錬金術のアトリエ 1   作:東京のぷるぷる

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錬金術のアトリエ 51

錬金術のアトリエ 51

 

夜になった古き妖精の森……

少し草の無い広場に出て、そこには涼しい風が吹いて回っている。

「今度はちょっと寒いくらいだね……」

ソフィーが呟く。

コルちゃんも頷いた。

壊れた建造物らしき物が、そこら中に散らばる場所に入り、相変わらずトリッカーとミニデーモンが猫みたいにふらふらしている。

「ここも、元々は人の住む場所だったようだが……今や何も残ってはいないな……」

落ち着いた声で呟きながら、フリッツさんは、そんな瓦礫達に触る。

 

「森に住む、美しい女王の治める国だったみたいだな……木々がまだ覚えているみたいだよ」

オスカーは話す。

マナの柱もあり、錬金術士も居た平和な国は、鋭く入り込んだ悪意に狂わせられ、滅びたのだそうだ。

そう話していると、土の中からキンモクジュとアルラウネが生えて来た。

そして敵意を剥き出してる。

 

 

「マナの柱の悪意が、どうやら弱まっている、と言う事でしょうか……」

普通にキンモクジュ達を倒すと、それぞれキンモクジュ達は起き上がり、また土の中に帰って行った。

身体は丈夫みたいで斬られても元に戻るし、なんか土に戻る姿は元気そうだ。

底知れぬ強さを感じる。

 

2本の樹が門のように立つ、雨宿り出来る……

ぐらいしかない浅い洞窟に、錬金釜が落ちていた。

その中に文字の掘られてる石が入っている。

「魔法の草を束ねて……」

それぐらいしか読めない石。

「魔法の草を束ねる……これですね万薬のもとのレシピは」

プラフタが閃いて、ソフィーはメモを走らせる。

ともかく、収穫上々で、朝にアトリエに帰る事にした。

 

 

……帰って来たアトリエ前、朝食はこの場所でとる事にした。

ギラギラしてる銀いも、土いもが美味しそうで、こういうのは焼くのが美味しいし。

「ソフィーとプラフタ、モニカとコル助はぷにちゃんを頼って洗っておいでよ。終わる頃には朝食も出来てるだろうからさ」

オスカーに言われて、4人はぷにちゃんの部屋へと行く。

コルちゃんと一緒に眠り、綺麗になって出てくると、朝食はもう少しで出来上がるタイミングだった。

こういう所を見ると、時間が本当に止まってるんだなぁ……

と、実感する。

「いよいよ、万能厄除け香まで完成させられるような感じになりました!ジュリオさん!」

 

朝食を食べながら、ソフィーは明るく話す。

まだ万薬のもとのレシピも詰めてないし、万能厄除け香も作れるか分からないのだけれど……

でも万薬のもとさえ作れれば、万能厄除け香は合わせるだけだ。

なので、もはや出来たも同然!

……という頭だ。

 

「おお~!それがあればナザルスさんを……」

ジュリオさんも喜ぶ。

「こうして能天気が伝染するのでしょうか……」

プラフタは、ため息をついて話す。

まだ万薬のもとのレシピは、構築に手も付けていない事。

万能厄除け香が作れるかはまだ分からないし、ナザルスさんの状態に万能厄除け香が本当に効くのかどうか、それも分からない、そういう話をした。

 

「ま、まあ……でもやれる事があるかも知れないなら、やっぱりソフィーに頼んだのは正解だったな。僕には成功を祈る事しか出来ないけれど、少し光が差して来た気分だよ」

プラフタの話を聞いて、ジュリオさんはそう言ってソフィーに笑い掛ける。

「あたしも!プラフタに負けずに頑張ります!」

ソフィーは得意のガッツポーズで、気合いを入れる。

「なぜ私を悪役に……」

プラフタは呆れた顔をした。

 

 

そしてやる事やって、錬金術生活!

まずは万薬のもとの「毒材料」用に、中和剤(青)を作る。

その1時間で万薬のもとのレシピを詰める。

 

「ん……案外簡単に出来そうだね。これなら……ただ、9時間掛けないと、駄目だね」

あっさりとレシピを詰めて、中和剤(青)を完成させると、万薬のもとの仕込みに入る。

「ソフィー、あなたの錬金術はどんどんしっかりしてきますね。本能型の天才を見る気分です」

プラフタは微笑んで、言う。

「プラフタ……なんか当たった?」

ソフィーは意外そうな顔をして尋ねる。

 

「当たった……とは……?」

プラフタも不思議そうな顔をする。

「いや、あの……ほら、古き妖精の森のお芋とか食べたから……なんかプラフタのだけ……」

「私があなたを誉めるのは、そんなに意外なのですか?これは、真意を判らせる必要がありますね」

 

浸け置きで9時間……

ソフィーとプラフタはぷにちゃんの部屋へと行く。

誰か来たら教えてくれるし、時間があるとアトリエ前に行くか、ぷにちゃんの部屋に行くか……

 

 

お昼過ぎて、ソフィーとプラフタはぷにちゃんの部屋から出てきた。

「も~……プラフタがケダモノ過ぎるよぉ……」

6時間程……

じっくりまったりエロエロした後で、ソフィーはそう呟きながら錬金釜を見る。

順調に浸け置かれてるので水面は静かに光っていたり。

「ま、まぁ……マナの柱の時間もそろそろ増やさなければ、というのも……」

プラフタは俯いて、ごにょごにょ話す。

 

「でも、どんどんプラフタの本性が分かったりして、嬉しいかなぁ……」

そう話して、ソフィーはプラフタに抱き付く。

「それはそれとして、万能厄除け香のレシピ構築もしないといけませんから……」

抱きついて来たソフィーの頭を抱いたりして、プラフタがそう話す。

「そうだった!しなきゃいけない事をしないとだよね!」

ソフィーは思い立ってプラフタから離れる。

もう随分とイチャイチャした訳だし……

次は万能厄除け香の調合をしたい。

そして錬金術生活……

 

 

万能厄除け香まで仕込んで夕食時、コルちゃんとモニカがやって来た。

「いらっしゃ~い!これから夕食だけど~」

ソフィーが出迎える。

コルちゃんとモニカの素材も、大部分はコンテナにあるので、実は食べ放題だったりするけども。

「今日はロジーさんは、冒険者仲間と悪いお店に行くみたいなので、こちらで夕食を、と思いまして」

肌襦袢に紫のケープ、髪を下ろしたコルちゃんがそう言ってネコの目で笑う。

「私も、ジュリオさんもエルノアも、今日は夜まで忙しいみたいだし、ぷにちゃんの時間も残り少なくなってるって聞いて……来ちゃったのよね」

モニカも、襟のお洒落な短いジャケットにスカート、という出で立ちで現れた。

でもクリーム色で華やかな感じ。

 

「おやおや、モニカは礼服としても着ていけるような……」

プラフタが食いついた。

「レオンさんが作ってくれたんだけど、最近のお気に入りなのよ。パトロールが多いから、着る機会はあまり無いんだけどね」

モニカはそう話す。

ジュリオさんと出掛ける時も、ジュリオさんの隣でこの服なのも浮いてしまうので、いつもの服になるみたいだ。

 

「ジュリオさんは、いつも鎧姿なのです?」

「そうなのよ……」

色々なおしゃべりをしながら、ゆっくりと夕食の時間を過ごし、そしてぷにちゃんの部屋に行く。

 

「あ、そう言えばモニカ、最近教会の聖歌じゃないのも練習してるでしょ?それ聞きたい!」

番人ぷにちゃんの脱げ脱げダンスの場所で、ソフィーは服を脱ぎながら言い出す。

「ちょっ……そ、そうだけど……!」

モニカが顔を真っ赤にした。

「職人界隈でも、モニカさんの歌声は評判が高いのです。是非私も聞いてみたいです」

素早くハダカ族になっていた、コルちゃんも食いついた。

「我も……歌などに触れるのは……無い事……是非……触れてみたいものだ……」

ぷにちゃんまで食いついた。

「もう!無理よ無理!歌なんて人前じゃ歌えないもの!」

脱ぎかけのモニカが悶え出した。

ともあれ、4人はぷにちゃんの部屋へと行く。

 

 

「残り……34時間だ……」

ぷにちゃんの中に入った4人に、ぷにちゃんが告げる。

「まあ、減ったわよね……」

モニカが思う。

主にコルちゃんが減らしてるのだけど、増やす錬金術の弊害なので仕方ない部分もあるし……

「さて、コルちゃんとロジーさんのエロエロでも……この身体に聞いてみますか!」

ソフィーもノリノリで、コルちゃんに取りついた。

 

 

そんなこんなで、ぷにちゃんの中でじっくりまったり、エロエロして過ごす。

そんなエロエロの後で、ぷにちゃんに説得されて、モニカが歌ってくれた。

恥ずかしい、って気持ちもぷにちゃんの中でなら、抑えてくれたりするし、人前で歌えないなら、歌の価値って無くなるし、歌う事で色々な歌が集まってくる……

そういうモノなのだと悟されて……

そして歌に合わせて風が吹いて回った。

少し涼しい風は、4人を包み込むように吹いて集まって、そして吹き上がるように上へと昇る。

 

「やっぱりいい歌声だよね~……」

ソフィーは目を閉じて思う。

コルちゃんもプラフタも、ぷにちゃんもそう思って穏やかな時間を過ごした。

 

 

「こんな遅い時間に大丈夫?コルちゃん……」

中途半端に時間を止めて過ごしたものだから、夜中になって帰る事になった。

「ふふふ……このまま裏市街へと行って、ロジーさんのお迎えも行きますので、この時間が都合がいいのです」

 

ニセレストランに顔見知りの護衛が居るみたいで、コルちゃんとモニカは帰って行く。

勝手の知らないソフィーやプラフタが来ると、あまり良くない、との事で結局は見送る事になった。

「いやぁ~……女の子って楽しいよね♪」

アトリエに戻り、ソフィーはプラフタに言う。

「そう……ですね。すっかり楽しんでしまいましたから、言い訳も出来ません」

「おおう!堂々としてるぅ~♪」

「もう、開き直るより仕方ありませんからね」

そして更に錬金術生活は続く。

 

 

「種の日!人形劇!万能厄除け香バッチリ!更にオスカーの究極栄養剤、緑を育む活性土も………持った!」

意気揚々と、ソフィーはアトリエを出る。

雷雨のキルヘンベル。

「くおぉぉぉ~……でも、人形劇する頃には止んでるハズ!」

変な声を出して、ソフィーはプニ助と歩き出す。

「まあ……何であれ行くのですけれどね……」

プラフタも、後に続く。

 

 

雷雨の中でお祈りの時間。そして噴水端会議をする頃には、雷雨は止んで晴れた!

「晴れた~♪祈りは……通じました!」

ソフィーは高々と杖を掲げて、そして北の人形劇の場所を見る。

「それよりソフィー、ジュリオとオスカーに渡す物があるのではなかったのですか?」

プラフタに言われて、万能厄除け香と緑を育む活性土の存在を思い出すソフィー。

そして思い出したので、ジュリオさんとオスカーに伝える。

「じゃあ、この次はナザルスさんの所、でいいのかな、ソフィー」

雷雨ずぶ濡れの、ジュリオさんの顔も綻ぶ。

「そうなるわよね。もう随分と待たせてしまっているものね」

そしてモニカも、そう話す。

教会の中で歌っていたものだから、もう乾いていたり。

「そうですね!ナザルスさんが治るかどうか、試してみないと分かりませんし、でも治るハズですから!」

噴水端会議は、次の冒険の話で盛り上がった。

 

 

晴れたので、北の人形劇を教会の子供達と一緒に見る。

プニ助も子供達に大人気だったりするし。

 

 

そしてお昼。

噴水のテスさんとコルちゃんの屋台、錬金荷車1号の所で、オスカーの特製バスケットが届くのを待つ。

そんな時に、オスカーよりも先に髭の商人の人が来た。

「この箱だが……どうにも装飾の感じがね……コルネリアが居たという、東方の国のものじゃないかと思ってね……」

髭の商人の人は、そう言うと綺麗な箱をコルちゃんに渡す。

「おお……確かにこの装飾は……これは是非欲しいです。おいくらでしょうか?」

コルちゃんはその箱を手に、少しの間見とれていたけど、髭の商人の人に向けて顔を上げる。

「エールと2代目を1つ、もらおうかな。壊れ物だから、それでいいよ。いつもお世話になっとるし」

髭の商人の人は、それだけを手に南の人形劇の方へと歩いて行った。

「ふむ~……その箱は、何が入ってるの?コルちゃん」

ソフィーが食いつく。

「ボタンがありますが……開きません……」

開かない箱を見つめて、コルちゃんが呟く。

 

 

「それ、オルゴールじゃない?ハロル時計店で直るかもだよね」

テスさんが、ひとしきりお客さんを捌いて、戻って来た。

その時、オスカーもやって来た。

「特製バスケットお待たせ~」

商人の人達と職人さん達、おばさんに冒険者、賑やかな噴水広場。

晴れた青空の下にみんな居て、そんな穏やかなキルヘンベル。

「オスカー!お腹ぺこぺこだったよぉ~♪」

いつになく甘えた声で、ソフィーはオスカーに駆け出す。

晴れたキルヘンベルの噴水広場。

今日はそんな気分。

「お?どうしたんだソフィー。何かいい事でもあったのかい?」

オスカーは少し驚きつつ、うまくソフィーをいなして特製バスケットを置いて、そして八百屋へと帰って行った。

 

 

「昼食が終わりましたら、ちょっとハロルさんの所へ行ってみます」

コルちゃんはサンドイッチを手に、そう話す。

 

 

ソフィーとプラフタは、昼食過ぎに本屋さんへと行く。

なんとなく足を向けたのだけど……

本屋に行きたいのはプラフタで、ソフィーとしてはあまり本、って気分ではなくて………

「あれ?」

本屋のドアで、ソフィーは振り返る。

「どうしました?」

プラフタは、そんなソフィーに尋ねる。

「なんか、あれ。凄い絵を描いてる人がいるんだよね……」

 

ソフィーは崖っぷちのベンチ2つの場所を指差す。

イーゼルを使った絵描きの人が、何か描いてた。

そして、ソフィーはそちらへと走り出す。

 

「ソフィーがゆっくり本を読んでる、というのは見た事がありませんね……」

プラフタは1人呟いて、本屋に入る。

 

「何を描いて~……うわぉ!」

ソフィーは絵描きさんの絵を見て驚く。

まるで鏡に映したかのように、めちゃくちゃ上手い絵が描かれているからだ。

「つい先日、この街に来ました、イコラと申します。エリーゼさんの本屋でお世話になっていますけれど、あなたは?」

絵描きの人がそう尋ねる。

「あ、あたしはソフィーって言います。錬金術士をしています」

ソフィーも自己紹介をする。

エリーゼお姉ちゃんの所に……

また1人増えたのかな?

……そう思いながら。

 

見事な絵を眺めながら、ソフィーはイコラさんと話をして過ごす。

イコラさんは、絵を描いて旅をしているみたいで、今は絵に凄く興味を示したエリーゼお姉ちゃんの紹介で、フリッツさんの家で寝泊まりしているそうだけど、もうじき市街地の空き家に入れそうなんだと話した。

 

そして錬金術で知る話としては、時操りの砂時計の話を聞く。

その話だけでは閃かなかったので、ソフィーは本屋へと行く。

「プラフタ!ちょっとハロルさんの所に行ってくるね!」

そう伝えて、ソフィーはハロル時計店へ。

 

途中の噴水広場では、南の人形劇が賑やかで、お酒臭い。

そんな場所を駆け抜け、ストリートも駆け抜けて、ハロル時計店へと行く。

 

 

ハロル時計店では、1番弟子として時計店の店先を任された、テッド、という青年が居た。

ハロルさんは居ない。

「いらっしゃい」

背の高いテッドは、ソフィーを見下ろす。

12歳にして、ソフィーよりも背が高い。

「ちょっと壁掛け時計を見に来たんだ。ちょっとお邪魔するね」

ソフィーはそう言って、壁掛け時計の並ぶ一角へと行く。

それぞれの時を刻む音が聞こえる。

「よし!」

ソフィーはメモを取り出すと、新しい錬金術のレシピを記す。

そしてハロル時計店を後にする。

 

 

ソフィーが噴水広場に来た時、プラフタも噴水広場に訪れて、遠目に見えた。

「プラフタ、本屋さんは終わり?」

教会のすぐ前で、ソフィーはプラフタを捕まえる。

「ええ、ソフィー。あなたも時計店は終わったのですか?」

「うん。バッチリ閃いたよ!」

そして2人はアトリエへと帰る。

そしてまた、錬金術生活だ。

 

 

そして夕食時……

コルちゃんとオスカーがやって来た。

コルちゃんはいつものようにひと休みしに、オスカーは緑を育む活性土で元気になった朧草の報告と、夕食しに来たのだそうで……

取り敢えずコルちゃんを待つ、という事でアトリエの外、カワニレの木の所でオスカーと待つ事にした。

 

「長くこうしてなかったね」

ソフィーは呟く。

アトリエ前のカワニレの木の場所は、崖になっていてキルヘンベルの街を見下ろせる。

「そうだなぁ……」

オスカーはおとぼけボイスで呟く。

ここはよく風が吹く。

 

……あたしは、何にもなれない……

そう悩んで、だけどオスカーに言われた場所。

……ソフィーは、ソフィーになれるだろ?

オイラも、ソフィーにはなれないけど、オスカーにはなれる。

そして、オスカーにしかなれないんだよ……

 

……カワニレの木は、カワニレの木。

……オスカーは、オスカー。

……あたしは、あたし。

 

植物も、そうして伸びるのだそうだ。

だけど細く高く伸びて倒れる者。

伸びずに太陽に当たらなくなり、徐々にその身体を弱くして朽ちて行く者。

その植物の数だけ、伸びた者も朽ちた者も、様々。

その中に、ソフィーの見る木と草花達がある。

景色を埋め尽くす沢山の植物達。

だけどソフィーの見る事の無い、朽ちて果てた草花、木々もある。

それは、景色を埋め尽くす大量の植物よりも、更に沢山……

朽ちて果てている……

 

……あの時、オスカーはそう話した。

 

「ソフィーは、オイラが立派に見えてるのかも知れないけどな。ほんの少し大きさの違う土いもみたいなもんだ。これから、ソフィーがどれだけ大きくなるかなんて、オイラにもソフィーにも、誰にも分からないじゃないか」

やせっぽちで、これからの事なんて考えたくもなかったソフィーに、オスカーはそう話した。

 

 

「ソフィーさん、終わりました」

コルちゃんがやって来て、そう挨拶すると帰って行く。

コルちゃんを待つ10分くらい……

カワニレの木の側で、ソフィーもオスカーも、あまり話さずに過ごしてた。

「オイラも、冒険に出ないとなぁ……でもそれはまだ背伸びなのかも知れないよなぁ」

コルちゃんを見送ってから、オスカーが呟く。

「あたしもプラフタも居るじゃん……」

ソフィーは弱い声で呟く。

「オイラはオイラの、勝手気ままな旅をしないとだから、ソフィーは連れて行けないよな。ソフィーはソフィーの旅をしなきゃだろ?」

オスカーはカワニレの木を見上げて、そう言う。

昔からの、そういう約束。

 

「……だよね~……あたしは、オスカーと離れたくないけど……」

ソフィーはそう言ってみる。

昔から、一応はそう言ってみるんだ。

「オイラの旅の先には、またソフィーが居る気がするけどな。でもその時、ソフィーの隣に誰か居ても、それはしょうがないよな」

オスカーも、お決まりの答えを言う。

「まあ、プラフタは居るよ!絶対に!」

ソフィーは笑顔でそう話す。

これは今回、変わった事。

「そうだな。プラフタも一緒の錬金術だもんな」

オスカーはそう言うと、笑って見せる。

「そうだ。食材用意しないと、お腹減ったもんね」

ソフィーは明るくそう言うと、歩き出す。

これから夕食だった。

ちょうどプラフタが、入って来ない2人に疑問を持って、アトリエのドアを開けた所だった。

 

 

夕食を済ませて、プラフタはぷにちゃんの部屋へと行く。

そしてオスカーを洗おうとした時……

コンテナからプラフタが出て来た。

「ソフィー、なんかオスカーもコンテナまでは入れるそうです」

「嘘ぉ……更に成長したんだねぇ……」

ともかく、汚れ物も任せられる、との事でソフィーとオスカー、プラフタでコンテナの中へと入る。

「あ、でも思ってる事が全部伝わっちゃうんだけど……オスカー、何かあたしに隠し事とか、ない?」

一応、聞いてみる。

「ん~……無いな」

ちょっと考えて、オスカーは答える。

なんか、凄くあっさりだ。

 

「ん?って事は……ソフィーも、オイラに隠し事とか無いか?」

そして更に考えて、そう尋ねた。

「無いよぉ~……無いよね?……ん~……無いと思うけど……無いかなぁ~……」

ソフィーは思い当たる事を探すけれど、別に何も思い付かなかった。

 

 

「おお~……これ、アトリエよりも広いんじゃないか?」

ともかく、入り口の階段を降りたオスカーは、感嘆の声を上げる。

「あ。そう言われてみればそうだね」

ソフィーも、口許に指を置いてそう答える。

相変わらず、棚いっぱいの番人ぷにちゃんの群れだ。

「これが、ソフィーの言う番人ぷにちゃんってやつか……すげぇ沢山居るんだなぁ……」

オスカー近くの番人ぷにちゃん達は、オスカーに向けてぴょこんをぴょこぴょこしていて、オスカーはそこに指を伸ばしてみる。

すると番人ぷにちゃんの1つが、オスカーの指にしがみついた。

「ソフィーの……恋人の青年だな……」

ぷにちゃんはそう、オスカーに語り掛ける。

「おお……師匠の樹と同じ声だ……師匠の樹も、あんたなのかい?」

オスカーは目を見開いて驚き、そう尋ねる。

「それならば……師匠の樹より……そうだと伝えている……我と……師匠の樹は……別だ……」

番人ぷにちゃんはそう、答えた。

更にぷにちゃんがパワーアップして、オスカーとロジーさん、ジュリオさんは、コンテナまでは入れるようになったらしい。

それと、預かる子供が男の子だった場合も、殺さずに預かれる、との事だった。

 

ソフィーとオスカーはハダカ族になって、コンテナの棚の廊下に座り、服に群がる番人ぷにちゃん達を眺める。

プラフタはぷにちゃんの部屋の、閂の杖が外れないので、アトリエの方へと行った。

 

「すげぇ……すげぇキレイになってくぞオイラの服……」

オスカーは立て膝になって、番人ぷにちゃん達に汚れを食べられて、キレイになる服を見つめる。

ソフィーはそんなオスカーのお尻を眺めていたり。

「オスカーは番人ぷにちゃん、何色に見える?」

ソフィーが尋ねる。

「濃い緑だな。まるで勢いのある葉っぱみたいな色だよ。ソフィーは……灰色だっけ?」

オスカーは棚の下段にしがみついて、キレイになる服を見つめながら答える。

「うん。まあ、キレイな灰色だよ……雲の影みたいな感じ」

ソフィーはそう答える。

そう言ってみると、天井に常に張り付いてる番人ぷにちゃんが、雲みたいにも見えて来た。

「雲の影かぁ……」

オスカーは呟く。

 

 

それから、キレイになった服を持ってアトリエに戻る。

ハダカ族2人を見たプラフタが、呆れた顔をしていたけれど、オスカーの身体には取り付けないみたいで、それは仕方ない、という話に……

「コンテナには、モフコットがあったでしょうに……隠す、という考えがそもそも無いのが問題です」

仕方ない……

という話には、ならなかった。

 

プラフタがコンテナへと入り、これからはどうやら、オスカーがアトリエに居ても、コンテナにもぷにちゃんの部屋にも入れるみたいだ。

「色々とぷにちゃんがパワーアップしてるんだなぁ……」

ソフィーに洗われながら、オスカーがおとぼけボイスで呟く。

「確かに、番人ぷにちゃんの数も、もう数え切れないもんね」

オスカーの背中に泡を擦りながら、ソフィーも呟く。

「気になったのは、あのコンテナさ、何の匂いも無かったんだよな。匂いの無い場所ってのは初めてだよ」

オスカーはそう話す。

 

そしてぷにちゃんの力がパワーアップするにつれ、匂いの色や形も分かるようになってきたんだと話した。

「そ、そんな事になってるの!?」

ソフィーは手を止めて驚く。

「なんだか、こんな事話す機会無かったのと、ソフィーの匂いの色と形を聞かれるのは、ちょっと答えづらかったからなぁ……」

オスカーは身体を洗いながら話す。

相変わらずの耳に心地好いおとぼけボイスは、平静にアトリエに響く。

「……うっ……さすがにそれは聞くのもなんか……」

ソフィーはまた手を動かし出す。

 

……夜は更けて行く……

 

 




ここには、ゲームには無い、勝手に付け加えた設定を書いておく所。

[錬金術生活]
計画と実践。でも漬け置き時間が長いので色んな暇つぶしをしていたりする。

[ぷにちゃん]
時間まで止まるし、凄く便利な空間。時間を止めないで過ごす事も勿論可能。

[ニセレストラン]
裏ストリート裏酒場の程近くに出来たらしいレストラン。飾り付けが華やかみたいだけど、エルノアさんの飾り付けに比べると、かなり劣るのだとか。

[イコラ]
絵描きの人。旧市街を抜けた、見晴らしの良い場所で絵を描いている。最近、キルヘンベルへやって来たのだとか。
[テッド]
時計店で働きたい、教会の男の子。イケメンで落ち着いていて、品がある。
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