シンフォギアといえばワイルドアームズネタだよねって感じで色々ぶっこんでます。
「あれ、どこだろう、ここ?」
立花響が目を覚ますとそこは知らない部屋のベッドの上だった。
部屋を見回すとここは病室のようだった。左側にドア、向かいの壁にはモニター、右側には窓があって、開いたそこから吹き込んだ風が潮の匂いを運ぶ。
(海が近いんだ……)
窓の外では深緑色の作業着に身を包んだ男達が忙しなく走り回っていた。
「えーっと……何があったんだっけ……?
そうだ。師匠の飛行機に乗せてもらって寝ちゃったんだ」
うーん、と響は頭を揺らしながら目が覚めるまでの記憶を最初から順に探っていく。
「ギャラルホルンのアラートが鳴って、私と翼さんとクリスちゃんの3人で並行世界に渡って……女の子を追いかけたら湖に行き着いて、そこに怪獣が出てきて……戦って……それで…………あれ?」
全身に寒気が走り抜けた。
あの怪獣の尾に身体を砕かれた記憶があった。身体の熱が奪われていった記憶があった。確かな感触を覚えている。
「何で私、怪我してないの……?」
気を失った後、次にある記憶は翼に抱き絞め殺されるのではないかと思うくらいに強く抱き締められて。
(なんか、変だ)
『変じゃないぜ』
「ええっ!?」
頭の中で声がした。
『お前は確かに死んだ。俺が一歩間に合わなかったせいだ。すまない』
「あっ、え? 私、死んだの? いや、でも今こうしてピンピンしてて……」
『ああ、俺はお前を生き返らせるためにお前と一体化したんだ。今は命を共有してるが、じきに元に戻る』
「は、はあ……。ってことは、この頭の中の声さんが私を助けてくれたんですね! ありがとうございます!」
『お、おう……んんっ、それで、だ。お前の力を貸してほしい』
「はいッ! 喜んでッ!」
『返事はえーなおいッ!』
プシッ、と空気が抜けるような独特の音が鳴り、ドアがスライドする。
「目が覚めたか、立花」
「あっ、翼さん!」
「身体の具合はどうだ? どこか違和感のようなものは無いか? そうだ、喉は乾かないか? 何か飲み物を」
「落ち着け先輩。心配しすぎだ」
「しかしだな雪音……立花にもしものことがあれば小日向に申し訳が立たん」
「あはは……なんか心配させてごめんなさい。私はこの通り、へいきへっちゃらですッ!」
「失礼、いいだろうか?」
またドアがスライドし、入ってきたのは眼鏡をかけた初老の男性とこの世界の弦十郎だ。
「特異災害対策機動部、地球防衛課の
「地球防衛課の飛空戦部隊、チーム・フェネクス隊長。風鳴弦十郎だ」
「君の事情はこの2人から聞かせてもらったよ。シンフォギア、ギャラルホルン、並行世界……にわかには信じられないがこの目でシンフォギアの性能を見せられては信じないわけにもいかん。
君達の言葉に嘘はないと信じよう」
響が眠っている間にシュミレーターか何かで翼とクリスがシンフォギアでの模擬戦を見せたのだろう。八紘は彼女達を信用するつもりらしい。それは彼の後ろに立つ弦十郎も同じだった。
「それで、そのギャラルホルンのアラートの原因たる黒いノイズなのだが……我々はそれを感知していない」
「それどころか、15年前から世界中の何処からもノイズは確認されていない」
「なっ……!」
「ウソだろ!?」
認定特異災害ノイズ。先史文明期に作られた人が人を殺すために作り出した人を炭素と砕く怪物。
異世界に存在するバビロニアの宝物庫と呼ばれるノイズプラントから
「ふむ……どうやら少なくとも16年前の風鳴大戦からこちらとそちらの歴史が違っているようだな」
「「「風鳴大戦!?」」」
八紘の口から出た聞いたことの無い、しかし明らかにヤバい気配のする単語に装者3人は声を合わせる。
「どうやら兄貴の見立て通りのようだな。それならちょうど良い。今度はこちら側の話をしようか」
そう言って弦十郎は部屋の椅子に腰掛け、この世界の事を話し始めた。
「16年前に、ドイツがノイズの操作を可能とする、ある聖遺物の起動に成功してな」
「まさか、ソロモンの杖……」
「む、知ってるのか、雪音くん」
「ああ。あたし達の世界じゃあたしが起動させちまった聖遺物だ」
「なるほど。だがその様子から察するに、決着は着いたみたいだな。話を続けるぞ。
まあ、色々と省略するが、俺と
「いやいやいや待て、待ってくれ。数万のノイズ!? それを殲滅!? いやそれよりその省略したところに何があった!?」
「師匠凄いッ!」
「流石は叔父様です。並行世界でも相当の猛者であったとは。是非、手合わせ願いたい」
「お前らは黙ってろッ!話が面倒になるッ!」
思わずクリスのツッコミが炸裂。
しれっと言っているがノイズには位相差障壁という、自身の存在比率を下げることで物理的な干渉を無効化させる能力が存在し、通常兵器は非常に効きにくい。10のダメージで倒れるがこちら側の世界での存在比率を下げることで0.01のダメージにしてしまうと言えば分かりやすいだろうか。倒すにしても無数の銃弾による飽和攻撃等が必要であり、ノイズ一体を倒すだけでも困難な相手だ。
それを殲滅。しかも数万となると対ノイズに開発されたシンフォギアでも骨が折れる。クリスの常識では測れない次元の話だ。
「懐かしいなぁ……決戦の地はグランドキャニオンだった。ノイズは落下に弱くてな。もし地面を通り抜けようものなら地球のマグマへ一直線だ。だからなのか下方向に落ちるノイズは位相差障壁を張らないんだ。それで数千のノイズを上空に巻き上げ、落下してくるノイズ共を忍刀一つで倒していった緒川忍軍の
「凄いッ! 忍者凄いッ!」
「もしや、その緒川忍軍の中に緒川慎次という人はいませんでしたか?」
「おお、あいつか。当時はまだ見習いだったから決戦には参加させられなかったが、銃弾の影を足で踏んで影縫いして止める凄いやつでなぁ──」
(ダメだ。ここのおっさんも人外の類いかッ!?
うぁ~! やっさいもっさいぃ~ッ!)
目の前にいるのは人外にあらず。OTONAである。若干一般的な常識から外れているクリスの常識でもその埒外に存在するのがOTONAである。
つまりOTONA=よく分からないもの=埒外物理学である。
「弦。思い出話も結構だが、そろそろ話を戻してくれ」
「ああ、すまない兄貴。
えー、まぁそんなわけで、バビロニアの宝物庫が閉じられたことにより、15年前から全世界でノイズは確認されていないわけだ。
それで、ノイズの脅威は確かに去った。しかし、今度は宇宙から侵略者がやって来たんだ」
「宇宙からッ!?」
思わずといったふうに響が聞き返す。
数万のノイズを相手取ったという風鳴大戦の話も世界規模な話だったが、今度は宇宙からの侵略者。宇宙規模だ。
「ああ、どうやら風鳴大戦で俺がぶっぱなした完全聖遺物ガングニールのエネルギーに引き寄せられたらしい」
「弦が放ったガングニールの光はノイズの群れを消し飛ばし、勢い余って火星を削り、小惑星を砕いた。異星の
ヤツらの狙いは聖遺物。そして、それを利用した侵略兵器の開発だ」
聖遺物を利用した兵器。その言葉に装者の3人は息を飲む。
シンフォギアも言ってしまえば聖遺物の
それでも戦車の砲撃をものともしない防御力や山1つに穴を開けたり、落下する月の欠片を粉々に砕くくらいはやってのけるだけの力がある。
聖遺物は
もしも聖遺物が異星からの侵略者の手に落ち、それが侵略兵器に転用されれば多くの罪無き人々が死に絶えるだろう。
「最初に襲われたのは12年前。米国の聖遺物研究機関、F.I.S.がゼットン星人なる異星人達によって襲撃され、完全聖遺物ネフィリムをはじめ、イガリマ、シュルシャガナといった研究所に保管されていた聖遺物が根こそぎ奪われた」
「なっ……!」
完全聖遺物ネフィリム。
聖遺物を食べる聖遺物であり、完全体にまで成長すればあらゆるものを劫き尽くす災厄の巨人と化す。かつての装者達もこの巨人には苦しめられた。
それにイガリマ、シュルシャガナは女神ザババの持つ2つの刃であり、響達の世界では彼女達の仲間のシンフォギア装者である暁切歌、月読調のギアの核たる聖遺物だ。
「その時に研究所は破壊され、生き残った者はいない」
「…………ッ!」
目を伏せ、拳を握る。例え手が伸ばせなかった並行世界であろうと、人が死ぬということにはやるせないもどかしさを感じる。それが彼女達シンフォギア装者なのだ。
「この事を重く見た各国は宇宙からの侵略者に対抗すべく手を取り合った。
そうして『地球防衛連合軍』が作られた。この特異災害対策機動部ー地球防衛課ーはこの時に連合軍の日本支部として設立されたんだ。
しかし……」
「しかし?」
「連合軍結成式の日、会場が異星人に襲撃された。
ヤツらが投入した無数の宇宙クモ、グモンガにより会場にいた人々の多くが殺された。そしてヤツら……複数の異星人が手を組んだ『地球侵略同盟』の声明が全世界に発信された。それが10年前の事だ。
この日から世界各地で侵略同盟が送り込む刺客と防衛連合軍との戦いが始まったんだ」
「地球侵略同盟と地球防衛連合軍の戦い……何だかSF映画みたいで実感わかないんですけど……」
「そうか、なら時間を飛ばして2年前に起こった焔の災厄と呼ばれる事変について話そうか」
「焔の災厄?」
「聞くからにやばそーな……」
「侵略同盟も一枚岩ではないのか声明が出された日から8年間、最新の科学技術や異端技術を用いて作られた兵器、そして人類の意地によって防衛軍は異星人の怪獣兵器やロボット兵器を撃退してきたのだが……。
2年前、最初のF.I.S.襲撃以降姿を見せなかったゼットン星人が現れ、巨大な怪獣。ゼットンを送り出してきた。
個体名『ラギュ・オ・ラギュラ』と呼称されたゼットンは奪われたネフィリムとの融合体で、米国に現れたソイツによってニューヨークなどの都市は一夜にして火の海となった」
弦十郎がポケットから端末を取り出し、操作すると部屋のモニターに火の海に佇む巨大な怪獣、ラギュ・オラギュラの映像が表示された。
黒をベースにした体色で、顔と思わしき場所や腕には黄色い発光器官がある。背中からは腕のような突起が4本あり、腕の大きさは地に付くほど長く、脚よりも太い。腹から尾の下部にかけては蛇腹のような形状で、灰色の皮膚に透けて内部のマグマのような赤が見える。
そんな化け物が映像の向こう側で自由の女神像を踏み砕いた。
「これは……ッ!」
「全長200メートル以上、推定体温1億度以上、体重測定不能。あらゆる生命、あらゆる火器、あらゆる構造物を吸収しながら成長を続けるラギュ・オ・ラギュラは、常に2万度以上の熱を放出しながら歩くだけで街1つを壊滅に追い込めるとんでもない化け物だった」
「あん?
「では、この怪物はもう倒されたのですか?」
「ああ、先の風鳴大戦で俺と共に戦ってくれたパヴァリア光明結社のアダムやサンジェルマン達、そしてキャロルをはじめとする錬金術師達の協力でな」
「サンジェルマンさん達に、キャロルちゃんが!?」
サンジェルマン、キャロル。どちらもかつて装者達と敵対し、響が手を繋ごうと伸ばした相手であり、届かず、既に死亡(正確にはキャロルは違うのだが)してしまった人達である。
「あのアダムがおっさんと手を組んだのか……」
アダム・ヴァイスハウプト。パヴァリア光明結社の統制局長にして強大な魔力を秘め、「完全」であるが故に神が廃棄した人類のプロトタイプである。
「ああ、戦って、最後には殴りあって心から分かりあった大切な友人さ」
ふと、弦十郎の脳裏に焔の災厄の日の出来事がよみがえる。
「全力稼働チフォージュ・シャトーでも分解しきれないだとッ!? これが完全聖遺物と異星の怪獣の融合体なのかッ! 」
「致し方ないね、これは」
カシャン、とガラスが砕けるような音と共に弦十郎の足元にピンク色の光で構成された六角形の紋章が現れる。
アダムは無言で気を失った少女、キャロルを弦十郎に投げた。
「
「退け、という意味だよ。生き残るべきだ、君はね。頼んだよ、彼女を。見せてやってくれ、平和な未来を」
「待てッ! 俺も戦うッ! まだ戦えるッ!」
「言っただろう、君は生き残るべきだと。ラギュ・オ・ラギュラは僕が倒す、この身の全てを使い尽くしてでもね」
「アダム──ッ!」
景色が変わり、弦十郎と彼が抱えるキャロルはアメリカから日本へと飛ばされた。その数分後に、地平線の彼方から焔の柱が天を衝いた。
弦十郎が端末を操作し、衛星からの写真を元に作成された世界地図をモニターに表示する。
それは陸地があるべき場所が海に変わっており、響達が知る地球の姿とは全く異なっていた。
「ラギュ・オ・ラギュラはアダム達によって相討ち、北アメリカ大陸と共に焼失した。この戦いを、我々は焔の災厄と呼んでいる」
「…………」
「…………」
「…………」
声が出なかった。
弦十郎は詳しい事を省きながら話してはいるがどれだけの犠牲があったかは想像もつかない。
「この焔の災厄以来、異星人の侵攻はめっきり少なくなった。恐らく、度重なる敗退とこのラギュ・オ・ラギュラを喪った事によって同盟から手を引く異星人が出始めた。というのが学者の結論だ。
地球側としても焔の災厄で多くの戦力を喪い、防衛能力もガタ落ちている。焔の災厄から2年、現在に至るまで辛うじて防衛出来ているのがこの世界の現状だ」
「そう、ですか……」
大陸1つが無くなり、数億もの人々が亡くなった。防衛戦力もラギュ・オ・ラギュラにつぎ込まれ、喪い、もし、またラギュ・オ・ラギュラ級の怪獣が現れれば今の地球に対抗手段は無い。
しかし、それは恐らく侵略同盟も同じ事で、かの怪獣を越える怪獣や兵器を生み出すだけの力は無い。
ギリギリのバランスで地球の平和は保たれているのだ。
重くなっている空気を排出するように、プシッ、とドアがスライドし、長い金髪を三つ編みにした少女がとててと弦十郎の足元に駆け寄ってきた。
「おじちゃーん!」
「どうした、キャロル。よっと」
「キャロルちゃん!?」
「へ? お姉ちゃん、私を知ってるの?」
弦十郎に抱え上げられたキャロルが響にきょとんとした表情を向ける。
その表情も、言葉使いも、響達が知るキャロルとは別物だった。
「先輩、これは……」
「ああ、キャロルの錬金術、その力の源は──」
クリスと翼がある可能性に行き当たる。そしておそらくそれは正解だ。
「君達の世界にもキャロルはいるようだな、そしてこの子の事情も知っていると見える」
「では、やはり……」
「ああ、焔の災厄の時に記憶のほぼ全てを焼却。今は何も知らない、ただの少女だ」
「そうですか……私、立花響。よろしくね、キャロルちゃん! ほら、クリスちゃんと翼さんも!」
「あ、ああ……。雪音クリスだ」
「風鳴翼だ。しばらくの間、ここの世話になる」
「響お姉ちゃんと、クリスお姉ちゃんと、ズバババン?」
「ずば……ッ!?」
「ふふふ、よろしく、翼お姉ちゃん!」
「あ、ああ。よろしく頼む」
くすくすとキャロルが笑う。
「それで、何かあったのか?」
「そうだ、フィーネお姉ちゃんから伝言! えっとねー、あれ? なんだっけ?」
八紘の問いに元気良く答え、肝心の話の内容に疑問符をたくさん浮かべる。
その時、またドアがスライドした。
「こらキャロル、話を最後まで聞いてから……あら、貴女達が並行世界から来たっていう子達?」
キャロルを追いかけるように続けて入ってきたのは黒髪の少女。その顔立ち、その声に響達は覚えがあった。
「調ちゃん!」
月読調。彼女達の世界ではシュルシャガナのシンフォギアを纏う装者で、大切な仲間で友達。
しかし、彼女達の知る月読調とは何かが明らかに違う。
長い黒髪はツインテールではなくストレートに流しているし、ピンクを基調とした可愛らしい服ではなく白衣を身に纏っている。そして何よりも、瞳の色が
「シラベ? 初めて聞く名だけど……ああ、そういうこと。
初めまして、並行世界からのお客人。私はフィーネ・ルン・ヴァレリア。ここの聖遺物研究、及び兵器開発の主任をしているわ。よろしくね」
フィーネ・ルン・ヴァレリア。転生を繰り返して永遠の刹那を生きる先史文明期の巫女。
フィーネの魂はその遺伝子に刻印を持つ者が、起動した聖遺物が発するアウフヴァッヘン波形に接触することで覚醒し、転生する。
響達の世界では志半ばで肉体を失ってもすぐに転生出来るように保険として
そして響達の仲間である装者のマリア・カデンツァヴナ・イヴ、暁切歌、月読調は元レセプターチルドレンである。
つまりは、そういう事なのだろう。
目の前にいる並行世界の月読調は、フィーネなのだ。
「それで、何かあったのか?」
「ええ、その子のメディカルチェックの結果をお知らせにね。この書類をキャロルにおつかいさせようと思ったのだけど、この子ったら話途中で駆けていっちゃって」
「えへへ、ごめんなさーい」
「まったく、これだから子供は……」
「フィーネお姉ちゃんだって子供じゃん!」
「それはこの体が子供なだけ、私は立派なレディよ」
「でもお胸ちっちゃいよ!」
「こっ、このガキ! 降りてきなさい! ちょっと、弦十郎もその子を持ち上げない! 届かないじゃない!」
弦十郎の上からきゃっきゃっと笑うキャロルとそれを引きずり下ろそうとぴょんぴょんと跳び跳ねるフィーネ。
端から見れば微笑ましいことこの上無い光景なのだが、響達の表情は浮かない。それも当然だろう。並行世界とはいえ、よく知る人が別人になっているのだから。
「それで、メディカルチェックの結果がどうしたんだ?」
八紘が問うと、フィーネはキャロルを恨めしそうに見てからため息を1つ吐き、手元の書類を八紘に渡して話し始める。
「彼女の体はいたって呆れるくらいに健康。そこの2人が言っていた骨が砕けていた、ってのが嘘みたいにね。
ただ、妙なのが体に憑いてるのよねぇ」
「妙なの?」
オウム返しにクリスが繰り返す。
「そう、明らかに人体には異物なんだけど、それが体を維持している。それによって生かされている、と言った方が正しいかしら。聖遺物なら融合症例って結論付けるんだけど聖遺物じゃないし、何とも言えないのよねぇ」
「大丈夫ですよ、しら……フィーネ、さん。その憑いてる人? は悪い人じゃないですッ!」
「人? そう……まあ、本人がそう言うんなら問題無いんでしょうけど」
「はいッ!」
「でも後で再検査するから、今日は1日安静にしてなさい。貴女の中にいるその人? が何なのか分かるまで、決して戦わせないからそのつもりで」
「はーい……」
「ま、体に変な事が無くて良かったな」
「ああ、つくょ、彼女が言うとおり、今日は休め」
ビィーッ! ビィーッ! ビィーッ! ビィーッ!
何の前触れもなく突然、アラートが鳴り響く。
「兄貴ッ!」
「ああッ! 私は発令所へ急ぐッ! 弦は出撃準備だ。追って敵の詳細を伝えるッ!」
「了解だッ!」
「待ってくれ! 敵ってッ!?」
「異星人の怪獣だッ!」
「なら、私達も出ますッ! 例え並行世界と言えど、無辜の民がいるならば剣を持ち、災厄に立ち向かうのが防人の務めなればッ!」
「あたしも行くッ!」
「ふっ、防人か……兄貴ッ!」
「ああ、防人を心得るなら仕方ない。弦、任せたぞッ!」
「よし、ついて来いッ! 翼くん、いや、翼ッ! クリスッ!」
「承知ッ!」
「おうッ! 」
「待って、私もッ!」
「おめーは今日1日安静にしてろって言われただろッ!」
「でも……ッ!」
「でもも無いわ。戦わせないって言ったでしょう?」
「案ずるな立花。私と雪音を信じろ」
「……分かりました。2人とも、気をつけてッ!」
響の言葉に強い頷きで返すと弦十郎の後ろについて部屋から走り出た。
「貴女は大人しくしてなさい、絶対よ。
キャロル、私達も発令所に行くわよ」
「うん!」
八紘、弦十郎、翼、クリスに続いてフィーネとキャロルも部屋から出る。
残されたのは響1人だけ。
弦十郎や翼達が出撃したからなのか、アラートが鳴り止んだ。
(……そういえば、あの子)
窓の外を見ながら思い出すはこの並行世界に来て初めて出会った異形頭の少女。弦十郎達の話を聞く限り、恐らく宇宙人。
(どうしてるんだろう……)
『心配なのか?』
「はい、何となく、気がかりで……。あの子、助けを求めていたような気がして」
『なるほどな……』
[いた、やっぱりあの時の!]
(ん?)
通信越しにクリスの声が聞こえて、そちらを向く。
弦十郎が操作して付けっぱなしにしてあったモニターにはカルデラ湖の中心から姿を表したらエレキングが映っていた。
[あたし達は降りて戦うッ!]
[分かった。援護は任せろッ!]
[了解ッ!]
弦十郎とクリスの声が聞こえ、映像が激しく揺れる。恐らく、弦十郎が乗る戦闘機からの映像だろう。それがモニターに映されている。
「皆、頑張って……ッ!」
超絶ハードモード世界。
次回予告
再び現れたエレキング。装者とチーム・フェネクスの活躍で追い込むが、そこに現れたのはカルマノイズ!?
カルマノイズとエレキングが融合し、EXエレキング誕生ッ!
その時、響は……?
次回ッ!『光を掴めッ!』その2