふふふ……私も荷車引いてみたかったです……思ったより軽いんですね……」
コルちゃんが荷車を引いて、その隣をソフィーが歩く。
寝れる強みを殺す事もないし……
ジュリオさんとモニカ、レオンさんは荷車で眠る。
ちょこっと調合品、もふもふモフコット大活躍だ。
「昼ごはん遅かったからなぁ……まだお腹減らないや……」
荷車の横を歩くオスカーが呟く。
「そうだね~……あたしもまだかなぁ……」
オスカーの反対側、ソフィーが言う。
コルちゃんが荷車を引いて、ソフィーとオスカーで押してたりする感じ。
「なんか、ソフィーに食事の心配しなくて良くなったよなぁ……いい感じで太って……まだ細いけどな……」
オスカーは荷車に手を掛けて、何となくコルちゃんの後ろ姿を眺めて話す。
「この辺り、美味しいもの無いのです?」
コルちゃんが振り向き、また前に顔を戻す。
「ここまで来たら、三つ子橋の泉で魚だろ?あの手網は、枕じゃないんだぞ?」
オスカーは1階で眠るレオンさんを見る。
モフコットに手網を乗せて、なぜか網を枕にしてる。
「あはは、眠るレオンさん、可愛い~」
パーティーは旅を進める。
そして三つ子橋の泉~朝凪のほとり……
夜中3時に到着となった。
雨上がりで、星明かりが一際眩しい……
景色の美しい場所……
時折妙な臭いがする。
「湖底の土の臭いだな……」
オスカーが地面の粘土の欠片を手に、臭いを嗅ぐ。
何かが腐ったような臭い……
でも湖からはさわやかな水の香り、そして緑の匂い……
そんなさわやかな空間に、変な匂いが混じってる所。
「なんか……不思議な場所だね……」
ソフィーも辺りを見る。
目的地だし、夕食からは皆して起きて、そんな景色にため息をつく。
「旅は止められないね。キルヘンベルも面白い事が多いのだけれど……こんな景色に、旅をして良かった、と思わずにいられない」
ジュリオさんが、ソフィーの隣で微笑んで語り出す。
星の眩しさに、やたら幻想的な景色のせいもあって。
ソフィーもなんだかしみじみとした気持ちになる。
そして採取生活をする。
赤プニ4匹がやたらぷにんぷにんしてる……
弾力が今までよりも凄そうだ。
凄そうなので防御陣形でレヘルン先生、クラフト御前を投げ込む。
……なんと!
レヘルン先生、クラフト御前を耐えた上で襲って来る。
ただ、こちらの防御力と銀いも回復が、更に強化された事。
更に防御陣形でコルちゃん大活躍!
……により、被害はほぼない。
それと、さすがに爆弾2発は効いてはいたようで、少し叩くと倒せた。
「本当に……ぷにちゃんの力が無かったらやばすぎるね……」
赤プニ汚れのひどいコルちゃんを見て、ソフィーは呟く。
「そうね。でも他の人ってどうしてるのかしら?」
モニカは疑問に思う。
でも、かなり大量にぷにちゃんが作られたみたいだから……
この力はそれほど特別、でもないのかも知れない。
「商人の皆さんは……免罪符を使ってるそうです。お隣の国で配られるお札で、街道で魔物と出くわした時に使うと……魔物は酔っぱらったような感じでフラフラして、街道から離れてくれる……らしいです」
コルちゃんはそう話す。
「教会のお札?」
ソフィーが尋ねる。
なんかちょこっと聞いた事があるような……?
「はい。キルヘンベルには免罪符がありませんが……パメラさんの作る謎めいたお札も、元々は効力を失った免罪符のようです」
商人事情なので、なんかコルちゃんが詳しかった。
街道には魔物を弱体化させる魔力が込められており、免罪符で追い散らす事も出来るそうだ。
なので、街道を外れてしまうと免罪符は効果を発揮できなくなる。
それからも島魚、一本角と戦闘になる。
どちらも陸に上がった巨大魚……
ゾウみたいな短い足が生えている。
攻撃陣形でポカポカ叩き、倒すまでポカポカ叩く。
そして魚を追い払う。
……朝食に、逃げ帰る島魚が残すヒレと、赤プニを煮て食べる。
そんな採取生活………
「凄い!前に食べたやつより美味しい!甘い!」
ソフィーとモニカが喜んで食べているが、コルちゃんとオスカー、レオンさんとジュリオさんは島魚のヒレの煮物を食べてる。
島魚、一本角はある程度攻撃すると逃げる。
……倒したとはいえ、殺してる訳ではなく、単に居なくなるのだが、ヒレがぽろっと取れる。
そして生え変わる。
同じ島魚、一本角が、懲りもせずに人間に襲いかかる……
と、いうよりじゃれついて来るらしい。
「遊んで遊んでーーーー!!」って感じで来るのだ。
可愛いのだが、危険な生き物である。
そのヒレを食べるレオンさんは思う。
……食事に赤プニは……
スウィートでフルーティー過ぎて……
ないわー……と。
……でも島魚のヒレは……
珍味な感じで、おじさん好みなんだけど……
なんと両極端な……
試される食事なのだろうか……
「コルちゃんも赤プニ美味しいよね?」
ニッコニコのソフィーとモニカと、いつの間にやらコルちゃんも赤プニ食べていた。
……なるほどデザートか……
レオンさんは目を光らせる。
「私も、もう1回食べてみようかナ~……」
「あ。レオンさんもどうぞ?」
モニカに器を渡され、レオンさんはひと口食べる。
……うっ
……甘過ぎる温か過ぎる……
コル助……なぜ食える……
そしてレオンさんは、島魚へと戻って行った。
今回、同一人物(?)の島魚と一本角のペアに3回絡まれた。
そんな採取生活の果てに……
遂に粘土岩的な洞窟を発見し、話に聞いた温泉を見つけた!
「凄い臭い……」
粘土岩が臭う……
それで出来てるのだから……
空気がもう、それなのだ。
魔物も近寄って来ない。
赤プニ君……
臭いわかるのか………
「この臭いが……身体の中まで綺麗にしてくれるそうよ?その商人の人が言ってたわ。その人は温泉入ってから、病気した事が無いって」
レオンさんがその洞窟を見つめる。
かなりデカい洞窟だけど、すぐに行き止まり。
青白く光っていて……
……臭い……
「皆!温泉に……入るわよっ!」
レオンさんを先頭に、採取品でそこそこ賑わってきた荷車も洞窟に入る。
温かい湯気が洞窟内に満ち満ちている。
……本当に温泉みたいで……
ソフィーの心臓も高鳴る。
「おおっ!温泉でかいっ!猿が入ってるな……」
なだらかな窪みに、広くお湯に満たされている湯気に満ちた場所。
そこに小さな猿が数十匹居て、オスカーが声を出すと奥の方に消えて行った。
「ふふふ……1番乗りです♪」
いつの間にか水着に着替えたコルちゃんが、オスカーの後ろにぴったり着いた。
「あーっ!あたしもあたしも♪」
ソフィーも服を脱いで水着を探す。
「もーっ!あなた達相変わらず早いわね!なんでそうあっさり服脱げるのよ!?」
レオンさんも服を脱ぎにかかるが、構造的にソフィーのが早い。
……あんまり堂々と脱ぎ出して、ジュリオさんは後ろを向いた。
「うん、安全な水だな。猿が入ってたから、安全だろうけど、一応な」
オスカーのお墨付きが出て、コルちゃんとソフィー、レオンさんが入り、モニカはオスカーを見る。
なぜか温泉とは反対へと歩いて行く。
……水着も着替えてないし。
そして眺めていると、オスカーは離れた場所で壁を探していた……
「皆、自由よねぇ……」
ジュリオさんと笑い合って、モニカも着替える。
「おおおおおおお……」
「ほおおおおぉぉぉ……」
熱めのお湯に、ソフィーとコルちゃんが仲良く震えて、変な声を出していた。
「もーっ!これよこれーーーーっ!」
レオンさんは満面の笑顔で身体を伸ばす。
結構浅い温泉で、少し寝た感じにならないと肩まで浸かれない。
「オスカー!膝枕~♪……あれ?」
ソフィーは立ち上がりオスカーを探す。
「なんか植物探ししてたわよ。湯気で見えないけど……あの辺りに居たわ……」
モニカが湯気を指差す。
……まあ……
湯気しか見えないけど、ぼんやりと……
モノクログラスの力で人影が分かる。
……凄く壁を見つめて、探っているので呼びに行く。
「……何か見つけたの?」
黄色い水着のソフィーがオスカーに近付く。
「おお。見ろよこれ……こんな場所で、粘土と同じ灰色の苔がさ、こんなに……しかも人間が来てはしゃいでてさ……可愛いんだよ……」
ふわふわしてる部分と、そうでない部分があって、ふわふわしてるのは苔のようだった。
「でも、あんまりそこに居るとあたし達のぼせちゃうよ?」
ソフィーはオスカーのほっぺたをつんつんする。
「そうか……すっかり夢中になっちゃったな。オイラも行くよ」
オスカーを連れて行くと、コルちゃんとレオンさんの間に、やたら……いやらしい表情の猿が2匹居た。
「お猿さん、可愛いです……」
コルちゃんは、そんなお猿を撫でる。
「もー、ここの温泉最高よ~♪」
2人はお猿に夢中……
モニカとジュリオさんも、なんかいい雰囲気で……
「オイラは猿を驚かしちゃうから、近づかないでおくかな」
……ソフィーもお猿の所へ行き、モニカも来た。
そして、とても素敵な温泉を楽しんだ。
「今回、最高に楽しかったけど、ライデン鉱って無いなぁ……」
帰り道、ソフィーは未だに作れていない、シュタルメタルを思う。
今回は地底湖の泥、地底湖の苔、湖由来の品……
と、豊作ではあるけれど、目的の鉱石は……
まあ、目的が温泉だったし、そんなそんな都合良くは無さそうだ。
「ライデン鉱だと、ロジーさんが詳しいかもです。言ってくれれば聞きましたのに……」
荷台の2階、コルちゃんが顔を出す。
「まあ……今回は素敵な温泉に入ったから、大成功なんだけどね!この泥と苔でキルヘンベルにも温泉作りたいよね」
ソフィーの野望は膨らむ。
なんか湖底の泥の臭いが、温泉の臭い。
ってイメージも付いてしまったけれど、どうなのだろうか?
帰り道は続く。
なんてったってかなり遠い訳だし……
「今回の戦いで結構閃く事もあったんだよね……どんどん連携の密度というか……力の重なりと言うか……」
ジュリオさんがそう話し、モニカと剣術談義をする。
「2人でどんどん、ってのもサクサク行けるし……更に1人重ねて……」
……更にスペシャルアタックの陣形を編み出した。
「長旅だったけど温泉の力かな……あまり疲れてはいないね」
キルヘンベルが近づき、荷車を引くジュリオさんがそう話す。
「……いつも疲れてないじゃない……走り込みとかしてたり見廻り隊に同行してたり……」
不思議そうな顔をして、モニカが返す。
「そ、そうだよね……ははっ……」
そんな不思議なやり取りをソフィーとオスカー、レオンさんで眺める。
「……ひょっとしてジュリオ君は……なんか戦い足りないのかにゃ~?」
レオンさんがジト目を向ける。
「じゃあ、ソフィーもなんか作る材料が足りないみたいだしさ、キルヘンベルでちょこっと整理したら、またすぐ出発するかい?オイラもそんな疲れてないから、いいぜ」
オスカーがそう話す。
……ソフィー、モニカ、コルちゃんは時間を膨らます、ぷにちゃんの都合で平気なんだけど……
そんな話をして、朝にキルヘンベルに到着。
明日も出掛けよう!
なんて話して、ソフィーとモニカ、コルちゃんはアトリエに戻る。
そんな汚れてもいなかったので、ストリート、カフェ前で解散した。
「おかえりなさい、ソフィー……何か雰囲気が……」
「なんか臭いわ……どこに行って来たの?」
アトリエに帰ると、プラフタとエリーゼお姉ちゃんが居て、エリーゼお姉ちゃんは地底湖の泥の臭いに鼻を摘まんだ。
……街はずれの奥様方もなんか遠くに行くと思ったけど……これか……ソフィーは思う。
アトリエのコンテナに物を詰め込む都合で、荷車も引いてきた。
「荷車に臭いがこびりついてるよ……ねぇ……」
ソフィーは窓から、錬金荷車2号を見る。
……まあともかく、コンテナに素材を運び込む事にする。
「……あたしたちも臭うのかな……」
ソフィーもモニカもぷにちゃんに入り、そして聞いてみる。
「……臭いの記憶はあるわけだから理解はできるけど……今現在はよく分からないみたいだから、そのよく分からない感じが伝わるだけだねぇ……で、時間膨らます?」
相変わらずのテンション……
最近、お爺さん的な人格じゃない事が多い……
ハジケて眠り……
結構深く眠れて、やたら元気になって起きてコンテナを出た。
朝……
まるっと1日、翌朝までは錬金生活……
「おや……また山師の薬を作るのですか?」
山師の薬を仕込み出すソフィーにプラフタが問いかける。
もうストックが8個ある。
使わないし、依頼でもないのに作るのだ。
「ふふふ……なんかこれ作るとね、錬金術士になれた時をリフレイン出来て……初心を思い出すような……そんな気分になれるんだよね」
ソフィーは錬金釜を見つめる。
「なるほど……」
「あーっ!閃いたっ!」
ソフィーは山師の薬で万能促進剤を閃き、メモを残す。
「いきなり叫ぶのですね……驚きました……」
「プラフタだって、いきなり光り輝くじゃん」
そう話しながら万能促進剤レシピ構築。
そして作成……
6時間。
肥料的な物だし……と、腐ってる痛んでる素材で作ってみる。
「この6時間……ちょっとロジーさんの所に行ってくるね」
ソフィーは未だに作れていないシュタルメタル……
その素材のライデン鉱の話をしないと……
と、ロジーさんの武器屋に向かう事にする。
そんな訳でソフィーはロジーさんの武器屋に行く。
……晴れたキルヘンベル。
「おや……ソフィーさんではありませんか」
「へへ~……どうにも漬け置きタイムで、晴れたキルヘンベルだとねぇ……じっとしてられないよねぇ……」
「それは分かります。青空の下は気持ちのいいものです」
お客さんの居ないコルちゃん露店。
……午前中は皆さんお仕事に勤しんでるから、平日はこんな感じで、まったりだ。
「ロジーさんにライデン鉱の出所も聞かないとな~、って思ってね~」
そう言うとコルちゃんがはっ、とした顔をした。
「なんと忘れていたです!……いや、お昼に卸してる商人の方に会える筈ですから、お昼を待っていた所でした」
「あはは、やっぱりコルちゃんは顔が広いね」
「この露店スタイルは、顔を繋ぎやすいのでお気に入りです。特に雨の日は苦労人同士、話も合うもので……」
コルちゃん露店での立ち話が長くなり、アトリエに駆け戻る。
ギリギリ万能促進剤の仕上げに間に合う。
「あら~……効果的には頑張ってもこのクオリティーだとおもうけど……品質がもう……不良品……」
出来上がった万能促進剤を、ソフィーとプラフタで眺める。
「……ふむ……いや……ふむ……なぜか何か心に訴える物が……何でしょうか……」
プラフタが、ふらふらと飛び回る。
そしてまた不良品の万能促進剤へと近づき、またふらふらと飛び回る。
なんかそれを繰り返していた。
「不良品の万能促進剤がカギ……そんな記憶があるのかな?」
ソフィーはそんなプラフタを見つめる。
「何か大切な記憶を失っているようですね……そしてこの万能促進剤が……関係するのでしょうか?」
それからも錬金生活は続く。
その中でプラフタが光り輝き、シルヴァリアのレシピ、新しい採取地を思い出す。
だけども、粗悪品の万能促進剤は関係していなかった。
もっと……深く失った記憶なのか……
とにもかくにも……
もふもふモフコット改良で不思議毛布を作る計画!
「ついにあたしの毛布!作らなきゃだね!」
やる気のソフィーは、プラフタと錬金術の夜を過ごす。
「やれました!不思議毛布あたし版!」
やけにあっさりと決めて、ソフィーは夜中に騒ぎ出す。
ふわふわゼッテル……
ふわふわクロース……
と作っていたりするので、結構お手の物だった。
「あなたもかなり理解してきていますね。頼もしい限りです」
プラフタも絶賛する。
……そんな錬金術生活は続き……
朝4時……
プラフタに起こされて、今回のラスト錬金術、インゴットを仕上げる。
そしてアトリエを出る。
カフェに向かう途中、いつもなら居そうなモニカが居なくて、噴水広場……
そしてすんなりとストリートへと出る。
「皆、早いねぇ~………」
こんな早いのに、ソフィーが最後だった……
そしてコルちゃんの背を伸ばす話で盛り上がっていた。
「おお、ソフィーさん……青葉の丘に良質なライデン鉱があるという話を仕入れているです。今回はそちらに行こうと言う話をしていました」
コルちゃんはソフィーに気付き、そう話す。
「でも強い魔物が常に居るとの事で、なかなか覚悟の要る場所だ……と話していた所なんだよ」
ジュリオさんが言う。
……コルちゃんの背の話をしていたような……
「……減らない山師の薬がまだ10回分あります!」
ソフィーはコートに装備した山師の薬を見せる。
銀いもパワーで回復するものだから、出番がないので減っていない。
防具+装飾品2つ。
今やトリプル銀いもパワーが全員標準装備なのだ!
……おかげで山師の薬、出番がない。
「それは更に心強いわね。ジュリオ君の戦い足りないのも解決しそうだし……決まりね!」
レオンさんがウィンクする。
ホルストさんの依頼をそれぞれ受けて、晴れたキルヘンベルを出ると、雨が降ってきた。
そんな巡礼街道~メーベルト農場への道。
「で、背を伸ばす秘訣、何かあったの?」
荷車と歩き出したジュリオさんに、荷車1階のソフィーが尋ねる。
……1番背が低いのはコルちゃんだけど、やたら高いポックリで底上げしてるので、ソフィーと同じくらいの背丈。
つまりソフィーも背が低いので、気になる所だった。
「背が低い方が、可愛くていいんじゃないかって結論だったけれどね」
ジュリオさんの背中は、そう答える。
「なんだ~……モニカくらいには背が高くなりたいな~……って思ったりする時あるんだよね」
夜な夜な注文をこなして服を作っていたレオンさんと、夜な夜な……
何をしていたのかモニカ、いつものように2階にコルちゃんが眠っていた。
オスカーとジュリオさんと話しながら、雨だけど明るい道を行く。
青葉の丘には、夜中に到着となった。
緑プニとキメラビーストをやり過ごし、丘を登って噂の洞窟へと入る。
星空の眩しいおだやかな丘……素敵な景色。
ただ、今回の目的は洞窟の中だ。
全体的に青く光る洞窟に、所々に黒い水たまり。
その黒い水たまりに近付くと、黒いプニプニがにょきにょきと出て来て、頭を上下に振る。
「ぎゅいんぎゅいんぎゅいんぎゅいん……」
そして飛び掛かって来た。
「うわぁぁ~!なにこれぇぇぇ!?」
黒プニとの長い戦いが始まる。
フラム大先輩、レヘルン先生、クラフト御前と投げ込むもまだ生きてる。
そして黒プニの攻撃もこちらのHPバリアを大きく削る。
黒プニブレス、黒プニ全体プレスと、こちらの防御力を削る中、こちらは攻撃の陣形を取る。
……なんと銀いもパワーの回復が大きく、黒プニの攻撃を上回るのだ。
……どこまで凄いんだ銀いもパワー……
「よし!スペシャルアタックの陣形だ!」
ジュリオさんの号令で、ソフィーとコルちゃん、ジュリオさんでターゲットを囲む。
ズドドドドドド……
魔法竜巻が起こり、黒プニにダメージを与える。
そして……
ドゴン!
ソフィーとコルちゃんのブーストを受けたジュリオさんの剣が、横に地割れを起こす!
バゴン!
今度は縦に地割れが起きて大きく飛び上がると、兜割り爆発を起こして大ダメージを与える!
「生きてるしーーーー!!」
1度も武器を改良していないので、このパーティー……
防御力と回復力はズバ抜けてるっぽいけど、攻撃力が全くの初期のままなのだ。
とにかく攻撃力はない。
それでも倒せた。
銀いもパワー……強い。そしてマナの柱の力が明らかに強くなる……
「この魔物……修行には最適だね!」
ジュリオさんの目が煌めいた。
黒い水たまりは消えて、また違う場所に現れる。
……無限?……まさか無限?
採取生活……スペシャルアタック生活となった。
あの……蒼キノコが生えてる……黒プニが煮ると美味しい。
ライデン鉱はあまり採れないものだし、黒プニとの戦闘とスペシャルアタックが楽しくて、思わず住み着く。
荷車がぷにぷに玉で満たされて行く。
………
………
………
………
………
………一体どれほどの時間が流れたのか……
5回は食事をしたような……
ぷにゼリーも閃いた。
……ともかく、お目当てのライデン鉱もしこたま手に入れて、帰る事にする。荷車が満タンだ……
「明らかに強くなっていくのが判ったよ!この洞窟に入る前と今じゃ、別人ぐらいに強くなったんじゃないかな!?」
黒プニ汚れ絶望レベルまで汚れたソフィー達……
行きよりも元気に荷車を引くジュリオさんが、モニカと話す。
「ちょっとジュリオさん……眼差しが眩しい……」
ジュリオさんの眩し過ぎる笑顔に、モニカも怯む。
今回で、もういい加減武器を改良しないと……
と、課題も出来た。
レオンさんのお店もコルちゃんのお店も、ソフィーの錬金術もやる事が溜まってる訳だし……
と、次の採取の旅は、未定と決まる。
黒プニ汚れ絶望レベルのソフィー達は、キルヘンベルに戻る。
キルヘンベルは種の日……そしてお昼も過ぎていた。
「じゃあ、まずは3人で行ってくるね」
コルちゃんとモニカ、ソフィーでアトリエに入る。
「おかえりなさい、ソフィー……凄い汚れですね……」
「なんか、腐った果物の臭いがするわ……どんな危険な所に行ったの?……まあ、なら私は帰るわね」
エリーゼお姉ちゃんが遊びに来ていた。
……かなり頻繁に来ているみたいで心強いけど……
本屋さんは大丈夫なのだろうか……
ともかく、ソフィーとモニカ、コルちゃんはコンテナの中に入る。
「おかえり……服と武器、靴なんかはこちらへ……服もこれからは棚に置くといい……番人なら服も綺麗に出来るようになったのでな……」
コンテナ……
棚が左右に並ぶ場所に、コンテナの番人が並ぶ……
なんか増えてる……?
しかもこの場所……
扉まで遠くなってる……?
しかも広くなってる……?
「あれ……?ここ長くなってる?服も綺麗に出来るの?」
ソフィーは番人に尋ねる。
「ソフィーの力が……引き出されているからな……ここも本来の大きさを……取り戻しつつ……ある……番人も器用になってきた……」
番人は答える。
今回はぷにちゃんの人格は、お爺さんのやつみたいだ。
ともかく、ぷにちゃんの部屋へと入る。
「うわぁ……ぷにちゃんの部屋が大きくなってる……ぷにちゃんも大きくなってる!?」
ぷにちゃんが更に見上げる大きさになっていて、でっかくなっていた。そして口を開ける。
「本当……なんかキラキラも少し強くなってるような……」
モニカも驚き、ぷにちゃんの口の中に入る。
「青いのが強くなって……濃くなってるです……」
コルちゃんもキョロキョロしながら、まん中の舌に座る。
「随分と……力を解放したのだな……時間は膨らますか……?」
ぷにちゃんはいつもの質問をする。
膨らませるのをアテにして待たせてる訳だし……膨らます。
そう決めると甘い香りがして、口を開けるとすぅ~っ、とぷにちゃんが入って来る。
……3人共軽くハジケて脱力する。
膨らんだ時間が終わる時に起きて、長くなった棚の廊下で服とか着る。
全部ピッカピカになっていた。
番人ぷにぷには棚のぷにぷに玉に混じって眠っていた。
「……洗うより凄いような……」
ソフィーは下着を着る。
コルちゃんも自分の下着を見つめていた。
「……まるで新品です……」
モニカも下着を見つめる。
いつもそんな汚い訳じゃないけれど、ここまで綺麗にはならない訳だし……
衝撃だ。
衝撃の白さだ。
ともかく服を着てアトリエを出る。
いつものパターンで、オスカーとジュリオさんを待たせているし。
「では……私は露店に戻ります……」
お昼過ぎのまま、明るい空……
コルちゃんは1人帰ってゆき、ジュリオさんとモニカがアトリエに入る。
晴れているからか、プラフタが出て来た。
「プラフタが出てくるなんて、珍しいね!」
出て来たプラフタをソフィーがお迎えする。
「……最近はそれなりにアトリエ回りくらいは、出ているのですが……それよりも、ソフィーが居ない間に、また1つ記憶が戻りました。光り輝いてエリーゼを驚かせてしまいましたが……」
プラフタはそう言ってぱたぱたと浮かぶ。
外で浮かんでるプラフタは、なんか久しぶりだ。
「おお~っ!どんな記憶が?」
ソフィーは喜び、尋ねる。
何故か錬金術が進むと戻って行くプラフタの記憶。
「私の居たアトリエについてです……とはいえ、ぼんやりと思い出しただけで、何処にあるのかも分からないのですが……」
プラフタはそう話す。
それと新しい採取地を思い出していた。
やたら冒険をしていたのだろうか?
……まあ素材事情的に、冒険しないと錬金術も進まないから……
錬金術士時代のプラフタも、冒険していたのだろう……
そんな話をしていたら、モニカとジュリオさんが出て来た。
「ありがとう。綺麗になったよ………」
「いえいえ、また宜しくお願いします、ジュリオさん」
いつもの挨拶を交わして、モニカとジュリオさんは帰って行く。
ソフィーとオスカーは、その後ろ姿を見送った。
「ソフィー?」
プラフタはドアを前に、動かない2人に声を掛けた。
ここには、ゲームには無い、勝手に付け加えた設定を書いておく所。
[錬金荷車2号]
遂に始動!眠りながら移動する事にも適した、マナフェザーの力で重さカットの不思議荷車。重さが33%カット。しかも更に車輪にも秘密が………!
[錬金毛布、ふわふわモフコット]
もふもふモフコットとも呼ぶ。不思議毛布と同じように汚れを吸い取り、水で流すと汚れを吐き出す。
[荷車で眠る]
ふわふわモフコットも装備しており、初期井戸水も積んだり出来て、寝心地も良くなった。交代で眠る旅の道。
[手網]
白い芋虫が吐き出すという、絹縒り糸で作られた、少しお高い網。つい最近、オスカーが商人から購入したみたい。
[免罪符]
商人の人なら持ち歩いているお札。キルヘンベルの教会では作られていない。
[逃げ帰る島魚]
やられた~って顔をして水に帰る。そしてまた元気になると、遊んで~って感じで襲って来る。恐ろしい子。
[粘土岩の洞窟温泉]
腐った何かの匂い。慣れるまでがちょっとツライ。
[お猿]
コルちゃんよりも小さいお猿さん。でも温泉に残っておっぱい触ってるのはボス猿みたいで、ソフィーと同じくらいの大きさ。凄く人懐っこい。
[湖由来の品]
お魚とカニ、そしてもぞもぞ緑。色々と依頼の品があったりする。
[剣術談義]
ジュリオさんとモニカが、隊列とか攻撃のタイミングとか、色々と練っていたり。
[黒い水たまり]
黒プニが獲物を狙う姿勢なのか、寝ているだけなのか……
[黒プニ汚れ絶望レベル]
もはやあたしが……あたしが黒プニだ!
[大きくなったコンテナ]
ぷにちゃんの力を覚醒させると、なんとコンテナの中まで広く……!謎空間過ぎる。
[大きくなったぷにちゃん]
ぷにちゃんまで大きくなった!
[番人ぷにちゃんが洗濯も出来る]
番人ぷにちゃんは、前から服の汚れを食べたくて技術を磨いていた模様。ミクロの汚れまでしゃぶり尽くす事に成功!