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錬金術のアトリエ 31
果実の日、朝……
ソフィーの錬金術生活は続く。
「全能の力」「攻撃強化系なにか」「ダメージ還元系なにか」
と、3つの特性を持つシュタルメタル作成の為、その燃料となるゼッテルを目指す。
「なんか……特性特性で、ゼッテルばかり作ってるよねぇ……」
「特性を移せるとなると、ゼッテルは重宝しますからね」
ソフィーとプラフタは相談しつつ、錬金粘土を仕込む。
錬金粘土~中和剤(黄)~ゼッテルの流れだ。
そして中和剤(黄)の材料の錬金粘土は、錬金粘土なので完成まで9時間掛かる。
「ん~……朝になったし雨は上がったし……ちょっと出掛けてくるね♪」
「まあ……遅れぬように帰って来て下さい」
ソフィーはアトリエを出る。
「おはよう。ソフィーちゃん」
ウメさんが挨拶をして、ソフィーは足を止める。
「おはようございます。今日もエリーゼお姉ちゃんと、古本の補修するんですか?」
そう聞いてみる。
「いえね、アトリエを使うのは、ソフィーちゃんが出掛けてる日だけなのよ。だから暫くお休み。今日はね、もうちょっとここで過ごしたら帰るわ」
ウメさんは、そう話す。
エリーゼお姉ちゃんも、毎日古本の補修をしている訳でもないみたいだ。
「う~ん……またライデン鉱無かったっけ……」
ソフィーは山を降りる道で考える。
そして、ついでに鍛冶屋に向かう事にした。
シュタルメタルの材料であるライデン鉱が、また無くなって来てるのだ。
「おや、ソフィーさんではないですか」
アトリエの山を降りた所でコルちゃんに会った。
「あれ?朝からどうしたの?」
そう聞いてみる。
「……今日はお昼から、お得意様回りが忙しくなりそうですので……」
コルちゃんは口許を隠し、ネコの目で笑う。
そしてアトリエへと歩いて行った。
「……ふ~む、コルちゃんどんどん商人になって行くんだなぁ……」
ソフィーは感心しつつ、広場へと向かう。
鍛冶屋に行く前に、ソフィーはその隣、壺屋を眺める。
食事代くらいは、この手持ちで足りそうだし……
気付いたらお腹も減ったものだから、入ってみる。
「おはようございます~……」
朝早すぎたのか、お客さんは居ない。
アトリエよりも狭い店……
いや、同じくらい?
「いらっしゃい。こんな時間に……おや、錬金術士の……名前は何だっけか……」
薄暗い店の、更に薄暗い奥の方からオジサンが顔を出した。
「はい。ソフィーっていいます。お腹減って……今、やってます?」
薄暗い中のオジサンの顔に、ソフィーはちょこっと怯みつつ、聞いてみる。
「へへ、やってないけど、作るよ。珍しいお客さんだからね。芋は煮るかい?揚げるかい?焼くかい?」
オジサンは笑い、ソフィーは安心する。
悪いオジサンでは無さそうだ。
「揚げたのがいいです!」
アトリエではご法度の調理法、揚げを注文する。
「若い子はそうだね。ちょっと待っててな」
オジサンは奥へと消える。
ソフィーはテーブルの1つに着いた。
……ソフィー1人きりの寂しい店内で、しばらく待つとハロルさんが来た。
「お?ソフィーか。ここで会うなんて珍しいな?オヤジ、焼いてくれ」
ハロルさんもソフィーの席に着く。
奥から「あいよー」なんて返事が返って来た。
「なんとなく1回はこのお店、来てみたかったんですよ」
ソフィーはそう言って微笑む。
寂しい場所だから、ハロルさんが来てくれてほっとした。
「そうか。俺もプラフタのねじまき作りなんて頼まれてな、徹夜明けだ」
ハロルさんは嫌そうな顔をして呟く。
そして店の奥を眺める、遠い目をした。
「そうなんですか?」
ソフィーはそう尋ねる。
……そう言えば魔法のねじまきが必要とか……
言ってたような……
「お前は聞いてなかったのか?……まあ、フリッツのオヤジから、レオンに頼んで、俺に回って来たんだがな……」
「あはは、レオンさんに頼む所が上手いですね!」
「……全く、食えねえオヤジだ」
そんな風にハロルさんと話して食事をして、別れる。
凄く安い店だった。
その後はロジーさんの鍛冶屋へと行く。
すぐお隣だ。
「鍛冶屋ロジックス、注文はコルネリア露店で伺います」
……旅に出ているみたいだ。
果実の日の朝、コルちゃん露店は、コルちゃんクッキー☆でお酒を飲む職人さん、冒険者の人、自警団の人で賑わっている。
華やかな衣装の教会の女の子達が、忙しそうにしていた。
そんな中でも、ライデン鉱3つは、普通に買えた。
ロジーさんの売る鉱石も、委託販売してるそうで。
賑わうレオンさんの仕立屋、マルグリットさんの八百屋……
オスカーも今日は、お客さんを捌いていた。
ソフィーは、なんとなくカフェに行ってみる。
「お?いらっしゃ~い☆」
テスさんが微笑み掛ける。
お客さんは居るけど、こちらは落ち着いた感じだった。
「なんか、み~んなお酒飲んでて楽しそうなんですよねぇ……あたしもお酒下さいっ!」
ソフィーはテスさんとホルストさんに注文する。
「はっはっはっ、ダメです」
ホルストさんは笑って断った。
「ちぇ~……」
「まあまあ、最近はこの辺りで素晴らしいお茶が取れてまして……味で言うならこちらの方がソフィーに向いていますよ?」
キルヘンベル周辺の採取品が、人を呼ぶ。
それだけ魅力的な物が生えてくるだけあって、ホルストさんのカフェのお茶も、香り高いのが揃っている。
「え~……甘いの?」
ソフィーは聞いてみる。
苦いのはそんなに好きじゃないし……
「甘いのはハチミツですが、そこに良い香りが乗りまして、飲み慣れないお酒よりは、良い時間が過ごせますよ」
ホルストさんは笑顔で話す。
「じゃあ、そっちを下さいっ!」
ソフィーはカウンターに座る。
「少々お待ちを」
ソフィーはカウンターの、ちょっと背の高い椅子に座る。
「ソフィー、旅はどうなの?」
テスさんが尋ねる。
「今はちょ~っと装備不足で、足を伸ばすのは怖い感じなんですよね……今も作ってる所なんですけど~……」
そんなこんなで、ソフィーはカフェで楽しく、優雅な時間を過ごす。
……壺屋の代金より、カフェのお茶の代金の方が、全然高かった。
………
……そんなソフィーを、カフェ横広場でエリーゼは眺める。
なんか財布を見つめてため息をついてる……
みたいな後ろ姿は、教会広場へと向かって歩いて行った。
「今日はちょっと無理を言っちゃったかしらね……」
エリーゼは呟く。
八百屋にフリッツと一緒に食べるバスケットを注文して、待っているのだ。
そしてエリーゼは、持って来た本に視線を落とす。
「エリーゼさん、出来たよ。フリッツさんによろしくな」
そうして八百屋の忙しい中、オスカーがバスケットを持ってやって来た。
「今日は無理言っちゃったんじゃないかしら?なんか忙しそうだったのに」
エリーゼは、ずっしりしてるバスケットを受け取り、お代を渡しながらそう話す。
「忙しいのは慣れてるけどな。それよりもプラフタが人形とはいえ、人の姿で動き出すんだろ?……楽しみだよなぁ……」
オスカーはそう話すと、八百屋へと戻って行った。
エリーゼもバスケットを抱えて歩き出す。
「おお!これはまた助かるな!ならばここだけ仕上げてから食事にさせて頂こう」
エリーゼは、フリッツの屋敷にバスケットを届ける。
フリッツ1人では食べきれないものだから、エリーゼの朝食も、このバスケットにするつもりだ。
……うわぁ……
エリーゼはフリッツの作る人形を見る。
右の肩から肘……
その部分が作業台に乗っているのだけど、完全に人の身体の一部分にしか見えない……
それに机には、膝から下の右足、左足……
膝から上、太もも部分左右、臀部から腰にかけて……
そして胸から鎖骨辺り、と出来上がった……
のかは判断つかないけど……
出来上がりだと思われるのが、置かれている。
「さて、食事とさせて頂こうかな……」
エリーゼが人形のパーツに見とれていると、フリッツは立ち上がる。
「そ、そうですね。でも八百屋のオスカーが作るサンドイッチが、こんな美味しいなんて……先週初めて知りました……」
「ほう、まあ……旅先の食事は専ら彼が作るからな……」
人形の話、旅の話……
エリーゼはフリッツと食事をして、バスケットの中の冷えたお茶を飲む。
フリッツの食べる姿は、なんだか堂々としていて品があって……
思わず目が行く。
そして2人してあまり食べないものだから、半分も減らなかった。
「……まあ、昼も夜も食べられると考えれば……バスケットが冷えている、というのは有難いものだな……」
フリッツは苦笑いして、またエリーゼを本屋へと送った。
エリーゼは本屋へと帰る。
……冒険者も職人さんも、教会騎士の人に自警団の人……
果実の日は休日だから、本屋も賑わう。
そして更に明日は人形劇……
エリーゼの住むキルヘンベルも、賑やかになるものだ……
………
ともあれ果実の日は終わり、種の日……
「ふふふ、出来た~♪」
種の日の夕方……
ソフィーはシュタルメタルを取り出す。
「全能の力」「猛獣の力」「HP吸収」
と、特性を持たせたシュタルメタル。
これで作れば、壊れ性能の武器が出来上がる!
「全能の力」は、防具と装飾品にも付けられる!
錬金釜から取り出したシュタルメタルを手に、ソフィーは踊り出す。
「ふふふ……はーっはっはっ!……完成したぞ!」
「えーっ!?いつの間に!?」
アトリエのドアが開いて、フリッツさんが高笑いしていて、ソフィーは驚く。
「ソフィー……君も何かしら凄い物を完成させて喜んでいたようだが……これを見るがいい」
フリッツさんは外へ出る。
外には錬金荷車1号があり、その1階には、たるを抱えたコルちゃんが居た。
「今日はお昼に来れませんでしたので、今来ました」
コルちゃんは口許を隠してネコの目で微笑む。
「あ、そうなの?……そういえばお昼過ぎに来てないね」
思わずそんな世間話をする。
「それよりも、樽の中身だ」
フリッツさんは、たるを降ろす。
そして開けると……
「うわぁぁ!死体!?」
ソフィーは驚いて飛び退く。
コルちゃんは口許を隠しつつ、たるの中身を見つめていた。
「これは見事な……良く出来過ぎていて、まるで人の様です」
たるの3階だけが見えていて、そこにはたるの蓋を向いた人の顔があった。
ごろごろしないように、ふわふわクロースも詰まっていて、生首に見える。
「これ……これがプラフタの顔……」
飛び退いたソフィーがたるへと戻る。
アトリエのドアが開きっぱなしなので、プラフタもやって来た。
「これは……この髪は……」
そしてその頭部分は、髪に糸を使っていて、白髪が延び放題、みたいな感じで、怖い出来上がりなのだ。
「人形を動かす場合、最後にマナの柱の力を借りる事になる。髪はそこで完成するだろう。今はバラバラだがな、それを繋げるのもマナの柱で繋がる」
フリッツさんはそう言うと、アトリエの外テーブルに腰を下ろした。
「そ、そうなんですか……」
「ぷにちゃんはそんな事も出来るのですか?」
ソフィーとコルちゃんは、たるの中身を眺めながら話す。
「そこで、何かしら不足があるかも知れぬからな、1つ聞いてきて欲しいのだ。不足があれば、そこをまた作らねばならんからな。あと、魂は入れないように話して欲しい」
フリッツさんに言われて、ソフィーはフリッツさんにお茶を出し、コルちゃんとソフィー、たるでぷにちゃんの部屋へと入る。
ぷにちゃんの部屋に入るのだから、コンテナでハダカ族になる。
棚に置いた服に、食いしん坊な番人達が群がって来る。
たると共に扉を通る……
「ほほう……これが魂の器……か……布があるな……人形だけを……我に入れると……いい……あと残りは……14時間だな……」
ぷにちゃんは口を開ける。
コルちゃんとソフィーは、女体感生々しい、人形のパーツを入れて行く。
髪に使われている糸も、つるつるした謎の糸なので、大丈夫そうだし……
「おお~……!合体していくです……!」
コルちゃんは、ぷにちゃんの中で繋がって行くパーツを見つめる。
「うう……あたしには見えない……」
ソフィーには、ぷにちゃんが黒く見える為、中が見えない。
「不足か……動力維持に……相当する部分が……欠けている……それだけだ……」
ぷにちゃんは壁にその巨体を押し付けると、また中央に戻る。
壁には、全て繋がったプラフタ人形が、ハダカ族となって壁に寄りかかって立っている。
「え~!?もう繋がったの!?」
ソフィーは驚く。
しかも繋ぎ目みたいなのは無いのだ。
髪も紫がかった白に変わり、綺麗な髪となって腰の先まで伸びている。
……あんなに怖かった顔も、目を閉じている顔を見ると可愛くも知性的で、どこかあどけない……
そして整った顔だった。
「うわぁ~……美人さんです……」
コルちゃんも見とれている。
「ちょっと……こんな所まで良く出来てるよ」
ソフィーはプラフタ人形の股の所を、撫でて見つめる。
「おお~……こんな所まで美人さんです……」
コルちゃんもソフィーと並ぶ。
「命はまだ……入れていない……」
ぷにちゃんはそう言うと、人形の説明をする。
人形に、ぷにちゃんから命を吹き込むと、その人形が、命と魂を持てる。
ただ、魂を入れない、との注文なので命を吹き込む訳にも行かないそうだ。
命だけを持った人形は、ぷにちゃんの中ででも生き続けるのが困難なのだそうで。
それと、魔法のねじまきが、ぷにちゃんの外へ出ても生き続ける為の道具なのだそうだ。
そしてもう一度ぷにちゃんは、その巨体を壁に押し付け、人形は消えた。
ぷにちゃんの中に保存されるようだ。
コルちゃんはぷにちゃんの中で眠り、ソフィーとコルちゃんでアトリエへと戻る。
そして外で待つフリッツさんの所へ。
「ねじまき以外で足らない物は無かったか……ならば、後はハロル君のねじまきを待つかな」
フリッツさんはそう言うと、空っぽになったたると、コルちゃんを乗せた荷車1号と共に帰って行った。
そしてオスカーとすれ違って、オスカーがやって来た。
「オスカー♪」
ぷにちゃんの部屋でゆっくりしたばかりの、綺麗MAXのソフィーは手を振る。
「すっごい可愛かったんだから!」
オスカーの持って来た夕食を食べるテーブルで、ソフィーはオスカーとプラフタに、人形の話をする。
錬金釜には、もうしっかりとモノクログラスが仕込まれている。
12時間掛かるので、朝に出来上がり、それから旅立つ計画だ。
「そして明日は魂結いの石を探す為……山師の水辺かぁ……あの辺り楽しみだよな」
オスカーはそう呟くと、食事に視線を落とす。
「フリッツの手際……恐ろしく確かな人形師なのですね」
プラフタは、ソフィーの肩に乗ってそう話す。
「本当に、あんな人形を作っちゃうし、その上ぷにちゃんが命を吹き込むってのも知ってるんだもん。……凄すぎるよねぇ……」
ソフィーは食べる手を止めて話す。
オスカーはそんなソフィーを見て、もぐもぐしながら頷く。
「フリッツ自身も、マナの力を持っているようですし……」
「ジュリオさんと同じくらい強いんだよねぇ……ジュリオさんは防御に偏っていて、フリッツさんは早さと攻撃力が凄い感じかなぁ……」
そんな話をしながらの夕食。
そして夜は、オスカーとラブラブして眠る。
……双葉の日の朝……
「じゃあ、オイラ先に行ってるな?」
4時ぐらいにオスカーが帰る。
「……昨夜は随分と燃えてましたね……」
プラフタはパタパタと、ソフィーの近くへとやって来る。
「オスカーが上手いんだよねぇ……どんどん好きになってっちゃうもん」
ハダカ族のソフィーは、頬を染めながら呟く。
「私も……そうした経験をしていたのでしょうか?記憶が戻るのも怖い気がしますし、記憶が戻らないのも歯痒い思いですね……」
「ともかく、ぷにちゃんの部屋に行って来るね」
ソフィーはフラフラと、コンテナへと向かう。
モノクログラスの出来上がりが7時なので、ソフィーはちょっと遅れたカフェ到着になる。
そして朝7時にソフィーが出る時、ウメさんとエリーゼお姉ちゃんがアトリエにやって来た。
ソフィーが旅の時は、古本補修のアトリエになってるみたいで。
プラフタも退屈しないだろうし、安心出来る。
そしてカフェ到着は、ソフィーが最後だった。
ソフィーの希望は、オスカーが話してくれていたので、皆食事も終えて、依頼関係の話も終わっているみたいだった。
メーベルト農場小悪魔退治、朝凪のほとり温泉でリフレッシュしつつ依頼品。
そして山師の水辺で魂結いの石探し、海底の土採取と依頼品。
そこで天気が良ければ、水遊び!
そんな所まで計画されていた。完璧すぎる。
「さて、ソフィーはゆっくり食べてて。街の入り口にメーベルト農場の馬車が来てるから、僕らはそっちで待ってるから」
「今やソフィーの作る装備品に頼る所が大きいから、遅刻に文句も言いづらいわ。まあ、どのみちお馬さんの出発に合わせるから、いいんだけどね」
ジュリオさんとモニカに言われて、ソフィーは食事をする。
メーベルト農場に戻る馬車に合わせると、更に時間が掛かるので、結局ゆっくりだ。
コルちゃんとハロルさんは、いち早くブレストの所に居るみたいだし。
そして9時。
皆揃ってキルヘンベルを発つ。
「お前さん達、洒落た服なのに馬が好きだな」
馬車のおじさんはソフィーとコルちゃんにそう、声を掛ける。
ソフィーはロザリに嫌がられながらも、徐々に距離感を縮めて行く。
コルちゃんはブレストと仲良し。べったりだ。
レオンさんも、マレフに乗ってぽくぽく歩いてる。
「ロザリはどーして懐いてくれないかな~?」
ソフィーは色々と試行錯誤しながら歩く。
そんな旅の道。
メーベルト農場に到着は夕方。
おじさん達と馬車とはここで別れて、ソフィー達は小悪魔退治に黒の鍾乳洞へと入る。
「やっとロザリに触れるようになってきたよ~……」
ソフィーは呑気に呟く。
そして青キノコと蒼剛石、ころころしてるプニプニを総スルーして、ぼけ~……っとしてる小悪魔を叩く。
ガーゴイル……
もはや格下すぎる小悪魔を倒して、一行は黒の鍾乳洞を出る。その為だけに立ち寄った場所。
そして北へ続く街道を行く。山師の水辺へと行く道。
野営もしつつ、三つ子橋の泉に到着したのは夜中。
「じゃあ、今回は寄り道をしないとだね。朝凪のほとり、あの温泉の依頼品があるからね」
ジュリオさんが東へと舵を切る。
「温泉!臭いんですけどなんかスッキリするんですよねぇ~……」
ソフィーもその隣を歩く。
今回、魔法の荷車2号の2階は、疲れてるハロルさんが寝ていた。
そして朝凪のほとり……から更に逸れて、温泉には朝4時に到着。
「今日もお猿さん、居るでしょうか?」
コルちゃんが、早速服を脱いで水着に着替える。
今回もブレストと遊び過ぎて、馬臭いと評判だった。
「おお!?な、何するです!?」
ハダカ族になった所を、フリッツさんに捕まる。
「男を男と思わぬその行動、咎めずにはおけんな!」
「あははっ!はーっ!ダメです!そこはっ!あははっ!はーっ!はーっ!」
めっちゃくすぐられて、笑い転げるハダカのコルちゃん。
「1番乗り!」
「うふふ、温泉!また来たかったのよ!」
そのスキに着替えたソフィーとレオンさんが、温泉1番乗りを果たす。
何はともあれ、荷車を繋いで皆で温泉に浸かる。
相変わらずの臭いの中で、やっぱりお猿さんが居た。
「このお猿さん、また会えたです♪」
コルちゃんとモニカで、またあのイヤらしい顔をするお猿を挟んで温泉に入る。
「……あまりにムカつく顔をしてるな……この猿は……」
ハロルさんがその猿を見る。
水着のモニカのおっぱいに、手を入れてやがる。
「肩とかガッシリしてるです」
「本当ねぇ……首とかも筋肉なのかしら?皮が厚かったりするのかしら?」
2人は意に介さず、お猿の身体を探っていた。
どうやらお互い様で、ヨロシクやってるみたいだから、ハロルさんは2人から離れ、背中を向ける。
レオンさんとソフィーも、同じようにお猿と遊んでた。
「温泉……キルヘンベルにも作りたいなぁ……」
お猿を撫でて撫でられてしながら、ソフィーは呟く。
朝凪のほとりの採取生活。
それと、何度か温泉でゆっくりと過ごす。
朝になるとお猿はどこかへ行き、ウサギがやって来て、昼前になるとウサギはどこかへ行き、カラスが来た。
「……どいつもこいつも人に懐いてるのは、どうした事なんだろうか……」
フリッツさんが呟く。
すぐ後ろでカラスがお湯をバタバタしてる。
「だが、あの倅の所には寄り付かないのも不思議だな……」
頭にカラスが止まっているハロルさんも、呟く。
ともかく、朝凪のほとりにて依頼品を回収。
そして雨の中、三つ子橋の泉へと戻る。
そうして夕方に三つ子橋の泉、山師の水辺へと入る。
雨は長く続き、雷まで鳴り出した。
「ダウジングロッドで、魂結いの石を!見つけるよ!」
ソフィーはそう言うと、2本のハリガネをオスカーに渡す。
「……まあ、大体オイラが見つけるんだけどな……」
オスカーはダウジングロッドを構える。
「お?……こっちだ!」
早速、反応があってそちらへと向かう。
「なんかインチキ臭いハリガネだが、確かな物だったのか!?」
ずんずん進むオスカーとソフィーの後ろ姿を眺めて、ハロルさんは呟く。
「おデブちゃん、何でも見つけちゃうのねぇ……」
ソフィーはオスカーに続く。
その先には、島魚がぼよんぼよんしていて、アクビしてたりする。
「ん……?」
「こっちだ!……こっちだな……」
……ぷすっ……
オスカーの持つハリガネ2本が島魚に刺さる。
「……うぉぉぉぉ……んん……」
そして島魚がこちらに気付く。
「そのコントは、せねばならんのかな?」
フリッツさん達が戦陣を組んでいた。
今や格下……危なげなく島魚を撃退する。
「脅威となる魔物が居ない、というのも考え物だね」
ジュリオさんが苦笑いする。
「装備の加護が飛び抜けてるのよね。錬金術の装備が、ここまで強いなんて、初めて知ったわ……」
レオンさんもため息がちに話す。
確かに、特性で伸びる能力値とか、防御力が凄過ぎる感じはする。
今やフラム大先輩もレヘルン先生も、クラフト御前も出番が無いし。
ともかく、島魚の居た所に丸いつるつるの石があった。
「これが、魂結いの石……なのかな?」
ジュリオさんが石に気づいて拾い、眺める。
「ロジーさんの言う、石の特徴とピッタリですから……これが魂結いの石だと……思いますが……」
コルちゃんもその石を眺めて言う。
「島魚が持ってたのかしら?20年に1度見つかるとかいう話だったらしいけど、あっさり出てくるものなのね?」
魂結いの石を眺める2人に、モニカが呟く。
「さて、海底の土の依頼もあったから、それも採取しないとだね」
ジュリオさんはソフィーに石を渡すと、ここからの行動を話す。
……なんかスケジュール詰め込んでいた。
「海底の土に紛れて、魂結いの石も出てきたりするかも、なんて期待したんだけど、まあ一応気を付けて探しましょう」
レオンさんも、ある程度採取物が入った荷車を眺めて、言う。
「おー!粘土みたい……そして湖底の土と違って臭くないんだねぇ……」
止まない雷雨の中、ソフィー達はプニプニを撃退しつつ、採取作業をする。
「海底の土って粘土なのかな?」
手頃なカタマリを手に、ソフィーがジュリオさんに尋ねる。
「粘土部分しか、流れ着かないとか……ここに留まっていられない……という事じゃないかな」
ジュリオさんも土を掘りながら、そう話す。
「ふふ……虹フナムシ!」
コルちゃんは石をどけたり流木をどけたりして、巨大だんごむし……
虹フナムシを探していた。ハロルさんの入れ知恵で、この虹フナムシ……
美味しいらしい。
そして光の加減で、緑に見えたり赤く見えたりするので虹、と名前に付いてるそうだ。
「おー!タマゴ蛇が!釣れたぞ~っ!」
オスカーは頃合いの枝を拾ってあって……
それで釣りをしていた。この水辺に住むタマゴ蛇を釣り上げていたり……
そんな思い思いの採取生活。
そして山師の水辺、宝のみぎわ……
壊れた舟のある砂浜に差し掛かると、雨は止み、晴れて来た。
朝日が顔を出してくる、素敵な景色。
「来たからには!」
「泳ぐしかないです!」
コルちゃんが水着になるべく、服を脱ぐ。
「旅の醍醐味というやつなのだな……」
フリッツさんは虹フナムシの瓶を眺めて、そう呟いた。
「なんか、泳ぐのが好きなんだね……」
ジュリオさんも、瓶に入ったタマゴ蛇を眺めて、ソフィー達を一瞥して、そう呟いた。
「さて……この俺の泳ぎを見せる時が来たようだ……」
ハロルさんは水着に着替えていた。
と、いうか脱いだら水着だった。
そしてバチャバチャしてるソフィーとモニカ、コルちゃんにレオンさんをロックオンする。
「……ハロルさん、泳げたのかぁ~……まあ、キルヘンベルにも、川はあるからなぁ」
フリッツさんとジュリオさんと並び、オスカーもそんな水遊びを眺める。
ハロルさんは潜ると、すい~っと進み、コルちゃんを肩車して立ち上がる。
「おわぁ!」
肩車されたコルちゃんは驚き、モニカとソフィーも、髪で顔が隠れてるハロルさんに驚く。
楽しそうな水遊び風景。
例によってお昼まで過ごし、先へと進む。
沈黙の魔獣がまた居て……
だけど危なげなく倒す。
そしてその奥でハクレイ石を採取して、妖精の道標を使う。
アトリエに戻ったのは、15時……
キルヘンベルは雷雨だった。
「まあ……これほど雨に打たれる、というのも貴重な経験なんだろうな……」
ハロルさんが呟く。
雨に濡れるハロルさんも、お化けっぽくて怖い。
ともかく解散となり、ソフィーとモニカ、コルちゃんはアトリエに帰る。
ここには、ゲームには無い、勝手に付け加えた設定を書いておく所。
[ウメさん]
細かい書き仕事が好きみたいで、井戸に来る頻度も増えた。
[古本の補修]
エリーゼお姉ちゃんの本屋さんの本、薄くなっちゃってる部分も多いみたい。
[壺屋]
朝にもやってた。お昼は閉まるみたい。
[コルちゃんクッキー☆]
お酒に合う、おじさんに人気のクッキー☆
[バスケット]
遂に完成!八百屋、オスカー特製のサンドイッチバスケット。3人分くらいある。
[ハダカ族]
ぷにちゃんの部屋に入る時は、ハダカ族と決まっている。
[マナの柱]
この世界、地域の魔力の源。そこかしこにある。
[ぷにちゃん]
ソフィーのアトリエの地下にある、マナの柱。プラフタ人形の制作もしているけれど、不思議パワーは都合良くみんなぷにちゃんのせい、としてる。魔力発生装置だし、しかたないね。
[朝凪のほとり温泉]
あったかい泉で、お猿さん達が住んでる。腐ったタマゴ臭が凄い温泉でもある。
[ブレスト]
メーベルト農場~キルヘンベルを往復してる馬車のお馬。お年寄りみたいだけど、元気。
[マレフ]
メーベルト農場~キルヘンベルを往復してる馬車のお馬。キルヘンミルクとラーメル麦の粉を運んでいる。
[ロザリ]
メーベルト農場~キルヘンベルを往復してる馬車のお馬。気難しくて、なかなか懐いてくれない。
[お猿]
朝凪のほとり温泉に住むお猿さん集団の、ボス猿四天王(3匹)人懐っこい。可愛い。
[ウサギ]
朝凪のほとり温泉に、ウサギも出没。赤茶色のウサギ。
[カラス]
朝凪のほとり温泉に、カラスも住んでるみたい。魔物なんじゃないかと思うくらいでかいのも居るけど、側に来たのは子供のカラス?
[ダウジングロッド]
魂結いの石を探す為に、ロジーさんが用意してくれた2本のハリガネ。
レヘルン[先生]
氷の爆弾。魔物の動きも遅くする効果があったりなかったり。
クラフト[御前]
うに爆弾レベル2。範囲がめっちゃ広くなったりするみたい。
[虹フナムシ]
見る角度で色が変わる、湖畔に住む巨大ダンゴムシみたいな虫。
[タマゴ蛇]
頭から胸くらいまでめっちゃ膨らんでる、湖に住む蛇。背ビレも胸ビレも無いので、蛇なんだとか。エラ呼吸らしい。