それはさておき、ここからはウルトラマンゼロのターンだッ!
地球防衛課、発令所。
「何だ……あの巨人は……ッ!」
「データに該当無しッ! 全くの未知の存在ですッ!」
そこは巨人、ウルトラマンゼロの登場によって騒然としていた。
しかし、この中でただ一人、黒髪金眼の少女。フィーネだけは違っていた。
愛らしい瞳を大きく見開き、閉じない小さな口を手で覆う。
「ウルトラマン……」
モニターに映るウルトラマンゼロを見て、震える唇でその名を口にした。
戦場に光と共に現れ出でたるその巨人。
赤と青の身体に銀のラインが走り、肩から胸に銀のプロテクター。頭部には2つの鋭い刃を携え、悪を憎む光を宿した眼は鋭く、胸に灯るは正義の光。
「俺の名はゼロ。ウルトラマンゼロッ!
さぁ、こっからは選手交代だ。ブラックホールが吹き荒れるぜェッ!」
その巨人の名はウルトラマンゼロ。
遥か彼方の宇宙からやって来た、光の巨人である。
『わっ、わっ、何これー!?
何で私、こんなにおっきくなってるのーッ!?
はっ、まさか成長期!? 今まで食べてた分が一気に栄養に変わって急成長したとかッ!? いやぁ、そんなわけ無いかぁ……』
と、かっこよくキメたゼロだったが、ゼロの
ボケに対する伝統的なリアクションである。この巨人、ノリが良い。
「だぁーったく、調子狂うなぁ……ヒビキ! いいか、お前は今、俺と一体化してる。それはいいな?」
『あ、はい』
「さっきまではお前の身体に俺がいる状態だった。でも今はその逆だ。俺の身体にお前がいる状態なんだ」
『な、なるほどッ!』
「よーぅし、納得したな! そんじゃあ改めて……」
右手を腰だめに、左手を真横に伸ばした後に右掌を前に突き出し、左手を腰だめに構える。
戦いにおけるゼロの基本の構えだ。
「覚悟しな、ブラックホールが吹き荒れるぜッ!」
ゼロが水しぶきを上げながら跳び、振りかぶった拳をEXエレキングの顔面めがけて振るう。
EXエレキングは即座に避けようとするが、響の拳よりもゼロの拳の方が速かった。
ゼロの拳は顔面はそれてもその下。首の辺りに命中し、怯ませる。
「──シェアッ!」
間髪いれずに回し蹴りを放ち、湖の底に叩き付ける。
さらに拳による追撃がEXエレキングの胴を撃つ。
「チッ……!」
しかし、ゼロはそれ以上の攻撃はせずに舌打ちをついて後ろに跳び、距離を取った。
「何だコイツ、妙に硬い。これが聖遺物との融合怪獣ってわけかッ!」
拳を握って開いてを繰り返し、手の感触を確かめる。
「なら、コイツでぶん殴るだけだッ!」
ゼロは左手首にあるウルティメイトブレスレットを叩く。
しかし──。
「なッ! ストロングコロナゼロになれないッ!?」
思わぬ事態に動揺するゼロ。
その隙を逃さず、EXエレキングは全身に紅い雷撃を纏い、体当たりをしかける。
『ゼロさんッ! 危ないッ!』
「なッ! ぐぁ──ッ!」
一瞬で音速を超えた紅い雷はゼロの体を湖の中心部にまで吹き飛ばす。
底は驚くほど深く、身長が50メートルもあるゼロが全身を沈めてもなお底に足がつかない。
(マズイ──ッ!)
水中はエレキングの得意とするフィールドだ。ウナギのような姿になったEXエレキングにとっては尚のこと。
「ぐ──ッ! ガァッ!」
目にも止まらぬ速さで水中を動き回り、秒間に2回も体当たりを食らわせるEXエレキング。
ゼロの胸のカラータイマーが青から赤に変わり、音と共に点滅を始める。
ゼロは抵抗出来ない。そう確信したEXエレキングはトドメとばかりに全身に紅い雷撃光線のエネルギーを纏った体当たりを放つ。
音速を超えた、光速に限り無く近い速さでの体当たりは、その巨体と纏う雷も合わさり、地球の外殼を容易く吹き飛ばせる程のエネルギーを秘めている。
肉体を切り刻むシュルシャガナの特性と相まって、まともに受ければ、いかにウルトラマンゼロと言えどもただでは済まないだろう。
「いい加減、見飽きたぜ。その攻撃ッ!」
しかし、ウルトラマンゼロは歴戦の勇士。
何度も同じような攻撃を受け続ければ、例えそれが光速にも等しい速度になった所で見切れぬ筈が無かった。
左腕を真横に振るって水を叩き、反動で背を水底に着けてEXエレキングの攻撃をかわすと同時に腕をL字に組み、放つはゼロが得意とする光線。
「ワイドゼロショットォッ!」
すれ違い様の早撃ち。
体当たりで伸びきった胴にぶつけたワイドゼロショットによって、EXエレキングを水中から空中へ叩き出す!
「シェアッ!」
水底を蹴って湖の外へ飛び立つ。
これまでに多くの敵を討ち倒してきたワイドゼロショットを受けてもなお、EXエレキングは健在。
ゼロが見上げれば、光線で押し飛ばされた先の空中で湖面のゼロめがけて口部にエネルギーを収束させ、紅い雷撃光線を発射せんとするEXエレキングがいた。
(コイツは──マズイッ!)
EXエレキングを討ち倒すにも、紅い雷撃光線を相殺するにも、エメリウムスラッシュやワイドゼロショットでは威力不足。より威力の高いゼロツインシュートだとチャージ中に撃たれる。
避けるだけなら可能だ。空中では身動き出来ないEXエレキングに対してゼロは空中を自在に飛べる。
しかし、避けようものなら射線の先、ゼロの後ろにいる生身のマリアやクリスに当たってしまう。
(どうする、どうすればヤツの攻撃を──)
『だったら、迎え撃つッ!』
「ヒビキッ!? 何を─うぉおっ!?」
『最速でッ! 最短でッ! まっすぐにッ! 一直線にぃッ!』
「コイツ、まさかッ!?」
EXエレキングが真下のゼロ目掛けて紅い雷撃光線を放つ。
しかし、雷撃光線なんか知ったこっちゃないとばかりに前に突き出した右掌で受け、その飛翔は止まらない。
『稲妻を喰らいッ! 雷を──握り潰すようにいいいいいいッ!』
「俺から、身体の制御を奪ったってのかッ!」
雷撃光線を握り潰し、前に掲げた紅い雷撃がバチバチと激しくスパークする拳でぶん殴る。
『うぅおりゃあああああああッ!!』
そして──その拳はEXエレキングの胴体に突き刺さり、穿ち砕いたッ!
「────ッ!」
胴体を真っ二つにされ、断末魔の声を上げる間もなく、EXエレキングは爆散。
翼やクリス、弦十郎にマリア、そしてトニーを苦しめた怪獣は、強く優しき花を宿した巨人の拳によって討ち倒されたのだ。
『はぁ、はぁ、やった……ッ! やりましたよ、ゼロさんッ!』
「あ、ああ……。戻るぞ、ヒビキ」
ゼロが両腕を腹の前あたりで交差させると、ゼロの身体が金色の光の粒子に分解され始める。
光の粒子は地上の翼とクリスの前に集まり、人の形を取ると、頬やあちこちに擦り傷のような怪我をした立花響が変わった。
「はふぅ」
「立花ッ!」
膝から崩れ落ちそうになったところを翼が支える。
「無事か、立花」
「あはは……ちょっと、というか、物凄く疲れましたけど、へいき、へっちゃらです」
「無茶しやがって、このバカ」
「えへへ……」
(シンフォギアを纏っていたとは言え、生身の状態で俺から力を引きずり出し、最後には俺の身体を自分の身体のように操ってみせた……。
どうやら俺は、とんでもないヤツと出逢っちまったみたいだな……)
天高くで起こった爆発は、地球人類にとって反撃の狼煙であり、異星人にとっての開戦の合図であった。
焔の災厄より燻っていた小さな火は、ここから燃え上がる。
ゼロの謎の不調(いつもの)、なんかやベーことやってる響(いつもの)。
つまりはいつもの世界。
次回予告ッ!
マリア「前回怪獣相手に大立ち回りを見せたと思ったらまさかの一話丸々出番無しッ! やっと来た出番が次回予告なんて、こんな残酷が許されて良いのッ!?」
次回『アヌンナキ・ノア』