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錬金術のアトリエ 18
「さて……何日、休みになるのかしらね?」
ソフィーのアトリエのある山を降りるモニカが、隣のジュリオに声を掛ける。
「レオンの仕立屋が忙しいみたいだから……どうかな」
ジュリオはそう呟く。
「私はイエの方を見てくるわ。ジュリオさんは?」
モニカは言う。
モニカの家は気のいいおばさんとの2人暮らしで、そちらは「うち」と呼び……
新しくホルストに手配してもらったジュリオの家を、「イエ」と呼んでいた。
「本屋で調べたい事があるかな。バーニィに挨拶して何も無ければ……だけどね」
ジュリオは言う。
真面目な男だ……
でもバーニィは、いつも教会には居ない。
そして小高い山を降りると、街はずれと教会へと別れた。
……石畳の様子が変わる。そんなキルヘンベル裏市街……
キチッとした……
しかもやたらピッカピカになった服が浮いていて、気になる。
そう思ったら、向かいからバーニィさんと護衛の騎士2人がやって来た。
「あ。バーニィさんこんにちは」
何となく助かった気分になって挨拶する。
子供達の仕事の見回りをしている所だろう。
子供を働かせていて、感じ悪い人だと思っていたけれど、その働き先への口利きや、子供達の安全を担保する為に、見回りをしていたり……
最近は見直しているけど、愛想の無い人だ。
「こんにちは、モニカ」
バーニィさんはひょい、と手を上げて応じた。
挨拶したのは騎士の人……
最近はいつもそうだ。
……昔はもっと気さくだったのだけど。
そして通り過ぎて行く。
もう夕方に向けての準備……そんな時間だ。
そして裏市街の奥へと入る。
……冒険者が6人向かって来て、モニカは道の端に寄り、隙を見せない構えで止まる。
汗の臭いがやたらとして、見慣れない冒険者だと思って見送る。
見慣れない冒険者も、道の端に避けてモニカを眺め、通り過ぎて行く。
そして騎士の見回り組3人……
と色々すれ違いながら辿り着く、今まで空き家だった家……
この辺りは、ガラの悪い冒険者の住み処となっている区域だ。
ジュリオとの愛の巣……
と心弾ませたのも束の間、現実とはなかなか苦いものだ……
モニカはそう思う。
ともかく、モニカは家に入る。
少し古いけれどなかなか広く、職人のおじさんは良くしてくれて、補修の行き届いた家。
「うわぁ~……」
コルネリアに頼んだ大きなベッドは、もう運び込まれていた。
モニカ好みの布団まで……
コルネリア親衛隊の仕事は、いつも早い。
……ちょっと高いのだけど……
モニカは感嘆の声を上げて大きなベッドを撫でる。
確か布団2つ重ねで、下はジュリオ好みの、灰色一色の味気ない柄。
ベッドに座り、回りを見る。
木材剥き出しの補修壁に床……
灰色のカーテンに古いオイルランプ……
寂しい部屋……
このベッドだけが浮いてる。
モニカは掃除をする。
なんか砂埃がよく溜まるので、そうしないと落ち着かないのだ。
ジュリオ的には、こうした環境に慣れているのであまり気にならないみたいだけど、そう言いながらも掃除はしていた。
……ソフィーのアトリエが特別なのだ。
あの家は山の上にあって人が居ない。
昼間に井戸の番人、ウメさんが来るだけだ。
それにマナの柱が地下に住んでいるからか、埃とか無い。
……一時期ダークマター工場だったし、いつも本が散らかってるしで……
そんな綺麗なイメージも無いのだけれど。
……なお、裏市街の冒険者的には、未だにあの山の上の謎屋敷(ソフィーのアトリエ)は、悪臭放つダークマター工場だと思われている。
あんな山を好き好んで登る人も居ない。
ともかく、モニカのイエは、ソフィーのアトリエと比べると華やかさがまるでない。
あちらはあちらで灯りが消えない為、暗くならないと言う欠点はあるけれど。
……ソフィーって、明るい所でオスカーと絡み合ってるんだよな……
モニカは、ふと思う。
まあ、ソフィー的にはアリなのだろう。
恥ずかしいとか、むしろ気持ちいいみたいだし。
そしてヴァルム教会、噴水広場へと戻る。
夕食……
また外食で良いものだろうか……
以前よりも明らかにカネ遣いが荒いものだから不安になる。
日が沈む……
そんな少し寂しい時間。
まだ本屋は開いていたりするから……
と考えながら噴水広場で噴水を眺めていたら、エルノアが通りかかった。
「あらモニカ……今日はお家で食べる?」
エルノアは可愛らしい笑顔を見せて、そう尋ねる。
「ううん、ジュリオさんとね。教会の食堂で食べようかと思ってるの」
モニカは、そう答える。
エルノアの誘いを断る必要もないのだけど……
と思いつつ。
「騎士様ね?またウチで食べて行きなさいな。あんな好青年と食事出来るなんて、おばさん若返っちゃうんだから!」
エルノアはソフィーばりのガッツポーズを見せる。
……ソフィーと共に行く旅が長かったから……
エルノアを随分と独りにしてるんだよね……
などとモニカは考える。
「若返っちゃうなら行くしかないわよね?本屋に行って呼んでくるわね」
そしてそう答える。
……今日は「イエ」でジュリオと……
なんて考えていたけど……
「ええ、ええ……なら張り切って買い物しないとね」
エルノアと別れて、モニカは本屋へと行く。
本屋にはオスカーとジュリオ、フリッツと3人揃って本を読んでいた。
そしてエリーゼは居ない。
『エルノアを随分独りにしてるから、ジュリオさんもウチで食事しない?エルノアはもう、その気で張り切ってるけれど……』
モニカはそう、メモを書いてジュリオに渡す。
ジュリオはメモを一瞥すると、モニカを見て頷いた。
モニカは本屋を出る。
オスカーもフリッツも、本屋では真剣なものだから声を掛けづらい。
ソフィーならおかまいなしなんだろうけど……
「なんか、損な性格なのかしら……」
モニカは独り呟いて、星空になりつつある空を見上げる。
「そんな事ないよ、モニカ」
後ろからジュリオが追いかけて、そんな独り言を拾う。
「本はいいの?」
「まあ……丁度キリが良かったんだ」
2人は歩く。
噴水広場でエルノアを待ち、3人で「ウチ」に帰る。
「最近、ソフィーちゃんは忙しいの?」
3人で囲む夕食。
エルノアはお洒落に盛り付けた煮物を前に尋ねる。
お皿なんかも選ばれた物が揃っていて、レストラン顔負けの食卓。
「そうねぇ……いつもプラフタと錬金術に励んでるみたいだし、ダークマター工場の時よりも情熱に満ちてるわ」
ぷにちゃんで時間を膨らませたり、浸け置きタイムに寝ていたりして、ソフィーのアトリエは昼も夜もない。
「彼女はやりたいことが沢山あるからね。僕も負けていられないと思うよ」
シュタルメタルの作成、シルヴァリアの作成、そこから武器の改良と……
ソフィーはしたい事を、旅の道で話していたから……
2人も知る所だ。
「今回の旅休みは、長くなりそうね」
モニカは明日を思う。
旅休みとして……何をしたものか……
「さて、おばさんは今日もお泊まりなのよね。レストランもね、新しいメニューとか考えないとって皆集まるのよ?明日のお昼くらいに帰って来るわね」
エルノアは、そう言って外着を羽織る。
エルノアを見送って、モニカとジュリオは洗い物をしながら顔を見合わせた。
「気を使ってくれてるのかしら……」
「思ったよりもエルノアは頼もしい……そういう事なのかな」
そう話して、「うち」で過ごす事を決めた。
やはりあの場所だと、気が置けない所があるし。
「今日は本屋で、何を調べてたの?」
ジュリオも鎧を脱いでくつろぎ、窓から外を眺める。
モニカはお茶を準備しながら尋ねた。
今は雨が降ってきたみたいで、そんな音だけが聞こえる。静かな住宅街。
「1つの冒険譚を読んでいたんだ。やはり僕も冒険、というのに憧れて剣を始めて……騎士になっているからね。冒険に憧れて、童心のままに教会を離れてしまうのだから、とんだ不良騎士様なのだけど、これはこれで、人の役に立つ事が出来ればいいなと……」
ジュリオはそう言って、モニカの出すお茶に口をつける。
「ふふ。私も読んだ事のある話かも知れないわ。なんて本を読んだの?」
……お茶を挟んで2人の会話は続く。
……外の雨の音も続き……
お茶が終わると、ジュリオとモニカは部屋の灯りを落として、ベッドに入る。
「ふふ……こうしてモニカに近付くようになってさ、マナの柱の力もあるけど、そうではない強さを知ったんだ……」
ジュリオはそう言って、モニカの首筋に唇を寄せる。
「だとしたら、私も人の役に立ててるのかしら?」
モニカもジュリオの服に手を潜らせて、熱い肌を感じる。
「役に立ててるなんて、とんでもないよ。モニカが居なくなったら……なんて考えられないと皆が思っているよ。……僕はその中の新参者だけど……無くてはならない人じゃないか……」
ジュリオも、モニカの腰を撫でる。
……雨の音……布の音……
「ふぅん……っ……」
腰を撫でられて、首に吐息を感じる。
そしてジュリオの匂い……
モニカは思わず荒くなる息に声を混ぜた。
「可愛い声、聞けたね」
暗い部屋の……熱い肌と匂いの中、少し嬉しそうな声に、にやけてしまう感覚。
「もう……」
モニカの声も、嬉しそうな声になる。
……唇が重なる……
離れていく唇を追いかける……
……雨の音……
雨の音が段々と小さくなって、吐息と熱、そしてモニカの声が大きくなる。
「んっ……あぅ……」
少し開いた足にジュリオの膝があって……
服が乱れて……
モニカはジュリオの服を捲り上げる。
「ちょっと抜くね……」
ジュリオの身体が離れて、上着を脱ぐ。
そうして、また近寄るとモニカの上着を捲る。
モニカも手を上げて従い……
乳房が露になる。
……暗闇の中だけど……
「あ……っ……」
乳首に唇が触れて、モニカは声を上げる。
「子供みたい……んっ……」
そして唇を合わせる。
今度は口を開いて、唇の裏の濡れた柔らかい所を合わせるキスをして、モニカはジュリオの肌に手を游がせる。
ジュリオの掌はモニカの乳房に游ぎ……
「あんっ……はぁっ……はぁあん……」
モニカは下着を濡らすのを感じながら腰を動かす。女の声をジュリオに渡すように……
「綺麗な声だよ、モニカ」
声を渡す為に開いた口を、ジュリオの舌が撫でる。
それは頬に逸れて……
乳房で游ぐ掌が指を立てる。
「んあぁっ……それ……欲しくなっちゃう……」
モニカはジュリオの身体に游がせていた手を、抱き寄せるようにする。
ジュリオは素直に肌を合わせ……
そして身体を重ねた。
「あげる?」
モニカの身体はすっかりいやらしくうねり、ひくつき……
そんな中でジュリオの喉が動き、耳許でその声がする。
「まだ……怖いかも……」
モニカは強ばるように身体に入った力で、ジュリオを抱きしめる。
「そうだよね……もうちょっと楽しみたいよね」
嬉しそうな耳許の声……ジュリオもモニカを抱きしめて、モニカの身体は少しベッドから浮いた。
「んん……」
ジュリオにしがみつくように身体が起きて、ジュリオはモニカの長い髪を整える。
またベッドに倒れる時に髪を敷いてしまわない様に、左に纏めて……
「やはりモニカは軽いね」
右の頬を髪に撫でられるように、モニカはまた枕に頭を沈める。
「ジュリオさんの力が凄いのよ……そんな軽くもないわ……」
モニカは言う。
ジュリオの持つ大剣が、モニカより重いかも知れないけど
……さすがにそれはないか……
「……愛してるよ、モニカ……こうして君に触れて嬉しいよ……何度でも、そう思わずにはいられない」
ジュリオは、モニカの下着に手を掛ける。
そう言われて、モニカは頭から胸から湯気でも出ていくような……
気恥ずかしさと嬉しさの混ざった……
何かが心を、身体を巡るのを感じる。
「私も、何回かこうしてるのに、旅の時も……ジュリオさんの横顔を見ちゃうもの……愛して……る」
モニカは腰を浮かせて、下着を抜かれる。
そしてジュリオのパンツに手を掛ける。
「何度でも……モニカを抱きしめて、可愛い声の世界に……」
暗闇の中で、ジュリオは身体を起こし……
堅い皮のパンツのベルトを外す。
かなり大きいペニスを持っている都合で、厳重に封印されているような……
そんなパンツを脱ぎ、モニカの待つベッドに戻る。
「うん……恥ずかしいけど……聞いて?」
モニカはベッドに戻って来たジュリオを抱きしめる。
モニカとジュリオのお腹の間にある、熱い蛇みたいな感触……
ジュリオはモニカの頬を捕まえて、キスをする。
舌を絡めるような……そんなキス。
……ちゅっ……くちゅっ……
そう、唾液の音と吐息の音を聞く。
耳につく。
「んはぁっ……あん……」
背中を……脇を撫で合いながら吐息を交ぜる。
モニカの身体がひくひくして、声を漏らす。
熱い蛇が2人のお腹の間を、ぬるりと転がる。
モニカはジュリオの身体に指を游がせる。
「モニカ……可愛い……可愛いよ」
ジュリオの掌が身体の下を泳ぐ。
太ももにお尻に……そして乳房に戻ったりする。
「嬉しい……嬉しいの……んっ……はんっ……」
お互いに身体を撫で合い、舐めたりしながら過ごす。
モニカの身体のうねりが大きくなって、声も大きくなる頃にジュリオは身体を起こす。
「……入れるね……」
暗闇の声。
「うん……ジュリオさんの……下さい……」
モニカは足を開く。
もう何度か指を立てられてハジケて……
笑い合って……
30分くらい過ごしただろうか……
1時間程なのか……
楽しい時間を計るのは難しい。
「ぁああ……凄いの……はぁっ……はぁっ……」
熱い蛇がモニカの「お股の口」を押し広げる。
それは限界かと思うくらいに大きく広げるものだから、モニカは顎を上げて全身を震わせる。
ハジケながら受け入れる……
「頑張れる?」
ジュリオは太ももを掴んで、口を開くのを助ける。
モニカはその言葉を聞く事もなく、感覚に震えて……
顎を上げて身体を反らし、全身を震わせる。
……少し楽しい時間を過ごし過ぎたかな……
ジュリオはそう思いながら、腰を止めてモニカの首を、肩を撫でる。
そしてモニカから抜くと……
蛇を右手で掴む。
「………………………ふうっ……」
蛇の避妊具……
「ぷに皮」を外し、縛ってベッドの傍らに落とし……
ジュリオも眠る。
……キルヘンベルに朝が来て……
「さて、今日は朝から見回りに出る予定だからね……」
ジュリオは窓を開ける。
布団の中のモニカは窓から入る、まだ残る星の明かりに照らされたジュリオを見る。
「……うん……頑張ってね……私も見回りに出れたらな……」
モニカも見回りを申し出た事がある。
バーニィさんに断られて、見回りには行けないのだけど。
「キルヘンベルを照らす笑顔が曇るといけない……ってディーゼルさんも言ってたね。エルノアを手伝ってあげると喜ばれる……かもね?」
まだ朝は暗い時間に、ジュリオはキッチリと身支度を終えて出て行く。
モニカもベッドを降りた。
ここには、ゲームには無い、勝手に付け加えた設定を書いておく所。
[イエ]
新しくジュリオに充てられた家。ガラの悪い冒険者の住む区域にあるが、近所にも騎士が住む。
[うち]
モニカとエルノアの住む、住宅街の山寄りの家。その山の上にソフィーのアトリエがある。
[バーニィ]
あまり話さなくなったような……噴水端会議の時には騎士の人達と談笑していたりもする。
[護衛の騎士2人]
バーニィさんにいつも付いて歩いている騎士の人。気さくな2人。
[裏市街の奥]
スラムエリアの住民の住むエリア。ガラの悪い冒険者の住む区域。裏市街の奥は、キルヘンベルの入り口を流れる川の下流でもある。
[コルネリア親衛隊]
職人さん90%、自警団の人5%、冒険者の人5%で構成されている。コルネリア露店の常連客も、そんな感じ。
[オイルランプ]
油で火を灯し、明かりとする日用品。
[ウメさん]
ソフィーのアトリエの側の井戸の番人。日に当たらないと長生き出来ないそうで、アトリエの山を登るのだとか。
[モニカ×ジュリオ]
2人とも剣術の探究者。
[ディーゼル]
職人さんと、仲が良かったりする。筋肉が凄い人。