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錬金術のアトリエ 47
種の日の朝、ソフィーとプラフタはアトリエを出る。
今日は教会でお祈りからの、人形劇の日だ。
ソフィーは北の人形劇に。
プラフタは南の人形劇へと行く。
ソフィーは子供達と仲良くなってるし、北の人形劇の方が楽しみだし。
でもプラフタは、なんかオジサン達の評判が良くて、南の人形劇、演劇と笑い転げていたりするし。
師匠と弟子のファンとなったプラフタだけど、師匠と弟子も、プラフタのファンなのだとか。
……そしてお昼、フリッツさんとエリーゼお姉ちゃんも加わり、テスさんコルちゃんと、プラフタと賑やかな食事となった。
「このハム、というのが新しいわね。燻製小屋から出来上がってるとかヤーペッツが言っていたけど」
エリーゼお姉ちゃんはそう言って、教会の横にある燻製釜。
噴水から見える場所なので、そちらの方を見る。
種の日は、煙はほんの僅かに出るだけだ。
「ハム、いいよね~。でもお高いんだよなぁ……この特製バスケット、高いやつなの?」
テスさんが言う。
なんか色合いもオシャレだし、最近は旅のお弁当として、オスカーが持ってくるので、ソフィーとしては結構口にしてるけれど。
「え?お高いの?ハムって」
ソフィーは驚く。
「そうなんです。なのにオスカーさんてば、ばんばん入れてますので、本当に太っ腹なのです」
コルちゃんも、そう話す。
楽しいおしゃべりをしながらの昼食を過ごして……
そしてソフィーは、強化用のシュタルメタルとクロースをコルちゃんに渡す。
「アトリエに帰ります?」
プラフタに聞かれる。
ソフィーは悩む。
まだキルヘンベルをふらふらしていたいし……
万薬のもとは、手掛かりもないし……
ここはキルヘンベルふらふらの方がいいし、何か錬金術のヒントもあるかも!
「んむっ!このまま色々と錬金術の手掛かりを探して歩く!」
ソフィーは考え込み、そして目を見開いて顔を上げる。
「なるほど、それなら私も一緒に探して歩きましょう」
プラフタも、やる気になった。
……あれ?
そうじゃなくて……
なんかこう……
あれ?
そして、自由にフラフラする目論見は外れて、まずは2人で本屋さんへと行く。
そして本屋さん……
本を探すプラフタを眺めているソフィーは、なんとなく近くに居たシェリルさんとお喋りをする。
何でも、ヴァルム教会のシスター見習いとして、新生児の保育所で働いていたのだけれど、そこでの人間関係がギクシャクして、ここの本屋さんで働く事になったみたいだ。
「結構大変なんですねぇ……」
「まあ~、私はおっとりしてるから~……」
脱力系ゆるふわボイスで、シェリルさんは話す。
どうもこの感じにイライラする人も居たみたいで。
シスターになると、老若男女、海千山千の強者信者を相手しないといけない……
おそらくそんな事は出来そうもないし……
と、シスターの道は諦めて、働く事になったみたいだ。
「ところで、新しい錬金術のヒントになりそうな……」
そんな会話をして、錬金術についての話もしたりして……
そして、そう聞いてみる。
「そうねぇ~……お酒を飲んだら強くなるお話がどこかにあったわよ~……飲むと~、火ぃ吐きながら戦うのよ~……エポプレゾク?みたいな人がね~……」
「エルポレ族ですね。なるほど……」
思いがけない有力情報に、ソフィーはメモを走らせる。
本屋を出ると、雨が降っていて、もう夕方手前……
本屋さんで長居をしてしまったみたいで。
噴水広場を通ると、コルちゃんがやって来た。
ぷにちゃんの部屋に行くのも日課だし、3人で帰る事にする。
「今日はロジーさんも、夕食は冒険者の方と、賑やかな食事みたいなのです。壺屋さんの行列にも挨拶しないとなのですが……」
コルちゃんは悩みつつ、歩く。
「じゃあ、今日の夕食はお肉だね!」
コルちゃんは焼き肉が大好きな肉食系女子だし、ソフィーもたまにはお肉ガッツリ食べないと、コンテナの中の豚ネズミ、減らない……
「おお~♪豚ネズミです?」
コルちゃんが目をキラキラさせる。
「豚ネズミのでっかい塊を、お外で焼くべし!」
ソフィーは持ってる杖を高々と上げる。
「また1つ増えてましたね。豚ネズミ肉」
プラフタもそう話し、3人は意気揚々とアトリエに帰る。
途中にモニカとジュリオさんも居て、エルノアさんは今日、レストランで忙しい上に、お泊まりなのだとか。
なので、アトリエ前で一緒に夕食にする事になった。
賑やかな夕食となった。
そして今、あどみらプニと言うプニの親分が、巡礼街道に出没しているとの話を聞く。
なんか色んな色のプニが崇拝しているみたいで、あどみらプニを中心に、プニたちがふらふらしていて、商人達はそこだけ遠回りしているとの話。
「なんか、この前のリッチオーダーと言い、最近そういうのが増えるのかなぁ……」
上手に焼けた骨付き肉を見つめて、ソフィーは呟く。
「その話は、マナの柱もよく分からないって言ってましたね。マナの柱も、自身がここまで強烈に力を持った事は、今まで無いそうです」
プラフタが言う。
そんなアトリエ前の夕食。
小さい口で骨付き肉にかぶり付く、コルちゃんが可愛い。
そしてジュリオさんから、何かやる気になるはちまきを作って欲しい、と何となくな希望を言われた。
額にぎゅっ、と巻いてやる気になる!
……的な物があると嬉しいのだそうだ。
モニカも、そういうの大歓迎だと話した。
そして4人でぷにちゃんの部屋へ。
ジュリオさんはアトリエ前の片付けをしながら、待っててくれるそうで。
「あ~……モニカさんのおっぱい……」
「モニカのおっぱいは、なんかお母さんを感じるよねぇ……」
コルちゃんとソフィーで、モニカに取り付く。
そんなぷにちゃんの中。
「……何事なのよ……もう……」
モニカは戸惑い、そんな3人をプラフタは眺める。
「子供なんですから……」
ともかく、ゆっくり休む。
どうせコルちゃんがゆっくり眠るから、便乗した方がおトクだし。
そしてコルちゃんとモニカを見送って、プラフタとの錬金術生活が始まる。
そんな錬金術生活で、白熱はちまき、火竜の気付け薬のレシピ構築をする。
これでまたナザルスさんの薬に近づけたのか……
どうなのか……
そして朝、ソフィーとプラフタはアトリエを出てカフェへと向かう。
今回は超絶無敵バリア、偽りの花付き精霊織りの帳の守……
これをプラフタが使う!
コルちゃんとソフィーは、小悪魔のいたずらの君を使って、パーティーの安全を上げて行くのだ!
「おはようございます!」
元気いっぱいのソフィーは、カフェでジュリオさんとモニカ、フリッツさんに挨拶する。
今回は地底湖の奥底まで行き、同調の錬金釜を取りに行くのだ!
ともかく、カリカリトーストの朝食を食べつつ、巡礼街道のあどみらプニの話も出てくる。
目撃例が多い理由としては、見ても別に襲い掛かっては来ないらしい。
でも近づくと襲い掛かる構えを見せる。
そして免罪符が効かないのだとか。
「ん~……あの巡礼街道の広場って、街道から外れてるからなぁ……」
その話に、オスカーが呟く。
ともかく、巡礼街道を経由して、朝凪のほとり温泉、そして地底湖の奥地を目指す予定で、キルヘンベルを出る。
……青く輝く能天気な笑顔……
あどみらプニが居て、その回りには色とりどりのプニ達が、あどみらプニに体当たりして転げている。
「なんか、すっごい能天気笑顔なんだけど」
遠目でその姿を見てるソフィーが呟く。
「アトリエにあった、ソフィー人形の顔そっくりだね」
ジュリオさんが余計な事を言う。
「ぷっ!確かに……っ!」
モニカが笑う。
こちらの空気を揺らして来ない所を見ると、それほど脅威、という相手でもないみたいで、気持ちにもゆとりがある。
「とりあえず倒しておこうか。そういう依頼だし」
そしてあどみらプニ達に戦いを挑むと……
回りのプニ達は逃げて行った。
あどみらプニ……
恐ろしく人望が無いみたいで……
そして危なげなく倒す。
倒すと、ころころ転がって……
ぴよ~んと空へ消えて行った。
「……一体……なんだったんだろ?」
なんか凄い品質のプニ体液と、金のプニプニ玉を残して飛んで行った……
そんなあどみらプニの姿を見て、ソフィーは新しい錬金術、プニプニ弾を閃く!早速メモを取った。
そして雨の降りだした夕方手前。
メーベルト農場に差し掛かると、いつもは見かけない、派手な屋根が見えた。
近づいてみると、オジサン達とおばさん数人、子供さん2人で酒盛りしていた。
そして呼ばれたので行ってみる。
馬車のオジサンから噂が流れてるみたいで、やたら友好的で、それにでっかい犬とか、でっかい羊、牛も居たりして、思わず夜まで過ごす。
「牛さん、めっちゃ可愛いよおぉぉ……」
「牛さん可愛いです!」
ソフィーとコルちゃんは、犬にも羊にも飛び付いて、1番懐いた牛に夢中になっていたり。
なので、ハロルさんとフリッツさん、レオンさんは、酒盛りに混ざる……
そんな道草を食って、温泉にたどり着いた時には朝だった。
雷雨の湖畔………
「うひゃ~……ずぶ濡れだよぉ~……」
朝凪のほとり温泉の洞窟に入り、雷雨をやり過ごす。
お猿さんの群れと、カラスが4匹居た。
そしていつもよりも温泉が深い。
「……なんか、大人しいです」
コルちゃんがしゃがみ、お猿さんを撫でる。
お猿さんもアクビしてたりする。
30匹ぐらい居て物々しいと思いきや、そんな事もないみたいで。
そしてお猿の大部分は、ソフィー達に興味がないみたいで、外へと出て行った。
カラスも、3匹は飛んで行った。
「いつもと同じメンバー……という事なのか?」
懐いたカラス、ソフィーやモニカと一緒のお猿さんを眺めて、ハロルさんは1人呟く。
「お猿さんの中で、このお猿さんが1番おっきいんじゃない?」
モニカのおっぱいに取り付くお猿さんの背中を撫でながら、ソフィーが話す。
「確かにそうかも。なんだかイヤらしい顔してるのに、ボス猿なのかしら」
モニカも、いつも通りお猿さんを触る。
お猿さんはゴツゴツと硬い皮膚の手で、モニカの乳房を夢中でふにふにしてる。
そんな温泉ライフを満喫してから、地底湖へとまた歩き出す。
今回、水遊びはなしだ。
地底湖の入り口、色んな魔物をやり過ごして進む。
高品質の水、鉱石がぼろぼろ採れる!
更にハロルさんの好きなトカゲも採れるし、オスカーも色んな草花を採っていたり。
「この金プニ、早すぎなんじゃないか?」
オスカーが呟く。
まるで瞬間移動ばりの、コロコロを繰り返す金プニを脇目に、地底湖の奥へと目指す。
特にこちらに詰め寄って来る訳でもなく、コロコロとどっか遠くへ行ったりする。
「でっかい!何あの魚……」
ソフィーが驚く。地底の湖畔で、大星魚の大物がアクビしてる。
なんか退屈そうだけど、遠目で見てる分には問題なさそうだ。
ともかく奥へ……
意外と野営できるくらい、魔物が居ない場所もちらほらあった。
「これは……華水晶だな……滅びたマナの柱の跡地となった場所で、見掛ける事の出来る物だ……と、言う事は……ここにはもう、滅びたマナの柱も無い、と言う事だな」
フリッツさんがそう話す。
強敵を予感させる空気に変わった、地底湖の奥地にたどり着いたのは夜中。
とんでもなく広い洞窟だ。
きらびやかな巨大水晶がたくさん見えて、きらめいているものだから、夜、って感じもしない。
……強敵を前に食事も程々。
ほんのひとくちふたくちだけだ。
「来る!プラフタ!」
ソフィーが敏感に察知して、襲い掛かって来たツインヘッダー×2との戦闘になった。
「はいっ!」
プラフタが使うのは、精霊織りの帳の守。
ソフィー達のパーティーに白いもやもやが掛かり、一気に楽な呼吸の出来る空気に変わった。
「これは……何と言う加護の力だ……凄過ぎる……」
ジュリオさんが呟く。
そして恐ろしいダメージ軽減により、戦闘は長くなるけど危なげなく勝てる!
「なんと!……これほど凄い効果を発揮する物だったとは……ソフィー、あなたはとんでもない物を作りましたね」
プラフタもびっくりだ。
「偽りの花」の特性が強烈過ぎる。
それからもツインヘッダー達と、更にタイラントホルンという巨大魚とも戦うも、精霊織りの帳の守が強烈過ぎて、危なげなく倒せる。
そして最奥に控えるのは、死者の魂を操り、リッチを生み出すリッチの王、ノーライフキング。
だけど、ノーライフキングは何故かツインヘッダーよりも弱く、しかも単独で出てくるものだから、いっそ精霊織りの帳の守も必要なく、あっさり倒す。
そして、ジュリオさんの聞いた通り、同調の錬金釜と、何かの本を手に入れて、帰還となった。
……開花の日、早朝。雨の降るアトリエ前に到着する。
「今回、かなりぷにちゃんの力が増えたような……」
ソフィーが呟く。
「確かに、強敵との戦いに勝つと、ぷにちゃんの力が強くなって行きますし、かなりとんでもない力になっているとしか思えません」
コルちゃんも口許を隠して呟く。
そのまま、アトリエで朝食、という事になった。
パーティーで、この強さの不思議について話そう、という事になったのだ。
「錬金術で作る物って、凄過ぎるよねぇ……ここまで凄いと、なんか怖いよね……」
ソフィーが話す。
オスカーは達人の錬金釜がちょうどいい大きさだと、達人の錬金釜で煮物の調理をモニカ、レオンさんとコルちゃんとで始める。
「特性を乗せる、という能力と特性を適用させるという能力が、特に凄いのかと」
プラフタも言う。
雨は小降りになって来た。
「僕の居たアダレットの騎士団も……と、言いたい所だけど、僕は第一線の事情は分からないんだよね。恥ずかしながら……」
ジュリオさんは頭を掻く。
「ジュリオさんの剣も人間離れしていますけれど……」
ソフィーはそんなジュリオさんを見る。
「まあ……そう感じるのも無理はないが……アダレット騎士団の第一線、となると今の我々では遠く及ばない強さをしているな。彼らは全員、マナの柱の力を獲得している」
フリッツさんがそう話す。
……とんでもない強さの集団……
って事らしい。
そして主にフリッツさんの話を聞く朝食となった。
第一線の強さを持つ人の話を、フリッツさんだけが知っていたからだ。
そもそもマナの柱の加護の強さ……
と、いうのは、ソフィーのパーティーで言うと、逃げ隠れせずに叩き合う強さ。
……になる。
それとは違う、気取られない強さ、だったり相手の攻撃の範囲よりも外から攻める強さ、だったり様々なのだと言う。
……朝食を食べながら聞くその話は、少し怖いものだった。
マナの柱が多数現れて、その魔法の力は、世界中に充満している。
その魔法の力の有効活用も、ソフィーが思う所とは、また別次元と思えるぐらい研究されているみたいだ。
……強くなりすぎてるんじゃないかと思ったりもしたけれど、そうでもないみたいなので、安心して更なる錬金術を研究して良さそうだった。
そしてアトリエ前で解散。
ソフィーとプラフタ、モニカとコルちゃんで、ぷにちゃんの部屋へと、ぷにちゃんの中へと行く。
「……残りの時間は……60時間だ……」
ぷにちゃんはお決まりの台詞を言う。
「なかなか減ったわねぇ……でもまだまだあるのは助かるけど……」
モニカが思う。
最近は、ジュリオさんとご無沙汰みたいで。
そんなのも、この場所だとだだもれだ。
「ふむ……ご無沙汰なのに言い出せない……モニカさんらしいです……」
コルちゃんが思う。
コルちゃんはロジーさんが程々な感じになってきて、好都合な感じ。
「む~……あたしも先週はまったりのんびりしてただけだけど……今週はどうなんだろ?」
ソフィーも思う。
別にまったりのんびりでも、全くもっていいんだけど、プラフタとはガツガツしてたし……
「そういえば、ソフィーだけ恋人が2人なんてズルい感じするわね……」
モニカが目を光らせる。
……けど、別にどうこうしたい的な欲も湧かず、光った目も瞼が落ちて、やっぱ寝たいオーラが出る。
コルちゃんもソフィーも、プラフタもそんな感じで。
そして休んで解散。
ソフィーは早速、同調の錬金釜の調合に入る。
「お~♪カテゴリーパワーバッチリな素材あるある!」
ソフィーは錬金釜の中を眺めて、テンションを上げる。
「これは、長らく練習用の錬金釜でしたが、更に良い環境での調合となりそうですね」
プラフタもその調合を見つめる。
「よし!なんと全て完璧!これからはこの錬金釜で更にいい物が作れそう!」
ソフィーは配置を決めて、1つため息をつく。
とは言え、浸け置き24時間!
今日はもう、錬金釜は使えない……
でも、レシピ構築したいアイテムはあるので、錬金術生活。
同調の錬金釜と共に、持ち帰った本をプラフタと読み解き、心眼のモノクル、原初の種火、シュタルレヘルン、プニプニ弾、とレシピ構築する。
それがお昼まで。
そんな錬金術漬けの時間に、プラフタが記憶を取り戻した!
「ソフィー……!遂に私のアトリエと、その鍵を思い出しました!」
目を見開き、嬉しそうな顔のプラフタ。
「おお~!」
錬金術漬けの午前中の疲れもぶっ飛び、飛び上がるソフィー。
そして真理の鍵のレシピを書き記す。
分からない素材×3のレシピなので構築など出来ず、メモに留まる。
「ソフィー……大地の傷痕に行きましょう。そこで話したい事があります」
そしてプラフタが遠い目をして、その目を伏せて話す。
かなり多くの記憶が戻って来たみたいだ。
「ふむ~……アポステル温泉、気に入ったんでしょ?めっちゃ可愛かったもんねぇ……毒の爪も、猫モードの時は引っ込んでるし~……」
ソフィーはにやけて、プラフタにジト目を向ける。
「なるほど……そう来ましたか……」
プラフタはかくっ、とずっこける。
「また行く……としても、重要な用事なら皆に言っておかないとだね!真理の鍵の材料の聞き込みもやらないと、だし~……錬金釜は24時間使えないし~……」
ソフィーはそう話して、コンテナに入り、ちょこっと調合、耐水性でかゼッテルを作ると、そこに品目を書いて行く。
朧草の花弁……日輪の雫……久遠の竜鱗……ソフィーは紙にそう書き記す。
「なるほど……貼り出して情報を集めよう、と言う事ですか」
プラフタは言う。
「ん~……初耳3種類だと忘れそうだし、こういうのあった方が聞くの忘れたりしないし!」
ソフィーはごまかし笑いしつつ、その紙を折り畳むと、杖を手に取る。今日はキルヘンベルをふらふらするのだ!
そしてアトリエを出るソフィーとプラフタ。
今日は晴れたキルヘンベル。
「プラフタのアトリエにも、錬金釜はあると思うんだけど、どんな錬金釜を使っていたの?」
噴水広場に向かう道。
ソフィーが聞いてみる。
「知識の大釜、という錬金釜でした。錬金術の能力を持たない者でも調合が出来る、という代物でして」
プラフタはそう話す。
錬金釜にマナの柱の力が宿り、そして命と魂が宿っているので、錬金釜が話す。
プラフタは本だったけれど、それが錬金釜……
みたいな感じ。
「ってことは……飛ぶの!?」
ソフィーは目を輝かせる。
「はい。飛びますね」
プラフタはそう答える。
そうして噴水広場まで、色々とおしゃべりして歩く。
噴水広場に、モニカとジュリオさんが居た。
それにバーニィさんと教会騎士の方々が居たり。
「おはようございます!」
ソフィーは元気いっぱいに挨拶しつつ、あの紙を広げる。
……ジュリオさんとモニカはこれから、裏ストリートの見廻りに出るみたいで、その話をしていたらしい。
そうして行ってしまったのだけど、日輪の雫はモニカに心当たりがあったみたいで、久遠の竜鱗も、ジュリオさんに心当たりがあった。
ジュリオさんは、夕方ぐらいにはその心当たりを色々確定させて、アトリエに顔を出してくれるそうで。
モニカはうろ覚え過ぎてよく分からないけど、思い出したらアトリエに顔を出してくれるそうだ。
「イキナリ2つ、終わったよおぉ!」
ジュリオさんとモニカ、バーニィさん一行をお見送りして、ソフィーはガッツポーズを取る。
最後は朧草の花弁だけだ。
植物の事ならオスカーが何か知っていそうだ。
「オスカーなら、本屋さんかな!いや……流石に寝てるかなぁ……」
ソフィーは口許に指を置いて呟く。そしてやはり本屋さんへと行く事にした。
「……うわぁ!雨が来る!」
旧市街、師匠の木の場所でソフィーは指差す。
森から噴水広場に向けて、雨の境界線が移動している。
「よく降りますねぇ……」
ともかく、2人で本屋さんに駆け込む。
ほんのちょっと濡れただけで済んだ。
「あら、ソフィーとプラフタじゃない」
「お~、ソフィーとプラフタじゃんか」
「お?笑いの浅い姉さんじゃないか」
「あ~!ソフィーだぁ!」
「いらっしゃ~い」
本屋さんに入ると、なんかエリーゼお姉ちゃんとオスカー、職人のおじさんにソフィーダちゃん、シェリルさんと揃っていた。
何でも、この本屋さんから裏の井戸に向けて、エリーゼお姉ちゃん達、本屋の番人達の詰所、兼、倉庫を作る話をしていたみたいで。
「へぇ~……ん?結構お金かかるんじゃない?」
ソフィーは口許に指を置いて呟く。
そして疑問に思った。
「レストラン収入と本屋の収入で、何とかなりそうなのよ。それに本も増えちゃって増えちゃって……」
ひとしきり増築の話をする。
地下室が本の倉庫、地上はベッドと暖炉、そんなシンプルな作りだけど、日程とか材料とか……
働く人とか……
色んな話が飛び交う。
そしてソフィーが例の紙を出して、探し物を聞いてみる。
「お~……朧草なら、今オイラ育ててるぞ」
知ってるどころか持ってた……
でも栄養状態が余程よろしくないと、花が咲かないみたいで、オスカー印の栄養剤も空しく、花が咲いていないみたいだ。
ソフィーは錬金術製の、新しい肥料をメモする。
「あっさりと!3つとも手掛かり掴めたかもだね!……でも明日の朝まで錬金釜は使えないんだよなぁ……」
ソフィーは頬を掻く。
「ふ~ん。じゃあ、ソフィーは珍しくヒマヒマって事かぁ……キルヘンベルはここ最近、色々と新しい店とか出てるから、案内しようか?」
オスカーが言う。
「それ、いいね!プラフタも行こうよ!」
そして3人で雨のキルヘンベルを……
しかも裏ストリートへと歩いて行く。
「あ、ジュリオさんとモニカだ!」
裏ストリートに差し掛かった時に、ジュリオさんとモニカに会う。
今はパトロールに歩いているみたいで。
「あら、珍しい所で会うわねぇ、ソフィー」
「ついに裏ストリートの散策かい?」
裏ストリートの注意点なんかを教えてもらい、3人は奥へと進む。
「ここがレストランに対抗して作られた偽レストランだな。冒険者の人が始めた冒険者達に人気の店で、安くて大雑把な料理が出てくるし、お酒も喧嘩もある感じだな。お昼だから、そうでもないけどな」
オスカーが案内して、ソフィーとプラフタがその建物を眺める。
レストランとは違って、ただ普通の家にしか見えないけれど、正面は確かにお店、って感じ。
「ふむぅ……もうすぐお昼?」
ソフィーはオスカーに尋ねる。
……食べ物屋さんなんて見たらお腹減った……
「もう14時だぞ?ソフィー、昼食食べなかったのか?」
「お昼くらいにアトリエ出ちゃったもんねぇ……食べてなかったり」
「じゃあ、入ってみるか。大雑把な料理だけど、旨いんだぜ?」
3人で偽レストランに入る。オスカーはお昼食べたけど、別に食べられるそうだし。
「いらっしゃい!今日は豚ネズミのいい所、入ってるぞ!」
筋肉質で、年季の入ったオーバーオールだけ着てるオジサンが暇そうにしていたけど、ソフィー達が来ると笑顔でお出迎えしてくれた。
オジサンは、今日は冒険者が冒険に出てる時間だから暇なんだ、と話してくれて、ソフィーとプラフタ、オスカーも自己紹介する。
なんか優しそうなオジサンだ。
「お嬢ちゃん、肩がぬらーっと出ていて色っぽいな、おい」
そんな中で、オジサンがそう言ってプラフタが笑っていたんだけど、ソフィーは……
ぬらーっと出てるのか……
と、思う。
思いつつも、あんまりオジサンの笑顔がいい笑顔なもんだから、つられて笑った。
そして出てくるお湯と豚ネズミ肉。
結構でかい。
お湯は草湯と言って、確かにほんのり何か香りがあるだけのお湯だ。
豚ネズミ肉はちょっと塩が強くて、お湯が進む的な所があった。
「はっはっはっ!なんていい食べっぷりだ嬢ちゃん、気に入ったぜ」
ほっぺたを肉の油でテカらせてるソフィーを見て、オジサンは笑う。
ソフィーとコルちゃんは、塊肉を食べるとこうなる。
「なぜあなたは、切り分けた物が大きいのですか……」
プラフタは呟く。
言っても治らない所で、なんか塊肉が出ると、塊肉で食べないと気が済まないみたいで……
そして食事を終えて店を出る。
店の近くの井戸で歯を磨く。
顔も洗う。
「もう……オスカーに拭いて貰うあなたの姿は、まるで子供でしたよ?もう少し品性と言うものを……」
プラフタに説教されながらの、歯磨きとなった。
コルちゃんも来るだろうから、と教会騎士の人に便乗して、アトリエに帰るプラフタとは別れて、オスカーと2人でキルヘンベルの裏ストリートをデートで歩く。
教会騎士の人達も頻繁に見かけて、そしてディーゼルさんに出会った。
「あ~!ディーゼルさんだ!お~い!」
遠目に見つけて、ソフィーが叫ぶ。
「お、おいおい……あんまり大声出したらまずいぞソフィー……」
周りのスラムな方々に目をつけられながら、でもソフィーはディーゼルさんと教会騎士の一団へと行き、オスカーも続く。
「ソフィー……相変わらず元気そうだが……あまりこっちには来ない方がいいんじゃないか?お前は人一倍空気が読めないのだから」
ディーゼルさんは渋い顔でそう話す。
そして教会に戻るから、と連行される事になった。
「最近、色々な物を作っているそうじゃないか。ダークマター工場ではなくなったみたいだな」
連行するディーゼルさんは和やかな感じになって、ソフィーの肩に手を置いてそう話す。
「えへへ~、そうなんですよ!役に立てる物が作れるようになりまして」
ソフィーは答える。
「私も、また教会騎士の1人。マナの柱の力を研究もした……ソフィーがマナの柱の力を得ている、と知ってもいる。だからこそ、裏ストリートには入らない方がいい」
ディーゼルさんは穏やかに話し、そしてオスカーを見る。
「な、なんかオイラが軽率だったよディーゼルさん」
オスカーも、しおらしく言う。
ディーゼルさんはどんな顔をしていたのか……
「でも、あたしもそこそこ強くなって来たんですよ!だからきっと、オスカーも案内してくれたんじゃないかな~、と思うんです」
ソフィーがフォローする。
「確かに。そうだなぁ……」
ディーゼルさんはそう話すと、ソフィーに顔を近付けた。
「私は、マナの柱を研究してはいるが、恩恵は受けていない。この魔物だらけの世界で、不自由な男だ。どうだろう?ソフィー……1つ助けては貰えないだろうか?」
そしてそう話した。
「え……?」
ソフィーは答えに困る。
マナの恩恵の話で、助ける、となると……
ソフィーもオスカーも思う。
「……そういう事だ。ソフィーのその力で、これだけのお人好し。こういう悪漢につきまとわられると、困るだろう?」
噴水広場が見えて来た所で、ディーゼルさんはソフィーから離れる。
そして教会騎士の人と、裏ストリートの方へと引き返して行った。
ここには、ゲームには無い、勝手に付け加えた設定を書いておく所。
[北の人形劇]
ソフィーのお気に入り、子供達の子供達による人形劇。演技派の子供達が、どんどん腕を上げていたりする。午前中だけ開催。
[南の人形劇]
プラフタはこちらがお気に入り。芸人師匠と弟子の漫才なんかもやっていたり。人形劇もちょっと面白いアレンジが入っていたりする。
[ヤーペッツ]
食通商人のおじさん。レストランと燻製小屋を主に監督していたり。美味しい物を作り出す人生。
[シェリルさん]
めっちゃおっとりしている、眠そうな目のお姉さん。女の子女の子してる、可愛い人。
[エルポレ族]
お酒飲んで火を吐きながら戦っていたという記録が、どこかにあるみたい。罠とか待ち伏せとか、色んな戦い方をしていたらしいから、火も吐いていたかも。
[豚ネズミ]
コンテナに預けると、なんと番人ぷにちゃん達が食べられる所だけ残して、皮とか爪とか内臓なんかを食べ尽くしてくれたりする。なので預けるだけでお肉になる!
[番人ぷにちゃん達]
コンテナの番人。預けた物からソフィーに不要な物。使わない部分とか、汚れとかを食べ尽くす食いしん坊達。
[エルノアさん]
仲良しのおばさんも沢山居るので、モニカと住んでるけど、他のお家に泊まって来る事も多い。
[錬金術生活]
色々な企みをカタチにする時間。妖精の道標を作る時間でもあったり。実際にソフィーのアトリエをプレイしながらこの小説は書いている。コルちゃんの使用回数回復はOFF。
[メーベルト農場の酒盛り]
商人の人とかも、よく参加してるみたい。牛や羊、犬が沢山居る。
[朝凪のほとり温泉]
近くに寄ったら入って行く。もはや普段使いの温泉。相変わらずのお猿さんが今日も住んでいる。
[華水晶]
滅びたマナの柱は、魔物を産み出し続けるのだけど、マナの柱そのものはゆっくりと溶けていくみたいで、無くなる。無くなっても魔物は生まれ続ける。そういう場所でこの華水晶が多く出ている。
[達人の錬金釜で煮物の調理]
錬金釜の下の絨毯に乗せないと、コンテナとも繋がらないし、錬金釜として機能しない。なので普通の釜としても使えたりする。錬金釜サイズにもならないけれど、それでもそれなりに大きい。
[キルヘンベル裏ストリート]
スラム的な区域。荒くれ冒険者の方々とかいっぱい居たりする。表ストリートよりも広い区域。
[偽レストラン]
スラム的な女子向けのレストラン。飾り気はない。
[バーニィさんと教会騎士の方々]
キルヘンベルのパトロールをしているバーニィさんと、その護衛?の騎士の人3人。荒くれ冒険者も黙る強者の騎士の人なのだとか。教会の子供達には人気の人でもある。
[師匠の大木]
旧市街のシンボルでもある、古い木。大木という程には大きくない。
[ディーゼルさん]
バーニィさんと同じようにキルヘンベルの治安を守る、子供達の先生。筋肉マン!