二つの日本召喚   作:死滅殺鬼

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一日遅れで投稿します。さて遂に陸戦の始まりです。どんな風になるのかはまだ分からない。戦闘描写は多分なかったと思いますけど、楽しんでくれれば幸いです。では、どうぞ

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8/12 加筆訂正


龍の咆哮①

ロウリア王国 軍事会議

 

 ロデニウス沖大海戦における敗北は士気の低下を避けるため、幹部を除いた全員に箝口令が敷かれた。またロウリア王国東部諸侯団クワトイネ先遣隊においても衝撃が走っていた。ホーク騎士団の最高戦力とも名高い第15騎馬隊が東方約25kmで消息をたったのだ。魔信により何度も問いかけているが、ザーザーという雑音以外なにも聞こえない。それに加え導師からはワイバーンや魔導兵器などは感知されてないとのことでさらに不気味さが増す。そして何より、馬すらも帰ってこないのだ。騎馬隊ということは人がヤられても馬だけ帰ってくることは多い、だがそれすらもないのだ。

 

「一体何が起きているのだ、我々が戦っているのは本当にクワ・トイネ公国なのだろうか。それに東方討伐海軍が帰ってこないがためにさらに敵の情報が分からない。何か意見があるものはいるか?」

 

 東部諸侯団を指揮するジューンフィルア伯爵がみなに問う。

 

「魔法が感知されていない、そして導師の間で話題になっている話がある」

「何だ、申してみよ?」

「……機械兵器、それ以外は考えられない」

「機械兵器だと!?あれは列強ムーのみの特権ではないのか!それにムーは今回、我が国(・・・)に対し観戦武官を送っている!はっ、まさか……」

「ギム陥落のあとに参加してきた大日本帝国と日本国、この二つの国に対して分かってることが一つある。ワイバーンなどを含む魔法系統(・・・・)を一切知らない」

 

 会議室に沈黙が広がる。そんなときに頭の痛い指令書が届いた。指令主は主将名だか中身はアデムが書いたものだ。『悪魔の化身』の二つ名をもつ恐怖の副将アデムだ。

 

『城塞都市エジェイの西側3km先まで兵を集めよ。そこで、本隊合流まで待て』

 

 あそこは他の町村とはわけが違う。対ロウリアの最前線として建設された城塞なのだ。だが命令に逆らえば家族もろとも皆殺しにされる。家族を守るためにも逝かなければならない、二度と帰れないと思っていても。

 そしてロウリア王国東部諸侯団クワトイネ先遣隊の約2万名の兵たちは、東へ歩を進め始めた。

 

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城塞都市エジェイ

 

 城塞都市エジェイではかなりの戦力が集中していた。クワトイネ公国軍西部方面師団約3万人が駐屯しており、内訳はワイバーン50騎、騎兵3000人、弓兵7千人、歩兵2万人という大部隊でだ。

 将軍ノウは今回のロウリアの進攻をこの城塞都市エジェイで跳ね返せると当初は思っていた。だかスパイからの情報によりその考えは変わってしまった。パーパルディア皇国、その国がロウリア王国の後ろ楯にいることが判明したのだ。どれだけ頑丈に造られた城壁も、第三文明圏にかかれば赤子を捻るよりも簡単だ。顔に出さないが彼は怯えていた。

 

「ノウ将軍、大日本帝国陸軍及び日本国陸上自衛隊が参りました」

 

 彼は二ヶ国の軍の到着をとても喜んだ。だが、悔しさもあった。他国の力を借りなければなにもできないのかと。だからこそあることをきちんと話そうと思っていた。彼らは大日本帝国から第5軍の第11師団、もともとは満州東部の守備をするために結成された。日本国からは第一、第二戦闘団の第六普通科小隊と第四戦車小隊、第六戦闘団から第五通信隊、第七後方支援隊衛生隊、基地建設・整備のための第5施設群が派遣された。

 

コンコン……

 

 ドアがノックされる

 

「どうぞ」

 

 将軍ノウは立ち上がり、彼らを迎える

 

「失礼します」

 

 一礼し中に入る人物が四人

 

「日本国陸上自衛隊の総指揮を担当します、第一戦闘団長の大内田です」

「大日本帝国陸軍の第5軍第11師団長、鷹森(たかもり)です」

 

 自分が着ている気品のある服とは違い日本国はまだら模様の服に、大日本帝国は勲章こそついてるものの服自体は茶色である。それに報告では鎧を着けずに戦うらしい(・・・・・・・・・・)、正気なのか?

 

「皆さま方、よくぞおいでくださいました。私はクワトイネ公国西部方面師団将軍ノウといいます。このたびは、我が国のために援軍を派遣していただきありがとうございます。感謝いたします」

 

 まずは社交辞令から入る

 

「双方の日本の団長、師団長どのロウリア軍はギム陥落をし、まもなくここエジェイへ向かってくるでしょう。しかし、この都市は城塞としての機能もあります。そう簡単に破られることはありません。ただ……」

「ただ?」

「ただロウリア王国の後ろ楯には列強のパーパルディア皇国がいるらしく、この城塞も落とされてしまうかもしれません。ですが!ですがこの戦いは私たちの戦いであり、あなた方を巻き込みたくない!できれば我が国だけで守り抜きたいのです!」

 

 将軍ノウは言った。わざわざ遠いところから援軍を派遣してくださったのに、それを無下にするような発言だ。普通の国ならば『ふざけるな!』といって無理やり参加するか、了承してさっさと帰ってしまうかのどちらかであろう。だが双方の日本は違った。

 

「……何、当たり前のことを言っているんですか?」

「え……」

 

 将軍ノウはまさかの発言に驚いた。

 

「自分たちの国を守りたいのは当たり前、それが自分が守ってる区域なら尚更な」

「それにこの作戦の最終決定権を持つのはノウ将軍、あなたなのです」

「で、ですが私はあなた方の援軍を断ろうとしたのですよ!?」

 

 将軍ノウの言葉に四人がため息をついた。そして声を発した。

 

「自慢ではないですが、我が国が過去において他国の軍と協力したのはたったの一度だけです」

「それに同盟を組んでいるからって信用はするな、裏切られることもある」

「だからこそもう一度いいます、この作戦の最終決定権はあなたにあります。ノウ将軍、作戦命令を」

 

 将軍ノウは涙を出しそうになった目をこすり、堂々した態度で言った。

 

「今回の作戦は城塞都市エジェイの防衛である。双方の日本はこちらからの要請、もしくはそちら側からの要請がない限り陣地で待機せよ!」

「「了解!!」」

 

 双方の日本の将は退室した。ノウは思った。これは神からの贈り物ではないかと、少しでも彼らにいいところを見せようと張り切ったのだった。

 

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 ロウリア王国東部諸侯団クワトイネ先遣隊約2万の兵は、特に大きな障害を受ける事なく、城塞都市エジェイの西側約5kmの位置まで進軍をしていた。残り3km進んだ場所が指示された場所なのだが、ジューンフィルアはここで野営することを決意する、何故か。

 いやな予感がしたのだ。彼らはこの場所で1週間とどまる事を決めた。

 

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 ノウは焦っていた。双方の日本に良いところを見せようとしているが、敵が毎日のように城壁近くまで来て煽っているのだ。それが昼夜問わず何回も行われるのだから、兵士たちの士気が下がっていた。ワイバーンを使って強襲をかけようとも考えたが、そんな気力も兵士たちにはもう無かった。

 

(くそ、このままではじり貧だ。一体どうすれば……)

 

ちょうどその時、伝令兵がこちらに向かってきた

 

「双方の日本軍より伝令が来ました」

「なに!今すぐ読め!(頼む良い連絡であってくれ)」

「はっ!『エジェイ西側5km付近に布陣する軍は、ロウリア軍で間違いないか?ロウリアであるなら、支援攻撃または強襲を行ってよろしいか?又、攻撃を行うに際しクワトイネ兵を巻き込んではいけないため、ロウリア軍から半径2km以内にクワトイネ軍はいないか確認したい』との事であります」

「そうか、ついに動いてくれるのだな。分かった、支援攻撃いや強襲の許可を出す。双方の日本の戦い方を見せてくれ、とな」

「はっ!」

 

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日本国陸上自衛隊並びに大日本帝国陸軍臨時基地(通称:日本共同基地)

 

 通信員はインカムを付けた状態で司令官に報告した。

 

「大内田司令官、城塞都市エジェイにいる通信員から返信ありました。強襲の許可をもらったようです。なお、我々の戦い方を見せてくれとのことです」

「ふむ、あまり戦闘はしたくないのだがな……。大内田殿はどうする?」

「とりあえず戦闘の用意だけはしておきましょう。とりあえず紙で撤退するように勧告します。撤退しなかったら仕方ありませんが、攻撃します」

「さて吉とでるか凶とでるか、少しでも退いてくれれば無駄に殺傷しなくてすむんだけどな」

 

 鷹森中将はそう言いつつ参謀の岡田大佐とともに作戦を練った。大内田陸将は生伊(いくよし)陸将補とともに撤退勧告用のチラシ?を作成した(本来は禁止されているが、今回は特例で認められた)。

 

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翌日

 

 空は快晴といわんばかりの空だった。空気もいつもより澄んでいる気もする。こんな日が作戦決行日でとても良かったと思う。そして敵はエジェイで立て込もって防衛するようだ。だが我が軍が毎晩威嚇を行っているため、士気の低下が期待できる。攻めより守りの方が強いというが、この2万という数に対抗できるのか。ジューンフィルアは仲間すらも見下しながらエジェイを見ていた。その時、仲間の一人が東の空に白い点を見つけた。

 

バタバタバタ………

 

「な、なんだあれは!」

「新型の飛竜……とも言い難いですね。なんでしょうか?」

 

 例えるならば箱に棒と板をくっ付けた感じだ(語彙力皆無)。その物体は軍の上空で止まった。弓も届かない高度、そう思っていると白い何かが落ちてきた。ヒラヒラ舞い落ちるそれは紙だった、それも上質な。ジューンフィルアはその紙を取った瞬間、凍りついた。我が国でしか使用されていないロウリア語で書かれていたからだ。

『ロウリア王国軍に勧告

 二時間以内に荷をまとめ、退却を開始セヨ。さもなくば、貴軍を攻撃ス。 

    日本国陸上自衛隊第一戦闘団団長 大内田 和樹 

    大日本帝国陸軍第11師団師団長  鷹森  (たかし)

 ついにきたか、日本という国が。わざわざ攻撃を教えてくれるとは律儀な国だな。我が軍は二万人、隊列を組んで待つとしよう。

 

──────────────────────────

日本共同基地

 

 遂に予定の時間がきた。大内田は生伊から報告を聞いた。

 

「敵は依然として動かず、逆に密集し防御を高めようとしてるようです。まるで古代ローマの戦法『テストゥド』ですね」

「よく知ってんな、そんな戦法。さて我々自衛隊は120mm

迫撃砲RT(2代目)を使用してから89式5.56mm小銃で精密射撃しますが、そちら側はどうするのですか鷹森殿」

「こちらは射撃から参戦しようと思います。日本国から一部だけ兵器を購入したとはいえ、慣れてないやつが多いので。三八歩兵銃で突撃します」

「分かりました、では我々は後方支援をしますね」

「ああ、頼む」

「では……エジェイ防衛作戦開始!」




原作と違いノウ将軍は親日よりにしています。変な風に感じたらごめんなさい。武器の詳細はあとで『武器・兵器紹介』で投稿すると思うのでお待ちください。

さて次の題名は
『龍の咆哮 ②』
です。いつも通り期待せずお待ちください。

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