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錬金術のアトリエ 27
「プラフタ~、行って来るね!」
朝7時になって、ソフィーはアトリエを出る。
完全カフェ遅刻の時間だけど、ゼッテルの仕上がりの都合でこうなった。
……仕込む段階で分かってはいるのだけど、どうにも……
ついやっちゃう的な感じだ。
そしてソフィーはカフェに向かう。
「やっと来たわね」
カフェの前に到着すると、みんな既に居た。
しかもカフェの外で……
「あれ?フリッツさんも。おはようございます」
ソフィーは挨拶する。
……ひょっとして、一緒に来てくれたりするのだろうか?
……そんな事を考えながら。
「恥ずかしながら……人形劇では生計が立たなくてな……また冒険者稼業をしようと思ったのだが、1番熱い所まで行くパーティーとなると、ソフィー……君のパーティーだった、という次第でな……」
フリッツさんがそう説明する。
「頼もしいメンバーが増えるって事ですか?大歓迎ですよ!」
ソフィーは喜ぶ。
フリッツさんの手を取って小躍りを始めた。
「フリッツさんが来てくれると、傭兵ならではの植物や虫なんかの知識もあるから、頼もしいな」
オスカーが言う。
誰も反対してなかったみたいだし、すんなりとパーティーに1人増えた感じだ。
「ともあれ、今日はどこに行くのかな……そこがまだ分からなくてね」
ジュリオさんが尋ねる。
「そうそう!ソウルストーンが必要で、大地の傷痕に行きたかったんですよ!」
ソフィーはそう答える。
「じゃあ、大地の傷痕の依頼を探して貰いましょう。大地の傷痕ってどこにあるのかしら?」
レオンさんを筆頭にカフェに入る。
モーニングのサービスも8人前……
「ホルストさん、8人分もサービスして大丈夫なんですか?」
ソフィーが尋ねる。
「はい、依頼も8人分ですからね。全然平気ですよ?それどころか、依頼の手間賃で私はほくほくですよ。……ですが大地の傷痕での依頼、となると少し寂しい所がありまして……途中になる彩花の園の方に調達してきて欲しい物がある……と、言った所ですねぇ」
依頼を受けてモーニングのサービスも食べて……そしてソフィー達と錬金荷車2号は、キルヘンベルを出る。
「昨日は夜に雨だったから、エリーゼお姉ちゃんと一緒に錬金術生活してたんだよ~……」
ソフィー達は北へと向かう。
レオンさんと仲良く話すソフィー、ジュリオさんに相談してるコルちゃん、思い思いに歩く旅の道。
…………
「傭兵生活って、長かったんですか?」
モニカがフリッツにそう尋ねる。
「ああ、ほとんどの人生が傭兵だったからな……人形劇と妻と出会えてからは、気ままな旅人となったが、しがらみは幾つかある……そんな所かな」
フリッツはそう答える。
「しかしモニカ……君の髪は実に素晴らしい色をしているな。……などとこのようなオジサンが言うと、イヤらしく聞こえてしまうのかも知れないがな」
フリッツはそう言うとニカッと笑い、荷車を少し離れて歩くオスカーの所へと走り出した。
「イヤらしく聞こえてはなかったけど……」
モニカはそんなフリッツを見送る。
…………
……そんな道、お昼には岩こぶ山の麓、ハロルさんが好む、美味しい虫が沢山採れる。
手前の街道沿いの森の芋と合わせて、お昼ごはんにする。
「4枚花の芋か……懐かしいメニューだな……色々と思い出してしまう」
フリッツさんがしみじみと語る。
駆け出しの傭兵生活の中で、戦死してしまったけれど、やたら臆病な傭兵がよく探して来たのが、この4枚花だったそうだ。
そんな話を聞きながら、お昼を食べた。
……それより更に北へと行き、彩花の園へと辿り着く。
依頼品の花のタネ探しをしたり。
蛇を捕まえたり。
そして更に北へ。
大地の傷痕に到着したのは夕方だった。
ソウルストーンは高い所に転がっているらしいけれど、先に夕食にする事にした。
「……しかしこの荷車は凄いな。こんなに大きさに見合わぬ軽さをしている荷車だと、錬金術の凄さ、というものも解るという物だな」
オスカーとハロルさん、レオンさんとモニカ、コルちゃんが夕食の準備をする中、フリッツさんがしみじみと話す。
落ち着いた、優しい声。
「えへへ、でも皆で作ったんですよ。1号はホルストさんが日々貸し出してるみたいですけれど、役に立っているといいのですけど……」
ソフィーは荷車に付いてる羽に手を伸ばす。
届かない所に付いてる羽。
手を引っ込めて笑う。
「それと、これほど女性の多いパーティーとは思わなかったな。華やか過ぎて眩しいくらいだ。それに、それぞれ頼りになるみたいで、驚く事は多いな」
フリッツさんは、夕食の準備をする5人を眺めて微笑む。
「プラフタも、仲間に入れて旅がしたいんですけど……ああああああっ!」
ソフィーはそう言い掛けて、急に閃いた。
メクレットとアトミナ……
彼らみたいな人形を作ってプラフタの魂を移せたら!
「イキナリみ、耳許で……どうしたと言うのだっ?」
フリッツさんは怯む。
夕食準備の5人組も、ソフィーを見る。
「人形を作ってプラフタの魂を移せばいいんですよ!?そうすればプラフタはより人間に近くなりますし、錬金術でできる範囲だと思うんですよね!」
ソフィーはガッツポーズをする。
「それは……面白そうな計画だな。人形師として聞き流してはおれんな……それに魂の器に足る出来映えの人形を作らないといけない訳か……面白い!実に面白いぞ!」
フリッツさんも笑い出した。
「……夕食、もう出来るぞ~……」
オスカーが2人に虚しく声を掛ける。
ともかく、夜はソウルストーンを目指して大地の傷痕、穿たれた痕へと登る。
その途中……
カイゼルピジョン、グスタフと言う鳥の魔物との戦闘になった。
「コル助!」
鉄壁の防御に変異物質の回復……
と、思いきやそれをあっさり貫くあまりの火力に、コルちゃんが倒れる。
HPバリアを抜かれると、魔法が弾けて気を失う。
「これは……こちらも面白くなってきたな!」
フリッツさんがテンションを上げて笑う。
こういう時、ジュリオさんとモニカ、レオンさんのやる気もみなぎってくる。
しかもこのカイゼルピジョンにグスタフ、タフなのだ。
ソフィー達のダブルアタックも2回耐える。
……それからも、この鳥の魔物との戦闘になる。
ソフィーとコルちゃんが時折HPバリアを抜かれながら、穿たれた痕へと登る。
何とかギリギリで倒せている感じだ。
山師の薬とリフュールボトルをやたら使う。
ソフィーとコルちゃん以外はタフなので、そうそう抜かれない。
なので、パーティーとしては勝てる相手だった。
「うわぁ~……何この景色!」
星の眩しい夜に、穿たれた痕へと登ると、もうカイゼルピジョンもグスタフも居ない。
そして高い場所だけに絶景なのだ。
「凄い宝石ばかりだわ!ここ!」
そして魔物の居ない採取生活。
ガラスの破片、蒼剛石、ソウルストーンと……
やたら高品質なのが、じゃんじゃか採れる!
「これは……ロジーさんも大喜びしますね」
少し苦労して登った、錬金荷車がたちまち満たされて行く。
「チッ……別れてなかったのか……アイツは宝石が好きなのか?」
ハロルさんも、ひょいひょいと石を入れて行く。
「宝石……というよりは鉱石が好きなのですけれど。石マニアみたいな所がありまして」
コルちゃんは、ネコの目で微笑む。
「まあ……あまり興味はないがな」
ハロルさんは、その顔を見る事もなく石を探す。
「私はあのドーテーヤローを、凄い男にするのです。もう随分と変わって来ていますよ?」
コルちゃんは、そう言うと笑う。
もうすでに鍛冶屋としても、目つきが変わった感じもするし、そろそろ近くだけをフィールドワークにするパーティーは卒業……
かも知れない。
「……確かに、少し客入りが良くなってるみたいだがな……そのうち俺の銃も預けられるなら、頼もしいんだがな」
魔物の居ない、絶景の採取生活。
ハロルさんとコルちゃんは、石を集める。
「さて、ソフィー……プラフタの魂を人形に移すというのは本気なのかな?」
絶景の中の採取生活……
フリッツさんはソフィーに問いかける。
「もちろん、本気ですよ!方法も何も無いんですけどね……」
ソフィーはガッツポーズをする。
「人形師として、人形を作る事は出来るからな。だが魂を移す方法、精密な部品は私の領分ではないが……」
フリッツさんに言われて、ソフィーは妖精の道標を取り出す。
「いやでも……こんな感じの人形じゃ、ちょっと……いや……悪くないかも……」
ソフィー人形、ハロルさん人形と……
ソフィーの中でフリッツさんが作る人形のイメージは、クオリティーの低い、だけど可愛い人形だった。
人形劇で活躍する人形も、こんな感じだし。
「……ふはっ!はっ!はっ!はっ!なるほどなるほど!それは人数分配る物だったからな!そのくらいの出来映えで良かろう、としたのだ。プラフタの魂の器たる人形ならば、本格的な物を設計図から作る。案ずるな」
フリッツさんは大笑いして、そう話した。
人間と見紛う程の人形も作れるし、その為の作業台なのだそうだ。
「さっきから随分と仲がいいじゃない?」
レオンさんがやって来た。
ジュリオさんとモニカが、あまりいい雰囲気だったから、逃げて来たそうだ。
「プラフタを人形に、という話をしていてな。久しぶりの本気の仕事の予感に、年甲斐もなく燃えている所だったのだ。そうだ!その人形の服は……」
フリッツさんは、レオンさんに手を伸ばす。
「人形だろうと服は服よ。任せて!そこが得意なんだから!」
レオンさんはその伸ばした手を握る。
「……まだ設計図も起こしていないのだがな。身体のライン、背丈なども相談に乗って貰えると助かるな。オジサンの趣味で出来上がってしまうのも、偲びないだろう」
フリッツさんとレオンさんで、凄くノリノリだ。
「でも、人形を動かすのって大変よ?……まあ、そういう悩みは後にして、今は鉱石に集中しないといけないんじゃないかしら?」
「そうだったな……しっかり働かなくてはな」
採取生活は続き、回復した所で、わざわざカイゼルピジョン達に挑む。
ジュリオさんとモニカ、フリッツさんの戦士魂に火がついたみたいで……
そしてまた穿たれた痕で採取&休息。
荷車も一杯になったので、朝日を拝んでから妖精の道標で帰る事にした。
「これは……ここまでの錬金術だったとは驚きだな、ソフィー。なるほど人形に魂を移すなどと言い出す訳か」
妖精の道標で帰るアトリエ前。
フリッツさんは高笑いする。
「魂を移す……?ソフィー、そんな錬金術まであるのかい?」
ジュリオさんが食いついた。
「いやぁ~……それが出来たらいいな……ってだけで方法とかはさっぱりなんですよね……」
ソフィーは頬を掻く。
「でもそれなら役に立てるかも知れないな。魂にまつわる道具、という事になるだろうからね」
ジュリオさんはそう言って微笑む。
「ほ、本当ですか!?」
ソフィーは驚いてジュリオさんを見る。
「ちょっと知り合いに尋ねてみるよ。きっと収穫はあると思うよ」
……なんかトントン拍子で話が進む!
……これはもう、プラフタを人間にするしかない!
ともかくアトリエにソフィーの取り分の素材を入れて、モニカとコルちゃん、ソフィーを残して皆は帰って行く。
荷車2号一杯の宝石……
キルヘンベルが本当にキラキラしてしまう予感がする。
特にレストランが更に眩しくなる事は、請け合いだ。
「プラフタ、ただいま~♪」
朝10時の晴れたキルヘンベル。
3人はアトリエに帰る。
「おかえりなさい、ソフィー」
アトリエに入ると、プラフタが飛び上がる。
「いや~……魔物が凄い強かったよぉ……」
今回のカイゼルピジョンを思う。
竜鱗の守りを付けたのはソフィーだったけれど、そこを抜かれるという恐ろしい攻撃力だった。
取り敢えずコルちゃんに、竜鱗の守りを付けるのは急務だろう。
「そんな危険な場所だったのですか……」
「私とソフィーさんが打たれ弱いだけかも知れないですけれど……」
そんな話をしつつ、ぷにちゃんの部屋へと行く。
「よく来た……あと29時間あるな……」
「そういえば……何かぷにちゃんに聞きたい事があったんだけど……なんだっけ……?」
ソフィーは思い悩む。
「ふむ……マナの柱の力を受けた者が……他のマナの柱に干渉する……話ではないか……?メクレット……アトミナ……の事だな……」
ぷにちゃんがソフィーの情報を読んで、思い出してくれた。
「そうそれ!それ!」
「ぷにちゃんが思い出してくれるのね。ソフィーがおとぼけでも大丈夫なのね~……」
ハダカ族モニカは、ハダカ族のソフィーを眺める。
白いキラキラのぷにちゃんの中で見ると、やたらキラキラして見える。
「えへへ……考える事が多過ぎて」
ソフィーは宙に浮かぶようにして、ぷにちゃんの中で遊ぶ。
そう思えばそうなる。
今やソフィーの背丈の10倍ぐらいあるから、めっちゃ遊泳できる。
「マナの柱によるな……他のマナの柱は、我と同じ……ではないから……な……男でも干渉出来る……物もあるだろう……」
ぷにちゃんも、あまり詳しくないみたいだった。
他のマナの柱の干渉された人、との干渉が無かったのか、それとも封印された記憶の中にそれがあるのか……
ともかくソフィーとコルちゃんで、モニカに甘えて眠る事にした。
「次は双葉の日の朝に旅立ち……ゆっくりなのね」
アトリエ前で、そう話す。
「装備品作るのが間に合ってない感じするし……種の日に出発するのは避けたいもんね」
ソフィーはモニカの髪に指を通す。
サラツヤ過ぎて指が心地好い。
「種の日は人形劇の日ですし……お休みでもお店が忙しかったりもしますので、退屈はしないです」
コルちゃんもモニカの髪を撫でる。
「化粧品も、改良点の要望集まってるから、作り直したいもんね」
ソフィーがふと思い出す。
やりたい事が多すぎる……
「それは、私も一緒にやりたいですね」
プラフタもパタパタとソフィーの肩辺りを飛ぶ。
「プラフタも歓迎だよ。今からやる?どうせ1時間もあれば出来るけど」
ソフィーはコルちゃんを見る。
「メモがお店なので……明日がいいです」
ソフィーとモニカ、コルちゃんで話すアトリエ前。
そしてモニカもコルちゃんも帰って行く。
「さて、錬金術生活しますか!」
ソフィーはアトリエに戻る。
「シルヴァリアは作れるようになったのですか?」
プラフタも、パタパタと動き出す。
「ソウルストーンもバッチリだよ。品質も凄くいいのがごろごろしてたんだけど、そこまでのカイゼルピジョンが険しかったんだよね~……」
ソフィーの錬金術生活が始まる。
まずはシルヴァリア作成の時に、持たせたい特性を付けたゼッテルの作成。
6時間だ。
「エリーゼお姉ちゃん来るかなぁ……お昼ごはん用意するけど……」
ソフィーは窓から外を眺める。
6時間待つのは、なかなか長い。
「今日のエリーゼは、朝の暗いうちにアトリエを出ましたね。本の直しをするので本屋に籠ると言ってましたから、来ないと思われます」
「……1人で食事かぁ……」
ゼッテルが16時に仕上がり、そしてシルヴァリアの作成。
9時間と長い。
「明日は武器屋も行かないとだなぁ……」
……いいかげん、武器の話もしないとだ……
そしてアトリエ前で杖の素振りとかしてる夜に、オスカーがやって来た。
「お?なんか素振りとかしてるなんて、珍しいじゃないか」
ソフィーを安心させる、おとぼけボイス。
しかも9時間も浸け置きあるから、ゆっくりラブラブ出来そう……
と、ソフィーは企む。
「えへへ、新しい武器を作るに当たってね。1番の火力不足はあたしなもんで……それにこの杖、長すぎるとかロジーさんに言われてるし、でもこの長さで慣れちゃってるし……」
ソフィーは杖を振り上げて、その杖を眺める。
「なるほどなぁ……」
「オスカーは本屋さんから?」
「ああ、今日はソフィーを苛めたくてな。エリーゼさんも、今日は本屋で寝るってさ」
「空いちゃったもんね。プラフタ居るけど、気合い入っちゃうかも!」
ソフィーはオスカーとアトリエに帰る。
「ソフィー、もうシルヴァリアの仕上げの時間ですよ」
「はうぅっ……ありがと、プラフタ~……」
夜中の0時……
ソフィーは、へろへろと起き出して、ベッドを降りると尻もちをついた。
「……子供が居たとしたらどうなっているのか……気になる所でしたね……」
プラフタはそう言ってパタパタと錬金釜へと向かう。
「大丈夫か?ソフィー?」
オスカーも起き出す。
「へへへ……大丈夫大丈夫」
「まあ……ぷにちゃんを頼っておいでよ。その前に錬金釜に向かわないと、なのかい?」
オスカーは身体を拭いて、いそいそと服を着る。
「一応、1時間前に起こしましたので、あと1時間猶予がありますよ」
「ちょっと出てるな」
オスカーは外に出て、ソフィーはよろよろとコンテナに入る。
ぷにちゃんに暖められてマッサージされて……
すっかりスッキリシャッキリして、ソフィーが出てくる。
「お待たせ、オスカー」
アトリエから顔を出す。
「相変わらず早いな。なんか雨が降って来たよ」
そしてシルヴァリアの仕上げ。
銀色のインゴットが出来上がる。
「どう?オスカー」
出来たシルヴァリアの1個を渡す。
そしてお茶の時間にする。
「詳しくは分からないけど、硬くて綺麗なんだな……ソフィーの錬金術で出来上がる1品、って訳かぁ……」
暖炉のテーブルで、出来上がったシルヴァリアを眺めながら、素朴な焼き菓子を食べるひととき。
そのまま錬金術生活に入る。
オスカーは、たまには八百屋の手伝いでもしないといけないみたいで、明日の朝に備えて、雨なのに帰って行った。
朝6時……
カフェの依頼品で、お金稼がないと的な所もあるし、武器の相談もしなくちゃ的な所もあるし……
雨の中、ソフィーは出掛ける。
「鍛冶屋ロジックス、注文はコルネリア露店でお受けしますです」
……なんか冒険とか行ってるんだっけ……
ソフィーは張り紙を見て思う。
「コルちゃ~ん……武器の相談なんだけど~……」
貼り紙にもあるし、コルちゃんに相談する。
「おやソフィーさん。武器の注文でしたか。インゴット品とシュタルメタル品で、それぞれ作れますし、ソフィーさんの杖だと……これこれこれこれが必要になるです」
コルちゃんがノートを出す。
もはや予習済みだし、値段やら何やら網羅されていた。
「シルヴァリアって使えないのかな?」
ソフィーは、出来たばかりのシルヴァリアをコルちゃんに見せる。
「シルヴァリアですか……今の炉では扱えない素材ですね。まだ溶けやすい金属でないと……」
そんな所まで予習していたコルちゃんは、あっさりと答える。
シルヴァリアもルビリウムも、商人が扱っている場合もあるので、鍛冶屋業界では有名な金属なのだそうだ。
「そっかぁ……シュタルメタルを作らないとかぁ……」
ソフィーは考える。
炉の都合……
そんなのが変わるのは、明日明後日の話じゃないだろうし……
やはり武器は作らないと、強敵世界に行けないし……
「それよりも木の部分ですが、苔むした流木が必要になるです。結構前に調達しただけの素材ですから……今はコンテナにも1つしか無かったですし、その1つもなんか……しょぼしょぼでしたよ?」
さすがぷにちゃんの部屋に通ってるだけあって、その途中にあるコンテナ事情に詳しい。
「じゃあ、次の旅先は苔むした流木を求めて……どこだっけ?」
ソフィーはガッツポーズをしようとして、コルちゃんを見る。
「温泉の場所とはズレてしまうのですが、山師の水辺……そのあたりで採れる木材です」
「温泉かぁ……また行きたいねぇ……」
……可愛いお猿さん、一面のお湯、一面の湯気……
ソフィーは行った温泉を思い浮かべる。
「山師の水辺も、水着が活躍する場所ですけれど……もふもふモフコットの準備があれば、身体も冷えないんじゃないでしょうか?」
「行きたい所が出て来なかったら、山師の水辺を狙う事にしよっか」
「そうですね。水遊びは楽しいですし、お魚とか貝なんかも食べられますし……」
コルちゃんはそう話して、ソフィーの向こうを見る。
冒険者風の人が、鍛冶屋のドアを眺めていた。
「どうぞ、鍛冶屋のご注文でしたら、こちらで伺います」
コルちゃんは手甲のぶら下がる袖を上げて、ふらふらさせる。
ソフィーはカフェへと向かう。
ふと、レオンさんのお店にフリッツさんが居て、ソフィーはそっちに顔を出す。
「あら、いい所に来たわね」
「おはようございます、レオンさん。フリッツさん」
何でも……
新しい生地を作らないと、プラフタの服とか出来上がらないそうで、レシピを貰う。
「レシピがあるなら、出来ると思います。それと次は山師の水辺に行こう、なんてコルちゃんと話していたんですよ」
「山師の水辺!?そこならアダールクロス、急いで欲しいわね……新しい水着を作るのにも、その素材があったらステキなのよ……」
伸縮性の高い布、アダールクロスのレシピと、注文を貰う。
そしてカフェの依頼を見に行く。
「おはよー、ソフィー♪そして、いらっしゃ~い」
今日は果実の日。
テスさんがご機嫌だった。でもお客さんは居ない……
「ソフィー、朝食は食べましたか?」
ホルストさんがにこやかにグラスを拭いている。
「へへへ……食べてなかったり……」
「ソフィーの錬金術を見込んで、ちょっとお願いがありまして……なのでモーニングはサービスしますよ。食べて行って下さい」
「いいんですか!?」
ソフィーはカウンターに座る。
「実はシュタルメタル……ですか。あれで武器を1つ調達したくて……冒険者からの頼まれ事なのですけどね……」
カリカリトーストにハチミツ、卵焼きまで出てきた。
「それなら、コルちゃんの露店に登録してあるから、コルちゃん露店で売ってますよ。それに、ロジーさんの武器屋で武器は作れちゃうから……ホルストさんが行っても、テスさんが行っても買えますけど……コルちゃん露店に相談すると、詳しいですよ?」
ソフィーはそう言って朝食を食べる。
「なんと!今やそんな事になっているのですか……早速行ってみる事にしましょう」
少し古びた感じのスプルースの調合、友愛のペルソナに買い手があるみたいで、その依頼を受ける。
そして八百屋で食材の買い物をして、アトリエに帰ると、エリーゼお姉ちゃんが来ていた。
「エリーゼお姉ちゃん、いらっしゃい」
プラフタと話しながら、暖炉のテーブルで本の直しをしていた。
「仕事を持ち込んじゃってごめんなさいね。プラフタにアドバイスとか貰えたらなって」
「あはは、大丈夫ですよ。でも錬金術の師匠なので……これからアダールクロスを!調合します!」
ソフィーはレオンさんに貰ったレシピを取り出す。
「では、ちょっと錬金釜の方に行って来ます」
プラフタが錬金釜の方に来た。
「エリーゼお姉ちゃんの方は大丈夫なの?」
ソフィーはエリーゼお姉ちゃんの居る、暖炉のテーブルの方を見る。
「エリーゼは慣れた手つきで、自分でやっていますので。ですがこういう所を見るのも勉強になりますね。さて、レシピ構築……既に出来上がったレシピのようですね……」
ソフィーとプラフタで錬金釜の前に。
そしてアダールクロスを仕込む。
仕込んでしまえば後は待ち時間。
……6時間だ。
出来がいい、ジャンボサイズで2枚出来る予定だ。
そしてエリーゼお姉ちゃんの本の直しを見つめる。
掠れてしまった文字を、古代の石板クレヨンでなぞって濃くする。
「クレヨンはいい感じ?」
ソフィーは尋ねる。
「沢山あって、どれも違う調整だったからかしら……この本にピッタリなのもあって、重宝してるわ」
エリーゼは答える。
地味な作業だ……
「プラフタの言った通りだね~……」
ソフィーはそう呟いて、机の上に立って……
時おりカタカタしてるプラフタを見る。
「エリーゼの本屋も、これから直す本達も見ていますからね」
カタカタしながら、プラフタは答えた。
そんなこんなでまったり過ごす。
そして14時、アダールクロスの仕上げだ。
「よし!出来たよジャンボサイズ!」
早速レオンさんの所へ持って行く為、ソフィーはアトリエを出る。
「相変わらず、慌ただしいのね」
「まあ……それがソフィーの良いところですので……」
そんなソフィーを、エリーゼとプラフタは見送る。
「出来ました!」
ソフィーは駆け足でレオンさんの店へ。
そしてジャンボサイズキラキラの、アダールクロスを渡す。
「この伸び!やるわねあなた!双葉の日が出発の山師の水辺……!これは忙しくなるわね!」
レオンさんは、アダールクロスをみにょんみにょんしながら言う。やる気に燃える目をしていた。
「プラフタの服の素材でもあるんですよね?」
「……そうだったわね。設計図も出来てないものだから……イメージも出来ないのよね……だから今はまだ燃えられないんだけど……じゃあ、2枚貰っちゃおうかしら」
プラフタの服については、そんなに燃えていないみたいだ。
イメージが湧くと燃え上がり、イメージが湧かないと燃えない感じ。
「はい!お願いします!」
「先ずは水着!そして設計図にもよりけりだけど、プラフタの服と……レオンさんの腕の見せ所ね!」
そしてソフィーは、アトリエに帰る。
「ただいま~……」
16時……ぼちぼち夕方だ。
エリーゼお姉ちゃんはお昼過ぎくらいに帰ったみたいで。
「おかえりなさい、ソフィー」
プラフタがお出迎え。
「よし、武器に使いたいシュタルメタル……作っちゃおう!」
ソフィーは錬金釜に向かう。
これも6時間だ。そして錬金術生活がまた始まる。
ここには、ゲームには無い、勝手に付け加えた設定を書いておく所。
[傭兵ならではの植物や虫の知識]
フリッツさんの傭兵時代には、色々と植物に詳しい人とか虫に詳しい人が居たみたいで。根っこが食べられる草とか、薬になる根っことか、虫とかキノコとか。オスカーの知らない事も結構あったりする。
[モーニングのサービス]
ホルストさんのカフェのサービス。依頼って儲かるみたい。
[美味しい虫]
蜜でお腹をパンパンにしてるアリさんとか、焼くと美味しいだんご虫とか。
[4枚花]
香りが強くて、なんかふんわりな気分になれる。
[錬金荷車1号]
ホルストさんのカフェで貸し出したりしてるけど、主に噴水広場に出張って来る露店として活躍してる。
[錬金荷車2号]
ソフィーの冒険のお供として頼りになる相棒。眠りながら移動出来るのも素敵。
[HPバリアを抜かれる]
戦闘不能になる。でもケガとかしないで済むので、魔法バリアってすごい。
[レストラン]
女性向けのお食事処。エルノアさんの飾り付け魂により、キラキラしてる。
[ぷにちゃん]
ソフィーのアトリエにある、マナの柱で魔力の源泉。強力な魔物も、キルヘンベル近辺に来ると青プニとか緑プニにされるとか。
[マナの柱]
魔力の源泉。そこかしこにあるみたい。
[ハダカ族]
服を着ていない状態。
[お猿]
なんかイヤらしい顔をするお猿。でもでかいから、ボス猿かも。けどソフィーよりちょっと小さいけど、めっちゃがっしりした体格で、皮膚とか硬い。
[温泉]
腐ったタマゴの臭い。
[少し古びた感じのスプルース]
木材の依頼だけど、ちょっと細かい注文があったりする。
[古代の石板クレヨン]
ちょこっと調合品。使えるやつみたい。