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各国の思惑
グラ・バルカス帝国(通称第8帝国)情報局
ピーピピーピーピーピピーピー
並べられた電気式受信機に、無機質な電子音が連続して鳴り響く。現代の者が聞けば信号形式は違えど、モールス信号と聞き間違うだろう。
「閣下、ロデニウス大陸に派遣していたスパイから報告があったのですが……」
質素ではあるが、スッキリとした黒い制服の男が報告を始める。
「む、どうした。顔にシワなんか寄せて」
「実はロデニウス大陸における戦争はロウリア王国の敗北、クワ・トイネ公国、クイラ王国の勝利で終戦しました」
「ロウリア王国の圧勝で終わると思っていたのだがな、戦力分析を見誤ったか……」
「いえ、それは無いと思われます」
戦力分析を見誤ったと言ったことを完全否定されたことに、少し頭にきた彼は少し強気に声を発した。
「ほう、私の意見に歯向かうとは余程のことなのだろうな」
「えっとですね、ロデニウス大陸の戦争に第三者が関わっていたのです」
「第三者だと?」
「はい」
それは全く予想だにしなかった出来事だった。
「ロデニウス沖での海戦にて回転砲塔を使用した船が多数確認されています。その中でも一際目を引いたのは戦艦と空母の2隻の様です。戦艦はベ・テルギス級戦艦の前級として建造
「何!?戦艦はともかく空母は我が国より大きいだと?」
「はい」
閣下と呼ばれる彼はあることを考えた。
(まだ少数派だが、航空主兵論を唱えるものたちがいる。もしかすると、大艦巨砲主義ではなくそちらが発達した国なのか)
「閣下?」
「ああ、すまない。他に気になる情報はあるか?」
「えっとですね、対空能力はとても強いというのとその国も転移国家だというのが分かっています」
「我が国と同じ転移国家か……、引き続き調査を命じておけ」
調査続行の命令を出すと彼は一息ついてこう言った。
「レイフォルとの国交はどうなっているんだ?」
「はい、外務局によれば最初こそ険悪でしたが少しずつ緩和している様です。なので、速急に宣戦布告宣言を取り消しているようです」
「まあ、敵対国家を増やしたところで意味がないからな。相手がまだ頭のいい国家で良かった」
「ええ、以前のパカンダ王国とかいう国は大変失礼でしたからね。そういえば、それに対する謝罪としてレイフォルが貿易における関税免除などを出しています」
「ふむ、レイフォル……いやこの世界の特産物が少しでも入ってきたら、元の世界との違いがよく分かるな」
そう言って閣下と呼ばれた人物は報告をしてきた人物を下げた。
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ムー王国 軍事会議
今回の会議には軍の幹部のみならず、技術士官のマイラスやロウリア王国に派遣されていたイタリーンなども混ざっていた。
「それではロデニウスにおける戦争の軍事報告をしてもらおう。イタリーン!」
「はっ!」
イタリーンは返事をしたあと、写真を出した。白黒の写真で現在の人たちが見れば、昔のものだと思うがムー王国では一番最新のものだ。イタリーンは写真一枚一枚を指差し、説明をした。
「まずはこちらの写真です。すべての軍艦の中でも一番艦橋が高く戦艦だと思われます。ですが、我が国で就役したラ・カサミ級と違う点が複数見受けられました」
「違う点とは何だ?」
「はい、まず艦橋なのですが前と後ろの二つに分かれている我が国とは違い前方に一ヶ所だけ置かれています」
「なっ、それでは索敵は疎かになるぞ!」
「いえよく見てください。艦橋自体は複雑に適当に組み合わせて乗っけた様になっていますが、これだけ高ければ前後二つに分ける必要が見当たりません」
「言われてみれば……」
さらにイタリーンの話は続く。
「そして主砲に関してですが神聖ミリシアル帝国の魔導戦艦に匹敵すると思われます」
「何、我が国よりも確実に大きいと?」
「はい、少なくとも35cmはあると思いますが遠くから撮影したため、正確には分かりませんでした」
「ふむ、他には何がある」
「主砲の数ですが連装砲が六基確認できました。その他にも副砲や機銃が多数ありました」
「連装砲六基……、考えただけでも恐ろしい」
「戦艦に関しては以上で次は空母になります」
航空母艦(略称:空母)は我が国と神聖ミリシアル帝国しか持っていない(正確にいえば神聖ミリシアル帝国は航空魔導母艦《略称:魔導空母》のため少し違うが)。他の国では竜騎母艦(通称:竜母)が主流であり、それ以外の国で空母を使っているという噂は聞いたことない。
「実は先程の戦艦の近くで航行していたのですが、先程の戦艦よりも遥かに大きな船体をしていました」
「何?」
「我が国でも確かにラ・カサミ級戦艦よりもラ・ヴァニア級航空母艦の方が60mも全長が大きいですが、こちらに関しては少なくとも100m以上の違いがあります」
「100m……」
「ラ・カサミ級の前級であるラ・ジーフが約114mですのでそれくらいの差があると思ってください」
会議室に静寂が訪れる。戦艦と空母の全長の違いが異常だったのだ。
「そして、この国の主力の航空機を撮影したものがこの二枚になります」
「なっ、これは!」
その二枚の写真には決定的な違いがあった。一枚の写真にはプロペラのない単葉機、もう一枚にはまだ妄想段階の回転翼機だったのだ。
「プロペラのない航空機となると神聖ミシリアル帝国のような天の浮舟なのか?」
「いえ、魔法らしきものは感知されなかったので、機械でしょう。おそらく我々が考え付かないエンジンを使っていると思われます」
「なるほど、単葉機の方はよく分かった。問題はこの回転翼機だ、32回に及ぶ実験をしてもなお、飛行が成功していないのだぞ」
「ええ、私もこれを見たときは驚きました。それに上昇力も高く飛行速度もそれなりにあります」
「その技術見習いたい」
技術士官であるマイラスがそう呟く。彼が言うのだから高度な技術だということがわかる。
「今までのモノは国力の発展や技術の進歩でどうとでもなります。一番問題にはこの二つです」
その二つの写真には見たことないモノが写っていた、一枚目には空を飛んでいく筒状のモノ、二枚目には海中を進む謎の白い線。
「この二つは何なのだ?」
「それが分かれば苦労はしません、我が国では少なくとも考案されたことがないものです」
「マイラスはどう思う?」
「……私も設計や技術士官として他国に派遣されることがありますが、見たことがありません。おそらくこの国しか持たない兵器なのだと思います」
その後も引き続き軍事会議は続いた。最終的にあちら側から接触してこない限り動けないのが、かなりの痛手であった。
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パーパルディア皇国 第3外務局
局長であるカイオスはため息をついていた。
「どうされたのですか、局長?」
「ロウリアの野郎があれだけ支援したにも関わらず負けやがった」
「!?」
「第三者がよくわからん以上、これ以上動けない」
「そうなのですか……」
「ああ、それとフェン王国に出してた領土借用を5年延期するように伝えろ。蛮族相手に出せる皇国監査軍を強化する、皇帝陛下には私から通しておく」
「了解しました」
パーパルディア皇国は正規軍から監査軍に至るすべての軍隊を更なる高みを求め強化をし始めた。すべてを支配するため、新たな覇王になるため、後戻りすることは許されない……
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神聖ミリシアル帝国 帝国情報局
第一文明圏に属し、また列強の中で一番主導権があるのが神聖ミリシアル帝国だ。今、この国の情報局であることが話題になっていた。内容は第三文明圏外の戦争だ。通常であれば『またか』で、すぐに無かったことにされるのだが今回は違った。
「第三文明圏外で
「あくまで噂程度ですが情報はあります」
「ムーの艦船ではないのか?」
「目撃されたという艦船にはムーの旗とは違うものが、掲げられていたようです。また、ムーにも確認しましたがロウリア王国に観戦武官は派遣したが艦船は派遣してないとの言質をとっています」
「第二文明圏の第八帝国といい、何が起きているのだ……」
彼は虚空の彼方を見上げ、再び呟いた。
「魔帝でも復活するのだろうか……」
この日すべての歴史が狂い始めたのは、誰も分からないし誰も知ることはない………
グラ・バルカス帝国は覇権国家にしませんでした。どこの小説でも悪役な立場が多かったので、違いをいれたかったんです。
さて、次の題名は
『閑話 二つの日本の国家時勢』
です。いつも通り期待せずお待ちください。
一部の文を削除し、新たな文を挿入いたしました。理由と致しましてはリアルを持ち込んでいたから、となります。ご指摘くださった方、感謝致します。