☆
錬金術のアトリエ 30
「朝ですよ、ソフィー……」
種の日の朝。
プラフタはソフィーを起こす。
あまり根を詰めても良くないから、オスカーとのラブラブに絞って寝る事になったので、プラフタもゆっくりしていただけだ。
「ん~っ!はうぅ……」
ハダカ族のソフィーとオスカーは起き出す。
昨日は特に絡む事もなく、イチャイチャして眠った感じ。
足取りもしっかりさんだ。
「おお!びよんびよんだな……」
オスカーは、朝勃ちのちんちんを指で左右に揺らす。
「あははっ!も~っ!オスカーケダモノなんだから~っ♪」
ソフィーはハダカ族のまま、錬金釜の方へと逃げて来た。
「……これ、なんでだろうな?オイラすっげえ冷静なのに、こうなってる時って不思議なんだよなぁ……」
オスカーはいつものおとぼけボイスで、ちんちんみつめながら、のそのそ歩く。
「オスカーは、早く服を着て下さい!私も居るのですよ!」
プラフタは、ソフィーの近くをパタパタする。
プラフタ的にも慣れてきた感じはあるけれど。
「お……おお、そう言われてみればそうだな……」
オスカーは、のそのそと暖炉前へと行く。
「ソフィーも、服を着て下さい……」
「え、えへへ……」
2人は服を着る。
「じゃあ、出発~!」
ソフィーは、もふもふモフコットに包んだプラフタを抱えて、オスカーとアトリエを出る。
そして、アトリエに鍵を掛けた。
「なんか、赤ちゃん抱いてるみたいだよね~……」
そして歩き出す山を降りる道。
ソフィーは呟く。
「……それはプラフタに失礼じゃないか?錬金術の師匠なんだろ?」
オスカーが周りの木々を眺めながら呟く。
「オスカーの方が、そういう所を弁えているようですね。ソフィーはそういう、思った事を考えなしに言ってしまう所が良くありません……」
「うう……」
プラフタに怒られながら、広場へと向かう。
朝のお祈りの時間、賑わうヴァルム教会。
ソフィーとオスカーは噴水広場でお祈りをする。
モニカも歌う聖歌が聞こえてきて、ソフィーは目を閉じる。
……やっぱりモニカ、歌声いいよなぁ……
そんな事を思いながら、お祈りの時間を過ごす。
そして噴水端会議。
ハロルさんやらレオンさんやらマルグリットさんやら……
皆集まって、わいわいする時間……
ロジーさんとコルちゃんは、職人さんの集まりの方に居たり。
「こんなに賑やかなのですね」
プラフタがそう呟く。
思い思いに語らう人々の時間。
その後に、人形劇の時間がある。
お祈りの時間のすぐ後に人形劇をしたのは、最初の1回だけだったのだ。
エリーゼお姉ちゃんとパメラがやる、子供向けの人形劇に、ソフィーとオスカー、コルちゃんは演じる側で参加する。
噴水広場の北側、南側で人形劇が2つあった。
エリーゼお姉ちゃんは北側の人形劇。
南側は、芸人師匠と弟子、自警団のお兄さんと一流冒険者が演じているけど、芸人の芸とかもあり、職人さんやおばさんに人気だった。
……むしろ南側のが賑わっている……
そんなこんなでお昼。
カフェごはんして、錬金粘土をコルちゃん露店に登録して……
明日は旅に行く事を伝える。
そしてフリッツさんに錬金粘土を届けないと……
と、エリーゼお姉ちゃんと一緒に歩き、また教会前、噴水広場にさしかかる。
北側の人形劇は午前だけ。
南側の人形劇は午後もやっていた。
……人形劇ではないけど……
笑いを取りまくっていて、コルちゃんはそっちで楽しんでいる。
錬金荷車1号は、相変わらず飲み物を売っていたり、お酒を出していたり。
賑やかなキルヘンベルだ。
そしてフリッツさんの屋敷に。
お昼も一緒だった、エリーゼお姉ちゃんと一緒に歩く。
エリーゼお姉ちゃんはカフェで買い求めた、フリッツさんの分の食事も携えて……
「エリーゼは、フリッツと仲がいいのですか?」
プラフタが尋ねる。
「人形劇の打ち合わせとかするじゃない?食事もせずに人形に打ち込んでるのよね……それで食べ物くらい差し入れてあげないと……ってだけよ?ソフィーは?」
エリーゼお姉ちゃんはそう話す。
「あたしは、この錬金粘土を届けに行くんです。プラフタの人形を作るのに、この素材が必要なんですよ!」
ソフィーは背中の鞄いっぱいの錬金粘土を、エリーゼお姉ちゃんに見せる。
1個でこのサイズなのだ。
でっかい!
ともかく、フリッツの住む民家に入る。
広場に現れなかったフリッツさんは、なんか沢山の紙に更に書き加えていた。
「ふう……あまり包まれているのも、落ち着かなくなるものですね」
プラフタがパタパタと浮かび上がる。
「おお、プラフタにエリーゼ、それにソフィーか。頼んだ物は出来上がったのかな?」
「バッチリ!これです!もうコルちゃん露店にも登録してきました!」
ソフィーは錬金粘土を鞄から取り出す。
「ほほう……」
「フリッツ、エリーゼから食事のお届けもありますよ。まずは食べないと悪くなってしまいますよ?」
プラフタが、パタパタとフリッツさんの目の前を飛ぶ。
「あ、ああ……これはありがたい。どうにも目の前に仕事があると……まあ、いつもの口上だな」
フリッツさんは、プラフタに促されて……
まず食事を取る事にした。
錬金粘土を渡したら、また食事を忘れるのだろうから………
「それと、明日は旅に行く予定なんですけれど、フリッツさんはどうします?」
「ふむ、錬金荷車2号で眠る事をアテにさせて貰って、ついて行く事としたいが……勿論、それでもいいのなら……だな。いや、魔法のねじまきの話をハロル君にせねばならんな……是非とも行かねばだ」
フリッツさんはそう答える。
まあ……大部分の時間は移動なので、寝ていて問題ないけれど……
「じゃあ、また誘いに来ますね!」
ソフィーは元気よく言う。
「すまん!助かる。その変わり、プラフタの人形は任せてくれ。君達の期待以上のものを作り上げてやる」
フリッツさんは自信満々に微笑んだ。
「はい、楽しみに待ってますね!」
そしてソフィーはフリッツさんの屋敷を出ようとして……
もふもふモフコットを手にする。
「プラフタ、どうする?エリーゼお姉ちゃんの所に行く?」
「今日は特性を詰めた装飾品などを、見守らねばなりません。帰ります」
プラフタはソフィーの手の、もふもふモフコットに着地すると、横たわる。
「じゃ!またアトリエに帰るね、エリーゼお姉ちゃん、フリッツさん」
そうして、ソフィーは元気良くアトリエに向かう。
「ソフィーも……楽しみつつ、色々と忙しいのですねぇ……」
プラフタを抱えて帰る道、プラフタは呟く。
広場には、まだコルちゃんが南側で人形劇をしていた。
ソフィーは後ろ髪を引かれながらも、足を止めずに、アトリエへと向かう。
「ダークマターしか作れなかった時は、そうじゃなかったんだけど……これもぷにちゃんとプラフタのおかげかな!」
そうして歩いていると、後ろからコルちゃんが来た。
「ふふふ、アトリエが閉まってると思いまして、ソフィーさんが通りかかるのを待っていました」
「また特性研究……忙しくなるね!コルちゃんも錬金粘土は、増やしづらいんじゃない?」
「あれは厄介ですね。ですが……なんとか都合するです」
コルちゃんは、ネコの目で笑う。
「さすがコルちゃん露店店主!」
「明日は旅に出るです?」
「うん、なんか小悪魔討伐の依頼がね、結構あるみたい。だからそんな突っ込んだ場所じゃないと思うけど……」
「それは楽しみです。ちょっと旅のお休みが長かったもので」
そう話しながら、アトリエへと帰る。
そして錬金術生活……
「全能の力」の特性を纏めた所で双葉の日……
朝になった。旅立ちの朝だ。
「よ~し、行ってくるね!プラフタ!」
ソフィーは朝の暗いうちからアトリエを出る。
フリッツさんの所に寄って行かないとだし……
ソフィーは、爽やかな夜明けのキルヘンベルの景色を眺めながら歩く。
まさに今、夜が朝になってゆく。
そして晴れたいい天気なのだ。
「キルヘンベルの……夜明けぜよ……」
ソフィーがそう呟く時、丁度モニカが居る場所……
広場の前だった。
「……なにそれ?」
モニカがメガネをくいっ、と上げる。
「え?えへへ、なんとなく、ね!ちょっとフリッツさんを呼んでからカフェに行くね!」
ソフィーは、そそくさとフリッツさんの屋敷に向かう。
そして皆で集まるカフェ。
それぞれホルストさんのモーニングを食べる。
「青葉の丘に小悪魔の儀式……それに大星魚の討伐……結構遠くなるね、ソフィー」
ジュリオさんとソフィー、モニカで依頼の相談をする。
行き先はジュリオさんとソフィーにお任せで、コルちゃんもフリッツさんもレオンさんも、ホルストさんから離れたテーブルで食事していたりする。
「遠くに行かないとパワー素材ってないから……遠ければ遠い程アツいけど……魔物もパワフルになるんですよねぇ……」
色々とあーでもないこーでもないして……
結構、東の方角……
静寂の湖畔を目的地とした。
大星魚の討伐だ。
そしてアポステルの儀式……
アポステル討伐は青葉の丘……
黒プニ天国の洞窟がある場所だけど、今回は洞窟の外だ。
錬金荷車2号と、ソフィー達はキルヘンベルを出て旅に向かう……
「ふふふ。見てくださいこれ!あたしの新しい武器を!」
旅の道、ソフィーは荷車を引くレオンさんにフローリッシュハートを見せる。
「へぇ……いつまであの杖なのかしら?とは思っていたけれど、遂に新しくしたのねぇ~……」
「とはいえ、ちょっと急いで作り過ぎた感じがありまして……もっと良い特性が出たから……また作り直しになっちゃうんですよね……」
「全能力ブースト」「攻撃力ブースト」
……と付けている武器だけど、フローリッシュハート作った後に「全能の力」を発見してしまい、悔いの残る1品となってしまった。
「どれどれ、斧みたいな作りだな………」
ハロルさんがその杖を見て、ソフィーの所へ寄って来た。
そして手を出すので、ソフィーはフローリッシュハートを渡す。
「そうなんですよ……強そうでしょ?」
「ふん……軽いし、しっかりした作りだな……これをロジックスで作ったのか?」
「はい!ロジーさんに作って貰いました!」
「レオン……ちょっと荷車変わろう」
ハロルさんはレオンさんにフローリッシュハートを渡し、荷車を引く。
今度はレオンさんがフローリッシュハートを眺める。
「いい出来だわ……まだ拙い所はあるけど、ここまで出来るなら、鍛冶屋としては一流じゃないかしら」
そしてソフィーにフローリッシュハートを返す。
「オスカーのシャベルも作ったんですよ!ねっ!……て……あれ?」
ソフィーはオスカーを探す。
相変わらず1人離れて、植物に挨拶回りしていた。
巡礼街道を抜けて、メーベルト農場へと向かう道。
フリッツさんは、人形の両手の設計図と材料だけは持ち込んでいて、眠ったり人形の手を作っていたり……
「……これは……なんと美しい手なのでしょうか……」
コルちゃんが、その手を見て呟く。
「まだ荒く削り出しただけだがな……女性の手だからな……まだまだこれから……ふふふ」
そんなお昼の野営。
ものの1時間、荷車が止まった時間にしか作業をしていないのに、フリッツさんの仕事は早い。
お昼の野営が終わり、また荷車を動かして移動になると、2階で眠っていた。
「なんか、ああして寝られるとダメ親父な感じがあるわねぇ……」
荷車を引くジュリオさんに、レオンさんがこぼす。
「確かにそうだね。でも、フリッツさんはそれだけプラフタの人形の事を、まっすぐに考えているんだろうね……」
ジュリオさんは、そう言って微笑む。
「すっごく頼もしいですよね!」
荷車1階から、ソフィーが顔を出す。
「おデブちゃんも、まっすぐに考えているわよねぇ……」
レオンさんは、またも離れて植物に挨拶回りしているオスカーを見る。
「あははっ!そうですね!」
笑って、ソフィーもオスカーを見る。
そしてメーベルト農場から有閑広場へ……
森の中の街道に、夜に突っ込む。
しかも雨が降り出した。
モニカが荷車を引いて、ジュリオさんも荷車の1階に乗せられて……
「ジュリオさんを休めるべく、バッチリ捕まえておくです!」
そんなジュリオさんに、コルちゃんとソフィーがしがみつく。
「あたしも!だからモニカ頑張って!」
「……もう逃げないから離れてくれないかな……」
荷車の横で歩くハロルさんは、時折銃を眺めながら歩く。
むしろ雨の中を歩き、それでも銃が使えるのか、そこを研究したいそうだ。
……なんだかんだでハロルさんも、荷車乗らない派だった。
「なんか、皆元気よねぇ……」
荷車の横、反対側をレオンさんが歩く。
そして静寂の湖畔……
24時の到着となった。
雨は長く続いていて、もうずぶ濡れだったり……
「静寂の湖畔!ここに来れるなんて夢でも見てるみたいだ!ダラダラの木!フジフェアリー!アカシアモドキ!巨大な生きる宝箱の中に居るみたいなものだからなぁ!は~っ!はっ!はっ!」
少し離れた場所で、ずぶ濡れオスカーは生き生きと駆け回る。
「……あの倅、いつ活動を停止するんだ?」
ずぶ濡れのハロルさんが、嫌そうな顔で言う。
「あはは……植物の無い場所だと、しおれて大人しくなりますけど……」
荷車2号の1階、ソフィーが顔を出す。
コルちゃんとジュリオさんは眠っていた。
「……じゃあ、ずっとあの調子なのか……」
「時折、目触りよねぇ……」
ずぶ濡れでも涼やかなレオンさんも、ハロルさんみたいに嫌そうな顔をする。
「そうなんですよねぇ……」
そこに荷車を引く、ずぶ濡れモニカも加わった。
「夕食にしようよ……コイツでさ!」
なんかソフィーの顔くらいの大きさの種?
……を、拾って来る。
やたら遅い晩ごはんだけど、皆揃ってお腹減ってるし、街道を離れて静寂の湖畔に突撃する前に、野営にする。
「これは……なんなの?」
ソフィーが尋ねる。
「フジフェアリーの種だよ!沢山落ちてるけれど、ずっしりしてるヤツは珍しいんだよな。フジフェアリーって同じ名前の付いた虫が食べちゃうからな」
オスカーがそう言うと、ハロルさんが立ち上がる。
「コル助、レオン……サポートしてくれ……」
そして森へと消えて行った。
「え?何?何?」
ソフィーはオスカーと焚き火を見る。
フリッツさんは、相変わらず人形の手を削ったりしていた。
そしてハロルさん達が帰って来る。
でかいカマキリみたいなのを捕まえて来た。
……コルちゃんより少し小さいくらいなので、カマキリとしては凄く大きい。
「幻の珍味、フジフェアリー……捕まえて来たぞ……」
ハロルさんがフジフェアリーの首を掴み、高く持ち上げている。
巨大カマキリ、フジフェアリーは太い足をわさわさしてる。
「……珍味なの?」
動じないレオンさん。
ソフィーとモニカは、素早く距離を置く。
「すぐに食べられる物ではないが……」
ハロルさんとレオンさん、コルちゃんとオスカーでフジフェアリー(カマキリ)の調理も始めた。
そんな野営を過ごし、静寂の湖畔へと突撃する。
大星魚が居るという噂の場所……
そして入るとすぐに、それっぽい巨大な魚が陸に居る。
青い島魚的な……ちなみに島魚はきみどり色だ。
「……こんな所で暇そうにしてるのに、一体どこの誰が討伐依頼を出したんだ?」
ハロルさんが囁く。
大星魚は、水に向かって大アクビしてる……
そして目をぱちくりする。
ソフィー達はゆっくり慎重に近寄る。
……近寄る……
……近寄る……
……近寄る……
「なんか、触れるくらい近いんだけど……」
大星魚に気づかれないまま、触れる所まで来てしまった。
大星魚はどすんどすん、と跳ねたり、またアクビしたりしてる。
「バカか!お前!下がれ下がれ!」
そこまで近寄ったのはソフィーだけだったみたいで、少し離れた場所で皆して慌てていた。
「うぉぉぉ……ん~~♪」
そうこうしてると大星魚がそう鳴き出して、戦闘になる。
「うわぁぁ!」
「うわぁぁ!……はコッチの台詞だ!」
隊列を整えて戦闘になる。
「うぉぉぉ……ん~♪」
なんか嬉しそうな顔をして大星魚が跳び跳ねる。
バゴォォォォン!
ドゴォォォォン!
ドゴォォォォン!
地震が起きて、錬金荷車2号までダメージを受ける!
「なにこれぇぇぇ!」
「いいから黙らせるぞ!」
ハロルさんが銃を構える。
雨でずぶ濡れでも、いつも通りに使えてるみたいだった。
2回程地震を起こされるも、集中攻撃をしたら魚のヒレを落として水に帰って行った。
「はぁぁ~……びっくりした~……」
地震は凄いんだけど、パーティーの防御力が勝った。
銀いもパワーの回復が上回る。
「ああぁ……錬金荷車2号が……」
傾いた錬金荷車2号を見て、コルちゃんがため息をつく。
「車輪が、地面に埋まってるだけではないか?」
ハロルさんが埋まった車輪を持ち上げる。
別に壊れてもいないみたいだ。
「あ♪なんか見っけ♪」
ソフィーは、なんか煙を出してる砂利を見つける。
くすぶる鍛石を手に入れた。
「うぉぉぉ………ん~~♪」
また出てきた!
……3回目の大星魚を撃退して、パーティーは静寂の湖畔を後にする。
アポステルの儀式とやらにも行かないと……
それに何度でも「遊んで~♪」って感じで出てくるものだから、キリがない。
そして青葉の丘に戻る。
ジュリオさんが荷車を引いて、散々頑張っていたハロルさんとレオンさんは、仲良く荷車の1階で眠る。
荷車の左右を、ソフィーが、コルちゃんが歩く。
オスカーは、相変わらずだ……
途中で朝の野営をして、青葉の丘到着は12時だった。
赤プニがころころしてる。
「……悪魔の儀式だから……夜だよね?」
荷車を引くジュリオさんに、ソフィーは尋ねる。
「そうだね。しかし、晴れたねぇ……暑いくらいだよ……」
ジュリオさんは空を見て、眩しそうにする。
「夜まで時間を潰すのなら、こういう場所なら、サカサキノコを探すのがいいかな……」
いつの間にやらフリッツさんが、ソフィーの後ろに居た。
「うわあっ!」
さすがに驚くと、フリッツさんは微笑んだ。
フリッツさんの言う、サカサキノコ……
草花の葉っぱの裏にくっついている、キノコみたいな形の虫を探す。
先端がぬるぬるしていて、そのぬるぬるが強壮剤として強力なんだそうだ。
「ん?キノコみたいな形で先端がぬるぬるしてるの!?……恐ろしく卑猥な虫ねぇ……」
モニカは気づき、回りを見る。
「あははっ!ちんちんだよぉ!これ、ちんちん!」
ソフィーが見つけて笑い転げている。
「これはっ!はははははっ!うねうねするのは反則です!はははははっ!」
コルちゃんも大笑いして、そんな所をライトニングが襲い掛かって来る。
「気づかれたなら仕方ないな……」
フリッツさんとジュリオさん、ハロルさんですぐに隊列を組む。
ソフィーも参加して、ライトニングを倒す……
もはや格下の魔物だ……
そのまま、サカサキノコを探す。
先端のぬるぬるを小ビンに取って、虫は放す。
そこらじゅうの葉っぱの裏に居た。
カーエン石や峰綿花、気まぐれいちごもよく採れた。
そんな中、ウシガエルも見つける。
小さなツノがチャームポイントの、様々な色になれるカエル。
「大物です!大物です!」
コルちゃんが捕まえて、抱えて見せる。
コルちゃんと比較すると、尚のこと大きく見える。
「お腹♪お腹♪」
ソフィーが食いついて、ウシガエルのお腹をさする。
「ウゲッ……ウゲェェッ……ウゲッ、ウゲッ」
ウシガエルが鳴く。
「これは……モニカのおっぱい的な感じ!」
ソフィーはウシガエルのお腹に、そんな感想を漏らす。
「単に大きさ的に、そんな感じですね……」
コルちゃんも、それに乗っかる。
「しかし、本当に天真爛漫だな……あの2人は」
そんな2人を眺めて、フリッツさんが呟く。
「カエルがお似合いよねぇ……」
レオンさんも呟く。
ソフィーとコルちゃんは、そんな事はお構いなしに、ウシガエルのお腹に夢中だったり。
そして、穏やかな晩ごはんの野営……
そしてアポステルの儀式を叩く……
「なんか、寒くない?」
ソフィーが呟く。
なんだか足下から冷えるみたいな……
「ちょっと!何してるのよコイツ!」
レオンさんの足許から、アポステルがブリザードブレスを弱~く吐いてた。
今や格下の魔物……
危なげなく倒す。
「なんか……リスっぽくて可愛いですね……」
倒れたアポステルを、コルちゃんがつんつんする。
尻尾の宝石も綺麗な感じだ。
倒れたアポステルが気付いて、のそのそと動き出してコルちゃんから離れて行く姿は、なんだかネコっぽくて可愛い。
ソフィーとコルちゃんは、そんな倒れたアポステルへの追い討ちも忘れない。
「ふかふかです〜♪」
アポステルのお腹も、ふっくらやわらか。
「可愛いよね〜♪」
抱き上げてみたり。なでなでしてみたり。
そんなされるアポステルも、まんざらじゃない顔をしていたり。
それからもアポステル討伐は続く。
なんか飛んでるアポステルは狂暴なんだけど、飛んでいないのは穏やかな感じで、むしろ逃げていく。
「滅びたマナの柱から産まれる魔物……って……大星魚といい、アポステルといい、プニプニといい……可愛くない?」
モニカが呟く。
「ぷにちゃんも可愛いからかな……」
ソフィーも呟く。
ともかく、朝まで戦闘と採取をして、妖精の道標で帰る。
開花の日、晴れたキルヘンベルの早朝……
アトリエ前に帰って来た。
「さて、私はまたプラフタの身体を作らなくてはな……」
フリッツさんは仕事道具と、作りかけの両手を持って帰って行った。
……帰るの早い……
皆でその後ろ姿を見送る。
そして、いつものように解散して、ソフィーとモニカ、コルちゃんはアトリエに帰る。
「おかえりなさい。古本の補修も捗るそうで、エリーゼが寝ていますが……」
プラフタがそう言ってお出迎え。
コンテナの入り口は、ベッドとベッドの間にあるから……
寝ているエリーゼお姉ちゃんの真横を通って、素材を運び込むのだけど、エリーゼお姉ちゃんは起きなかった。
そして3人はぷにちゃんの部屋へと行く。
「おかえり~♪」
番人ぷにちゃん達が、わさわさと素材に、ソフィー達が脱ぐ服に取りつきながら、そう言う。
相変わらずのわっしょい具合だ。
「ただいま~……なんかゆっくり寝たい気分だよ……」
そしてぷにちゃんの部屋に入る。
「30時間あるね。まずはお疲れみたいだし、ゆっくりしてってね♪」
3人はぷにちゃんの中で眠る……
「ん~……はふぅ~……」
ソフィーが最初に起きた。
「おはよう♪なんかプラフタの人形を作ってるんだってね。ソフィー、夢にまで見てたよ」
ぷにちゃんがそう伝える。
「そうなの~?あ、ぷにちゃんにも伝えなきゃだったね?」
「まあ、結構伝わってるから大丈夫だけどね。でも魂空っぽで人形に力を与える……ってのはちょっと難しい注文なんだよねぇ……プラフタの魂を一旦私の所に……というのも無理だし……」
「そうなの?」
「まあ、人形が出来たら、私の所に入れておいて。フリッツさん……とやらの行動言動から察するに、それも工程に入ってるっぽいけどね♪」
「そうだったんだ………」
「ともかく、朝から元気に色々としたい事あるみたいだし、魂結いの石も探さないとね。忘れてるっぽいけど」
「ありがとう!実際に忘れてたなぁ……」
ソフィーは、ぷにちゃんの部屋を出る。
ソフィーが服を綺麗にする番人ぷにちゃん達を眺めていると、コルちゃんが、モニカが出てくる。
「魂結いの石の話の事、聞いて回らないとだったんだけど……モニカ、コルちゃん、何か知ってる?」
ソフィーは、ただ服を眺めてるだけの時間に、コルちゃんとモニカに聞いてみる。
「私は聞いた事もないのですが、ロジーさんは石マニア……賢者の石からさざれ石まで、結構詳しいみたいですから……聞いてみましょう」
コルちゃんがそう言って胸を叩く。
ハダカ族だから、おっぱいが揺れた。
「賢者の石……は究極の錬金術だよね!?さざれ石??それは何?」
番人ぷにちゃんの1つを抱き締めて、ソフィーは尋ねる。
抱かれてる番人ぷにちゃんは、ぴょこんをぴょこぴょこしてる。
「私も知らないけど、きっと凄い石からくだらない石までって事でしょうから……くだらない側の石ね」
ハダカ族モニカは、棚に並ぶ蒼剛石を眺めて、そう言って笑う。
「モニカさん、惜しいです。貴重な石からありふれた石まで……という感じです」
コルちゃんも、モニカの眺める蒼剛石を見る。
採取した時は結構汚れてたりするんだけど、番人ぷにちゃん達が汚れを食べ尽くして、ピッカピカになってる。
「さざれ石ってありふれてるの?」
モニカは蒼剛石達を撫でて歩く。
「土とか埃みたいなのが固まった石で、アトリエ前にもたくさんあります。砂粒の大きいやつ、みたいな石なんです」
コルちゃんは隣のカーエン石を撫でる。
いつも熱を持ってるカーエン石も、ここの棚に乗ると、ほんの少しあったかいだけになる。
「そんな名前があったんだ……」
ソフィーは、そんな2人を追いかけてみたり。
棚に並ぶ採取品を眺めてみたり。
「ロジーさんなら、魂結いの石も知ってるんじゃないかと」
コルちゃんは、ソフィーの抱いてる番人ぷにちゃんのぴょこぴょこに指を出して、ぺちぺちされてみたりしながら言う。
「知ってそうだね!」
ソフィーはぺちぺちされてるコルちゃんの指を見て、抱えてる番人ぷにちゃんをコルちゃんの胸に寄せる。
コルちゃんはすいっ、とかわした。
アトリエに戻り、コルちゃんとモニカは帰る。
エリーゼお姉ちゃんは寝ている……
「古本の直し、捗ってるみたいだね?」
テーブルの上に、少し開いて立つプラフタにソフィーは話し掛ける。
テーブルには、作業途中の本とクレヨン、蝋絵の具が置いてあったり。
「はい、ウメさんが頑張っていまして」
プラフタは飛び上がり、ソフィーの眺めている暖炉前のテーブルに向いた。
「まあ……錬金術生活するかな!何か仕込んでお出掛けして、ロジーさんに魂結いの石の話を聞かないといけないよね!」
ソフィーはくるり、と錬金釜に向いた。
「……今日は天気がいいですねぇ……」
プラフタが窓際をパタパタ飛ぶ。
……天気がいいからお散歩したい……
そんなソフィーの気持ちを見透かしているようだ。
コンコン……
とドアをノックされて、ウメさんがやって来た。
今日もアトリエで、古本の直しをする予定だったみたいで。
「いらっしゃい~♪」
1つ錬金釜に仕込み終えた所で、ソフィーが顔を出す。
「あらあらソフィーちゃん、またまた2日もどこに行ってたんだい?」
ウメさんはにこやかにそう言って、お辞儀をする。
ソフィーはウメさんを招き入れる。
「えへへ……今は冒険もしてまして……静寂の湖畔で大星魚討伐と、青葉の丘で小悪魔の討伐をしてました……」
ソフィーはお茶の準備をする。
どのみち3時間、待つ時間だし……
「なんか、ソフィーちゃんは野山を駆け回ってばっかりだねぇ……」
ウメさんは暖炉のテーブルに着く。
そして古い本を少し眺めて、置いた。
「エリーゼお姉ちゃん……起きないのかな?」
ソフィーは寝ているエリーゼお姉ちゃんの方を見る。
ウメさんが古本を眺めて、ソフィーとプラフタとおしゃべりしていると、エリーゼお姉ちゃんも起きた。
賑やかな朝食になる。
「誰かと一緒の食事って、いいですよね~♪」
遠くの森で採れた土いもの煮物を前に、ソフィーは能天気に笑う。
「なんか、夜遅くまで頑張っちゃって……プラフタに誘われるまま生活しちゃったけど、いいのかしら……」
エリーゼお姉ちゃんも、煮物を前にそう話す。
「寄りつかなかった頃よりも、全然いいよお姉ちゃん。ダークマターのアトリエの頃なんて……オスカーしか来てくれなかったもんなぁ……」
ソフィーはそう話し、笑う。
「あたしも、あの臭いは苦手だったわぁ……」
ウメさんも苦笑いして見せる。
そんな話をして過ごす朝食。
そして、なんか今日はソフィーが居る、という事で、エリーゼお姉ちゃんは古い本とか、道具を纏めて帰る。
ウメさんも帰って行った。
そして錬金術生活。
お昼を過ぎた頃にコルちゃんがやって来た。
「ソフィーさん、魂結いの石の在処は……山師の水辺だったみたいですけど……20年に1度しか出てこないとかなんとか……」
コルちゃんがそう教えてくれた。
山師の水辺……
つい最近に行って水遊びしたけど……
つるつるの丸い石なんて、見掛けなかったけど……
「魂結いの石は、ダウジングロッドを使って探すと見つかるとか。ロジーさんが作ってくれますので、次の旅にでも、それで探しに行きましょう」
コルちゃんはそう言って、ぷにちゃんの部屋へと入る。
「なんか、トントン拍子に進むね!」
「ソフィー、キルヘンベルという場所は、頼りになる方々に恵まれていますね……」
「よ~し、今は全能パワー装飾品、作らないとね!」
錬金術生活は続く。
夕方、雨が降ってきて、雷まで鳴り出した。
ソフィーは錬金釜に向かい、次なる装飾品を仕込んでいる真っ最中、窓が稲光で光る。
ドドーン……
そんな雷の音も聞こえた。
「あーっ!」
「イキナリ叫ぶのですねソフィー、どうしました?」
「特性、3つ移せた!」
悪天候をものともせず、ソフィーは錬金釜かき混ぜ棒、人呼んでぐるこん棒を手に、勝利のポーズになる。
「なんと!あなたの錬金術は、本当に急成長しますね。ついこの前まで、山師の薬しか作れなかったとは思えない成長ぶりです」
「へへ~……プラフタの教え方が、なんかあたしの錬金術にピッタリなおかげだよぉ~」
錬金術生活は続く……
ここには、ゲームには無い、勝手に付け加えた設定を書いておく所。
[ハダカ族]
産まれたままの姿……というと何か違和感があるけれど。赤ちゃんの事をハダカ族とは言わないし。
[もふもふモフコット]
ちょこっと調合品。もふもふ!
[北の人形劇]
ソフィーも楽しみにしている人形劇。パメラとエリーゼお姉ちゃん、子供達でやっていたり。
[南の人形劇]
コルちゃんが商売していたりする人形劇。芸人師匠と弟子が、切り盛りしてる。
[植物に挨拶回り]
旅のオスカーのいつもの行動。皆より余計に歩きまくって、食べられる物とかじゃんじゃん持って来るのに、不思議なくらい疲れない。
[ダラダラの木]
葉っぱがダラダラしてる木。キルヘンベルから離れないと、生えてない木。
[フジフェアリー]
紫の花がダラダラと吊り下がる様は、美しいの一言。なのだけど、この時期はもう実になっていたりする。
[アカシアモドキ]
白い花がダラダラと吊り下がる。花が食べられるみたいだけど、凄く蜂の巣だらけ。しかも狂暴な蜂が飛び回るので、危険な植物。
[フジフェアリー(カマキリ)]
フジフェアリーと共に生きる緑の巨大カマキリ。フジフェアリーの葉っぱに紛れると、どれがカマキリでどれが葉っぱか分からなくなる。
[サカサキノコ]
ちんちんみたいな芋虫。葉っぱの裏にくっついてぶら下がってる。
[ウシガエル]
牛みたいなツノを持つ大きめのカエル。ツノは柔らかい。
[ぷにちゃん]
魔力の源。植物とか動物にも影響を及ぼしていて、魔力のある世界とない世界では生態系も違う。
[番人ぷにちゃん達]
コンテナの番人達。ぴょこぴょこがぴょこぴょこするのが可愛い。
[古本の直し]
文字が掠れていたりする本。仕入れた時からこんな感じ。という物も多いんだって。
[クレヨン]
ちょこっと調合品。古本の直し用。
[蝋絵の具]
ちょこっと調合品。古本の直し用。
[ウメさん]
アトリエの前の井戸によく居る。お住まいは住宅区。
[土いもの煮物]
土いもの良さを味わえる1品。
[ダウジングロッド]
魂結いの石を寄せる、とも言われる2本のハリガネ。昔から伝わる製法でロジーさんが作ってくれた。何でも恐ろしく簡単な物なのだとか。