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錬金術のアトリエ 50
果実の日、朝の5時……
妖精の道標でアトリエ前に帰って来た。
森の奥地で採れた芋……
ハロルさんの採る虫も、美味しそうに太っていたりするので、アトリエ前で朝食になる。
「しかしこの焼き台、火からの調節が便利で感心するな」
ハロルさんとレオンさんで、虹トカゲを焼き台に掛けながら話す。
虹トカゲって名前なのに茶色いんだけど、緑になったり青くなったりするやつだ。
「ん~……森の奥地なら万薬のもと、手掛かりもあるかな、と思ったんだけどなぁ……ナザルスさんの薬が出来ないねぇ……」
ソフィーはがっくりする。
「そうですね。更に錬金術を進めるしか……」
プラフタも腕を組み、考える。
「それでも、望みがあるのは頼もしいよ、ソフィー」
ジュリオさんはそう言ってくれるけれど、既に結構時間が経っているので、気に掛かる所だった。
ともかく、朝食も終えてパーティーは別れる。
「プニ助は、待っててね~」
不思議と汚れたりしない、プニ助をアトリエに残して、ソフィーとモニカ、コルちゃんとプラフタ、4人でぷにちゃんの部屋へと向かう。
プニ助が悪さをしないか少し心配だけど、ぷにちゃんがプニ助の動向を察知出来るので、何かすれば分かるみたいだし、時間を止める都合でものの5分くらいだし……
プニ助だけを残す事にした。
「ところで、ひとりぼっちのプニ助、何してるんだろ?」
服を脱ぐソフィーが呟く。
「ん?今は床に寝てるね」
番人ぷにちゃんの群れの1つが、プニ助の真似をして、仰向けになって少し広がる。
「結構、気疲れしてるとか……あるのかしら?」
その番人ぷにちゃんを見て、モニカが言う。
「そんな風に見えますね。果たして本当の所はどうなのでしょう?」
プラフタが言う。
そして4人、ハダカ族になってぷにちゃんの部屋へと入る。
スッキリシャッキリしたコルちゃんとモニカが帰り、ソフィーとプラフタは、錬金術生活を始める。
レシピ構築出来てるけど、作ってはいない物が結構溜まって来てるので、中々忙しかったりもする。
「素材は沢山あるけど、特性で悩むよねぇ~……初めて品だから、出来上がりそこそこでも、まずは作ってみるのが大事って思うんだけど……」
錬金釜を挟んで、ソフィーとプラフタで悩む。
悩みながらも作るのだけど、1つに9時間とか掛かったりもするので、1日あってもすぐに終わってしまう。
そして浸け置きの時間に、ソフィーは外に出て杖を振ったりする。
そんな午後に、エリーゼお姉ちゃんがやって来た。
「あら、なんか張り切ってるのかしら?」
全力杖アタックの練習をするソフィーを見て、エリーゼお姉ちゃんが声を掛ける。
「エリーゼですか。錬金術の置き時間が長いもので、こうして戦闘の訓練もしていたりするのです」
ソフィーの杖を受け止めて、プラフタはそう言うと、ソフィーもエリーゼお姉ちゃんを見る。
「なんかね、オスカーから調べものを頼まれていて、それを見つけたんだけどオスカーが居ないのよ。だからこっちに届けようと思って、本を持って来たわ」
エリーゼお姉ちゃんは抱えてる本を、少し持ち上げて見せる。
「ひょっとしたら!万薬のもとかも!」
ソフィーは汗かいたまま、軽業ローリングすると、アトリエのドアを開ける。
もうすっかりあったまっていて、身体が動く動く!
「ソフィーもプラフタも、こういう姿を見ると、なるほど冒険してるのね、って思うわ」
ヘクセ・アウリス状態のプラフタと、やたら動くソフィーを見て、エリーゼお姉ちゃんは呟く。
「オスカーもすっごいんだよ!シャベルに乗って空を飛んじゃうんだから!」
ソフィーはそう話しながら、エリーゼお姉ちゃんを迎える。
そしてエリーゼお姉ちゃんは、少しの時間、お茶しただけで、そそくさと帰って行く。
「フリッツさんと、ラブラブなんだねぇ……」
アトリエ前で、エリーゼお姉ちゃんを見送るソフィーが言う。
「こちらも、夕食にはオスカーが来るのでしたね?」
プラフタも、山を降りるエリーゼお姉ちゃんの後ろ姿を眺めて、そう呟く。
「まあね~……それまではプニ助とイチャイチャしなきゃ!」
ソフィーはアトリエへと戻る。
「全く……どれだけプニ助とイチャイチャすれば気が済むのですか……」
プラフタも、アトリエに戻る。
錬金術が1つ完成して、次を仕込む。
そんな夜……オスカーはまだ来ない。
「どうしたんだろ~?」
ソフィーはプニ助に飛び付いて、床をゴロゴロする。
プニ助が嫌そうな顔になった。
「床ゴロゴロだめだったね~……ごめんごめん」
ソフィーはプニ助に顔を寄せて、頭をぺたぺたなでなでする。
プニ助が笑顔に戻った。
「オスカー……遅いなぁ……」
ソフィーは、プニ助を抱えて呟く。
「ごめんソフィー!遅くなったっ!」
もはや夜中にオスカーがやって来た。
そんなオスカーに、ソフィーはフライングボディーアタックをする。
「めっちゃ遅~い!」
「ぐは!」
そして抱き合うように捕まえる。
「なんかあったの?」
ソフィーはオスカーに抱きついて尋ねる。
解放されたプニ助がため息をついて、ベッドの下へと隠れて行く。
「配達先でなんかいざこざがあってさ。駆けつけていたらこんな時間になったんだよ」
オスカーが話し、抱きついたソフィーの背中に手を回す。
「あっ!まさぐってる場合じゃないよ!お腹ぺこぺこだもん」
ソフィーは離れて、コンテナに向く。
「じゃあ、オイラも腹ぺこだからな……ちょっと出てるな」
オスカーはコンテナが開くように、アトリエの外で待つ事にして、ドアを閉める。
そして遅い夕食。
プニ助もオスカー特製甘口カレーと、ちょこっと錬金術製、杖パンに口を付ける。
「いやぁ、裏市街のさ、この前ソフィーと食べた屋台あるだろ?あそこのトラブルでさ……」
オスカーは経緯を話す。
あの屋台の主人、注文を覚えてないのか、注文していない物が届いてない、と文句を付けて来る事が多かったらしく、しかもつい最近出来た屋台なのだと言う。
あまり料理の評判も良くなかったけれど、ヤーペッツさんが食べて、草湯を付ける事を始めてマシになった、との話。
「う~ん……あの辺りだとあんな感じなのかなって思ったけど、お湯が進むくらい味が濃かったよね」
ソフィーも頷く。
「調味料が適当なんだよな。それでいて基礎が出来てる訳でもないから、美味しいかどうかは運、みたいな屋台らしいんだよ」
オスカーは話す。
相手次第で味も違ってくるとか、そういう評判の屋台らしい。
「でも、なんか初めて食べる感じで、悪い感じじゃなかったけどなぁ……」
ソフィーは杖パンをカレーに沈めながら話す。
プニ助も、見よう見まねでそうして食べてる。
プニ助のヒゲ、結構伸びる……
そして今回、そのオヤジさんが子供を怒鳴り付けてる所に、フリッツさんが居合わせたようで、そのまま屋台を畳んでしまったらしい。
「え!?そ、そうなの?もう無いの!?」
ソフィーは驚く。
「この場所で子供を怒鳴り付けてるような店は、無い方がいい、ってフリッツさん……スゲー怖かったらしいんだよ。あのオヤジさんが震えてたもんな」
オスカーは居合わせた訳じゃなくて、注文された品物が売れない状態になったので、引き取りに行ったらしく、その時に剣を2本差した、緑の服の人形劇のオジサンと聞いたらしい。
「フリッツさん……怒らせると怖そうだよね」
ソフィーはプニ助を眺めて言う。
「みんな、怒ったら怖いと思うけどな。オイラの杖パン、でかすぎるよな……」
オスカーが言う。
パンはまだ半分なのに、手元のカレーは無くなっていたり。
「カレー、もうないの?」
ソフィーは丁度よく、フィニッシュを迎えられそうだった。
「朝に、って思って作った分、食べちゃうか」
オスカーは立ち上がる。
「そうしなよ~……あ、プニ助もお代わりだって」
ソフィーはヒゲを立ててるプニ助を見て、微笑みながら言う。
「はいはい……」
そんな2人の夜は更けていく……
「で……またこういう感じなのですか……」
事後ハダカ族のソフィーと、その隣のプニ助を眺めて、プラフタが呆れたように呟く。
「今日はあれ、なんと言うか……騙されたというか……」
ボサボサ頭のソフィーは照れ笑いしつつ、毛布を抱えてコンテナへと退散する。
仕上がりは、30分後。
そんな種の日の早朝……
「プラフタも、昨日はコルちゃんで悶々としてたんじゃん!」
ソフィーはぷにちゃんに綺麗にしてもらうついでに、プラフタの昨夜も探っていたり。
プラフタったらコルちゃんのラブラブで、ぷにちゃんとエロエロしてたりしたもんだから、冷やかし笑いになった。
「もう!その話はいいですから!」
プラフタは顔を赤くして叫ぶ。
すっかり筒抜けなのを失念していた。
「い~や!良くないもん!あたしだけエロエロしてたみたいに言っちゃって~」
ソフィーは、プニ助を抱き締めて歩く。
コルちゃんもラブラブ絶好調、愛はドン底まで深まってるみたいで。
まだ朝焼けの時間。
教会広場に向かう2人は元気に騒がしく歩く。
「……ソフィー、もう市街地だから……」
そんな言い合いに夢中の2人に、ジュリオさんが寄り添った。
モニカの家に差し掛かっていたみたいで。
「わお!」
ソフィーはプニ助で、口許を隠す。
「だからさっきから言ってるでしょう……」
プラフタは呆れた顔をする。
祈りの時間に向けて、他の家からも色々な人が出てくる時間でもある。
「朝から元気ねぇ……でも元気が溢れすぎてるんじゃないかしら」
モニカがジト目を向ける。
「そういうモニカだって、今日はエルノアさんが見えない所を見ると……むぐっ」
ソフィーがそう言いかけて、モニカにプニ助を口許に押されて黙る。
「もう!思った事を何でも口に出さないで!」
モニカは顔を赤くして、プニ助を押し付ける。
そんな種の日、朝の風景。
お祈りの時間が終わり、噴水端会議。
次の冒険の話は、東の深い森エリアの東の端、古き妖精の森への道の跡を通り、古き妖精の森へと行く話になっていて、その話になった。
また、ロジーさんの話に寄ると、西に堕ちた神殿があるらしく、その話にもなった。
冒険できるエリアが増えるのは嬉しいけれど、東西に2つ……
まだ調合出来てない新レシピもあって、なんか目が回る忙しさになりそうな……
更に願い無き供物台にて、なんか凄いお化けが現れた、という話しと、あどみらプニがまた出てるという話があり、この世界……
どうなってるんだ……
「なんか……色々ありすぎてよく分からなくなったよぉ~……」
そしてソフィーが、頭を抱えて苦しみ出した。
「ソフィー、大丈夫だよ。ルートは僕らが考えておくから。妖精の道標だけ、使えるようにしておいてくれれば」
ジュリオさんが優しく微笑み、ソフィーに言う。
「今までも、ソフィーはあまり考えてなかったじゃない」
モニカは腕組みをして、メガネに手をやる。
ともかく、今日は人形劇を楽しんで、いつものように過ごせばいい、と北の人形劇に促され、ソフィーはプニ助を抱いて北の人形劇へ。
お昼はコルちゃんとテスさんの露店で、八百屋バスケットを食べて、アトリエへと帰る。
「ソフィー、そう言えば南の人形劇で、職人の方からこんな手紙を頂きました」
アトリエへの帰り道、プラフタは貰ったと言う手紙を取り出す。
「ほほ~う。さてはデートのお誘い!?職人さんには奥さん居るのに……これは……不倫だね!」
ソフィーとプニ助が、目をキラキラさせる。
「なぜプニ助まで、目をキラキラさせるのでしょうか……」
ともかく、プラフタは手紙の中身を取り出す。
「コルネリア露店の看板娘、コルネリアを応援する会」として、なんか不思議な道具を募集していたみたいで、その結果、風に溶けたロウソクと、なんか大袈裟な笛が描かれていた。
「こんな内容でしたが」
プラフタはソフィーに見せる。
「なんと!……む~……?」
ソフィーはその手紙を手に取って唸る。
唸った結果、新しい錬金術……
そよ風のアロマと、魔法使いの笛を閃いた。
そしてアトリエで錬金術生活……
夕方くらいにコルちゃんがやって来た。
「あ、コルちゃん!コルちゃんの会のオジサンから手紙を貰ったよぉ」
ソフィーが伝える。
「おお!?どんな手紙です?」
コルちゃんは目をキラキラさせる。
どうやら知らないみたいで。
「こんな手紙だけど……」
ソフィーは風に溶けたロウソクと、大袈裟な笛の描かれた手紙を見せる。
「ほう……そんな募集があったのですか……これはひょっとすると、プラフタさんがなんとなく話した事に食いついた感じがします。何かしらお礼を期待してるかも知れませんので、それとなく聞いておくとしましょうか」
コルちゃんは口許を隠して、そう話す。
そしてぷにちゃんの部屋へと入って行く。
ソフィーも折角なので、便乗しておく事にしてみたり。
そして双葉の日。
ソフィーとプラフタは朝の暗い時間からアトリエを出る。
なんか色々と忙しくなりそうな、旅立ちの日。
「キルヘン!ミルク!スネーク!カモン!」
雨のキルヘンベル。ソフィーはジャンプして歩く。
「そう言えば、その呪文は何です?」
プラフタはアトリエのドアに鍵を掛けて、ジャンプしてるソフィーに尋ねる。
「初心を忘れない為のおまじない、かな?」
ソフィーはそう言って笑うと、駆け出す。
「もう!また走るのですか……」
プラフタも、ソフィーを追い掛ける。
そして朝のカフェ。
たまごの入荷が多かったみたいで、白たまご黄たまごの乗った、カリカリトーストが出てきた。
「ホルストさん!今日はなんかスペシャルな日になるかも!」
ソフィーは大喜びでカリカリトーストを高々と掲げる。
隣でコルちゃんもルンルンしてた。
「たまごの納品がやたらとありましてね。雛鳥の林のすぐ北らしいのですが……まあ、ソフィーのパーティーですと近場過ぎるから、あまり行かないと思いますが……」
そんなソフィーのパーティーを眺めて、ホルストさんは照れ笑いしながら、そう話した。
「さて、まずは巡礼街道に行って、そこから踵を返して恵みの森、だね」
キルヘンベルを出ると、ジュリオさんとモニカ、フリッツさんで計画したルートを進む。
まずはあどみらプニの撃退だ。
……あっさりと、あどみらプニは空へと飛んで行く。
またもや人望が無かった。
それでも、普通の冒険者パーティーだと、ひどくタフで危険な相手なんだとか。
そして踵を返して恵みの森へと行く。
恵みの森に着いた時、もう夜だった。
「うわ!夜の恵みの森って来た事無かったけど、キルヘンミルクスネークが!」
ソフィーは木の上を指す。
モノクログラスの力もあって、キルヘンミルクスネーク、白い蛇がそこら中の木の上に居る!
「おお!凄いなぁ……それと、カエルの鳴き声が凄いなぁ……」
カエルの大合唱の中、ソフィー達は夜の恵みの森を通過する。
ハロルさんのナイフが、キルヘンミルクスネークを10匹程仕留めていた。
ソフィーはそんなキルヘンミルクスネーク達を見て、メモを走らせる。
ヴェルヴェティスのレシピを閃いた!
そして夜中……
蛇の草の群れ、月と太陽の原野に差し掛かり、そのまま西へ進む。
朝焼けの頃には、せせらぎの忘れ物、泉と沼の多い地域へと来た。
「雨が……ここもカエルの大合唱だねぇ~……」
朝焼けを眺めて、荷車を引くソフィーが呟く。
ジュリオさんはプニ助とコルちゃんに捕まって、荷車の2階でお休み中だ。
「凄いわねぇ……やっぱり旅はしてみるものね。カエルは気持ち悪いけど、精一杯生きてるのかな、って思うと、この声は悪くないわね」
ソフィーの隣を歩くモニカも、そう話す。
オスカー曰く、雄と雌が出会う為に鳴いてるらしいけれど、これだけ鳴いてると、もう何が何だか分からなくなりそうだけど……
ともかくソフィーのパーティーは進む。
朝の6時には、淀の小島に到着して、野営にする。
今回も芋がメインの、キルヘンミルクスネーク料理だ。
「おデブちゃん、料理の腕上げてるわねぇ……」
レオンさんが言う。
「仕留めた獲物も、料理によっては台無しになるからな。その点、この倅の作る料理は俺も、舌を巻くばかりだな」
ハロルさんも絶賛してたし、みんなして頷く。
「まあ、そう言って貰えると作り甲斐もあるよな。本屋での勉強も頑張らないとだなぁ」
朝の少し涼しい風に吹かれながら、オスカーは照れ臭そうに笑った。
そして淀の小島の洞窟、願い無き供物台へと進む。
「お化け……かぁ……」
ソフィーとプニ助が、コルちゃんにしがみつく。
「ちょっと!さすがに歩きづらいです!」
コルちゃんに振り払われて、今度はオスカーにしがみつく。
「ソフィー、あそこに淀きのこがめっちゃ生えてるぞ」
オスカーは淀きのこと名付けた、黒くて細い、禍々しいきのこを指差す。
「いらない!淀きのこはいらない!」
ソフィーはしがみついて、オスカーは笑う。
変な毒があるきのこで、しかもめちゃくちゃ硬い。
そして禍々しい胞子がポロポロしてる。
ポロポロした胞子から更に淀きのこが生えるので、淀きのこエリアが出来上がる。
そして奥に進むと……
漆黒の乙女と呼ばれる、いつもの可愛いゴーストが居て、ひどくあっさり倒す。
「黒いだけでした……強い事は強いのですが、こちらが強過ぎて、あっさりと倒せました」
コルちゃん昇龍拳で天井に激突させられて、落ちて転がった所で、コルちゃんキックバックと波動拳が炸裂してた。
「コル助……なかなかやるな」
ハロルさんはそう言ってコルちゃんを捕まえる。
コルちゃんはじたばたしてた。
そして漆黒の乙女の跡に、黒い本が落ちていて、それを拾う。
恨みを力に昇華する方法が書かれているみたいで、アンブロシアの花冠のレシピを閃く。
「さて、ここで1回キルヘンベルに戻ろうか」
ジュリオさんの号令で、ソフィーは妖精の道標を使う。
雷雨のアトリエ前になり、荷車の荷物を降ろす。
そしてキルヘンベルを出る時、丁度メーベルト農場へと向かう馬車が出る所だった。
「おお~!ジュリオさん!こんなタイミングまで!?」
ソフィーとコルちゃん、モニカまで驚く。
「いや、それはたまたまなんだけど……」
ともかく、ロザリとマレフ、ブレストと共にメーベルト農場へと向かう。
ソフィー達の目的地も、メーベルト農場の先なので、バッチリ一緒だ。
「こんな天気なのに、元気だなぁ~……」
馬車のおじさんも笑顔になった。
「ロザリが乗せてくれたよ~♪」
ソフィーはロザリに乗って、気難しかったロザリも、普通に歩いている。
お昼の野営も、ソフィーはロザリの側で食事をしていたり。
「かなり仲良くなったみたいじゃないか……おおっ!」
ハロルさんが近付いたら、ロザリは威嚇し始めた。
「ハロルさんはお馬に嫌われてるよね……」
そして退散するハロルさんを眺めて、ソフィーは呟く。
ブレストにもマレフにも好かれていないのは、ハロルさんだけだったり。
「カラスには好かれているのですが」
マレフと一緒のコルちゃんも、そんなハロルさんを眺めていたり。
「じゃあ、またね~♪」
夕方、メーベルト農場に到着して、ソフィー達は更に深い森へと進む。
馬車とはお別れだ。
「しかし、プニ助もイヤな顔をしているとは……匂いも解る、という事か」
フリッツさんが、そう言ってプニ助を見る。
例によって、コルちゃんのお馬臭が凄かったり。
今回は、ソフィーのお馬臭も凄い。
「また、あそこの泉だなぁ……」
有閑広場へと向かう途中の泉で、ソフィーとコルちゃんを洗いつつ夕食、となった。
よく使う定番の泉。
「ここ、タコが住んでるんですよね……」
レオンさんに服ごと洗われてるコルちゃんが呟く。
そこらじゅうの芋が掘り起こされて、食べられていたりする場所でもある。
「淡水にタコが住む、というのも不思議な話だが、まあ……不思議な地域だからな……」
そんな姿を眺めながら、フリッツさんが言う。
今回は古き妖精の森が目的地。
深い森の道をひたすら行く、長くなる旅だ。
「さて、行くわよ~!」
張り切ってるレオンさんが荷車を引いて、ジュリオさんはプニ助とコルちゃんに捕まって休む。
「なんか、ジュリオさんを休ませるのがお決まりになったわねぇ……」
モニカも荷車の1階で、レオンさんに話し掛ける。
オスカーも2時間程寝ていたけれど、また離れた場所で植物達に挨拶回りをしている。
「以前よりも疲れたりしなくなったからかしら。必要ない……とは思うんだけど、一応ね」
レオンさんは、そう話して荷車を引く。
そんな森の道。
夜中に有閑広場を抜けて、さらに静寂の湖畔を抜ける。
この辺りで、またカエルの大合唱が聞こえる。
カエルの大合唱の中を更に進み、朝になる頃に、菌糸の楽園へと入った。
「さて、遂にフジフェアリーの房、中身入りを見つけたから、朝食はこいつだな!」
オスカーが張り切って料理を始める。
静寂の湖畔に差し掛かった時、雨だったけれど、中身の入ったフジフェアリーの房を手に入れたのだ。
房1つが、モニカの片足サイズ!
……だけど種はモニカの親指サイズ。
めっちゃ沢山入ってる!
フジフェアリー(巨大カマキリ)が大体食べてしまっているので、空っぽばっかりの、幻の食材だ。
「あ、これ美味しい!」
緑の豆の煮物を食べて、ソフィーは驚く。
「味付けは、ほとんど無しなんだけど、旨いなこれ……」
オスカーも驚く。
素材の味を見る為に、ほんのわずかな塩だけの煮物。
ただ、煮ただけだ。
「フジフェアリーとかいうカマキリが、夢中で食べ尽くす訳、という事なのかな」
ジュリオさんも美味しいみたいで、顔も綻ぶ。
そんな素敵な食事。
そして更に進む。
困惑の迷い道を抜けて、連理の樹門、常霧の樹海と入って行く。
「暑いね……」
お昼、1番明るい時間帯。
ジュリオさんが森の木々を見上げて呟く。
「確かに。なんか蒸し暑い感じするね……」
荷車の横を歩くソフィーも、やたら汗をかいてる。
「ソフィー、これ、この道が古き妖精の森に続く道だろうな……」
汗だくのオスカーが先を示す。
単に草が塞いでる場所……
もはや道ではない所の草を倒し始めた。
「なんでオスカーさんには、分かったのでしょう?」
コルちゃんが不思議そうに尋ねる。
「匂いだよ。少し粉っぽい匂いがあるんだよな。この先には、ちゃんと道が出てくるハズだぞ~」
オスカーは草を倒しながら、事も無げに答える。
「むう……汗の匂いと、虫の匂いしかしないですけれど……」
コルちゃんは鼻をひくひくさせて、そう言うとモニカに近寄る。
「ちょっと!匂い嗅ぎながら来ないで!」
モニカは近寄るコルちゃんから逃げる。
ともかく、ソフィー達は、草を倒して進む。
ほんの少し進むと、結構幅もある、しっかりした道が現れた。
「おお~!オスカー凄い!」
ソフィーは喜び、その先を見る。
アルラウネの、更に強烈版、キンモクジュが大勢ふらふらしている。
「……なんか、ヤバい感じ……かな?」
ソフィーは呟き、ジュリオさんは前に出て身構える。
「おっと!ジュリオさん!身構えちゃだめだ!襲われてから対応する感じにしないと、全部が襲って来るぞ!」
オスカーは慌ててジュリオさんの更に前に出る。
「そ、そうなのかい?」
ジュリオさんは剣を仕舞う。
キンモクジュが6匹程近寄って来て、右に左に、首を傾げた。
「どうやらセーフみたいだ……」
オスカーがため息をつく。
コルちゃんが近寄って手を出すと、キンモクジュはその手を取って、頬擦りすると、口を開いた。
「ぼぐ……ぼぐぼぐ……ぼぐぼぐ……」
そう言うと、ソフィー達から離れて行く。
「へへ、ようこそ旅の人、だってさ」
オスカーが言う。
「なんか、能天気オーラの力なんでしょうか?」
コルちゃんは、オスカーを見る。
「それもあるんだろうけれどな。キルヘンベルの人達みたいに、ここのキンモクジュ達も穏やかに暮らしてる、って事なんだろうな。でも襲って来るのも居るハズだから、油断は禁物だぞ?それぞれをよく見ておかないとな」
オスカーはそう話すと、道の端、更に向こうのキンモクジュを見る。
「つまり、敵意のあるヤツとそうでないヤツを見分けないといけない、ってワケか……どれも一見、同じに見えるけどな」
ハロルさんも、オスカーの見る方向とは逆の、道の端向こうのキンモクジュを見る。しかし、沢山居る。
そしてオスカーのキンモクジュ講座が始まった。
本屋の情報によると、キンモクジュは毒が得意な魔物。
回復の阻害、強烈な毒。戦う際には、とにかく時間を掛ければ掛けるほど不利となる魔物らしい。
「……さて、ここはまだ、古き妖精の森ではないな。更に進まなくては辿り着かないだろう。行かなくてはならんな」
フリッツさんに言われて、ソフィー達は更に奥へと進む。
キンモクジュ達は沢山居て、どれもぼ~っとしているだけみたいだ。
「……採取とかしてると、夜になるよね……」
ソフィーが呟く。
そんな午後。
「そうねぇ……更に油断ならない感じになりそう……あら」
レオンさんが言いかけて、ミニデーモンと、更に強烈な小悪魔、トリッカーが木の根本で寝ている。
「そろそろ古き妖精の森、って事かしらね……」
近くを通っても、ミニデーモンとトリッカーの2匹は起きない。
猫モードみたいだ。
ソフィー達は先に進む。
そして空気を震わせる、明らかに敵意剥き出しのキンモクジュが立ちはだかる。
「2匹か……何にせよ、分かりやすいのは助かるな」
フリッツさんが前に出て、戦闘になる。
空気の震わせ方から、それなりに強い……
と言うことも解る。
「キンモクジュは、防戦に回れば相手のペース……駆け抜けなければならん……だったな」
攻撃の陣形で速攻で叩く。
時間を掛ければ強烈な毒と、回復阻害でパーティーはジリ貧になるのが、このキンモクジュだと予習済みだ。
速攻が効いて、キンモクジュ達は倒れる。
ここでも通用するくらい、ソフィーのパーティーも強くなっていたりする……
倒れたキンモクジュの1匹は起き上がると、なんだか軽い足取りで、森の茂みの中へと消えて行った。
「倒したキンモクジュが……何故か幸せそうな足取りでした……」
コルちゃんは、そんなキンモクジュを見送って呟く。
「魔物って……魔物モードと猫モードがあるけど、倒すと猫モードになるのねぇ……」
レオンさんもそう考え事をだだ漏らしていたら、もう1匹が起き上がり、レオンさんの足を捕まえて頬擦りしだした。
「うひゃあっ!何っ!?」
驚くレオンさんをよそに、頬擦りすると、また軽い足取りで森の茂みの中に消えて行った。
「さすがに驚いたわ……」
そんなキンモクジュを、レオンさんは見送る。
それからは採取生活。
トンデモ品質の五日ヅル、魔法の草に魔法の蔦、土いも……
魔物モードの魔物も分かりやすく、キンモクジュ、トリッカーとの戦闘が続き、そしてかなり奥まで踏み込んだ。
ここには、ゲームには無い、勝手に付け加えた設定を書いておく所。
[虹トカゲ]
カメレオン的な色の変化をするトカゲ。クリスタルなんかに取り付くと、クリスタル的な輝きとなる。
[プニ助]
ソフィーに付いてきたすーぱーぷに。可愛い。
[錬金術生活]
アトリエでのライフワーク。
[スッキリシャッキリ]
ぷにちゃんの中で休むと、なんか元気になりすぎる感じがあるので、思わずスッキリシャッキリのポーズをとってしまう。そんな感じ。
[杖パン]
無発酵式、こんがりなパン。杖のカタチ。
[噴水端会議]
明日の冒険の話、このタイミングでするようになった。
[白たまご黄たまご]
たまごを焼いた、白いところと黄色いところ。
[夜の恵みの森]
ゲームにおいては、キルヘンミルクスネークから出てこないので、こんなイベントも勿論、ない。
[淀キノコ]
どんよりしてる黒いキノコ。食べられるかは謎。でも食べる気にもならない。
[メーベルト農場の馬車]
ブレスト、マレフ、ロザリの3頭のお馬が引く馬車。キルヘンベルが景気良くなって、おじさんもお馬もホクホクなんだとか。ロザリだけ、緑ニンジンが好きなんだって。
[緑ニンジン]
人は食べない、緑ニンジンの木にぼこぼこ生えるニンジン。ソフィーぐらいの高さの木に、逆さに出来上がる。普通のニンジンは地中に出来る根っこだけど、緑ニンジンは木の実。
[タコの泉]
メーベルト農場~有閑広場の間にある、銅いも群生地帯にある泉。なんかでっかいタコが住んでいて、いもを食べて暮らしている。
[フジフェアリー]
フジフェアリー(大木)とフジフェアリー(巨大カマキリ)が居る。フジフェアリー(カマキリ)が居ないと、フジフェアリー(大木)はうまく成長できないらしい。共依存の関係。
[魔物モード猫モード]
襲って来る状態の魔物と、襲って来ない状態の魔物。どちらにせよ、見た目が可愛い。