ゼロファイト《シンフォギア》   作:ブレイアッ

4 / 8
 XDオリジナル楽曲は良いぞ。


4話 『光を掴めッ!』その3

 時は2分ほど戻る。

 病室のモニターにEXエレキングの雷撃光線に飲み込まれた翼とクリスが映る。

 

「──ッ!」

 

 2人のピンチに思わずベッドから下りる響。

 

『どうするつもりだ?』

 

 頭の中の声が響に問いかける。

 

「待ってるだけなんて、見ているだけなんてできないッ! 私も、戦いたいんですッ!」

 

『でもここからだと遠いぜ、どうやって行くつもりなんだ?』

 

「それは──アレがあるッ!」

 

 響が窓の外を見れば、慌ただしく駆け回る男達がいる。そして、男達の駆けるその先には戦場(いくさば)に飛ばんとするミサイルがあった。

 

 

 

 発令所

 

「日本政府より、ガングニール発射許可、降りましたッ!」

 

「ガングニール射出場から連絡ッ! ガングニール発射準備、すべて完了とのことですッ!」

 

 オペレーター達の声を聞き、八紘が頷く。

 

「よしッ! ガングニール、発射だッ!」

 

「ガングニール発射ッ! 着弾まで後30秒ッ!」

 

[ようやく来たかッ!]

 

 待ちわびたとばかりに弦十郎の声が通信越しに響く。

 発射と同時に発令所にアラートが鳴り響いた。

 

「な──ッ! これはッ!」

 

「どうしたッ!?」

 

「ガングニールに、人が──ッ!」

 

 本部のモニターに表示された飛翔するガングニールの映像。そこには、シンフォギアを身に纏い、ミサイルの上に立つ響がいた。

 

 

「最速でッ! 最短でッ! 真っ直ぐにッ! 一直線にッ!」

 

『ミサイルを乗り物にするなんて、なんてやつだッ!』

 

「立花響ッ! それが私の名前ですッ!」

 

『ヒビキッ! 前をッ!』

 

「へッ!?」

 

 響の目の前にはEXエレキングが放つ紅い雷撃光線が迫っているのが見え、次の瞬間に爆発と煙に塞がれた。

 

 EXエレキングの紅い雷撃光線は確かに、ミサイル(ガングニール)を撃ち落とした。

 

「おおおおおぉぉぉぉおッ!」

 

 しかし、爆発によって起きた煙の中から光の粒子を纏った(・・・・・・・・)立花響(ガングニール)が飛び出し、EXエレキングの顔面をぶん殴ったッ!

 

「ギキィーーッ!?」

 

 EXエレキングはそのまま吹き飛ばされ、湖の向こう側の岸に打ち上げられる。

 

「立花ッ!」

 

「あんのバカッ! やりやがったッ!」

 

 ギアの腕部パーツから蒸気を排出しながら響は空中で翼とクリスに笑みを見せた。

 着地した響は映像で見かけてからずっと気にかけていた少女の前に駆けていく。

 

「……ッ!?」

 

 木の陰に隠れていたピット星人の少女は自分の元に駆けてきた響に驚愕し、逃げようと後ずさりして木の根っこに足を引っかけて尻餅をついてしまう。

 

「大丈夫?」

 

「…………?」

 

 ピット星人の少女に手を差し伸べる響。

 

[あれは、異星人か!?]

 

「あの時の──ッ!」

 

 ピット星人の少女を見つけるや否や、弦十郎はフェネクスの銃口を向け、翼は動けないクリスを背にアームドギアを構える。

 

「待ってくださいッ! この子は、ただ怯えているだけなんですッ!

 話を、させてくださいッ!」

 

 ピット星人の少女を背に、庇うように手を広げる響。

 

[だがッ!]

 

「……はぁ、剣を下げましょう。叔父様」

 

[翼?]

 

 毒気を抜かれた翼がアームドギアを下げる。

 

「ああなった立花は誰にも止められません。まさか、異星人の手も取ろうとするとは……」

 

「あのバカらしい」

 

「そうだな、立花らしい」

 

 翼とクリスの様子に弦十郎もフェネクスの銃口をそらした。

 

 再び向き合った響はまた、少女に手を差し伸べる。

 

「私は、あなたのお話しを聞きたい。あなたと手を繋ぎたいんだ」

 

 ぽかんとしていた少女は、太陽のような笑顔を見て、恐る恐る小さな手を伸ばし、響の手をとった。

 

「私、立花響! あなたの名前は?」

 

「──。」

 

「?」

 

『ピット星の言葉だ。この子の名前は、トニーというらしい』

 

「トニーちゃん、って言うんだ。可愛い名前だね」

 

「──ッ、──! ──ッ!」

 

『お願い、あの子を開放してあげて……だってさ』

 

「それって、あの怪獣……エレキングのこと?」

 

 トニーは頷く。

 響の頭の中の声が通訳した内容を纏めると、トニーは元々地球侵略同盟の尖兵として地球に送り込まれたらしい。

 だが、地球人に変装して地球の自然や人々に触れるにつれて地球に惹かれていき、地球侵略に疑問を持ったトニーがピット星の地球侵略の切り札である聖遺物を融合させた双子の改造エレキングをこのノワ山頂上のカルデラ湖に封印。

 しかし、トニーの裏切りを知った仲間のピット星人によって母星を追放、さらに命を狙われる事となり、ノワ山に隠れ住んでいたが、仲間の遠隔操作によって封印していたエレキングが開放され、トニーを襲ったという話らしい。

 

『あのエレキングは体内の聖遺物がその、カルマノイズ? に侵食されて暴走状態にある。

 このままではいずれ爆発し、辺り一面を汚染する。そうなる前にエレキングを倒して欲しい。だそうだ』

 

「…………」

 

(トニーちゃんは、とっても優しくて、強い子なんだ。だって、地球を守りたくてあの怪獣を封印して、教われても誰かを巻き込まない為に山の中に隠れて……)

 

「任せて、トニーちゃん。あなたのお願いは、私が叶える」

 

 トニーに背を向け、対岸のEXエレキングに向き直る。

 EXエレキングは既に戦闘態勢。

 

「あの怪獣を、ぶっ倒すッ!」

 

 

≫≪ KNOCK OUTッ! ≫≪

 

 

「胸に残ったあの日の衝撃……辛く刺さった数々の痛み」

 

 拳を握りしめる。

 思い出すのはエレキングに殺された時の痛み、恐怖。

 

「二度と繰り返さない、誓った拳は……また固くなる──ッ!」

 

 左手を前に、引き絞った右の拳を顔よりも後ろに、左脚を前に、右脚を後ろに。腰を深く沈める。

 かつて師匠から教わった戦いの基本、戦いの構え、そして心の構えを思い返し、恐れで震える脚を静める。

 

『(へぇ……)』

 

「チカラには、意味がある……ッ!

 ガッと蹴ェって、踏み、溜め込む……笑顔の為にィ!」

 

 脚部のパワージャッキが地を打つと同時に脚でも大地を蹴り、普通ではあり得ないほどのパワーを生み出して跳び、湖を横切る。

 

Ready(レデイ)ッ! Fight now(ファイ ナウ)ッ!

 愛でッ握ッれぇぇえッ!」

 

 EXエレキングが放った雷撃光線を前に突き出した拳で切り裂き、今度は胴体をぶん殴ろうとするが、寸前で避けられ、空振った拳が畔に大穴を開け、拳の対角線にあった山肌が爆ぜる。

 

Knock out(ノックアウト)ッ! 諦めないって言葉──ッ!」

 

 すぐさまその場から跳躍すると響がいた場所をEXエレキングの尾が薙いだ。

 

(感覚が研ぎ澄まされて、いつもよりも体が動くッ!)

 

Knock out(ノックアウト)ッ! 君にも、伝えたいんだッ!

 守りきる手が、明日(あす)をッ! 創るッ!」

 

 風にたなびくマフラーが金色の光を放ち、空気を打って空中での機動を変えると響のギリギリ横をEXエレキングの体当たりが通り、胆が冷える感覚が走り抜けた。

 思わず体をひねってその長い体をぶん殴った。力こそ乗りきらなかったがEXエレキングから距離を取ることには成功する。

 

Knock out(ノックアウト)ッ! 重なる過去を越えてッ!

 Knock out(ノックアウト)ッ! 涙の、向こう側へッ!

 あの背に見た──ッ!」

 

 ふっ、と響の脳裏に深紅の巨人の背が浮かんだ。

 

「命をかけた姿──ッ!」

 

 ズザザッ、と畔の砂利を削りながら着地する。

 

「君の目にも……」

 

(今の、ヴィジョンは一体……ッ!?)

 

『ボサッとするなヒビキッ! 真っ正面、来るぞッ!』

 

「難しいことなんか知らない──ッ!」

 

 紅い雷撃を纏った体当たりを全力で横に跳んでギリギリでかわす。

 

「まっすぐに進むことだけだった……ッ!」

 

 畔を転がり、すぐに立ち上がる。

 EXエレキングが突っ込んだ場所は砂煙が上がり、肝心のその姿が見当たらない。

 

(いない、消えたッ!?)

 

『違うッ! 下だッ!』

 

 地面から現れたEXエレキングの体当たりを受け、空中に放り出される。

 

「でもそれだけじゃ──ぐぁああああッ!」

 

(しまったッ! 空中じゃあのスピードを避けきれないッ!)

 

 EXエレキングは紅い電気を口部にチャージし始め、雷撃光線を放つ構えをとっている。

 

(何か手は──ッ!)

 

 響の視界の端にギアを解除したクリスと共に響を見守るトニーが映る。

 手の中にトニーと繋いだ手の感触がよみがえる。

 

「小さな手、繋ぐには……強さだけじゃ壊れて、しまう──ッ!」

 

 拳を開く。

 

「柔く優しく、Ready(レデイ)ッ! Shake hands(シェイクハンズ)ッ!

 愛でッ! 包もうッ!」

 

 両掌を放たれた紅い雷撃光線に向けると掌から光が溢れ出し、雷撃光線を拡散、響の身を守る。

 

(防げたッ!? いや、今はそれよりもッ!)

 

Knock out(ノックアウト)ッ! 変わること、恐れずにッ!

 Knock out(ノックアウト)ッ! 昔を乗り越えてッ!」

 

 右腕部のパーツを変形させてナックルガードとロケットブースター、さらに2本の刃を生成し、回転させる。

 

「ぶん守る意味を、成長ッさせッよう──ッ!」

 

 落下の勢いにロケットブースターによる加速を乗せて、雷撃光線を放った直後のEXエレキングの鼻っ面に槍のようなドリル回転させた一撃をぶつけ、EXエレキングを湖面に叩きつけた。

 

Knock out(ノックアウト)ッ! ぶっ倒すべきものはッ!

 Knock out(ノックアウト)ッ! 敵だけじゃ、ないはずッ!

 自分を超えろ──ッ!」

 

 響の着地と同時に湖の中からEXエレキングが横薙ぎに尾を振るう。

 

(思い出すんだッ! さっきの感覚をッ!)

 

「信じて握る先を──教えるSing you(シング ユウ)──ッ!」

 

(今ッ!)

 

 目で捉えられないはずの尾の一撃を見切って光の粒子を放つ両腕でガードして畔を横に滑る。

 

 

「雷撃光線に続いてあの攻撃も防いだッ!?」

 

「立花の力……いや、違う。何か別の力が立花を強くさせている?

 一体、立花の身に何が──ッ!」

 

[くっ、戦いの動きが激しすぎるッ! 援護しようにも、その隙が出来ないッ!]

 

 響とEXエレキングの戦いは目まぐるしく変化し、対岸にいる翼、クリス、弦十郎では手出しが出来ない。

 ダメージによって動けないクリスも、戦えるはずの翼と弦十郎も歯痒い思いをしながら戦いを見守るしか無かった。

 

 

「君と云う……音歌い……微笑む日を、見届けたい──ッ!

 その日までは、Ready(レデイ)ッ! Fight now(ファイ ナウ)ッ!」

 

 防御して受けた尾を掴み。

 

「愛でッ! 握ッれえええええッ!」

 

 EXエレキングを一本背負いの形でぶん投げ、湖を囲う森の中に叩き付けたッ!

 

Knock out(ノックアウト)ッ! 諦めないって言葉──ッ!

 Knock out(ノックアウト)ッ! 君にも、伝えたいんだッ!

 また誰かへと、紡ぐ、為にィ……ッ!」

 

(どれだけ殴っても決め手にならないッ! だとしてもッ!)

 

 パワージャッキと自力の脚力で全力跳躍し、両腕にロケットブースターを生成する。

 

Knock out(ノックアウト)ッ! 重なる過去を越えてッ!

 Knock out(ノックアウト)ッ! 涙の、向こう側へ──一緒に、行こう──ッ!」

 

(諦めないッ!)

 

 ロケットブースターによる噴射を合わせてさらに高度を取ると空中で蹴りの態勢をとり、再度ロケットブースターによる加速をもって蹴りを放つッ!

 

「今こそ、立ち上がるんだッ!」

 

(トニーちゃんの願いを、あの子が愛してくれたこの星を、守るためにッ!)

 

 右の足先に赤い炎が灯り、EXエレキングの胴体に突き刺さるッ!

 

「負けない愛──ッ!」

 

(私の手を取ってくれたあの子の願いを、叶える為にッ!)

 

「君はァッ! 強い──ッ!」

 

 両腕のロケットブースターの噴射を高め、一曲分を歌いきった事によって高めに高められたフォニックゲインによる絶唱数発分にも及ぶ威力の蹴りを捩じ込み、そして爆発。

 

 爆風によって吹き飛ばされた響は畔に背を打ち付けられ、そのまま滑って木に頭をぶつけて止まる。

 

「痛ぅ……ッ、そんな……今ので、倒れないなんて……ッ!」

 

 EXエレキングが鎌首をもたげ、全身に放紅い電撃を迸らせる。

 無傷ではない。響の蹴りは確かに届いている。それでも、敵は「怪獣」という人智を超えた化け物だった。

 

『おいッ! こんなところでやられるつもりは無いんだろうッ!』

 

 頭の中に響く声が強く、近くなっていく。

 

「ッ! 当然、ですッ!」

 

『だったら、手を伸ばせッ!』

 

「手を──ッ!?」

 

『その手で──()を掴めッ!』

 

 胸に拳を当て、目を閉じる。

 

(私に、皆を守れる力をッ! 願いを叶える力をッ! 光を──この手にッ!)

 

「これは……ッ!」

 

 目を開けると、手の中には銀を基調とした赤と青のフレームに黄色いレンズの付いたメガネのようなアイテムが握られていた。

 

『ようやく届いたッ! そのウルトラゼロアイを付けて、俺になれッ!』

 

「言ってること、全然分かりませんッ! でも……ッ!」

 

 響の手が勝手に動き、ウルトラゼロアイを目に装着する。

 誰かに操られた訳でもなく、自然と「こうするものだ」と認識した体がそうさせた。

 

「デュアッ!」

 

 響の体が光に包まれ、変わる。

 体が大きくなるような、暖かいものに全身を包まれるような、不思議な感覚。

 

 光が収まると、そこには光の巨人が立っていた。

 

「立花があの巨人に……ッ!」

 

「変身したってのかッ!?」

 

 

「俺の名はゼロ。ウルトラマンゼロッ!

 さぁ、こっからは選手交代だ。ブラックホールが吹き荒れるぜェッ!」

 

 




使用楽曲
KNOCK OUTッ!


 次回予告で新フォーム出すけど変身だけで本格的な活躍は次回に回すライダー的なやつ。

 ビッキーなら宇宙人でも手を繋ごうとする。それくらいやる。



次ィ回予告ッ!

『ピット星人の女の子、トニーちゃんと手を繋いでッ! アプリオリジナル曲も歌ってッ! なんかキラキラしてッ! ここって私が大活躍する場面じゃないんですかーッ!?』
「残念だったなッ! 主役は遅れて来るものなんだぜッ!」
『そういえば、ブラックホールが吹き荒れるって、どうなるんですか?』
「それなだな……ぶわーってなるんだ。ぶわーって」
『言ってること、全然分かりませんよッ!?』

 次回ッ!『光を掴めッ!』その4
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。