素朴な幸せでオペレーターを籠絡する話。   作:杜甫kuresu

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ちょっとした次の話へのつなぎ。
ところで先日カップ麺を食べましたが、エースコックの大容量でも食べ終えてしまえば冷めるのは速かったですね。縋るフロストリーフの冷え性や如何程か。


【幕間】Don't touch tail!

「ロドスの住人は温かいな…………」

 

 貰ったコーヒーを飲みながら空を見上げる。今日の空は隙間のちらつく曇り空、覗く青も天災を見た後では手放しに喜べない。

 少しだけロドスの施設には慣れてきたが、未だにコーヒーメーカーを探すだけで苦労はする。ドクターも何だかんだと気にかけてくれているが、それでも広いものは広い…………。

 

 紙カップの温かさにあの夜のカップ麺を思い出す。ちなみに味噌が好きだ、ヤヒトが色々と食べさせてくれた。時々夜に一緒に食べるのがつまらない楽しみだ。

 

 勿論毎日というわけではない、肌に悪いし健康にもよくないからな。ズィマー?だったか、彼女にも怒られた。

 

「何で今更、こんなに…………」

 

 こんなに、何だ。考えるだけで頭がぽやぁっと火照ってしまう。

 

 だが、変な話じゃないか。こんな短い時間で、あんな顔もわからない男の他愛ない言葉や態度で、そんなの…………おかしい話だ。

 これまで自分を保つために何度も何度も心を凍らせてきた。正しいかは知らない。法は正しさで守られているだろうが、私が法に守られているかは全く別の話だ。だから、それは私にとって王道だった。

 

 王道だったのだ。組織が吸収されても王道に違いなし。そう、それはロドスアイランドでも変わらないはずなのに。

 言い聞かせてきたロジックが揺らぎ始めている。一つしか道を見ないようにしていたのに、此処は温かい夢ばかり見せてくる。

 

 それが何故なのかはわからない。いつもどおり冷めた顔をして、孤独を気取って、言葉を削って、武器を研ぎ直せば良かった。

 

「いや、違うのか」

 

 良くなかったのかもしれない。

 だから今更、こんな場所で私はコーヒーに粗末なインスタント食品に思いを馳せてしまうのだ。思い出なんてこれまでも、きっといくつも持てただろうに。

 

 いつも私は、人を過去にしてから思い知る。

 

「後悔は終わりだ」

 

 コーヒーを一気に飲み干す。

 でも。だから。今回は、今回こそは――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もふもふもふ!!!!!!

 

「…………ひゃっ!?」

「……もふ」

「ん!? 何だ!? 敵か!?」

「気持ちいい…………」

「!? 女?」

 

 何だ、突然尻尾に得体のしれない何かがしがみついてきた!?

 思わず振り払おうと身体を回すがすばしっこい、赤いシルエットばかりが視界の端に映り続ける。いや待て凄まじい身のこなしだな!? まるで狼か何かだ!

 

 しかも凄まじい斜めの姿勢で滑り込みながらしっかり私の尻尾を堪能していないかコイツ!? その技術は外敵に向けてくれ頼むから!

 

「ちょ、待って、離れてくれ! そんないきなり…………!」

「逃げるけど、怒らない…………もふもふ」

 

 力が抜ける……こんな所、普段誰にも触られないからくすぐったい……。

 

「やめてくれ、たのむかりゃ!? こへがでにゃくなってくる…………」

「…………嫌がってる?」

「さきさき行くなよー…………うわっ!? レッド、完全に腐乱物にたかられる絵面だから辞めよう! 俺も目に毒だ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 えー、フロストリーフの顔と服のはだけ具合とか思考が完全にアレだったので代打でドクターさんです。

 は? 視点戻せって? やかましい殺すぞ、うちのメンバーをやらしい目で見てんじゃねえ。

 

 状況は単純。誰も尻尾を触らせてくれないと拗ね気味だったレッドを連れてきた、以上。俺は悪くない、流石にこんなになるまで飢えてるとは思ってなかった。

 

 走って飛びつかれちゃ陰キャドクターの俺には追いつけん。

 

「すまん、フロストリーフ。加減をさせそこねた」

「どくたぁ…………これはちょっと、やりすぎだ……」

 

 完全に倒れ込んで息を荒くするフロストリーフ。レッドが覆いかぶさって顔色を窺っているおかげで、俺は今日も訴えられずに済みそうだ。というより俺自身も罪悪感が有るかもしれない。

 

 レッドがシュンとしながらこっちに来る。頼むからフロストリーフを放置しないでくれ、俺がやらせたみたいになる。

 

「ドクター。フロストリーフ、嫌がってた…………?」

「嫌がってるというわけじゃないが、加減をしてあげた方がいいな。出来るだろ?」

 

 レッドはこくんと頷いた。戦場でのナイフ捌きも何処へやら、幼いけれど従順で良い子だ。

 

 合わせる顔もないままの俺を、手で上着を引きながら涙目で睨んでくるフロストリーフ。いや、マジですまんと思ってる。でも謝っても言い訳だから言えないだけ…………見てないから。ホント見てないから。耳も頑張って塞ごうとはした。塞げてはない、すまん。

 俺が顔をそらすしか無いのがご理解いただけたのか、ツンケンした表情のままこちらをじーっと見つめていたかと思えば溜息を付きながら視線を外す。

 

「ドクター。甘いのは良いが、これは甘やかしすぎだ」

「…………はい」

 

 はい、以外にどう返事せえっちゅうねん。

 

「私は、その、良いが…………いや、良くないが。レッドだったか、彼女が外で困る」

「仰る通りだ、ごめん。レッドも、困らせちゃったからちゃんと謝ろうな」

「ごめんなさい…………」

 

 ますます萎縮して頭を下げるレッド、じゃれていたつもりだったんだと思う。俺もちゃんと前もって釘を差しておけば良かったな。

 

 レッドがあんまりしょげて謝るものだからフロストリーフも強くは出れないようで、レッドと少し見つめ合うと仕方なさげに視線を下げていく。

 

「新しい仲間、早く仲良くなりたかった…………ごめんなさい」

「うっ…………いや、怒っては居ない。加減をしてくれ、それで良い。いきなり尻尾を触られると驚いてしまう、それだけの話だ」

 

 レッド、お前の純真さに感謝するよ。俺もついでにお目溢し――――は、駄目そうだな。

 しばらく白い目で見られるのを請け合いに思いつつ、取り敢えずカバーに入っておく。

 

「あー、それでだな。彼女はレッド、見ての通りちょっと幼い子だけど仕事は逸品だ。フロストリーフも一緒に仕事をする機会があるから、良ければ仲良くしてやってくれ」

「…………取り乱したな。今思えばドクターも予想はつかないかもしれない、睨んで悪かった」

「いや、次は気をつけるわ。こればっかりですまん」

 

 フードがパアッと頭を上げる。分かりやすい、フロストリーフも彼女を見ると毒気が抜けてしまうようだ。

 

「怒ってない?」

「ああ。ただ、次は一言声をかけてくれ。それなら構わない」

「もふもふグランプリ、エントリー…………!」

「も、もふもふグランプリ?」

「レッドが勝手に格付けしてるらしいぞ、俺は詳しくは知らん」

 

 はぁ、とフロストリーフも困惑したような顔をしている。気持ちは俺も分かる。

 

 さて。本件に戻そうか。

 

「それでフロストリーフ、要件がある」

「仕事か?」

 

 途端に冷めた目つきが戻ってくるが、残念ながらそんな物騒な話ではなかったりする。

 

「違う。ズィマーが料理を作ってくれるらしいから、お前もどうだ」

「…………料理?」

 

 首をかしげるフロストリーフを真似るように、レッドも不思議そうに首を傾げた。




予定は1000文字だったんだけどこれは何ですか、レッドはしゃぎ過ぎだよ止まってくれ(作者とドクターの意見が一致する恒例行事)。
基本的にメインはフロストリーフですがその過程でズィマーとかその他思いついたメンツが絡む感じを予定してます。

ちなみに出てきませんがオリジナルキャラが別の場所で右往左往してる設定なので時期が来たらそちらの話も書きたい。
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