西暦2025年12月23日
日本国長崎刑務所(仮捕虜収容所)
そこにはクワ・トイネ公国に収まりきらなかった捕虜及び暴行未遂のクワ・トイネ、クイラ軍人が収用されている。また捕虜でも素行の悪いものと暴行を行ったクワ・トイネ、クイラ軍人は大日本帝国の臨時捕虜収容所に収用されている。
「ここが当分の間、あなたが入る場所です。今まで豪遊を行ってきたあなたにはものたりないかも知れませんが、自分が収監されてわかるものもあります。衣食住ともに粗悪ですが、ここは刑務所なのでそんなことは求めないでください」
そういわれ入れられたのはハーク・ロウリア34世である。
「へ、陛下!」
そう言うのはロデニウス沖大海戦で行方不明になっていた、海将シャークンである。
「シャークンか、ちょうどよい。聞きたいことがある」
「は、はい」
「お前は日本をどう思う」
「日本をですか……」
「ああ……」
ハーク・ロウリア34世は長い間ここに収監されていたシャークンなら、何か感じるものがあると思ったのだ。
「そうですね、衣服はこんな感じで食事も不味く住み心地は確かに悪いです。ですがそれ以上に日本は親切ですね。」
「親切?」
「はい、刃物など危険物などは無理ですが本や食べ物、飲み物などは頼めます。まあ、そこまで多くはできませんけどね。それに不定期ですが、新聞なども配ってくれます。しかも丁寧にロウリア語で書かれているので読めますし、わかりやすかったです。そして、一つ分かったことがあるのです」
「それはなんだ?」
「この国『日本』は80年以上もの間、国同士の戦争も内戦も起きてないのです」
「なっ、そんなにも長い間おきないものなのか」
「自分も疑問に思い聞いてみたのですが、デモというのはおきるのですが国同士の戦争は80年していないどころか、放棄しています。そして内戦に関しては80年どころか150年近く起きていないのです」
「それはものすごく平和なのだろうな」
「はい、見ただけでも平和というのが分かります。陛下を前に言いづらいのですが、ずっと戦争を行ってきた責務から一時的にも離れてここまで楽しいことは、無かったです」
それはハーク・ロウリア34世が見たこともないほどのシャークンの笑顔だった。その時、彼は気づいたのだ。民を苦しめていたのはほかでも自分だったことを。彼の目にはいつの間にか涙が溢れていた。
「へ、陛下!申し訳ございません、ですきた真似を」
「いや、いいのだ。お主の話を聞いてやっと目が覚めた。そうか長い間、迷惑をかけてしまったな」
シャークンはどうしていいか分からず困惑しつつも、ハーク・ロウリア34世に何度も謝った。
「謝罪はもうよい、それより聞きたいことがある」
「な、なんでしょうか?」
シャークンは先ほどの様に日本のことを質問されると思い、その答えを頭のなかで考えた。
「この国は『ラヴァーナル帝国』、魔帝だと私は思うがお主はどう思う」
「えっ、日本がですが?」
「ああ」
まさかの質問に困惑しつつも彼は答えた。
「……それはありえません」
「ほう、ありえないと言いきったか」
「はい、この国はラヴァーナル帝国と全く違うことがいくつもあります」
「例えば何がある」
「まず、この国には差別主義者が少ないです。それに差別的発言は憲法というもので禁止されています。そして、決定的な違いはこの国は魔法を物語のなかでしか知りません」
「なに!?ということはまさか!」
「はい、この国の人は魔法の使い方を知りません。あくまで彼らには、空想のものでしかありません」
「ということはラヴァーナル帝国ではないのだな」
「ええ、この国は科学というものでなりたっているのです」
「科学?その辺を詳しく」
「私も本をもらってみた程度ですが……」
ハーク・ロウリア34世とシャークンの話は夜深くまで続いた。
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西暦2025年12月28日
日本国東京都千代田区『最高裁判所』午前9:00
この裁判所には中立国として日本国、大日本帝国。戦勝国としてクワ・トイネ公国、クイラ王国。敗戦国としてロウリア王国。計5ヶ国の地位の高い者が集結していた。参加予定の無かった二人も急遽参加することになった。大日本帝国国家元首『天皇(裕仁)陛下』、日本国国家象徴『天皇(和仁)陛下』の二人である。
日本国参加者
最高裁判所長官:
大法廷代表:
総理大臣:遠江 優音
防衛大臣:東栄 戦帝
外務大臣:鳳凰院 六月
第126代天皇:
大日本帝国参加者
総理(内務・陸軍)大臣:東絛 英機
海軍大臣:
外務(拓務)大臣:
第124代天皇:
クワ・トイネ公国
首相:カナタ・イルメート大公(公爵)
外務卿:リンスイ・ホルベール侯爵
軍務局将軍:ハンキ
公国海軍第2艦隊参謀:ミドリ
公国陸軍西部方面師団司令官:ノウ
クイラ王国
国王:ライドル・クイラ・ボルネック(第16代)
外交総括:メツサル・レード侯爵
総合騎士団長:ミレイユ
水軍提督:イベルト
ロウリア王国
国王:ハーク・ロウリア34世
防衛騎士団将軍:パタジン
王宮主席魔導師:ヤミレイ
海軍将:シャークン
陸軍将:ミミネル
井上が口を開く
「それではすべての国の代表者が集まりましたので、これより桑久呂戦争の討議を始める。まず始めに……」
井上の言葉を遮りハーク・ロウリア34世が手を挙げる。
「ハーク・ロウリア34世、どうかいたしましたか?」
「まず始めに言わせてもらいたい。我が国は如何なる損害賠償もすべて受けます」
これには各国が驚いたがすぐにリンスイが立ち上がり公言した。
「ふざけるな!我が国の民をいたぶり殺しておいて、何がすべての損害賠償を受けるだ!偽善者のつもりか!」
「……分かっている、虫のいい話なのは。だがこの数日この日本という国にいて自分がどれだけ愚かだったかを知った。私はクワ・トイネ公国及びクイラ王国双方だけでなく、国民にですら迷惑をかけた。いや迷惑どころではない、言葉では説明できないほどの愚行をした。これはどんな罪をどんな刑をかけられても、文句はいえない。これが今のロウリア王国の気持ちだ」
「……調子が狂うな、だがあなたの気持ちを理解した。だがらといって今までの罪が無くなるということがないことを理解しろ」
リンスイはそう言い座った。突然の公言に戸惑ったものの井上裁判長が「静粛に」と言ったためしずかになった。
「ではロウリア王国は不平等条約でも構わないということでよろしいでしょうか?」
「はい、それが今できる最大の償いですので」
「分かりました、それでは討議を続けます。まず日本国並び大日本帝国は今回の条約の仲介者であり、中立国であるためロウリア王国への損害賠償を放棄します」
この発言には双方の日本以外の国が驚いた。一番の功労者は日本であるにも関わらず、その席を降りたのだ。これにはたまらずカナタが公言する。
「ま、待ってください!この戦争に勝てたのは日本の方々のおかげなのです。それでは私たち国の面子が」
「今、大事なのはそこでない」
そう発言したのは東絛であった。
「我が国と日本国が行ったのは援軍だ。あくまで補助であり、条約に介入する権利はない」
「で、ですが」
「戦争を始めたのはあくまであなた方『三ヶ国』である。我が国は頼まれただけだ。そこを忘れるな」
「わ、分かりました。ですが、援軍のお礼は致します。そこは譲れません」
「いらないといっているのだかな……」
「東絛、彼らは国を背負ってきている者だ。わがままくらい聞いてあげなさい」
「へ、陛下!分かりました、カナタ首相。援軍のお礼だけもらいましょう。日本国もそれでよろしいでしょうか?」
「どうしますか陛下?」
「戦後処理は彼らに任せておけば間違いない。我が国は平和ボケしているため、分からないのでな」
「分かりました、日本国も大日本帝国と同じく増援部隊のお礼だけで十分です」
双方の日本以外の国は驚いた、あれだけ強気に出ていた東絛首相をあんなにもあっさりと納得させたことに。
「それでは討議を続けます。まずロウリア王国の処遇についでですが……」
2時間後……
「では討議の結果、以下の内容で条約締結でよろしいでしょうか?」
条約内容
第一条:ロウリア王国は旧支配地域の今後の独立を認める。
第二条:ロウリア軍、クワ・トイネ軍、クイラ軍、大日本帝国軍、日本国自衛隊は、国境越えをしている部隊を全面撤退。
第三条:ロウリア王国はクワ・トイネ公国及びクイラ王国に対し、賠償金金貨4億枚ずつ払う(分割可)。
第四条:大日本帝国、日本国、クワ・トイネ公国、クイラ王国にいるロウリア人捕虜を返還し、虐待もしくは処刑してはいけない。またロウリア王国も同じくクワ・トイネ人捕虜、クイラ人捕虜を返還し、虐待もしくは処刑してはならない。各軍に協力した者たちにいかなる処刑もしてはいけないし、させてはいけない。
第五条:大日本帝国は各国の軍事面を、日本国は各国のインフラ面を強化する。またそれにおける従事者に各国も協力し、自国の発展を促す。
第六条:今後のロデニウス大陸における戦闘行為を永久に禁止する。ただし、訓練や賊の逮捕などはここに含まれない。
第七条:クワ・トイネ公国、クイラ王国、ロウリア王国の三ヶ国は相互協力をし政治・経済の発展を促す。
第八条:人種、種族、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別してはならない。ただし、体の造りによっては区別する。
第九条:以上の内容に沿って、各国は国交改善・樹立を継続する。
誰かは分からないが拍手をしたため、それに呼応して全員が拍手した。
「賛成多数と認め、ここに条約締結を承認します。調印者『大日本帝国首相 東絛 英機』、『日本国首相 遠江 優音』、『クワ・トイネ公国首相 カナタ・イルメート公爵』、『クイラ王国国王 ライドル・クイラ・ボルネック』、『ロウリア王国国王 ハーク・ロウリア34世』、今後の国交改善向上を再確認しもう一度拍手をお願いします」
先程よりもより一層大きな拍手がされた。そして、井上の「解散」の言葉で全員、席を立って各場所へ戻った。本来であればハーク・ロウリア34世はあと数年、収監される予定だったが嘘発見器などでの検査の結果『更正の余地あり』ということで、ロデニウス大陸を発展させるという名目で仮釈放された。3年間の仮釈放で問題がなければ、そのまま釈放することになった。またロウリア王国は日本と同じ『立憲君主制』を採用し、政治は国民に任せることが決定した。ただし、重要案件は国王が確認するのは変わらない。
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『桑久呂戦争』
・年月日:中央歴1639年4月12日~中央歴1639年5月19日(条約締結日は5月27日)
・場所:ロデニウス大陸及びその近域
・結果:クワ・トイネ公国、クイラ王国の勝利。国王逮捕によるロウリア王国の敗北。
・交戦戦力:クワ・トイネ公国 | ロウリア王国
クイラ王国
大日本帝国
日本国
・損害:軍人 約4,000人 |軍人 約400,000人
捕虜 約1,000人 |捕虜 約40,000人
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パーパルディア皇国支配領海
「ちっ、あと少しで亜人共を皆殺しにできると思ってたのに、邪魔が入った。仕方ない、今度はこの国で亜人共……いやロデニウス大陸の奴らを全員、皆殺しにするか」
暗闇の海の中に気味の悪い声が響いた。
ハーク・ロウリア34世より自分はアデムの方が亜人を嫌ってると思います。まあ、そんなことはおいときますか。それと来週からまたリアルが忙しくなるので、1ヶ月一つでストックを作成しときます。多くなったら、1ヶ月二つ投稿するかも。
さて、次の題名は
『各国の思惑』
です。いつも通り期待せずにお待ちください。