錬金術のアトリエ 1   作:東京のぷるぷる

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錬金術のアトリエ 22

錬金術のアトリエ 22

 

いつになくプラフタは早い時間に本棚に納まり、折れたページを直す。

ソフィーは、お腹を空かしてオスカーを待ちながら、リフレッシュオイルを仕込む。

「オスカーまだかなぁ……お腹減ったなぁ……」

 

 

そうこうして待っていると、オスカーが来た。

ソフィーはアトリエのドアを開けて、顔を出す。

「お腹減ったぁ~♪」

「へへへ、良い物持って来たぞ♪」

オスカーは持って来た食材をひょい、と上げて見せる。

夕焼けの赤い光を背に、なんか勇ましく見えた。

「えへへ、待ってました~♪リフレッシュオイルもね、もうすぐ仕上がりだよ♪ちょこっと調合の方はもう出来てるし!」

いにしえの厨で、食通商人ヤーペッツさんに習った調理法と、その油……

「衣を付けて揚げる」と言うレシピの夕食。

ヤーペッツさんの事だから、これからキルヘンベルでも流行って行くのだろう。

 

 

「うおおぉぉぉ!これが古代大富豪の愛した……」

「すっごい美味しいぃぃ!」

オスカーとソフィーがあまりに騒がしいので、プラフタがふらふらと出てきた。

「何ですか!?このギトギトした空気は!?窓を!窓を開けなさい!!」

そう言うと、また本棚に納まった。

 

「そっかぁ……油汚れかぁ……」

プラフタに怒られて、オスカーは井戸水に中和剤石鹸を溶かす。

「さすがプラフタ……課題もあるんだねぇ……」

ソフィーとオスカーは、ふわふわクロースで掃除をする。

「油と水は混ざりませんから、水拭きなどの掃除では綺麗になりません。ちょこっと調合の中和剤石鹸なら、水と油を中和して、水として扱う事が出来ます。特に本棚周りは綺麗にして下さい。それと、アトリエでその調理はしないで下さい。大体、いにしえの厨は、調理専用の場所です。そういう所も考慮して設けられた場所なのですよ?」

 

プラフタに説教されながら、ソフィーとオスカーは後始末をする羽目になった。

 

 

「いやぁ~……参った参った……」

夕食が中途半端になったので、今の体験をみやげ話に、ソフィーとオスカーでホルストさんのカフェへと向かう。

「でも、プラフタ居なかったら気付かなかったかも。空気に敏感なんだよね~……助かるよ」

2人は街灯の光るキルヘンベルの街を歩く。

「確かに。ソフィーの錬金術で作るモンも、ギトギトしてるんじゃ、やる気も失せるもんなぁ……」

「プラフタが居なかったら……あたしの錬金術なんて、さっぱりなまんまだもんね~」

「やっぱり、気難しい……しっかりした錬金術師だったんだろうなぁ~……と、なると……都会に住んでた……のかもなぁ……」

「都会と言えばレオンさん!レオンさんもしっかり者だよね!」

「なんとなくスッポ抜けてる所もあるんだけどな。基本的にはしっかりしてる人だよなぁ……」

そんな語らいをしながら、ソフィーとオスカーはカフェへと向かう。

 

 

賑やかなカフェに、フリッツさんとパメラ、エリーゼお姉ちゃんが居て……

テスさんも制服のまま、同じテーブルに座っていた。

「あれ?どうしたんですか?」

ソフィーが近寄る。

「ソフィーちゃ~ん、明日ね~、お祈りの後で人形劇をするのよ~♪」

パメラは微笑みながら言う。

「はっはっはっ……ついに登場人物の人形が出来上がってな……明日開演、となった訳だ」

フリッツさんは得意気に笑う。

エリーゼお姉ちゃんも、人形劇を演じるのだと言う。

 

「あたしもね、明日は朝のお祈りから行って、人形劇を見に行くんだ♪なんか楽しみだよ……」

テスさんもそう言って笑った。

「それは楽しみです!あたしも絶対行きます!今日はもう……食べたら寝ないとですね!」

ソフィーもじたばたして喜ぶ。

人形劇、というのを見た事も無いし、わくわくが止まらない。

「じゃあ、オイラも行かないとな」

オスカーも明るい顔をする。

「ふふふ。この街の人々それぞれにプレゼントも用意しているからな。是非来たまえ」

フリッツさんは得意気に笑う。そしてソフィーとオスカーは、カフェで夕食の時間を過ごして……それぞれ帰る事にした。

 

 

オスカーと別れて、アトリエへの帰り道……

……子供の話……すっかりタイミング無かったなぁ……

なんて思いながら帰る。噴水広場……

裏酒場やレストランに続く道の所に、ハロルさんが寝てた。

「どどどど……!どうしたの!?ハロルさん!」

ソフィーは慌てて駆け寄る。

するとハロルさんに抱きつかれた。

「おぉ……ソフィーじゃねぇか……こんな夜にどうした?……ウゲェェェェ……ェェェ……」

ハロルさんは、恐ろしく長いゲップをソフィーに吐き付ける。

「うわぁぁ……お酒やばいよぉぉぉ……くっさぁぁ……」

ソフィーはもがく。

ハロルさんは立ち上がると、ソフィーから離れて、ストリート方向へとフラフラ歩き出した。

 

「時計屋は親父だ……俺は時計屋じゃねぇぇぇ……オラァ……」

そしてどこか消えて行った。

……昼間から飲んでた……

そんな感じだ……

レオンさん………アレの何がいいんだろ?

……そう思いながら、ソフィーはアトリエへと向かう。

 

 

……その途中に、普段着のモニカが居た。

フレアースカートにロングソックス、なんかお嬢様ムード全開で驚きのコーディネート。

丁度ジュリオさんと別れた時で、ジュリオさんも居た。

カフェ手伝いの時の、細い感じのファッション。

「ソフィー……こんな時間に外で会うなんて奇遇だね。それじゃ……って……お酒飲んでたのかい!?」

ジュリオさんは驚き、足を止める。

「あら。どうしたの?」

お嬢様ムードのモニカも寄って来る。

 

「ううう……途中でハロルさんに絡まれて……ゲップされたんだよ……きっとその臭い。すっごく臭かったもん……」

ソフィーは項垂れて話す。

「そもそも、ソフィーがこの時間にうろついてるなんて、珍しいじゃない?」

モニカが不思議そうな顔で話す。

……モニカは夜にうろついてるなんて、珍しくないのだろうか……

そしてジュリオさんは帰って行った。

明日は早いみたいで……

 

 

そしてモニカとソフィーで立ち話になる。

「なんか、モニカお嬢様……って感じ?」

ソフィーはモニカのファッションの話をしてみる。

「おばさん達の話からね、こういう服装になったのよ?なんか都会で学校に通う女の子って、こういう服装みたいなのね?」

「へぇ~……モニカの服じゃないの?」

「そうなのよ~エルノアもノリノリでね~?おかげでバーニィさんにも笑われちゃったわ。食い付きが良かった、とも言えそうなんだけどね?」

「バーニィさん、都会に娘さんとか居たんじゃ無かったかなぁ……」

「え?そんな話あったの!?」

ソフィーとモニカの立ち話は続く。

 

「アトリエでいにしえの厨の新しい調理法やったんだけど……」

そんな立ち話の中……

ソフィーはプラフタに怒られて、カフェでの夕食になった経緯を話した。

「アトリエが油まみれになる所だったから、助かったんだけどね……でもお腹減って……」

「呆れた!アトリエの中で油を沸かしたの?散らかってる本とか、全部に油が付いちゃうじゃない!」

モニカは口許に手をやって驚き、そう話す。

「……そうなんだ。プラフタが怒るのも当然の事だったんだねぇ……」

 

……ソフィーはそれから、人形劇団がカフェに居た話、カフェで夕食を取った話……そして酔っ払いに絡まれた話をする。

「そうだったのね……でもこれからお店に、その衣の揚げ物?……も出てくるようになると思うと……素敵ね」

モニカも、教会で人形劇の準備をしてた話、ヤーペッツさんが帰って来た話……

そして教会食堂のメニューは、代わり映えしなかった話をする。

「オスカーも、旅先の食事にその調理法と、新しい調味料を作らないと、って張り切ってたんだよ。それで今日はエロエロしてるどころじゃないんだ」

ソフィーは苦笑いして見せる。

「ふふふ。期待しちゃうわよね?男の子ってもうちょっとイヤらしい物かと思ってたけれど、そうでもないのよね」

お嬢様モニカは、ソフィーから目を逸らして呟く。

「ジュリオさんなんて、紳士を極めてるんじゃない?それに鍛練に勉強に教会に……忙しいみたいだし」

イヤらしい……

という感じもしない。

モニカから誘うと、何とか都合をつけてくれる……

という感じなのは、ぷにちゃんを介してソフィーも知ってる事だ。

 

「そうね。私の理想の人……でもなんか……まあいいわ。ところでジュリオさんも気にしていたんだけど、銀いもパワーの話って何か分かったの?」

モニカはソフィーに尋ねる。

「あーーーーっ!?」

ソフィーは、全く忘れていた事を思い出した。

子供の話とか人形劇の話で、もうすっかりどこかへ飛んで行ってた。

「忘れてたの!?結構大事な話って、言ってなかった?」

モニカは苦笑いを浮かべる。

まあ、そんな感じだろうと、少し思っていた。

「聞いてみなくちゃ……だね!」

「私も行くわ。ぷにちゃんに聞くんでしょ?」

「うん。ぷにちゃんが詳しいだろうし!」

モニカとソフィーで、アトリエへと向かう。

 

 

「おかえりなさい、ソフィー……モニカも」

お嬢様なモニカと、いつもの格好のソフィーをプラフタが出迎える。

機嫌は悪くないようだった。

「ただいま~……ぷにちゃんに聞かないといけない事があったんだよ……結構重要な事」

ソフィーはモニカとコンテナに入る。

 

 

「……よく来た……時間は膨らませるか?ストックは3時間程あるぞ……」

ぷにちゃんがソフィーとモニカにそう伝える。

モニカにも時間ストックの話が伝わった。

「膨らませる。それと、あたしの作る錬金術の品物の特性なんだけど、あたしが居ないと効果がないの?」

ソフィーは尋ねる。

そして開いた口に入る。ぷにちゃんの舌も大きくなって、ソフィーとモニカはその舌に身体を沈めて、寝る体勢にする。

 

「特性適用の能力があれば……その特性の能力の……恩恵を受ける……もしくは……特性適用、業。……を……持つ者が近くに居れば……その特性の能力の……恩恵を受ける……」

ぷにちゃんは答える。

……ソフィーとモニカの肌に、身体の中に向かって風が吹く感覚がする……

「その特性適用……って誰が持ってるの?」

目を閉じてソフィーは尋ねる。

目の中に……裏にまで風が吹く感覚。

……目まで凄く癒される……

 

「ソフィー……が特性適用、業。……を持っているな……あとはロジーか……コルネリアの……慈愛を受けた者が……特性適用を持っているな……」

ぷにちゃんは答える。

モニカが時間ストックを理解して……

ソフィーに対しての野望を抱くのが解る……

「特性適用が無いと……銀いもパワーは……?」

ソフィーは尋ねる。

ぷにちゃんの中でモニカがソフィーの所へ来た。

「適用されないな……従って防御も回復も得られない……」

ぷにちゃんは答える。

答えながらも、モニカに抱きつかれて……

ソフィーも、そんなに嫌じゃないものだから……

そんなモニカに流される。

 

「あの……モニカ?ちゃんとジュリオさんにも伝えて……んんんっ……ひゃぁああんっ……」

ソフィーもモニカのおっぱいに手をやる。

この際だし……モニカのおっぱいに甘えるの好きだし……

 

「んんんっ……ソフィーが感じて……その気持ちで私も気持ち良くなるの……時間が膨らみ過ぎて遭難みたいになっちゃうから……ずっとガマンしてたの……知ってるでしょ?」

モニカはソフィーに髪を絡めて……

お股に指を立てる。

ぷにちゃんがモニカの指を導いて……

にゅるっ……と滑り込ませる。

ソフィーの中を拡げる。

「でもこれっ!凄過ぎっ!くうぅっ……!はぁぁあっ!あっ!あっ!あっ!」

2人は絡んでハジケる。そしてハジケまくって眠った。

 

 

「ストック45時間……はしゃいじゃったね~……」

ソフィーが起きると、ぷにちゃんに言われる。

「えへへ……エロエロするのって気持ちいいし……なんかモニカがエロエロだと、嬉しいんだよね……」

ソフィーが答える。

モニカは、ぐっすりと眠ったままだ。

 

「なんかそういう気持ちが、凄く私を温かくするんだよね。ここでなら、どんどんやっちゃって構わないから……で、部屋を出る?」

ぷにちゃんが聞く。

部屋を出るとモニカの為にまた時間が膨らむから、ソフィーだけ部屋を出ても、1分もすればモニカが出てくる。

……部屋を出た1分で、モニカは何時間でも休まる仕組みだからだ。

「そうだね……すっごい元気になっちゃったし」

ソフィーは、ぷにちゃんの部屋を出る。

……ドアを閉める。

 

そして棚の服に、番人ぷにちゃんが群がっていた。

「こちらでは、脱いだばっかりだからね。間に合わなかった訳だけど、あと1分くらいで綺麗になるよ?」

番人ぷにちゃんの群れが、服の汚れを食べてる途中だったみたいだ。

「うん。見守ってるよ」

ソフィーは蠢く番人ぷにちゃんの群れを見つめる。

うにうに動いてカワイイ。

 

「は~……なんか癒され具合もパワーアップしてる感じするわ……」

ドアを閉めてすぐに、モニカが出てきた。

番人ぷにちゃんの群れが服から離れて行き、ピッカピカになってる……

「なんかここでエロエロしちゃうと……オスカーの時に物足りなく思っちゃうかも……」

ソフィーがモニカに笑い掛ける。

「そうね……でもジュリオさんは忙しいし……私は気絶しちゃうからなぁ………」

モニカも、お嬢様ムードな服を着ながら呟く。

「えへへ……モニカ寂しいんだ?」

「もう!冷やかさないでよ……」

2人はコンテナを出る。

 

 

コンテナを出ると夜のまま……

そしてやたら元気になってしまった……

お嬢様ムードなモニカにプラフタが食い付き、話は弾む。

そんな光景を脇に、ソフィーは錬金釜に向かう。

ミネラルエキス、小悪魔のいたずら、中和剤(黄色)と錬金術生活をする。

錬金術生活の合間合間に、そんなモニカとプラフタにソフィーも混じる。

「人形劇もその服で行くの?」

ソフィーが尋ねる。

「そうねぇ……番人ぷにちゃんがピッカピカにしてくれたから……貸してくれたおばさまも喜んでくれそうだし……それに聖歌にも似合わない訳じゃないものね?」

「大多数の人々が学業に向かう服装なのであれば、やはりそうした服装は、尊い物なのかと思うのです。こう……自らを控え目にしているような感じもありまして……」

プラフタがぱたぱたと浮かびながら、そう熱弁する。

 

「プラフタはなんか、凄いお気に入りみたいだね?」

「でも、プラフタみたいな真面目な人が食い付く感じがあったわね。バーニィさんも、真面目な人じゃない?」

「ディーゼルさんは?食い付いた?」

「ディーゼルさんはね、そういうのもいいね、って言ってただけで、どっか行っちゃったわ」

「忙しかっただけなのかな?それともディーゼルさんは、そんな真面目じゃないのかも……」

「ハロルさんには会わなかったのよね?」

「なんか、ずっと飲んでたみたいだし……」

話は弾む。

 

 

そして、あっという間に朝になった。

 

「よし!今日はお祈りから人形劇!行って来るね~♪」

お嬢様モニカとソフィーは、アトリエを出る。

晴れた、爽やかな風の朝!

思わず足取りも軽くなる。

 

……そしてヴァルム教会へと向かう。

人形劇……

楽しみ過ぎて、歩く足どりが軽過ぎて浮いてしまう感じがする。

 

……そわそわしながら、お祈りをする。

晴れたキルヘンベルの噴水広場には、どこから来たのか丸太が幾つも運び込まれていた。

そしてお祈りにはいつも見られない職人のおじさん、自警団の人達が……

丸太のそばでお祈りをしていた。

 

コルちゃんもロジーさんと、丸太の場所に居て、いつものようにソフィーは教会の中へと入れない。

子供達が前を固める都合で、すぐいっぱいになる。

 

 

お祈りが終わり、晴れているから噴水広場に集まる。

「さあ!皆さん人形劇の開演……の前に人形師である私からプレゼントがあるぞ!まずは子供達から……と行きたい所だが、子供達の分は神父様へ預けた!今日帰ったら、それぞれ受け取ってくれ!」

 

いつも少し小さいダンディーボイスのフリッツさんが、大声でそう話す。

しかもその大声、慣れてるみたいで通りがいい。

「職人の皆さんも、親方に渡してあります!ここで渡すのはキルヘンベルの有名人!まずは皆さんの食事を支えている八百屋さん、マルグリットさん!前へどうぞ!」

フリッツさんは演劇台に箱を乗せる。

箱の上には木の棒が横たわり……

そのまま木の棒を持ち上げると、人形が出てくる仕組みになっている。

 

「アタシが1番なんて……なんか照れるねぇ……」

マルグリットさんはそう言って……

説明された通りに棒を持ち上げる……

 

 

「はーっはっはっはっ!」

「あはははははは!」

「ひいーっ!」

皆が笑い出す。

クオリティーの低い人形が、でも特徴をしっかり押さえて誇張してるのが出てきたのだ。

「ア……アタシこんなんかい?」

マルグリットさんも、盛大に苦笑いする。

「さて、お次は同じく八百屋……息子のオスカーだ!」

 

 

丸い!カボチャにちょこっと顔があるみたいな人形が出てきた。

カワイイ……でも皆が大笑いだ。

「ふふふっ……これ……呼ばれるの怖いわね……っ……はーっ……はーっ……」

隣のお嬢様モニカも、お腹を抱えながらソフィーに話す。

 

 

「さあお次は……カフェとかコルネリア露店とかそういう順番じゃないぞ!?噴水を守る美人騎士、モニカ!どうぞ!」

順番も意外を突いてくる。

「えーーーっ!?無理無理!!」

モニカは立ち上がり、首を横に振る。

「ならばこちらで紹介しよう!」

フリッツさんが、箱からモニカ人形を取り出す。

髪長い!長すぎる!

クオリティーの低い人形が、メガネをくいっ、……ってしてるのがまた笑える。

 

 

「さて……余興はここまで……ここからは人形劇の開演となります!皆さん、まずはお昼まで、どうぞごゆっくり!」

ソフィーにもレオンさんにもハロルさんも……

キルヘンベルの商店、教会の人々に人形プレゼントした後、人形劇を始める。

もう既に、クオリティーの低い人形達に、結構みんな惹き付けられていた。

更に……

あの2階建ての錬金荷車1号がやって来て、テスさんとホルストさん、いつものお姉さんが飲み物の販売を始めてた。

 

カン!

 

フリッツさんが、カネを叩くと人形劇のプロローグを話し……

 

カン!

 

カネを叩くと、パメラが最初の人形の台詞台本を読む。

パメラの持ち上げた可愛い女の子の人形を揺らし、その女の子の台詞、と分かる。

 

カン!

 

パメラが読み終わると、またカネを鳴らし、次の台詞……

フリッツさんがぼろぼろのカカシの人形を揺らして、台詞台本を読む。

そうして物語は進んで行く。

台詞は覚えていなくても良いみたいで、進むと本を捲ったり人形を変えたりする。

どれも、それぞれが持つ本に書いてあるみたいだった。

 

捨てられる事になったぼろぼろのカカシと、農家の娘が旅に出る話。

いつの間にか皆大人しく人形劇を見守り、すこしじわっ、とくるエンディングを迎える。

 

 

「さて!お昼になりましたので、まずは午前の部……終了となります!午後の部にご期待下さい!」

生き生きとした顔で、フリッツさんが言うと……

ソフィーも、はっ!と我に返る。

「え!?もうお昼なの!?」

モニカも口許に手を当てて驚く。

人形プレゼントの余興で、随分と時間が経っていたようだ。

「なんか……あっという間にお昼になったね~……びっくりだよ……」

コルちゃんとロジーさん……

レオンさんとも合流したけど、旅ではなく、午後も人形劇を見る事に決めた。

エリーゼお姉ちゃんも一緒に、レストランへと行く事になった。

 

 

お昼ごはんを食べて、午後も人形劇を見に行く。

職人さん達や自警団の人達は随分減って、午後の部は少し落ち着いて見れるようになった。

 

……銀いもに恋する土いもの話……

……月を目指す旅人の話……

……目の見えない学者の話……

 

台本を読めば演劇が出来るので、ソフィーもモニカもレオンさんもオスカーも、演者となった。

そしてクオリティーの低い……

なのにカワイイ人形を揺らして……

……エリーゼお姉ちゃんが、誰よりも夢中だったように思う。

そして夕方になり、人形劇はお開きとなった。

台本も人形も、全て教会へ寄付するので、好きな時に好きなように、人形劇をする事も出来るようになった。

 

 

「1日が……あっという間でした……」

夕食は、皆でホルストさんのカフェへと行く。

お昼もお店……

夕食もお店で凄い贅沢だけど……

ソフィーは手持ちすっからかんがデフォなので、なんかコルちゃんが出してくれた。

 

……「ソフィーさんは、常にすっからかんで良いのです!……コルネリア露店は……ソフィーさんのおかげ部分が大きいですから……是非お任せ下さい」……

そう言って、コルちゃんが払ってくれる。

 

人形劇の話が飛び交い、カフェで盛り上がる。

今日のカフェは凄く賑わっていた。

 

 

「コルちゃん……本当に大丈夫なの?」

カフェを出て、ソフィーが不安そうに尋ねる。

「そうですね……ではぷにちゃんの所に行きましょう……本当に大丈夫かどうか……本当に分かりますので……」

明日は旅に出る話をして、解散する。

そしてソフィーはコルちゃんとアトリエへと向かう。

 

「おかえりなさい、ソフィー。人形劇はどうでした?」

アトリエに帰るとプラフタが出迎える。

「楽しかった!1日がね、あっという間だったよ!」

「私も……不覚にも時間を忘れてしまいました……」

お土産のソフィー人形と、コルちゃん人形を飾る。

「ふふっ……はははっ……」

杖とプラフタだけ何故かクオリティーの高い……

クオリティーの低いソフィー人形。

杖に見合わない体格、手足が細すぎる……

でもどこかカワイイ人形。

「プラフタも笑うよねこんなん……皆笑ってたもんね」

コルちゃん人形は、ジト目だけクオリティーが高くて……

やたら小さい人形。

可愛さ全開なのに何か企んでる顔で……

明日からは、コルちゃん露店に飾るそうだ。

 

「この絶妙なやっつけ感……フリッツさんはセンスがあるです。なかなかこういう出来上がり……というのは難しいのです」

2人はぷにちゃんの部屋へと向かう。

 

 

「……よく来た……ストックした時間は残り39時間だ……」

ぷにちゃんの部屋に入ると、ぷにちゃんはそう伝えて、口を開けた。

「随分と増えて……まさかソフィーさん!?」

コルちゃんはソフィーを見る。

「あはは……前回モニカとね……ハジケちゃって……」

ソフィーは気まずく笑いながら伝える。

「まあ……時間が膨らんでいる分には……私にとっても都合の良いことなので……大丈夫です」

コルちゃんはそう思いながら、ぷにちゃんの口の中へ入る。

 

「そうなんだ……とは言え今回は人形劇の余韻でエロエロしてる気持ちでもないよねぇ……月に……行きたいなぁ……」

ソフィーもそう思いながら、ぷにちゃんの口の中へ。アトリエに帰る道でも、人形劇の物語ばかり考えてた。

それが………だだもれた。

「月に行ってみたいと思いました……あの劇……また見たいです……ソフィーさんの演技はへっぽこでしたけれど」

コルちゃんも、ほっこりしながら思いを致す。

「……うはぁ!?やっぱり!?」

ソフィーは気まずく笑う。

「それよりも、マルグリットさんにお店の極意を聞きまして……あの八百屋さん、ほとんど利益が無いのです。仕入れた値段と、売る値段があまり変わりません」

 

……身体の中に風が吹く感覚……

その中でコルちゃんは思う。

「なんかそんな話……前にしたことあるような……」

ソフィーも思い出す。

八百屋から色々と貰いまくってた日々で、そんな話があったような……

「オスカーさんもそうですが、マルグリットさんもお店で儲ける事を第一としていないのです。なんと、お父様までがそうなんだと言います」

コルちゃんは、とある日の……

閉店する八百屋への突撃取材を思い出す……

 

ついでに、その時に飲んだミルクの味も思い出す。

朝1番のミルクは冷たくて新鮮な、甘いミルク。

だけど閉店間際のミルクは、すっかり温くなって妙な匂いが鼻につく、変なミルク。

……でもその変なミルクも、変な中に良さがあるみたいで、需要もあるそうで……

 

「ほぇ~……コルちゃん突っ込んで調べたんだねぇ……」

ソフィーは素直に感心する。

「……そんなマルグリットさんをリスペクトすると……ソフィーさんは色々便利な物を作り出しているのに……儲け方を知らなくて、いっつもすっからかん……ソフィーさんの食事代なんて、私が出しても、全然足らないくらい、お礼しないといけないのです」

 

コルちゃん露店の課題は、売り物……

それをソフィーのちょこっと調合品が埋めて、露店に並べきれないくらいになった。

しかも増やし易いものだから……

安い値段で出してるけど……

元手がコルちゃんの錬金術……

SPバリアの消費だけなので、儲けがデカい。

「そ……そんなに……あたし……何かしたっけ?」

ソフィーは今までのちょこっと調合品とか、あまり振り返らない物だから……

今一つ心当たりが無かったりする。

 

「流石です……私も儲けが多くはありますが……そのお金でコルネリア商会を開き……物流をもって沢山の人を笑顔にしたい……そんな野望にお金は遣います」

 

コルちゃんはソフィーに感心する。

損得勘定が完全に欠落している……

まさかそんな……

でも常時すっからかんになれるのも才能だ。

全額、錬金術に投資してしまう……

それだけかもだけど。

「な、なんかコルちゃん……立派すぎるよ……」

コルちゃんの思惑が、ソフィーにはなんか難しいみたいで、ソフィーが悶え始める。

 

「そんな本心です。当面は……ケチくさい鍛冶屋ロジックスの設備に投資……職人の方へのお仕事のお礼として……お金を遣う予定ですが……」

そうコルちゃんが思う時には、ソフィーはもう難しい事は考えたくないモードに……

 

「……もう眠らせた方が良い……かな……?」

ぷにちゃんがそこを汲んでくれた。

「はい……お願いします」

 

……身体を抜ける風が温かくなって……ソフィーとコルちゃんは眠りに落ちて行く……

 

 




ここには、ゲームには無い、勝手に付け加えた設定を書いておく所。

[衣を付けて揚げる]
古代のお金持ち貴族の、雇っていた料理人達の用いていた調理法。ザクザクふわふわになると美味しい。

[空気に敏感なプラフタ]
何でも目が無いプラフタは、空気を通して見ている都合で、空気の状態は常に目につくらしい。ギトギトしてるのには、凄く敏感。

[中和剤石鹸]
水と油を中和して、汚れを落としやすくする。汗とかも、ほんのわずかな油分で、水だけだと落としづらいのだとか。

[ふわふわクロース]
雑巾的な風格が漂う物も現れてきた。いつまでも新品、という訳には行かない。

[人形劇]
人形で劇をするなんて!

[子供の話]
子供が出来たなら気になるお年頃。

[裏酒場]
ホルストさんのメイン酒場。だけどホルストさんの雇った冒険者が、切り盛りしてるんだとか。

[レストラン]
エルノアさんとヤーペッツさんの作ったお洒落な食事処。エルノアさんの飾り付けが暴走しがちなので、セーブするのに大変なんだとか。

[裏酒場やレストランへ続く道]
広場からストリートへ続く道のお隣。ゲームでは、そこには入れないので、色々と出来上がってみたり。

[銀いもパワーの話]
変異物質。防御6の防具の防御力を10上げる。実に166%上がるのである。更に毎ターンHP回復が付く。防御0の装飾品にも付き、そちらでも防御力が10上がる。

[教会食堂]
ヴァルム教会の食堂。安いけどストイックなメニューしかない。教会騎士の人も非番の時には、裏ストリートの屋台とか裏酒場とか行くみたい。

[ハジケる]
ヤバいところをくちゅくちゅすると、ピクピクしてハジケる。

[噴水広場の丸太]
観客席。ふわふわクロースが乗ってる。

[クオリティーの低い人形]
1日に30体という、意味不明なペースで作られたらしい可愛い人形。みんなそれぞれお気に入り。かも。

[錬金荷車1号]
2階建て。マナフェザーで重量を誤魔化している為、積んだ荷物と、荷車そのものの重さが30%くらいカットされる。お洒落な装飾が目立つ。

[ソフィーさんの演技はへっぽこ]
人形劇してみるも、演技力というのは必要みたいで。

[お金と投資]
難しい話。でもお金を使うと、使われた方は嬉しい。
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