「ねぇ、八幡は音楽の魔法を信じるかい?」
「はぁ・・・、魔法っすか。・・・割と現実主義なとこあるんで。 」
この世界に魔法という物は存在しない、1つ次元を下げれば話は別だが。自分にも特別な力や魔法が使えるんじゃないかって信じるのは中学までの話だ。・・・訂正
「八幡はユーモアがないなぁ。でもキミの先輩は見つけてたよ。ちょうど今日みたいな満月の夜に。」
「はぁ・・・。どんな魔法なんすか。その人が見つけたのは・・・。」
「『音楽は記憶をとじこめることができる』って。時間が経ってもその曲を聴けばその時の事を思い出せる力があるんだってさ。」
「はぁ・・・。まぁ思い当たる事はありますね。」
確かに俺も好きだったアニメの曲が流れるだけで名シーンを思い出せる自信がある。なんならイントロだけで泣ける。天使にふれたよはアカン。
「だからさ。いつか見つかるよ、音楽の魔法。」
そう言って空次さんは部屋に戻って行った。
そろそろ俺も寝るかな。
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さて合宿最終日、昨日と同じく読経で落ちかけ、最後のバンド練を行っていた。
「なぁ高木。初日と比べれば1段階上がったんじゃねーの?由比ヶ浜とかチワワがダックスフンドになるくらいには。」
「・・・微妙に分かりずらい例えだろ。まぁ教える側がいいからな。メタルりかちゃん総出だし。」
「そうだな・・・。」
「こらー八幡に義輝!また走ってるぞ!リズム隊はバンドの柱なんだからキミたちがブレるとボーカルも歌いづらくなるんだ!しっかりしろー!!」
「まぁお前よりハルのが顧問っぽいのは変わらんな。」
「リズム隊ー!!またー!!」
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その後無事に合宿は終わり、千葉駅に戻ってくると、ホームで平塚先生が待っていた。
「諸君、お疲れ様。すまなかったな。私も婚か・・・ゲフンゲフン私用があったのでな。」
いや今婚活って聞こえたんですが。まぁプライベートで人生が変わるかもしれないイベントと部活の引率を天秤にかけたら迷わず前者を選ぶだろう。比企谷八幡は働き方改革と先生の婚活を応援しています。
「とにかく家に着くまでが合宿だ。気を付けてかえりたまえ。」
こうして平塚先生のお決まりの締めでその日は解散となった。
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GWも明け、最初の登校日。年に何回かある長期休暇明けの初日は毎週くる月曜日と比べ憂鬱度が段違いだ。休みたい気持ちを押し殺して部室にきた俺を褒めて欲しい。
「うぃーっす」
「あっヒッキー!やっはろー!」
「由比ヶ浜だけか。」
「うん。ゆきのんはまだだろうし、中二は飲み物買いに行ったよ。」
「そうか。なぁ少し練習してていいか?」
「うん。おっけー!」
スマホをぽちぽちしている由比ヶ浜を後目に音出しの準備を始める。
するとアンプの近くのスイッチが目に入った。
「なぁ由比ヶ浜。これなんのボタンだ?」
「さぁ?おしてみたら?」
触らぬ神に祟りなしというが目の前に謎のボタンがあれば押したくなるのが人情という物だ。
「ぽちっとな。・・・・・・・・・・・・・・・ぬおおおおおぉぉ!!!!!!」 バキッ
部室の隅にあったミラーボールが高速回転し俺の方へ飛んできたのである見てなかったら避けられなかったわ・・・。バキッ?
「・・・・・・・・・・・・あっ。」