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錬金術のアトリエ 54
ソフィーとプラフタは、旧市街へとやって来た。
エリーゼお姉ちゃんの本屋の前で、フリッツさんは立っていて、道行く人を観察していた。
「フリッツさ~ん」
プニ助を抱えて、ソフィーは能天気に声を上げる。
「おお、ソフィーとプラフタか」
フリッツさんは、ソフィーとプラフタに顔を向ける。
「何をしてるんですか?エリーゼお姉ちゃんを待ってるとか?」
ソフィーは尋ねる。
フリッツさんは振り返る。
「なるほど……このような場所だったか……少し落ち着かない気分でな。人の動きを眺めていた」
フリッツさんはそう話す。
……そして知識の大釜の場所を押さえる任務があり、フリッツさんにも国王からの任務が来ている……
との話をされた。
「……知識の大釜の場所?」
ソフィーは尋ねる。
「そうだ。まだソフィーがそれの鍵を作っていない。作ると、その場所の封印は危うくなるからな。まだ完成させて貰っては困る物だな」
フリッツさんは答える。
……知識の大釜は、錬金術の能力の無い者でも、錬金術を行使出来るという、生きている釜。
釜そのものがマナの柱なのだと言う話で、フリッツさんも国から聞かされているのだと言う。
ただ、そのマナの柱は既に滅びており、それでも知識の大釜として在る。
そして錬金術は行使出来る。
ただ、その錬金術は恐ろしく強烈で、強烈にする為のパワーを、周囲の地域、世界から奪い取るのだと言う。
……
「……知識の大釜……ヤバい釜じゃないですか!?」
ソフィーは驚愕する。
「大昔、他のマナの柱を滅ぼしながら、その錬金術を行使した……とあるな。正にパンドラの箱の発生装置である訳だから、監視の者があり、私は傭兵としてその応援に来ているのだ」
フリッツさんは、そう話す。
「まさか……そんな……」
プラフタも衝撃を受けている。
「今回、ソフィー……君を遠ざけたい理由は、今現在の封印を維持するのに不都合だからだろう。それの鍵の材料は揃ってしまったからな。その材料は、それぞれに共鳴を始めてしまっている。それの鍵を作らずとも、もう世界は……幾つものマナの柱は、あの時の記憶を思い出そうとしている」
フリッツさんはそう話す。
「私は……どうすれば……」
プラフタは頭を抱える。
「プラフタ……」
そんなプラフタを、ソフィーとプニ助は心配そうな顔で見つめる。
「まずはこの地を離れて貰えるとありがたいな。その後に案内人を送る事になるだろう。ソフィー……君は今はまだ若いが……いずれまた、この場所に戻り、知識の大釜を何とかして欲しい」
フリッツさんはそう言って、ソフィーの肩を叩く。
「……追い出される訳じゃないんですか?」
ソフィーはそう尋ねる。
「勿論だ。色んな人がソフィー……君を求めている。それはここを離れた旅先でもそうだろう。その先に、もう一度この場所もある。今は少し離れるだけで、更に錬金術を極めて戻って来るのだ。それまで、知識の大釜の封印は、守っておこう」
フリッツさんは、そう言って笑った。
「分かりました!でも、旅もなんかワクワクします!」
……ソフィーはアトリエに帰る。
「さて、どういった準備をすれば……」
アトリエに帰る道。
プラフタはそう呟く。
「ふふふ、プニ助は持ってく!」
「ソフィー!?」
ソフィーはなんと、あまりにもノープランだった。
アトリエに戻る途中、モニカが奥様方と立ち話をしている。
ソフィーとプラフタは、そこに通り掛かった。
「あらソフィー……なんかプニ助も凄い能天気笑顔なんだけど……」
モニカはそう尋ねる。
「国王様の手紙の通り……あたし、旅に出るね、モニカ。だから、アトリエとぷにちゃんをよろしくね、モニカ」
笑顔のプニ助を抱えて、ソフィーはそう話す。
「え?今から行くの?」
モニカは驚く。
「うん。プニ助は持ってくけど、これから行くんだ」
ソフィーは普通に言う。
「そ、そんな急に行くの?」
モニカは慌てて言う。
「へへ~♪少しの間だけ、ね」
ソフィーはそう答える。
少しでも早くこの場所を離れる事で、フリッツさんと、この地域を見張ってる……
という誰かがラクになれるというなら……
いち早くキルヘンベルを離れる、というのも1つの戦いとも言えるし。
それに、素材に溢れる恵まれたアトリエの状態だと、アシタバの帰舟は出来上がらない気がするのだ。
ソフィーとプラフタは、アトリエへと帰る。
アトリエ前には、深い紫のローブの人が立っていた。
……空間が少し歪み、暗くなる……
「ソフィー……東へ……」
そう言葉を残すと、いつもの明るさになり、深い紫のローブの人は消えた。
「……?」
ソフィーは足を止めて、また今の光景を忘れる。
「……ソフィー、東だそうです」
プラフタはそう話す。
「東?」
ソフィーはプラフタに尋ねる。
「あれは……誰なのでしょうか?ともかく、東とだけ言い残して消えて行きましたが……」
プラフタは答える。
ともかく、ソフィーとプラフタはアトリエの中へ。
そしてプニ助をベッドに置いて、コンテナの中へと入る。
……広い、棚の廊下。
番人ぷにちゃん達は、ゆらゆらしている。
「あたしたち、旅に出ないと行けなくなって……なんかぷにちゃんにしばらく会えない、って考えると寂しいね……」
ソフィーはそう呟く。
「……なるほど……ともかく……中へ……」
番人ぷにちゃん達は、ゆらゆらしながらそう話す。
……ともかくハダカ族となって扉の中へ。
もうアトリエくらいのサイズとなっている、巨大ぷにちゃんが口を開く。
そしてソフィーとプラフタは、巨大ぷにちゃんの中へと入る。
「……なるほど……ただ……我も……色々と……整理する……事がある……まずは眠ると……良い……」
ぷにちゃんはそう話し、温かい風が吹く。
止まった時間の中で、ソフィーとプラフタは眠りに落ちる。
……ソフィーが目を覚ます。
「……起きたか……」
「うん。おはよう」
めっちゃプニ助感覚で、プラフタを抱き締めてた。
そしてせっかくなので抱き締めっぱなしにしておく。
「……アシタバの帰舟……我のもう1つの人格は……覚えていないようだが……」
ぷにちゃんは話を始める。
プラフタも目を覚ました。
……アシタバの帰舟は、マナの柱の主が、マナの柱の元へ戻る為の道具。どこへ居ても、このアトリエの地下へと戻る事が出来るのだとか。
「おお……!でも、そもそも作れそうもないんだけどねぇ……」
ソフィーはそう思う。
「……ふむ……だが……ソフィーの中に……方策はありそうだが……色々と……試して行くしか……あるまい……」
ぷにちゃんはそう伝える。
「作れたら、またぷにちゃんに会えるんだね」
「……そういう事だ……我の主なのだから……な……」
ぷにちゃんと話して、ソフィーとプラフタはアトリエに戻る。
「ソフィー、もうこれから出掛けるのですか?」
プラフタは尋ねる。
「うん。アシタバの帰舟のレシピと、プニ助を持てば!後は旅先で考えて行こう!」
ソフィーは杖を持ち上げる。
「一応、少し特製バックパックに詰めて来ますね」
プラフタはアトリエに戻る。
ソフィーはしばらく待ち、そしてプラフタは特製バックパックを背負って出てきた。
「何を持ったの?」
「取り敢えず手当たり次第……ですね」
そしてソフィーとプラフタは歩き出す。
ここには、ゲームには無い、勝手に付け加えた設定を書いておく所。
[プニ助]
元々はマナの柱だったらしい、すーぱーぷに。今日も虹色レインボーな笑顔。
[国王]
アダレットの国王。
[国王の任務]
傭兵であるフリッツさんは、国に雇われているらしい。
[知識の大釜]
この小説では、マナの柱が錬金釜となっている。自分で動き、自分で飛ぶ。本のプラフタ状態の錬金釜。マナの柱が滅びているので、封印された厄災となっている。
[監視の者]
人前に現れない?現れてる?謎の人。
[案内人]
謎の人。
[アシタバの帰舟]
葉っぱで作られた舟。あまりにも謎のレシピ。
[深い紫のローブの人]
謎の人。
[ハダカ族]
服を着ていない状態。
[番人ぷにちゃん]
コンテナの棚とか床とか天井とかに無数に住む、顔の無いプニプニ。ソフィーの顔くらいの大きさなので、魔物プニプニよりも少し小さい。
[ぷにちゃん]
ソフィーのアトリエの地下……どれだけ広いんだ……もうアトリエよりも遥かに広い。
そしてアトリエ屋敷レベルでぷにちゃんがデカい。