シンジ君だって思春期なんだ!   作:虫野律

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最近執筆意欲が低下してたけど少し復活してきたから、ばーっと書いてみた。作者的にはまともなラブコメ書こうとしたらこの話ができた。


シンジ「今日から本気出す」

 

 チルドレン、碇シンジ(14)の朝は早い。

 時刻はAM6時30分、アナログタイプの電波時計が神経質なアラーム音を鳴らすも、すぐに止められてしまう。

 

(……起きるか。ご飯と弁当作らなきゃ)

 

 もそもそと着替えて活動を開始する。

 

 昨日の残りの肉じゃがを使いつつ、手早く朝食の準備を進める。

 チラリと時計に目をやる。時計の針は7時を回ったところだ。

 

(アスカ起きてこないな)

 

 そろそろ起きないと余裕がなくなってしまう。すると当然の様にアスカの機嫌は悪くなり、世の真理が認めていると言わんばかりの態度でシンジに八つ当たりが炸裂する。

 それは避けたい。

 

 というわけで、シンジはアスカの部屋の前までやって来た。

 わりとゲスい顔をしている。

 

(さて、ちょっと後々の為にも試してみようかな)

 

 この変態、今度は何をやらかす気だろうか?

 

 ガチャリ。

 

 この男、声を掛けることもノックもせずにいきなり扉を開けやがった。

 変態ドMヤンデレ暴力高飛車こそ泥女でも、一応はうら若き中学生。普通はもっと配慮すべきじゃなかろうか。

 

 アスカの部屋は比較的片付いている。

 テーブルの上に置かれたスタンドミラーと床に投げ出されたヘアアイロンがいかにも年頃の女の子ぽい。

 当の本人はベッドでスヤスヤと眠っている。実に穏やかな寝顔だ。

 というか、ちょっと信じられないことに○イヴとかディ○ドーとか縄とかは一応見当たらない。

 

 一通り部屋を見回す。

 ここで、ふとシンジの視線がベッドの横にある小さなタンスに固定される。

 

(なんか怪しいな)

 

 さて、皆さんは女子がそういった玩具を収納する場所としてどこが多いかご存知だろうか?

 

 答えは、ベッドの周り。

 

 バレやすいのは分かっているが使いがっての良さから、この結論に至ってしまうことが多いようだ。……勿論、根拠はない。

 

 アスカの場合はと言うと……。

 シンジが件のタンスに手を掛けるが……。

 

(開かない)

 

 タンスには鍵が掛かっているようだ。いよいよもって怪しい。てか、もう黒だろこれ。

 

 いや、それよりも人の部屋を部屋の主が寝ている間に物色するとは、シンジもエロい方向以外にも随分と素直になったものだ。クズそのものである。

 

「ん……」

 

(!)

 

 一応記述しておくが、別に喘いでいるわけではない。ぶっちゃけエロい声ではあるが、寝言に満たないただの声のようなものだ。バールのようなもの、の親戚のようなものだ。

 

「……」

 

 真剣な面持ちの変態。……いやな予感しかしない。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(よし、()れよう)

 

 そんなこったろうと思ったよ! 素直になり過ぎや。睡眠姦とか誰得だよ!?

 

 アスカの○っぱいで4545してた純粋なシンジ君はどこに行ってしまったのか。

 

(そう言えば、昨日はヌいてなかったな。だからアスカがいつもより可愛くみえるのか。納得だよ)

 

 ダメだ。発想が完全に性欲中心だ。

 

 男子諸君はこういう風に思っても彼女とかに、そのまま言ったらダメだからね。

 

 閑話休題。

 

 シンジが時計をチラリと見やる。一応時間を気にする理性は残っているようだ。

 時刻は7時15分前。あまりゆっくりしてると学校に遅刻だ。

 

(まぁ、生ならそんな時間掛かんないっしょ。おけおけ)

 

 これは酷い。冷静に、気持ちよく出すことしか考えていない。年齢的にも、環境的にも生でヤるのはリスクが高いと言うのに、全く躊躇う様子がない。

 

 シンジの魔手がアスカが被っているタオルケットをゆっくりと剥ぎ取る。僅かにアスカが身動ぎするが、目を覚ます気配はない。

 アスカが身に付けているのは、白いTシャツ(ノーブラ)と黒のショーツのみ。

 暑いから気持ちは分かるが、将来のことを考えるならブラジャーはした方がいい。周りより早く形が崩れてもいいのだろうか。てか、中学生で黒ですか、そうですか。

 

 シンジはアスカの全身を一通り観察し、しかる後(?)に胸をガン見して鷹揚に頷く。

 

(ふむ。少し成長したか?)

 

 いかにも真面目な議題について深慮してる風だが、やってることは○イオツ評定委員会(?)である。思春期男子あるあるであるある。

 

 流れるような所作でアスカのぱい○つを揉み込む。ついでに○首もなんとはなしに弄る。おっ○いを揉む=無意識に○首も弄るは、本日のあるあるその二だ。

 それにしても起こさないように通常時(?)より力を入れないあたり、やはり冷静である。

 

(うむ、よきよき)

 

 またチラリと時計を見る。チックタックと秒針が時を刻む。

 ゆっくりしていては遅刻だ。ご飯も冷えきってしまう。

 

──時間との戦い。

 

 碇シンジは残酷な時の流れに抗っているのだ!

 

(時間ないし、さっさと中出ししよっと)

 

 時の反逆者たるシンジはついに本丸へと攻めいる。つまりは、アスカの黒がtaking fly。

 

(ん?)

 

 ○探偵コナンのように「妙だな」的な顔をする。客観的に見て、睡眠レイプ中にその顔をしていることこそが「あれれぇ↑、おかしいなぁ?」である。

 

(なんか濡れてないか?)

 

 ちょっと生々しい感じにエロいことを考えるのは止めていただきたい。前も述べたがKENNZENなラブコメなのだ。KENNZENったら、KENNZENなのだ。

 

(さっきもフツー過ぎてよく考えずにスルーしちゃったけど、○首もなんか固くなってきてたような……?)

 

 寝てるにしては反応が良すぎる。非常に怪しい。

 視線を○っぱいへと移し、少し観察してから、またウェットスポットへと戻す。

 

 シンジは疑問を解消するために、仕方なくチェックしてみることにした。あくまでも仕方なくである。

 

 ここで、ペロッ青酸カリだな、はしないみたいだ。別にシンジには舐めるのが好きな癖はないらしい。つまり○探偵コナンは○ンニフェチだった……?

 

(やっぱそこそこ濡れてる。よく見ると肌もすこーしだけ赤みがかってる気がする)

 

 つまり、どういうことだってばよ?

 

「……」

 

 アスカの顔を凝視する。

 

 アスカもなんか気まずそうだ。

 

(絶対起きてるよ、これ)

 

【悲報】ただの和姦だった件【クソが】

 

(潤滑ゼリーも用意したのに完全に失敗したなぁ)

 

 中学生のわりに随分と準備がいい。大人でもそういった配慮ができない人がいるのにそこはできるんすね。なお、用途は睡眠レイプである。

 

(まぁ、最後まで起こさずにヤりきれるとは思ってなかったけど、せめて挿れてから起きて欲しかったよ)

 

 シンジの中でやる気が急速に萎んでいく。シンジのシンジ君もシンジ君っぽくなっている(?)。シンジ的に愉快なシチュエーションではなくなったのだ。

 起きたら挿れられてたって時の顔が見たかったらしく、興が削がれてしまったようだ。

 

「あ……」

 

 ここで狸寝入りがバレたと諦めたアスカ選手が口を開く。ちなみに股も少し開いている。

 

「あんたばかぁ!?」

 

 名言いただきました。睡眠レイプだし、そらそのセリフも出るわな。

 

「や、ヤるならちゃんと縛ってからヤりなさいよ!!」

 

 えぇ……。

 色々ツッコミどころ満載だが、顔を真っ赤にして、つっかかりながら言ってるところを見るに照れているらしい。というか、ヤりたいって素直に言えないだけなのでは?

 もしそうなら、そこだけ見れば普通(?)っちゃ普通(???)かもしれないけど、狸寝入りしつつワックワクで挿れられるの待ってたクセに、今さら恥じらっても遅過ぎる。

 アスカの恥じらいのポイントは謎である。

 

「朝からそんな面倒なのヤだよ」

 

 塩対応の極みである。シンジもシンジでツッコミどころ満載である。

 

「誰がめんどくさい女よ!?」

 

 そこまでは言ってない。被害妄想気質なとこは実にアスカらしい。てか、アスカも自分がめんどくさいやつって自覚はあったんだな。

 

 無言でアスカを指差すシンジ。凄く憎たらしい顔をしている。

 

「ムカつくぅ! バカシンジのクセになんなの!?」

 

(あ、いいこと閃いた)

 

 今度は何をやらかすんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめん……」

 

 急にしゅんとして、前のシンジがよくしてたように俯きながら言葉を発する。

 

 いや、なんだこれ。違和感が凄すぎてビビる。

 

「え……?」

 

 アスカもビックリしてらっしゃる。盛ったり恥ずかしがったり怒ったりビックリしたり、ジェットコースターみたいな女である。

 

「嫌だったよね……。……これからはもうアスカには触れないし、変なことは絶対にしないよ……」

 

「は?」

 

「ごめんね、今までありがとう……」

 

 なんか別れ話の時みたいなセリフである。いきなり過ぎてシュールなのだが、アスカの様子が……?

 

 アスカの心臓が急激にテンポをあげる。息がくるしくなり、頭の中がごちゃごちゃとしていく。

 

「あんたばかぁ!?」

 

 本日2度目の名言いただきました。オワコンとの謗りを物ともしないキレの良さや。猛虎魂を感じる。

 てか、いきなり会話の流れを無視するシンジの言動には、アホちゃうか? て思うのもやむ無しである。

 しかし、今のアスカはそんなユルい精神状態を維持できていない。

 

「……じゃあ僕は戻るから」

 

 部屋から出ようとドアに歩き出すシンジ。

 

 アスカは身体の芯を氷柱で掻き回されたかのような錯覚を覚える。苦しい。

 

「ちょっと待ちなさいよ!」

 

(かかった!)

 

 ……どうやら、これはシンジの駆け引き(笑)の一環らしい。引いて釣り上げよう的なサムシングだ。

 

「……何」

 

「私に飽きたってどういうことよ!?」

 

 だから、そんなことは誰も言ってない。

 アスカも普段は、感情的でありながらも冷静な視点を併せ持つ優秀な人間だが、依存度の高い人を失いそうになった時には幼児並みに劣化してしまう。というより、色んな感情が一気に錯綜して思考が纏まらなくなるのだ。

 結果、アスカの中にこびりついた強すぎる孤独感と歪んだ劣等感が、その強さ故に感情で出来た激流の中でも頼りになる、分かりやすい指針としてアスカを動かす。

 要するに、1人ぼっちになったトラウマを刺激すると、頭の悪い超寂しがりの卑屈女になる。ヤリモク男からすると、顔もいいし絶好のカモである。

 

「……」

 

 無情にもシンジはアスカを無視。正解は沈黙と言わんばかりの無言っぷり。

 

「なんとか言いなさいよ!」

 

「……じゃあね」

 

 うわぁ。別れ話で女に泣かれようと全く情に流されない男そのものの発言である。

 

 ハンマーで頭を殴られたような衝撃がアスカを襲う。

 

 たまらずシンジの腕を掴むアスカ。

 

「痛いよ」

 

 ひぇ。冷たい。冷たすぎる。

 ……別に、ひぇ、と冷えを掛けたわけではない。

 そんなことより、シンジがシンジさん(?)になってる。これは断罪系シンジ君へのキャラ換えもいけそうだ。やったぜ(?)。

 

「離してよ」

 

「……なんでなの」

 

 シンジを掴む手にも力が入る。

 

「……なんで皆、私の側に居てくれないの」

 

 せやろか? それはアスカ視点での思い込みもコミコミの結論や。

 目尻に涙を溜めながらすがり付くアスカを見るに、マジでトラウマ持ちメンヘラちゃんの本領発揮してらっしゃる。なお、軍で正式に訓練を積んだアスカの握力は、同年代女子の平均を凌駕するため、強く握られているシンジは普通に痛い。

 

 ここでシンジ選手、またしても時計をチラ見。

 結構な痛みを感じてるはずなのに冷静に時間をチェックとか、相変わらず凄い精神力である。

 

(そろそろ仕上げにしよっと)

 

「ねぇ! なんとか言」

 

 おっとシンジ選手、少女漫画のイケメンよろしくアスカ選手を抱きしめるぅ!

 ここに来て試合の流れを変えにきたぁ!

 

「ごめんごめん、アスカがかわいいからちょっと意地悪しちゃったんだ」

 

「え」

 

 え。

 アスカの中に熱が生まれ、氷柱が一気に溶けていく。

 

「僕はずっと側に居るよ。ずーっと」

 

「……」

 

「……愛してる」

 

 うわぁ。このシンジが言うとシンプルにキモイ。

 しかし、正常に思考できないようにトラウマを刺激されたアスカ選手には、こんなコントみたいな流れでも効果はばつぐんだ!

 ちなみにこんな甘ったるいことを言うのは初である。アスカも面と向かって恋愛的な意味で愛してると言われるのは生まれて初めてである。

 

 みるみるうちに茹でダコになるアスカ。

 さっきまでトラウマのフラッシュバックで死にかけだったのに、もうほぼイキかけてる豹変ぶり。めちゃくちゃ情緒不安定である。

 

 そんなことより、KENNZENとは言ったけど少女漫画ではない。あくまで○らぶるリスペクト(ギリギリを攻める的な意味で)なのにこの子たちは何を考えているのか。立場を弁えて欲しいものだ。

 

 消え入りそうな声でアスカが言葉を絞り出す。

 

「……もう一回言って」

 

 アスカの中には愛されることを信じきれないアスカもいる。不安なのだ。だから、何度でも言ってほしい。何度でも抱いてほしい。

 

 ぎゅっとアスカを抱きしめる力を少しだけ強める。

 

「ん……」

 

 アスカの口から声に成りきれなかった吐息が漏れる。

 ……コラコラKENNZEN言うてるやん。ガチでおっぱじめる空気を作るんじゃない。このままじゃ、朝チュンどころか朝クチュやん。 

 

 数秒間そのまま互いの熱を混ぜ合い、そして、ばっとアスカを放し、いたずらっ子みたいに笑う。

 

「なんちゃって。嘘だよ」

 

 いい笑顔である。

 

 信じてたで! シンジならまともなおせっせっなんてしないに決まってるよな! (手のひらトリプルアクセル)

 

「……」

 

「www」

 

「……」

 

 アスカの顔が恋する乙女から阿修羅へとトランスフォームしていくぅ! アスカと阿修羅(アシュラ)、母音が完全に一致している為、妙な親和性がある。

 

「……」

 

 アスカが無言で重心を徒手空拳用のそれへと移行させる。

 シンジもヤバいとすぐに察する。

 

「ちょっと待っておちつ」

 

 しかし、シンジが言いきる前に体重の乗ったおもーい一撃が鳩尾にクリーンヒット!

 

 K・O!

 

 終始試合を優勢に進めていたシンジ選手ですが、裏コード「レベルを上げて物理で殴れ」を実行され、敢えなく撃沈!

 

 ただ残念なのは、見事なフォームからの理想的な一撃なのに、ノーパンでアスカのアスカちゃんモロ出しだから非常にカッコ悪いことである。しかもアスカちゃん涎(?)垂らしそうだし。

 

 

 

♡♡♡♡

 

 

 あの後、ニヨニヨと気持ち悪いミサトさんにドン引きしながら朝食を済ませたシンジは、何事もなかったかのように登校している。

 男の価値は回復力(意味深)で決まるとは、シンジの言である。

 ちなみにアスカはネルフに用があるので、明日までそっちに行っている。

 分かれ際に何か物欲しそうな顔をアスカがしていたので、シンジはペットにするように顎を撫でておいた。犬っぽかったからしょうがないね。

 

 シンジの昨日立案したアスカ調教計画(笑)ではまず初期段階では優しく、かつアスカの不安を少なくする(不安を完全にゼロにしないのがポイントだぞ☆)立ち回りをする。

 第2段階ではアスカがシンジの役に勃つことをした時以外の場合に、かなり冷たくしてアスカの孤独感や不安感を煽るパターンを徐々に増やしていく。

 最終段階ではより極端にする。つまり、シンジにとって都合の良いことをした時には、自分の快楽そっちのけで優しくして、アスカのして欲しそうなことをして、言って欲しそうなことを言ってやるが、アスカが特に役に勃ってない時はエロいこともしないし、優しい言葉どころか会話も必要最低限の超絶塩対応にするつもりだ。

 ただし、塩対応モードの時でも、適宜トラウマを刺激し、強い不安を覚えさせる為には例外的にコミュニケーションをしっかりとる。

 こうすることでアスカに、シンジにとって都合のいい行動をとることこそが、孤独感や劣等感から遠ざかり、幸せになれる唯一の方法と刷り込むことが狙いだ。

 また、初期段階で優しくするのは、後々に優しかった、幸せだった時のイメージを求めて、また優しくしてもらうにはどうすればいいかと自発的に考えさせる思考誘導の為だ。完全に不安を消さないのは安心感を得た時の多幸感を際立たせる為と、完全に不安が消えることで歪んだ精神からの脱却に向かわないようにする為だ。

 お察しの通り、ここで言う都合のいい事とは、使徒殲滅に際してシンジに楽をさせることやシンジがヤりたい時にさっさと穴を差し出すことなどである。

 アスカの傷につけ込む鬼畜。まさに外道☆。優しいシンジ君の面影は皆無だ。

 

 学校への道をスタスタと歩いていく。

 

「おはよ、綾波」

 

 登校途中にレイと会ったようだ。

 

「おはよう、碇君」

 

 実は昨日の夜に、今日の朝は一緒に行こうとメールをしてたのだ。だから、学校への遅刻なんて大して気にしないシンジがあそこまで時間を気にしていた。

 ほんの一時間前にアスカに、愛してるとかほざいてたくせに凄い切り替えの良さである。

 

 さて、賢明なる読者の皆は察してるかもしれないが、ピュアなお友達のためにシンジの狙いを説明しよう!

 

──『アスカと綾波を使ってサードインパクトを回避しよう作戦』

 

 一応、このシンジにもサードインパクトを回避しようという気は多少はある。

 作戦の内容は「アスカと綾波をしっかり落として、都合のいい奴隷に仕立て上げ、前回のようなワケわからんノリにならないようにコントロールしつつ、使徒をコロコロする」というものだ。謂わば今までの「自動洗浄機能付き生オナホとして使えればいいや」的な思考の上位互換な作戦である。

 キングオブクズとはシンジのことである。

 

「行こっか」

 

「ええ」

 

 シンジの言葉に静かに答えて、無言で並び歩く。こうして普通にしてると、見た目がちょっと珍しいだけで、どこにでもいる女の子に見える。

 

「最近は何読んでるの?」

 

 レイの目が妖しく光る。

 

「○クールデイズ」

 

 ど、どこにでもいるお、おお女の子だよな? 女の子ってドロドロしたの好きだし、フツーフツー。

 

「え゛」

 

 流石のシンジもちょっと引いているようだ。

 

「ど、どんなとこが面白いの?」

 

 確かに何に惹かれたのだろうか。

 

 じっとシンジを見つめる紅い瞳。

 

「主人公が碇君に似ているところよ」

 

「!?!??」

 

(恐すぎて笑えないんだけど……)

 

 レイが不思議そうに、こてっと首を傾げる。

 非常に様になっているが、会話の内容を合わせて考えるとゾッとするものがある。

 

「そ、そうかな? 似てないんじゃないかな?」

 

 レイはチラリとシンジを見てから、無言で歩く。

 そして徐に口を開く。

 

「2号機の人の匂いがするわ」

 

「い、一緒に住んでるし、そうゆーこともあるよ」

 

 レイは無表情のままである。

 

「いつもよりあの人の匂いが強いわ」

 

「」

 

 テクテクと無言で歩く。

 

(や、やりづらい)

 

 実はシンジはレイがちょっとだけ苦手だ。嫌いとかではないのだが、アスカのように簡単に転がせるイメージがあんまり湧かない。

 それに何より、シンジにとって引っ掛かりを覚えることがある。

 レイの横顔を見る。

 

(……見た目はいいんだけどなぁ)

 

 それに気づいてレイもシンジを見る。

 

「……何」

 

「生ハメでサードインパクトがなぁ」

 

(ホントに綺麗な顔してるよなぁ)

 

 内心と発言が逆である。

 

「何を言うのよ」

 

 まったくだ。

 

 シンジは前に聞いた生ハメ即サードインパクト説が、微妙に気になってたのだ。

 シンジは自分が気持ち良くなることが最優先なので、コンドームなど邪道と考えるナイスガイである。ちょっと中出ししただけで、世界がどうの責任がどうのと言われたくない。

 その点、アスカはそこらへんをそんなに煩く言わない。というか、中に出されるととっても嬉しい系女子なので非常に都合がいいのだ。

 

 ただ、レイが苦手とは言っても別に不仲な訳ではない。むしろ都合よく利用しようとしなければ、気を張ることなく一緒に居られるから、そこはシンジ的には楽である。

 

(そうは言っても、やることはやるんだけど)

 

 シンジには作戦があるのだろうか?

 

 もう少しで学校に着くというところでシンジが口を開く。

 

「綾波、今日の放課後ちょっと買い物に付き合ってよ」

 

 前回からは考えられないくらい自然に誘いやがった。

 

「……分かったわ」

 

「うん、ありがと」

 

 誰だこいつ。シンジも表面上は少し大人びただけのただの中学生に見える。

 

 それにしてもアスカが不憫である。

 でも、まぁ、アスカもアスカで縄で縛って逆レイプみたいなことしてくるから、お互い様と言えなくもない。

 

 

ⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩ

 

 

 放課後、シンジはレイと一緒に駅前の本屋さんに来ていた。

 ぶっちゃけ行くとこはどこでもよかったけど、レイが喜びそうなとこで一番最初に思い付いたのが本屋さんだったからここにした。

 

「うーん、探してるやつ(「猿なら分かる! 未成年を性奴隷にできる正統派パターン69選と学術的考察 著・時田シロウ」)がないや。綾波はなんか見たいのある?」

 

 レイはコクンと頷いて歩き出す。  

 

 エロ漫画コーナーにでも向かうのだろうか? それともコスプレ雑誌コーナー? 官能小説コーナーもあり得るか?

 

 スタスタと歩くレイが立ち止まる。

 

(これって……)

 

「おかあさん、これ!」

 

 シンジ達の横でチビッ子が絵本を指差し、元気な声を上げる。

 

「ちゃんと読むのよ?」

 

「よむよ!」

 

 若い母親が小さな子どもを連れレジへ向かう。チビッ子の手には絵本がある。

 

 レイが向かったのは就学前の子ども用の絵本コーナー。

 

(……なるほど。思ってたより綾波は幼いのかも)

 

 シンジは前回のサードインパクトの時、レイと混じり合ったことでその歪みを概ね把握している。だから、シンジはレイが肉体年齢からは考えられないほど、幼い精神を持っていると知っているつもりだった。

 だけど、シンジのイメージよりももっと歪で未熟だ。シンジにもそれが今なんとなく分かった。

 

「どれが読みたいの?」

 

 無言でレイがとある絵本を手にとる。それはありきたりな勇者の御話し。

 

「じゃあ、それを綾波にプレゼントするよ」

 

 どちらかと言うと男の子向けのストーリーだ。レイにとってはこれが魅力らしい。

 綾波レイはアダムの遺伝子を受け継いでいる。もしかしたら、それが男の子的な感性に繋がっているのかもしれない。

 

(思い出してみると、○ルトの戦闘シーンに目を輝かせたり、忍者ごっこみたいなことをしたり、まんま幼稚園児の男の子だよなぁ)

 

 シンジの英才教育(笑)が加わり、わりとめんどくさい精神状態になった結果でもある。

 そして、性への理解というか、関心はやたらと変な成長を遂げている。残念すぎる。

 

 レイがシンジの(まともな)サプライズプレゼントに首をかしげる。何故かよく分かっていないようだ。

 

「特にこれといった理由はないんだけどさ。いつも助けてくれるから、そのお礼かな」

 

 誰だこいつ。シンジが良くできた彼氏みたいなこと言うと非常にキモイ。

 

「そう」

 

 しかし、レイは少しだけ嬉しそうに見えなくもない。

 

「行こっか」

 

 そう言ってレイの手をとり、レジに向かう。……だからなんだこいつ。本屋さんでいきなり手を繋ぎやがって、くそが。

 

「……ポカポカする」

 

 レイの呟きはシンジに聞こえただろうか。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 さて、賢者タイムのお兄ちゃん達と余韻に浸ってるお姉ちゃん達は察してると思うけど、ムラムラして知能指数が低下してる皆のためにシンジのレイ操り人形化作戦を説明しよう。

 

『父親的ポジションからの親密な距離感と親への信頼を利用し、都合のいい人格に育てよう作戦』

 

 うん。ぶっちゃけ初期ゲンドウのポジションと似たような立ち位置になるやつや。流石親子似ている。光源氏作戦とも言う。

 ヤバい男に連続で目をつけられるレイが不憫でならない。……ただ、レイもシンジの○ナルを無理矢理開発してるから、因果応報と言えなくもない。

 

 

 そんなこんなで夕方の町を2人で歩く。勿論、手を繋いでいる。

 この「手を繋ぐ」という行為も狙いがあってシンジがやってることだ。

 手を繋ぐことで人は安心感等のプラスの感情を抱くものだ。要は安心感を半強制的に与えることがメインの狙いである。それによりシンジへの信頼感を増幅させ、近い距離感を求めるようにさせる。

 レイの特殊な愛着障害と形容できうる幼い精神につけこむ鬼畜。このシンジに罪悪感は皆無だ。

 

 駅前を離れ、商店街を通ってる時にシンジが次の提案をする。

 

「今日、綾波の家でご飯食べていい?」

 

「? なぜ?」

 

「なんとなく。嫌かな?」

 

 レイは少し考えるも、手のひらに伝わる熱の心地よさに思考が流される。それに元々嫌ではない。レイの中で肯定すべき理由が明確に見つけられなかっただけだ。

 

「構わないわ」

 

「うん。じゃあ買い物してから帰ろうか」

 

 こうしてシンジとレイは調理道具と食材を購入してからアパートに帰宅した。

 途中、レイの目がホワイトチョコレートに向けられていたのを目敏く発見したシンジは、こっそり買い物かごに入れて購入しておいた。後で綾波にあげようそうしようとかなんとか。餌付けにも余念がない。

 

 レイの部屋に到着したシンジはサクサクっと料理を拵える。魚が良さげだったので、鮭をメインにしたものだ。ご飯はないので温めてすぐに食べられるやつで妥協した。炊飯器がないから仕方がないね。

 

 レイはシンジを不思議そうに見つめている。紅い瞳にはこの光景がどう写っているのだろうか。

 自分の手を見る。今はポカポカしない。開いたり握ったりしても、変わらない。でも違うところがポカポカする。奇妙な感じだ。

 

「はい、できた」

 

 シンジがご飯を運ぶ。湯気が昇るソテーはとても美味しそうだ。

 

 いつも1人のレイは慣れない状況に困惑を覚える。

 

「どうしたの。食べよう」

 

 知らず知らず、シンジの目を見ていたようだ。

 

「なんでもないわ。……いただきます」

 

 レイは無意識に微笑む。

 

 

♡♡♡♡♡

 

 

 そんなこんなで2人はご飯を食べたり、本を読んだり、一緒にシャワーを浴びたりして過ごした。

 客観的に見るとただのカップルである。しかし……?

 

(よし、なんか綾波の表情も柔らかくなってきたし、僕の言うことにも大分素直になってきた)

 

 シンジの内心は恋人とは似ても似つかないものである。

 

(肉体的な距離も近くなってる。多分綾波は無意識なんだろうけど。いい感じだ)

 

 ゲスい顔を表に出さないように気を付ける。

 

(じゃあ、そろそろ次の一手を打とう)

 

 キリッとカッコつけてやがる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、僕はそろそろ帰るから」

 

 シンジの言葉を聞いたレイの視線が不安定になる。

 

(よし、動揺してる)

 

 計画通り! とか言いたそうである。

 

 少し間を置いてからレイが口を開く。

 

「……なぜ」

 

 一緒に居るのが心地いいのに、シンジはなぜ帰るのだろうか? 

 

 レイの思考はクエスチョンマークで溢れていく。

 

「泊まるわけにはいかないしね。ミサトさんに変に思われたくないし」

 

 レイの中にモヤモヤとした痛みが生まれる。理由ははっきりとはわからないけど、居なくならないでほしい。近くに居てほしい。

 

 レイは今まで経験したことのない自身の気持ちに戸惑いを覚え、また口を開く。

 

「ダメ。ここに居て」

 

(フィーーーッシュ! やっぱり精神的に歪んでる子はチョロいぜwww)

 

 まさに外道。メンヘラを食い物にするヤリモク男的思考や。

 

「ダメって言われてもなぁ」

 

「ダメなものはダメよ」

 

(うわぁ。綾波が駄々こねてるよ。新鮮ww)

 

 随分と静かな駄々っこだが、レイ的には必死である。

 図式としては、親と離れる時に寂しくて泣いてる幼子みたいなものだ。

 これは何よりレイがシンジに心を許し始めてる証でもある。

 

「うーん。どうしよっかなぁ」

 

 シンジは考えるフリして、チラっとレイを見る。

 

 レイの眉毛が不安げに下がっている。僅かに眉間に皺も寄っている。

 

「碇君はここに居るの」

 

(理屈もくそも無くなってるwwいつもの綾波と違いすぎるww)

 

 ここで満を持してシンジが悪魔の取引を持ち掛ける。

 

「じゃあ、一つ約束してよ」

 

「?」

 

「これから、僕の言うことを絶対に守るイイコ(・・・)になってよ。そしたら綾波の近くに居るよ」

 

 レイはシンジの言葉を反芻する。

 

 イイコになれば碇君が側に居てくれる? イイコってどうすればいいの? 碇くんの言うことを聞けばいいの? そうすれば、まだ居なくならない……。

 

 そして、レイは悪魔の取引に応じてしまう。

 

「分かったわ。イイコになるからここに居て」

 

「しょうがないなぁ。今日だけだよ。いつもいつもは出来ないからね?」

 

「……」

 

「あれ、やっぱり悪い子なのかな」

 

「ちがう」

 

「じゃあ、明日は帰るからね」

 

 チクチクと痛むものを感じるが、レイは無言で頷く。

 

(はい、イッちょ上がり。これからはイイコってワードを有効活用しようそうしよう)

 

 この日、シンジはイイコになったレイに本気で優しくした。より依存度を高める為に……。

 

 ……このシンジ、サードインパクトを待たずして刺されないだろうか? そうなったらザマァである。

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆

 

 

 

──使徒襲来……ん……。使……徒しゅうらりぃ♡。

 

 マヤさん何してはるん? 公開プレイとはたまげたなぁ。

 

 いつもの指令部にて、作戦会議的なお喋りが展開され、なんやかんやでシンジ達3人が出撃する。

 

(あいつは……)

 

 今日の敵さんは、シマウマのようなカラーリングで空中に浮かぶ球体、皆大好きトラウマ芸人のレリエルちゃんだ。

 こいつは地味に見えてなかなか厄介な使徒である。だいたいディラックの海ってなんだよ。

 

 しかし、我らがチルドレンはと言うと……。

 

『ちょっとレイ! なんであんたが前線に居るのよ』

 

 使徒戦なのにアスカはレイが気になるようだ。

 

『指示があったからよ』

 

『いつもあんたバックアップじゃない。なんなの?』

 

 完全にいちゃもんである。アスカ的にはシンジに近いのがレイになる編成が遺憾らしい。使徒を前にして余裕である。

 

『碇くん、弐号機の人がよく分からないわ』

 

『え、僕にフルの?』 

 

 女の戦い(笑)をぽけっと聞いていたシンジには青天の霹靂である。面倒な空気に巻き込まれたくないのだ。自業自得のクセにふてぶてしい態度である。

 

『アスカがよく分からないのはいつものことだよ』

 

『そうね。仕方がなかったわね』

 

 レイも無自覚にアスカを煽っていくぅ。

 

『あんたらねぇ……!』

 

 アスカがマジでキレちゃう5秒前。

 

『はいはい! 痴話喧嘩は後にしなさい。今は使徒に集中して!』

 

 絶妙なタイミングでミサトさんの軌道修正が入る。流石20代で国家公務員として出世してるだけはある。

 

『了解。アスカも後でね』

 

 シンジが意味深な声音で言う。

 

『……! うん!』

 

 さっきまでのツンツンした雰囲気は一転して、アスカがかわいい声を無意識に出してしまう。完全にメスガキである。

 

『ダメよ。碇くんは約束があるの』

 

 せっかくまとまりそうだったのに、レイがそれに待ったをかける。

 

『……シンジどういうこと?』

 

 アスカの声のトーンが先程に比べ、1オクターヴは下がる。ナイスな音域である。これはアスカ歌手デビューワンチャンあるで。

 

『あ、そう言えばそうだった』

 

(やべ、忘れてた。てへ)

 

『イイコにしてたのに忘れてたの?』

 

『ち、違うよ!』

 

 先程のミサトの注意なんてなかったかのようにイチャイチャしだす三人にミサトがキレる。

 

『あんたらいい加減にしなさい! 今は作戦中なのよ!』

 

 さて、我らがリリス陣営が繰り広げるコントを見せられたレリエルちゃんはと言うと……。

 

──不潔! こんなやつらがガキエルお姉様をいじめたなんて許せないわ!

 

 レリエルちゃんは潔癖症だ。シンジ達の生々しい営みを連想させる空気感はノーセンキューである。

 

──私がガキエルお姉さまの敵を討ってみせます!

 

 仲間(?)の敵討ちとは綺麗な友情である。

 

──そうすればお姉様も素直(・・)になる……。ゲヘヘ。

 

 おい。

 

──お姉様のヒレお姉様のお口お姉様のヌメヌメお姉様のお骨お姉様のお刺身……。はぁはぁ。

 

 駄目だ。レリエルちゃんガチレズだ。しかも超粘着質なエロガキだ。

 それにしてもガキエル嬢を魚扱いである。

 

 レリエルちゃんがエロいことを考えてるとチルドレンにも動きがあったようだ。

 

『もういいわ。あなたはそこでじっとしてて』

 

 レイがレリエルちゃんに突撃する。

 

『はぁ? あんたが下がりなさいよ!』

 

 アスカもレリエルちゃんに向かう。

 

(そう言えばこの使徒って影が本体だったよな。簡単に近いたらまずい!)

 

 2人を止めようとシンジも妄想に勤しむレリエルちゃんに近く。

 

──はぁはぁ♡ ん、ん~~♡

 

 レリエルちゃんも楽しそうである。カオスすぎる。

 

 しかし、レリエルちゃんの昂りに応じて影(本体)が爆発的に拡がる。そしてそれはエヴァ3体を軽く含む広さになる。つまりは……。

 

(あ、ヤバい。死んだかも)

 

 シンジ達三人がディラックの海に取り込まれる。敗因は痴話喧嘩。ご愛読ありがとうございました。シンジの次回の逆行にご期待下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 というのは嘘でもうちっとだけ続くんじゃ。

 

 ディラックの海に取り込まれた三人はと言うと、現在精神世界にて正座していた。

 

「仲がいいのは結構だけれど時と場合を弁えなさい」

 

 レイによく似たアラサー風の女性が言う。

 

「アスカちゃんにも好きな人が出来て嬉しいのだけどね、今回は駄目よ」

 

 今度はヨーロッパ風の顔立ちの女性が言う。年齢的には30中盤くらいに見える。

 

「「はい……」」

 

 アスカとレイが素直に返事をする。

 

(うわぁ、これ母さんと多分アスカの母さんだよね。こんな流れで会いたくなかったよ)

 

 そう、二人は碇ユイと惣流・キョウコ・ツェッペリン。エヴァごと取り込まれてしまったせいで、精神世界に登場したのだ。

 

「シンジは?」

 

 ユイが怖い声を出す。

 

(うぜぇぇぇ。死人のクセにしゃしゃり出てくんなよな)

 

 全く反省する気がないようだ。

 

「はいはい。申し訳ありませんでしたよ」

 

 何故ケンカを売るような言い方をするのか。反抗期なのか? ……そう言えば中学生やったわ。プレイが玄人地味てて忘れてたわ。

 

「いい度胸ね、シンジ」

 

 ユイが静かにキレ出すが、キョウコが場をいなそうとユイを遮るように口を挟む。

 

「まぁまぁ、ユイさん。シンジ君にも言い分があるでしょうし、まずはそれを聞きましょうよ」

 

 女神である。アスカの実の母親とは思えない穏やかさだ。

 

「仕方がないわね。シンジ何か言い訳はある?」

 

(言い訳って言ってもなぁ)

 

 強いて言えば二股を少しミスったくらいである。

 

「特にないかな。だって僕悪くないし」

 

 憎たらしい顔である。

 

 これには女神もイラっとする。

 

「それはよくないよ。元はと言えばシンジ君が二股するからいけないんじゃない」

 

「そうよシンジ。少し見ない内に何であなたそんなにエロエロクズになっちゃったの? あなたをそんな子に育てたつもりはないのに……」

 

(あんたに育てられた記憶がないよ!)

 

 それに関しては同情する。

 

「うるさいなぁ。いきなり出てきて母親面しないでくれない? だいたい僕がエロくてもあなたには関係ないでしょ!」

 

 険悪な雰囲気である。アスカとレイもこそこそ話をしながら見守っている。

 

『ちょっとレイなんとかしなさいよ』

 

『こんな時、どんな顔をすればいいか分からないわ』

 

『いや、少しニヤけてるじゃん』

 

『そんなことないわ』

 

 いや、君ら意外と仲良さそうやな。さっきまでのケンカはなんだったのか。

 

 一方、シンジとユイの親子喧嘩はヒートアップする。

 

「関係ないって何よ。いつもシンジがエヴァに乗りながらエロいこと考えてるせいでこっちまで変な気分になって大変なのよ!」

 

 ここでキョウコも食い付く。

 

「本当にその通りよ。アスカちゃんが変態的なことばっか考えてるから、私もムラムラして頭がおかしくなりそうだわ」

 

 突然の流れ弾にアスカもギクッとする。実の母親に痛い性癖を正確に把握されてる事実に今さらながら「まずったなぁ」とか思いだす。なお改めるつもりはない。

 

「そんなこと知らないよ。勝手に発情してればいいでしょ。あ、でも身体がないから発散できないんでしたね。お気の毒ぅwww」

 

 このシンジも母親二人相手に一歩も引かないで煽り倒すあたり、マジ鋼のメンタルである。

 

「く、言わせておけば……」

 

「ユイさん、こうなっては仕方がないわ。シンジ君の為にも私たちがヤらないといけないわ」

 

 急にキョウコが不穏な雰囲気を醸し出す。いや、本当は最初からわりとアカン雰囲気だった。

 

「そうね。シンジには少し女の怖さを教えないといけないわね。そうすればレイとアスカにも優しくなるでしょ」

 

 よく見るとユイの目がキマッている。どうやら2人は荒ぶる性欲をシンジにぶつけるつもりらしい。

 

(え、あれ。なんか嫌な予感が……)

 

 ユイとキョウコがシンジににじり寄る。息使いが荒い。

 

「ひぃ」

 

 シンジはディラックの海に囚われた時点で詰んでいたのだ。ユイとキョウコは、極めて高いシンクロ率のせいですっかり変態チルドレンに感化されている。

 それにそもそも30代の女は性欲が強い傾向にある。解消されない性欲をずっと抱え続けた30代女のそれを舐めてはいけない。

 

 シンジも事態を察する。はっきり言ってユイとキョウコはタイプじゃない。というかシンジにとっては年齢的にアウトである。

 

「や、やだなぁ、母さん。僕たち親子じゃないか」

 

 ここに来て急に母さんなどと口にし始める。ゲンドウが冬月に甘える時だけ、冬月先生とほざくのと同じである。

 

 女神(笑)のキョウコがやれやれと肩をすくめる。

 

「倫理観とか社会通念なんて科学の進歩に邪魔なだけ」

 

 女神どころか悪魔である。

 

 しかし、これにユイも大きく頷く。

 

「そうよ、シンジ。世の中のバカはそんな下らないこと気にしてるけど、バカの言うことなんて盛りのついた猫の鳴き声以下の雑音よ。無視しなさい」

 

 ユイも迫真の顔である。それにしてもユイも大分性格が悪い。飛び抜けて頭が良いと皆こうなのだろうか? 

 

(このマッドサイエンティストどもめ!)

 

 だが、ここでアスカからシンジへの援護射撃が入る。

 

「待ちなさいよ。娘のこ、婚約者に何しようってのよ」

 

(婚約者って何だよ。そんな約束していない)

 

 アスカの中ではそうなってたらしい。シンジも「ずっと一緒だよ☆愛してる(キリ」みたいこと言ってるし自業自得である。

 

 しかし、婚約者とか言うワードは聞き捨てならない。今度はレイが口を挟む。

 

「碇くんはあなたの婚約者じゃないわ。変なこと言わないで」

 

 もはや混沌とし過ぎて、地獄絵図である。

 

 聞き分けのない子供に言い聞かせるようにユイがカウンターを放つ。

 

「安心して。ここは精神世界だから実際は何もしてないのと一緒よ。それに今回みたいになりたくないでしょ? 私たちの治療(・・)が終わればシンジももっと真剣にあなた達のことを考えるようになるわ」

 

 凄く都合のいいことを言っている。

 

 しかし、アスカとレイには何か思うところがあるのか、静かに考え込んでいる。

 そして、二人は今回だけは見逃してやることにした。

 正直、シンジの心が自分に向いてないのでは? と不安に思っていた。それが解消されるなら藁にもすがりたい。

 それによく考えたらここは精神世界だ。言ってしまえば夢のようなものである。そこまで気にしなくてもいい気もする。

 

 アスカとレイを都合よく言いくるめたユイはシンジに向き直る。

 流石シンジの親である。欲望を叶える為なら、都合のいいことをペラペラ喋れる。

 

(クソ! 使えねぇ女どもだ。ホントに生オナホとしての価値しかないじゃないか!)

 

「さぁシンジ覚悟はいいわね」

 

 ユイがシンジの肩にポンと手を置く。

 

「まぁ出来てなくてもヤるんだけど」

 

 キョウコがニッコリと微笑む。

 

「」

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 今度は現実世界、シンジ達を飲み込んだ直後のレリエルちゃんを見てみよう。

 

──ふふ。なんてチョロいのかしら。皆が油断するなって言うからどんなものかと思ったけど全然大したことないじゃない!

 

──ジュルり。これでガキエルお姉さまも私のことを褒めてくれますわ! 

 

──そうすれば、うへへへへへ。

 

 完全にヤバいやつである。

 こんな感じでネルフに包囲されながらも、暫く妄想の世界に浸っていると妙な感覚を覚える。

 

──ん? 何か中で変な感じが……?

 

 皆さんは慣れしたしんでいると思うが、○液や○液はそれなりに臭う。それが複数人のプレイングから作られるとなると、結構キツイものがある。

 

──うえ、なんか気持ち悪い……。

 

 レリエルちゃんは基本的には潔癖である。人間でいう生娘でもある。そんな彼女の本体であるディラックの海でL

et's party! しちゃってるとどうなるか。

 

──うぅぅ、何これ気持ち悪い。うぇ。ヤバ吐きそう。

 

 レリエルちゃんは決壊寸前である。

 

──もう無理オロオロオロオロ…………。

 

 堪えきれずにゲロっちゃう。つまりは……?

 

 ディラックの海から初号機から順番にシンジ達が押し出される。

 

 指令部ではミサト達がやいのやいのと大騒ぎである。

 

──はぁはぁ、苦しい。臭いが消えないです。もうやだ。リリン怖い。関わりたくない。

 

──なにこれ苦い。やだやだやだ!

 

──リリン嫌い! お外にも出たくない! 帰る! 

 

 レリエルちゃんが急に幼児みたいになったかと思ったら、球体をディラックの海に潜らせ、次いで影もどんどん縮小させる。

 

 そして……。

 

『……使徒消滅しました? 先輩これは一体?』

 

 マヤが困惑しながら、職務を全うする。

 

『現時点では原因を特定できないわ』

 

 リツコが素早くマギに検証させる。それによると無害化に成功したとの結論が出た。

 

『だけど、使徒を倒したのは事実のようね』

 

 潔癖レズ使徒レリエルちゃん、体内で乱交パーティーを開催され、現実世界に怯えディラックの海に引きこもる。

 

【祝】レリエルちゃん、引きこもりデビュー【やったぜ】

 

 こうしてシンジ達はまたしても無事(?)に使徒を殲滅した! めでたしめでたし。

 

 なお、いつも通り懲罰房行きである。




作者は自分のこと変態じゃないって思ってたけど、この話を書いてる時、少ーしだけ作者は変態なんじゃないかって不安になった。違うよね?
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