二つの日本召喚   作:死滅殺鬼

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みなさん、お久しぶりです。約1ヶ月ぶりの投稿になりました。すみません、こんなに遅くなってしまって。では、どうぞ

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海戦報告と新たな事象の表れ

ロウリア王国 ワイバーン本陣

 

『敵船を確認、これより火炎ほうしザザザ……』

 

 それを最後に通信は途絶した。この通信は約三時間前の出来事だ。

 

「まさか……全滅?いや、350騎も上げているのだ、帰ってこないのはおかしい」

 

 彼はそう思いつつも時間は過ぎていき、翌日となっていた。彼は悟った、ワイバーン部隊が全滅したことを。ロデニウスひいては世界において飛行機械や風竜よりは弱いものの、空戦において負けなしといわれた生物だ。しかもワイバーンは貴重であり、数を揃えるのも容易ではなくパーパルディア皇国の援護によりこれだけ揃えられたのだ。

 だからこそ、敵主力艦隊を発見し飛び立っていた精鋭350騎は大戦果をあげ、笑顔で帰ってくるはずだった。だが現実は一騎も帰って来なかった。ワイバーン部隊だけではない、東方討伐海軍からの通信も切れた。もし帰ってこれたとしても、二度と動けない体になっているだろう。だがそれ以上の問題があった、ロウリア王への報告だ。おそらく怒り狂い、私は殺されてしまうだろう。その前にもう一つ命令を下しておこう。

 

「先遣隊に竜騎士団の内、半分を本陣へ寄越すよう伝えろ」

 

 その後、彼はロウリア王に殺され………なかった。その理由は後で説明しよう。

 

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中央歴1639年4月30日 クワ・トイネ公国『政治部会』

 

「ロデニウス大陸沖海戦の戦果は以下の通りとなります」

 

 参考人招致された観戦武官ブルーアイとミドリが、政治部会において報告する。そこに記載されていたのは次の通りだ。

 

『ロデニウス沖大海戦戦果報告書及び今後の日程

 

○大日本帝国及び日本国の混合艦隊は16隻の戦船を派遣、内8隻は海上警備行動を行い残りの8隻が戦場へ出撃

○大日本帝国及び日本国の混合艦隊は敵船4400隻を8隻で相手にし、3000隻以上を撃沈、1000隻以上を拿捕

○大日本帝国及び日本国の混合艦隊は敵ワイバーン約350騎を船からの攻撃のみで撃墜

○捕虜に関してはクワ・トイネ公国に任せる、ただし虐待は禁止。念のために大日本帝国捕虜収容所勤務の軍人及び、日本国自衛隊隊員を数人派遣するのを容認してほしい

○上の項に違反(捕虜虐待)を行った者に対しては、こちら側で拘束・処理を行わせてもらうことを許可してもらいたい

 

 その他、詳細な資料は正確な数字が分かり次第、渡します。以上をもって報告を終わりにします       』

 

 その報告書を置き一人の人物が言葉を発した。

 

「たったの8隻、普通では勝つことは不可能に近い。だが、彼らは見たこともない兵器を使う。捕虜虐待は禁止ということは、この世界では珍しいが敵にも温情を持つのだな。もう一度問う、この報告書に偽造はないな?」

「はい、一切の偽造はございません」

「もし偽造が発覚したならば、我ら二人は死刑となってもかまいません」

「ではロデニウス大陸沖海戦については以上で終わりとして、次の議題に行ってもよいかね、カナタ首相」

 

 彼の目先にはカナタがいた。彼は静かに頷いた。

 

「では次の議題へ移る。次は陸についてだ。現在、ロウリア王国陸軍は城塞都市エジェイに向かって侵攻している。そしてその行いに対しての日本が行いたいことがこれだ」

 

 彼は先ほどの『ロデニウス沖大海戦及び今後の日程』とは別の資料、『城塞都市エジェイ防衛戦における簡易基地の建設』が配られた。

 

「彼らは城塞都市エジェイを守るため、近くに簡易基地を作れるところを求めている。誰か良い案はないか?」

「ダイタル平野はどうだ?あそこはここに書いてある『縦横3km』を容易に達成している」

「ふむ、あそこは荒廃しているし特に問題ないな。外務卿、双方の日本に簡易基地構築の許可を与えよ。好きにせよ、とな」

 

 一部の若者からは反感があったが、国のためと言ったら渋々了承はしてくれたが、やはり血気盛んな若者が多い様だ。だが日本の必要性を分かってくれたのは幸いだった。

 

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ロウリア王国 御前会議

 

 会議はもう凄いとしか言いようがないほど、荒れていた。無理もない、4400隻という大艦隊が壊滅したのだ。それだけではない、350騎にものぼるワイバーンに関しては殲滅された。

 

「敵が魔導兵器を使ったというがどこにそんな証拠がある!?」

「証拠があろうが無かろうが、あれだけの艦隊と飛竜隊が全滅したのだ!魔導兵器以外に何がある!?」

「それ以外に機械兵器はないのか?」

「あんなワイバーンも知らない蛮国が機械兵器を使用するわけあるか!?たわけ!」

 

 もう無茶苦茶だった。まるで罵声を罵声で返す、そういっても過言ではないほどに。

 

「静まれ」

 

 その中に一つの凛とした声が透き通り、会議室は静まり返る。声を発した人物を見ると、そこには大王ハーク・ロウリア34世が玉座から立っていた。そして歩きながら語った。

 

「今、我々が対峙しているのは見たこともない兵器を使う。それが魔導兵器なのか機械兵器なのかは分からない。だがそれよりも大事なのは亜人を滅ぼすことである。なに、敵が如何に強い武器をもってしても、それを使いこなす技量と実力がなければ宝の持ち腐れにしかならん。我が軍は数も技量も実力も、ロデニウスで右に出るものは一切いないのだ。すべての勝敗はすでに決まっているのだ!数と技量で潰すのだ!」

 

 その言葉に臣下達は立ち上がり拍手の嵐になった。

 

「さすが陛下、分かっております!」

「そうです、敵がどんな武器が使おうとも我が精鋭なるロウリア王国軍に勝つことは不可能です!」

「国王陛下万歳!!」

 

 その後、ハーク・ロウリア34世が退場するまで、『国王陛下万歳』の合唱は続いた。

 一方、退場し自室へ戻ったハーク・ロウリア34世は大量の汗をかきつつ、布団にくるまった。

 

(あんな強い敵を潰す?ふざけるな、できるわけがない!あの大艦隊もあの大飛竜隊も6年もの歳月をかけて準備したのだ。それが一瞬で木っ端微塵になった。勝つことなど不可能だ……)

 

 先ほどの御前会議での威厳はもうどこにもなかった。ただただ敵に怯えていた……

 

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第三文明圏 列強 パーパルディア皇国

 

 薄暗い部屋、そこでは水晶を通し報告を受けていた。 オレンジ色に光ったあと、観戦武官ヴァルハルから送られてきた報告書を見た。

 

「大日本帝国に日本国?初めて聞く国名だな、何々……」

 

 報告書を読み進めて行く内に彼は顔をしかめていった。

 

「イルークさん、どうしたのですか?」

「ヤックか、これを見てくれ」

「?、分かりました」

 

 ヤックはイルークにいわれた通り水晶を見た。彼も顔をしかめはじめた。

 

「百発百中の攻撃に我が国よりも強い攻撃?はは、ヴァルハル先輩も長時間蛮地にいたのか、幻でも見えるようになったのですかね?」

「さあな、だが一応このことは頭にいれておこう。もしかしたら、ということがあるからな」

「分かりました、ですが上にはどう伝えます?」

「う~む……」

 

 二人は上に伝える報告書をどうするか、悩むことになった。

 

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第二文明圏 列強 ムー王国

 

 ムー王国では軍部が荒れていた。荒れているといっても素行などではない、ある問題についてだ。先日、技術士官マイラスが無線機にて、ロウリア王国に観戦武官に出ていた『イタリーン』からの報告だ。紙も届いていたがそれには信じがたいことが書かれていた。それは以下の通りだ。

 

○敵の艦隊は我が国よりも大きい船を持っている

○航空機は複葉機と単葉機を併用しており、また我が国では妄想段階の回転翼機を所持している

○対空性能も百発百中ともいえる異常さであり、戦艦らしきものの砲撃は『ラ・カサミ』よりも遠くから行っている

○ただしクワ・トイネ公国及びクイラ王国のものらしき旗はなく、どの艦も赤い丸の旗と太陽の旗を掲げている

 

 それについて議論がされていたのだ。新たな国という意見、今まで存在を隠していた国という意見、そして我が国と同じ転移した国という意見、三つの意見が交差していた。どれかが正解なのかもしれないし、すべて不正解かもしれない。ただただ分からなかった。だが一つだけ言えることは、古代帝国時代の時に交流を持っていた国が使用していたのが赤い丸だった。転移する数日前に突如として文明が消えていたが、それの子孫という可能性もある。だが『イタリーン』がカメラを忘れていたがために、証拠がなかったためあとあと輸送することになった。その費用が軍備から抜かれたのは少し軍部にとって痛かったのは、また別の話。




 少し変えた部分もありますがご了承ください。またムーのやつは前回に引き続きRed Octoberさんの『鎮守府が、異世界に召喚されました。これより、部隊を展開させます。』をリスペクトしています。

さて次の題名は
『救出作戦発令!難民エルフたちを保護せよ!』
です。期待せずにお待ちください

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