二つの日本召喚   作:死滅殺鬼

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みなさん、お久しぶりです。政府の対応が遅く、再び緊急事態宣言が発令されましたね。みなさんも体に気をつけてください。では、どうぞ。


軍祭という軍事披露の準備

中央暦1644年9月15日

 

 日本共同大使館

 

「「軍祭?」」

「はい、フェン王国という国が主催の5年に一回の軍によるお祭りです」

「軍によるお祭り……、観艦式や総合火力演習みたいなものか?」

「ですかね、それ以外だとジョージ6世戴冠記念観艦式を思い出します」

 

 田中と栗林がそう話し合う、田中は変動なく大使館を任されいる。栗林も駐在武官なのは変わらないが第6軍の司令官も兼任している。

 

「あの話の続きをいいですか?」

「すみません」

「すまない」

「では、軍祭についての説明をさせていただきます。軍祭は……」

 

 以下の内容が軍祭についての説明である。

・その一:軍祭はフェン王国主催のもと、5年に一回開かれる。

・その二:軍祭は第三文明圏外のみ参加しており、文明圏では過去にムーが来たが辞退したという。

・その三:今回新生ロデニウス連合王国の近くだったということもあり、日本国、大日本帝国も招待された。なおもう一ヶ国別で招待されている。

・その四:軍の派遣については陸、海、空のそれぞれの最高戦力を派遣してもらいたい。ただし、過剰戦力と思う場合はそちらで検討してもらいたい。

・その五:新生ロデニウス連合王国、大日本帝国、日本国の三ヶ国で合わせて派遣してもらいたい。

・その六:新生ロデニウス連合王国、大日本帝国、日本国は此度の軍祭で国交を結びたいと思っている。前向きに検討をお願いする。

 

 大日本帝国と日本国としてはとても良い案件ではあるが問題もあった。

 

「すまないが我々はフェン王国をまず知らない。どのような国なのかを教えていただきたい」

「それとどれくらいの戦力が過剰戦力にあたるのか分かる資料などはあるか?」

「フェン王国についてまず説明します。フェン王国は他の国と違い貴族が存在しません。また騎士の代わりに武士もしくは侍と呼ばれる戦闘集団が国家を支えており、最高指導者を剣王と言います。ここまでで質問はありますか?」

「栗林さん聞きました!?武士ですって!?」

「田中さん、そんな大声で言わなくても聞こえますよ。しかし武士ですか、親近感が湧きますね」

「お二人とも武士について知っているんですか?」

 

 ロ新生ロデニウス連合王国の外交官『リードック』は疑問に思った。なんで別世界から来たという双方の日本が、武士という異形の存在を知っているのか理解できなかった。

 

「えっと、栗林さんの方がまだ良く知ってますよね?」

「俺が産まれた時にはもう廃止されていたが、知り合いにはまだいたからな」

「?話が見えてこないのですが」

「おっとすまない、実は大日本帝国にとっては今から約75年以上前、日本国にとっては約140年以上前まで武士の時代だったのだ」

「えっ、どういうことですか!?」

 

 リードックは驚いた。武士を知ってるのではなく、彼らが武士の子孫だったことに。別世界でも騎士だと思っていたが日本は武士、やはり他の国とは誤差がある。

 

「その話はあとでしましょう、他にフェン王国について知っていることはありますか」

「あっ、はい。えっとフェン王国は武士というだけでも変わっているのですが、魔法を持ちません。理由については謎ですが……」

「ふむ、魔法がないと言うことは剣……いや刀一筋というところか。海軍……いや水軍が存在するのでは?」

「よく分かりましたね。ええ、水軍が存在します。切り込み船で以前我が国でも使用していた船と同類です」

「なるほど、ありがとうございます。派遣する艦隊の目処を本国へ伝えておきます。三ヶ国共同派遣艦隊ですが、大日3、日3、露2で行きましょう。派遣する艦艇の種類はそちらで決めていただけますか?」

「分かりました、政府の方に要請しておきます」

 

 その後も話は続けられた、軍祭とは別に貿易についてなど様々ではあるが、ここでは省略する。

 

──────────────────────────

大日本帝国 軍命省

 

 陸軍と海軍、空軍が集まって話をしていた。

 

「陸軍からは一個師団を出すつもりである。一応、千葉方面の師団のなかから抜粋しているから、明日までには編成可能だ」

「海軍からは重巡洋艦2隻と軽巡洋艦1隻を出すつもりです。戦艦や空母、潜水艦なども出そうと思いましたが、戦艦は過剰戦力、潜水艦は存在しないので」

「空母は何故だ?」

「日本国の方で揚陸護衛艦、見た目は空母にしか見えない艦艇を派遣するらしいので」

「了解した、空軍はどうだ?」

「空軍は新設された展示飛行部隊『レッドインパルス』を出すつもりです。日本国側も『ブルーインパルス』を出すとのことなので」

「それ、大丈夫なのか。国内でもまだ数回しか展示飛行してないだろう?」

「一応、日本国に操縦士だけ派遣させて合同練習させています。同じ民族……いや同じ国民です、心配はないでしょう」

 

 その言葉に海軍の重臣が怪訝な顔をする。

 

「おい、日本国を同じ国民だと思わない方がいい。若い連中や高齢者、自衛隊以外はな。特にマスコミは酷かったぞ」

「そうらしいな、俺は空軍になる前海軍のパイロットだったから知り合いから聞いた。それで乱闘が起きたのだろう、一体何が国民性を変えてしまったのだ。自衛隊が志願制なのは問題ない、だが愛国心が驚くほど酷い。先祖を敬わず、ただ戦犯や戦争被害者と位置づける」

「我々だって戦争などしたくなかった。だが中国との戦争の長期化と復興費用、食糧や資源の減少して存続危機の時に貿易なんて禁止されたら飢えてしまう。飢えだけではない、失業者も大量にでる。事実、何千万人が貿易禁止によって資源調達ができず失業したことか……」

「その話はあとにしよう、今はいい国家たちに恵まれているのだ。日本国、そして新生ロデニウス連合王国、まだ二ヶ国だけだが我々と肩を並べ励まし合える仲間だ」

「さて、陸海空それぞれの派遣する部隊は決まっているのだな」

「ああ」

「ええ」

「よし、とりあえずこの会議はここで終了だ。続いて別の議題に移る。内容は……」

 

 大日本帝国軍は以前と違いとても仲が良いように見える。相互理解と協力が取れる軍隊は、他国に勝るとも言えよう。

 

──────────────────────────

日本国 防衛省

 

 総理大臣、防衛大臣、防衛省関係者、自衛隊各幕僚長が集まっていた。

 

「今回はフェン王国の軍祭に派遣する部隊を決めてもらうため、集まってもらった」

「すいません、質問いいですか?」

「どうした?」

「軍祭ってなんですか?」

 

 遠江総理は軽く考える素振りを見せたあと、こういった。

 

「今でいう富士総合火力演習や航空祭、観艦式をひとつにまとめた軍の見せあいと言えばいいかな」

「なるほど、そういうことですか。なるべく最高戦力でしたよね、そうなると陸自からは第一空挺団か水陸両用機動団、もしくはレンジャーと普通科連隊の組み合わせの三つですかね」

「確か聞いた話だと陸自はあくまでデモンストレーション、武器の見せあい位だと言ってました」

「ならレンジャーと普通科連隊の組み合わせ……、いや普通科連隊のみで大丈夫かな。一応米人部隊からのお墨付きですし」

「そういえば今回、米人部隊はどうするんだ?」

 

 自衛隊各幕僚長は総理大臣と防衛大臣の方を見た。

 

「それは私が説明する。米人部隊は2個小隊を陸自から出すつもりだ。海自と空自からは出していない、海自だとイージスシステムが少し違うし、空自も使用機種や運動性能が異なる」

「分かりました、では海自の編成を説明します。今回、3隻という限定でしたので、選ぶのに苦労しましたが揚陸護衛艦1隻とイージス艦2隻に絞りました」

「空自はブルーインパルスを派遣するつもりです、すでに大日本帝国のレッドインパルスと共同練習を週5でやっています」

「士気の方は大丈夫か?」

「みんなすごいやる気になっていて、心配はないですよ」

「あと、海自から別枠でもう一隻、その護衛として海保から二隻出したいのですが、いいでしょうか?」

「なぜ?」

 

 海自の幕僚長はその辻を話した。

 

「なるほどそういうことか。了解した。では、それについての対処を考えよう」

 

 その後も会議は続けられた、もし軍祭中に何者かの(・・・・)攻撃を(・・・)受けた際の(・・・・・)対処(・・)などだ。

 

──────────────────────────

新生ロデニウス連合王国 会議室

 

 会議室には大統領、陸・海・空の各大臣が集まっていた。

 

「さて派遣する部隊だがどうするか……」

「陸軍と空軍は出さないことで決定しました。大日本帝国と日本国に比べると我が国はまだまだ小童なので」

「ふむ、了解した。海軍はどうするのだ」

「2隻という制限でしたが戦艦を出そうと思います。大日本帝国の戦艦に比べるとお粗末ですが、文明圏外ではかなりの大きさになるので」

「なるほど、どの級を出すのだ」

「出そうと思っているのは………」

 

 その後も会議は続けられた。この後三ヶ国の代表が集まり再度編成の確認を行い、日程などを取り留めた。




さてさて、遂に軍祭に近づいて参りました。どんな感じになるのでしょうね。それは次回以降のお楽しみですが。

さて次回の題名は
『一風違う軍祭(グラ・バルカス帝国)』
です。いつも通り期待せずお待ちください。

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