キーン……コーン……カーン……コーン……。
先週の土曜日に行われた入学式も無事に終わり、本格的に学校が始まった月曜日。
1〜4限のオリエンテーションが終わり、今は昼休み。
まだ『藍先生』の姿は見ていないが……もしや、5限の数学なのでは……!?
「ミカサー、一緒に昼飯食おーぜー」
「あー、うん。いーよ」
パカッ
「あっ、それ一口」
私は普段、2段弁当を使う。1段目にはおかず、2段目にはミニサンドイッチ。味は薄め。
マリサが要求したのは、1段目のコロッケ。丁寧にピックが刺さっている。(自分で刺したんだけど)
「……?」
マリサはなぜか口を開けてじっとしている。
「あーんって」
「……え?」
「いいだろ、女同士だし。……ミカサは私が嫌いなのか……?」
「いや、そんなことはないよ!断じて!」
「……あーん」
「はむっ」
「何やってるのよ……餌付け?」
「んん!?」
丁度口に入れさせたタイミングでやってきた霊夢が、マリサをからかう。
確かに餌付けにも見えなくはない……?
「んふ……あはははっ」
「
──
「ミカサー、霊夢ー。私こんなん考えてみたんだぜ」
「んー?……雑談部?」
「そう!みんなで集まってお茶とお菓子を囲んで喋ったり、トランプしたりゲームしたりする部活なんだぜ!」
「「……はぁ……」」
「勿論、入るよな!?」
「「……」」
「入って……くれないのか……?」
「いや、入ります入ります!えぇどうぞよろしくお願いします!霊夢も入るでしょ!?」
涙見せられたら動揺しちゃう癖、どうにかしなきゃ……このままじゃ一生、尻に敷かれそうだよ……一生添い遂げることはないと思うけど。
「え、えぇ……まぁ……設立の申請、したの?」
「まだだぜ。まず人を集めないと」
「アリスとかは乗ってくれるかな」
「……さぁ?」
「ありす……?」
「あぁ、あっちのぼっちだぜ」
「ぼっちじゃないわよ!はぁ、なんで2年目もこいつと一緒なのかしら……」
「……アリス・マーガトロイドよ」
「篝火美嵩です」
この人、割と社交的だと思うけどな……。なんでぼっちって言われてるの……?
「アリスって、初等部のこr「言わないで!!」
「あー……なるほど、ご愁傷様です」
「何が『なるほど』よ!!」
「でー……雑談部、入ってくれるか?」
「今言う!?まぁ、全部聞いてたけど……入るわ。マリサを放っておけないし」
「ほーう?つまり、アリスは私がs「違うから!」
「あ、あははは……」
──
「部室とかはどうするの?」
「いや、まだ1人足りない……。部活の設立には最低5人は必要なんだぜ」
「なんかめぼしいのって居たかしら?」
「うーん……あっ、十六夜咲夜とか?3年C組の……」
知らない名前が出てきた。十六夜……ん?スカーレット家に仕えている家柄の1つじゃなかったか?
「いざよいさくや……」
「銀髪で、制服の上に白いエプロンを着ている、スタイルのいい人なんだぜ」
「今は多分1年A組にいるんじゃないか?レミリア・スカーレットのクラス……」
レミリア・スカーレット。言わずと知れたスカーレット家の長女で、この学園の理事長『ホルスト・バリッシュ・スカーレット』の娘。
今年度、中学生になったと新聞で読んだが……この学校だったなんて。
「あと10分で昼休みも終わるし、早く行きましょ」
──
1年生の教室のある1階の廊下。
「……?」
話にあった通り、銀髪でエプロンをしていてスタイルがいい。共学ならモテモテだっただろう美少女。
「咲夜!雑談部に入ってくれ!」
「いきなり何……そっちは、転入生?」
「あっ、はい……篝火美嵩、です」
「私は十六夜咲夜、紅魔館でレミリア・スカーレット様のメイドを務めています。学園では中等部の3年C組に所属していますので、何か要件のある場合はそちらに……」
「雑、談、部!入らないのか!?入るのか!?」
「だ、だって……お嬢様の投擲部もあるし……」
「ん?咲夜も入ってるのか?」
「いや……趣味の領域でナイフ投げもしてるけど、そこまでは……。ただの、お嬢様の見守りよ」
「見守りなら顧問に任せてもいいだろ」
「……はぁ……」
5限もサボって説得した結果、なんとか入部してもらえた。5限の数学、担当教師確認できなかったのは惜しいけど……雑談部設立できずにやりたくもない部活に入る、もしくは帰宅部なんて悲しいことにならなくてよかった。
「部室はどうするの?」
「うーん……気分で変える!文化部棟の空き部屋でもいいし、図書館に何部屋かあるフリールーム、体育館の器具庫とか!」
「器具庫はちょっと汚いでしょ……まぁ、いっか」
「で……今6限始まってるけど、どうする?教室に戻る?」
「いや、無理じゃね?」
「はぁ、どこで時間潰そうか……」
屋上はまだ開いていない、学食なんて行ったら絶対バレる、図書室……あっ。
「図書室のフリールームは!?」
「あー……司書さんいないけど、大丈夫かしら」
──
図書室……室、なんて規模じゃない。大がつく図書館だ。
学園の地下にあるソレには、在学中にはとても読みきれないほどの蔵書が詰まっている。
「ひろーい!!」
「あんまり大きい声出さないの。時々ここに風紀委員が来ることもあるんだから」
「ふうきいいん?」
「生徒に『しゃんとしなさい』って呼びかける委員のことよ」
「ふーん……」
フリールーム1に入った。
中身は長机が数個と、コーヒーメーカーに蛇口、流し台。あとはポットとか。
隅っこには椅子が積み重なっている。
「なんか……ここで生活できそう」
「寝る場所はどうするんだよ」
「……机の上?」
「バカか」
「お茶、淹れるわね。幸い、茶葉やマグカップもあるみたいだし」
「あー、よろしく」
十六夜先輩?十六夜さん?咲夜先輩?……咲夜さん、がお茶を淹れてくれるようだ。
見た感じ、あの茶葉は紅茶。
「うーん……何しよう……」
「スマホゲーム……?」
「最近いいのないしなぁ……」
話してるうちに、出来上がったお茶が配られた。制服のように深い赤色で、なおかつ透き通っている。私は好きな色かな、これ。
ごくっ
「美味しい……!」
「あー……お茶請けってないの?」
「クラッカーならあるけど、勝手に食べていいのかしら」
「……あっ、張り紙……『お茶やお菓子はご自由に』だってさ」
「そう、なら遠慮はいらないわね」
「言う前に食べてるじゃん……」
パリッ、サクサクサク
「このクラッカーは購買にも売ってるし、買い足せって言われても大丈夫ね」
「ふあぁぁぁぁ……あっ、あと5分で6限終わり」
「HRもサボっちゃうか?」
「まー……別にいっか。テストさえ良ければ普段がどうであれ退学はないんだし」
「変わってるよね、この学校」
「母親から聞いたけど、初代からこの校風は全く変わってないそうよ」
「ふーん……今の学園長だと、この校風をさらにフリーダムなことにしてしまうかもね」
「うふふふっ」
続く