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錬金術のアトリエ 43
「さて、八百屋の配達、今日もオイラかも知れないからな。帰らないとだ……」
既に服を着たオスカーが、凄い寝相のソフィーにそう言って、ソフィーは目を覚ます。
「ほえ~?」
寝惚け眼のソフィー。
そんな朝4時、オスカーは帰って行く。
ソフィーは乱れた肌襦袢のままに、2度寝する事に。
「ソフィー、そろそろオリフラムが完成しますよ」
ぷにちゃんの部屋から出てきたプラフタに起こされて、ソフィーは起きる。
「あら。あなたが服を着てるなんて珍しいですね」
そう言ってプラフタは笑う。
「え~?そんな事ないでしょ~?」
ソフィーは起きて、ベッドから降りる。
何だか良く眠れた。
ともかく、朝食と錬金術生活。
新しい錬金術品、クリアドロップ作成に雪花結晶の作成。
充実の錬金術生活により、果実の日も過ぎてゆく。
種の日の朝……
「雨だねぇ……」
雪花結晶の作成が終わったのは朝の5時。
ソフィーは窓から外を見て呟く。
「人形劇は、中止になるかも知れませんね……」
ソフィーのすぐ隣で、プラフタも窓から外を見る。
「ともかく!お外に行きたいっ!お祈りに行かねばだよ!」
ソフィーは杖を手にして、突撃のポーズを取る。
そしてお祈りのポーズになる。
「なるほど。昨日は1日、アトリエでしたから、外の空気にも触れないといけませんね」
2人は、アトリエを出る。
雨のキルヘンベル。
「キルヘン!ミルク!スネーク!カモン!」
跳び跳ねるソフィー。
「しかし、あなたは元気過ぎますね……」
それを追いかけるプラフタ。
「お?笑いの浅い姉さんじゃないか」
ヴァルム教会の外。
雨の中祈りの群れに加わってみると、すぐ隣のオジサンがプラフタに笑い掛ける。
「北の人形劇は雨に弱いけどよ、南の方は師匠と弟子が頑張るからな、寄って行きなよ」
「コルネリア露店の看板娘、コルネリアを応援する会」のオジサンも、いつになく結構来てる。
そしてプラフタは「笑いの浅い姉さん」として、なんか人気だった。
モニカの歌声響く祈りの時間。
南の人形劇(もはや人形劇ではない)も、お祈りの時間と噴水端会議の後に開始なので、その都合でお祈りに来る職人さんと商人さん、冒険者の方々が増えた。
そんな中、ソフィーは杖を立てて、祈りのポーズを取る。
最近、お年寄りにも人気がでてきて、真似る人が出てきた。
そして噴水端会議。雨は降り続けていて、北も南も人形劇は中止になりそうな空気。
でも南の芸人師匠と弟子、歌のステージは多少の雨でもやるみたいだ。
「あははっ、はーっ……はーっ……」
師匠と弟子のコントに、プラフタは笑う。
やたら笑う。
「本当に笑いの浅い姉さんだなぁ……」
周りのオジサン達が、そんなプラフタを眺める。
「あれ?あれはアメリアじゃないか?」
ソフィーの後ろで見慣れない冒険者が、そう話し出した。
「お前がよく言ってるなんたら品評会か?俺は興味がないから……」
「アダレットの服飾品評会だよ。それに優勝したやつだよ。アメリア・レオンマイヤーってったら、かなりのブランドだぜ?」
そう話す見慣れない冒険者が指差す方には、レオンさんとコルちゃん、テスさんと錬金荷車1号が居た。
「アメリア・レオンマイヤーの服は俺も知ってるけどなぁ。だが、そんなデザイナーがこんな田舎町に居るかぁ?ぁあん?」
「おおお俺、店でも探してみるかな……アダレットに持って行けば高く売れるに違いねぇよ……」
そう言って冒険者2人は、どこかへと去って行った。
「ん?……う~ん……」
ソフィーは考え込む。
プラフタは笑いまくっている。
「レオンさん!レオンさんって、アダレットで有名な人なんですか!?」
考えた結果、噴水の所で商売をしている錬金荷車1号に、突撃する事にした。
「ん?何の事かしら?」
レオンさんはそう言うと、めっちゃ不自然な感じで、ぐりん!と、あさっての方を向いた。
「私も聞きました。アダレットの服飾品評会で優勝。今をときめく服飾ブランド、アメリア・レオンマイヤー……その人と、そっくりだと」
コルちゃんが口許を隠しながら言う。
「ほほーぅ……マスターも言ってたんだよね。レオンさんの服は、アメリア・レオンマイヤーブランドを名乗ってもいいぐらいの出来映えだって」
テスさんもその話に乗っかった。
「うぐぐ……なんでそんなにバレてるのよ!」
レオンさんが怒り出す。
「うわ~!なんか怒られる~!」
「これは避難です!」
ソフィーとコルちゃんは素早い身のこなしで、レオンさんから逃げ出した。
「全く……子供みたいな逃げ方なんだから……」
レオンさんは逃げなかったテスさんを見る。
……いつの間にやら消えていた。
「……どいつもこいつも……」
「でも、雨が止まないねぇ………」
噴水広場の北側を眺めて、ソフィーが呟く。
「確かに。今日はしつこい雨ですね」
コルちゃんも呟く。
南の劇場の観客席、オジサンに紛れて隠れている2人。
「一体誰に追われてるんだい?コルネリアちゃんは」
どうやら「コルネリア露店の看板娘、コルネリアを応援する会」の会員のオジサンみたいで。
「でも、あの有名な……とか言われても知らなかったですが……」
コルちゃんは置いてきた荷車1号の方を見る。
「でも、アメリア・レオンマイヤーブランド!って名前が乗るとカッコいいよね。あたしの服もレオンマイヤーブランド!って事だもんね」
足を開いて座るオジサンの、その足の間にしゃがむソフィーが能天気に言う。
「なんか、都会っぽい名前だな」
お酒を片手に、そのオジサンが笑いながら言う。
「んだんだ」
隣のオジサンが相槌を打った。
「……どんな隠れ方なのよ……それは」
そしてレオンさんに見つかる。
「あ……」
「さすがに突っ込み入れたくもなるわよ、それは。コル助も、荷車が誰も居ないわよ?」
「わお」
コルちゃんは荷車1号を見る。
賑わう噴水の側に放置された荷車に、お客さんも待っていた。
「わお~!すぐに行かないと!」
コルちゃんは荷車1号に飛んで帰る。
「全く……バレちゃうなんて、この街も賑やかになったものねぇ……」
雨の中、噴水広場中央に移動して、ソフィーの隣でレオンさんはボヤく。
「あはは……でもレオンさんは、実はアメリアさんだった、って事ですか?」
コルちゃんとテスさんで、また商売を始めた荷車の横で、ソフィーは尋ねる。
「まあ……そういう事ね」
レオンさんは言う。
雨の中なのに、荷車1号にお酒のおつまみを買いに来るオジサン達はやって来る。
「レオンさん、って名前の方が男らしい感じはしますね!」
ソフィーは胸の前で指を絡めて、言ってみる。
「そこは重要じゃないんだけどね」
レオンさんは苦笑いする。
そして仕立て屋さんの方へと帰って行った。
プラフタはまだ劇場に夢中みたいだし……
「む~……」
ソフィーは、錬金荷車1号……
コルちゃんとテスさんの横で暇そうにする。
取り敢えず新しい錬金術にでも、思いを致してみたり。
「この前貰いました炎帝の粉で、炉の火力が上がったみたいです。新しい武器も作れるかと思いますので、ちょっと鍛冶屋さんに行ってみてはどうでしょう?」
とすん、とコルちゃんがソフィーにくっつくと、そう話した。
「おお~!行ってみるね!」
ソフィーは早速、鍛冶屋ロジックスへと向かう。
鍛冶屋ロジックス、冒険者3人と、ロジーさんがなんだか楽しそうに話していて、割り込みづらい。
ロジーさんも冒険者と一緒に出掛けていて、そんな冒険の話をしていた。
でもソフィーに気付くと、ロジーさんはソフィーの所へとやって来る。
「おお、ソフィーじゃないか。おかげで炉の火力が上がって助かってるよ。シルヴァリア、ルビリウムも加工出来るようになってるぞ」
にこやかに近づくロジーさん。シルヴァリア、ルビリウムから出来る武器は見た目もオシャレで、かなり人気が出るそうだと話された。
「この辺りだとシルヴァリア、ルビリウムも上質な物が期待出来るからな。はるばる来た甲斐もありそうなんだよ」
「俺も更に稼いで腰にスペシャルな武器を携えたいもんだぜ」
冒険者達も口々に、新しい武器への期待を話す。
「私も!スペシャルな武器にしたい!」
ソフィーはフローリッシュハートを掲げる。
「それ、武器なのか?」
「あう~……」
冒険者に突っ込まれて、ソフィーはずっこける。
「ともかく、ソフィーの場合はこだわりの自作金属が出来たら、また来てくれ。コルネリアにも、色々とリストを出しておくよ」
ロジーさんはご機嫌でソフィーに案内する。
更に冒険者も交えてお喋りして……
そうこうしてると、プラフタが現れた。
「ソフィー、そろそろ昼食時かと」
そう言って現れたプラフタに、冒険者達は目を向ける。
大胆な格好だし、こんな格好してるのは、キルヘンベルではプラフタしかいない。
「おお~……そういえばお腹減った……」
ソフィーもプラフタに向く。
皆が大注目状態だ。
「武器の話でしたら、私の武器も改良を加えたいかと思いますので。ところでロジー、あなたはどこでお昼を?」
皆大注目にも気にしていないプラフタは、そのままロジーさんに歩み寄り、そう尋ねた。
「ああ、隣の壺屋頼みかな。種の日は昼も開けてくれてるし……」
プラフタに歩み寄られて少し戸惑いつつ、ロジーさんはそう話す。
炉の火も落ち着いている時間。
「これからなら、一緒に行こうよ♪冒険者の皆さんも一緒に、どうです?」
ソフィーが能天気な笑顔で言う。
冒険者の人達も頷いた。
「じゃあ、昼の間だけ炉を見ておくよ。俺はタードリッツが昼食を用意してるだろうから」
冒険者の1人がそう言って、椅子に座る。
「じゃあ、昼食の間だけ頼むよ」
ソフィーとプラフタ、ロジーさんと冒険者の人2人で、壺屋で昼食となった。
「なるほど。これは複雑だな……」
壺屋でプラフタのコールリングを見ると、ロジーさんの目付きが変わる。
昼食が終わり、鍛冶屋へと戻り、更に設計図を詰める。
インゴットで作るやつ、シュタルメタルで作るやつ、ルビリウムで作るやつ、と設計図を作って行く。
そんなこんなを見守ってアトリエに帰ると、夕方だった。
「さて、冒険帰りには武器の新調もしたいから~……シルヴァリアかな!」
アトリエに帰ると、早速錬金釜に向かうソフィー。
「そうですね。私の武器も更に強力になって貰えると、旅先でも助かります」
プラフタは巨大な腕を出すと、その手のひらに座る。
「わお!それ格好いい!」
ソフィーは目を輝かせて言うと、座るプラフタに座る。
「こら!あなたは調合をするのではなかったのですか!」
2人乗っても巨大な腕はびくともしない。
でも落ちないように、ちょっと角度が変わった。
「あたしも巨大な腕に乗るのが夢だったから!しょうがないんだから!」
ソフィーはじたばたするプラフタに座り、じたばたする。
そして、プラフタとイチャイチャしながら、錬金術談義しつつ、錬金術生活をする。
「……むぅ……」
ちょこっと調合、プラフタの武器、オーラバングルの元のレシピ構築をする。
「どうしました?」
「これ、錬金釜じゃない調合の予感がする……」
ソフィーはそう言うと、周りをキョロキョロと見回す。
「ふむ。鍛冶屋のような、そういう特殊な空間が必要……とか炉が必要……とかでしょうか」
「それだ!特殊な空間、特殊な部屋が必要な感じがするんだよね!」
ソフィーは目を輝かせてプラフタを見る。
「コンテナの中……ならば広いですし、特殊な空間ですけれども」
「それだ!しかも番人ぷにちゃんがいい感じのうにょうにょで手伝って貰えそう!」
ソフィーとプラフタでコンテナへと入る。
「ねえねえ、ここで調合しても大丈夫?」
ソフィーは番人ぷにちゃんの群れに聞いてみる。
「空いている……棚もある……使うといい……」
かなり広くなり、長くなった棚の廊下。
ぷにちゃんの部屋側に、空いている棚スペースがかなりある。
「ん~……さて……流石に箱的なモノは欲しいかなぁ~……」
「そうですね。ただ平たいテーブルの上で……というのは……」
ソフィーとプラフタでそう話す。
「錬金術士殿。ここの中は釜の中でもあるのです。試しに何か1つ、宙に浮かせてみてはいかがでしょう」
番人ぷにちゃん隊長が、ぴょこんをぴょこぴょこしながら言う。
「ほほう……」
ソフィーが棚のうにを選ぶと、コンテナの中全体の空気が虹色っぽくなった。
そして選ばれたうには、ふわふわと浮かび、ソフィーの近くへとやって来る。
「なるほど~!これなら行けるよ!……でも今は錬金釜は浸け置き中……ここで調合してもいいのかな?」
「お任せあれ、錬金術士殿。我々が円になり、最後の溶け合わせをやりますので。それと、浸け置き中ならば平気ですな」
番人ぷにちゃん隊長は言い、番人ぷにちゃん達は円を描いて並ぶ。
その場所が、ちょこっと調合の物と物を混ぜ合わせる場所になるようだ。
そしてちょこっと調合品、素朴な焼き菓子を作ってみる。
円を描いて並ぶ番人ぷにちゃん達が、ぴょこんをぴょこぴょこしながら、物の混ぜ合わせをすると、その中だけ空間が沸いて、錬金釜と同じ感じで調合が出来た。
「なんと!これは……この番人達は、錬金釜を務める事も出来るのですか!」
プラフタもびっくりだ。
「プラフタを……囲めば……素材の力を……乗せる事も……出来る……」
円を描いて並ぶ番人ぷにちゃんの1つが、そう話した。
「まさか……そんな……」
「ぷにちゃん……!どこまで凄くなるの!?」
ソフィーも驚きだ。
ともかく、ちょこっと調合、オーラバングルの元を作り、明日の旅に備えて眠る事にする。
錬金釜に仕込んだシルヴァリアの完成を見て、まだ暗いうちからアトリエを出る事にした。
「いやぁ~……錬金術がこんなにも凄かったなんて、あたしの予想を遥かに超えてるよぉ~……」
ソフィーは呑気に話す。
そんなカフェへの道。
晴れたキルヘンベルとなりそうだ。
そして皆が集まり、依頼の話……
もはや毎週の朝食風景。
今回は封印された寺院に行く話となっている。
「おぉ、プラフタの姉さん、錬金術士パーティーだったのか。気をつけて」
自警団のお兄さんに、挨拶されながら出発する。
「あれ、プラフタいつの間に自警団のお兄さんと仲良しさん?」
「ソフィーをここまで見送った日ですね。色々とお話しをさせていただきました」
錬金荷車2号を引くジュリオさん、それを追いかける最後尾に、ソフィーとプラフタが歩いて行く。
キルヘンベルを西へ。
お昼には恵みの森へとたどり着く。この辺りでお昼となる。
「今回は境界の裾野を越えた先、封印された寺院か……太陽と月の原野もそうだが、封印された寺院には滅びたマナの柱が眠っているな。1つのパンドラの箱の入り口、ともなっている場所だ」
出発の時、コルちゃんと共に眠っていたフリッツさんは、昼時に起こされ、皆で囲む野営の食卓にて呟く。
「キルヘンベルから近い所でもありますけど……そんな怖い所なんですか?」
ソフィーは尋ねる。
「まあ、まだ入り口よりも手前だが。まあ、魔物の住み着く寺院だからな。君には怖い場所だろう」
フリッツさんは答える。
オスカーが食事の器に煮物を入れている。
レオンさんとモニカが配る。
「まあでも、ソフィーには私達が居るから大丈夫よね。私達にも、ソフィーが居るし」
モニカが言う。
「まあ、こんな所はソフィーの特性適用の力が無いと厳しいわよね」
レオンさんもそう話す。
「装飾品も改良しないと今一つ安心できない、みたいな所はありますけれど」
ソフィーは食事の器を手に、話す。
武器の改良、防具の改良、装飾品の改良……
出来ても3日では2つか3つくらいだ。
なのに、これから薬の開発……
ちょっと急ぎ足過ぎるかも?
……ふと、そんな事を思う。
「でも、そんな所に行かせてしまう事になるのは心苦しいんだけどね。どうにも申し訳ない成り行きで……」
そんな時にジュリオさんが言う。
「いえいえ、プラフタの魂の移し方を教えてくれた人ですので。駆けつけるのは当然です!」
ソフィーは胸を叩く。
取り敢えずオリフラム公爵も居るし……
強敵を弱くする小悪魔のいたずらの君もあるし……
強敵に向けた会議をしたりして、先へと進む。
夕方から夜……
フリッツさんが引く荷車の横にハロルさん。
左右をソフィーとオスカーで、後ろにジュリオさんが歩く。
「ん?」
ふと、ハロルさんが横を見る。
「なんだかこっちからいい匂いがするな」
オスカーもそちらを見る。
境界の裾野を越えた辺りの街道はずれ……
夕食がまだだったし、行ってみる事にすると、街道をはずれてすぐ、大きな泥水の水たまりがあった。しかも煙がでている。
「うう……なんか怖そうな所……」
荷車1階のソフィーは怯む。
ところが、真っ赤ガニ、真っ青ガニ、ヌルヌルトカゲと採れて、ハロルさんもレオンさんも、皆ご機嫌な夕食となった。
そして夜21時。
封印された寺院に到着した。
「結構立派な建物ねぇ……」
レオンさんが感心する。
「なかなか味のある屋敷だな。ソフィーの好きそうな……」
モニカにしがみつくソフィーのすぐ隣で、ハロルさんも呟く。
「ううう……祈りの絶えた教会の地下よりも怖い雰囲気だよぉ……」
モニカにしがみつき、ソフィーは言う。
「確かに雰囲気あるわねぇ……なんか悪魔みたいな魔物が入り口を固めてるみたいだし……」
正面入り口、グレートデーモン、スカーレディの群れがやたら居るし。
「さて、戦闘と言う事なのかな……」
「そうだね。気を引き締めてかかるとしよう」
「戦いの記憶を取り戻す為、やりましょう」
ジュリオさん、フリッツさん、プラフタとやる気オーラ3人が前に出る。
「オ、オイラは背後の警戒をするな」
「私もオスカーさんの警戒をするです」
「まあ、前を取られちゃったなら、警戒しないとね」
「荷車でも見ておくか……」
「仕方ないわね」
オスカー、コルちゃん、モニカ、ハロルさん、レオンさんは周囲の警戒の配置につく。
「これなら、オリフラム公爵も投げ込めるかも……」
そしてソフィーは前衛の後方。
パーティーの中央ぐらいが固定位置となる。
そしてグレートデーモン達との戦闘。
なぜかしら、あまり危なげもなく勝てる。
正面入り口は閉まっていて、封印された寺院の周囲を探して歩く。
赤いうにがころころ落ちている。
しかもつやぴかキラキラで、美味しそうなやつばかり!
「なんか……赤いうにの名産地なのかも!」
ソフィーのテンションも上がる。
「現金だなぁ、ソフィーは」
オスカーも一緒に拾い集める。
「ふむ……窓も無いです……中に入るには……」
コルちゃんとハロルさん、レオンさんとプラフタで入り口探しをしながら、一行は封印された寺院をぐるっと回る。
そんな中、メタリックなぷにぷに?と、グスタフとカイゼルピジョンとの戦闘も。
戦闘は危なげもなく勝てるので、こちらのぷにちゃんパワーがかなり強くなっているみたいだ。
……朝。オスカーが1つの木に聞いて、地下への入り口の情報を掴む。
そしてお昼くらいに、草で隠されていた地下への階段を見つけて、お昼の食事を取ってから、ようやく中に入る。
「うわぁ……中はまた……」
ソフィーは、またもやモニカにしがみつく。
封印された寺院の周囲は、明るくなってみるとそんなに怖くなくなったけれど、中は雰囲気ある。
「もう。お化けも悪魔も倒して歩いてるのに、何が怖いのよ……」
「それはそれ、これはこれなんだよぉ……」
やたら広い所。
錬金荷車2号も何とか入れる。
でも、この錬金荷車2号もそろそろ改良が必要な感じがする。
本棚が並ぶ部屋……
本が飛んでいる。
飛ぶ本の魔物は、どうやらこちらに気づいていないみたいで、やり過ごす。
部屋を出ると廊下……
次の部屋、次の部屋……
と、見ていく。
悪魔が飛んでる部屋をそっとやり過ごし、小悪魔が飛び回っている部屋をそっとやり過ごす。
そして次の部屋を見ると、赤いマント?のおじさんが本を立ち読みしていた。
「ナザルスさん!」
ジュリオさんが声を掛ける。
おじさんは本を戻すと、ジュリオさんの方を見る。
「おお。これはこれは大所帯で」
そして自己紹介したり、この辺りの本の内容を話したりする。
気さくなおじさんだけど、強力な魔物の毒を受けて、魔物になりそうになるらしく、街に顔を出せない、と話した。
「強力な魔物の毒を……1人で戦っているんですか?」
ソフィーは聞いてみる。
見る限り1人しか居ないし、仲間の話も出てくるのかも……
そう思いながら。
「強力な魔物に毒を受けるまでは、仲間も居たのだが……この毒を受けてからは、私が暴走してしまうからな……仲間を失ってしまったのだ」
ナザルスさんは話す。
マナの柱の力を受けて、錬金術士として過ごして来た日々。
そして今まさにソフィーが感じているように、魔物との戦闘に危なげは無く、錬金術の素材を手に入れ、研究する日々……
ただそれに慣れて行き、パンドラの箱……
滅びたマナの柱へと近付いていく。
それはまるでパン屑の道を行く鳥のように。
その先に、手に負えない強力な魔物が待ち構えていた……
と、そう話した。
「うわぁ……」
ソフィーはモニカにしがみつきながら、その話を聞く。
あまりにも自分と重なる所のある話。
「うぉ……っ!おおおぉぉっ……!」
ナザルスさんは胸を押さえ、魔物となった左腕を振り回し始めた。
「ナザルスさん!」
ジュリオさんが大剣を盾にナザルスさんに詰め寄る。
振り回す左腕を防ぎ、ナザルスさんを押して行く。
「うゴォォ……ゴゴォォォォォ!」
ナザルスさんは完全に魔物となって、ジュリオさんに殴りかかるも、距離を詰められ過ぎてうまく行かず、掴もうと両腕を広げる。
「はあっ!」
そこを押されて、後ろに倒れた。
バキッ!バキバキッ!
「ウゴオォォォ……ォォォ……」
そして後ろに転倒させられ、床が抜けて地下へと落ちて行った。
「うわあぁぁ……」
一応戦闘配置に付いたものの、杖にしがみつくソフィーが変な悲鳴とため息を漏らす。
ジュリオさんのすぐ後ろには、やる気のプラフタと、フリッツさんが構えていた。
「倒す訳にも行かぬ相手なら、落ちてくれたのは助かるな。あのような毒に効く薬など、あるのかね?」
穴を見つめたまま、フリッツさんが問いかける。
「心当たりはあります。ですがすぐに出来る、というシロモノでもないのですが」
プラフタはソフィーに向き直り、そう話す。
「わ、忘れないうちに帰ろうか?」
ソフィーは杖にしがみついていた。
「ソフィーが怯えきってるみたいだなぁ……帰ろうかジュリオさん」
オスカーは。そう言ってコルちゃんを見る。
コルちゃんは平然としていた。
「ん?どうしました?オスカーさん」
「いや、コル助もビビったりしてるかな、と思ってな……」
ともかく、妖精の道標を使ってアトリエへと帰る。
ここには、ゲームには無い、勝手に付け加えた設定を書いておく所。
[肌襦袢]
コルちゃんから貰ったオリエンタルなパジャマ。薄い青がオシャレ。
[錬金術生活]
図鑑の調合とか、ちょこっと調合とか錬金術談義とか、色々してる時間。
[キルヘンミルクスネーク]
初心を忘れてはいけない。
[北の人形劇]
雨で中止になることもしばしば。雨で中止だと、子供達は勉強の時間になるんだって。
[南の人形劇]
雨でもやるけど、雨の時は人形劇はしない。雨でも、お酒は飲む。
[コルネリア露店の看板娘、コルネリアを応援する会]
お酒を飲むオジサンの集まり。
[錬金荷車1号]
2階建て、飾り付け華やかな噴水広場屋台。お酒とおつまみ、サンドイッチが売られていたり。
[コル助]
コルちゃんの愛称。コルネリア露店の看板娘、コルネリアを応援する会のオジサンは、そう呼ばないみたい。
[タードリッツ]
炉の火を見てくれるらしい冒険者の、奥さんと思われる。
[番人ぷにちゃん]
なんとコンテナ内ちょこっと調合にも、ぴょこぴょこをぴょこぴょこさせながら手伝える!恐ろしい成長と増殖をしているコンテナの番人。
[番人ぷにちゃん隊長]
特に隊長、という訳でもないけれど、この番人ぷにちゃんだけ、ぷにちゃんとは違う人格。
[錬金荷車2号]
冒険の友。2階建て荷車。
[滅びたマナの柱]
何らかの原因で魔物を産み出し続けているマナの柱。人の住めない地域となっている。
オリフラム[公爵]
強敵用、トンデモ爆弾。威力は未知数。
小悪魔のいたずら[の君]
強敵用、弱体化の呪い。威力は未知数。
[真っ赤ガニ]
でかいザリガニ。泥水や沼に住む。なのにこんがり焼くと凄く美味しい、高級食材。
[真っ青ガニ]
でかいザリガニ。泥水や沼に住む。こちらもこんがり焼くと凄く美味しい、高級食材。
[ヌルヌルトカゲ]
甲羅を持たない亀なのだとか。トカゲと言うにはしっぽが短いし、亀と言うには長い……妙なしっぽをしている。煮物にすると無駄に元気になれるという、高級食材。