☆
錬金術のアトリエ 23
目を覚ましてぷにちゃんの部屋を出る。
エロエロしないで眠って……
こうして出てくるのはイイ。
エロエロしなきゃいけない、ってのはやっぱり不便だったんだなぁ……
とか思う。
ソフィーが服の汚れを食べてる、番人ぷにちゃんを見守ってると、コルちゃんも出てきた。
「スッキリシャッキリです!」
コルちゃんは片足を上げて両手を広げる、スッキリシャッキリのポーズを取った。
「あたしも!スッキリシャッキリ!」
ソフィーも同じポーズを取る。
「ところでソフィーさん……最近、夜に占い師が居るの、ご存知でしょうか?」
コルちゃんは、最近コルネリア露店の隣の場所で、夜専門の占い師が開業した事を伝える。
「占い師って……なに?」
ソフィーは尋ねる。
キルヘンベルで、そんなの見た事ない。
「占い師とは……未来を予言する人の事を言うのですけど……行ってみませんか?」
コルちゃんに言われて、ソフィーはスッキリシャッキリのポーズを取る。
「面白そう!行く行く!」
もう完全に元気だし、行かない手はない。
ソフィーは迷わずそう答えた。
「お代の方は任せて下さい。きっとソフィーさんも何か新しい閃きがあったりしますです」
コルちゃんはそう言って、服に靴に帽子に取りつく番人ぷにちゃんをつんつんする。
「任せちゃおっ♪」
コルちゃんの本心も伝わったし、錬金術頑張ってる限り、お金を払って貰っても、堂々としてた方が……
コルちゃん的にも良いみたいで。
「かくかくしかじかなのですが……プラフタさんも、行きますか?」
コンテナを出て、コルちゃんはプラフタに話す。
「その占い師の心を乱してもいけませんから……私は次回にでも行くとしましょうか」
プラフタはソフィー人形の側を飛びながら、そう答えた。
そしてソフィーとコルちゃんはアトリエを出て、ストリートへと向かう。
その途中、噴水広場にフリッツさんが居た。
「フリッツさん!今日はすっごく楽しかったです!」
ソフィーとコルちゃんは駆け寄って声を掛ける。
「そうだろう!そうだろう!まだまだ色々な台本をこれから起こすからな!楽しみにしているがいい!」
フリッツさんは胸を張って笑顔で答える。
「……ところで、ここで何をしていたのです?」
コルちゃんが噴水広場を眺めながら聞く。
「いい質問だ。これから人形劇をするに当たって……場所の見直しをな。それと、舞台の片付けをしていた……あと、色々と思う所があってな……」
フリッツさんは真剣な眼差しで噴水広場を見る。
人形劇に真剣な人だった。
……出会った時からそうなんだけど……
「人形、ありがとうございます……大事に露店に飾ります……」
「あたしも!アトリエに飾ってます!そしてプラフタも気に入ってました!」
2人はそう言ってお礼をする。
クオリティーの低い、でもだからこそ?
謎の愛らしさをしている人形は、きっとずっとお気に入りになりそうだ。
「喜んで貰えたなら、何よりだ。ソフィーにもコルネリアにも……この街にも世話になっているからな」
そんな世間話をして、ソフィーとコルちゃんはストリートへと行く。
フリッツさんはまだ噴水広場を眺めていた。
「おお……これが占い師の人……」
ストリートに入ってすぐ、箱に座って、机にしてる箱に水晶玉を乗せた女の人が居た。
「占い……してもらってもいいです?」
コルちゃんが声を掛けて、ソフィーを見て貰う。
ソフィーはその水晶玉を見て……
未来が見えるのかな……と考える。
「……道が見える……一軒家への道……光る水……そして……妖精の人形……本……墓……」
ソフィーはメモを取る。
「金運は上々、恋愛は上々……何が起きても前向きに捉えられる性格のようですね……その性格であるうちは、全て上々と捉える事でしょう……貴方の求める物は……メモに残した事がヒントになるでしょう」
占い師は水晶玉から視線を外す。
「そんな感じです」
そしてイキナリ口調と声が緩くなった。
コルちゃんがお代を払う。
「このヒント、モノにしないとだね!プラフタにも相談しないと……」
ソフィーはメモを見る。
ついでに水晶玉も作ろうと企んだ。
ソフィーはアトリエに帰る。
「プラフタ~♪占って貰ったら、こんなんでました♪」
そしてメモを開いて見せる。
「水晶玉……墓……道……本……光る水……妖精の人形……ああっ!」
プラフタは光り輝く。
「おおおおお~っ!?」
そして錬金術生活。
先見の水晶玉、妖精の道標、万物の写本を閃いて、レシピ構築となった。
それと、例によって新しい採取地を思い出した。
「う~ん……本は、万物の写本……道と妖精の人形と光る水は、妖精の道標……墓ってなんだろ?」
ソフィーはメモを眺めて考える。
「なんか……凄い占い師なのでは……墓も何かありそうですね……」
そして万物の写本の作成。
6時間……
かなりの難易度に、錬金釜がぷくぷくして、品質が下がる下がる……
でもなんとか形になった。
「なんとかなった~!仕上げの時に溶けてなくなるかと思ったよ~……」
何とか出来上がった万物の写本を眺めて、ソフィーがため息まじりに言う。
万物の写本とか言いながら、読む事の出来ない本。
扱う人も限定される。
……使うと本が開き、魔力ビームを浴びせて生命力と防御力を奪い、更に攻撃力と素早さもダウンさせる。
つまりは危険物だ。
「しかし……万物の写本まで作れるとは……あなたの錬金術も、相当ハイレベルになって来ましたね」
プラフタが誉める。
「そ、そうかな~……えへへ……ギリギリだったけどね……」
ソフィーは顔を緩ませながら頬を掻いた。
「更に妖精の道標……これは材料が足りませんが、材料が揃えば作れそうですね」
もう2時……旅立ちまではあと数時間だ。
その数時間も錬金術生活をする。
妖精の道標は、ぼんやりとしかレシピが出て来てない。
旅先の帰り道の節約になるという、もはや時間を超える代物……
「この図鑑……凄い図鑑だよね……こうしたレシピが次々と出てくるんだもん……それに、まだ白紙部分がこんなに……」
ソフィーはプラフタの内容を見る。
まだ半分も……
いや3分の1も埋まっていない。
素朴な焼き菓子を作り……
朝を待ってソフィーはアトリエを出る。
旅立ちの朝だ。
ホルストさんのカフェに、今日もソフィーのパーティーが集まる。
「墓のあるところ……月と太陽の原野には、教会と墓所があるそうだね」
ジュリオさんがそう言って、今回は月と太陽の原野へ行く事になった。
「ホルストさんのカフェにも、ホルストさん人形飾ってたね」
今回は西へ行く旅の道……
ソフィーがそう話す。
「え?どこにあったんだい?」
荷車を引くジュリオさんが尋ねる。
「ピアノの所にありましたよ」
ソフィーが答える。
「今日もロジーさんは雛鳥の林に……しっかりやってるでしょうか……」
荷車の2階で、コルちゃんが呟く。
「おお……今日も元気そうだな……そうそう恵みの森を抜けて……」
荷車から少し離れて、オスカーが植物と話していたりする。
そんな旅の道……
もうすぐ夕方……
月と太陽の原野には、そんな時間に到着した。
墓が並ぶ、祈りの絶えた教会……
蛇の草が凄い繁ってる。
食べると美味しい肉厚な草で、日持ちもするらしい。
今回の依頼はひたすらこの草だ。
夕食もこの草を予定してる。
「これは……美味しそうです……しかし……どれだけ生えてるのでしょうか」
地面から直立する蛇みたいに延びていて、背丈がジュリオさんよりちょっと高い。
枝分かれしてる部分が無く、にょろにょろした感じで上に伸びている草。
先端には2つ、目みたいな部分があり、この目玉っぽいのが花。
これが地平線まで埋めてるのだ。
オスカーが言うには、2つの花は姉弟で、姉に当たる花の方がほんのちょっと大きく、おしゃべり。
弟に当たる花は無口なんだそうだ。
どの蛇の草も、姉と弟。
姉がおしゃべりじゃないのもあるそうだ。
「そんな話を聞くと、刈り取りづらくなります……」
ともかく、蛇の草を掻き分けて、刈り取って、ソフィー達は進む。
「小悪魔と死神がめっちゃうろうろしてる……」
魔物の巣だった。
でもそれぞれの魔物は思い思いにふらふらしてる。
ガーゴイルが花の香りを楽しんでいたり?
アポステルが空を見上げていたり……
蛇の草は密度を減らしていて、墓所方面はよく見えたりする。
死神も、リッチが墓石を巡っていたり……
「……なんか、やり過ごせそうだね」
魔物と距離を置いて、奥へと進む。
蛇の草集団で所々見えないのもあり……
何体かとは戦闘になるものの、銀いもパワーを凌ぐ攻撃力はなかったので、時間は掛かるものの、危なげなく倒せる。
弾けるベリーとかカーエン石とか拾える……
そして奥へ……もう夜になって、月見の墓所へと進む。
「夜の墓所……ちょっと怖くない?」
ソフィーがオスカーにしがみつく。
「そうか?星がやたら明るいし、なんか平和な感じの赤プニがころころしてるし……」
墓石が並び、凄い数の赤プニがうろうろしてる。
こちらも思い思いに過ごしてるだけみたいで、やり過ごす方針で歩く……
「ん?この水たまり……」
ソフィーは墓の側に……
不思議な水たまりを見つける。
やたら光ってるのだ。
「墓……光る水……これの事かい?」
オスカーもそちらを見て、そう話す。
反射だけじゃないように思える輝き……
「なんか、そうみたい?なのかな?」
夜光水を汲んで、荷車に乗せる。
そこら中の墓石にあるみたいだった。
星の光を遮ってみても、光ってる。
そして先へ……
と進むと、青い死神がそれを阻んだ。
「これ……なんか強そう……」
ソフィーが青い死神のオーラに気づく。
「防御陣形スペシャルで行くよ!」
味方への強化魔法と防御の陣形……
その後で攻撃に転じる作戦……
旅の道で打ち合わせしていたのを、早速!試す時が来た。
ソフィーの防御力強化!
レオンさんのレベル上げダンス!
モニカの攻撃力強化!
ジュリオさんのHPバリア強化!
……そんな下準備付きの、防御の陣形。
シャドウ2体の攻撃を凌ぎ……
後は全力攻撃をする。
戦闘も慣れたモノだ。
それからは、時折、赤プニの群れに絡まれながら先へと進む。
陽待ちの円環、と呼ばれる石サークルに出た。
ふわふわの苔、蛇の草……
お墓の無い場所。
「サークルの中に粉がふわふわしてるね……」
ソフィー達は太陽の粉を集める。
その作業で朝になった。
結構時間掛かるけど……
粉が熱を持って、集めるとほかほかしてくる。
「これ、結構危ない粉じゃない?」
鍋に集めてたけど、なんか集まるにつれて熱が……
上がっていく。
「今、小ビンを増やしてますので、ちょっと待って下さい……」
コルちゃんの増やした小ビンに分けて、事なきを得た。
そして荷車もそこそこ満たしたので、キルヘンベルを目指す。
月と太陽の原野入り口の蛇の草で、満載になるのだから。
月見の墓所……
祈りの絶えた教会……
と戻る。
赤プニの群れや、小悪魔達は……
朝から思い思いに過ごしていて、別に夜だから居るのではないみたいだけど、青い死神は居なかった。
全てやり過ごして、蛇の草を採って……
キルヘンベルへと向かう。
「しかし、こんな強敵……商人の人とかどうしてるんだろう?」
帰り道、ソフィーが呟く。
「私の場合は……冒険者と街道を歩くから……さすがに魔物の巣に殴り込んだりはしなかったわ……」
レオンさんが答える。
レオンさんも、キルヘンベルへと辿り着いた商人の1人だ。
「僕の場合も、騎士団と街道だね……魔物避けの聖水とか……免罪符で追い払う事もあるけど……街道でしか効果が無いみたいなんだよね」
ジュリオさんはそう答える。
魔物の巣に殴り込む……
なんて事は基本的にしてないみたいだ。
「魔物って……なんで出てくるんだろ……?」
ソフィーは口許に指を当てる。
「……え?」
「……え?」
「……え?」
レオンさんとジュリオさん、コルちゃんが意外そうな顔をした。
「……あれ?なんか……常識なの?」
ソフィーはそう聞いてみる。
「フリッツさんから聞いたけど、滅ぼされたマナの柱から、魔物が湧いてくるんだよね」
ジュリオさんがそう教えてくれた。
……そんな話……
されたかも……
そして……夕方……
キルヘンベルに到着となった。
赤プニ汚れもあり、レオンさんは別れて、5人でアトリエへ帰る。
「ただいま~♪」
「あらソフィーに……えっと……赤プニ汚れなのかしら?」
今日もエリーゼお姉ちゃんが居て、プラフタと仲良くしてた。
そして、エリーゼお姉ちゃんは帰る事にするみたいで、アトリエを出て行く。
ともかく、まずはソフィーの荷物をアトリエに運ぶ。
広くなった棚の廊下。
番人ぷにちゃん達が今日も、わっしょいわっしょいしてる。
わっしょいわっしょいしてる……
という事は、女の子の人格の方だ。
「おかえり。ストックの時間は34時間あるね」
番人ぷにちゃんがそう伝える。
棚に荷物を置くと、番人ぷにちゃん達は荷物をわっしょいわっしょいしていく。
汚れを食べて、更に整理していく。
ソフィーとモニカ、コルちゃんで扉の方へと行き、装備品を外して棚に置いていく。
こちらでも番人ぷにちゃん達が、わっしょいしてる。
「赤ちゃんの話……私は結論が出たです……ぷにちゃんにあげるです」
コルちゃんは結論決めるのが早かった。
そして服を脱いで棚に置いていく。
脱ぐスピードは、コルちゃんが断トツで早い。
「そ、そうなっちゃうの!?」
モニカが驚く。
「あたしも……でもまだ……うんにゃ、あたしもぷにちゃんにあげるよ。まだ子供産むには早い……ようにも思うし……」
ソフィーも服を脱ぎながら、コルちゃんに続いた。
「まあ……冒険を続けて、魔物の攻撃にさらされて……お腹の中で耐えられない……よりは私の中で……って方がいいかもね。よく決めてくれたね」
番人ぷにちゃんはそう言って、脱いだ服とか装備品に取り付く。
「そ、そう言われてみるとそうよね……今回も死神アタックが凄かったし……でもあれ?2人ともつわりとかって無かったようだけど……」
モニカがようやく下着に手を掛けながら、そう話す。
「マナの柱で寝るとね。子供も安定するんだよね。それにHPバリアLPバリアも子供を守るよ」
番人ぷにちゃん達が答える。
生理痛に関しても、100%~80%ぐらい、痛みが軽減するそうだ。
「100%軽減って……痛みなくなるじゃない」
モニカが言う。
「まあ、そうなるよね。便利でしょ?」
番人ぷにちゃんは、あっけらかんと答える。
ともかく、ハダカ族となった3人でぷにちゃんの部屋へと入る。
いつものように、ぷにちゃんの中へと入り、3人は身体を任せる。
「ぷにちゃんで寝るのは……気分いいです……」
コルちゃんが一安心して、眠りに落ちようとしている。
「さて、お休みする?」
ぷにちゃんは尋ねる。
色々ごちゃごちゃ考えてるのも、ぷにちゃんの中で眠りに落ちると、無くなるように感じる。
……そんな訳で3人は眠りに落ちる。
モニカが最初に目を覚まして、ぷにちゃんから出る。
そして棚の廊下で服に取り付く番人ぷにちゃん達を眺めていると、ソフィーが……
コルちゃんが出てきた。
眠る時間は違えど、ここで合流出来る。
そしてモニカを残してアトリエを出ると、外にハロルさんが来ていた。
エリーゼお姉ちゃんもここで足を止めて、世間話をしていたみたいだ。
ジュリオさんがアトリエに入り、ソフィーとコルちゃんはハロルさんに近寄る。
「あれ?ハロルさん、今日はどうしたの?」
ソフィーが能天気に言うと、ハロルさんはソフィーとコルちゃんの頭に手を伸ばす。
「オマエら、髪に油でも塗ってるのか?随分とシャレっ気が出てるじゃないか……」
2人がハロルさんに捕まった。
汚れたままのオスカーは、外テーブルでそんな4人を眺めている。
「あうあう……も~!あたしも立派なレディーなんだから、気安く掴まないでよ……」
「そうです……ソフィーさんはともかく、私は色々と手間が……あうあう……」
ソフィーもコルちゃんも、ハロルさんに掴まれて軽く振られている。
「ちょっとハロルさん……女の子をそんな風に扱っちゃダメですよ……」
エリーゼお姉ちゃんが少し笑いながら言う。
「このくらいで丁度いいだろう……ソフィーとコル助だからな……」
なんか、ハロルさんは凄く平常心でエリーゼお姉ちゃんに答える。
「そうだ……そんな話じゃなかった……実はオマエ達に、銃の火薬の調達をして来て欲しい、と思ってな」
ハロルさんはソフィーとコルちゃんの頭を掴んだまま、ここに来た用件を思い出す。
「火薬?カーエン石を粉にした感じのやつ?」
頭を掴まれながら、ソフィーは言う。
「太陽と月の原野の、あの粉も火薬として優秀な気がします」
コルちゃんも頭を掴まれながら、口許を隠すいつものポーズで言う。
「しかし、こんなに触り心地のいい髪は中々ないぞ……一体どういう事だ?」
ハロルさんにぷにちゃんの話をすると、なんかあっさり納得して2人を離す。
「今までの火薬は……どうしてたです?」
そして今回のハロルさんの、依頼の話を始める。
「商人から買っていたんだがな……どうにも品質が良くなくてな……何でもこの山で採れるらしいんだがな」
ハロルさんは地面を示す。
「ここのやつかい?……そんなもん売るなんて……なかなか逞しいなぁ……」
ソフィーとオスカーは驚く。
キルヘンミルクスネークカモン!
時代に、このアトリエの山も探し尽くしていて、詳しい。
……ここのカーエン石はボロボロのやつばっかりだ。
しかも、ごく稀に見つかるくらいなので、レアアイテムだ。
「まあ……それでも爆発音さえしてくれれば事足りたんだが……今回は銃弾を撃ち出す火薬が欲しくなってな……」
ハロルさんの銃と、弾の構造をソフィーとコルちゃん、オスカーで見つめる。
「これは……プラフタも呼んでみようかな」
モニカとジュリオさんが出てくるのを待って、プラフタを呼ぶ。
エリーゼお姉ちゃんはこのタイミングで帰って行った。
……皆でハロルさんの銃と弾の構造を見て、あーでもないこーでもない言い出す。
「……カーエン石か。それの質のいいのが手に入れば、火薬は俺が作るんだが……」
その結果、ハロルさんが作るから、カーエン石の調達をする依頼、となった。
……皆それぞれ帰って、ソフィーとオスカーでアトリエに帰る。
明日はカーエン石調達、という事で、巡礼街道へと行く予定にした。
「さて、お腹減ったし……オスカーも綺麗にしないとね!」
ソフィーはアトリエに戻り、オスカーを洗い出す。
「ハロルさんの銃も、実用まであと少しなのかな……」
オスカーはそう呟きながら、汚れた服を脱ぐ。
ソフィーもピッカピカになった服を脱いで、ベッドに乗せる。
そうしてハダカ族になる時に、赤ちゃんの事を思い出した。
……まだぷにちゃんには渡していない。
……今日はそうするつもり、と伝えただけだ。
……来週くらいに、ぷにちゃんが引き受けられるくらいの大きさになる。
……その時に、赤ちゃんを渡す事になるんだ……
「ソフィー?」
固まったソフィーに、オスカーが声を掛ける。
「あ、あはは……ちょっと深刻な考え事してた……」
ソフィーはオスカーの座る暖炉の前に行き、ふわふわコットンを手に、井戸水の桶を見る。
「深刻な考え事……生理が来た……とかか?」
オスカーは考えるポーズをすると、いつものトーンでそう言った。
「いや……ぷにちゃんが言うにはね、子供が出来てるんだって」
「お!?おおお!?本当かソフィー!?」
いつものトーンじゃなくなって、オスカーがソフィーを見る。
そしてそれは、喜びの声だった。
「喜ぶよね……ぇ……」
ソフィーはオスカーの身体を洗い出す。
事情を話しながら、オスカーと夕食を作る。
オスカーはカフェで働いた時に、レオンさんに作ってもらった服を替えの服として、アトリエでは着てる。
その服のオスカーと、いつもの格好のソフィー。
「あたし、赤ちゃんは嬉しいんだけどね。錬金術を止めたくないんだよね。それで、ぷにちゃんに渡す事に決めたんだ」
ソフィーはそう伝える。
妊婦さんしながら……
さすがに旅先で、魔物の巣に突撃してる訳には……
行かないと思う。
「考えたら、いずれオイラとソフィーは……別の旅をする、って決めてたもんな。オイラも……いずれ旅立つつもりなのに、無責任に喜んじまったけど、そうやって渡せるのは……いい事なんじゃないか?」
オスカーは夕食を食べながら、そう話す。
「いい事かな?」
ソフィーは尋ねる。
「だってさ、もしぷにちゃんが子供を引き取ってくれないとしたら……妊婦さんするしかないじゃないか?そうなったら……錬金術を止めるしかなくなるんじゃないか?」
オスカーはそう話す。
……言われてみればそうなる……
ソフィーもスープを飲む。
「オスカーは……賛成してくれる?」
少し間があって、ソフィーはそう聞いてみる。
「オイラも、子供よりもソフィーと旅をしてるのが、今はいいからな。自分勝手だけど……賛成なんだよな」
オスカーはそう言うと、夕食を食べ進める。
「でも、それって結構……薄情じゃない?」
ソフィーはそう言うと、スプーンを置いた。
……子供が産まれるって……
なんか不利だと思った。
「まあ、薄情だよな。でもオイラ、植物と話ができるだろ?その上で八百屋なんてやってるからな……オイラの命も含めて、特別な命って無いと思うんだ。そして、ソフィーのお腹の子供も、特別じゃないから……タイミングが悪かったんだと思うな」
タイミングのとこだけ、やたらカチンときて、ソフィーはオスカーを睨む。
タイミングの前に……
なんて言ってたのか……
そんな事は頭に残らなかった。
「タイミング?タイミングが悪かっただけで……産まれて来れないんだよ?」
涙をこぼすソフィーに睨まれながら、オスカーはそれでも夕食を食べ進める。
「……いや、タイミングが悪かっただけで、死なないといけない命ばっかりだろ?産まれた場所が悪いだけだったりさ。この人参だってさ……畑に産まれたばっかりに……なんて言ってたらキリがないぞ?」
人参とソフィーの子供が同列なのは……
オスカーもどうかと思うけど……
ソフィーは子供を産みたい育てたい……
なのかとも思う。
「……オスカーの意見は分かったよ。……なんか久しぶりに感情的になっちゃった……」
ソフィーは夕食も途中に立ち上がり、また座る。
……いつ以来だろ……
こんな気持ち……
「オイラも、もう少し考えないとだな……」
オスカーもスプーンを置いて、アトリエの窓を眺めた。
オスカーは帰り、ソフィーは夕食の途中のテーブルを見つめる。
……嫌な気持ちがぐるぐるしてる……
涙がぼろぼろこぼれる……
「ソフィー?」
本棚からプラフタが出てきた。
「涙もろいから……涙が出てるだけ……あたし……赤ちゃんが可哀想とか……思ってないんだ……なんかそれが……気持ち悪い……」
ソフィーはそう言って、夕食の途中のテーブルを睨むように見つめる。
オスカーの分はちゃんと食べられていた。
「………」
プラフタは言葉もなく、窓の側の机に着地する。
夜になって……
ソフィーは言葉もなく後片付けをする。
プラフタも着地したまま、窓の側に居る……
そして夜が更けると、寝間着にケープ姿の、コルちゃんがやって来た。
プラフタは、すぐ側の窓にぱたぱたと浮かぶ。
「ソフィー……コルネリアが来ましたよ?」
プラフタはパタパタと飛び上がり、ソフィーはため息を付いた。
「はああぁぁぁぁ……息苦しかったぁ……」
そしてはぁはぁし出して、呼吸を整えると、ドアへと行く。
「……やはりソフィーさんは、起きてましたか……」
いつもの感じとは違う、肌襦袢に金の刺繍の紫のケープ、髪を下ろした格好のコルちゃんがアトリエに入る。
「なんか、凄いオシャレ……しかも可愛い!」
テンション低かったソフィーも、急にテンションを上げる。
プラフタもパタパタと2人の間に入って来た。
「いつもよりも大人の女性、と言った風情ですね」
息苦しい空気もどこへやら、オシャレな出で立ちのコルちゃんの服装に、ソフィーとプラフタは夢中になる。
「ごめんねプラフタ……息苦しくしちゃって……」
ともかく、息苦しい空気からは解放されて、ソフィーはホットミルクを2つ用意する。
いつか使うだろうとか言って、余らせてる錬金術の材料なんだけど……
「ソフィーさんもお悩みでしたか……私も気持ちの上で整理出来なくて、ぷにちゃんを……頼ろうと思って、来たんです」
ソフィーとコルちゃんでプラフタを見る。
コルちゃんは、ロジーさんに言ってないそうだ。
「……産むにしろ渡すにしろ、笑顔でいられない選択ならば、するべきではないかと思いますが……」
プラフタはそう言って、ベッドに着地した。
「ぷにちゃんなら……笑顔になれる理由とか、ありそうなので……頼りに来たんです」
そう言ってホットミルクを飲む。
ソフィーも口をつけた。
そしてぷにちゃんの部屋へと行く。
プラフタはため息をついて、ベッドに寝た。
……アトリエの中、ベッドの上に開いた本が置いてある……
そんな感じで。
棚の廊下、番人ぷにちゃんは皆揃って寝てる……
2人はハダカ族になって、ぷにちゃんの部屋のドアを開ける。
「よく来た……ストックの時間は28時間だ……」
ぷにちゃんは口を開く。
ソフィーとコルちゃんはその口の中、舌の上に座る。
「赤ちゃんの事なんだけど……」
ソフィーが思いを伝える。
「赤ちゃんを渡すのに……やたらもやもやします……渡すのは決まっていますが……この気持ちはどうしたら……」
コルちゃんの方が、しっかりしてた。
「母親とは……そうしたものだ……もし我が……猿から子を奪おうとしたなら……犬から子を奪おうとしたなら……決して理解はされない……だろう……本能は……子を手放す事を……良しとしない……人間も……本能が許さぬ……だろう」
ぷにちゃんは答える。
生き物としての、本能。
「なら、どうにもならない……ですか?」
「だが……子を死なす……事は良くある。猿であっても……悲しみの果てに……次の子を迎える……ソフィー……コルネリア……子を我に託しても……その子は死なないぞ?……我の人格の1つとして……生きる……それは不幸な事では……ないぞ……」
ぷにちゃんは答える。
……そうだ女の子の赤ちゃんだから……
死なないのだ。
「それは安心するのですが……欲を言うと……赤ちゃんも欲しかったり……」
コルちゃんがそう思う。
「それも……我に捧げても……翌月にはまた……子を為すだろう……だが……子で膨らんだ腹では……旅に不都合だと……ソフィーも……コルネリアも……思っている……そして……生活を……曲げたくないと……思っている……どちらの生活を選ぶか……決めねばならないの……ではないか?」
「あ、あたしも……翌月には子を為す?」
ソフィーが尋ねる。
「ソフィー……お前の卵は……ちゃんと……人並みに……持っている……翌月には……出会いを求めて……出てくるはずだ」
「ご、500個くらい?」
「……そのくらいだな……栄養状態も良い……卵も……元気に1つ1つ……膨らむだろう……」
「あの……若い女の子の人格は、ひょっとしておばあちゃんの子供なの?」
ソフィーはふと思って聞いてみる。
「それは……我は知らぬ……おそらく……記憶を……封印……されているな……錬金術で施した……封印ならば……錬金術で……解く事も出来る……かも知れぬ……名前も……知らぬのだ」
ぷにちゃんは答える。
錬金術による封印……?
そしておばあちゃんの名前……確かに誰も口にしない。
そして、お墓にも名前は刻まれていないのだ。
「封印……ですか……ちょっとこの部屋に秘密がありそうです……」
コルちゃんはぷにちゃんから抜け出す。
抜け出そうと思えば、ぷにちゃんは出してくれる。
ソフィーとコルちゃんは壁を見て歩く。
床も……天井も……でもそれっぽい物は見つからなかった。
「そういえば、おばあちゃんの記憶って……すごく断片的なんだよね……」
ソフィーはふと、そう思う。
ここには、ゲームには無い、勝手に付け加えた設定を書いておく所。
[エロエロ]
心身共に疲れる日もある。
[番人ぷにちゃん]
棚に住む、頭くらいの大きさのプニプニ。顔がない。そして沢山居る。どんどん増える。
[スッキリシャッキリのポーズ]
実は番人ぷにちゃんも、ポーズを決めていたりする。人の形に変形する事も出来るみたい。
[台本を起こす]
フリッツさんの知ってる色々な物語。キルヘンベルの本屋さんにも、物語が多数あるので人形劇用に仕立て上げるだけなんだそうだ。
[クオリティーの低い人形]
ゲームで言うと、妖精の道標にくっついてる人形みたいな感じ。
[ホルストさん人形]
あのクオリティーでホルストさんが済まし顔。
[蛇の草]
肉厚なヘンテコな草。しかも硬い。煮ると凄く柔らかくなる。少し甘い香りがする草。
[ガーゴイルが花の香りを楽しんでる]
蛇の花を頭からパクっとやるんだけど、食べる訳ではなく、パクっとするだけ。これが、香りを楽しんでるのだとか。
[アポステルが空を見上げている]
ガーゴイルもアポステルも、猫みたいに可愛い小悪魔。ぽ~っと口を開けて空を見てる姿は、可愛すぎる。
[凄い数の赤プニがころころしてる]
ころころしてる赤プニは、こちらから殴りかからないと戦闘にならなかったり。魔物なのに平和な感じの赤プニが多い。
[ふわふわの苔]
ビロードのクッションのよう。
[魔物避けの聖水]
街道で効果を発揮する聖水。街道から離れていると、効果が出ない。
[免罪符]
街道で使うと魔物が街道から離れて行くお札。街道から離れると、効果が出ない。
[滅ぼされたマナの柱から魔物が出てくる]
マナの柱は魔力を発生させる。焼かれたりして滅んだ場合は、魔物を発生させるようになる。
[赤プニ汚れ]
ぺとぺとしてる。ベリー的な香り。
[ストックの話]
止める時間を調節できるようになり、余った時間をストックする。
[赤ちゃん]
産まれたばかり。
[ぷにちゃん]
ソフィーのアトリエ、地下室に在るマナの柱の愛称。
[記憶を封印されている?]
なんかそんな感じがするらしい。
[おばあちゃんの名前]
ソフィーのアトリエDXでは、モニカがラミゼルと話すのだけど、無印では出て来ない。結構活躍していたらしいのだけど……