シンジ君だって思春期なんだ!   作:虫野律

8 / 10
評価に色がついてた。黄色なので周りからすれば大したこと無いかもしれないけど、作者にとってはとても嬉しいです。評価してくれた方、ありがとうございます。


シン・エロンゲリオン

「マトリエル殿が討たれるとは……」

 

「イスラフェルだって決して弱くはなかったはずだ」

 

「だから、奴は相当ヤると言ったではないか! 間違いなく我々の最悪の障害足り得る存在だ!」

 

「ストリップショーに鼻の下を伸ばして、惨敗した変態は喋らないで下さいます?」

 

「」

 

「wwwwwwww」

 

「……エロオヤジの言ってる事も一理ありゅ。いぃちゃんもあいつのえぃてぃふぃーるどをやっつけれなかった……。あんなに硬いの見たことないよぅ」

 

「それほどか」

 

「敗者である拙者が、言えた口ではないが、あの動き……かつて見た殿に匹敵するものだ。……赤い悪魔……」

 

「マトリエル殿……」

 

「お腹すいたぁ。ポテチどこやったっけ?」

 

「「…………」」

 

「よかろう。次は朕が出よう」

 

「な!」

 

「そんな! お止めください!」

 

「貴方様に何かあればアダム様に本当に顔向け出来ません!」

 

「そうは申すが、このままでは敗色は濃厚だ。それに朕もそろそろ眠るのも飽きて来たのだ」

 

「どうかお考え直してくださいますよう、何卒、何卒!」

 

「なぁに。そう案ずるな。朕の実力は皆も知っておろう」

 

「それはそうですが……」

 

「奴らも触れてはならぬ獅子の逆鱗に触れてしまったようだ」

 

「ラミエル! 何言ってるんだ!」

 

「……勝ったな」

 

「シャムシエルまで!」

 

「遂に眠れる獅子が目を覚ます……!」

 

「皆! もしもがあったらどうするんだ! もっとよく考えてくれ!」

 

「「……」」

 

「俺のコーラがない! 誰だよ、もう!」

 

「「サキエルェ……」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「頑張っているみたいだね。シンジ君」

 

 土曜日、ネルフ内の食堂で昼食を摂ろうとしたシンジへ、声を掛けたのはロマンスグレーが良く似合う知的な初老の男──冬月コウゾウだ。

 

「ありがとうございます。ですが、僕はまだまだですよ」

 

 冬月の醸し出す品格に当てられてシンジまで礼儀正しくなってしまう。

 

「ははは。そう謙遜しなくても良い」

 

 折角の機会だ。シンジは冬月に、父について聞いてみる事にした。

 

「父さんは何か言っていましたか?」

 

 シンジの問いに直ぐには答えず、冬月は申し訳なさそうに遅れて回答をくれた。

 

「……君には嘘や誤魔化しをしたくないから正直に言うが、……ゲンドウはシンジ君の事は何も言っていなかったよ」

 

 最後に、すまない、と結んだ冬月の心中は如何程のものなのか。神ならぬシンジには分かりかねるが、冬月がシンジを気遣っている事は理解出来る。

 

「……そうですか。あの人はそういう人ですからね。僕は特に気にしていませんから、冬月さんも気にしないで下さい」

 

 嘘だ。それなら初めから聞いてはこない。

 冬月は、しかし、それを糾弾はしないことにした。本人が気にしないと言うのだ。外野がそれを揚げ足を取るように責め立てるのはみっともない。何よりシンジにとっては酷に過ぎる。

 

「冬月さんも苦労なさっているのではないですか? 父さんは説明不足のまま物事を強引に進める所がありますから」

 

 シンジは何気無い世間話のつもりだった。しかし、冬月にとっては、琴線に触れる物があった様だ。

 

「そうなんだ……! 碇ときたらいつも独断専行で各所に反感を買って、面倒事は私に押し付ける! 都合の悪い時は、"冬月先生"と学生の頃の様に甘えてくる! それに強く出られない私も確かに悪いが、それにしたって都合が良すぎる。今日だって、急用が出来た、と言って事務仕事を放置して消えてしまった。本人はバレてない気でいるようだが赤木博士との仲は古参連中の中では既定の共通認識だ。恋愛にとやかく言うつもりは無いが、仕事に支障をきたす様では一社会人としての常識が欠如していると言わざるを得ない。それに……」

 

(いつまで続くんだこれ?)

 

 変なスイッチを押してしまったとシンジが後悔した時には、社員食堂のチープながらも栄養バランスの整ったワンコインランチが、冷めてしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……そう言えば、シンジは泳げなかったわね」

 

 アスカが微妙な視線を投げ掛ける。

 

「そうだよ。いいじゃないか別に」

 

 林間学校と使徒の襲来が予測される日が重なってしまった為、せめてもの代わりにとミサトが気を効かせてシンジ達を室内プールに連れて来ていた。そのミサトは先ほど電話が来て席を外している。

 

「そう言うアスカは漢字の勉強はもういいの?」

 

 アスカは漢字が余り得意では無かった。日本に居た時間の方が短いからだ。思考も意識しないと、アメリカ訛りのドイツ語になってしまう。

 

「日常生活レベルはマスターしたわ」

 

 しかし、アスカは明晰な頭脳を以て漢字を攻略した様だ。和製英語まで日本語として完璧な発音だ。

 

「はいはいインテリインテリ」

 

 シンジのディスる為のおざなりな称賛にも気を悪くしたりはせずに、アスカはちらりとプールに居る筈のレイを見る。

 

「は?」

 

 才色兼備なアスカがポカンとアホ面を晒す。

 カシャリ。

 シンジはケンスケから借りたカメラで、アホ面アスカwearingフリル付き赤ビキニを無許可撮影する。ふむ、Cに近いBかな。順調、順調。

 

(これは良い値が付きそうだ)

 

 ぐフフとゲス笑いのシンジもレイを見る。

 

(まぁ、アスカの気持ちも分かる。だって綾波……)

 

 Q.綾波は何をしているか? 

 

 A.水の上に立ってます。

 

「水蜘蛛の術」

 

 レイが無表情で言い放つ。本来の水蜘蛛の術は浮く為の忍具──円盤上の板を用いるが、レイはスクール水着のみを装備している。こちらはAに近いBだ。失礼。

 要するにレイは裸足で水の上に直立して……。

 

「これ楽しい……」

 

 否、裸足で水の上を走っている。完全にジャンプバトル漫画の世界だ。

 

 事の発端はシンジが『そう言えば綾波っていっぱい居るんだっけ。……閃いたぞ!』とか言い出した事だ。

 

 綾波がいっぱい居るなら、ハーレムの術ver影分身が出来る!

 

 シンジは◯ルトのエロ忍術が掲載している単行本だけをレイのアパートに持ち込んだ。それが先日の事だ。

 シンジの計画では、エロ忍術のみを修めさせるつもりだったが、レイはジャンピングバトラーな忍術に興味を示した。

 その時、エロの為に身振り手振りを交えてハーレムの術を熱弁してしまったせいで、テーブルの上のエロフィギュアを床に落としてしまった。

 少し煩かったかもしれないが、アパートには綾波だけだから、騒音は気にしなくていい筈だ。ただ、その時、隣室の方から物音がしたような気がしたが、シンジにとってはハーレムの術を如何にして綾波に実行させるかが最重要課題だった為、すぐに忘れてしまっていた。壁の向こうも、何処もかしこも変態ばかり。まさに真世紀(末)だ。

 

「ねぇ、シンジ。あれはどういう原理なの?」

 

 アスカの疑問は尤もだ。ただ、残念ながらシンジにも理屈は分からない。

 さぁ? とメリケン風に肩を竦める。

 アスカの眼光が鋭くなった気がするので、シンジは記憶を掘り返してみる。

 

(うーん。綾波って僕らとはやっぱり違うよなぁ)

 

 小学生並みの感想である。

 

「綾波は、その気になれば空を飛んだり、巨大化したり、液体化? みたいになったり、生ハメでサードインパクト起こしたり出来るやベー奴なんだ。だからあれ位フツーフツー」

 

 アスカの形の良い眉がぴくりとする。

 

「生ハメって何よ」

 

「装備無しのガチバトルのことだよ」

 

「……」

 

 論点の違う答えをするだけでなく、あわよくば変な知識を植え付けようというシンジの魂胆を見抜いたアスカはシンジにジトっとした目を向ける。

 

(ちっ。学校でいきなり生ハメって言わせたかったのに)

 

「知ってるのに僕に言わせようとするなんてアスカは淫乱のド変態なんだね」

 

 ニッコリと微笑むシンジは楽しそうだ。

 

「……今のもう一回」

 

 自分の汚い所を優しく(・・・)責められると全てを受け入れてもらえたような、心を包み込まれているような安心感がある。

 そうか。これこそが真実の愛……!

 シンジのベルトを加工して造った秘密道具──フリルのせいで分かりづらくなってる──もいつもより柔らかく痛みを与えてくれている気がする……。じゅん。

 ……アスカはもうダメだ。矯正は不可能な所まで行ってしまった。シンジが愛用していたあん畜生(1980円のベルト)もお亡くなりになってしまった。

 

「……」

 

 シンジは、もう一回と言われて素直にやってあげる程優しくない。本気で嫌がられて初めて発奮するナイスガイであるので、冷めた目で一瞥するだけで後は無視する。

 

「!」

 

 アスカの顔に絶望が浮かぶ。アスカはドMだが、全てのマゾプレイに対応している訳ではない。好き嫌いがハッキリした我が儘ドMちゃんなのだ。トラウマ持ちのヤンデレ系我が儘ドM。……いくら見た目と能力が良くても、これはクーリングオフ案件だ。

 

(うわぁ。アスカの反応面白wwこれは暇潰しに丁度いいや)

 

 アスカ=梱包材のプチプチ。新公式発見である。惣流・プチプチヒ・アスカ・ラングレー誕生だ。

 

(それにしてもなんかいつもより近くないか?)

 

 林間学校が始まる前に比べてなんか近い。具体的には肉体関係があるのが当たり前になって暫く経ち、愛情と単なる情の比率が変わる、その少し前の男女の距離。

 

(まぁ、良いけど。丁度いいから色々揉んでみよう)

 

 即断即決。優柔不断なあの頃は遥か彼方。時間て残酷ね。

 

「……」

 

(何か気配が……)

 

 まさかな……。

 シンジは疑いつつも直感に従い天井を見てみる。

 

「知らない天井だ」

 

 綾波が室内プールの天井──小さめの体育館程の高さ──に逆さに立ってシンジを見ている。足を何かに引っ掛けている様には見えない。足の裏でくっついている形だ。

 

(ホラーかよ。こんな天井、僕は知らない)

 

 ですよねー。普通、こんな前衛芸術みたいな光景を産み出す天井なんて知らない。

 

「……。……」

 

 綾波が何かを言っているが遠くて聞こえない。

 

『私が……。感度3000倍は渡さない』

 

(こいつ……! 脳内に直接!)

 

 テレパシーには流石のシンジも動揺する。そのせいで綾波の言葉がテレパシーであるにもかかわらず、頭に入って(・・・・・)来ない。自分のゲスい思考が読み取られたら堪らない。

 流石にレイも拒絶している相手の思考を読み取る力は今のところ無い。レイは外部の物理現象を操作する方が得意なのだ。内面への干渉力は弱い。

 しかし、シンジはそんなこと知る由も無いので、戦々恐々だ。

 

(……ま、いっか。その時はその時だ。いざとなったら装備無しのガチバトルで全てを終わらせればいいや)

 

 戦々恐々もすぐに鳴りを潜めて、相変わらずの後ろ向きにポジティブシンキングだ。何という切り替えの速さ。シンジのモットーは

『I always wanna turn it around as soon as possible!』

に違いない。

 

「使徒が現れたわ」

 

 プール入り口からミサトの緊張を孕んだ声がする。髪が乱れている所を見るに走って来たのだろう。

 

「ほーい」

 

「ようやくお出ましね」

 

「邪魔者は駆逐……」

 

【次回】

 眠れる獅子、高貴なる大天使サンダルフォン登場!

 シンジ死す! 

 サービスサービス!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……というのは嘘で、逆行前の経験を活かし、胎児(・・)型使徒(とシンジとアスカは思ってる)であるサンダルフォンが動き出す前に、中は熱い(・・・・)であろう火口に早めに(・・・)エヴァを降ろして(・・・)、使徒を殺す(・・)という先日に話合った通りの作戦を実行した結果……。

 

 眠れる獅子、サンダルフォン未だ目覚めず! 

 そして、これからも目覚めず! (永眠的な意味で)

 

 眠れる獅子は眠っているから強いムーヴをかませるのだ。起きたら夢が終わってしまうからね。仕方ないね。

 

 こうしてまたしても世界の平和を守ったシンジと愉快な仲間達なのであった……。めでたし。めでたし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あんな雑魚い使徒はどうでもいいんだ。別に)

 

 クソ雑魚ナメクジ以下でどうでもいいとは酷い言い草である。

 一戦終えた(?)シンジ達は某温泉旅館に来ていた。

 

(そんなことより、アスカと綾波だ)

 

 お? 遂にシンジもまともなラブコメをするつもりになったのだろうか。

 

(奴ら、明らかに誘ってやがる。だが、僕に人に見られながらヤる趣味は無い)

 

 まぁそうだよね。

 

(何故かは知らないが逆行前より監視がキツイ気がする。きっと今も見られているはずだ)

 

 色々やらかしてるからね。完全な自業自得だね。 

 

(何という生き地獄。これがハリネズミのジレンマか)

 

 近いような気もするけど、遠いような気もする。非常にコメントし辛いことを考えないでほしい。

 

(ただ、妙だ。2人が示し合わせた様に同じタイミングで露骨に誘う様になった。何か裏がある筈だ。だけど、未だ情報が足りなくて判断が付かない。ならヤることは一つだ)

 

 お、おい。まさか、暗がりに連れ込んで仲良し小好しするつもりじゃないだろうな。

 KENNZENなラブコメなんだぞ。頼むぞ。絶対だぞ。振りじゃないからな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「綾波、何か僕に隠し事してるよね。教えてくれないかな」

 

 普通に聞くとか、不器用で迷走して傷付いていたシンジはどこへやら。只の普通の人じゃないか。

 

「知らないわ。そんなことより」

 

 夜の10時過ぎ。ミサトはホッケの塩焼きと刺身盛合せとタコわさをツマミにビールをたらふく飲んでグースカ爆睡している。

 シンジはアスカとレイの露骨なスキンシップのせいで目が冴えて眠れなかったので、夜の露天風呂も偶にはいいか、と柄にもなく風情を堪能しようと澄んだ夜空が見える混浴露天風呂に来ていた。

 ……という様に周りからは見える様な立ち振舞いではあったが、シンジの狙いは綾波やアスカと自分だけの空間を作ること。今の2人ならシンジが1人で混浴風呂に居ればホイホイ釣れるだろう、と考えてのことだ。逆にシンジから誘った形になる。そして、ここなら流石に盗聴も難しいだろうという思惑もある。

 

 果たして綾波がフィッシュ! 竿(意味深)をシャクって熱烈フッキング! 

 

 そして、先程のシンジの質問シーンへと繋がる。

 

 綾波がシンジに肩を寄せる。綾波の体温がシンジへ流れていく。

 

「感度3000倍でらめぇぇしましょう」

 

 綾波……。その言い方はちょっとあかんでしょ。100年の恋も冷める迷言だ。

 しかし、シンジはこれを華麗にスルー。フォワード陣のスタミナなど考えない鬼畜の所業だ。

 

「うーん。誰かに何か言われたのかな? それにいつもより体温が高いんじゃない?」

 

 温泉に入る前から、綾波達の体温が高い様に感じていた。キナ臭い。ひっっじょうに怪しい。

 

 綾波が固まる。

 

(……うーん。カマ掛けてみるか)

 

「ミサトさんかな?」

 

 綾波に特に変化は見られない。

 

(じゃあ、次は本命)

 

「違ったね。ホントはリツコさんが綾波とアスカにこうしろって言ったんだよね」

 

 綾波に変化は見られない。強いて言えば以前(・・)の様な感情の伺えない顔をしている。しようとしている。

 

 バシャッ。

 

 広い露天風呂の岩の向こう。不自然に大きな水音が鳴る。犯人を呼び寄せようとシンジが声を掛ける。

 

「アスカもおいで」

 

 少ししてから、アスカもやって来る。タオルを巻いているようだ。

 

(体温が高いなんて……生理前かよって思ったけどいくらなんでも2人がまったく同じタイミングでこれだけ長い期間続くのは不自然すぎる) 

 

 アスカが無言でくっついて来る。こっちも熱い。シンジの予想が正しければ、温泉だけのせいではないはずだ。

 

(薬による副作用で体温が上昇している。十分に起こり得る筈だ。そして、ネルフ薬剤部門を牛耳っているのはリツコさんだ。彼女なら、こんな意味不明な言動を誘発する薬も簡単に用意出来る。問題は目的だが……)

 

 先日のマヤとの会話が思い出される。ネルフ内での味方を増やそうと、妄想の餌さえ与えれば簡単にヤれそう……もとい簡単に仲良くなれそうなマヤを攻略しようとコミュニケーションを重ねていたシンジはマヤから興味深い話を聞いていた。

 

♡★♪

 

『先輩の趣味かぁ?』ウーン

 

『はい。リツコさんってどんな人なのかな、と思いまして』カナカナ

 

『ははーん。シンジ君は先輩が好みなのぉぅ?』キラーン

 

『ち、違いますよ! 僕が好きなのは……』ウツムキ

 

『……(ごくり)』ナマツバゴックン

 

『マヤさんが何も教えてくれないので、僕も教えません』ヘヘーン

 

『しょーがないなぁ。秘密だからね』コソコソ

 

『分かってます』ヒソヒソカ

 

『前に力試しがてら先輩の自宅のパソコンにハッキングかけたことがあるんだけど……』!?ヒソカ!ヒソカ!

 

『えぇ』マジカヨ

 

『先輩のフォルダに少年少女の盗撮動画らしき物が大量にあったわ』ジュルリ

 

『マヤさん不潔』キョリトリー

 

『ちょっと! 私じゃないってば!』アセアセ

 

『ははは、冗談ですよ。それで発見後はどうしたんですか?』ホンデ?

 

『……フォルダ閲覧後、16秒で私のパソコン、メモリ、更にパソコンと繋がっているプリンターや周辺機器の全てが爆発したわ』ドカーン

 

『は?』ウッソダロ

 

『幸い、11秒経過時点でヤバいプログラムに攻撃を受けているって気づいて、先輩なら徹底的に破壊するはずだから、爆発、溶解何でもあり。そう思って急いで逃げたから怪我は無かったわ』ヤレヤレ

 

『』ウワー

 

『どうしたの?』ハテ

 

☆※♯

 

(赤木リツコ容疑者(29)。容疑は未成年盗撮。これを踏まえると今回の事件の全容が見えてくる)

 

 迷探偵碇シンジ。シン実はいつも一つ!

 

「アスカも話してくれないかな」

 

 だが、アスカは話そうとしない。

 

(おそらく何らかの事情(・・・・・・)でアスカと綾波の性癖を知った。あるいは僕に好意があると考えた。そこでリツコさんはアスカと綾波を呼び出し、僕とヤるメリットを脚色して言葉巧みに説明し、その役に立つとでも言って薬を渡した。そして、自分はゆっくりとそれを観賞する。こんなところか?)

 

 いい加減、2人の口から答えを聞きたい。

 暫く待つも2人は黙ったままだ。しょうがない。カードを一つ切ろうとシンジは口を開く。

 

「綾波」

 

 レイがシンジの目を見つめる。

 

「忍者コスプレロールプレイ~囚われの見習いくの一~」

 

「!?」

 

 レイの表情がガッツリ崩れる。

 

──コスプレロールプレイ。

──何と魅力的な響きだろうか。今まで夢想し、でも心のどこかで諦めていたオーク凌辱プレイ、女幹部の女王様風プレイ、敵対組織に所属する2人の禁断の愛風プレイetc.

……。

 

 レイはどうして今まで、その発想に至れなかったのか不思議でならない程、自分にしっくり来る。何か本質的な歯車が噛み合った。レイは一気に世界が広がるのを自覚した。

 レイは壁を越えてしまった。もう後戻りは出来ない。なんてこった。

 

「もし、綾波が正直に話してくれるなら、僕も前向きに考えるつもりだ」

 

 考えるだけですね。分かります。シンジもまた一歩大人へと近づいている。

 レイの陥落を確認し、次の標的に移る。

 

「アスカ」

 

 ビク。

 アスカの肩が震える。

 

──私には一体どんな劇薬を渡すつもりなの……。

 

 アスカは恐怖と期待が混ざって、むしろ気持ち良くなって来た。

 

──あれ、こういうのもいいかも。

 

 アスカも大分図太くなっている。こいつは手強いぞ。

 

「目隠し手錠、甘甘焦らしプレイ」

 

「!?!♡!?!☆」

 

──目隠し手錠だって? 何ということ。今まで私は縄やストレートな言葉で縛られ、責められることにばかり拘泥していたわ。視界を奪われることによる不安感と孤独感、手錠の無機質でひんやりとした感触、想像するだけで恐ろしい。

──だけど! これに甘甘焦らしを加えることで世界が180度変わる! 不安感と孤独感は甘い言葉と愛撫を比較対象とする事でより一層際立ち、けれどもそれは逆に甘い言葉と愛撫の安心感と多幸感をも際立たせる! 

──これだけに留まらす、焦らしをトッピングされることで私の心は不安も孤独も喜びも全てシン……相手に支配される! 身体だけじゃない、心までも全てを支配され包み込まれる! 全てを愛されていると実感出来る! 私の真に求めていた物はこれだったのね!

 

 長すぎワロタ。末期の料理マンガかな? 

 そして、アスカも卍解してしまった。こっちもシン・淑女へとランクアップだ。

 

 アスカが奈落の底をぶち破ってMinus Ultraしたのを見届けて、若干引き気味のシンジは毒を食らわば皿までと死体撃ちを敢行する。

 

「アスカが何もかも話してくれるなら、甘甘焦らしのその先をアスカと見たいと思ってる」

 

「!?!♪※!♡♭!?」

 

 具体性のあることは一切口にせず、いざという時の逃げ道をしっかり確保する当たり、大人の階段がエスカレーターで出来てるとしか思えない成長スピードだ。

 

──逃げちゃだめ? 

 

──ふ。逃げるのは戦略であり、一手段に過ぎない。重要なのはその先の結果であって、逃げること単体で良いも悪いも無いさ。

 

 この口先のテクニックと自分にだけに都合の良い思想。シンジも更なるクズへと限界突破してしまった。

 

「「実は……」」

 

 綾波とアスカは2人揃って口を開く。

 

(ふ。チョロいww)

 

 

 

 2人が語った内容は概ねシンジの予想通りだった。この薬は、飲むと魅力が上がり、感度も良くなるとか言う怪しい謳い文句で渡されたそうだ。とあるツテを使って調べた所、長期間効果がある単なる媚薬だった。もし、シンジにしゃべったら2度と渡さないと言われていたそうだ。

 

「それでは頼みましたよ。冬月さん」

 

「シンジ君の頼みとあらば無下には出来ないよ」

 

 シンジは冬月にとある弁当を渡していた。冬月に聞いて再現したユイの得意料理マシマシ弁当だ。

 冬月からは偶に愚痴を聞いている。それだけの関係の筈だが、冬月からの好感度はやたらと高い。冬月コウゾウ正ヒロインルートもワンチャンある。

 

「それにしても、今時珍しい位の孝行息子じゃないか」

 

 は? 冬月は頭が生ゴミで出来ているのだろうか?

 

「いえ、僕なんて……。ただ、父さんの体が心配なだけですよ」

 

 シンジは冬月に父さんの食事事情──自炊は一切せず、外食か出来合いの物ばかり──を聞いていた。そこでシンジは父親の体調を心配し手作り弁当を父に届けてもらうよう冬月に頼んでいるのだ。食べてもらえる様に亡き最愛の妻の得意料理を調べて再現した弁当を。

 ……という風に冬月には見せている。勿論、目的は別にある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あ♡ゲンドウさん、いきなりどうしたの……♡』

 

 カメラに写し出される光景は色んな意味でアダルティ過ぎる。コイカタオオメって感じだ。

 

(この動画は使えるぞ。僕をハメようとした報いだ)

 

 ゲヘへ。

 

 ゲッッッスい顔に協力者の2人──マヤとケンスケ──

はドン引きである。

 シンジは例の孝行(笑)弁当にアスカと綾波が所持していた薬の残りを全てぶちこんだ。天才赤木リツコ監修の媚薬は当然の様に無味無臭にして微量で絶大な効果を発揮する。まさにキレイなブーメランだ。

 

『♡……もうやめて♡』

 

 ……凄く幸せそうだけど、報いになってるのかこれ。

 

(何か納得いかない!)

 

 良い子の皆は媚薬を飲ませて盗撮しちゃダメ☆だぞ♪




冬月コウゾウって変換しようとしたら、冬月肛門ってなった。天の導きかな?
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